(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185633
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】パーテーション装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B60N 5/00 20060101AFI20221208BHJP
G09F 19/18 20060101ALI20221208BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20221208BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B60N5/00
G09F19/18 J
B60N2/90
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093374
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 順子
(72)【発明者】
【氏名】宮里 宏治
(72)【発明者】
【氏名】若野 春人
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
3D020
【Fターム(参考)】
3B087DE10
3B088QA04
3D020BA20
3D020BC02
3D020BE03
(57)【要約】
【課題】乗り物の利用者の快適性又は利便性等の向上に寄与する。
【解決手段】互いに隣接する第1座席(ST[3])及び第2座席(ST[4])を含む複数の座席が設けられた乗り物に用いられるパーテーション装置は、第1座席及び第2座席間にミストによる間仕切り(61)を発生させることが可能なミスト発生器(21CD)と、発生条件が成立したときにミスト発生器にミストによる間仕切りを発生させる制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する第1座席及び第2座席を含む複数の座席が設けられた乗り物に用いられるパーテーション装置であって、
前記第1座席及び前記第2座席間にミストによる間仕切りを発生させることが可能なミスト発生器と、
発生条件が成立したときに前記ミスト発生器に前記ミストによる間仕切りを発生させる制御部と、を備えた
、パーテーション装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1座席に位置する乗員を撮影するカメラの撮影画像に基づき、前記発生条件の成否を判断する
、請求項1に記載のパーテーション装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮影画像に基づき前記乗員の行動が特定種類の行動に合致すると判断したとき、前記ミストによる間仕切りを発生させる
、請求項2に記載のパーテーション装置。
【請求項4】
前記特定種類の行動は、食事及び睡眠の少なくとも一方を含む
、請求項3に記載のパーテーション装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ミストによる間仕切りの発生期間の全部又は一部において、前記ミストによる間仕切りをミストディスプレイとして用い、前記ミストディスプレイに前記乗員の行動に関連した映像を表示させる
、請求項3又は4に記載のパーテーション装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1座席に位置する乗員が前記乗り物から降りる予定時刻と現在時刻との関係に基づき、又は、前記第1座席に位置する前記乗員が前記乗り物から降りる予定地点と前記乗り物の現在地点との関係に基づき、前記発生条件の成否を判断する
、請求項1に記載のパーテーション装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ミストによる間仕切りの発生期間の全部又は一部において、前記ミストによる間仕切りをミストディスプレイとして用い、前記ミストディスプレイに前記乗員の予定に関連した映像を表示させる
、請求項6に記載のパーテーション装置。
【請求項8】
前記乗員の予定に関連した映像は、前記予定時刻及び前記現在時刻間の時間差に基づく第1通知情報、及び、前記予定地点に関わる第2通知情報の内、少なくとも一方を含む
、請求項7に記載のパーテーション装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ミストによる間仕切りの発生期間の全部又は一部において、前記ミストによる間仕切りをミストディスプレイとして用い、前記ミストディスプレイに映像を表示させる
、請求項1~4及び6の何れかに記載のパーテーション装置。
【請求項10】
前記乗り物は乗合自動車である
、請求項1~9の何れかに記載のパーテーション装置。
【請求項11】
互いに隣接する第1座席及び第2座席を含む複数の座席が設けられた乗り物に用いられるパーテーション方法であって、
発生条件が成立したときに、前記第1座席及び前記第2座席間にミストによる間仕切りを発生させる制御ステップを備えた
、パーテーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーテーション装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライドシェアカー等の乗合自動車では不特定の人物が乗り合わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、乗合自動車における各乗員は他者の目が気になって自由に過ごし難いことがある。乗合自動車において、各乗員のプライベート空間が守られるような仕組みがあれば、各乗員の快適性が向上すると期待される。
【0005】
乗合自動車に分類されない他の乗り物についても同様である。
【0006】
本発明は、乗り物の利用者の快適性又は利便性等の向上に寄与するパーテーション装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパーテーション装置は、互いに隣接する第1座席及び第2座席を含む複数の座席が設けられた乗り物に用いられるパーテーション装置であって、前記第1座席及び前記第2座席間にミストによる間仕切りを発生させることが可能なミスト発生器と、発生条件が成立したときに前記ミスト発生器に前記ミストによる間仕切りを発生させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、乗り物の利用者の快適性又は利便性等の向上に寄与するパーテーション装置及び方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る車内の様子を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシステム(映像パーテーションシステム)の構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係り、互いに隣接する2つの座席と、当該2つの座席に関わるシステム構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係り、互いに隣接する2つの座席と、当該2つの座席間に形成されたミストディスプレイと、を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係り、或る座席とミストディスプレイの一面(スクリーン)との関係を示す図(a)と、他の座席とミストディスプレイの他面(他のスクリーン)との関係を示す図(b)である。
【
図6】本発明の実施形態に係り、注目乗員に関するシステムの動作フローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、特定の乗員に関するシステムの動作フローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、特定の乗員に関してミストディスプレイに表示される映像の例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、特定の乗員に関してミストディスプレイに表示される映像の例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、特定の乗員に関するシステムの動作フローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、特定の乗員に関してミストディスプレイに表示される映像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“20”によって参照されるミスト発生ブロックは(
図2参照)、ミスト発生ブロック20と表記されることもあるし、ブロック20と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0011】
図1は本実施形態に係る車内の様子を概略的に示した図である。車内とは車両CRの車室内を指す。ここでは、車両CRとして路面上を走行可能な車両(自動車等)を主として想定するが、車両CRは任意の種類の車両であって良い。車両CRの運転席からステアリングホイールに向かう向きを「前方」と定義し、車両CRのステアリングホイールから運転席に向かう向きを「後方」と定義する。前後方向に直交し且つ路面に平行な方向を左右方向と定義する。
【0012】
車両CRに最大でn人の乗員が搭乗することができ、車両CRにはn人の乗員が着席可能な座席が設けられる。本実施形態において、乗員とは、特に記述なき限り、車両CRに搭乗している乗員を指す。nは2以上の任意の整数であって良いが、本実施形態では特に断りなき限り、“n=6”であるとし、車内に6つの座席ST[1]~ST[6]が設置されているものとする。
【0013】
座席ST[1]は、車両CRの運転操作を行うドライバ(運転手)が着席すべき運転席である。ドライバは前を向いて座席ST[1]に座っているものとし、座席ST[1]の左側に助手席に相当する座席ST[2]が設置される。車両CRに関する左側、右側は、座席ST[1]に前を向いて座るドライバから見た左側、右側を指すものとする。座席ST[1]の後方に座席ST[3]~ST[6]が設置される。座席ST[3]及びST[4]は車両CRの左右方向に沿って並んでおり、座席ST[5]及びST[6]も車両CRの左右方向に沿って並んでいる。座席ST[1]及びST[5]間の中間に座席ST[3]が位置し、座席ST[2]及びST[6]間の中間に座席ST[4]が位置する。
【0014】
車両CRに搭乗している6人の乗員を乗員PS[1]~PS[6]と称する。乗員PS[1]~PS[6]は、夫々、座席ST[1]~ST[6]に着席する。但し、“n=6”であっても、車両CRに実際に搭乗する乗員数は5以下であり得る。尚、“n=6”でない場合には、nの値に応じて座席数が変更される。例えば、“n=4”である場合、車内には座席ST[5]及びST[6]が存在せず、この場合、乗員PS[5]及びPS[6]は存在しないと解すれば良い。
【0015】
本実施形態に係る車両CRとして、不特定の複数の乗員が搭乗する乗合自動車が想定される。乗合自動車は、乗合バス及び乗合タクシーを含み、ライドシェアカーと称される自動車も含む。
【0016】
図2に本発明の実施形態に係る映像パーテーションシステムであるシステムSYSの構成図を示す。システムSYSは、処理ブロック10、ミスト発生ブロック20、投影ブロック30、カメラブロック40及びインターフェースブロック50を備える。システムSYSの各構成要素は車両CRに設置される。
【0017】
処理ブロック10は、制御部11、記憶部12及び通信処理部13を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含んで構成され、システムSYS内の全体動作を統括的に制御する。記憶部12は、磁気ディスク又は半導体メモリ等から成り、或いは、それらの組み合わせから成り、各種プログラム及びデータを格納及び記憶する。記憶部12内のプログラムを制御部11のCPUが実行することで各種機能が実現されて良い。通信処理部13は、所定の通信網NETに無線にて接続され、通信網NETを介して相手側装置と双方向通信を行う。通信網NETは、インターネット、移動体通信網、及び、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信網を含む。相手側装置は、通信網NETに接続された任意の装置であって、例えば、インターネットに接続されたサーバ装置SVを含む他、各乗員が所持する端末装置(不図示)を含んでいても良い。各乗員が所持する端末装置は、スマートホン、タブレット又はパーソナルコンピュータ等の電子機器であり、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信網に接続され得る。
【0018】
ミスト発生ブロック20は複数のミスト発生器21を備える。ミスト発生ブロック20に設けられるミスト発生器21の総数は、車両CRの座席数及び座席の配置状況等に依存する。尚、ミスト発生ブロック20に設けられるミスト発生器21の総数を1とすることも可能である。各ミスト発生器21は車室内の適所に設置される。各ミスト発生器21は、制御部11の制御の下、必要なタイミングにおいてミストを発生させる。詳細は後述されるが、ミストによりミストディスプレイが形成される。
【0019】
投影ブロック30は複数のプロジェクタ31を備える。各プロジェクタ31は、例えば単焦点プロジェクタである。各プロジェクタ31は、ミスト発生ブロック20により形成される何れかのミストディスプレイに対応付けられる。各プロジェクタ31は、制御部11の制御の下、対応するミストディスプレイに映像を投影することで、対応するミストディスプレイに映像を表示させる。ミストディスプレイに表示される映像は、ホログラムに分類される映像であっても良い。尚、ミストディスプレイでの映像の表示とは、詳細には、ミストディスプレイのスクリーンでの映像の表示である。映像の投影が可能となるよう各プロジェクタ31は車室内の適所に設置される。ミスト発生ブロック20に設けられるミスト発生器21の総数に応じた数だけ、プロジェクタ31を設けて良い。尚、投影ブロック30に設けられるプロジェクタ31の総数を1とすることも可能である。
【0020】
カメラブロック40は複数のカメラ41を備える。各カメラ41は車室内の適所に設置され、車内の所定領域を視野に収める。任意の2つのカメラ41間で視野(撮影領域)は異なる。典型的には例えば、座席ごとに1台のカメラ41が割り当てられる。この場合、座席ST[i]に割り当てられたカメラ41(座席ST[i]に対応付けられたカメラ41)は、乗員PS[i]の全体又は一部を視野に収め、乗員PS[i]の撮影結果を表す撮影画像を生成する。各カメラ41は所定のフレームレートで撮影画像を生成する。各カメラの撮影画像を表す画像データは処理ブロック10に送られる。尚、カメラブロック40に設けられるカメラ41の総数を1とすることも可能である。
【0021】
インターフェースブロック50は、システムSYSと各乗員PS[1]~PS[6]との間のマンマシンインターフェースである。処理ブロック10は、インターフェースブロック50を通じて各乗員PS[1]~PS[6]から所定の指示を受けることができて良い。
【0022】
各ミスト発生器21は、座席ST[1]~ST[6]の内、互いに隣接する任意の2つの座席間にミストを発生させる。(p,q)=(1,2)、(p,q)=(3,4)、(p,q)=(5,6)、(p,q)=(1,3)、(p,q)=(3,5)、(p,q)=(2,4)及び(p,q)=(4,6)の何れかを満たす座席ST[p]及びST[q]は、互いに隣接する2つの座席である。ミストは液体の微粒子から成る。ミストを構成する液体は水であり、当該液体は不純物を含み得る。但し、ミストを構成する液体は水以外の液体であり得ても良い。
【0023】
座席ST[p]及びST[q]間に発生したミストは、座席ST[p]及びST[q]間の間仕切りを構成する(p及びqは互いに異なる整数)。座席ST[p]及びST[q]間の間仕切りは、換言すれば、座席ST[p]に座る乗員PS[p]と座席ST[q]に座る乗員PS[q]との間の間仕切りである。座席ST[p]及びST[q]間の間仕切りは、座席ST[p]及び乗員PS[p]の存在位置を含み且つ座席ST[q]及び乗員PS[q]の存在位置を含まない第p空間と、座席ST[q]及び乗員PS[q]の存在位置を含み且つ座席ST[p]及び乗員PS[p]の存在位置を含まない第q空間との境界に位置し、第p空間と第q空間とを分け隔てる。システムSYSでは、ミストによる上記間仕切りをミストディスプレイとして用いてミストディスプレイに映像を表示させる。
【0024】
図3を参照し、座席ST[3]及びST[4]間にミストによる間仕切りを発生させるミスト発生器21を、特に、ミスト発生器21CDと称する。
図3には、車両CRの後方から座席ST[3]及びST[4]を観測したときの、座席ST[3]及びST[4]とミスト発生器21CDとの位置関係が示されている。ミスト発生器21CDは、車室内の下面に設置された下方ユニット22Lと車室内の上面に設置された上方ユニット22Uとを有する。
図3において、ドッドハッチングが付された長方形61は、ミスト発生器21CDが発生したミストにより形成されるミストディスプレイを表す。ミスト発生器21CDにおいて、下方ユニット22Lの真上に上方ユニット22Uが設置される。下方ユニット22Lから上方ユニット22Uに向けてミストを放出することでミストディスプレイ61が形成される(この場合、上方ユニット22Uはミストを吸引する機能を有していて良い)。或いは、上方ユニット22Uから下方ユニット22Lに向けてミストを放出することでミストディスプレイ61が形成される(この場合、下方ユニット22Lはミストを吸引する機能を有していて良い)。
【0025】
尚、ミストは微細な液体粒子であるので、ミストを人の手で触ると微風を受けたような感触をもたらす。或る乗員がミストを触ったり、ミストを通り抜けたりしても、当該乗員の体や服が濡れることは殆ど無い。
【0026】
図4には、車両CRの上方から座席ST[3]及びST[4]を観測したときの、座席ST[3]及びST[4]とミストディスプレイ61との位置関係が示されている。ミストディスプレイ61はスクリーン61C及び61Dを有する。スクリーン61C及び61Dの夫々は前後方向及び上下方向に広がりを有する二次元スクリーンである。
【0027】
図5(a)に、座席ST[3]の右側から観測したときの、座席ST[3]、乗員PS[3]及びスクリーン61Cの位置関係を示す。
図5(b)に、座席ST[4]の左側から観測したときの、座席ST[4]、乗員PS[4]及びスクリーン61Dの位置関係を示す。
【0028】
スクリーン61C及び61Dの内、スクリーン61Cが座席ST[3]及び乗員PS[3]に対応付けられ、スクリーン61Dが座席ST[4]及び乗員PS[4]に対応付けられる。ミストディスプレイ61は左右方向に厚みを有する。スクリーン61Cはミストディスプレイ61における右側表面に相当し、スクリーン61Dはミストディスプレイ61における左側表面に相当する。故に、
図3又は
図4に示す如く、座席ST[3]とスクリーン61Dとの間にスクリーン61Cが位置し、且つ、座席ST[4]とスクリーン61Cとの間にスクリーン61Dが位置することになる。
【0029】
図3において、プロジェクタ31Cはスクリーン61Cに対応付けられたプロジェクタ31であり、プロジェクタ31Dはスクリーン61Dに対応付けられたプロジェクタ31である。プロジェクタ31Cはスクリーン61Cに対して映像VCを投影し、これによってスクリーン61Cに映像VCを表示させる。即ち、スクリーン61Cは映像VCの投影面に相当する。プロジェクタ31Dはスクリーン61Dに対して映像VDを投影し、これによってスクリーン61Dに映像VDを表示させる。即ち、スクリーン61Dは映像VDの投影面に相当する。
【0030】
座席ST[3]からミストディスプレイ61を観測したとき、スクリーン61C上の映像VCが視認可能となる。従って、乗員PS[3]はスクリーン61C上の映像VCを視認可能である。座席ST[4]からミストディスプレイ61を観測したとき、スクリーン61D上の映像VDが視認可能となる。従って、乗員PS[4]はスクリーン61D上の映像VDを視認可能である。但し、乗員PS[3]からスクリーン61D上の映像VDが若干透けて見えることがあり得る。同様に、乗員PS[4]からスクリーン61C上の映像VCが若干透けて見えることがあり得る。
【0031】
尚、スクリーン61C及び61Dを、互いに分離した2つのミストディスプレイにて構成するようにしても良い。この場合、第1ミストディスプレイを形成する第1ミスト発生器と第2ミストディスプレイを形成する第2ミスト発生器とを座席ST[3]及びST[4]間に配置し、これら2つの第1及び第2ミスト発生器によりミスト発生器21CDを構成する。この際、座席ST[3]と第2ミストディスプレイとの間に第1ミストディスプレイが形成され、且つ、座席ST[4]と第1ミストディスプレイとの間に第2ミストディスプレイが形成される。そして、第1ミストディスプレイの面の内、座席ST[3]に対向する面をスクリーン61Cとして機能させる一方、第2ミストディスプレイの面の内、座席ST[4]に対向する面をスクリーン61Dとして機能させれば良い。
【0032】
また、ミストディスプレイのスクリーン上に特定の情報映像(例えば後述の映像VC1_1a又はVC1_2;
図8及び
図11参照)を表示させない構成が採用されても良い。当該構成では、隣接する2つの座席の夫々に対して個別にミストディスプレイを形成するのではなく、当該2つの座席に共通して1つのミストディスプレイを形成すれば良い。当該1つのミストディスプレイは単なる間仕切りとして機能し、上記第1及び第2ミスト発生器を設ける場合と比べてミスト発生器の必要個数を削減できる。
【0033】
任意のミスト発生器21において、ミストを発生している期間をミストの発生期間(ミストによる間仕切りの発生期間)と称し、ミストを発生していない期間をミストの非発生期間(ミストによる間仕切りの非発生期間)と称する。ミスト発生器21CDにおけるミストの発生期間ではミストディスプレイ61が形成される。ミスト発生器21CDにおけるミストの非発生期間ではミストディスプレイ61が形成されない。ミスト発生器21CDについて、ミストの発生期間では、ミストの非発生期間と比べてミストディスプレイ61が存在する分、乗員PS[3]から乗員PS[4]が見えにくくなり且つ乗員PS[4]から乗員PS[3]が見えにくくなる作用(以下、ブラインド作用と称する)が得られる。適切なブラインド作用が得られる程度の大きさをミストディスプレイ61は有する。ミストディスプレイ61に映像を表示させることでブライド作用は強くなる。
【0034】
制御部11は、ミスト発生ブロック20に含まれる複数のミスト発生器21の作動又は非作動を個別に制御する。或るミスト発生器21が作動するとき当該ミスト発生器21からミストが発生する。或るミスト発生器21が非作動であるとき当該ミスト発生器21からミストは発生しない。加えて、制御部11は投影ブロック30に含まれる複数のプロジェクタ31の作動又は非作動を個別に制御する。或るプロジェクタ31が作動するとき、当該プロジェクタ31から、対応するミストディスプレイに対して映像が投影される。或るプロジェクタ31が非作動であるとき、当該プロジェクタ31からの映像の投影は行われない。制御部11は、或るプロジェクタ31が作動しているとき、当該プロジェクタ31に映像信号を供給する。プロジェクタ31は、供給を受けた映像信号に応じた映像を、対応するミストディスプレイに投影する。
【0035】
以下、任意のミスト発生器21について、ミスト発生器21が作動している状態を作動状態と称することがあり、ミスト発生器21が非作動となっている状態を非作動状態と称することがある。同様に、任意のプロジェクタ31について、プロジェクタ31が作動している状態を作動状態と称することがあり、プロジェクタ31が非作動となっている状態を非作動状態と称することがある。
【0036】
複数のミスト発生器21の内、ミスト発生器21CDに注目して制御部11の機能を説明する。制御部11は、ミスト発生器21CDが作動するようミスト発生器21CDを制御することでミスト発生器21CDにミストを発生させる。ミスト発生器21CDによるミストの発生期間において、制御部11は、プロジェクタ31C及び31Dが作動するようプロジェクタ31C及び31Dを制御すると共に、プロジェクタ31Cに映像VCを表す映像信号を供給し且つプロジェクタ31Dに映像VDを表す映像信号を供給する。これにより、ミストディスプレイ61のスクリーン61Cに映像VCが表示され、ミストディスプレイ61のスクリーン61Dに映像VDが表示される。
【0037】
但し、ミスト発生器21CDによるミストの発生期間において常に映像を表示させることは必須では無い。即ち、制御部11は、ミスト発生器21CDによるミストの発生期間の全部又は一部において、プロジェクタ31Cを用いてミストディスプレイ61に映像を表示させる(詳細にはスクリーン61Cに映像VCを表示させる)ことができる。同様に、制御部11は、ミスト発生器21CDによるミストの発生期間の全体又は一部において、プロジェクタ31Dを用いてミストディスプレイ61に映像を表示させる(詳細にはスクリーン61Dに映像VDを表示させる)ことができる。
【0038】
図3において、符号“41C”は座席ST[3]に割り当てられたカメラ41(座席ST[3]に対応付けられたカメラ41)を表し、符号“41D”は座席ST[4]に割り当てられたカメラ41(座席ST[4]に対応付けられたカメラ41)を表す。例えば、カメラ41Cは座席ST[3]の真上であって且つ車室内の上面に設置される一方、カメラ41Dは座席ST[4]の真上であって且つ車室内の上面に設置される。カメラ41Cは、乗員PS[3]の全身又は一部を視野に収め、乗員PS[3]の撮影結果を表す撮影画像を生成する。カメラ41Dは、乗員PS[4]の全身又は一部を視野に収め、乗員PS[4]の撮影結果を表す撮影画像を生成する。
【0039】
互いに隣接する2つの座席の組み合わせの例として座席ST[3]及びST[4]に注目した上で、ミストディスプレイ(61)の構造等を説明したが、他の組み合わせに係る任意の2つの座席に対しても、同様である。即ち、座席ST[3]及びST[4]と同様、他の組み合わせに係る任意の2つの座席についても、対応するミスト発生器21を用いて2つの座席間にミストを発生させることによりミストディスプレイを形成可能であり、対応するプロジェクタ31を用いて当該ミストディスプレイのスクリーンに映像を表示させることが可能である。
【0040】
上述の説明から理解されるよう、制御部11はミスト発生器21にてミストを発生させるか否かをミスト発生器21ごとに制御できる。この際、制御部11は、所定のミスト発生条件の成否を継続的に監視及び判断し、ミスト発生条件が成立したときに、対応するミスト発生器21を作動させてミストディスプレイを形成させる。ミスト発生条件の成否を車両CRの乗員ごとに判断することができる。
【0041】
図6に、乗員PS[i]に注目した、システムSYSの動作フローチャートを示す。注目された乗員PS[i]を、以下、注目乗員PS[i]と称する。注目乗員PS[i]として、乗合自動車である車両CRへの乗客が想定される。従って、注目乗員PS[i]は、ドライバ(即ち乗員PS[1])を除く、乗員PS[2]~PS[6]の何れかである。但し、車両CRが完全自動運転される場合にあっては、乗員PS[1]も乗客の一人として注目乗員PS[i]になり得る。乗員ごとに
図6の処理が実施されて良い。
【0042】
図6のフローチャートでは、まずステップS1において、或る人物が車両CRの外部から車両CRの内部に入ることで、注目乗員PS[i]として車両CRへの乗車を開始する。注目乗員PS[i]は座席ST[i]に座る。ステップS1に続くステップS2において、制御部11は、注目乗員PS[i]について所定のミスト発生条件が成立しているか否かを判断する。ミスト発生条件の成否判断方法は後述される。注目乗員PS[i]について、ミスト発生条件が成立している場合には(ステップS2のY)ステップS2からステップS3に進むが、ミスト発生条件が非成立の場合には(ステップS2のN)ステップS2の判断処理が繰り返される。
【0043】
ステップS3において、制御部11は、注目乗員PS[i]に対応するミスト発生器21にミストを発生させることで(即ち当該ミスト発生器21を作動させることで)ミストディスプレイを形成し、更に、対応するプロジェクタ31から当該ミストディスプレイへ映像を投影させることで当該ミストディスプレイへの映像の表示を開始させる。
図6のフローチャートの説明にて述べられるミストディスプレイは注目乗員PS[i]が視認可能なミストディスプレイであり、注目乗員PS[i]が乗員PS[3]又はPS[4]であるならば
図3のミストディスプレイ61である。
【0044】
従って、注目乗員PS[i]が乗員PS[3]又はPS[4]であるならば、注目乗員PS[i]に対応するミスト発生器21は
図3のミスト発生器21CDである。故に、注目乗員PS[i]が乗員PS[3]又はPS[4]であるならば、ステップS3にて、プロジェクタ31C及び31Dからミストディスプレイ61への映像VC及びVDの投影が開始されて、スクリーン61Cでの映像VCの表示及びスクリーン61Dでの映像VDの表示が開始される。
【0045】
尚、ステップS3に至る以前では、注目乗員PS[i]に対するミスト発生器21は非作動状態にあり、従ってミストディスプレイは形成されていない。ステップS3の後、ステップS4に進む。
【0046】
ステップS4において、制御部11は、注目乗員PS[i]について所定のミスト終了条件が成立しているか否かを判断する。ミスト終了条件の成否判断方法は後述される。注目乗員PS[i]について、ミスト終了条件が成立している場合には(ステップS4のY)ステップS4からステップS5に進むが、ミスト終了条件が非成立の場合には(ステップS4のN)ステップS4の判断処理が繰り返される。一旦、ミスト開始条件が成立すると、ミスト終了条件が成立するまでミストディスプレイは存続する。
【0047】
ステップS5において、制御部11は、注目乗員PS[i]に対応するミスト発生器21でのミスト発生を停止させる(即ち当該ミスト発生器21の状態を作動状態から非作動状態に切り替える)。これにより、注目乗員PS[i]に対応するミストディスプレイが消失し、故に当該ミストディスプレイでの映像表示も停止される。制御部11は、ステップS5において、対応するプロジェクタ31の動作も停止させる(即ち当該プロジェクタ31の状態を作動状態から非作動状態に切り替える)。ステップS5の後、ステップS6に進む。
【0048】
ステップS6において、注目乗員PS[i]が車両CRから降りた場合には(ステップS6のY)、
図6の動作を終える。注目乗員PS[i]が未だ車両CRに乗車中である場合にはステップS2に戻る。この際、注目乗員PS[i]が車両CRから降りたかどうかの判断を制御部11が行っても良い。例えば、制御部11は、注目乗員PS[i]を撮影するカメラ41の撮影画像に基づき、注目乗員PS[i]が車両CRから降りたかどうかの判断が可能である。
【0049】
不特定の人物が乗り合わせる乗合自動車において、各乗員は他者の目が気になって自由に過ごし難いことがある。上述の如く、所定条件(ミスト発生条件)が成立したときにミストによる間仕切りを発生させる構成を採用することにより、物理的に壁を作ることなく必要なタイミングにおいてのみ人と人との空間を分けることが可能となる。結果、プライベート空間が守られて人の目を気にせず過ごしやすくなる(快適性が向上する)。或いは、ミストを利用して特定の乗員に必要な情報を通知する(例えば下車に関わる情報を通知する)といったことが可能となり、利便性が高まる。
【0050】
ミストによる間仕切りをミストディスプレイとして用いるようにすれば、上記ブラインド作用が高まると共に、各乗員の状況に応じて有益な映像を各乗員に提供することが可能となる。ミストディスプレイは物理的な壁を構成しないので、乗車又は下車時の邪魔にならず、安全性も高い。
【0051】
以下、複数の実施例の中で、システムSYSにおける幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0052】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、注目乗員PS[i]が乗員PS[3]であることを想定する。
図7は、この想定下における、第1実施例に係るシステムSYSの動作フローチャートである。
図7のフローチャートに沿って、第1実施例に係るシステムSYSの動作を説明する。
【0053】
まずステップS11において、或る人物が車両CRの外部から車両CRの内部に入ることで、乗員PS[3]として車両CRへの乗車を開始する。乗員PS[3]は座席ST[3]に座る。カメラ41Cによる乗員PS[3]の撮影画像を表す画像データ(以下、カメラ41Cの撮影画像データと称する)は制御部11に送られる。カメラ41Cの撮影画像データは、乗員PS[3]の様子を撮影した静止画像及び動画像の画像データを含む。乗員PS[3]が車両CRに搭乗している期間において、制御部11は、カメラ41Cの撮影画像データに基づき、乗員PS[3]の行動の種類を継続的に分析及び検出する。
【0054】
ステップS11に続くステップS12において、制御部11は、乗員PS[3]の現在の行動が特定種類の行動と合致するかを判断する。乗員PS[3]の行動が特定種類の行動と合致すると判断した場合には(即ち乗員PS[3]による特定種類の行動が検出された場合には;ステップS12のY)、ステップS12からステップS13に進むが、そうでない場合には(ステップS12のN)ステップS12の判断処理が繰り返される。第1実施例では、乗員PS[3]の行動が特定種類の行動と合致すること(乗員PS[3]による特定種類の行動が検出されること)が上記ミスト発生条件の成立に相当する(
図6のステップS2参照)。
【0055】
ステップS13において、制御部11は、乗員PS[3]に対応するミスト発生器21CDにミストを発生させることで(即ち当該ミスト発生器21CDを作動させることで)ミストディスプレイ61を形成し、更に、プロジェクタ31C及び31Dからミストディスプレイ61へ映像を投影させることでミストディスプレイ61での映像の表示を開始させる。ミストディスプレイ61における映像の表示は、ミストディスプレイ61のスクリーン61Cにおける映像VCの表示と、ミストディスプレイ61のスクリーン61Dにおける映像VDの表示と、を含む。表示される映像の例は後述される。尚、ステップS13に至る以前では、ミスト発生器21CDは非作動状態にあり、従ってミストディスプレイ61は形成されていない。
【0056】
ステップS13にてミストディスプレイ61の形成並びに映像VC及びVDの表示が開始された後、後述のステップS15に至るまで、ミスト発生器21CDの作動状態は継続し(従ってミストディスプレイ61は存続し)且つ映像VC及びVDの表示は継続される。ステップS13の後、ステップS14に進む。
【0057】
制御部11は、ステップS13にてミスト発生器21CDの作動を開始させた後、カメラ41Cの撮影画像データに基づき、乗員PS[3]の取る行動が特定種類の行動と合致し続けているかを継続的に監視する。この監視結果に基づき、制御部11は、ステップS14において、乗員PS[3]による特定種類の行動が終了したかを判断する。乗員PS[3]による特定種類の行動が終了したと判断される場合には(ステップS14のY)、ステップS14からステップS15に進み、そうでない場合には(ステップS14のN)ステップS14の判断処理が繰り返される。第1実施例では、乗員PS[3]による特定種類の行動が終了すること(乗員PS[3]による特定種類の行動が終了したと判断されること)が上記ミスト終了条件の成立に相当する(
図6のステップS4参照)。
【0058】
ステップS15において、制御部11は、ミスト発生器21CDでのミスト発生を停止させる(即ちミスト発生器21CDの状態を作動状態から非作動状態に切り替える)。これにより、ミストディスプレイ61が消失し、故にミストディスプレイ61での映像の表示(映像VC及びVDの表示)も停止される。制御部11は、ステップS15において、プロジェクタ31C及び31Dの動作も停止させる(即ちプロジェクタ31C及び31Dの状態を作動状態から非作動状態に切り替える)。ステップS15の後、ステップS12に戻り、乗員PS[3]が車両CRから降りるまで上述の動作が繰り返される。
【0059】
特定種類の行動は、乗員PS[3]のプライバシ保護等の観点から、乗員PS[3]自身が他の乗員に見られることを好ましいと思わないような行動である。
【0060】
例えば、特定種類の行動は食事(即ち食事をとるという行動)を含んでいて良い。不特定の人物が乗り合わせる乗合自動車において、食事をとる様子を他者に見られたくないという心情を配慮し、食事の際にミストによる間仕切りを発生させる。
【0061】
制御部11は、カメラ41Cの撮影画像中における食べ物の有無、及び、カメラ41Cの撮影画像中における乗員PS[3]の口元の動きなどに基づき、乗員PS[3]が食事をとっているか、食事をとろうとしているかを推定(判断)できる。
【0062】
乗員PS[3]が食事をとることに対応してミスト発生器21CDによりミストが発生される期間を、以下、特に、食事対応ミスト発生期間と称する。乗員PS[3]が未だ食事を開始していないが、まもなく食事を開始しそうと推定される期間も食事対応ミスト発生期間に含まれていて良い。食事対応ミスト発生期間において、制御部11は、食事に関連した映像(乗員PS[3]の行動に関連した映像)が映像VCとしてスクリーン61Cに表示されるようプロジェクタ31Cに映像信号を供給する。食事に関連した映像のスクリーン61Cでの表示は、食事対応ミスト発生期間の一部においてのみ実施されるものであっても良い。
【0063】
図8に食事に関連した映像の例である映像VC_1aを示す。
図8の例において映像VC_1aがスクリーン61Cに表示される。映像VCとしての食事に関連した映像は、例えば、食事対応ミスト発生期間にて、乗員PS[3]が食べた食べ物又は乗員PS[3]が食べると推定される食べ物の栄養バランスを示す映像である。乗員PS[3]が手に持っている食べ物は、乗員PS[3]が食べると推定される食べ物に該当する。制御部11は、食べ物を物体として含んだ画像の画像データに基づき当該画像中の食べ物の種類を識別する物体検出処理が可能であると良い。制御部11は物体検出処理を実現するためのDNN(ディープニューラルネットワーク)を含んでいて良い。
【0064】
或いは例えば、映像VCとしての食事に関連した映像は、飲食店情報の映像であっても良い。飲食店情報は、車両CRの現在位置から見て近隣の飲食店の情報であっても良いし、乗員PS[3]の下車予定地点から見て近隣の飲食店の情報であっても良い。飲食店情報は、食事対応ミスト発生期間にて、乗員PS[3]が食べた食べ物又は乗員PS[3]が食べると推定される食べ物と同じ又は類似する種類の食べ物を提供する飲食店の情報であっても良い。
【0065】
この他、食事対応ミスト発生期間にて、食事に関連する任意の映像(最近、人気の食べ物の紹介映像等)を映像VCとしてミストディスプレイ61のスクリーン61Cに表示させることができる。
【0066】
特定種類の行動は睡眠(即ち睡眠をとるという行動)を含んでいて良い。不特定の人物が乗り合わせる乗合自動車において、睡眠をとる様子を他者に見られたくない心情を配慮し、睡眠の際にミストによる間仕切りを発生させる。
【0067】
制御部11は、カメラ41Cの撮影画像中における乗員PS[3]の顔画像に基づき(特に例えば乗員PS[3]の目の部分の画像に基づき)、乗員PS[3]が睡眠をとっているか、睡眠をとろうとしているかを推定(判断)できる。
【0068】
乗員PS[3]が睡眠をとることに対応してミスト発生器21CDによりミストが発生される期間を、以下、特に、睡眠対応ミスト発生期間と称する。乗員PS[3]が未だ睡眠を開始していないが、まもなく睡眠を開始しそうと推定される期間も睡眠対応ミスト発生期間に含まれていて良い。睡眠対応ミスト発生期間において、制御部11は、睡眠に関連した映像(乗員PS[3]の行動に関連した映像)が映像VCとしてスクリーン61Cに表示されるようプロジェクタ31Cに映像信号を供給する。睡眠に関連した映像のスクリーン61Cでの表示は、睡眠対応ミスト発生期間の一部においてのみ実施されるものであっても良い。
【0069】
図9に睡眠に関連した映像の例である映像VC_1bを示す。
図9の例において映像VC_1bがスクリーン61Cに表示される。映像VCとしての睡眠に関連した映像は、例えば、睡眠の質の向上に寄与すると見込まれる所定のヒーリング映像であって良い。映像VCとしての睡眠に関連した映像は、乗員PS[3]の嗜好に合わせた映像であっても良い。例えば、制御部11は、乗員PS[3]が所持する端末装置(スマートホン等;不図示)とのペアリングを確立して、乗員PS[3]による端末装置の操作履歴(ウェブサイトの閲覧履歴)等に基づき乗員PS[3]の嗜好を推定することができる。
【0070】
特定種類の行動は食事及び睡眠以外でも良く、例えば、乗員PS[3]がくつろぐという行動(くつろぎ行動)が特定種類の行動に含まれていても良い。この際、カメラ41Cの撮影画像データに基づき、乗員PS[3]があくびを行う又は乗員PS[3]が腕を上方に向けて伸びを行うといった行動が検出されたとき、乗員PS[3]がくつろいでいると判断して、ステップS12からステップS13への移行を発生させて良い。
【0071】
乗員PS[3]が特定種類の行動をとることに対応してミスト発生器21CDによりミストが発生されミストディスプレイ61が形成される期間(例えば、食事対応ミスト発生期間又は睡眠対応ミスト発生期間)において、制御部11は、スクリーン61Dに所定の基準映像を映像VDとして表示させて良い。基準映像は、どのような映像であっても良いが、乗員PS[4]から乗員PS[3]及びスクリーン61Cに表示される映像VCが見えにくくなるような映像であると良い。例えば、光がゆらめいて見えるような映像を基準映像とすることができる。
【0072】
第1実施例では、上述の如く、乗員PS[3]を撮影するカメラ41Cの撮影画像に基づいて所定条件(ミスト発生条件)の成否を判断し、所定条件(ミスト発生条件)が成立したときにミストによる間仕切りを発生させる。カメラ41Cの撮影画像を参照することで、プライバシ保護等の観点から、ミストによる間仕切りを発生させた方が良いか否かを良好に推測できる。
【0073】
具体的にはカメラ41Cの撮影画像に基づき、乗員PS[3]の行動が特定種類の行動と合致すると判断したときに、ミストによる間仕切りを発生させる。これにより、物理的に壁を作ることなく、特定種類の行動(特に例えば食事又は睡眠)をとる乗員PS[3]の姿を他者から隠すことができ、乗員PS[3]のプライバシ保護に繋がる。
【0074】
この際、ミストによる間仕切りをミストディスプレイ61として用い、ミストディスプレイ61に乗員PS[3]の行動に関連した映像を表示させる。これにより、単に間仕切りを発生させるだけでなく、間仕切りを利用して乗員PS[3]の行動にマッチした映像を乗員PS[3]に提供することができる。これは、乗員PS[3]の車内滞在期間における乗員PS[3]の満足度等の向上に寄与する。
【0075】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例でも注目乗員PS[i]が乗員PS[3]であることを想定する。
図10は、この想定下における、第2実施例に係るシステムSYSの動作フローチャートである。
図10のフローチャートに沿って、第2実施例に係るシステムSYSの動作を説明する。
【0076】
尚、第2実施例で述べられる任意の時刻は、全て同日中の時刻(例えば西暦2021年5月11日中の時刻)であるとする。また、乗員PS[3]となるべき人物は、車両CRに乗車する前に端末装置(スマートホン等;不図示)を利用して自身の下車予定地点をサーバ装置SVに伝達する。サーバ装置SVは、車両CRを利用した各人物の移動の希望及び予定を受け付ける予約システムを構成する。本実施例で述べる下車予定地点は、乗員PS[3]の下車予定地点であって、乗員PS[3]が車両CRから降りる予定の地点である。
【0077】
まずステップS21において、或る人物が車両CRの外部から車両CRの内部に入ることで、乗員PS[3]として車両CRへの乗車を開始する。乗員PS[3]は座席ST[3]に座る。乗員PS[3]の下車予定地点を示す情報は、ステップS21に至る前にサーバ装置SVから制御部11に伝達されるものとする。ステップS21の後、ステップS22に進む。
【0078】
制御部11は、車両CRに設けられたGPS処理部(不図示)より車両CRの現在地点を認識する。GPS処理部は処理ブロック10に内包されていても良い。GPS処理部は、GPS(Global Positioning System)を形成する複数のGPS衛星からの信号を受信することで車両CRの現在地点を検出する。また、制御部11は、車両CRの現在地点と乗員PS[3]の下車予定地点と現在時刻とに基づき、乗員PS[3]の下車予定地点に車両CRが到着する予定時刻を導出する。乗員PS[3]の下車予定地点に車両CRが到着する予定時刻は、乗員PS[3]の下車予定時刻と一致する。乗員PS[3]の下車予定地点に車両CRが到着する予定時刻は、所定の運行表に従って予め定められているものであっても良い。
【0079】
制御部11は、車両CRが乗員PS[3]の下車予定地点に到着する前の任意のタイミングにおいて、乗員PS[3]の下車予定時刻までの残り時間(以下、残り時間tRと称する)を導出できる。残り時間tRは、現在時刻から乗員PS[3]の下車予定時刻までの時間である。また、制御部11は、車両CRが乗員PS[3]の下車予定地点に到着する前の任意のタイミングにおいて、車両CRの現在地点から乗員PS[3]の下車予定地点までの残り距離(以下、残り距離dRと称する)を導出できる。残り距離dRは、車両CRの現在地点から乗員PS[3]の下車予定地点に到達するまでに車両CRが走行すべき距離を表す。
【0080】
ステップS22において、制御部11は、乗員PS[3]の下車予定時刻までの残り時間tRが所定時間tTH以下であるか否かを判断する時間判断処理を行う。ステップS22において、制御部11は、時間判断処理に加えて又は時間判断処理に代えて、乗員PS[3]の下車予定地点までの残り距離dRが所定距離dTH以下であるか否かを判断する距離判断処理を行っても良い。
【0081】
ステップS22にて時間判断処理が実行される場合において、残り時間t
Rが所定時間t
TH以下であるならば(ステップS22のY)ステップS22からステップS23に進み、そうでないならば(ステップS22のN)ステップS22にて時間判断処理が繰り返される。ステップS22にて距離判断処理が実行される場合において、残り距離d
Rが所定距離d
TH以下であるならば(ステップS22のY)ステップS22からステップS23に進み、そうでないならば(ステップS22のN)ステップS22にて距離判断処理が繰り返される。第2実施例では、残り時間t
Rが所定時間t
TH以下となること又は残り距離d
Rが所定距離d
TH以下となることが上記ミスト発生条件の成立に相当する(
図6のステップS2参照)。
【0082】
ステップS23において、制御部11は、乗員PS[3]に対応するミスト発生器21CDにミストを発生させることで(即ち当該ミスト発生器21CDを作動させることで)ミストディスプレイ61を形成し、更に、プロジェクタ31C及び31Dからミストディスプレイ61へ映像を投影させることでミストディスプレイ61での映像の表示を開始させる。ミストディスプレイ61における映像の表示は、ミストディスプレイ61のスクリーン61Cにおける映像VCの表示と、ミストディスプレイ61のスクリーン61Dにおける映像VDの表示と、を含む。表示される映像の例は後述される。
【0083】
ステップS23にてミストディスプレイ61の形成並びに映像VC及びVDの表示が開始された後、後述のステップS25に至るまで、ミスト発生器21CDの作動状態は継続し(従ってミストディスプレイ61は存続し)且つ映像VC及びVDの表示は継続される。ステップS23の後、ステップS24に進む。
【0084】
制御部11は、ステップS23にてミスト発生器21CDの作動を開始させた後、カメラ41Cの撮影画像データに基づき、乗員PS[3]が車両CRから降りたか否かを継続的に監視する。ステップS24において、制御部11は、乗員PS[3]が車両CRから降りたか否かを判断する。そして、乗員PS[3]が車両CRから降りたと判断された場合には(ステップS24のY)ステップS24からステップS25に進み、そうでない場合には(ステップS24のN)ステップS24の判断処理が繰り返される。
【0085】
車両CRが、乗員PS[3]の下車予定地点にて停車し且つ車両CRの車室内と車外とを隔てるドア(不図示)が開いた状態で、乗員PS[3]が座席ST[3]から離れたことがカメラ41Cの撮影画像データに基づき検出されたとき、制御部11は、乗員PS[3]が車両CRから降りたと判断して良い。尚、カメラ41Cの撮影画像データに関係なく、乗員PS[3]の下車予定地点に車両CRが到着した時点で、又は、乗員PS[3]の下車予定地点にて車両CRが停車した時点で、ステップS24からステップS25への遷移を発生させても良い。第2実施例では、乗員PS[3]の下車予定地点にて乗員PS[3]が車両CRから降りたと判断されること、乗員PS[3]の下車予定地点に車両CRが到着すること、又は、乗員PS[3]の下車予定地点にて車両CRが停車することが上記ミスト終了条件の成立に相当する(
図6のステップS4参照)。
【0086】
ステップS25において、制御部11は、ミスト発生器21CDでのミスト発生を停止させる(即ちミスト発生器21CDの状態を作動状態から非作動状態に切り替える)。これにより、ミストディスプレイ61が消失し、故にミストディスプレイ61での映像の表示(映像VC及びVDの表示)も停止される。制御部11は、ステップS25において、プロジェクタ31C及び31Dの動作も停止させる(即ちプロジェクタ31C及び31Dの状態を作動状態から非作動状態に切り替える)。ステップS25の処理を経て、乗員PS[3]に注目した
図10の動作は終了する。
【0087】
ステップS23に進むことでミスト発生器21CDによりミストが発生される期間を、以下、特に、下車対応ミスト発生期間と称する。下車対応ミスト発生期間において、制御部11は、乗員PS[3]の予定に関連した映像が映像VCとしてスクリーン61Cに表示されるようプロジェクタ31Cに映像信号を供給する。乗員PS[3]の予定に関連した映像のスクリーン61Cでの表示は、下車対応ミスト発生期間の一部においてのみ実施されるものであっても良い。
【0088】
図11に乗員PS[3]の予定に関連した映像の例である映像VC_2を示す。
図11の例において映像VC_2がスクリーン61Cに表示される。映像VC_2は、乗員PS[3]の下車予定時刻と現在時刻との時間差に基づく第1通知情報を含んでいると良い。第1通知情報は、車両CRがまもなく乗員PS[3]の下車予定地点に到着することを示す第1メッセージ、及び、下車準備を促すことを示す第2メッセージを含んでいると良い。第1メッセージは、残り時間t
Rを具体的に示すメッセージ(例えば「あと5分で下車します」)であっても良い。第1メッセージは、残り時間t
Rを具体的に示さないメッセージ(例えば「まもなく下車予定地点に到着します」)であっても良い。何れにせよ、第1メッセージは上記時間差に基づく情報である(表現“まもなく”は、時間差が所定値以下であることに対応した表現である)。また、映像VC_2は、第1通知情報に加えて又は第1通知情報に代えて、乗員PS[3]の下車予定地点に関わる第2通知情報を含んでいると良い。第2通知情報は、例えば、下車予定地点における現在の天気(気温を含む)及び天気の予報を含む。また、第2通知情報は、下車予定地点における乗り換え案内(下車予定地点からの交通機関の利用の案内)を含んでいても良い。
【0089】
尚、制御部11は、映像VC_2をスクリーン61Cに表示させる際、その表示に加えて、映像VC_2により示される情報(例えば上記第1及び第2メッセージ)を乗員PS[3]に音声通知するようにしても良い。音声通知は、車両CRに設置されたスピーカ(不図示)から出力されても良いし、乗員PS[3]が所持する端末装置(スマートホン等;不図示)から出力されても良い。
【0090】
乗員PS[3]に関する下車対応ミスト発生期間において、制御部11は、スクリーン61Dに所定の基準映像を映像VDとして表示させて良い。
【0091】
上述の如く、第2実施例では、乗員PS[3]の下車予定時刻までの残り時間tR又は乗員PS[3]の下車予定地点までの残り距離dRに応じてミストを発生させるかを判断及び制御する。これにより、下車が近づいているときにミストを発生させるといったことが可能となり、下車が近づいていることを乗員PS[3]に知らせることが可能となる。結果、乗員PS[3]が下車予定地点に到着してから焦って下車準備を開始するような状況が抑制され、また下車忘れの防止にもつながる。
【0092】
具体的には、ミストによる間仕切りをミストディスプレイ61として用い、ミストディスプレイ61に乗員PS[3]の予定に関連した映像(VC_2)を表示させると良い。これにより、ミストディスプレイ61を用いて下車が近づいていることを乗員PS[3]に知らせることが可能となる。結果、乗員PS[3]が下車予定地点に到着してから焦って下車準備を開始するような状況が抑制され、また下車忘れの防止にもつながる。
【0093】
この際、乗員PS[3]の予定に関連した映像(VC_2)に上述の第1通知情報又は第2通知情報を含めておけば、車両CRから下車後における乗員PS[3]のスケジュール調整等が支援され、利便性が高い。
【0094】
尚、ステップS23に至る以前では、ミスト発生器21CDは非作動状態にあり、従ってミストディスプレイ61は形成されていない。但し、第1及び第2実施例を組み合わせることも可能であり、第1及び第2実施例を組み合わせた場合において、ステップS23に至る前に乗員PS[3]の行動が特定種類の行動と合致すると判断された場合には(
図7のステップS12のY)、第1実施例で述べた方法に従い、ミストディスプレイ61の形成、及び、乗員PS[3]の行動に関連した映像(例えば
図8の映像VC_1a)のスクリーン61Cでの表示が行われる。乗員PS[3]の行動に関連した映像のスクリーン61Cでの表示が行われている最中に、残り時間t
Rが所定時間t
TH以下になった場合又は残り距離d
Rが所定距離d
TH以下になった場合には、ステップS23への遷移が発生して、乗員PS[3]の予定に関連した映像(例えば
図11の映像VC_2)がスクリーン61Cに表示されると良い。
【0095】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。座席ST[1]~ST[6]の夫々に乗員からの所定操作を受け付ける操作部材(不図示)が設けられていても良い。この操作部材は
図2のインターフェースブロック50の構成要素に含まれる。乗員PS[i]は座席ST[i]に設けられた操作部材を操作することで、座席ST[i]に対応するミストディスプレイの形成又は非形成を指示できて良く、制御部11は、その指示に基づいて各ミスト発生器21の作動又は非作動を制御して良い。
【0096】
例えば、乗員PS[3]は座席ST[3]に設けられた操作部材を操作することでミストディスプレイ61の形成又は非形成を指示できて良く、制御部11は、その指示に基づいてミスト発生器21CDの作動又は非作動を制御して良い。
【0097】
この際、座席ST[3]の操作部材への操作に基づく指示は、
図7又は
図10に示した動作よりも優先されて良い。従って例えば、座席ST[3]の操作部材に対して所定の第1操作が入力されると、制御部11は、
図7のステップS12からステップS13に至るための条件の成否に関係なく、且つ、
図10のステップS22からステップS23に至るための条件の成否に関係なく、ミスト発生器21CDを作動させてミストディスプレイ61を形成させる。このミストディスプレイ61に表示される映像の内容(スクリーン61Cの映像の内容)も、座席ST[3]の操作部材への入力操作に基づき決定されて良い。また例えば、ミスト発生器21CDを作動しているときにおいて座席ST[3]の操作部材に対して所定の第2操作が入力されると、制御部11は、
図7のステップS14からステップS15に至るための条件の成否に関係なく、且つ、
図10のステップS24からステップS25に至るための条件の成否に関係なく、ミスト発生器21CDを非作動状態に切り替える。
【0098】
第1又は第2実施例の方法により必要と推定されるミストディスプレイをシステムSYSが自動で形成するが、これとは別に、各個人の判断でミストディスプレイの形成又は非形成を自由に決めることができるので、利便性が高い。
【0099】
また、座席ST[3]及び座席ST[3]上の乗員PS[3]を視野に収めるカメラ41の撮影画像に基づき、制御部11は、乗員PS[3]が座席ST[3]に座ったか否かを判断して良い。そして、制御部11は、乗員PS[3]が座席ST[3]に座っていない状態から座席ST[3]に座っている状態への変化を検出したとき、乗員PS[3]についてミスト発生条件が成立したと判断し、ミスト発生器21CDを作動させてミストディスプレイ61を形成するようにしても良い。
【0100】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。或る乗員についてミスト発生条件が成立するとき、当該乗員に対応する複数のミストディスプレイが形成されるようにしても良い。
【0101】
即ち例えば乗員PS[3]についてミスト発生条件が成立するとき、乗員PS[3]に対応する第1~第Jミスト発生器21を作動させることで第1~第Jミストディスプレイを形成し、投影ブロック30を用いて第1~第Jミストディスプレイの夫々に映像を表示させるようにしても良い。ここで、Jは2以上の整数を表す。
【0102】
乗員PS[3]に対応する第1~第Jミスト発生器21は第1~第3ミスト発生器21であって良い(即ち“J=3”)。この場合、第1ミスト発生器21はミスト発生器21CDであって且つ第1ミストディスプレイはミストディスプレイ61である。そして、第2ミストディスプレイは、座席ST[1]及びPS[3]間に形成されるミストディスプレイであって、第3ミストディスプレイは、座席ST[3]及びPS[5]間に形成されるミストディスプレイである。第1~第3ミストディスプレイにより、座席ST[3]及びST[4]間と、座席ST[3]及びST[1]間と、座席ST[3]及びST[5]間とに、夫々、ミストによる間仕切りが形成されることになる。投影ブロック30は、制御部11の制御の下、第1~第3ミストディスプレイの各スクリーンに映像を投影する。
【0103】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。第5実施例では、上述した事項に対する幾つかの補足事項、応用技術及び変形技術等を説明する。
【0104】
ミストディスプレイ61に表示される映像の例を第1及び第2実施例で説明したが、ミストディスプレイ61に表示される映像(VC、VD)の例は様々に変形可能である。特に第1実施例において、ミストディスプレイ61に表示される映像は任意であっても良く、食事対応ミスト発生期間及び睡眠対応ミスト発声期間にてミストディスプレイ61のスクリーン61Cに表示される映像VCは、映像VDと同様に、所定の基準映像であって良い。映像VCが乗員PS[3]の行動に関連した映像でなくとも、ブラインド作用によるプライバシ保護等が図られる。
【0105】
乗員PS[3]に注目して座席ST[3]及びST[4]間のミストディスプレイ61の発生タイミング及びミストディスプレイ61に表示される映像の例を上述したが、乗員PS[3]以外の各乗員についても、乗員PS[3]と同様であって良い。
【0106】
システムSYSの構成要素は全て車両CRに設置されていても良いが、システムSYSの構成要素の一部は車両CRの外部に設けられるものであっても良い。例えば、処理ブロック10は車両CRの外部に設けられるものであっても良く、この場合、車両CRの外部に設けられた制御部11が、通信処理部13を通じてブロック20~50の夫々と通信することにより、各ミスト発生器21及び各プロジェクタ31の制御並びに各カメラ41からの画像データの取得を実現すると共にインターフェースブロック50への入力操作内容を認識すれば良い。
【0107】
本発明を任意の種類の乗り物に適用することができる。乗合自動車としての車両CRは乗り物の一例である。本発明に係る乗り物は、例えば、航空機、船舶、汽車又は電車であっても良い。
【0108】
図2のシステムSYSは乗り物に用いられるパーテーション装置を内包する。パーテーション装置は、ブロック10~50の全部又は一部を構成要素として含む装置であると解される。パーテーション装置は、少なくとも1つのミスト発生器21と制御部11とを備える。座席ST[3]及びST[4]間に注目すれば、パーテーション装置は、ミスト発生器21CDと制御部11とを備える。
【0109】
パーテーション装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。パーテーション装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムをパーテーション装置に搭載可能なメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、パーテーション装置に搭載可能なマイクロコンピュータであって、例えば制御部11のCPU)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしても良い。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶されうる。上記プログラムを記憶する記録媒体はパーテーション装置と異なる機器に搭載又は接続されても良い。
【0110】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0111】
CR 車両
ST[1]~ST[6] 座席
PS[1]~PS[6] 乗員
SYS システム(映像パーテーションシステム)
10 処理ブロック
11 制御部
12 記憶部
13 通信処理部
20 ミスト発生ブロック
21、21CD ミスト発生器
30 投影ブロック
31、31C、31D プロジェクタ
40 カメラブロック
41、41C、41D カメラ
50 インターフェースブロック
61 ミストディスプレイ
61C、61D スクリーン
VC、VD 映像