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特開2022-185591肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する組換えアデノ随伴ウイルス産物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185591
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する組換えアデノ随伴ウイルス産物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20221207BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20221207BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221207BHJP
   C12N 15/57 20060101ALI20221207BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20221207BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20221207BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221207BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221207BHJP
   C12N 9/48 20060101ALN20221207BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALN20221207BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20221207BHJP
【FI】
A61K31/7088
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/57
C12N15/864 100Z
C12N7/01
C12N1/21
C12N5/10
A61P21/04
A61P21/00
A61K48/00
A61K35/76
C12N9/48
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】70
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022090069
(22)【出願日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/196,108
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515289842
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート アット ネイションワイド チルドレンズ ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ザリフェ サヘンク
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050DD11
4B050LL01
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ02
4B063QQ13
4B063QQ53
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QR66
4B063QS05
4B063QS10
4B063QS14
4B063QS25
4B063QS38
4B063QS39
4B063QX02
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZC011
4C084ZC012
4C084ZC511
4C084ZC512
4C084ZC521
4C084ZC522
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA94
4C086ZC01
4C086ZC51
4C086ZC52
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA94
4C087ZC01
4C087ZC51
4C087ZC52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための組成物を提供する。
【解決手段】筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物を提供する。好ましくは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させる前記タンパク質が、マイクロジストロフィン、ジストロフィン、カルパイン3(CAPN3)、ジスフェリン(DYSF)、SGCGA(α-サルコグリカン)、SGCB(β-サルコグリカン)、γ-サルコグリカン、デルタ-サルコグリカン、テレトニンアンコタミン5(ANO5)、GALGT2、ミオチリン、ラミンA/C、カベオリン、デスミン、テレトニン、FKRP、タイチン、POMT1、GALGT2およびフクチンである、組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させる方法において使用するための、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物であって、前記方法が前記組成物を前記対象に投与することを含み、前記rAAVが、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、前記組成物の投与が、対照のPGC1αのレベルと比較して、PGC1αのレベルの増加をもたらす、組成物。
【請求項2】
前記方法が、前記対象における前記PGC1αのレベルを測定するステップをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記方法が、前記対象において、速収縮性解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替えをもたらす、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
対象における筋ジストロフィーを治療する方法において使用するための、rAAVを含む組成物であって、前記方法が、
前記組成物を前記対象に投与することであって、前記rAAVが筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む、ことと、
前記組成物の投与後に前記対象から得られた試料におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現レベルを測定することであって、対照のPGC1αのレベルと比較したPGC1αレベルの変化が、前記対照の前記組成物および/または筋機能の治療効果を示す、方法。
【請求項5】
PGC1αレベルの増加が、筋機能の改善を示す、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記方法が、前記対象に前記組成物を投与する前および/または後に前記試料を得ることをさらに含む、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
対象における筋ジストロフィーを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物であって、前記rAAVが、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、前記組成物の投与が、対照のPGC1αのレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの変化をもたらし、前記PGC1αレベルの変化が、前記対象の前記組成物および/または筋機能の治療効果を示す、組成物。
【請求項8】
対象における筋ジストロフィーを治療するための薬剤の調製のためのrAAVの使用であって、前記rAAVが、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、前記rAAVの投与が、対照のPGC1αのレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの変化をもたらし、前記PGC1αレベルの変化が、前記対象の前記rAAVおよび/または筋機能の治療効果を示す、使用。
【請求項9】
PGC1αレベルの増加が、筋機能の改善を示す、請求項7または8に記載の組成物または使用。
【請求項10】
前記PGC1αにおける変化が、前記対象に前記rAAVを投与する前および/または後に得られた試料において決定される、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項11】
前記対照のPGC1αのレベルが、前記rAAVの投与前または投与なしの前記対象における前記PGC1αのレベル、または既知の標準のPGC1αのレベルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法、組成物または使用。
【請求項12】
筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させる前記タンパク質が、マイクロジストロフィン、ジストロフィン、カルパイン3(CAPN3)、ジスフェリン(DYSF)、SGCGA(α-サルコグリカン)、SGCB(β-サルコグリカン)、γ-サルコグリカン、デルタ-サルコグリカン、テレトニンアンコタミン5(ANO5)、GALGT2、ミオチリン、ラミンA/C、カベオリン、デスミン、テレトニン、FKRP、タイチン、POMT1、GALGT2およびフクチンである、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項13】
前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD);ベッカー筋ジストロフィー;先天性筋ジストロフィー(MDC)1A、1B、1Cおよび1D;肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G 2H、2I、2J、2K、2L、2M、2N、2Oおよび2Q;ウルリッヒ先天性筋ジストロフィー;福山型先天性筋ジストロフィー;筋強直性ジストロフィー;エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー;遠位型筋ジストロフィー;中心核;および顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項14】
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させる方法において使用するための、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物であって、前記方法が前記組成物を前記対象に投与することを含み、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記組成物の投与が、PGC1αの対照レベルと比較して、PGC1αのレベルの増加をもたらす、組成物。
【請求項15】
前記方法が、前記対象における前記PGC1αのレベルを測定するステップをさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記方法が、前記対象において、速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替えをもたらす、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する方法において使用するための、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物であって、前記方法が前記組成物を対象に投与することを含み、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの前記投与が、前記組成物の投与前の性能または表現型と比較して、前記対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、
前記性能の改善が、
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善のうちの1つ以上であり、
前記表現型の改善が、
筋線維直径の増加、
酸化性筋線維の数の増加、
速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、または
酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である、組成物。
【請求項18】
対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する方法において使用するための、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物であって、前記方法が前記組成物を前記対象に投与することを含み、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記組成物の投与が、前記rAAVの投与前のCapn3mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加が、前記対象の性能または表現型の増加を示す、組成物。
【請求項19】
前記性能が、
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記表現型が、
酸化的筋線維の数の増加、
速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、
酸化的筋線維の割合の増加、または
筋線維直径の増加のうちの1つ以上である、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記性能の改善が、最大攣縮反応の少なくとも約20%の増加であるか、または最大強縮反応の少なくとも約10%の増加である、請求項17~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記性能の改善が、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、またはランニングから疲労までの試験に対する距離の少なくとも約100%の増加である、請求項17~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記筋線維が、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、筋肉内注射または静脈内注射によって投与される、請求項14~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含む、組成物。
【請求項26】
前記表現型が、
酸化的筋線維の数の増加、
酸化的筋線維の割合の増加、または
筋線維直径の増加のうちの1つ以上である、請求項18に記載の組成物。
【請求項27】
前記筋線維が、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む、請求項17~19および26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、筋肉内注射または静脈内注射による投与のために処方される、請求項17~19、21、22および25~27いずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)レベルの増加をもたらす、使用。
【請求項30】
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてPGC1αレベルを増加させるための薬剤の調製のための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、前記rAAVの投与前の性能または表現型と比較して、前記対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、
前記性能の改善が、
筋収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善のうちの1つ以上であり、
前記表現型の改善が、
筋線維直径の増加、
酸化的筋線維の数の増加、
速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、または
酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である、使用。
【請求項31】
肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための薬剤の調製のための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、前記rAAVの投与の投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加が、前記対象における性能または表現型の増加を示す、使用。
【請求項32】
前記性能が
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記表現型が、
酸化的筋線維の数の増加、
酸化的筋線維の割合の増加、または
筋線維直径の増加のうちの1つ以上である、請求項31に記載の使用。
【請求項34】
前記性能の改善が、最大攣縮反応の少なくとも約20%の増加であるか、または最大強縮反応の少なくとも約10%の増加である、請求項29~32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記性能の改善が、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、またはランニングから疲労までの試験に対する距離の少なくとも約100%の増加である、請求項29~32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記筋線維が、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む、請求項30~33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
前記rAAVが、筋肉内注射または静脈内注射によるために処方される、請求項29~36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
CAPN3活性を有する前記タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号2と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である、請求項14~37のいずれか一項に記載の方法、組成物または使用。
【請求項39】
CAPN3活性を有する前記タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号2と少なくとも95%同一である、請求項14~37のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項40】
CAPN3活性を有する前記タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号2の配列を含む、請求項14~37のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項41】
CAPN3活性を有する前記タンパク質が、配列番号5と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項14~37のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項42】
CAPN3活性を有するタンパク質が、配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項14~37のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項43】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む、請求項14~37のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項44】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1と少なくとも95%同一である配列を含む、請求項14~37のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項45】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1の配列を含む、請求項14~37のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項46】
前記プロモーターが、筋特異的プロモーターである、請求項14~45のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項47】
前記筋特異的プロモーターが、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、デスミンプロモーター、骨格アルファ-アクチン(ASKA)プロモーター、トロポニンI(TNNI2)プロモーター、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef結合要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮型MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドa-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサープロモーター(MHCK7)プロモーター、C5~12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速攣縮トロポニンc遺伝子要素、遅攣縮心臓トロポニンc遺伝子要素、遅攣縮トロポニンi遺伝子要素、低酸素誘導性核因子(HIF)応答要素(HRE)、ステロイド誘導性要素、およびグルココルチコイド応答要素(gre)のうちの1つ以上を含む、請求項46に記載の組成物または使用。
【請求項48】
前記筋特異的プロモーターが、MCKプロモーター、tMCKプロモーター、またはMHCK7プロモーターである、請求項46に記載の組成物または使用。
【請求項49】
前記筋特異的プロモーターが、配列番号3のヌクレオチド配列を含む短縮型MCKプロモーターである、請求項46に記載の組成物または使用。
【請求項50】
前記第1および第2のAAV逆位末端反復が、AAV2逆位末端反復である、請求項14~49のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項51】
前記rAAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAVrh.74およびAAVrh.10キャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む、請求項14~50のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項52】
前記rAAVが、rh.74キャプシドタンパク質またはAAV9キャプシドタンパク質を含む、請求項14~50のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項53】
前記対象が、小児対象、青年対象、または若年成人対象である、請求項14~52のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項54】
前記対象が、中年成人または高齢対象である、請求項14~52のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項55】
前記対象が、4~15歳である、請求項14~52のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項56】
前記対象が、15~55歳である、請求項14~52のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項57】
前記対象が、55歳超である、請求項14~52のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項58】
ポリヌクレオチドであって、配列番号13のヌクレオチド配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項59】
前記ポリヌクレオチドが、前記配列番号13のヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載のポリヌクレオチド。
【請求項60】
組換えAAV rAAV.tMCK.CAPN3を生成する方法であって、プラスミドを細胞に移入することを含み、前記プラスミドが、配列番号13と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含む、方法。
【請求項61】
前記プラスミドが、配列番号13のヌクレオチド配列を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞にパッケージングプラスミドおよび/またはヘルパーウイルスを移入することをさらに含む、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞が、安定に組み込まれたAAVcap遺伝子を含む、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記細胞が、安定に組み込まれたAAVrep遺伝子を含む、請求項605~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
細胞であって、配列番号13と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含むプラスミドを含む、細胞。
【請求項66】
前記プラスミドが、配列番号13のヌクレオチド配列を含む、請求項65に記載の細胞。
【請求項67】
配列番号13のヌクレオチド配列を含む、請求項65または66に記載の細胞。
【請求項68】
前記細胞が、細菌細胞、昆虫細胞、蚊細胞、または哺乳動物細胞である、請求項65~67のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項69】
前記細胞が、E.coliである、請求項65~68のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項70】
前記細胞が、HEK293細胞、HeLa細胞またはヨトウガ(Sf9)昆虫細胞である、請求項65~68のいずれか一項に記載の細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2021年6月2日に出願された米国仮特許出願第63/196,108号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で提供されるのは、肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための産物および方法である。この方法では、組換えアデノ随伴ウイルスは、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするDNAを送達する。
【0003】
配列表の参照による組み込み
本出願は、開示の別個の部分として、コンピュータ可読形式の配列表(ファイル名:2022年5月31日に作成された56524_SeqListing.txt、43,828バイト、ASCIIテキストファイル)を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
筋ジストロフィー(MD)は遺伝性疾患のグループである。このグループは、動作を制御する骨格筋の進行性の衰弱および変性を特徴とする。MDのいくつかの形態は乳児期または小児期に発症するが、他の形態は中年以降まで現れない場合がある。障害は、筋力低下の分布および程度(MDのいくつかの形態は心筋にも影響を及ぼす)、発病年齢、進行速度、ならびに遺伝形式の点で異なる。
【0005】
MDのうちの1つのグループは、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)である。LGMDは、まれな状態であり、発症年齢、筋力低下の領域、心臓および呼吸器の関与、進行速度、ならびに重症度に関して、人によって症状が異なる。LGMDは、小児期、青年期、若年成人期、またはそれ以降に始まる可能性がある。両方の性別が等しく影響を受ける。LGMDは、肩および骨盤帯に衰弱を引き起こし、上肢および腕の近くの筋肉も時間とともに衰弱することがある。脚の脱力感は、腕の脱力感よりも前に現れることがよくある。顔の筋肉は、通常影響を受けない。状態が進行するにつれて、人々は、歩行に問題を抱えることがあり、時間の経過とともに車椅子を使用する必要があるかもしれない。肩および腕の筋肉が関与すると、腕を頭上に上げたり、物を持ち上げたりするのが困難になることがある。LGMDの種類によっては、心臓および呼吸筋が関与し得る。
【0006】
LGMDには少なくとも19個の形態があり、それらの形態は、関連する遺伝的欠陥によって分類される。
【表1】
【0007】
LGMDのための専門の検査は、診断のための全国的な計画であるNational Commissioning Group(NCG)を通じて現在利用可能である。
【0008】
calpain3遺伝子(CAPN3)の変異は、世界中で最も一般的な肢帯型筋ジストロフィーの1つであるLGMD2Aを引き起こす。現在、この遺伝性疾患の治療法はない。以前の研究では、CAPN3遺伝子導入がCAPN3欠損マウスの病理学的兆候を修正する可能性があることが示されている。しかしながら、デスミンプロモーターによって駆動されるCAPN3の発現は心毒性をもたらした(Bartoli et al.,Mol.Ther.,13:250-259(2006))。フォローアップ研究では、遺伝子の骨格筋発現が研究された(Roudaut et al.,Circulation,128:1094-1104(2013))。
したがって、LGMD2Aの処置に対する当該技術分野における必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Roudaut et al.,Circulation,128:1094-1104(2013)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするDNAを送達するための方法および製品が、本明細書に提供される。そのような方法および製品は、様々な疾患、例えば、LGMD2Aを治療するために使用され得る。
【0011】
さらに、対象において筋ジストロフィーを治療する方法が提供され、この方法は、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に投与することを含み、治療は、対照のPGC1αレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの増加をもたらす。この方法は、PGC1α核酸またはPGC1αタンパク質のレベルを測定するステップをさらに含む。他の実施形態において、PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。
【0012】
提供されるのは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)対象に投与することを含む、対象におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させる方法であり、rAAVは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、対照のPGC1αレベルと比較してのレベルの増加をもたらす。この方法により、被験者の速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替わりがもたらされる。この方法は、対象においてPGC1αのレベルを測定するステップをさらに含み得る。PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。
【0013】
提供されるのはまた、力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むrAAVを対象に投与することと、rAAVの投与後に対象から得られたサンプル中のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(pGC1α)のレベルを測定することとを含む、対象の筋ジストロフィーを治療する方法であり、PGC1αレベルの変化が、対照のpGC1αレベルと比較して、いくつかの実施形態におけるrAAVの治療効果および/または対象の筋機能を示し、PGC1αレベルの変化が、対照のpGC1αレベルと比較して、PGC1αの増加であり、これは、rAAVを投与することの治療効果を示している。例えば、PGC1αレベルの増加は、筋機能の改善を示している。
【0014】
さらに、方法は、任意選択で、rAAVの投与前および/または後に対象からサンプルを得るステップを含む。対照のpGC1αレベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベル、または既知の標準のPGC1のレベルである。PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。
【0015】
提供される方法のいずれにおいても、対照のpGC1αレベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベルを指し、例えば、対照のレベルは、「基礎レベル」と呼ばれることもある。さらに、対照のpGC1αレベルは、健康なまたは正常な年齢が一致する対象の既知の標準のPGC1αのレベルである。
【0016】
さらに、本開示は、対象において筋ジストロフィーを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、rAAVは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、rAAVの投与は、対照のpGC1αレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの増加をもたらす。PGC1α核酸またはPGC1αタンパク質のレベルは、rAAVの投与後に測定され得る。例えば、PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。
【0017】
対象におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるためのrAAVも提供され、rAAVは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、対照と比較して、PGC1αのレベルの増加をもたらす。rAAVの投与は、対象において、速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替えをもたらす。
【0018】
本開示はまた、対象において筋ジストロフィーを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、rAAVは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、rAAVの投与は、対照のpGC1αレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの増加をもたらし、PGC1αレベルの変化は、対象のrAAVおよび/または筋機能の治療効果を示す。開示されたrAAVのいずれかの投与は、PGC1αレベルの増加をもたらし得、これは、改善された筋機能を示す。さらに、開示されたrAAVのいずれかの投与は、対象にrAAVを投与する前および/または投与した後に得られるサンプルにおいて決定されるPGC1αの変化をもたらし得る。提供される方法のいずれにおいても、対照のpGC1αレベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベルを指し、例えば、対照のレベルは、「基礎レベル」と呼ばれることもある。さらに、PGC1αの対照レベルは、健康なまたは正常な年齢が一致する対象の既知の標準のPGC1αのレベルである。
【0019】
筋ジストロフィーを治療するために提供されるrAAVのいずれにおいても、PGC1αの対照レベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベルを指し、例えば、対照レベルは、「基礎レベル」と呼ばれることもある。さらに、PGC1αの対照レベルは、健康なまたは正常な年齢が一致する対象の既知の標準のPGC1αのレベルである。
【0020】
さらに、本開示は、対象において筋ジストロフィーを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供し、rAAVは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、rAAVの投与は、PGC1αの対照レベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの増加をもたらす。PGC1α核酸またはPGC1αタンパク質のレベルは、rAAVの投与後に測定され得る。例えば、PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。
【0021】
対象におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるための薬剤の調製のためのrAAVの使用も提供され、rAAVは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、対照と比較して、PGC1αのレベルの増加をもたらす。rAAVの投与は、対象において、速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替えをもたらす。
【0022】
さらに、本開示は、対象において筋ジストロフィーを治療するための薬剤の調製のためのrAAVの使用を提供し、rAAVは、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、rAAVの投与は、PGC1αの対照レベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの変化をもたらし、PGC1αレベルの変化は、記対象のrAAVおよび/または筋機能の治療効果を示す。開示された使用のいずれにおいても、PGC1αレベルの増加は、改善された筋機能を示す。さらに、開示された使用のいずれにおいても、PGC1αの変化は、対象にrAAVを投与する前および/または後に得られたサンプルにおいて決定される。
【0023】
筋ジストロフィーを治療するための薬剤の調製のために提供される使用のいずれにおいても、PGC1αの対照レベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベルを指し、例えば、対照レベルは、「基礎レベル」とも呼ばれることがある。さらに、PGC1αの対照レベルは、健康なまたは正常な年齢が一致する対象の既知の標準のPGC1αのレベルである。
【0024】
提供されるいずれの方法、rAAVおよび使用のいずれにおいても、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質は、マイクロジストロフィン、ジストロフィン、カルパイン3(CAPN3)、ジスフェリン(DYSF)、SGCGA(α-サルコグリカン)、SGCB(β-サルコグリカン)、γ-サルコグリカン、デルタ-サルコグリカン、テレトニンアンコタミン5(ANO5)、galgt2、ミオチリン、ラミンA/C、カベオリン、デスミン、テレトニン、FKRP、タイチン、POMT1またはフクチンである。
【0025】
提供されている方法、rAAV、および使用のいずれにおいても、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD);ベッカー筋ジストロフィー;先天性筋ジストロフィー(MDC)1A、1B、1Cおよび1D;肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G 2H、2I、2J、2K、2L、2M、2N、2Oおよび2Q;ウルリッヒ先天性筋ジストロフィー;福山型先天性筋ジストロフィー;筋強直性ジストロフィー;エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー;遠位型筋ジストロフィー;中心核;および顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーである。
【0026】
さらに、いずれの方法においても、rAAVは、筋肉内注射または静脈内注射によって投与されるか、またはrAAVのいずれかは、筋肉内注射または静脈内注射による投与のために処方される。さらに、rAAVおよび医薬品のいずれも、筋肉内注射または静脈内注射による投与用に処方される。
【0027】
本開示はまた、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に投与することを含む、肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させる方法を提供し、rAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、PGC1αの対照レベルと比較して、PGC1αの増加をもたらす。PGC1αの対照レベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベル、または既知の標準のPGC1のレベルである。任意選択で、方法は、rAAVの投与前および/または後に、対象におけるPGC1αのレベルを測定するステップをさらに含む。PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。例えば、方法は、治療有効量のrAAVを投与することを含む。さらに、方法は、対象において、速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替えをもたらす。
【0028】
本開示はまた、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に投与することを含む、対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する方法を提供し、rAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、rAAVの投与前の性能または表現型と比較して、対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、性能の改善は、i)筋収攣縮の増加、またはii)ランニングから疲労までの性能の改善のうちの1つ以上であり、表現型の改善は、i)筋線維直径の増加、ii)酸化的筋線維の数の増加、iii)速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、またはiv)酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である。
【0029】
本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に投与することを含む、対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する方法を提供し、rAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、rAAVの投与の投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加は、対象の性能または表現型の増加を示す。rAAVの投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3 mRNA発現の増加は、対象における性能または表現型の改善を示す閾値である。閾値は、少なくとも約10%、または少なくとも約11%、または少なくとも約12%、または少なくとも約13%、または少なくとも約14%、または少なくとも約15%、または少なくとも約16%、または少なくとも約17%、または少なくとも約18%、または少なくとも約19%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%であり得る。
【0030】
例えば、方法のいずれにおいても、性能の改善は、対照と比較して、筋肉攣縮の増加であり、例えば、最大攣縮反応における少なくとも約20%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約21%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約22%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約23%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約24%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約25%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約26%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約27%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約28%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約29%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約30%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約40%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約50%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約60%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約70%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約80%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約90%の増加である。
【0031】
例えば、方法のいずれにおいても、性能の改善は、対照と比較して、筋肉攣縮の増加であり、例えば、最大攣縮反応における少なくとも約10%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約11%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約12%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約13%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約14%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約15%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約16%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約17%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約18%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約19%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約20%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約30%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約40%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約50%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約60%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約70%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約80%の増加、または最大単収縮反応における少なくとも約90%の増加である。
【0032】
例えば、方法のいずれにおいても、性能の改善は、ランニングから疲労までの試験における改善であり、例えば、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約71%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約72%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約73%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約74%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約75%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約76%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約77%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約78%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約79%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約80%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約85%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約90%の改善、またはトレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約95%の改善である。
【0033】
例えば、方法のいずれにおいても、性能の改善は、ランニングから疲労までの距離の改善であり、例えば、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約100%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約110%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約120%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約130%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約140%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約150%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約160%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約170%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約180%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約190%の改善、またはランニングから疲労までの距離の少なくとも約200%の改善である。
【0034】
方法のいずれにおいても、筋線維は、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む。
【0035】
さらに、本発明の方法のいずれかにおいて、rAAVは、筋肉内注射または静脈内注射によって投与される。
【0036】
本開示はまた、肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含むrAAVまたは組成物を提供し、rAAVは、ポリヌクレオチドを含み、rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含む。例えば、rAAVの投与は、PGC1αの対照レベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)レベルの増加をもたらす。PGC1αの対照レベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベル、または既知の標準のPGC1のレベルである。PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。
【0037】
別の実施形態において、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)、または対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するためのrAAVを含む組成物を提供し、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に投与することを含む、対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する方法を提供し、rAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、rAAVの投与前の性能または表現型と比較して、対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、性能の改善は、i)筋攣縮の増加、またはii)ランニングから疲労までの性能の改善のうちの1つ以上であり、表現型の改善は、i)筋線維直径の増加、ii)酸化的筋線維の数の増加、iii)速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、またはiv)酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である。
【0038】
本開示は、対象において肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)またはrAAVを含む組成物を提供し、rAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、rAAVの投与の投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3 mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加は、対象の性能または表現型の増加を示す。rAAVの投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3 mRNA発現の増加は、対象における性能または表現型の改善を示す閾値である。閾値は、少なくとも約10%、または少なくとも約11%、または少なくとも約12%、または少なくとも約13%、または少なくとも約14%、または少なくとも約15%、または少なくとも約16%、または少なくとも約17%、または少なくとも約18%、または少なくとも約19%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%であり得る。
【0039】
例えば、rAAVまたは組成物のいずれにおいても、性能の改善は、対照と比較して、筋肉攣縮の増加であり、例えば、最大攣縮反応における少なくとも約20%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約21%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約22%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約23%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約24%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約25%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約26%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約27%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約28%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約29%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約30%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約40%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約50%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約60%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約70%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約80%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約90%の増加である。
【0040】
例えば、rAAVまたは組成物のいずれにおいても、性能の改善は、対照と比較して、筋肉攣縮の増加であり、例えば、最大攣縮反応における少なくとも約10%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約11%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約12%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約13%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約14%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約15%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約16%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約17%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約18%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約19%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約20%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約30%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約40%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約50%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約60%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約70%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約80%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約90%の増加である。
【0041】
例えば、rAAVまたは組成物のいずれにおいても、性能の改善は、ランニングから疲労までの試験における改善であり、例えば、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約71%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約72%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約73%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約74%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約75%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約76%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約77%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約78%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約79%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約80%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約85%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約90%の改善、またはトレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約95%の改善である。
【0042】
例えば、rAAVまたは組成物のいずれにおいても、性能の改善は、ランニングから疲労までの試験まで距離の改善であり、例えば、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約100%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約110%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約120%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約130%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約140%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約150%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約160%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約170%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約180%の改善、ランニングから疲労までので距離の少なくとも約190%の改善、またはランニングから疲労までの距離の少なくとも約200%の改善である。
【0043】
rAAVまたは組成物のいずれにおいても、筋線維は、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む。
【0044】
さらに、rAAVまたは組成物のいずれも、筋肉内注射または静脈内注射による投与のために処方される。
【0045】
本開示はまた、肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるための薬剤の調製のための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用を提供し、rAAVは、ポリヌクレオチドを含み、rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含む。例えば、rAAVの投与は、対照のPGC1αレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)レベルの増加をもたらす。対照のPGC1αレベルは、rAAVの投与前の対象におけるPGC1αのレベル、または既知の標準のPGC1αのレベルである。PGC1αのレベルは、PCR、ノーザンブロットもしくはサザンブロット、またはPGC1α核酸を検出するための他の任意の方法によってPGC1α核酸の発現を測定することによって検出され得る。他の実施形態において、PGC1αタンパク質のレベルは、免疫組織化学、ウエスタンブロット、ELISA、またはPGC1αタンパク質を検出する任意の方法によって測定され得る。
【0046】
別の実施形態において、本開示は、対象において肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための薬剤の調製のための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用を提供し、rAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、rAAVの投与前の性能または表現型と比較して、対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、性能の改善は、i)筋攣縮の増加、またはii)ランニングから疲労までの性能における改善のうちの1つ以上であり、表現型の改善は、i)筋線維直径の増加、ii)酸化的筋線維の数の増加、iii)速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、またはiv)酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である。
【0047】
本開示は、対象において肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するためのrAAVを含む薬剤の調製のためのrAAVの使用を提供し、rAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、rAAVの投与は、rAAVの投与の投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3 mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加は、対象の性能または表現型の増加を示す。rAAVの投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3 mRNA発現の増加は、対象における性能または表現型の改善を示す閾値である。閾値は、少なくとも約10%、または少なくとも約11%、または少なくとも約12%、または少なくとも約13%、または少なくとも約14%、または少なくとも約15%、または少なくとも約16%、または少なくとも約17%、または少なくとも約18%、または少なくとも約19%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%、または少なくとも約55%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%であり得る。
【0048】
例えば、薬剤の調製のためのrAAVのいずれの開示された使用においても、性能の改善は、対照と比較して筋肉攣縮の増加であり、例えば、最大攣縮反応における少なくとも約20%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約21%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約22%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約23%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約24%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約25%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約26%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約27%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約28%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約29%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約30%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約40%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約50%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約60%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約70%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約80%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約90%の増加である。
【0049】
例えば、薬剤の調製のためのrAAVのいずれの開示された使用においても、性能の改善は、対照と比較して筋肉攣縮の増加であり、例えば、最大攣縮反応における少なくとも約10%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約11%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約12%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約13%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約14%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約15%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約16%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約17%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約18%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約19%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約20%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約30%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約40%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約50%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約60%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約70%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約80%の増加、または最大攣縮反応における少なくとも約90%の増加である。
【0050】
例えば、薬剤の調製のためのrAAVのいずれの開示された使用においても、性能の改善は、ランニングから疲労までの試験における改善であり、例えば、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約71%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約72%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約73%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約74%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約75%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約76%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約77%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約78%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約79%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約80%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約85%の改善、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約90%の改善、またはトレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約95%の改善である。
【0051】
例えば、例えば、薬剤の調製のためのrAAVのいずれかの開示された使用において、性能の改善は、ランニングから疲労までの距離の改善であり、例えば、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約100%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約110%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約120%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約130%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約140%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約150%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約160%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約170%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約180%の改善、ランニングから疲労までの距離の少なくとも約190%の改善、またはランニングから疲労までの距離の少なくとも約200%の改善である。
【0052】
開示された用途のいずれかにおいて、筋線維は、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む。
【0053】
さらに、rAAVを含むrAAVまたは薬剤の開示された使用のいずれも、筋肉内注射または静脈内注射による投与のために処方される。
【0054】
本明細書に開示される方法、組成物または薬剤のいずれも、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードする組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を投与し得るかつ/または含み得る。さらに、開示されたrAAV、rAAVまたは薬剤を含む組成物のいずれも、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードする組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む。例えば、組換えアデノ随伴ウイルスは、CAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。例えば、CAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2と少なくとも90%同一であるか、または配列番号2の配列を含む。
【0055】
例えば、提供されるrAAVは、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含む。例えば、CAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2と少なくとも90%同一であるか、または配列番号2と少なくとも91%同一、配列番号2と少なくとも92%同一、配列番号2と少なくとも93%同一、配列番号2と少なくとも94%同一、配列番号2と少なくとも95%同一、配列番号2と少なくとも96%同一、配列番号2と少なくとも97%同一、配列番号2と少なくとも98%同一、または配列番号2と少なくとも99%同一である。rAAVは、配列番号2の配列を含む、CAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0056】
さらに、提供されるrAAVは、配列番号5と少なくとも90%同一、配列番号5と少なくとも91%同一、配列番号5と少なくとも92%同一、配列番号5と少なくとも93%同一、配列番号5と少なくとも94%同一、配列番号5と少なくとも95%同一、配列番号5と少なくとも96%同一、配列番号5と少なくとも97%同一、配列番号5と少なくとも98%同一、または配列番号5と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むCAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。rAAVは、配列番号5のアミノ酸配列を含むCAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0057】
提供されるrAAVは、配列番号1と少なくとも90%同一、配列番号1と少なくとも91%同一、配列番号1と少なくとも92%同一、配列番号1と少なくとも93%同一、配列番号1と少なくとも94%同一、配列番号1と少なくとも95%同一、配列番号1と少なくとも96%同一、配列番号1と少なくとも97%同一、配列番号1と少なくとも98%同一、または配列番号1と少なくとも99%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。前記rAAVは、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む。
【0058】
提供されるrAAVは、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも90%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも91%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも92%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも93%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも94%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも95%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも96%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも97%同一、配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも98%同一、または配列番号13のヌクレオチド1~3977と少なくとも99%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。rAAVは、配列番号13のヌクレオチド1~3977のポリヌクレオチド配列を含む。
【0059】
提供されるrAAVは、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも90%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも91%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも92%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも93%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも94%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも95%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも96%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも97%同一、配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも98%同一、または配列番号20のヌクレオチド1~3977と少なくとも99%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。rAAVは、配列番号20のヌクレオチド1~3977のポリヌクレオチド配列を含む。
【0060】
ヌクレオチド配列は、一実施形態では、筋肉特異的プロモーターの転写制御下にある。例えば、筋特異的プロモーターは、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、デスミンプロモーター、骨格アルファア-クチン(ASKA)プロモーター、トロポニンI(TNNI2)プロモーター、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef結合要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮型MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドa-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサープロモーター(MHCK7)プロモーター、C5~12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンc遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンc遺伝子要素、遅筋トロポニンi遺伝子要素、低酸素誘導性核因子(HIF)応答要素(HRE)、ステロイド誘導性要素、およびグルココルチコイド応答要素(gre)のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、筋特異的プロモーターは、配列番号3の配列を含むtMCKプロモーターである。別の実施形態において、筋特異的プロモーターは、配列番号4の配列を含むMHCK7プロモーターである。
【0061】
例えば、rAAVは、一実施形態では、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、tMCKプロモーター、カルパイン3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV逆位末端反復(ITR)を含むポリヌクレオチドを含む。AAV ITR(例えば、第1および/または第2のAAV ITR)は、例えば、AAV2逆位末端反復である。rAAVのキャプシドタンパク質は、例えば、AAV rh.74キャプシドタンパク質またはAAV9キャプシドタンパク質を含む。
【0062】
提供されるrAAVは、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh.74およびAAV rh.10キャプシドタンパク質の1つ以上を含む。
【0063】
別の実施形態において、開示されたrAAVのいずれかを含む組成物が提供される。例えば、組成物は、筋肉内注射または静脈内注射用に処方される。
【0064】
開示されたrAAVまたは提供される組成物のいずれかの治療有効量の方法、組成物または使用のいずれかにおいて、rAAV、薬剤または組成物での治療後に、対象の心筋は、開示されたrAAV、薬剤または組成物から発現された最小または低いカルパイン3タンパク質を示さない。
【0065】
本開示の方法、rAAV、組成物または使用のいずれにおいても、対象は、より高齢の成人対象である。いくつかの実施形態において、対象は、成人(18歳以上)である。特に、対象は、若年成人(18~39歳)、中年成人(40~64歳)、または高年成人もしくは高齢成人対象(65歳以上)、または老齢対象(70歳以上)である。
【0066】
本開示はまた、配列番号13または配列番号20のヌクレオチド配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。例えば、本開示は、配列番号13または配列番号20のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0067】
本開示はまた、配列番号13のヌクレオチド1~3977または配列番号20のヌクレオチド1~3977を含むヌクレオチド配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。例えば、本開示は、配列番号13のヌクレオチド1~3977または配列番号20のヌクレオチド1~3977を含むポリヌクレオチド配列を提供する。
【0068】
本開示はまた、配列番号13のヌクレオチド1~3977または配列番号20のヌクレオチド1~3977を含むヌクレオチド配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)を提供する。例えば、rAAVは、配列番号13のヌクレオチド1~3977または配列番号20のヌクレオチド1~3977を含むポリヌクレオチド配列を含む。開示されたrAAVのいずれかは、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh.74、およびAAVrh.10キャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。例えば、rAAVは、rh.74キャプシドタンパク質またはAAV9キャプシドタンパク質を含む。
【0069】
本開示は、組換えAAV rAAV.tMCK.CAPN3を生成する方法であって、プラスミドを細胞に移入することを含み、プラスミドが、配列番号13または配列番号20と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列、例えば、配列番号13または配列番号20のヌクレオチド配列を含む、方法を提供する。方法のいずれも、パッケージングプラスミドおよび/またはヘルパーウイルスを細胞に移動させるステップをさらに含み得る。方法のいずれにおいても、細胞は、安定して組み込まれたAAV cap遺伝子および/または安定して組み込まれたAAV rep遺伝子を含む。
【0070】
本開示は、プラスミドが、配列番号13と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列、例えば、配列番号13のヌクレオチド配列を含むプラスミドを含む細胞を提供する。例えば、細胞は、細菌細胞、昆虫細胞、蚊細胞、または哺乳動物細胞である。例示的な細胞は、HEK293細胞、HeLa細胞、およびSf9(Spodoptera frugiperda)昆虫細胞である。
【0071】
本開示は、プラスミドが、配列番号20と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列、例えば、配列番号20のヌクレオチド配列を含むプラスミドを含む細胞を提供する。例えば、細胞は、細菌細胞、昆虫細胞、蚊細胞、または哺乳動物細胞である。例示的な細胞は、HEK293細胞、HeLa細胞、およびSf9(Spodoptera frugiperda)昆虫細胞である。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
対象におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させる方法であって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を前記対象に投与することを含み、前記rAAVが、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、対照のPGC1αのレベルと比較して、PGC1αのレベルの増加をもたらす、方法。
(項目2)
前記対象における前記PGC1αのレベルを測定するステップをさらに含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目3)
前記方法が、前記対象において、速収縮性解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替えをもたらす、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
対象における筋ジストロフィーを治療する方法であって、
筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むrAAVを前記対象に投与することと、
rAAVの投与後に前記対象から得られた試料におけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現レベルを測定することであって、対照のPGC1αのレベルと比較したPGC1αレベルの変化が、前記対照の前記rAAVおよび/または筋機能の治療効果を示す、方法。
(項目5)
PGC1αレベルの増加が、筋機能の改善を示す、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記対象に前記rAAVを投与する前および/または後に前記試料を得ることをさらに含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
対象における筋ジストロフィーを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記rAAVが、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、前記rAAVの投与が、対照のPGC1αのレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの変化をもたらし、前記PGC1αレベルの変化が、前記対象の前記rAAVおよび/または筋機能の治療効果を示す、rAAV。
(項目8)
対象における筋ジストロフィーを治療するための薬剤の調製のためのrAAVの使用であって、前記rAAVが、筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させるタンパク質をコードする遺伝子を含み、前記rAAVの投与が、対照のPGC1αのレベルと比較して、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)のレベルの変化をもたらし、前記PGC1αレベルの変化が、前記対象の前記rAAVおよび/または筋機能の治療効果を示す、使用。
(項目9)
PGC1αレベルの増加が、筋機能の改善を示す、前記項目のいずれか一項に記載の組成物または使用。
(項目10)
前記PGC1αにおける変化が、前記対象に前記rAAVを投与する前および/または後に得られた試料において決定される、前記項目のいずれか一項に記載の組成物または使用。
(項目11)
前記対照のPGC1αのレベルが、前記rAAVの投与前または投与なしの前記対象における前記PGC1αのレベル、または既知の標準のPGC1αのレベルである、前記項目のいずれか一項のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目12)
筋力を増加させるかつ/または筋肉量を増加させる前記タンパク質が、マイクロジストロフィン、ジストロフィン、カルパイン3(CAPN3)、ジスフェリン(DYSF)、SGCGA(α-サルコグリカン)、SGCB(β-サルコグリカン)、γ-サルコグリカン、デルタ-サルコグリカン、テレトニンアンコタミン5(ANO5)、GALGT2、ミオチリン、ラミンA/C、カベオリン、デスミン、テレトニン、FKRP、タイチン、POMT1、GALGT2およびフクチンである、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目13)
前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD);ベッカー筋ジストロフィー;先天性筋ジストロフィー(MDC)1A、1B、1Cおよび1D;肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G 2H、2I、2J、2K、2L、2M、2N、2Oおよび2Q;ウルリッヒ先天性筋ジストロフィー;福山型先天性筋ジストロフィー;筋強直性ジストロフィー;エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー;遠位型筋ジストロフィー;中心核;および顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーである、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目14)
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させる方法であって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を前記対象に投与することを含み、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、PGC1αの対照レベルと比較して、PGC1αのレベルの増加をもたらす、方法。
(項目15)
前記対象における前記PGC1αのレベルを測定するステップをさらに含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記方法が、前記対象において、速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替えをもたらす、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する方法であって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を対象に投与することを含み、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの前記投与が、前記rAAVの投与前の性能または表現型と比較して、前記対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、
前記性能の改善が、
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善のうちの1つ以上であり、
前記表現型の改善が、
筋線維直径の増加、
酸化性筋線維の数の増加、
速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、または
酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である、方法。
(項目18)
対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療する方法であって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を前記対象に投与することを含み、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、前記rAAVの投与前のCapn3mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加が、前記対象の性能または表現型の増加を示す、方法。
(項目19)
前記性能が、
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善である、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記表現型が、
酸化的筋線維の数の増加、
速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、
酸化的筋線維の割合の増加、または
筋線維直径の増加のうちの1つ以上である、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記性能の改善が、最大攣縮反応の少なくとも約20%の増加であるか、または最大強縮反応の少なくとも約10%の増加である、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記性能の改善が、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、またはランニングから疲労までの試験に対する距離の少なくとも約100%の増加である、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記筋線維が、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記rAAVが、筋肉内注射または静脈内注射によって投与される、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含む、rAAV。
(項目26)
対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、前記rAAVの投与前の性能または表現型と比較して、前記対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、
前記性能の改善が、
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善のうちの1つ以上であり、
前記表現型の改善が、
筋線維直径の増加、
酸化的筋線維の数の増加、
速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、または
酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である、rAAV。
(項目27)
対象における肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、前記rAAVの投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加が、前記対象の性能または表現型の増加を示す、rAAV。
(項目28)
前記性能が、
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善である、前記項目のいずれか一項に記載のrAAV。
(項目29)
前記表現型が、
酸化的筋線維の数の増加、
酸化的筋線維の割合の増加、または
筋線維直径の増加のうちの1つ以上である、前記項目のいずれか一項に記載のrAAV。
(項目30)
前記性能の改善が、最大攣縮反応の少なくとも約20%の増加であるか、または最大強縮反応の少なくとも約10%の増加である、前記項目のいずれか一項に記載のrAAV。
(項目31)
前記性能の改善が、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、またはランニングから疲労までの試験に対する距離の少なくとも約100%の増加である、前記項目のいずれか一項に記載のrAAV。
(項目32)
前記筋線維が、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む、前記項目のいずれか一項に記載のrAAV。
(項目33)
前記rAAVが、筋肉内注射または静脈内注射による投与のために処方される、前記項目のいずれか一項に記載のrAAV。
(項目34)
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現を増加させるための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)レベルの増加をもたらす、使用。
(項目35)
肢帯型筋ジストロフィー2Aに罹患している対象においてPGC1αレベルを増加させるための薬剤の調製のための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、前記rAAVの投与前の性能または表現型と比較して、前記対象において性能の改善または表現型の改善をもたらし、
前記性能の改善が、
筋収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善のうちの1つ以上であり、
前記表現型の改善が、
筋線維直径の増加、
酸化的筋線維の数の増加、
速攣縮解糖(FTG)繊維から遅攣縮酸化的(STO)繊維への切り替え、または
酸化的筋線維の割合の増加のうちの1つ以上である、使用。
(項目36)
肢帯型筋ジストロフィー2Aを治療するための薬剤の調製のための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の使用であって、前記rAAVが、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含み、前記rAAVの投与が、前記rAAVの投与の投与前のCapn3 mRNA発現のレベルと比較して、少なくとも10%のCapn3mRNA発現の増加をもたらし、少なくとも10%の増加が、前記対象における性能または表現型の増加を示す、使用。
(項目37)
前記性能が
筋肉収縮性の増加、または
ランニングから疲労までの試験における性能の改善である、前記項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目38)
前記表現型が、
酸化的筋線維の数の増加、
酸化的筋線維の割合の増加、または
筋線維直径の増加のうちの1つ以上である、前記項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目39)
前記性能の改善が、最大攣縮反応の少なくとも約20%の増加であるか、または最大強縮反応の少なくとも約10%の増加である、前記項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目40)
前記性能の改善が、トレッドミルのランニングから疲労までの試験における少なくとも約70%の改善、またはランニングから疲労までの試験に対する距離の少なくとも約100%の増加である、前記項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目41)
前記筋線維が、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む、前記項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目42)
前記rAAVが、筋肉内注射または静脈内注射によるために処方される、前記項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目43)
CAPN3活性を有する前記タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号2と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目44)
CAPN3活性を有する前記タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号2と少なくとも95%同一である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目45)
CAPN3活性を有する前記タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号2の配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目46)
CAPN3活性を有する前記タンパク質が、配列番号5と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目47)
CAPN3活性を有するタンパク質が、配列番号5のアミノ酸配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目48)
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目49)
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1と少なくとも95%同一である配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目50)
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1の配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目51)
前記プロモーターが、筋特異的プロモーターである、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記筋特異的プロモーターが、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、デスミンプロモーター、骨格アルファ-アクチン(ASKA)プロモーター、トロポニンI(TNNI2)プロモーター、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef結合要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮型MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドa-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサープロモーター(MHCK7)プロモーター、C5~12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速攣縮トロポニンc遺伝子要素、遅攣縮心臓トロポニンc遺伝子要素、遅攣縮トロポニンi遺伝子要素、低酸素誘導性核因子(HIF)応答要素(HRE)、ステロイド誘導性要素、およびグルココルチコイド応答要素(gre)のうちの1つ以上を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目53)
前記筋特異的プロモーターが、MCKプロモーター、tMCKプロモーター、またはMHCK7プロモーターである、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目54)
前記筋特異的プロモーターが、配列番号3のヌクレオチド配列を含む短縮型MCKプロモーターである、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目55)
前記第1および第2のAAV逆位末端反復が、AAV2逆位末端反復である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目56)
前記rAAVが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAVrh.74およびAAVrh.10キャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目57)
前記rAAVが、rh.74キャプシドタンパク質またはAAV9キャプシドタンパク質を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目58)
前記対象が、小児対象、青年対象、または若年成人対象である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目59)
前記対象が、中年成人または高齢対象である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目60)
前記対象が、4~15歳である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目61)
前記対象が、15~55歳である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目62)
前記対象が、55歳超である、前記項目のいずれか一項に記載の方法、rAAVまたは使用。
(項目63)
ポリヌクレオチドであって、配列番号13のヌクレオチド配列と少なくとも90%、95%または99%同一であるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(項目64)
前記ポリヌクレオチドが、前記配列番号13のヌクレオチド配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(項目65)
組換えAAV rAAV.tMCK.CAPN3を生成する方法であって、プラスミドを細胞に移入することを含み、前記プラスミドが、配列番号13と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含む、方法。
(項目66)
前記プラスミドが、配列番号13のヌクレオチド配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
前記細胞にパッケージングプラスミドおよび/またはヘルパーウイルスを移入することをさらに含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
前記細胞が、安定に組み込まれたAAVcap遺伝子を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記細胞が、安定に組み込まれたAAVrep遺伝子を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
細胞であって、配列番号13と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含むプラスミドを含む、細胞。
(項目71)
前記プラスミドが、配列番号13のヌクレオチド配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の細胞。
(項目72)
配列番号13のヌクレオチド配列を含む、前記項目のいずれか一項に記載の細胞。
(項目73)
前記細胞が、細菌細胞、昆虫細胞、蚊細胞、または哺乳動物細胞である、前記項目のいずれか一項に記載の細胞。
(項目74)
前記細胞が、E.coliである、前記項目のいずれか一項に記載の細胞。
(項目75)
前記細胞が、HEK293細胞、HeLa細胞またはヨトウガ(Sf9)昆虫細胞である、前記項目のいずれか一項に記載の細胞。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】AAVrh74.tMCK.CAPN3ベクターの生物効力および遺伝子送達後4週間での短期間の有効性を示している。(A)5’および3’AAV2逆位末端反復配列(ITR)、tMCKプロモーター、キメライントロン(In)、導入遺伝子としてのヒトカルパイン3、およびSV40ポリアデニル化シグナル(ポリA)を示すAAVrh74.tMCK.CAPN3ベクターの概略図。(B)正常なヒト筋肉溶解物を含むCAPN3KOマウスにおける筋肉内(IM)および全身遺伝子送達後の筋肉試料中のカルパイン3タンパク質(前脛骨筋/TA、大腿四頭筋および腓腹筋からのマウス溶解物と比較して60%総タンパク質のゲル負荷)、および比較のための未処理のCAPN3KOの代表的なウエスタンブロット画像。94kDaの全長ヒトカルパイン3が、4週間後の1x1011vgでのベクターのIM注射でTAにおいて検出された。全身送達後の、3x1012vg(LD、低用量)コホートと比較して、6x1012vg治療(HD、高用量)による完全長カルパイン3タンパク質の顕著な増加に注意されたい。(C)AAV.hCAPN3またはリンガー乳酸(UT、未処理)のIM送達後の野生型(WT)およびCAPN3KOマウスのTA筋肉からのコハク酸デヒドロゲナーゼ、SDH染色組織切片の代表的な画像。正常化に向けた繊維サイズの増加は、CAPN3遺伝子治療で明らかであった。(D)全身AAV.hCAPN3遺伝子治療後、LDおよびHDの両方で治療したCAPN3 KOマウスは、UTの対応するマウスと比較して、トレッドミル試験をより良好に施された。(E)TA筋肉の平均繊維径は、LDおよびHDコホートでの全身送達後に示されている。UT CAPN3KOおよびWTマウスからのデータは、DおよびEに含まれている。各バーは、3~4匹のマウスの平均±SEMを表す。**p<0.01一元配置分散分析、テューキーの多重比較検定。WT図1におけるスケールバー=30μmは、すべてに適用される。
図2】AAVrh7.4.tMCK.hCAPN3ベクターの全身注射後の心臓毒性の証拠を示さない組織学的およびウエスタンブロット分析データを提供する。(A)低用量(LD、3x1012vg)および高用量(HD、6x1012vg)でのAAVrh7.4.tMCK.hCAPN3ベクターの全身注射4回後におけるCAPN3KOマウスの代表的な心臓試料からの左心室のH&E染色新鮮凍結切片、未処理の対照と比較している。筋線維の壊死、再生または炎症は見られなかった。(B)HDコホートからの心臓組織のウエスタンブロット分析は、検出可能なカルパイン3タンパク質を示さなかった。全長94kDahCAPN3バンドは、陽性対照としてのヒト骨格筋に存在しますが、対照CAPN3KO筋には存在しない。(C)LDおよびHDでのAAVrh7.4.tMCK.hCAPN3ベクターの全身注射の20週間後のパラフィン包埋心臓組織からのH&E染色切片においては、長期毒性がないことを示す組織病理学は明らかにならなかった。
図3】トレッドミル性能による、AAV.CAPN3遺伝子治療の機能的有効性が提供される。トレッドミル試験では、LD(3x1012vg)およびHD(6x1012vg)の両方の治療コホートが、未治療(UT)のCAPN3KOマウスと比較して(A)老齢群および(B)若年齢群で有意な改善を示した。(C)老齢群のHDコホートの女性は、同じ群の男性よりも有意により良好な性能を示した。(D)早期発症治療によりもたらされるトレッドミルの転帰に有意差はなかった。各バーは、12~14匹のマウスの平均±SEMを表す。**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、一元配置分散分析、(A)と(B)についてのテューキーの多重比較検定、ならびに(C)および(D)についての二元配置分散分析、シダックの多重比較検定。
図4】AAV.CAPN3遺伝子治療による筋肉生理学の改善を示す。老齢群のUT CAPN3KOマウス動物と比較して、LDおよびHD治療コホートにおける(A)最大攣縮および(B)強縮反応の両方でより高い力出力を示すインビボ筋収縮アッセイ。データは、組み合わされたすべての治療群を反映している(治療コホート、n=.23;UTコホート、n=28)。同様に、治療されたマウスは、若齢群での(C)攣縮および(D)強縮反応の増加を示した(治療されたコホート、n=.22~0.23;UTコホート、n=13)。各バーは、平均±SEMを表す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、対応のないt検定。
図5】AAV.CAPN3遺伝子治療を受けたCAPN3KOマウスの筋線維サイズの増加を示す。(A)ミトコンドリア含有量に基づく筋線維タイプを示すコハク酸デヒドロゲナーゼ染色:疲労耐性遅攣縮酸化的(STO、dark)または1型繊維、中間染色強度の速攣縮酸化的(FTO、中間)繊維および最も軽い染色強度を有する速攣縮解糖(FTG、軽い)繊維。(B)未処理(UT)、低用量(LD、3x1012vg)、および高用量(HD、6x1012vg)治療コホートからの3つの異なるゾーン(深部、中間、表面;ゾーン1、2、および3として指定)を示す前脛骨筋の代表的な画像。(C)筋肉の3つのゾーンから得られた画像上で行われた繊維サイズの測定では、UT CAPN3KO群と比較して、LDおよびHDコホートの両方におけるすべての繊維タイプ(STO、FTO、およびFTG)について有意な増加を示した。各バーは、各群における12~15匹のマウスの平均±SEMを表す。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001(UTと比較)、二元配置分散分析、テューキーの多重比較検定。未処理のゾーン1において、スケールバー=30μm。
図6】AAV.CAPN3遺伝子治療を受けたCAPN3KOマウスの筋線維型リモデリングを示す。未処理(UT)コホートと比較して、両方の年齢群の処理されたCAPN3KOマウスの前脛骨筋(TA)、上腕三頭筋(Tri)、腓腹筋(Gas)、大腿四頭筋(Quad)の各繊維タイプの平均繊維サイズおよびパーセント分布で観察された変化の方向が、矢印で描かれている。アスタリスクは、観察された変化が未処理のマウスとは大幅に異なることを示している。
図7】注射後20週間でのAAVrh74.tMCK.hCAPN3ベクター生体内分布を提供する。(A~C)ウイルスゲノム/二倍体ゲノムに対応するベクターコピー数(vg/dgまたはゲノムDNAのμgあたりのベクターコピー)は、老齢群のLDおよびHDコホートのCAPN3KOマウスの下肢および上肢からの4つの異なる筋肉群を含むさまざまな組織で定量化された。(A)ベクターゲノム分布は、臓器および筋肉において用量依存的に変化しやすい。最高のベクターゲノムコピー数は、両方の治療コホートの肝臓に存在していた。(B)HD治療により、LDと比較して、骨格筋のvgレベルが59.6%増加し、p<0.0001になった。(C)CAPN3KOにおけるAAV生体内分布の性差が示されている。雌は、雄マウスの対応のないt検定と比較して、すべての治療にわたって組み合わされた骨格筋のvgレベルが48.7%増加し、p=0.0001になった。各バーは、9~12個の試料の平均±SEMを表す。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001、二元配置分散分析、テューキーの多重比較検定。
図8】遺伝子送達の20週間後にCAPN3KOマウスのmRNAレベルおよびタンパク質レベルでhCAPN3の筋肉組織発現を提供する。CAPN3KOマウスの老齢群(A)および若年齢群(B)からのいくつかの骨格筋および心筋組織試料におけるhCAPN3の相対的な発現レベルが示されている。両方の年齢群の低用量(LD、3x1012g;n=12)と比較して、高用量(HD、6x1012vg;n=12)治療コホートで、CAPN3 mRNA転写物の用量依存的な増加が観察された。データは平均±SEMとして表される。*p<0.05、**p<0.01、二元配置分散分析、シダックの多重比較検定。(C)4匹のマウスからの代表的なウエスタンブロット画像は、老齢群のHDコホートからの大腿四頭筋および腓腹筋における94kDa CAPN3タンパク質の可変量を示す。対応する未治療のWTC57BL/6参照筋肉からの15μg~2.5μg(30~5%)の範囲の検量線を、対応する治療済みCAPN3-KOマウスの筋肉におけるAAV媒介CAPN3レベルの半定量分析に使用した。CAPN3レベルは、ヒトおよびマウスの筋肉抽出物におけるエピトープを認識するCALP-12A2抗体を使用して検出された。アッセイ感度は、対照のWTレベルの2.5%という低い量のCAPN3タンパク質を確実に検出するように最適化された。
図9】CAPN3の発現レベルとトレッドミルの性能との相関関係を示す。(A)低用量(LD、3x1012vg、n=12)コホート(R2=0.5192、p=0.0082、線形回帰分析)でのランニングから疲労までの試験と相関する4つの代表的な筋肉(前脛骨筋、腓腹筋、大腿四頭筋、および三頭筋)からの総mRNAレベル間の相関を示す散布図(一方、高用量コホート(HD、6x1012vg、n=12)では、mRNAレベルとランニングから疲労までの試験の性能との間に相関は見られなかった)。(B)最良のトレッドミル性能のためのmRNAレベルウィンドウは、HDコホートとLDコホートの両方の女性に有利であった。
図10】筋肉における相対的なPGC1α発現レベルおよび繊維タイプリモデリングとのその相関関係を提供する。CAPN3KOの老齢群(UT、n=8;LD、n=12;HD、n=12)の腓腹筋(Gas、AおよびB)ならびに前脛骨筋(TA、DおよびE)におけるPGC1αの相対的発現レベル)ならびにhCAPN3遺伝子送達の20週間後の年齢を一致させた野生型(WT、n=8)マウスは、両方の性別を組み合わせたもの(AおよびD)および別々にしたもの(BおよびE)として示されている。LDおよびHD治療コホートからの同じ筋肉、腓腹筋(C)および前脛骨筋(F)における繊維タイプ(STO、FTO、およびFTG)分布の変化率を示す線グラフ。データは平均±SEMとして表される。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、、対応のないt検定。LD男性が女性(B、E)よりも高いPGC1α発現を示したにもかかわらず、HDコホートおよびLDコホートの両方でのSTOへの切り替え(%増加として)は女性(C、F)でのみ観察された。
図11-1】pAAV.tMCK.hCAPN3ベクターの概略図を提供する。図11Aは、円形のマップを提供し、図11Bは、線形のマップを提供する。
図11-2】pAAV.tMCK.hCAPN3ベクターの概略図を提供する。図11Aは、円形のマップを提供し、図11Bは、線形のマップを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本明細書で提供される組換えAAV(rAAV)は、第1のAAV逆位末端反復(ITR)、プロモーター、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、および第2のAAV ITRを含むポリヌクレオチドを含む。一実施形態において、ヌクレオチドは、CAPN3をコードする。実施形態には、CAPN3をコードするヌクレオチド配列またはCAPN3活性を有するタンパク質を含むrAAVが含まれるが、これらに限定されないが、ヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、または89%同一である。追加の実施形態には、、配列番号2に記載のヌクレオチド配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるヌクレオチド配列を含むrAAVが含まれるが、これらに限定されず、CAPN3タンパク質分解活性を有するポリペプチドをコードする。CAPN3タンパク質分解活性は、当該技術分野において、フォドリンおよびHSP60などの可能性のある基質をタンパク質分解する活性、および/または自己分解的に自己切断する活性として理解されている。したがって、本明細書で使用される場合、「カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質」という用語は、フォドリンおよびHSP60などのタンパク質分解基質の活性を含むがこれらに限定されない、CAPN3タンパク質分解活性を有するタンパク質、および/または自己分解的に自己切断する活性を指す。CAPN3活性を有するタンパク質は、全長カルパイン3タンパク質の完全または部分的な活性を有し得る。一実施形態において、CAPN3活性を有するタンパク質は、全長CAPN3タンパク質の活性の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%を有する。別の実施形態において、CAPN3活性を有するタンパク質は、配列番号5と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、CAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2の配列を含む。別の実施形態において、CAPN3活性を有するタンパク質は、配列番号5と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、CAPN3活性を有するタンパク質は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、rAAVのポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも95%同一である配列を含む。一実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号1の配列を含む。
【0075】
別の態様において、ストリンジェントな条件下で配列番号2の核酸配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むCAPN3活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列、またはその補体を含む、組換えAAVベクターが本明細書に記載されている。「ストリンジェントな」という用語は、ストリンジェントとして当該技術分野において一般に理解される条件を指すために使用される。ハイブリダイゼーションストリンジェシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドなどの変性剤の濃度によって決定される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄のためのストリンジェントな条件の例は、0.015Mの塩化ナトリウム、65~68℃の0.0015Mのクエン酸ナトリウムまたは0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、および42℃の50%ホルムアミドである。Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,(Cold Spring Harbor,N.Y.1989)を参照されたい。
【0076】
本明細書に記載の組換えAAVゲノムにおいて、CAPN3ポリヌクレオチドは、転写制御因子(プロモーター、エンハンサー、および/またはイントロンを含むが、これらに限定されない)、特に、目的の標的細胞において機能的な転写制御因子に作動可能に連結されている。例えば、さまざまな実施形態は、アクチンおよびミオシン遺伝子ファミリー、例えば、myoD遺伝子ファミリー[Weintraub et al.,Science,251:761-766(1991)を参照されたい]、筋細胞特異的エンハンサー結合因子MEF-2[Cserjesi and Olson,Mol Cell Biol,11:4854-4862(1991)]、ヒト骨格アクチン遺伝子由来の対照因子[Muscat et al.,Mol Cell Biol,7:4089-4099(1987)]、筋クレアチンキナーゼ配列因子[Johnson et al.,Mol Cell Biol,9:3393-3399(1989)を参照されたい]およびマウスクレアチンキナーゼエンハンサー(mCK)因子、骨格速攣縮トロポニンC遺伝子、遅攣縮心筋トロポニンC遺伝子および遅攣縮トロポニンI遺伝子に由来する制御因子:低酸素症誘導性核内因子[Semenza et al.,Proc Natl Acad Sci USA,88:5680-5684(1991)]、グルココルチコイド応答因子(GRE)を含むステロイド誘導性因子およびプロモーター[Mader and White,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:5603-5607(1993)]、tMCKプロモーター[Wang et al.,Gene Therapy,15:1489-1499(2008)を参照されたい]、CK6プロモーター[Wang et al.、上記を参照されたい]、ならびに他の制御因子、由来のものを含むが、それらに依存しない筋肉特異的転写対照因子を使用して筋細胞を形質導入する方法を提供する。一実施形態において、カルパイン3(CAPN3)活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、筋特異的プロモーターに作動可能に連結されている。一実施形態において、筋特異的プロモーターは、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、デスミンプロモーター、骨格アルファア-クチン(ASKA)プロモーター、トロポニンI(TNNI2)プロモーター、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef結合要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮型MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドa-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサープロモーター(MHCK7)プロモーター、C5~12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンc遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンc遺伝子要素、遅筋トロポニンi遺伝子要素、低酸素誘導性核因子(HIF)応答要素(HRE)、ステロイド誘導性要素、グルココルチコイド応答要素(gre)のうちの1つ以上を含む。別の実施形態において、筋特異的プロモーターは、MCKプロモーター、tMCKプロモーター、またはMHCK7プロモーターである。一実施形態において、筋特異的プロモーターは、配列番号3のヌクレオチド配列を含むtMCKである。一実施形態において、筋特異的プロモーターは、配列番号4のヌクレオチド配列を含むMHCK7である。
【0077】
以前の研究は、デスミンプロモーターによって駆動されるCAPN3の発現が心毒性をもたらすことを示した。フォローアップ研究では、遺伝子の選択的な骨格筋発現が心臓の欠陥を排除した。本明細書に開示されるAAVゲノムは、CAPN3発現を骨格筋に制限するための筋肉特異的プロモーターtMCKを含み、遺伝子注射の4週間後の6E12vg(提案された初期高用量の2倍)でのウイルスの全身送達後に心臓毒性を示さなかった。
【0078】
したがって、本明細書で提供される組換えAAVは、組換えゲノムを含む、複製欠損、感染性、カプシド形成ウイルス粒子である。例としては、CAPN3をコードする配列番号1に記載された配列を含むゲノムを含むrAAVと、CAPN3をコードする配列番号1に記載された配列から本質的になるゲノムを含むrAAVと、CAPN3をコードする配列番号1に記載された配列からなるゲノムを含むrAAV(「AAVrh.74.tMCK.CAPN3」と名付けられた)が含まれるが、これらに限定されない。rAAVのゲノムは、AAV repおよびcap DNAを欠いており、すなわち、rAAVゲノムのITR間にAAV repまたはcap DNAが存在しない。
【0079】
AAVrh.74.tMCK.CAPN3配列の配列は、配列番号1に記載されており、AAV2 ITRはヌクレオチド1~128にまたがり、tMCKプロモーターはヌクレオチド165~884にまたがり、キメライントロンはヌクレオチド937~1069にまたがり、コザック配列はヌクレオチド1101~1106にまたがり、CAPN3ポリヌクレオチドはヌクレオチド1107~3572にまたがり、ポリAシグナルはヌクレオチド3581~3780にまたがり、第2のAAV2 ITRはヌクレオチド3850~3977にまたがっている。
【0080】
rAAVを有する筋細胞など標的細胞をインビボまたはインビトロで形質導入する方法が、本発明で企図される。インビボでの方法は、本明細書で提供されるrAAVを含む組成物の有効用量または有効複数用量をそれを必要とする対象(例えば、ヒト患者を含むが、これに限定されない動物)に投与するステップを含む。用量が、障害/疾患の発症前に投与される場合、投与は予防的である。用量が、障害/疾患の発症後に投与される場合、投与は治療的である。「有効用量」は、処置される障害/疾患状態に関連する少なくとも1つの症状を緩和(排除または低減)する用量、障害/疾患状態への進行を遅らせるかまたは防止する用量、障害/疾患状態の進行を遅らせるかまたは防止する用量、疾患の程度を減少させる用量、疾患の寛解(部分的または完全)をもたらす用量、および/または生存を延長させる用量である。治療前の対象と比較して、本明細書の方法は、筋線維直径の増加、小分葉状筋線維の数の減少、内部核を有する線維の数の減少、筋内膜結合組織含有量の減少、筋萎縮の矯正、および筋力生成の増加のうちの1つ以上をもたらす。一実施形態において、筋線維は、遅攣縮酸化的(STO)筋線維、速攣縮酸化的(FTO)筋線維、および速攣縮解糖(FTG)線維のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、治療は、(a)投与後4週間までに1mmあたりの総筋線維数の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、または35%、または40%の減少;(b)投与後4週間までに筋線維直径の少なくとも5%、10%、15%、20%、または25%の増加;(c)投与後4週間までに1mmあたりのSTO筋線維数の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、または42%の減少;(d)投与後4週間までにSTO筋線維直径の少なくとも5%、10%、15%、20%、または25%の増加;(e)投与後4週間までに1mmあたりのFTO筋線維数の少なくとも5%、10%、15%、または20%の減少;(f)投与後4週間までにFTO筋線維直径の少なくとも5%、10%、15%、または20%の増加;(g)投与後4週間までに1mmあたりのFTG筋線維数の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、または35%の減少;および(h)投与後4週間までにFTG筋線維直径の少なくとも5%、10%、15%、20%、または25%の増加のうちの1つ以上をもたらす。本開示の方法は、一実施形態では、rAAVを投与された対象の心筋において、rAAVから発現されるカルパイン3タンパク質がない、最小である、または低いことがもたらされる。
【0081】
これらの結果を調べるためのアッセイは、当該技術分野で理解されており、かつ/または本明細書の実施例に記載されている。CAPN3活性における欠陥またはCAPN3の発現における欠陥によって引き起こされる障害/疾患(例えば、筋ジストロフィー)を予防または治療するための本明細書に記載の方法の使用が企図される。LGMD2Aは、この方法に従った予防または治療が企図される疾患の例である。
【0082】
併用療法も企図される。本明細書で使用される併用療法は、同時治療または連続治療を含む。本明細書に記載の方法と標準的な医学的治療(例えば、コルチコステロイド)との組み合わせが、新規治療との組み合わせと同様に、特に企図されている。
【0083】
有効用量の組成物の投与は、筋肉内、非経口、静脈内、髄腔内、経口、口腔、鼻腔、肺、頭蓋内、骨内、眼内、直腸、または膣を含むが、これらに限定されない、当該技術分野における標準的な経路により得る。rAAVのAAV成分(具体的には、AAV ITRおよびカプシドタンパク質)の投与経路(複数可)および血清型(複数可)は、治療される感染症および/または疾患状態、ならびにCAPN3を発現する標的細胞/組織(複数可)を考慮して、当業者によって選択かつ/または適合され得る。一実施形態において、rAAVは、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、皮下投与、膣内注射、皮内投与、または経鼻投与によって投与される。別の実施形態において、rAAVは、筋肉内注射または静脈内注射によって投与される。
【0084】
本開示は、有効用量のrAAVおよび本開示の組成物の局所投与および全身投与を提供する。例えば、全身投与とは、全身が影響を受けるように循環系に投与することである。全身投与には、消化管を介した吸収などの経腸投与、および注射、注入、または移植による非経口投与が含まれる。
【0085】
特に、本明細書に記載のrAAVの実際の投与は、rAAV組換えベクターを動物の標的組織に輸送する任意の物理的方法を使用することにより達成され得る。投与としては、筋肉内への注入、血流への注入、および/または肝臓への直接注入が挙げられるが、これらに限定されない。リン酸緩衝生理食塩水にrAAVを再懸濁するのみで、筋肉組織発現に有用なビヒクルを提供するのに十分であることが実証されており、担体、またはrAAVと共投与され得る他の成分に既知の制限はない。rAAVのカプシドタンパク質は、rAAVが筋肉などの目的の特定の標的組織に標的化されるように修飾されてもよい。例えば、本開示が参照により本明細書に組み込まれるWO第02/053703号を参照されたい。医薬組成物は、注射可能な製剤として、または経皮輸送により筋肉に送達される局所製剤として調製することができる。筋肉内注射および経皮輸送の両方のための多数の製剤がこれまでに開発されており、方法の実施において使用され得るができる。rAAVは、投与および取り扱いを容易にするために、任意の薬学的に許容される担体とともに使用することができる。
【0086】
筋肉内注射を目的として、ゴマ油や落花生油などのアジュバント溶液、または水性プロピレングリコール溶液、および滅菌水溶液を使用することができる。そのような水溶液は、必要に応じて緩衝化することができ、液体希釈剤は最初に生理食塩水またはグルコースで等張にされる。遊離酸(DNAは酸性リン酸基を含む)または薬理学的に許容される塩としてのrAAVの溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水で調製することができる。rAAVの分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、ならびに油中で調製することができる。通常の保存状態および使用下においては、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含む。これに関連して、用いられる滅菌水性媒体は全て、当業者に周知の標準的な技術により容易に入手可能である。
【0087】
全身注射可能用途に適した薬学的形態には、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。あらゆる場合において、この形態は、滅菌でなければならず、容易なシリンジ注射可能性(syringability)が存在する程度に流動性でなければならない。製造および保管の条件下で安定していなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散剤の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の長時間の吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0088】
滅菌されている注射可能な溶液は、必要な量のrAAVを適切な溶媒に、必要に応じて上に列挙した他の様々な成分とともに組み込み、その後濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は滅菌した活性成分を、基礎的な分散媒および上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルへと混合することによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法としては、いくつかの実施形態において、活性成分と、その以前に滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分との粉末をもたらす、真空乾燥およびフリーズドライ技術が含まれる。
【0089】
本開示の一実施形態において、rAAVは、20mMのTris(pH8.0)、1mMの塩化マグネシウム(MgCl)、200mMの塩化ナトリウム(NaCl)、および0.001%のポロキサマー188を含有する緩衝液中で製剤化される。
【0090】
rAAVによる形質導入は、インビトロで行うこともできる。一実施形態では、所望の標的筋肉細胞を対象から取り出し、rAAVで形質導入し、対象に再導入する。代替的に、同系または異種の筋肉細胞は、それらの細胞が対象において不適切な免疫応答を生成しない場合に使用され得る。
【0091】
対象への形質導入および形質導入細胞の再導入のための好適な方法は、当該技術分野で既知である。一実施形態では、細胞は、例えば適切な培地でrAAVを筋肉細胞と組み合わせ、サザンブロットおよび/またはPCRなどの従来の技術を使用して、または選択可能なマーカーを使用して目的のDNAを持つ細胞をスクリーニングすることにより、インビトロで形質導入することができる。次に、形質導入された細胞を医薬組成物に製剤化し、組成物を、筋肉内、静脈内、皮下、および腹腔内注射による、または例えばカテーテルを使用して平滑筋および心筋への注射によるなど、様々な技術により対象に導入することができる。
【0092】
本明細書に記載の方法によるrAAVによる細胞の形質導入は、CAPN3またはCAPN3活性を有するタンパク質の持続的発現をもたらす。したがって、CAPN3またはCAPN3活性を有するタンパク質を発現するrAAVを対象、好ましくはヒトに投与するための方法が提供される。本開示の主題には、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、齧歯動物(例えば、ラットおよびマウス)、および霊長類が含まれるが、これらに限定されない。これらの方法は、本明細書に記載の1つ以上のrAAVで組織を形質導入すること(筋肉などの組織、肝臓および脳等の臓器、ならびに唾液腺などの腺を含むが、これらに限定されない)を含む。
【0093】
筋肉組織は生命維持に必須な臓器ではなく、アクセスしやすいため、インビボDNA送達の魅力的な標的である。本明細書の方法は、形質導入された筋細胞からのCAPN3の持続的発現を提供する。
【0094】
「筋肉細胞」または「筋肉組織」とは、任意の種類の筋肉(例えば、骨格筋および平滑筋(例えば、消化管、膀胱、血管または心臓組織))に由来する細胞または細胞群を意味する。そのような筋肉細胞は、筋芽細胞、筋細胞、筋管、心筋細胞、および心筋芽細胞など、分化または未分化であり得る。
【0095】
例えば、「形質導入」という用語は、レシピエント細胞によるCAPN3の発現をもたらす、記載のrAAVを介した、インビボまたはインビトロのいずれかでの、レシピエント細胞へのCAPN3の投与/送達を指すように使用される。
【0096】
したがって、本発明は、CAPN3をコードするrAAVの有効用量(または、本質的に同時に投与される用量もしくは間隔を置いて投与される用量)を、それを必要とする対象に投与する方法を提供する。
【0097】
上記のように、本明細書に記載の方法は、治療前の対象と比較して、対象に、筋線維直径の増加、小分葉状遅攣縮酸化的(STO)筋線維の数の減少、内部核を有する線維の数の減少、筋内膜結合組織含有量の減少、筋萎縮の矯正、および筋力生成の増加のうちの1つ以上をもたらす。
【0098】
本発明の実施は、他に示されない限り、当業者の技術の範囲内で、ウイルス学、微生物学、分子生物学、および組換えDNA技術の従来の方法を使用する。そのような技術は、文献で完全に説明されている。例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Current Edition)、DNA Cloning:A Practical Approach,Vol.I&II(D.Glover,ed.)、Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,Current Edition)、Nucleic Acid Hybridization(B.Hames&S.Higgins,eds.,Current Edition)、Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins,eds.,Current Edition)、CRC Handbook of Parvoviruses,vol.I&II(P.Tijssen,ed.)、Fundamental Virology,2nd Edition,vol.I&II(B.N.Fields and D.M.Knipe,eds.)、Freshney Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique(Wiley-Liss,Third Edition)、およびAusubel et al.(1991)Current Protocols in Molecular Biology(Wiley Interscience,N.Y.)を参照されたい。
【0099】
定義
単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上特に明記されていない限り、複数形の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含み、「培養物」への言及は、1つ以上の培養物および当業者に周知されるその同等物への言及を含む、などである。「組換えAAV」への言及は、2つ以上のrAAVビリオンの混合物を含む、などである。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0100】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替案のみを指すように明示的に示されない限り、または代替案が相互に排他的である場合を除き、「および/または」を意味するように使用されるが、本開示は、代替案および「および/または」のみを指す定義を支持する。
【0101】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、値を決定するために使用されているデバイスまたは方法に対する統計的実験誤差(誤差の標準偏差)を含むことを示すために使用される。
【0102】
「ベクター」という用語は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオンなどの、適切な制御要素と関連する場合に複製することができ、かつ細胞間で遺伝子配列を移入することができる、任意の遺伝子要素を意味する。一実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0103】
本明細書で使用される場合、「AAV」という用語は、アデノ随伴ウイルスの一般的な略語である。アデノ随伴ウイルスは、ある特定の機能が同時感染ヘルパーウイルスによって提供される細胞内でのみ成長する一本鎖DNAパルボウイルスである。現在、特性評価されているAAVの血清型は13個存在する。AAVの一般的な情報および概説は、例えば、Carter,1989,Handbook of Parvoviruses,Vol.1,pp.169-228、およびBerns,1990,Virology,pp.1743-1764,Raven Press,(New York)で見つけることができる。しかしながら、様々な血清型が遺伝子レベルでさえも構造的および機能的の両方で非常に密接に関連していることがよく知られているため、これらの同じ原理が追加のAAV血清型に適用可能であることが十分に予想される。(例えば、Blacklowe,1988,pp.165-174 of Parvoviruses and Human Disease,J.R.Pattison,ed.、およびRose,Comprehensive Virology 3:1-61(1974)を参照されたい)。例えば、全てのAAV血清型は、相同rep遺伝子によって媒介される非常に類似した複製特性を明らかに呈し、これらは全て、AAV2で発現されたもの等の3つの関連カプシドタンパク質を有する。関連性の程度は、ゲノムの長さに沿った血清型間の広範な交差ハイブリダイゼーション、および「末端逆位配列」(ITR)に対応する末端における類似の自己アニーリングセグメントの存在を明らかにするヘテロ二本鎖分析によってさらに示唆される。類似の感染性パターンは、各血清型における複製機能が類似の調節制御下にあることも示唆する。
【0104】
本明細書で使用される「AAVベクター」とは、AAV末端反復配列(ITR)に隣接している1つ以上の目的とするポリヌクレオチド(または導入遺伝子)を指す。かかるAAVベクターは、repおよびcap遺伝子産物をコードおよび発現するベクターでトランスフェクトされた宿主細胞中に存在する場合に、感染性ウイルス粒子に複製およびパッケージングされ得る。一実施形態では、AAVベクターは、限定されないが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh10、およびAAV rh74を含む、アデノ随伴ウイルス血清型に由来するベクターである。AAVベクターは、好ましくはrepおよび/またはcap遺伝子で、AAV野生型遺伝子のうちの1つ以上が全部または一部分において欠失しているが、機能的な隣接ITR配列を保持することができる。機能的なITR配列は、AAVビリオンのレスキュー、複製、およびパッケージングに必要である。したがって、AAVベクターは、ウイルスの複製およびパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされる少なくともそれらの配列を含むように本明細書で定義される。ITRは、野生型ヌクレオチド配列である必要はなく、配列が機能的レスキュー、複製、およびパッケージングを提供する限り、例えば、ヌクレオチドの挿入、欠失または置換によって変更され得る。
【0105】
「AAVヘルパー機能」という用語は、生産的なAAV複製のために次にトランスで機能するAAV遺伝子産物を提供するために発現され得るAAV由来コード配列を指す。したがって、AAVヘルパー機能は、主要なAAVオープンリーディングフレーム(ORF)、rep、およびcapを含む。Rep発現産物は、とりわけ、DNA複製のAAV起点の認識、結合、およびニッキング、DNAヘリカーゼ活性、ならびにAAV(または他の異種)プロモーターからの転写の調節を含む、多くの機能を所有することが示されている。Cap発現産物は、必要なパッケージング機能を供給する。AAVヘルパー機能は、本明細書では、AAVベクターから失われたトランスのAAV機能を補完するために使用される。
【0106】
「組換えウイルス」とは、例えば、ウイルス粒子への異種核酸配列の付加または挿入によって遺伝的に変更されたウイルスを意味する。
【0107】
「AAVビリオン」または「AAVウイルス粒子」または「AAVベクター粒子」とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質およびカプシドに包まれたポリヌクレオチドAAVベクターから成るウイルス粒子を指す。一実施形態では、AAVビリオンは、異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む。一実施形態では、AAVウイルス粒子の産生には、AAVベクターの産生が含まれ、例えば、ベクターは、AAVベクター粒子内に含有される。
【0108】
哺乳類細胞に送達される導入遺伝子などのAAVゲノム、それは、典型的には、「AAVベクター粒子」または単に「AAVベクター」と称される。したがって、かかるベクターがAAVベクター粒子内に含有されるため、AAVベクター粒子の産生には、必然的にAAVベクターの産生が含まれる。
【0109】
例えば、野生型(wt)AAVウイルス粒子は、AAVキャプシドタンパク質コートに関連する線形の一本鎖AAV核酸ゲノムを含む。AAVビリオンは、一本鎖(ss)AAVまたは自己相補的(SC)AAVのいずれかであり得る。一実施形態では、相補的センス、例えば「センス」または「アンチセンス」鎖のいずれかの一本鎖AAV核酸分子は、AAVビリオンにパッケージングされ得、両方の鎖は、等しく感染性である。
【0110】
「組換えAAV」または「rAAV」という用語は、AAV ITRが両側に隣接する目的の異種ヌクレオチド配列をカプセル化する、AAVタンパク質シェルから成る感染性の複製欠損ウイルスとして本明細書で定義される。一実施形態では、rAAVは、好適な宿主細胞で産生され、これは、その中に導入されたAAVベクター、AAVヘルパー機能、およびアクセサリー機能を有する。このようにして、宿主細胞は、その後の遺伝子送達のために、AAVベクター(目的の組換えヌクレオチド配列を含有する)を感染性組換えビリオン粒子にパッケージングするために必要とされるAAVポリペプチドをコードすることができる。
【0111】
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来DNAの取り込みを指し、細胞は、外因性DNAが細胞膜内に導入されたときに「トランスフェクト」される。多くのトランスフェクション技術が当該技術分野において一般的に知られている。例えば、Graham et al.(1973)Virology,52:456、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratories,New York、Davis et al.(1986)Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier、およびChu et al.(1981)Gene 13:197を参照されたい。そのような技術を用いて、ヌクレオチド組込みベクターおよび他の核酸分子などの、1つ以上の外来性DNA部分を好適な宿主細胞に導入することができる。
【0112】
「形質導入」という用語は、複製欠損ウイルスベクターを介した、例えば、組換えAAVビリオンを介したインビボまたはインビトロのいずれかでのレシピエント細胞へのDNA分子の送達を意味する。
【0113】
「宿主細胞」という用語は、AAVヘルパー構築物、AAVベクタープラスミド、アクセサリー機能ベクター、またはその他のトランスファーDNAのレシピエントとして使用できるか、または使用されてきた、例えば、微生物、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を意味する。この用語には、トランスフェクトされた元の細胞の子孫が含まれる。したがって、本明細書で使用される「宿主細胞」は、一般に、外因性DNA配列でトランスフェクトされた細胞を指す。単一の親細胞の子孫は、自然、偶発的、または意図的な変異のために、形態またはゲノムまたは全DNA補体において必ずしも完全に同一でない場合があることが理解される。
【0114】
「異種」という用語は、コード配列および制御配列などの核酸配列に関連するとき、通常は一緒に結合されていない、かつ/または通常は特定の細胞に関連していない配列を示す。したがって、核酸構築物またはベクターの「異種」領域は、自然界で他の分子と関連して見られない、別の核酸分子内または別の核酸分子に付着した核酸のセグメントである。例えば、核酸構築物の異種領域は、自然界のコード配列に関連して見られない配列が隣接するコード配列を含み得る。異種コード配列の別の例は、コード配列自体が自然界で見られない(例えば、天然の遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)構築物である。同様に、細胞内に通常は存在しない構築物で形質転換された細胞は、本発明の目的のために異種であると見なされるであろう。本明細書で使用される場合、対立遺伝子変異または自然に発生する変異事象は、異種DNAを生じさせない。
【0115】
「コード配列」または特定のタンパク質を「コードする」配列は、適切な調節配列の制御下に配置されると、インビトロまたはインビボでポリペプチドに転写され(DNAの場合)、翻訳される(mRNAの場合)核酸配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列には、原核生物または真核生物のmRNAからのcDNA、原核生物または真核生物のDNAからのゲノムDNA配列、さらには合成DNA配列が含まれるが、これらに限定されない。転写終結配列は、通常、コード配列の3’側に位置するであろう。
【0116】
「核酸」配列は、DNAまたはRNA配列を指す。核酸には、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュードウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、および2,6-ジアミノプリンを含むが、これらに限定されないDNAおよびRNAの塩基類似体が含まれる。
【0117】
DNA「制御配列」という用語は、集合的に、プロモーター配列、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、複製の起点、内部リボソーム侵入部位(「IRES」)、エンハンサーなどを指し、これらは、レシピエント細胞におけるコード配列の複製、転写、および翻訳を集合的に提供する。選択されたコード配列が適切な宿主細胞で複製、転写、および翻訳されることができる限り、これらの制御配列のすべてが常に存在する必要はない。
【0118】
「プロモーター」という用語は、DNA調節配列を含むヌクレオチド領域を指すために、その通常の意味で本明細書において使用され、調節配列は、RNAポリメラーゼに結合し、下流(3’-方向)コーディング配列の転写を開始させることができる遺伝子に由来する。転写プロモーターには、「誘導性プロモーター」(プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現が分析物、補因子、調節タンパク質などによって誘導される)、「抑制性プロモーター」(プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現が分析物、補因子、調節タンパク質などによって誘導される)、および「構成的プロモーター」が含まれ得る。一実施形態では、プロモーターは、筋特異的プロモーターであり、これには、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、デスミンプロモーター、骨格アルファアクチン(ASKA)プロモーター、トロポニンI(TNNI2)プロモーター、筋細胞特異的エンハンサー結合因子mef結合要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮型MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドa-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサープロモーター(MHCK7)プロモーター、C5~12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格の速筋トロポニンc遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンc遺伝子要素、遅筋トロポニンi遺伝子要素、低酸素誘導性核因子(HIF)応答要素(HRE)、ステロイド誘導性要素、およびグルココルチコイド応答要素(gre)が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、プロモーターは、MCKプロモーター、tMCKプロモーター、またはMHCK7プロモーターである。
【0119】
「動作可能にリンクされた」という用語は、そのように記述された構成要素がそれらの通常の機能を実行するように構成される要素の配置を指す。したがって、コード配列に作動可能に連結された制御配列は、コード配列の発現に影響を与えることができる。制御配列は、それらがその発現を指示するように機能する限り、コード配列と隣接している必要はない。したがって、例えば、介在する未翻訳であるが転写された配列は、プロモーター配列とコード配列との間に存在することができ、プロモーター配列は、依然としてコード配列に「作動可能に連結されている」と見なされ得る。
【0120】
RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コード配列をmRNAに転写し、次にコード配列によってコードされるポリペプチドに翻訳されるとき、プロモーターは、細胞内のコード配列の「転写を指示」する。
【0121】
「発現カセット」または「発現構築物」は、目的の配列(複数可)または遺伝子(複数可)の発現を指示することができる集合体を指す。発現カセットは、上記のように、目的の配列(複数可)または遺伝子(複数可)に(転写を指示するように)作動可能に連結されるプロモーターなどの制御要素を含み、ポリアデニル化配列も含むことが多い。本発明のある特定の実施形態内で、本明細書に記載の発現カセットは、プラスミド構築物内に含まれ得る。発現カセットの構成要素に加えて、プラスミド構築物はまた、1つ以上の選択可能なマーカー、プラスミド構築物が一本鎖DNAとして存在することを可能にするシグナル、少なくとも1つのマルチクローニング部位、および「哺乳動物」の複製起点(例えば、SV40またはアデノウイルスの複製起点)を含み得る。
【0122】
ヌクレオチド配列を指す場合の「単離された」とは、示された分子が、他のヌクレオチド配列、クロマチン材料などの他の生物学的高分子の実質的な不在下に存在することを意味する。したがって、「特定のポリペプチドをコードする単離された核酸分子」は、対象のポリペプチドをコードしない他の核酸分子を実質的に含まない核酸分子を指すが、しかしながら、分子は、組成物の基本的な特性に悪影響を及ぼさないいくつかの追加の塩基または部分を含み得る。
【0123】
特定のヌクレオチド配列が別の配列に対して「上流」、「下流」、「3」、または「5」に位置すると記載されている場合など、本出願全体にわたって特定の核酸分子中のヌクレオチド配列の相対位置を記載する目的で、それは、当技術分野で慣習的であると称されるDNA分子の「センス」または「コーディング」鎖における配列の位置であることが理解されるべきである。
【0124】
核酸配列またはアミノ酸配列の文脈における「配列同一性」、「配列同一性の割合」、または「同一の割合」という用語は、最大限対応するようにアラインメントさせたときに同じである2つの配列中の残基を指す。配列同一性の比較の長さは、ゲノムの全長、遺伝子コード配列の全長であり得るか、または少なくとも約500~5000個のヌクレオチドの断片が望ましい。しかしながら、少なくとも約9個のヌクレオチド、通常は少なくとも約20~24個のヌクレオチド、少なくとも約28~32個のヌクレオチド、少なくとも約36個以上のヌクレオチドなど、より小さい断片間の同一性もまた所望され得る。配列の同一性の割合は、当技術分野で知られている技術によって決定することができる。例えば、相同性は、配列情報を整列させ、ALIGN、ClustalW2、およびBLASTなどの容易に入手可能なコンピュータープログラムを使用することにより、2つのポリペプチド分子間の配列情報を直接比較することによって決定することができる。一実施形態では、BLASTがアラインメントツールとして使用される場合、次のデフォルトパラメータ、遺伝暗号=標準;filter=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予測=10;マトリクッス=BLOSUM62;説明=50個の配列;並べ替え=高得点;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+スイスプロテイン+Spupdate+PIR。
【0125】
「対象」という用語は、動物界の任意のメンバーを指し、これには、ヒトならびにチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種などの非ヒト霊長類、牛、羊、豚、山羊、および馬などの家畜、犬および猫などの家畜哺乳類、マウス、ラット、およびモルモットなどの齧歯動物を含む実験動物などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、出生~2歳、1~10歳の範囲、または4~15歳の範囲、または10~19歳の範囲、または20~40歳、または15~29歳または25~55歳の範囲、または40~60歳の範囲、または50歳以上または60歳以上または65歳以上または70歳以上のヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、成人(18歳以上)である。特に、対象は、若年成人(18~39歳)、中年成人(40~64歳)、または高年もしくは高齢成人対象(65歳以上)、または老齢対象(70歳以上)である。いくつかの実施形態において、対象は、1~10歳、または2~12歳、4~15歳、または10~19歳である。一実施形態では、対象は、青年対象であり、例えば、12~21歳の範囲の対象である。加えて、対象は、一実施形態では、15~29歳または18~39歳の年齢の範囲の対象などの若年成人対象である。いくつかの実施形態では、対象は、中年成人または高齢対象であり、その結果、中年成人は、25~55歳の範囲であってもよく、それ以上の年齢の成人対象は、50歳を超える範囲であってもよく、高齢対象は、65歳を超える範囲であってもよい。
【0126】
AAV
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、145ヌクレオチドの末端逆位配列(ITR)を含む約4.7kb長である。AAVの複数の血清型が存在する。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は公知である。例えば、AAV血清型2(AAV2)ゲノムのヌクレオチド配列は、Ruffing et al.,J Gen Virol,75:3385-3392(1994)によって修正されたSrivastava et al.,J Virol,45:555-564(1983)に提示されている。他の例として、AAV-1の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_002077に提示されており、AAV-3の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_1829に提示されており、AAV-4の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_001829に提示されており、AAV-5ゲノムは、GenBank受理番号AF085716に提示されており、AAV-6の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_001862に提示されており、AAV-7およびAAV-8のゲノムの少なくとも一部は、それぞれ、GenBank受理番号AX753246およびAX753249に提示されており(AAV-8に関する米国特許第7,282,199および同第7,790,449もまた参照されたい)、AAV-9ゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)に提示されており、AAV-10ゲノムは、Mol.Ther.,13(1):67-76(2006)に提示されており、AAV-11ゲノムは、Virology,330(2):375-383(2004)に提示されている。AAVrh.74血清型のクローニングは、Rodino-Klapac.,et al.Journal of translational medicine 5,45(2007)に記載されている。ウイルスDNA複製(rep)、カプシド形成/パッケージング、および宿主細胞染色体組込みを指示するCis作用配列は、ITR内に含有される。3つのAAVプロモーター(それらの相対マップ位置に対してp5、p19、およびp40と名付けられる)は、repおよびcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロンの差異的スプライシング(例えば、AAV2のヌクレオチド2107および2227における)と相まって、2つのrepプロモーター(p5およびp19)により、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、およびrep40)が生成される。Repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素特性を有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3をコードする。選択的スプライシングおよび非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連キャプシドタンパク質の産生に関与する。単一コンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVのライフサイクルおよび遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129(1992)において概説されている。
【0127】
AAVは、例えば、遺伝子治療において、外来DNAを細胞に送達するためのベクターとしてそれを魅力的にする固有の特徴を有する。培養中の細胞のAAV感染は非細胞変性であり、ヒトおよび他の動物の自然感染はサイレントおよび無症候性である。さらに、AAVは、多くの哺乳動物細胞を感染させ、インビボで多くの異なる組織を標的とする可能性を許容にする。さらに、AAVは、ゆっくりと分裂する細胞および非分裂細胞を形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外因子)としてそれらの細胞の寿命にわたって本質的に存続することができる。AAVプロウイルスゲノムは、組換えゲノムの構築を実現可能にするプラスミド中のクローン化DNAとして感染性である。さらに、AAV複製、ゲノムカプシド形成および組込みを指示するシグナルがAAVゲノムのITR内に含まれるので、ゲノムの内部約4.3kb(複製および構造カプシドタンパク質、rep-capをコードする)のいくつかまたは全てを、プロモーター、目的のDNAおよびポリアデニル化シグナルを含む遺伝子カセットのような外来DNAと置換し得る。repおよびcapタンパク質は、トランスで提供され得る。AAVの別の重要な特徴は、それが極めて安定した頑健なウイルスであることである。これは、アデノウイルスを不活性化するために使用される条件(56℃~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を低くする。AAVは、凍結乾燥され得る。最後に、AAV感染細胞は、重複感染に耐性を示さない。
【0128】
複数の研究により、筋肉における長期(1.5年を超える)の組換えAAV媒介タンパク質発現が実証されている。Clark et al.,Hum Gene Ther,8:659-669(1997)、Kessler et al.,Proc Nat.Acad Sc.USA,93:14082-14087(1996)、およびXiao et al.,J Virol,70:8098-8108(1996)を参照されたい。Chao et al.,Mol Ther,2:619-623(2000)and Chao et al.,Mol Ther,4:217-222(2001)もまた参照されたい。さらに、筋肉は高度に血管新生化されているため、Herzog et al.,Proc Natl Acad Sci USA,94:5804-5809(1997)、およびMurphy et al.,Proc Natl Acad Sci USA,94:13921-13926(1997)に記載されているように、組換えAAV形質導入により、筋肉内注射後の体循環において導入遺伝子産物の出現がもたらされる。さらに、Lewis et al.,J Virol,76:8769-8775(2002)は、骨格筋線維が抗体の正しいグリコシル化、フォールディング、および分泌に必要な細胞因子を持っていることを実証し、筋肉が分泌タンパク質治療薬を安定して発現できることを示している。
【0129】
本開示の組換えAAVゲノムは、本開示の核酸分子および核酸分子に隣接する1つ以上のAAV ITRを含む。rAAVゲノムのAAV DNAは、AAV血清型AAVrh.74、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、、AAV-13およびAAVrh.74を含むがこれらに限定されない、組換えウイルスを誘導できる任意のAAV血清型に由来し得る。偽型rAAVの生成は、例えば、WO01/83692に開示される。他のタイプのrAAV変異体、例えば、カプシド変異を有するrAAVも企図される。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。上記の背景技術の部分に記載されたように、様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列が、当該技術分野において既知である。筋肉特異的な発現を促進するために、AAVrh.74を使用することができる。
【0130】
本開示のDNAプラスミドは、本開示のrAAVゲノムを含む。DNAプラスミドは、rAAVゲノムの感染性ウイルス粒子への組み立てのために、AAVのヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、E1欠失アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)の感染に許容される細胞に移される。パッケージングされるAAVゲノム、repおよびcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス機能が細胞に提供される、rAAV粒子を産生する技術は、当該技術分野において標準的である。rAAVの産生は、以下の成分、rAAVゲノム、rAAVゲノムから分離した(すなわち、その中に存在しない)AAV repおよびcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス機能が、単一細胞(本明細書でパッケージング細胞と表される)内に存在することを必要とする。AAVのrepおよびcap遺伝子は、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型に由来してもよく、rAAVゲノムITRとは異なるAAV血清型、例えば、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAVrh.74、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、およびAAV-13を含むがこれらに限定されない血清型に由来してもよい。偽型rAAVの産生は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO01/83692に開示される。
【0131】
パッケージング細胞を生成する方法は、AAV粒子の産生に必要なすべての成分を安定して発現する細胞株を作成することである。例えば、AAVrepおよびcap遺伝子を欠くrAAVゲノム、rAAVゲノムから分離したAAVrepおよびcap遺伝子、およびネオマイシン耐性遺伝子などの選択可能なマーカーを含むプラスミド(または複数のプラスミド)が、細胞のゲノムに組み込まれる。AAVゲノムは、GCテーリング(Samulski et al.,1982,Proc.Natl.Acad.S6.USA,79:2077-2081)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有する合成リンカーの付加(Laughlin et al.,1983,Gene,23:65-73)、または直接平滑末端ライゲーション(Senapathy&Carter,1984,J.Biol.Chem.,259:4661-4666)などの手順により細菌プラスミドに導入されている。次いで、パッケージング細胞株を、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させる。この方法の利点は、細胞が選択可能であり、rAAVの大規模産生に好適であることである。適切な方法の他の例は、rAAVゲノムおよび/またはrep遺伝子およびcap遺伝子をパッケージング細胞に導入するためのプラスミドではなく、アデノウイルスまたはバキュロウイルスを用いる。
【0132】
rAAV生産の一般原則は、例えば、Carter,1992,Current Opinions in Biotechnology,1533-539、およびMuzyczka,1992,Curr.Topics in Microbial.and Immunol.,158:97-129)に概説されている。様々なアプローチは、Ratschin et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072(1984)、Hermonat et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6466(1984)、Tratschin et al.,Mo1.Cell.Biol.5:3251(1985)、McLaughlin et al.,J.Virol.,62:1963(1988)、およびLebkowski et al.,Mol.Cell.Biol.,7:349(1988)に記載されている。Samulski et al.,J.Virol.,63:3822-3828(1989)、米国特許第5,173,414号、WO95/13365、ならびに対応する米国特許第5,658.776号、WO95/13392、WO96/17947、PCT/US98/18600、WO97/09441(PCT/US96/14423)、WO97/08298(PCT/US96/13872)、WO97/21825(PCT/US96/20777)、WO97/06243(PCT/FR96/01064)、WO99/11764、Perrin et al.Vaccine 13:1244-1250(1995)、Paul et al.Human Gene Therapy 4:609-615(1993)、Clark et al.Gene Therapy 3:1124-1132(1996)、米国特許第5,786,211号、米国特許第5,871,982号、および米国特許第6,258,595号に記載されている。前述の文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、rAAV産生に関する文書の部分を特に強調する。
【0133】
したがって、本開示は、感染性rAAVを産生するパッケージング細胞を提供する。一実施形態では、パッケージング細胞は、HeLa細胞、293細胞、およびPerC.6細胞(同種293株)などの安定して形質転換されたがん細胞であり得る。別の実施形態では、パッケージング細胞は、形質転換されたがん細胞ではない細胞、例えば、低継代293細胞(アデノウイルスのE1で形質転換されたヒト胎児腎細胞)、MRC-5細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、WI-38細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、Vero細胞(サル腎細胞)、およびFRhL-2細胞(アカゲザル胎児肺細胞)である。
【0134】
本開示の組換えAAV(すなわち、感染性カプシド化rAAV粒子)は、rAAVゲノムを含む。例示的な実施形態では、rAAVのゲノムは、AAVのrepとcapの両方のDNAを欠いており、すなわち、rAAVのゲノムのITR間にAAVのrepまたはcapのDNAが存在しない。本開示の核酸分子を含むように構築され得るrAAVの例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2012/047999号(WO2013/016352)に記載されている。
【0135】
pNLREP2-Caprh74は、血清型rh74由来の4つの野生型AAV2 repタンパク質と3つの野生型AAV VPカプシドタンパク質をコードするAAVヘルパープラスミドである。pNLREP2-Caprh74プラスミドの概略図を、図3に示す。
【0136】
pHELPアデノウイルスヘルパープラスミドは11,635bpで、Applied Viromicsから入手した。このプラスミドには、AAV複製に重要なアデノウイルスゲノムの領域、すなわちE2A、E4ORF6、およびVA RNAが含まれている(アデノウイルスE1機能は293細胞によって提供される)。このプラスミドに存在するアデノウイルス配列は、アデノウイルスゲノムの約40%に過ぎず、アデノウイルスの末端反復配列などの複製に重要なシスエレメントを含んでいない。したがって、このような生産システムから感染性アデノウイルスが生成されることは予想されない。pHELPプラスミドの概略図を図4に示す。
【0137】
rAAVは、当該技術分野で標準的な方法によって、例えば、カラムクロマトグラフィーまたは塩化セシウム勾配によって精製され得る。ヘルパーウイルスからrAAVベクターを精製するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Clark et al.,Hum. Gene Ther.,10(6):1031-1039(1999)、Schenpp and Clark,Methods Mol.Med.,69:427-443(2002)、米国特許第6,566,118号、およびWO98/09657に開示される方法を含む。
【0138】
別の実施形態において、本開示は、本開示のrAAVを含む組成物を企図する。本開示の組成物は、rAAVおよび薬学的に許容される担体を含む。本組成物は、希釈剤およびアジュバント等の他の成分も含み得る。許容される担体、希釈剤、およびアジュバントは、受容者に対して無毒であり、好ましくは、採用される用量および濃度で不活性であり、緩衝液およびプルロニック(登録商標)などの界面活性剤を含む。
【0139】
本開示の方法で投与されるrAAVの力価は、例えば、特定のrAAV、投与モード、治療目標、標的化された個体、および細胞型に応じて異なり、当該技術分野における標準の方法によって決定され得る。rAAVの力価は、1ml当たり約1×10、約1×10、約1×10、約1×10、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013~約1×1014、またはそれ以上のDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい。例示的な開示された用量には、1E11vg、3E12vg、および6E12vgが含まれる。カプセル化されたベクターゲノム力価を決定する1つの例示的な方法は、(Pozsgai et al.,Mol.Ther.25(4):855-869,2017)に記載されている方法などの定量的PCRを使用する。
【0140】
本明細書に開示される方法で投与されるrAAVの用量は、例えば、特定のrAAV、投与方法、治療目標、個体、および標的とされる細胞型(複数可)に応じて変動し、当該技術分野における標準の方法によって決定され得る。投与される各rAAVの力価は、1ml当たり約1×106、約1×10、約1×108、約1×109、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013、約1×1014、または約1×1015以上のDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい(すなわち、それぞれ、1×10vg、1×10vg、1×10vg、1×1010vg、1×1011vg、1×1012vg、1×1013vg、1×1014vg、1×1015)。用量はまた、体重1キログラム(kg)当たりのウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい(すなわち、それぞれ、1x1010vg/kg、1x1011vg/kg、1x1012vg/kg、1x1013vg/kg、1x1014vg/kg、1.25x1014vg/kg、1.5x1014vg/kg、1.75x1014vg/kg、2.0x1014vg/kg、2.25x1014vg/kg、2.5x1014vg/kg、2.75x1014vg/kg、3.0x1014vg/kg、3.25x1014vg/kg、3.5x1014vg/kg、3.75x1014vg/kg、4.0x1014vg/kg、1x1015vg/kg)。AAVを滴定する方法は、Clark et al.,Hum.Gene Ther.,10:1031-1039(1999)に記載されている。
【0141】
rAAVによる形質導入は、インビトロで行うこともできる。一実施形態では、所望の標的筋肉細胞を対象から取り出し、rAAVで形質導入し、対象に再導入する。代替的に、同系または異種の筋肉細胞は、それらの細胞が対象において不適切な免疫応答を生成しない場合に使用され得る。
【0142】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(「DMD」)またはベッカー型筋ジストロフィー(「BMD」)を含む筋ジストロフィーの、マイクロジストロフィンを含むrAAVによる治療
本発明は、マイクロジストロフィンをコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルス関連(rAAV)を投与するステップを含み、さらに免疫抑制レジメンを投与することを含む、それを必要とするヒト対象における筋ジストロフィーを治療する方法を包含する。本発明の様々な実施形態において、方法は、マイクロジストロフィンをコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルス関連(rAAV)を投与することを含み、さらに、例えばプレドニゾンを含む抗炎症ステロイドを投与することを含む。
【0143】
マイクロジストロフィンを含むrAAVで筋ジストロフィーを治療することを対象とし、さらに免疫抑制レジメンまたは抗炎症ステロイドを投与することを含む本発明のすべての実施形態において、本発明の方法で利用できるヌクレオチド配列をコードするrAAVまたはマイクロジストロフィンには、各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる、WO-2020/123645、WO-2019/209777、WO-2019/195362、WO-2016/115543、WO-2019118806、WO-2017/221145に記載されているものが含まれ、SGT-001、zildistrogene varoparvovec、およびPF-06939926が含まれる。
【0144】
肢帯型筋ジストロフィーの治療
肢帯型筋ジストロフィー(「LGMD」)の治療は、本発明の態様である。本明細書に記載の本発明の方法は、そのようなジストロフィーを治療するのに有用なrAAVベクターを用いることによって、肢帯型筋ジストロフィーの治療に利用できることが認識されている。そのようなrAAVベクターには、PCT/US2019/039893(WO2020/09893)にも記載されているAAVrh.74.tMCK.CAPN3(配列番号1)が含まれ、その各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、上記または下記に関わらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。記載された数値範囲には、各範囲内の各整数値が含まれ、記述される整数の最小および最大が含まれる。
【実施例0147】
本発明の態様および実施形態は、以下の実施例によって示される。実施例1では、AAVrh.74.tMCK.CAPN3の産生について記載している。実施例2では、rAAVrh74.tMCK.hCAPN3ベクターの効力を調査する研究について記載している。実施例3では、ランニングから疲労までの試験によって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果について記載している。実施例4では、インビボ筋収縮性アッセイによって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果について記載している。実施例5では、組織病理学的分析によって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果について記載している。実施例6ベクターコピー数分析によって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果。実施例7では、ベクターコピー数分析によって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果について記載している。実施例7では、CAPN3の発現および機能的相関の分析について記載している。実施例8では、GC1αの発現レベルおよび筋肉リモデリングについて記載している。実施例9では、rAAVrh74.tMCK.CAPN3の投与後の毒物学研究について記載している。
【0148】
実施例1
rAAVrh.74.tMCK.CAPN3の産生
切断筋特異的MCKプロモーター(tMCKプロモーター)の下で、tMCKプロモーターの制御下にある24個のエクソンからなるヒトCAPN3 cDNAコード配列を担持するAAVベクター(rAAVrh74.tMCK.CAPN3という名前である)が産生された。図1Aは、tMCKプロモーター、遺伝子発現を増強するイントロン、完全なヒトCAPN3 cDNA、およびSV40ポリアデニル化シグナルを含む遺伝子導入に使用されるカセットの概略図を示す。プラスミドpAAV.tMCK.hCAPN3ベクターの円形マップを図11Aに示し、プラスミドの線形マップを図11Bに示す。
【0149】
pAAV.tMCK.hCAPN3ベクターのヌクレオチド配列は、配列番号13または配列番号20として提供される。表Aは、プラスミドpAAV.tMCK.hCAPN3の分子的特徴を示す。
【表2】
【0150】
tMCK(三重筋クレアチンキナーゼエンハンサー)プロモーターおよびカナマイシン耐性配列を備えた一本鎖(ss)AAV発現カセットを設計した。遺伝子断片(Eurofins Genomics、USA)からtMCKプロモーターの下流へのヒトCAPN3オープンリーディングフレームには、キメライントロンおよびKOZAK配列が続く。最終的なカセットは、AAV産生に送られる前に、配列決定された。rh74血清型のAAV-hCAPN3ベクターが産生され、精製され、そして力価決定された。例えば、力価は、定量化対照としてスーパーコイルプラスミドを使用することによって決定することができ、等分されたベクターは、使用するまで-80℃に保たれた。
【0151】
産生は、HEK293細胞を使用した標準的な3プラスミドDNA/CaPO4沈殿法を使用して達成された。293細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)およびペニシリンおよびストレプトマイシンを補充したDMEM中で維持された。分割したウイルスは、使用するまで-80℃で保存された。
【0152】
実施例2
rAAVrh74.tMCK.hCAPN3ベクター効力
rAAVrh74.tMCK.hCAPN3のインビボ生体力試験は、遺伝子送達後4週間でCAPN3KOマウス(n=3)の前脛骨筋にAAVrh74.tMCK.hCAPN3(1x1011vg)を注射した後に、最初にIMルートを使用して実施した。RT-qPCRおよびウエスタンブロット分析は、ヒトCAPN3転写物および94kDaの完全長CAPN3タンパク質(図1B)を示し、CAPN3の産生が達成されたことを示している。さらに、組織学的分析は、CAPN3置換が、対照(リンガー乳酸塩注射)筋と比較して、前脛骨筋の筋線維径を増加させることを示した(図1C)。
【0153】
次のステップとして、CAPN3KOマウスの尾静脈を介した低用量および高用量(LD、3x1012vg、n=4、およびHD、6x1012vg、n=3)および両方のコホートで注射後4週間で生体内分布および短期治療効果データを生成した。全身送達後のCAPN3KO筋におけるhCAPN3発現は、異なる筋肉間で変動し、特にLDコホートでは、1x1011vgでのIM送達と比較して、有意に低かった(前脛骨筋についてのIM送達の<1%)。したがって、全長94kDaのタンパク質は、ウエスタンブロットによる検出限界を下回った(図1B)。ただし、HDコホートでの6x1012vgの全身投与後に、ロバストな遺伝子発現および顕著な量の完全長カルパイン3タンパク質が示され、AAVrh74.tMCK.hCAPN3送達後の用量依存的応答が示唆された(図1B)。生物学的力価実験で使用されたCAPN3KOマウスの数は少なかったが、これらのマウスから追加のデータを得られ、短期間の機能的または組織学的有効性を検出できるかどうかを評価した。これらのパラメーターの改善は、乳酸リンゲル液を注射された(n=3)対応物と比較して、遺伝子注射後4週間で3x1012vgか、または6x1012vgのベクターを全身的に受けたCAPN3KOマウスの両方のコホートで観察された(図1DおよびE)。ランニングから疲労までの試験においては、両方の治療コホートは、未治療コホートと比較して有意に改善され、用量に関連した性能の違いはなかった。これに伴い、筋線維直径は、両方のコホートでノーマライゼーションに向けて増加したが、この場合も用量に関連した違いはなかった(表S1)。
【表3】
【0154】
さらに、いずれかのコホートで4週間でのAAVrh7.4.tMCK.hCAPN3ベクターの全身注射後に、心毒性の組織病理学的証拠は観察されなかった。心尖を通る2つのレベルの切片(心室からの表層切片および深層切片)の顕微鏡検査は、心筋に炎症、壊死、再生、または線維性変化がないことを明らかにし、これら2つの用量でのベクターの全身送達による短期間の心毒性効果がないことを示している(図2A)。心組織で検出可能なCAPN3タンパク質バンドは、どちらのコホートでもウエスタンブロットでは観察されなかった(図2B)。
【0155】
実施例3
ランニングから疲労までの試験によって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果
機能的、インビボ筋肉生理学および組織学的転帰を使用して、CAPN3KOマウスの若齢および老齢グループにおける同じ低用量および高用量での全身AAVrh74.tMCK.hCAPN3遺伝子治療の長期有効性を調査するための研究が実施された。これらの研究では、AAVrh74.tMCK.CAPN3が、6~10週齢および21~24週齢のCAPN3KOマウスの2つの異なる年齢群に全身投与された。各群には、ベクターのLD(3x1012vg)およびHD(6x1012vg)を投与された2つの治療コホートと、年齢を一致させた未治療(UT)の対照CAPN3KOマウスが含まれていた。治療効果は、機能的(トレッドミルのランニングから疲労までの試験)、生理学的(インビボ心収縮アッセイ)、および組織病理学的転帰を使用して、遺伝子送達20週間後に試験された。表2Sは、各年齢群の実験コホートをまとめたものである。
【表4】
【0156】
ランニングから疲労までのトレッドミル試験を使用して、CAPN3遺伝子治療の機能的有効性を評価した。若齢群および高齢群の両方の用量で、遺伝子治療は遺伝子送達後20週間でトレッドミルのパフォーマンスを改善し、年齢を一致させたUT-CAPN3KOコホートと比較して、走行距離と倦怠感までの時間を大幅に増加させました。高齢群では、CAPN3遺伝子治療により、UTコホート(UT対両方の治療コホートについて、76.2±6.2m、n=14;p≦0.0001、図3A)と比較して、LDでのランニングから疲労までの距離が119%増加し(167.2±14.1m、n=12)、HDでのランニングから疲労までの距離が142%増加した(184.5±19.2m、n=12)。同様に、若齢群では、トレッドミルのデータは、UTコホート(UT対両方の治療コホートについて、93.9±6.0m、n=12;p≦0.001、図3B)と比較して、LDで72%の性能の増加(156.7±14.0m、n=12)、HDでのランニングから疲労までの距離における88%の増加(171.4±9.6m、n=12)を示した。若齢群のUTコホートは、統計的有意性に達することなく、老齢群のUTの対応物よりも良好な性能を示した。トレッドミルの性能は、治療されたコホート間で有意差はなく、LDでのAAVrh74.tMCK.CAPN3ベクターが、HDコホートに匹敵する機能改善をもたらすのに十分であることを示唆している。一方、HDでの雄(n=7)の性能および雌(n=5)の性能を比較すると、雌の性能は大幅に良好になった(p=0.006、図3C)が、若齢群では、性別の違いはトレッドミルの性能に影響しなかった。(図3D)。まとめると、これらの結果は、ベクター投与時の年齢およびベクター用量がこのモデルにおけるトレッドミルの性能に影響を与えなかったことを示している。
【0157】
実施例4
インビボ筋収縮アッセイによって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果
インビボ筋収縮アッセイを使用して、CAPN3遺伝子治療に応答した筋生理学を評価した。このアッセイによって、脛骨神経を刺激して足首関節周辺の腓腹筋トルクを達成することによって生成される総トルクが測定される。
【0158】
CAPN3KOマウスの老齢群では、未治療の雄で、高齢のCAPN3KO表現型の一部としてさまざまな程度の踵索拘縮が観察され、ヒトの男性と女性との間の表現型の違いが再現された(Fanin et al.,Clin.Neuropathology 33:179-801,2014)。拘縮は、エンドポイントでのLD治療コホートの雄(4/6マウス)でも観察されたが、HDコホートの雄は遺伝子治療で救助された。この変動性を考慮して、HDとLDを組み合わせた治療コホート(n=23)をUTコホート(n=28)と比較して、インビボ心収縮データを分析した。治療されたマウスは、最大の攣縮反応および強縮反応の両方に対してより高い力を示した。未治療群(攣縮、1.92±0.1mN・m;強縮、9.44±0.4mN・m、図4AおよびB)と比較して、治療群の最大攣縮反応(2.43±0.1mN・m)は27%の増加(p=0.00101)を示し、最大強縮反応(10.58±0.3mN・m)は12%(p=0.047)改善した。
【0159】
まず第一に穏やかな表現型を示したCAPN3KOマウスの若い群(図3AおよびBの若齢群および老齢群のUTコホートのトレッドミル性能を参照されたい)では、心収縮の経時変化が、ベースライン測定値を治療後20週間のエンドポイントと比較することによって評価された。攣縮反応および強縮反応の変化の割合を各マウスについて計算した。治療により、最大攣縮反応の平均割合増加は、併用治療群(n=23)で5%であったが、未治療群では平均9%の減少が発生した(n=13、p=0.20、図4C)。治療されたマウス(n=22)では最大強縮反応の平均割合が8%増加したことが観察され、一方、未治療群(n=13)では9%減少した(p=0.002、図4D)。
【0160】
実施例5
組織病理学的分析によって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果
筋線維のサイズおよび線維タイプの組成に対するCAPN3KOマウスにおけるCAPN3遺伝子療法の効果は、高ミトコンドリア含有量の繊維、すなわち疲労耐性性の遅攣縮酸化的(STO)線維またはタイプ1線維、中程度の染色強度の速攣縮酸化的(FTO)線維および最も軽い染色強度の速攣縮糖分解性(FTG)繊維を描写するコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)染色を使用して、遠位四肢筋および近位四肢筋(腓腹筋、前脛骨筋、および大腿四頭筋)ならびに上肢からの三頭筋における遺伝子注射後20週間で定量化された(図5A)。繊維サイズの測定は、老年期の前脛骨筋に示されているように、筋肉の3つのゾーン(ゾーン1、2、および3として指定される深部、中間部、および表層部)からの代表的な画像上で行われた(図5Bおよび5C、表S3)。WTと比較して、すべての繊維タイプの筋肉量および筋繊維サイズはUT-Capn3ヌル筋肉で小さく、以前の報告(Kramerova et al.Hum.Mol.Genet.13:1373-1388,2004;Yalvac et al.Skeletal Muscles 7:27,2017)を裏付けている(表S4-S13を参照されたい)。KOマウスでのCAPN3遺伝子治療により、UTコホートと比較して、LDコホートおよびHDコホートの両方ですべての繊維タイプで有意な繊維サイズの増加がもたらされた(表S3)。全体として、CAPN3KOマウスの両方の老齢群および若齢群の他の筋肉で、線維サイズの増加が観察された(表S4~13)。
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】
【0161】
雌と雄のデータのさらなる分析により、トレッドミル試験の改善が、筋肉のリモデリング、繊維サイズの増加に伴う雌の耐疲労性酸化繊維への切り替え、および雄におけるSTO繊維で最も顕著であった繊維直径の有意な増加と相関していたことが示差された。未処理のコホートと比較した、治療されたコホートで観察されたSTO、FTO、およびFTGの繊維サイズと繊維タイプの分布の変化(全体のパーセントとして)を図6に示した。表S3-14に、年齢を一致させたWTのデータを用いた繊維タイプの直径(平均±Pμm;各マウスで個別に行われた測定値の平均から導出)および繊維タイプの分布(各マウスのパーセント分布から導出)を詳細を示す。まとめると、遺伝子送達後20週間でのCAPN3KOマウスの骨格筋の組織学的分析は、筋肉のリモデリングによるCAPN3置換の効果、繊維サイズの増加に伴う若齢群および老齢群の両方での酸化的繊維への全体的な切り替えを反映していした。
【0162】
実施例6
ベクトルコピー数分析によって決定されたrAAVrh74.tMCK.hCAPN3の長期治療効果
CAPN3遺伝子導入の有効性分析の一環として、組織間のベクターの生体内分布を、筋肉(前脛骨筋、腓腹筋、四頭筋、三頭筋)のベクターゲノムコピーならびに治療後20週間のCAPN3KOマウスの老齢グループのLDおよびHDコホートから収集された内臓を分析することによって評価した。
【0163】
CAPN3KOマウスにおけるAAVrh74.tMCK.CAPN3は、広い向性があり、骨格筋を効率的に標的にしていた。全身ベクター送達後に予想されるように、最高のベクターゲノムコピー数が肝臓に存在した(図7A)。ベクターゲノムの分布は、臓器および筋肉で用量依存的に変動した。HD送達により、LDと比較して、骨格筋ベクターゲノムレベルが59.6%増加した(p<0.0001)(図7B)。興味深いことに、さらなるデータの分析により、雌は、雄のマウスと比較して、すべての治療にわたって骨格筋ベクターゲノムレベルが48.7%増加し(p=0.0001)(図7C)、性別がCapn3ヌルバックグラウンドでの形質導入効率に影響を与える可能性があることを示唆している。
【0164】
実施例7
CAPN3の発現および機能的相関の分析
hCAPN3の組織発現は、AAVrh74.tMCK.CAPN3ベクター送達20週間後にUT、LD、またはHDで治療されたCAPN3KOコホートから収集された骨格筋および心筋サンプル、ならびに年齢を一致させたWTマウスからの筋肉において、mRNAおよびタンパク質レベルで実施された。qPCRを使用すると、CAPN3KOモデルの後肢および前肢(前脛骨筋、腓腹筋、四頭筋、三頭筋)の4つの代表的な筋肉および心臓でCAPN3mRNAの持続的な発現が観察された。CAPN3mRNAレベルは、用量依存的に筋肉/動物間で変動した。HDベクターを受け取った両方の若齢群および老齢群の骨格筋は、両方の年齢群のLDコホートと比較して、より高いCAPN3mRNAレベル(若齢群の違い:14.4%、p=0.001;老齢群の違い:11.0%、p<0.001)グループ(図8AおよびB)を示した。動物の治療年齢に関連する骨格筋CAPN3mRNA発現には有意差はなかった(平均差<2%、p=0.72、対応のないt検定)。
【0165】
ウエスタンブロット分析は、より老齢の群から見た、HD治療マウスの四頭筋および腓腹筋における全長94kDaCAPN3タンパク質の測定可能量を示した(図8C)。これらの2つの筋肉において、CAPN3の発現レベルが最も高かった。タンパク質レベルはまた、筋肉/動物間で変動し、mRNAレベルと直接相関していなかった。LDコホートにおいては、全長94kDaタンパク質は、mRNA発現が最も高い腓腹筋サンプルを除いてすべて検出限界を下回り、Capn3ヌルバックグラウンドの筋肉で94kDaCAPN3タンパク質バンドを検出するためのmRNAレベルのしきい値を示唆している。
【0166】
次の分析では、CAPN3mRNAレベルがトレッドミルパフォーマンスの機能改善と相関しているかどうかを判定した。この分析では、各動物についての総mRNAパーセント値が、腓腹筋、前脛骨筋、四頭筋、および三頭筋の相対的なCAPN3mRNAレベルの合計から導出されて計算された。トレッドミルランニング中に4つの筋肉すべてが発揮されるため、mRNAの合計パーセント値が機能的な性能指標として役立つ可能性があると考えられた。老齢群では、すべての4つの筋肉からの合計mRNAレベルは、LDコホート(R2=0.5192、p=0.0082)においては疲労感試験と相関していたが、HDコホートにおいては、mRNAレベルとランニングから疲労への試験性能との間に相関は見られなかった(図9A)。LDコホートにおいて高い性能を示したマウスは、HDの最高のパフォーマーと重複しており、しきい値を超えるmRNAレベルでは性能がさらに改善されない可能性があることが示唆されている。これらの結果は、性能を改善するために必要なmRNAしきい値効果を支持している。最高のトレッドミル性能のためのmRNAレベルのウィンドウの発生は、雌に有利な性差の影響を示した(図9B)。トレッドミル性能と老齢群において観察されたmRNAレベルとの相関関係は、若齢では明らかではなく。これは、性別および年齢に関連する分子の変化が、疾病の症状の重症度および治療効果に影響を与える可能性があることを示唆している。
【0167】
実施例8
PGC1αの発現レベルおよび筋肉のリモデリング
これまでのところ、本明細書に提示されたデータにより、CAPN3遺伝子治療がFTGからSTO疲労耐性繊維タイプへの繊維タイプの切り替えをもたらし、雌に有利なランニングから疲労への耐久性能における改善に関連していることが示された。これらの観察は、ミトコンドリア生合成と呼吸の重要な転写コアクチベーターである、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベーター1アルファ(PGC1α)の発現レベルにおいて性依存性変化があるかどうかを調査する更なる研究を促している(Handschin et al.,Endocrine reviews 27:728-735,2002)。以前の研究では、PGC1αが耐疲労性のSTO筋線維の形成を促進することが示されている(Lin et al.、Nature 418:797-801,2002)。さらに、PGC-1αは、オーファン核内受容体エストロゲン関連受容体アルファ(ERRα)の発現および活性を調節する(Schreiber et al.,J.Biol.Chem.278:9013-9018,2003)。現在、PGC1αレベルが、WT筋肉と比較して、再生プロセス中にCAPN3KOマウスで減少したことが以前に示されている(Yalvac et al.,Skeletal muscle 7:27,2017)。本研究において、CAPN3KOの老齢群および若齢群ならびに年齢を一致させたWTマウスのHDおよびLD治療コホートの筋肉におけるCAPN3遺伝子治療に応答したPGC1αの発現レベルが分析された。
【表16】
【0168】
WT対照の2つの異なる年齢の腓腹筋を比較すると、PGC1αの相対的発現レベルの増加が10か月齢で観察され、性差がないことを示す4~6ヶ月齢のWTマウスのサンプルと比較して、雄は雌よりも有意に高いPGC1α発現を示した(図10AおよびB)。対照的に、PGC1α発現は両方の性の10ヶ月齢のUT-CAPN3KOマウスで有意に低く、Capn3ヌル筋がこの増加を示さず、おそらくこの年齢でWTにおいて加齢に伴う代償性変化が起こったことを示唆している(図10AおよびB)。両方のLDコホートおよびHDコホートにおける遺伝子治療は、UTコホートと比較して、PGC1α転写物を有意に増加させた(図10A)。PGC1α転写産物の増加は、正常化に向けて両方の性で見られたが(図10B)、STOへの線維タイプの切り替えは、両方の治療コホートの雌でのみ発生した(図6図10C))。
【0169】
次に、PGC1α発現の変化がAAV.CAPN3遺伝子治療に応答して後部および前部のコンパートメント筋間で変化するかどうかを決定するための研究が実施された。前脛骨筋では、HDを除き、WTと比較して、PGC1α転写物の増加があった以外は、両性合わせて、WT、LD、およびUTコホート間のPGC1α発現において統計的に有意な変化はなかった(図10D)。WTの腓腹筋とは対照的に、PGC1α相対的発現10ヶ月齢のWTからの前脛骨筋では、約50%低く、性差は見られなかった(図10DおよびE)。UT-CAPN3KOの雌は、WTの雄よりもより有意に高いPGC1α転写産物を示した(図10E)。興味深いことに、UT-腓腹筋においてはPGC1αの発現に性差はなかったが、雌と比較して、雄のUT-前脛骨筋で有意なレベルの増加が見られた。LD治療コホートの雄は、雌よりもより高いPGC1αの発現を有するUTコホートと同様のパターンを示した。未処理のCAPN3KO雌と比較して、PGC1α転写物が2.36倍増加した雌を支持する、HDコホートにおけるこのパターンの逆転が観察された。腓腹筋(伸筋)のように、前脛骨筋(屈筋)では、両方のHDコホートおよびLDコホートにおけるSTOへの切り替え(%増加として)は、雌でのみ観察されており(図10F)、これは、LDの雄が雌よりもより高いPGC1α発現を示して(図10E)いるにもかかわらずである。若齢のCAPN3KOマウスからのこれらの筋肉のPGC1α転写物は、LDの雄が同じ群の雌およびUTコホートの雄よりも有意により高いPGC1α発現を示したことを除いて、互いに異ならなかった(データは示されていない)。全体として、これらの結果は、FTGをSTO線維タイプに変換することによってより効率的な、雌におけるPGC1aの筋肉の増加に対して反応していることを示唆している。または、他の可能性は、PGC1aの筋肉の増加に対する雄の反応が雌と同じではないということである。
【0170】
実施例9
毒物学研究
GLPのような実験は、ベクターの生体内分布、キャプシド免疫原性、血液学、血清化学、および複数の臓器組織の病理学的レビューを含む試験品の安全性を評価するために実施された。生体内分布分析では、ベクターがグローバルに配置されていることが示されたが、タンパク質の検出は標的の骨格筋に限定されており、具体的には、全長94kDaのCAPN3タンパク質は、肝臓、腎臓、または心臓組織(すべてのHDおよびLDの老齢群からの)の試験されたウエスタンブロット分析で検出限界を下回り、これらの組織において高いベクターゲノム負荷およびmRNAレベルが観察された(図2C)。重要なことに、いずれの治療用量でも、20週間の試験期間を通じて、毒性の有害な臨床的兆候は観察されなかった。未治療のCAPN3KO対照と比較して、治療群では、肉眼的異常は認められず、動物または臓器の重量の差は観察されなかった。心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓、性腺、横隔膜、胃、膵臓、脳、鼠径リンパ節、および第三者(Vet Path Services、Inc.)による組織病理学的観察のために除去された骨格筋の顕微鏡評価では、20週間の研究エンドポイントでの未治療群と治療群の間での治療に関連する顕微鏡的差異はないと報告された(図示せず)。さらに、血液学および血清化学は異常な変化を示されず、rAAVrh74.tMCK.CAPN3遺伝子治療の可能性がLGMD2Aのための全体的に安全で効果的な治療であることが示唆されている。
配列
ホモサピエンスカルパイン3(CAPN3)、転写変異体1、mRNA
NCBI参照配列:NM_000070.2(配列番号2)
>NM_000070.2:307-2772 Homo sapiens calpain 3(CAPN3)、転写変異体1、mRNA
ATGCCGACCGTCATTAGCGCATCTGTGGCTCCAAGGACAGCGGCTGAGCCCCGGTCCCCAGGGCCAGTTCCTCACCCGGCCCAGAGCAAGGCCACTGAGGCTGGGGGTGGAAACCCAAGTGGCATCTATTCAGCCATCATCAGCCGCAATTTTCCTATTATCGGAGTGAAAGAGAAGACATTCGAGCAACTTCACAAGAAATGTCTAGAAAAGAAAGTTCTTTATGTGGACCCTGAGTTCCCACCGGATGAGACCTCTCTCTTTTATAGCCAGAAGTTCCCCATCCAGTTCGTCTGGAAGAGACCTCCGGAAATTTGCGAGAATCCCCGATTTATCATTGATGGAGCCAACAGAACTGACATCTGTCAAGGAGAGCTAGGGGACTGCTGGTTTCTCGCAGCCATTGCCTGCCTGACCCTGAACCAGCACCTTCTTTTCCGAGTCATACCCCATGATCAAAGTTTCATCGAAAACTACGCAGGGATCTTCCACTTCCAGTTCTGGCGCTATGGAGAGTGGGTGGACGTGGTTATAGATGACTGCCTGCCAACGTACAACAATCAACTGGTTTTCACCAAGTCCAACCACCGCAATGAGTTCTGGAGTGCTCTGCTGGAGAAGGCTTATGCTAAGCTCCATGGTTCCTACGAAGCTCTGAAAGGTGGGAACACCACAGAGGCCATGGAGGACTTCACAGGAGGGGTGGCAGAGTTTTTTGAGATCAGGGATGCTCCTAGTGACATGTACAAGATCATGAAGAAAGCCATCGAGAGAGGCTCCCTCATGGGCTGCTCCATTGATGATGGCACGAACATGACCTATGGAACCTCTCCTTCTGGTCTGAACATGGGGGAGTTGATTGCACGGATGGTAAGGAATATGGATAACTCACTGCTCCAGGACTCAGACCTCGACCCCAGAGGCTCAGATGAAAGACCGACCCGGACAATCATTCCGGTTCAGTATGAGACAAGAATGGCCTGCGGGCTGGTCAGAGGTCACGCCTACTCTGTCACGGGGCTGGATGAGGTCCCGTTCAAAGGTGAGAAAGTGAAGCTGGTGCGGCTGCGGAATCCGTGGGGCCAGGTGGAGTGGAACGGTTCTTGGAGTGATAGATGGAAGGACTGGAGCTTTGTGGACAAAGATGAGAAGGCCCGTCTGCAGCACCAGGTCACTGAGGATGGAGAGTTCTGGATGTCCTATGAGGATTTCATCTACCATTTCACAAAGTTGGAGATCTGCAACCTCACGGCCGATGCTCTGCAGTCTGACAAGCTTCAGACCTGGACAGTGTCTGTGAACGAGGGCCGCTGGGTACGGGGTTGCTCTGCCGGAGGCTGCCGCAACTTCCCAGATACTTTCTGGACCAACCCTCAGTACCGTCTGAAGCTCCTGGAGGAGGACGATGACCCTGATGACTCGGAGGTGATTTGCAGCTTCCTGGTGGCCCTGATGCAGAAGAACCGGCGGAAGGACCGGAAGCTAGGGGCCAGTCTCTTCACCATTGGCTTCGCCATCTACGAGGTTCCCAAAGAGATGCACGGGAACAAGCAGCACCTGCAGAAGGACTTCTTCCTGTACAACGCCTCCAAGGCCAGGAGCAAAACCTACATCAACATGCGGGAGGTGTCCCAGCGCTTCCGCCTGCCTCCCAGCGAGTACGTCATCGTGCCCTCCACCTACGAGCCCCACCAGGAGGGGGAATTCATCCTCCGGGTCTTCTCTGAAAAGAGGAACCTCTCTGAGGAAGTTGAAAATACCATCTCCGTGGATCGGCCAGTGAAAAAGAAAAAAACCAAGCCCATCATCTTCGTTTCGGACAGAGCAAACAGCAACAAGGAGCTGGGTGTGGACCAGGAGTCAGAGGAGGGCAAAGGCAAAACAAGCCCTGATAAGCAAAAGCAGTCCCCACAGCCACAGCCTGGCAGCTCTGATCAGGAAAGTGAGGAACAGCAACAATTCCGGAACATTTTCAAGCAGATAGCAGGAGATGACATGGAGATCTGTGCAGATGAGCTCAAGAAGGTCCTTAACACAGTCGTGAACAAACACAAGGACCTGAAGACACACGGGTTCACACTGGAGTCCTGCCGTAGCATGATTGCGCTCATGGATACAGATGGCTCTGGAAAGCTCAACCTGCAGGAGTTCCACCACCTCTGGAACAAGATTAAGGCCTGGCAGAAAATTTTCAAACACTATGACACAGACCAGTCCGGCACCATCAACAGCTACGAGATGCGAAATGCAGTCAACGACGCAGGATTCCACCTCAACAACCAGCTCTATGACATCATTACCATGCGGTACGCAGACAAACACATGAACATCGACTTTGACAGTTTCATCTGCTGCTTCGTTAGGCTGGAGGGCATGTTCAGAGCTTTTCATGCATTTGACAAGGATGGAGATGGTATCATCAAGCTCAACGTTCTGGAGTGGCTGCAGCTCACCATGTATGCCTGA
5`ITR(配列番号6)
【化1】

(nt.1..128または配列番号13または配列番号20)
tMCKプロモーター(配列番号3)
CCACTACGGGTCTAGGCTGCCCATGTAAGGAGGCAAGGCCTGGGGACACCCGAGATGCCTGGTTATAATTAACCCCAACACCTGCTGCCCCCCCCCCCCCAACACCTGCTGCCTGAGCCTGAGCGGTTACCCCACCCCGGTGCCTGGGTCTTAGGCTCTGTACACCATGGAGGAGAAGCTCGCTCTAAAAATAACCCTGTCCCTGGTGGATCCACTACGGGTCTAGGCTGCCCATGTAAGGAGGCAAGGCCTGGGGACACCCGAGATGCCTGGTTATAATTAACCCCAACACCTGCTGCCCCCCCCCCCCCAACACCTGCTGCCTGAGCCTGAGCGGTTACCCCACCCCGGTGCCTGGGTCTTAGGCTCTGTACACCATGGAGGAGAAGCTCGCTCTAAAAATAACCCTGTCCCTGGTGGATCCACTACGGGTCTAGGCTGCCCATGTAAGGAGGCAAGGCCTGGGGACACCCGAGATGCCTGGTTATAATTAACCCCAACACCTGCTGCCCCCCCCCCCCCAACACCTGCTGCCTGAGCCTGAGCGGTTACCCCACCCCGGTGCCTGGGTCTTAGGCTCTGTACACCATGGAGGAGAAGCTCGCTCTAAAAATAACCCTGTCCCTGGTGGATCCTCCCTGGGGACAGCCCCTCCTGGCTAGTCACACCCTGTAGGCTCCTCTATATAACCCAGGGGCACAGGGGCTGCCCCCGGGTCAC(配列番号13または配列番号20のnt165~884)
キメライントロン(配列番号7)
Ctgtggagagaaaggcaaagtggatgtcagtaagaccaataggtgcctatcagaaacgcaagagtcttctctgtctcgacaagcccagtttctattggtctccttaaacctgtcttgtaaccttgatacttac(配列番号13または配列番号20のnt937~1069)
コザック配列(配列番号8)
GCCACC(配列番号13または配列番号20のnt1101~1106)
WT hCAPN3(配列番号2)
ATGCCGACCGTCATTAGCGCATCTGTGGCTCCAAGGACAGCGGCTGAGCCCCGGTCCCCAGGGCCAGTTCCTCACCCGGCCCAGAGCAAGGCCACTGAGGCTGGGGGTGGAAACCCAAGTGGCATCTATTCAGCCATCATCAGCCGCAATTTTCCTATTATCGGAGTGAAAGAGAAGACATTCGAGCAACTTCACAAGAAATGTCTAGAAAAGAAAGTTCTTTATGTGGACCCTGAGTTCCCACCGGATGAGACCTCTCTCTTTTATAGCCAGAAGTTCCCCATCCAGTTCGTCTGGAAGAGACCTCCGGAAATTTGCGAGAATCCCCGATTTATCATTGATGGAGCCAACAGAACTGACATCTGTCAAGGAGAGCTAGGGGACTGCTGGTTTCTCGCAGCCATTGCCTGCCTGACCCTGAACCAGCACCTTCTTTTCCGAGTCATACCCCATGATCAAAGTTTCATCGAAAACTACGCAGGGATCTTCCACTTCCAGTTCTGGCGCTATGGAGAGTGGGTGGACGTGGTTATAGATGACTGCCTGCCAACGTACAACAATCAACTGGTTTTCACCAAGTCCAACCACCGCAATGAGTTCTGGAGTGCTCTGCTGGAGAAGGCTTATGCTAAGCTCCATGGTTCCTACGAAGCTCTGAAAGGTGGGAACACCACAGAGGCCATGGAGGACTTCACAGGAGGGGTGGCAGAGTTTTTTGAGATCAGGGATGCTCCTAGTGACATGTACAAGATCATGAAGAAAGCCATCGAGAGAGGCTCCCTCATGGGCTGCTCCATTGATGATGGCACGAACATGACCTATGGAACCTCTCCTTCTGGTCTGAACATGGGGGAGTTGATTGCACGGATGGTAAGGAATATGGATAACTCACTGCTCCAGGACTCAGACCTCGACCCCAGAGGCTCAGATGAAAGACCGACCCGGACAATCATTCCGGTTCAGTATGAGACAAGAATGGCCTGCGGGCTGGTCAGAGGTCACGCCTACTCTGTCACGGGGCTGGATGAGGTCCCGTTCAAAGGTGAGAAAGTGAAGCTGGTGCGGCTGCGGAATCCGTGGGGCCAGGTGGAGTGGAACGGTTCTTGGAGTGATAGATGGAAGGACTGGAGCTTTGTGGACAAAGATGAGAAGGCCCGTCTGCAGCACCAGGTCACTGAGGATGGAGAGTTCTGGATGTCCTATGAGGATTTCATCTACCATTTCACAAAGTTGGAGATCTGCAACCTCACGGCCGATGCTCTGCAGTCTGACAAGCTTCAGACCTGGACAGTGTCTGTGAACGAGGGCCGCTGGGTACGGGGTTGCTCTGCCGGAGGCTGCCGCAACTTCCCAGATACTTTCTGGACCAACCCTCAGTACCGTCTGAAGCTCCTGGAGGAGGACGATGACCCTGATGACTCGGAGGTGATTTGCAGCTTCCTGGTGGCCCTGATGCAGAAGAACCGGCGGAAGGACCGGAAGCTAGGGGCCAGTCTCTTCACCATTGGCTTCGCCATCTACGAGGTTCCCAAAGAGATGCACGGGAACAAGCAGCACCTGCAGAAGGACTTCTTCCTGTACAACGCCTCCAAGGCCAGGAGCAAAACCTACATCAACATGCGGGAGGTGTCCCAGCGCTTCCGCCTGCCTCCCAGCGAGTACGTCATCGTGCCCTCCACCTACGAGCCCCACCAGGAGGGGGAATTCATCCTCCGGGTCTTCTCTGAAAAGAGGAACCTCTCTGAGGAAGTTGAAAATACCATCTCCGTGGATCGGCCAGTGAAAAAGAAAAAAACCAAGCCCATCATCTTCGTTTCGGACAGAGCAAACAGCAACAAGGAGCTGGGTGTGGACCAGGAGTCAGAGGAGGGCAAAGGCAAAACAAGCCCTGATAAGCAAAAGCAGTCCCCACAGCCACAGCCTGGCAGCTCTGATCAGGAAAGTGAGGAACAGCAACAATTCCGGAACATTTTCAAGCAGATAGCAGGAGATGACATGGAGATCTGTGCAGATGAGCTCAAGAAGGTCCTTAACACAGTCGTGAACAAACACAAGGACCTGAAGACACACGGGTTCACACTGGAGTCCTGCCGTAGCATGATTGCGCTCATGGATACAGATGGCTCTGGAAAGCTCAACCTGCAGGAGTTCCACCACCTCTGGAACAAGATTAAGGCCTGGCAGAAAATTTTCAAACACTATGACACAGACCAGTCCGGCACCATCAACAGCTACGAGATGCGAAATGCAGTCAACGACGCAGGATTCCACCTCAACAACCAGCTCTATGACATCATTACCATGCGGTACGCAGACAAACACATGAACATCGACTTTGACAGTTTCATCTGCTGCTTCGTTAGGCTGGAGGGCATGTTCAGAGCTTTTCATGCATTTGACAAGGATGGAGATGGTATCATCAAGCTCAACGTTCTGGAGTGGCTGCAGCTCACCATGTATGCCTGA
(配列番号13または配列番号20のnt.1107~3572)
ポリA配列(配列番号9)
GGGGATCCAGACATGATAAGATACATTGATGAGTTTGGACAAACCACAACTAGAATGCAGTGAAAAAAATGCTTTATTTGTAAAATTTGTGATGCTATTGCTTTATTTGTAACCATTATAAGCTGCAATAAACAAGTTAACAACAACAATTGCATTCATTTTATGTTTCAGGTTCAGGGGGAGGTGTGGGAGGTTTTTTC
3`ITR配列(配列番号10)
AGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGC(配列番号13または配列番号20のnt.3850~3977)
ORI配列(配列番号11)
TTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGGACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAA(配列番号13または配列番号20のnt.4216~4804)
NeoR/KanR配列(配列番号12)
ATGATTGAACAAGATGGATTGCACGCAGGTTCTCCGGCCGCTTGGGTGGAGAGGCTATTCGGCTATGACTGGGCACAACAGACAATCGGCTGCTCTGATGCCGCCGTGTTCCGGCTGTCAGCGCAGGGGCGCCCGGTTCTTTTTGTCAAGACCGACCTGTCCGGTGCCCTGAATGAACTGCAGGACGAGGCAGCGCGGCTATCGTGGCTGGCCACGACGGGCGTTCCTTGCGCAGCTGTGCTCGACGTTGTCACTGAAGCGGGAAGGGACTGGCTGCTATTGGGCGAAGTGCCGGGGCAGGATCTCCTGTCATCCCACCTTGCTCCTGCCGAGAAAGTATCCATCATGGCTGATGCAATGCGGCGGCTGCATACGCTTGATCCGGCTACCTGCCCATTCGACCACCAAGCGAAACATCGCATCGAGCGAGCACGTACTCGGATGGAAGCCGGTCTTGTCGATCAGGATGATCTGGACGAAGAGCATCAGGGGCTCGCGCCAGCCGAACTGTTCGCCAGGCTCAAGGCGCGCATGCCCGACGGCGAGGATCTCGTCGTGACCCATGGCGATGCCTGCTTGCCGAATATCATGGTGGAAAATGGCCGCTTTTCTGGATTCATCGACTGTGGCCGGCTGGGTGTGGCGGACCGCTATCAGGACATAGCGTTGGCTACCCGTGATATTGCTGAAGAGCTTGGCGGCGAATGGGCTGACCGCTTCCTCGTGCTTTACGGTATCGCCGCTCCCGATTCGCAGCGCATCGCCTTCTATCGCCTTCTTGACGAGTTCTTCTGA(配列番号13または配列番号20のnt.5106~5900)
pAAV.tMCK.CAPN3プラスミド全配列(配列番号13)
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【0171】
本開示は特定の実施形態を提供するが、当業者には、変形および修正が発生するであろうことが理解される。したがって、請求項に見られるそのような制限のみが、本発明に課せられるべきである。
【0172】
本出願で参照されるすべての文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
【配列表】
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【外国語明細書】