(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185602
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/08 20120101AFI20221208BHJP
B24B 49/16 20060101ALI20221208BHJP
B24B 41/047 20060101ALI20221208BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B24B37/08
B24B49/16
B24B41/047
H01L21/304 622S
H01L21/304 621A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093323
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】509051026
【氏名又は名称】株式会社ポラテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 穣一
(72)【発明者】
【氏名】小関 忠雄
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB25
3C034BB92
3C034CA16
3C034CB11
3C158AC02
3C158BA05
3C158BB02
3C158BC02
3C158BC05
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA17
3C158EA01
5F057AA12
5F057AA19
5F057BA11
5F057BB11
5F057CA19
5F057DA02
5F057GA02
5F057GA12
5F057GA13
5F057GA16
5F057GA27
5F057GB04
5F057GB11
(57)【要約】
【課題】被研磨物の研磨中における被研磨物の研磨量(被研磨物の厚さ)を正確に検出可能な研磨装置を提供する。
【解決手段】研磨装置10は、上定盤11と、上定盤11と対向して配置される下定盤12と、上定盤11を昇降可能に吊り下げ支持する昇降機構20と、上定盤11の下方向の荷重を検出するロードセル30と、を備え、被研磨物90を上定盤11及び下定盤12によって挟持した状態で研磨するものである。研磨装置10は、昇降機構20とロードセル30との間に設けられ、上定盤11の下方向の荷重に応じて下方向に撓む撓み板40と、撓み板40の下方向への撓み量を測定する撓み量測定器50と、撓み量測定器50によって測定された撓み量から被研磨物90の研磨量を算出するコントローラ70と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上定盤と、前記上定盤と対向して配置される下定盤と、前記上定盤を昇降可能に吊り下げ支持する昇降機構と、前記上定盤の下方向の荷重を検出する荷重センサと、を備え、被研磨物を前記上定盤及び前記下定盤によって挟持した状態で研磨する研磨装置であって、
前記昇降機構と前記荷重センサとの間に設けられ、前記上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓む撓み板と、
前記撓み板の下方向への撓み量を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記撓み量から前記被研磨物の研磨量を算出する算出部と、
を備えること
を特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、サーボシリンダを備え、
前記撓み板は、サーボシリンダによって吊り下げ支持された前記上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓むこと
を特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記荷重センサは、ロードセルによって構成され、
前記撓み板は、前記昇降機構と前記ロードセルとの間に設けられ、前記ロードセルによって荷重が検出される前記上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓むこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記上定盤は、前記下定盤と対向する位置から水平方向に移動可能に構成されること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、リソグラフィ用マスクの基盤として使用される石英ガラス等の被研磨物を研磨する研磨装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ或いはマスク用ガラス板等の被研磨物を研磨する研磨装置としては、特許文献1に示すようなものが公知となっている。特許文献1の研磨装置では、上定盤と下定盤との間に被研磨物が挟まれる形で研磨が行われる。
【0003】
特許文献1の研磨装置では、上定盤は、サーボモータ及びサーボシリンダからなる昇降機構によって上下動可能に構成されている。上定盤は、当該昇降機構によって下降することで、下定盤上の被研磨物と接触し、被研磨物を下定盤とともに挟持することで、被研磨物を研磨する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の研磨装置では、被研磨物の厚さが極薄であるとともに、被研磨物の研磨量が極めて少量であり、また、被研磨物の研磨中に装置自体の撓みも生じるため、被研磨物の研磨中に被研磨物の研磨量(被研磨物の厚さ)を正確に検出することができなかった。そのため、被研磨物に対する研磨精度を管理することが難しく、被研磨物に対する研磨効率が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、被研磨物の研磨中における被研磨物の研磨量(被研磨物の厚さ)を正確に検出可能な研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の研磨装置は、上定盤と、前記上定盤と対向して配置される下定盤と、前記上定盤を昇降可能に吊り下げ支持する昇降機構と、前記上定盤の下方向の荷重を検出する荷重センサと、を備え、被研磨物を前記上定盤及び前記下定盤によって挟持した状態で研磨する研磨装置であって、前記昇降機構と前記荷重センサとの間に設けられ、前記上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓む撓み板と、前記撓み板の下方向への撓み量を測定する測定部と、前記測定部によって測定された前記撓み量から前記被研磨物の研磨量を算出する算出部と、を備えるものである。
【0008】
上記構成では、上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓む撓み板の撓み量から被研磨物の研磨量を検出できる。
【0009】
本発明の研磨装置では、前記昇降機構は、サーボシリンダを備え、前記撓み板は、サーボシリンダによって吊り下げ支持された前記上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓むものである。
【0010】
上記構成では、サーボシリンダによって昇降移動が制御される上定盤の荷重に応じて撓む撓み板の撓み量から被研磨物の研磨量を検出できる。
【0011】
本発明の研磨装置では、前記荷重センサは、ロードセルによって構成され、前記撓み板は、前記昇降機構と前記ロードセルとの間に設けられ、前記ロードセルによって荷重が検出される前記上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓むものである。
【0012】
上記構成では、ロードセルによって荷重が検出される上定盤の荷重に応じて撓む撓み板の撓み量から被研磨物の研磨量を検出できる。
【0013】
本発明の研磨装置では、前記上定盤は、前記下定盤と対向する位置から水平方向に移動可能に構成されるものである。
【0014】
上記構成では、被研磨物を下定盤上に載置する際に、上定盤を下定盤と対向する位置から水平方向に移動させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の研磨装置によれば、上定盤の下方向の荷重に応じて下方向に撓む撓み板の撓み量から被研磨物の研磨量を検出できることから、被研磨物の研磨中に上定盤を除く装置自体の撓みの影響を受けることなく被研磨物の研磨量を検出できる。そのため、被研磨物の研磨中における被研磨物に対する研磨精度を容易に管理することができ、被研磨物に対する研磨効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る研磨装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る研磨装置10について説明する。
図1から
図3に示すように、研磨装置10は、例えば、半導体ウエハや光学ガラス等の被研磨物90の研磨加工において使用される装置である。研磨装置10は、上定盤11と、上定盤11と対向して配置される下定盤12と、上定盤11を昇降可能に吊り下げ支持する昇降機構20と、上定盤11の下方向の荷重を検出するロードセル30(「荷重センサ」の一例)と、装置全体を制御するコントローラ70と、を主に備える。研磨装置10は、昇降機構20によって固定位置まで下降した上定盤11と、上定盤11と対向する下定盤12と、によって被研磨物90を挟持した状態で、被研磨物90の両面を同時に研磨する。
【0018】
上定盤11及び下定盤12は、互いに上下方向に対向して設けられる。上定盤11の下面及び下定盤12の上面には研磨布が貼付されている。上定盤11は、支持フレーム13に支持ロッド14を介して吊り下げた状態で支持されている。支持フレーム13は、その中央部にベアリング(図示せず)を有することでロードセル支持フレーム31(連結部36)に対して回転可能に構成されている。上定盤11は、支持フレーム13を介して昇降機構20によって昇降可能に構成され、その高さ位置が昇降機構20によって制御される。
【0019】
昇降機構20は、サーボシリンダ21と、サーボモータ22と、を主に備える。昇降機構20は、サーボモータ22によってサーボシリンダ21を駆動させることで、撓み板40と、ロードセル30と、上定盤11と、を昇降移動させる。すなわち、昇降機構20は、撓み板40及びロードセル30を介して上定盤11を昇降可能に吊り下げ支持する。昇降機構20では、上定盤11の昇降移動にサーボシリンダ21を用いることで、上定盤11の移動距離及び移動速度を制御する。また、サーボシリンダ21は、エアシリンダのような摺動抵抗となるピストンシールを有さないため、摺動抵抗による制御遅れが生じず、より反応速度の速い制御を行うことができる。サーボモータ22は、コントローラ70に接続され、コントローラ70の指示信号に従って駆動する。
【0020】
昇降機構20と上定盤11との間には、上定盤11の下方向の荷重を検出するロードセル30(「荷重センサ」の一例)が設けられている。より具体的は、ロードセル30は、サーボシリンダ21のシャフトの下方であって、上定盤11の支持フレーム13の上部に設けられている。ロードセル30は、連結部材35を介して撓み板40に連結されている。ロードセル30はその下部にロードセル支持フレーム31が固定されている。ロードセル支持フレーム31は、ロードセル30を支持するフレームであり、上定盤11の支持フレーム13の中央上部に連結部36を介して連結されている。ロードセル30は、コントローラ70に接続され、検出した上定盤11の下方向の荷重を検出信号としてコントローラ70に送信する。ロードセル30は、上定盤11(上定盤11に貼付される研磨布)が被研磨物90に接触していない場合には、上定盤11の全重量を、上定盤11の下方向の荷重として検出する。また、ロードセル30は、上定盤11(上定盤11に貼付される研磨布)が被研磨物90に接触している場合には、上定盤11の全重量と被研磨物90に加わる研磨荷重との差を、上定盤11の下方向の荷重として検出する。
【0021】
コントローラ70は、ロードセル30によって検出される上定盤11の下方向の荷重に基づいてサーボモータ22の駆動を制御することでサーボシリンダ21の移動量を変化させて被研磨物90に対する上定盤11の加工圧力を制御する。具体的には、コントローラ70は、ロードセル30によって検出される上定盤11の荷重変化を打ち消すようにサーボシリンダ21の移動量を変化させることで、被研磨物90に対する上定盤11の加工圧力を制御する。コントローラ70は、ロードセル30によって検出される上定盤11の下方向の荷重に基づいてサーボシリンダ21の移動速度を制御することで、被研磨物90に対する上定盤11の接触圧力を一定に制御する。コントローラ70は、サーボシリンダ21の移動量によって上定盤11の位置を検出する。そのため、コントローラ70は、下定盤12の下端位置を制御することによって、被研磨物90の最終厚さを一定に制御することができる。
【0022】
図1及び
図2に示すように、昇降機構20(サーボシリンダ21)とロードセル30との間には、上定盤11の下方向の荷重に応じて下方向に撓む撓み板40が設けられている。撓み板40は、平面視略四角形に形成される板材によって構成される。撓み板40は、下方向への荷重によって撓む程度の所定の厚みで構成されている。
【0023】
撓み板40は、その上方に設けられる上方支持フレーム41に回り止めガイド42を介して吊り下げられた状態で支持されている。上方支持フレーム41は、サーボシリンダ21のシャフトの下方に設けられ、サーボシリンダ21の駆動によって昇降移動可能に構成されている。回り止めガイド42は、撓み板40を上方支持フレーム41に対して回転させずに、撓み板40と上方支持フレーム41とを上下方向に所定の間隔で保持するように、撓み板40と上方支持フレーム41との間に設けられる。
【0024】
撓み板40は、連結部材35を介してロードセル30を吊り下げ支持する。
図4に示すように、撓み板40は、上定盤11(上定盤11に貼付される研磨布)が被研磨物90に接触していない場合には、上定盤11の下方向の荷重が連結部材35を介して下方向に掛かり、その中央部分が下方に撓む(
図4の二点鎖線参照)。すなわち、撓み板40は、上定盤11の重量に見合った撓み量でその中央部分が下方に撓む。
【0025】
一方で、撓み板40は、上定盤11(上定盤11に貼付される研磨布)が被研磨物90に接触して上定盤11の下方向の荷重が減少することで、その中央部分の撓み量が減少する。すなわち、撓み板40は、上定盤11の荷重の減少量に合わせてその中央部分の撓み量が減少する。
【0026】
このように、撓み板40は、上定盤11の下方向の荷重に応じて下方向に撓み、その撓み量は上定盤11の荷重変化に合わせて変化する。すなわち、撓み板40の撓み量は、上定盤11の荷重と対比関係にある。
【0027】
図2に示すように、撓み板40の中央部分の下方向への撓み量は、撓み量測定器50(「測定部」の一例)によって測定される。撓み量測定器50は、ダイヤルゲージによって構成されている。撓み量測定器50は、昇降機構20とロードセル30との間に設けられ、具体的には、撓み板40と上方支持フレーム41との間に設けられえる。撓み量測定器50は、コントローラ70に接続され、測定した撓み板40の撓み量を検出信号としてコントローラ70に送信する。
【0028】
図1から
図3に示すように、研磨装置10は、上定盤11を下定盤12と対向する位置から水平方向に移動させるための水平移動機構60を有する。水平移動機構60は、本体61と、昇降機構20を支持するための支持アーム62と、支持アーム62を水平移動させるためのレール63と、支持アーム62を走行させるためのLMガイドアクチュエータ64と、を備える。
【0029】
本体61は、下定盤12の側方に形成され、研磨装置10の本体15から上方に立設される立設部61Aと、立設部61Aの上部側方から水平方向に延設される延設部61Bと、から構成される。
【0030】
支持アーム62は、昇降機構20(サーボシリンダ21)の上部を支持し、本体61の延設部61Bに沿って形成されるレール63上を走行可能に構成されている。支持アーム62は、昇降機構20を支持した状態でレール63上を走行することで、昇降機構20によって吊り下げ支持されている上定盤11を、下定盤12と対向する位置から水平方向に移動させる。
【0031】
LMガイドアクチュエータ64は、本体61の延設部61Bに沿って延設されている。LMガイドアクチュエータ64は、ボールねじ軸64Aと、ボールねじ軸64Aの回動によって移動するブロック64Bと、ボールねじ軸64Aを回動させるためのモータ64Cと、から主に構成されている。ボールねじ軸64Aは、水平方向に延設され、その下端に設けられるモータ64Cの駆動によって回動する。ブロック64Bは、支持アーム62の下端に固定され、ボールねじ軸64Aが回動することでボールねじ軸64A上を水平方向に移動する。LMガイドアクチュエータ64では、ブロック64Bが水平方向に移動することで、支持アーム62が水平方向に移動する。
【0032】
このように、研磨装置10では、支持アーム62がLMガイドアクチュエータ64の駆動によって水平方向に移動することで、昇降機構20によって吊り下げ支持されている上定盤11を、下定盤12と対向する位置から水平方向に移動させることができるため、被研磨物90を下定盤12上に載置する際に上定盤11を水平方向に移動させることで、上定盤11が障害とならず、被研磨物90を容易に下定盤12上に載置することができる。
【0033】
次に、撓み量測定器50によって測定された撓み板40の撓み量から被研磨物90の研磨量を算出する方法について説明する。
【0034】
被研磨物90の研磨量は、コントローラ70(「算出部」の一例)によって算出される。コントローラ70は、撓み量測定器50によって測定された撓み板40の撓み量に基づいて被研磨物90の研磨量を算出する。
【0035】
ここで、研磨装置10では、ロードセル30によって上定盤11の荷重を検出しながら、サーボシリンダ21のシャフトを下げることで、上定盤11の上下方向の移動量が制御され、上定盤11が被研磨物90に対して所定の圧力を加える。この上定盤11によって被研磨物90に加えられる圧力は、コントローラ70によって予め設定されている。
【0036】
また、同種の被研磨物90を繰り返し研磨する場合には、上定盤11によって被研磨物90に加えられる圧力は、研磨される被研磨物90毎に常に一定である。そのため、コントローラ70は、上定盤11によって被研磨物90に加えられる圧力が、研磨される被研磨物90毎に常に一定となるように、サーボシリンダ21の移動量を制御し、被研磨物90に対する上定盤11の位置を調整する。それゆえに、被研磨物90への研磨開始時の上定盤11の位置は、研磨する被研磨物90毎に常に同一の位置となる。
【0037】
さらに、同種の被研磨物90を同一の研磨量(例えば、20μm)で繰り返し研磨する場合、上定盤11は、同一の圧力を被研磨物90に加えながら、設定された研磨量まで被研磨物90を研磨する。そのため、上定盤11は、常に同じ研磨圧力位置(研磨終了位置)で停止して、研磨加工を終了する。
【0038】
このように、研磨装置10において同種の被研磨物90を同一の研磨量で繰り返し研磨する場合には、上定盤11は、常に同じ研磨圧力位置(研磨開始位置)から被研磨物90の研磨を開始し、常に同じ研磨圧力位置(研磨終了位置)で停止して、研磨加工を終了する。
【0039】
そのため、同種の被研磨物90を同一の研磨量で繰り返し研磨する場合には、コントローラ70は、サーボシリンダ21の下降移動を所定の位置で停止させることで、上定盤11を初期設定の研磨圧力位置(研磨開始時の研磨圧力位置)に停止させる。そして、コントローラ70は、上定盤11及び下定盤12に対して被研磨物90の研磨を指示する。
【0040】
上定盤11及び下定盤12がコントローラ70からの指示を受けて被研磨物90を研磨することで、被研磨物90の厚さは徐々に薄くなる。この時、上定盤11の研磨圧力位置は、被研磨物90の厚さが薄くなるにつれて、初期設定の研磨圧力位置より下方に下がる。そして、上定盤11の研磨圧力位置が下方に下がると、上定盤11の下方向の荷重が増加するため、撓み板40に対する荷重が増加し、それによって撓み板40の撓み量が増加する。すなわち、上定盤11及び下定盤12が被研磨物90を研磨して、被研磨物90の厚さが薄くなることで、撓み板40の撓み量は増加する。そのため、予め、コントローラ70に、撓み板40の撓み量と、上定盤11及び下定盤12よる被研磨物90の研磨量と、の関係を設定することで、コントローラ70は、撓み量測定器50によって測定された撓み板40の撓み量に基づいて被研磨物90の研磨量を算出することができ、算出した被研磨物90の研磨量に基づいて、上定盤11の移動を制御することができる。
【0041】
具体的には、コントローラ70は、上定盤11が初期設定の研磨圧力位置(研磨開始時の研磨圧力位置)に停止している場合の撓み板40の撓み量を撓み量測定器50から取得する。さらに、コントローラ70は、上定盤11及び下定盤12が設定された研磨量(例えば、20μm)まで被研磨物90を研磨する間も、撓み量測定器50から撓み板40の撓み量を取得し、取得した撓み板40の撓み量に基づいて被研磨物90の研磨量を算出する。そして、コントローラ70は、算出した被研磨物90の研磨量が設定された研磨量となることで、上定盤11及び下定盤12に対して被研磨物90の研磨の停止を指示する。
【0042】
以上のように、研磨装置10においては、上定盤11の下方向の荷重に応じて下方向に撓む撓み板40の撓み量から被研磨物90の研磨量を検出できることから、被研磨物90の研磨中に上定盤11を除く装置自体の撓みの影響を受けることなく被研磨物90の研磨量を検出できる。そのため、被研磨物90の研磨中における被研磨物90に対する研磨精度を容易に管理することができ、被研磨物90に対する研磨効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 研磨装置
11 上定盤
12 下定盤
20 昇降機構
30 ロードセル(荷重センサ)
40 撓み板
50 撓み量測定器(測定部)
70 コントローラ(算出部)
90 被研磨物