(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185637
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】光偏向器
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20221208BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093379
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 誠
(72)【発明者】
【氏名】小山 孝明
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
【Fターム(参考)】
2H045AB06
2H045AB13
2H045AB24
2H045AB25
2H045AB38
2H045AB81
2H045BA12
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC09
2H141MD13
2H141MD20
2H141MD24
2H141MF10
2H141MZ02
(57)【要約】
【課題】ミラー部の振角効率が低下するのを抑制しつつ、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができる光偏向器を提供する。
【解決手段】光偏向器10であって、ミラー部2を第2支持部6に対して第2軸Xを中心に揺動させる少なくとも1つの第2アクチュエータ53、54を備え、前記第2アクチュエータは、前記第2軸の方向に配置された複数の圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gを含み、前記複数の圧電カンチレバーは、蛇腹形状に連結されており、前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバー53G、54G以外の圧電カンチレバーのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離D3は、前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離D2より短い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部と、
第1軸を中心に揺動できるように前記ミラー部を支持する第1支持部と、
前記第1軸と交差する第2軸を中心に揺動できるように前記第1支持部を支持する第2支持部と、
前記ミラー部を前記第1支持部に対して前記第1軸を中心に揺動させる少なくとも1つの第1アクチュエータと、
前記第1支持部及び当該第1支持部に支持された前記ミラー部を前記第2支持部に対して前記第2軸を中心に揺動させる少なくとも1つの第2アクチュエータと、を備え、
前記第2アクチュエータは、前記第2軸の方向に配置された複数の圧電カンチレバーを含み、
前記複数の圧電カンチレバーは、各々の圧電カンチレバーが隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように蛇腹形状に連結されており、
前記圧電カンチレバーのうち前記ミラー部から最も近い圧電カンチレバーの自由端は、前記第1支持部に連結されており、
前記圧電カンチレバーのうち前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバーの自由端は、前記第2支持部に連結されており、
前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバー以外の圧電カンチレバーのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離は、前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離より短い光偏向器。
【請求項2】
前記複数の圧電カンチレバーのうち前記ミラー部に近い圧電カンチレバーほど、当該圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離が短い請求項1に記載の光偏向器。
【請求項3】
前記第2支持部は、前記第1支持部、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータを囲むように設けられ、かつ、前記複数の圧電カンチレバーの折り返し端が対向する複数の部分を含み、
前記複数の部分は、それぞれ、当該部分が対向する圧電カンチレバーの折り返し端近傍まで延びている請求項1又は2に記載の光偏向器。
【請求項4】
前記蛇腹形状の前記圧電カンチレバー同士を折り返すように連結する連結部は前記第2軸に対して平行に延伸した形状である請求項1から3のいずれか1項に記載の光偏向器。
【請求項5】
前記ミラー部から奇数番目の前記圧電カンチレバーの長さの合計と、前記ミラー部から偶数番目の前記圧電カンチレバーの長さの合計は等しい請求項1から4のいずれか1項に記載の光偏向器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏向器に関し、特に、ミラー部の振角効率が低下するのを抑制しつつ、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができる光偏向器に関する。
【背景技術】
【0002】
ミラー部と、このミラー部を揺動させるためアクチュエータとして、蛇腹形状に連結された複数の圧電カンチレバーを含むアクチュエータと、を備えた光偏向器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これに対して、本発明者らは、外部振動が光偏向器に加えられた場合であっても、当該外部振動により光偏向器が影響を受けるのを抑制するため、蛇腹形状に連結された圧電カンチレバー(複数)の長さを短くすることを検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、蛇腹形状に連結された圧電カンチレバー(複数)の長さを短くすることにより、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができるものの、ミラー部の振角効率が大きく低下してしまうとういう課題を見出した。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、ミラー部の振角効率が低下するのを抑制しつつ、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができる光偏向器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる光偏向は、ミラー部と、第1軸を中心に揺動できるように前記ミラー部を支持する第1支持部と、前記第1軸と交差する第2軸を中心に揺動できるように前記第1支持部を支持する第2支持部と、前記ミラー部を前記第1支持部に対して前記第1軸を中心に揺動させる少なくとも1つの第1アクチュエータと、前記第1支持部及び当該第1支持部に支持された前記ミラー部を前記第2支持部に対して前記第2軸を中心に揺動させる少なくとも1つの第2アクチュエータと、を備え、前記第2アクチュエータは、前記第2軸の方向に配置された複数の圧電カンチレバーを含み、前記複数の圧電カンチレバーは、各々の圧電カンチレバーが隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように蛇腹形状に連結されており、前記圧電カンチレバーのうち前記ミラー部から最も近い圧電カンチレバーの自由端は、前記第1支持部に連結されており、前記圧電カンチレバーのうち前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバーの自由端は、前記第2支持部に連結されており、前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバー以外の圧電カンチレバーのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離は、前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離より短い。
【0008】
このような構成により、ミラー部の振角効率が低下するのを抑制しつつ、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができる。
【0009】
1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができるのは、ミラー部から最も遠い圧電カンチレバー以外の圧電カンチレバーのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの折り返し端と第2軸との間の距離を、前記ミラー部から最も遠い圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離より短くしたことによるものである。すなわち、これにより、ミラー部から最も遠い圧電カンチレバー以外の圧電カンチレバーのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの剛性が、ミラー部から最も遠い圧電カンチレバーの剛性より相対的に高くなることによるものである。
【0010】
ミラー部の振角効率が低下するのを抑制することができるのは、ミラー部から遠い圧電カンチレバーほど、剛性が相対的に低くなる(屈曲変形しやすくなる)ことによるものである。
【0011】
また、上記光偏向器において、前記複数の圧電カンチレバーのうち前記ミラー部に近い圧電カンチレバーほど、当該圧電カンチレバーの折り返し端と前記第2軸との間の距離が短くてもよい。
【0012】
また、前記第2支持部は、前記第1支持部、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータを囲むように設けられ、かつ、前記複数の圧電カンチレバーの折り返し端が対向する複数の部分を含み、前記複数の部分は、それぞれ、当該部分が対向する圧電カンチレバーの折り返し端近傍まで延びていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ミラー部の振角効率が低下するのを抑制しつつ、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができる光偏向器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1の光偏向器のI-I線端面を模式的に示す図、(b)II-II線端面を模式的に示す図である。
【
図3】第3駆動電圧Vx1(駆動信号P)と第4駆動電圧Vx2(駆動信号N)の一例である。
【
図4】(a)光偏向器の圧電アクチュエータが作動していない状態を示し、(b)圧電アクチュエータが作動している状態を示す図である。
【
図6】(a)第1比較例の光偏向器10A、(b)第2比較例の光偏向器10Bである。
【
図8】光偏向器10の変形例について説明する図である。
【
図9】光偏向器10の他の変形例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態である光偏向器10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0016】
本実施形態の光偏向器10は、圧電方式(1軸非共振・1軸共振タイプ)の光偏向器で、例えば、MEMSスキャナである。
【0017】
以下、説明の都合上、圧電方式(1軸非共振・1軸共振タイプ)の光偏向器の基本構成について説明し、その後に、本実施形態の光偏向器10について説明する。
<光偏光器の基本構成>
図1は、光偏向器1(基本構成)の斜視図である。
【0018】
図1に示すように、光偏向器1は、ミラー部2と、一対の第1圧電アクチュエータ31,32と、第1支持部4と、一対の第2圧電アクチュエータ51,52と、第2支持部6とを備える。
【0019】
ミラー部2は、入射した光を反射する円形の反射面2aと、反射面2aを支持する円形の反射面支持体2bとを備える。
【0020】
反射面支持体2bは、シリコン基板で構成される。反射面支持体2bには、その両端から外側へ延びた一対のトーションバー21,22が連結されている。
【0021】
第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが半円弧形状に形成され、互いにミラー部2を囲むように空隙を隔てて配置されている。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれの一方の端部が一方のトーションバー21を挟んで対向して連結され、それぞれの他方の端部が他方のトーションバー22を挟んで対向して連結されている。
【0022】
第1支持部4は、矩形の枠形状に形成されており、ミラー部2と第1圧電アクチュエータ31,32とを囲むように設けられている。第1支持部4は、第1圧電アクチュエータ31,32の円弧部の中心位置の外側に連結されており、第1圧電アクチュエータ31,32を介してミラー部2を支持している。
【0023】
第2圧電アクチュエータ51,52は、第1支持部4を挟んで対向して配置されている。第2圧電アクチュエータ51,52は、それらの先端部が、第1支持部4のトーションバー21,22と直交する方向の一対の両側にそれぞれ連結されている。
【0024】
第2支持部6は、矩形の枠形状に形成されており、第1支持部4と第2圧電アクチュエータ51,52とを囲むように設けられている。第2支持部6には、第2圧電アクチュエータ51,52の、第1支持部4と連結されていない側の一対の他端がそれぞれ連結されている。これにより、第2支持部6は、第2圧電アクチュエータ51,52を介して第1支持部4を支持している。
【0025】
次に、第1圧電アクチュエータ31,32の詳細な構成について説明する。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された第1圧電カンチレバー31A,32Aを備える。詳細には、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの一方の第1圧電アクチュエータ31が一方の第1圧電カンチレバー31Aを備え、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの他方の第1圧電アクチュエータ32が他方の第1圧電カンチレバー32Aを備える。第1圧電アクチュエータ31,32は、第1圧電カンチレバー31A,32Aの屈曲変形により、トーションバー21,22を介して、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動可能となっている。
【0026】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52の詳細な構成について説明する。第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dを備える。詳細には、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの一方の第2圧電アクチュエータ51は、4つの圧電カンチレバーからなる一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dで構成される。また、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの他方の第2圧電アクチュエータ52は、4つの圧電カンチレバーからなる他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dで構成される。
【0027】
一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dは、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X(第1軸Yに直交する軸。但し、正確に直交している必要はない。)周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。第2軸Xは、本発明の揺動軸の一例である。
【0028】
他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dは、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dと同様に、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0029】
このように、一方の第2圧電アクチュエータ51及び他方の第2圧電アクチュエータ52は、それを形成する一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dが、所謂ミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されている。
【0030】
一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dのうちのミラー部2側(第1支持部4側)に配置されているカンチレバー(以下、「1番目の第2圧電カンチレバー」という)51A,52Aは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「2番目の第2圧電カンチレバー」という)51B,52Bと連結されていない側のそれぞれの一端(自由端)が第1支持部4の外周部に連結されている。
【0031】
同様に、一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dのうちの第2支持部6側に配置されている圧電カンチレバー(以下、「4番目の第2圧電カンチレバー」という)51D,52Dは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「3番目の第2圧電カンチレバー」という)51C,52Cと連結されていない側のそれぞれの一端(自由端)が第2支持部6の内周部に連結されている。
【0032】
これにより、第1支持部4は、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの屈曲変形によって、第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動可能となっている。
【0033】
以降、一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち、ミラー部2から数えて奇数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(1番目の第2圧電カンチレバー51A,52A及び3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C)を奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cという。
【0034】
また、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dに含まれるものを一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cといい、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dに含まれるものを他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cという。
【0035】
同様に、一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち、ミラー部2から数えて偶数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(2番目の第2圧電カンチレバー51B,52B及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52D)を偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dという。
【0036】
また、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dに含まれるものを一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dといい、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dに含まれるものを他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dという。
【0037】
図2は、光偏向器1の模式的な端面図を示す。
図2(a)は、
図1のI-I線端面図を示す。但し、
図2(a)では、第2支持部6を省略して示している。
図2(b)は、
図1のII-II線端面図を示す。但し、
図2(b)では、第2支持部6、及び一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dを省略して示している。
【0038】
3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cは、1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aと同じ構成である。同様に、4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dは、2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bと同じ構成である。
【0039】
第1圧電アクチュエータ31,32を構成する第1圧電カンチレバー31A,32Aのそれぞれと、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのそれぞれとは、起歪体(カンチレバー本体)としての支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造の圧電カンチレバーである。
【0040】
なお、圧電カンチレバーの詳細な構造は、支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3が積層されており、これらの下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3を囲むように層間絶縁膜M1が設けられている。そして、層間絶縁膜M1上に上部電極配線Wが積層され、この上部電極配線Wを囲むようにパッシベーション膜M2が設けられている。
【0041】
なお、上部電極配線Wは、後述するように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxがあり、これらを特に区別する必要が無いときは、上部電極配線Wという。
【0042】
これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dの圧電体L2は、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加されることで、圧電駆動により屈曲変形する。これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dは、圧電体L2の屈曲変形に伴って、屈曲変形する。
【0043】
なお、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのそれぞれの隣り合う圧電カンチレバーの連結部は、その隣り合う圧電カンチレバーのそれぞれの支持体Bを一体に連結した部分となっており、その連結部には圧電体L2及び上部電極L3の層は設けられていない。
【0044】
第1支持部4上には、第1検知部71y,72yと、第2検知部71x,72xとが設けられている。第1検知部71y,72yは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第2軸Xに平行な辺(第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの各圧電カンチレバーの長手方向の辺に直交する辺)に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。
【0045】
第2検知部71x,72xは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第1軸Yに平行な辺に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xは、平面的に互いに分離して設けられている。
【0046】
第1検知部71y,72yは、第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動によって、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第1振動を検知するためのセンサとして設けられている。第2検知部71x,72xは、第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動によって、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第2振動を検知するためのセンサとして設けられている。
【0047】
第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xは、第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dと同様に、第1支持部4を構成する支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造になっている。なお、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xにおいても、各圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dと同様に、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0048】
そして、第1支持部4に第1振動又は第2振動が伝達されることで、第1支持部4が屈曲変形したときに、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2がこの屈曲変形の変形量に応じた電圧を出力する。光偏向器1は、このときの電圧値によって、第1支持部4に伝達された振動を検知することができる。
【0049】
本実施形態の光偏向器1の第1支持部4は、ミラー部2を第1軸Y周りで揺動しているときには、第2軸Xに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第1検知部71y,72yを当該2辺の中央部に配置している。また、第1支持部4を第2軸X周りで揺動しているときには、第1軸Yに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第2検知部71x,72xを当該2辺の中央部に配置している。
【0050】
光偏向器1は、第2支持部6上に、下部電極パッド61a,62aと、第1上部電極パッド61b,62bと、奇数用第2上部電極パッド61c,62cと、偶数用第2上部電極パッド61d,62dと、第1検知用電極パッド61eと、第2検知用電極パッド62eとを備える。
【0051】
下部電極パッド61a,62aのうちの一方の下部電極パッド61aは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの下部電極L1、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dの下部電極L1、及び第1検知部71y,72yの下部電極L1に電気的に接続されている。下部電極パッド61a,62aのうちの他方の下部電極パッド62aは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの下部電極L1、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に電気的に接続されている。
【0052】
このように、下部電極パッド61a,62aは、第1圧電アクチュエータ31,32、第2圧電アクチュエータ51,52、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xで共通の電極パッドとしている。
【0053】
第1上部電極パッド61b,62bのうちの一方の第1上部電極パッド61bは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの上部電極L3に電気的に接続されている。第1上部電極パッド61b,62bのうちの他方の第1上部電極パッド62bは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0054】
奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの一方の奇数用第2上部電極パッド61cは、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cの上部電極L3に電気的に接続されている。奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの他方の奇数用第2上部電極パッド62cは、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0055】
偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの一方の偶数用第2上部電極パッド61dは、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dの上部電極L3に電気的に接続されている。偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの他方の偶数用第2上部電極パッド62dは、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0056】
第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に電気的に接続されている。第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0057】
以上のような電気的接続により、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加された場合に、この印加された上部電極L3と下部電極L1との間に積層された圧電体L2が圧電駆動により屈曲変形する。これにより、この屈曲変形した圧電体L2に応じた支持体B(圧電カンチレバー)が屈曲変形する。
【0058】
また、後述するように、第1支持部4は、伝達された振動による屈曲変形による圧電効果によって第1検知部71y,72yから発生した電圧が、第1検知用電極パッド61eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。同様に、この第1支持部4の屈曲変形による圧電効果によって第2検知部71x,72xから発生した電圧が、第2検知用電極パッド62eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。
【0059】
一対の下部電極パッド61a,62aと、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1とは、シリコン基板(熱酸化膜付シリコン基板)上の金属薄膜(本実施形態では2層の金属薄膜、以下、下部電極層ともいう)を、半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成される。この金属薄膜の材料としては、例えば、1層目(下層)にはチタン(Ti)、二酸化チタン(TiO2)又は酸化量が調整された酸化チタン(TiOx)が用いられ、2層目にはPt(メインの電極)が用いられ、3層目にはLaNiO3・SrRuO3が用いられる。
【0060】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1は、当該第1圧電カンチレバー31A,32Aの支持体B上のほぼ全面に形成される。第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの下部電極L1は、当該第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの支持体B上(各圧電カンチレバーが延在する直線部と連結部とを合わせた全体)のほぼ全面に形成される。
【0061】
第1検知部71y,72yの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第1検知部71y,72yが配置される部分に形成される。第2検知部71x,72xの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第2検知部71x,72xが配置される部分に形成される。また、第2支持部6上においても同様に、下部電極L1、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0062】
そして、下部電極パッド61a,62aは、第2支持部6上及び第1支持部4上に形成された下部電極L1を介して、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの下部電極L1、第1検知部71y,72yの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に、上述したように導通される。
【0063】
第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの圧電体L2は、半導体プレーナプロセスを用いて、下部電極層上の1層の圧電膜(以下、圧電体層ともいう)を形状加工することにより、それぞれの圧電カンチレバーの下部電極L1上に互いに分離して形成されている。この圧電膜の材料としては、例えば、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。
【0064】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの圧電体L2は、各第1圧電カンチレバー31A,32A毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの圧電体L2は、各第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの延在部分(直線部)において、下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第1検知部71y,72yの圧電体L2は、各第1検知部71y,72y毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2検知部71x,72xの圧電体L2は、各第2検知部71x,72x毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。
【0065】
「第1上部電極パッド61b,62b、奇数用第2上部電極パッド61c,62c、偶数用第2上部電極パッド61d,62d、第1検知用電極パッド61e、及び第2検知用電極パッド62e」と、「第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3」と、これらを導通する上部電極配線Wは、半導体プレーナプロセスを用いて、圧電体層上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜。以下、上部電極層ともいう)を形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)、又はアルミ合金(Al合金)等が用いられる。
【0066】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3は、各圧電カンチレバー毎又は各検知部毎の圧電体L2上のほぼ全面に形成されている。
【0067】
そして、第1上部電極パッド61b,62bは、それぞれ、第1圧電カンチレバー31A,32Aの上部電極L3に、第1駆動用上部電極配線Wyを介して、上述したように導通される。また、奇数用第2上部電極パッド61c,62cは、それぞれ、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cの上部電極L3に、第2駆動用奇数上部電極配線Woを介して、上述したように導通される。また、偶数用第2上部電極パッド61d,62dは、それぞれ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dの上部電極L3に、第2駆動用偶数上部電極配線Weを介して、上述したように導通される。
【0068】
また、第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に、第1検知用上部電極配線Wmyを介して、上述したように導通される。また、第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に、第2検知用上部電極配線Wmxを介して、上述したように導通される。
【0069】
図2に示されるように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxは、平面的に互いに分離して設けられている。また、上部電極配線Wは、上部電極L3との間に形成された層間絶縁膜M1によって絶縁されており、上部電極配線Wを上部電極L3に導通する場合には、当該上部電極配線Wと当該上部電極L3とを導通可能に層間絶縁膜M1に導通部材(例えば、電極ビア等)が形成される。
【0070】
また、パッシベーション膜M2は、半導体プレーナプロセスを用いて、上部電極配線W上に、当該上部電極配線Wを囲うように形成されている。
【0071】
また、反射面支持体2bと、トーションバー21,22と、支持体Bと、第1支持部4と、第2支持部6とは、複数の層から構成される半導体基板(シリコン基板)を形状加工することにより一体的に形成されている。半導体基板を形状加工する手法としては、フォトリソグラフィ技術やドライエッチング技術等を利用した半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスが用いられる。
【0072】
次に、本実施形態の光偏向器1の作動について説明する。まず、第1圧電アクチュエータ31,32により、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させる場合について説明する。
【0073】
この場合には、光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第1圧電アクチュエータ31では、一方の第1上部電極パッド61bと一方の下部電極パッド61aとの間に第1駆動電圧Vy1を印加して、一方の第1圧電カンチレバー31Aを駆動させる。また、他方の第1圧電アクチュエータ32では、他方の第1上部電極パッド62bと他方の下部電極パッド62aとの間に第2駆動電圧Vy2を印加して、他方の第1圧電カンチレバー32Aを駆動させる。ここで、第1駆動電圧Vy1と第2駆動電圧Vy2とは、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。
【0074】
このとき、第1駆動電圧Vy1及び第2駆動電圧Vy2の揺動用の電圧成分は、第1圧電アクチュエータ31,32の垂直方向(
図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、一方の第1圧電カンチレバー31Aと他方の第1圧電カンチレバー32Aとの角度変位が逆方向に発生するように印加する。
【0075】
例えば、第1軸Y周りに揺動するときに、一方の第1圧電アクチュエータ31を上方向に変位させる場合には、一方の第1圧電カンチレバー31Aを上方向に変位させる。一方の第1圧電アクチュエータ31を下方向に変位させるには、一方の第1圧電カンチレバー31Aを下方向に変位させる。
【0076】
また、他方の第1圧電アクチュエータ32についても一方の第1圧電アクチュエータ31と同様に、他方の第1圧電アクチュエータ32を上方向に変位させる場合には、他方の第1圧電カンチレバー32Aを上方向に変位させる。他方の第1圧電アクチュエータ32を下方向に変位させるには、他方の第1圧電カンチレバー32Aを下方向に変位させる。
【0077】
本実施形態の光偏向器1では、「一方の第1圧電アクチュエータ31を上方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32を下方向に変位させること」か、又は「一方の第1圧電アクチュエータ31を下方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32を上方向に変位させること」で、第1軸Y周りで揺動するとき、大きな偏向角を得ている。ここで、第1駆動電圧Vy1と第2駆動電圧Vy2は2次モード以上の高次モードの周波数付近の周波数を有すことで共振駆動にて揺動させることができる。このように、本実施形態では、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動することができ、所定の第1周波数Fyで所定の第1偏向角の光走査をすることができる。
【0078】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52により、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させる場合について説明する。
【0079】
この場合には、光偏向器1は、第2圧電アクチュエータ51,52に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の奇数用第2上部電極パッド61cと一方の下部電極パッド61aとの間に第3駆動電圧Vx1を印加して、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cを駆動させる。これと共に、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の偶数用第2上部電極パッド61dと一方の下部電極パッド61aとの間に第4駆動電圧Vx2を印加して、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dを駆動させる。
【0080】
更に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の奇数用第2上部電極パッド62cと他方の下部電極パッド62aとの間に第3駆動電圧Vx1を印加して、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cを駆動させる。これと共に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の偶数用第2上部電極パッド62dと他方の下部電極パッド62aとの間に第4駆動電圧Vx2を印加して、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dを駆動させる。
【0081】
ここで、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2は、互いに逆位相の交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。
図3は、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2の一例である。
図3中、実線で記載したノコギリ波が第3駆動電圧Vx1の一例である。以下、第3駆動電圧Vx1を第1駆動信号Pとも呼ぶ。また、
図3中、一点鎖線で記載したノコギリ波が第4駆動電圧Vx2の一例である。以下、第4駆動電圧Vx2を第2駆動信号Nとも呼ぶ。なお、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2は、互いに位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)であってもよい。光偏向器1により投影される映像の画角及び偏向方向は2つの駆動信号(第1駆動信号P、第2駆動信号N)の少なくとも一方の振幅及びオフセット量を変更することで可変できる。これにより、揺動の角度やオフセットされる角度を制御することができる。
【0082】
このとき、第3駆動電圧Vx1及び第4駆動電圧Vx2の揺動用の電圧成分は、第2圧電アクチュエータ51,52の垂直方向(
図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとの角度変位が、逆方向に発生するように設定される。
【0083】
例えば、第2軸X周りに揺動するとき、第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を上方向(
図1に示す方向U)に変位させる場合には、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを上方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを下方向に変位させる。第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を下方向に変位させるには、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを下方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを上方向に変位させる。
【0084】
これにより、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとが、互いに逆方向に屈曲変形する。
【0085】
図4は、光偏向器1の一方の第2圧電アクチュエータ51の作動を示す図である。
図4(a)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動していない状態を示し、
図4(b)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動している状態を示す。
【0086】
図4(b)に示されるように、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dは、第2支持部6と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cは、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に上方向の角度変位が発生している。
【0087】
2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bは、3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。1番目の一方の第2圧電カンチレバー51Aは、2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部(第1支持部4と連結している)に上方向の角度変位が発生している。これにより、一方の第2圧電アクチュエータ51では、各一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dの屈曲変形の大きさを加算した大きさの角度変位が発生する。
【0088】
従って、第1支持部4を第2軸X周りに揺動することができ、所定の第2周波数Fxで所定の第2偏向角の光走査をすることができる。
【0089】
また、第1支持部4を第2軸X周りに揺動する場合には、上述したように交流電圧を印加する必要はなく、直流電圧を印加してもよい。この場合、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dで発生する屈曲変形の大きさは、直流電圧の大きさに応じて線形的に変化する。従って、直流電圧の大きさを制御することで第2圧電アクチュエータ51,52から任意の出力を得ることができる。
【0090】
このように、光偏向器1では、第2軸X周りに揺動する場合には、駆動電圧として印加した直流電圧の大きさに応じて線形的に偏向角を制御することができるので、任意の速度で任意の偏向角を得ることができる。
【0091】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれがミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されている。これによって、各圧電カンチレバーの屈曲変形が累積されるように形成されている。このため、第2圧電アクチュエータ51,52は、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて大きな偏向角を得やすい。
【0092】
このため、本実施形態では、第1圧電アクチュエータ31,32によって揺動する場合には、なるべく大きな偏向角を得るために、第1圧電アクチュエータ31,32の上方向又は下方向の変位を変化させる周波数、すなわち第1周波数Fyが、光偏向器1(特に、圧電カンチレバー等)の構造や材料等によって決定される共振周波数になるように設定している。
【0093】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、ミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されており、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて揺動しやすい。このため、第2周波数Fxは、第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されている。本実施形態では、例えば、第1周波数Fyを30kHz、第2周波数Fxを60Hzに設定している。なお、第1周波数は30kHzに限らず、第2周波数Fxは60Hzに限らないが、第1周波数Fyを20kHz~40kHz、第2周波数Fxを120Hz以下とすることが好ましい。
<本実施形態の光偏向器10>
次に、本実施形態の光偏向器10について説明する。
【0094】
【0095】
図5に示すように、本実施形態の光偏向器10は、光偏向器1(
図1参照)と同様、圧電方式(1軸非共振・1軸共振タイプ)の光偏向器である。光偏向器10のサイズは、例えば、高さHが5mm、幅Wが11mmである。
【0096】
以下、光偏向器10について、光偏向器1と対比しつつ、相違点を中心に説明する。なお、光偏向器1と同様の構成については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0097】
図5に示すように、本実施形態の光偏向器10は、ミラー部2と、第1軸Yを中心に揺動できるようにミラー部2を支持する第1支持部4と、第1軸Yと交差(例えば、直交)する第2軸Xを中心に揺動できるように第1支持部4を支持する第2支持部6と、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Yを中心に揺動させる2つの第1圧電アクチュエータ31、32と、第1支持部4及び当該第1支持部4に支持されたミラー部2を第2支持部6に対して第2軸Xを中心に揺動させる2つの第2圧電アクチュエータ53、54と、を備えている。
【0098】
第2圧電アクチュエータ53、54は、第2圧電アクチュエータ51、52(
図1参照)と比べ、後述のように本数及び長さが異なる点以外、同様の構成である。
【0099】
第2圧電アクチュエータ53は、第2軸Xの方向に配置された複数の圧電カンチレバー53A~53Gを含む。圧電カンチレバー53A~53Gは、各々の圧電カンチレバーが隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように蛇腹形状に連結されている。圧電カンチレバー53A~53Gのうちミラー部2から最も近い圧電カンチレバー53Aの自由端は、第1支持部4に連結されている。圧電カンチレバー53A~53Gのうちミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53Gの自由端は、第2支持部6に連結されている。
【0100】
同様に、第2圧電アクチュエータ54は、第2軸Xの方向に配置された複数の圧電カンチレバー54A~54Gを含む。圧電カンチレバー54A~54Gは、各々の圧電カンチレバーが隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように蛇腹形状に連結されている。圧電カンチレバー54A~54Gのうちミラー部2から最も近い圧電カンチレバー54Aの自由端は、第1支持部4に連結されている。圧電カンチレバー54A~54Gのうちミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー54Gの自由端は、第2支持部6に連結されている。第2圧電アクチュエータ53、54はともに各圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gは第1軸Y方向に延在する形状である。隣り合う各圧電カンチレバー53A~53G、54A~54G同士を折り返し部分で連結する連結部は直交する第2軸X方向に延在する形状となっている。
【0101】
本実施形態の光偏向器10は、光偏向器1(
図1参照)と比べ、主に、次の点が相違する。
【0102】
第1に、第2圧電カンチレバーの数が相違する。具体的には、光偏向器1(
図1参照)においては、4つの圧電カンチレバーからなる一方の第2圧電カンチレバー51A~51D、及び、4つの圧電カンチレバーからなる他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dを備えているのに対して、本実施形態の光偏向器10においては、7つの圧電カンチレバーからなる一方の第2圧電カンチレバー53A~53G、及び、7つの圧電カンチレバーからなる他方の第2圧電カンチレバー54A~54Gを備えている。
【0103】
第2に、第2圧電カンチレバーの長さ、すなわち、第2圧電カンチレバーの折り返し端と第2軸Xとの間の距離が相違する。具体的には、光偏向器1(
図1参照)においては、一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dの折り返し端と第2軸Xとの間の距離は全てD1で同一であるのに対して、
図5に示すように、本実施形態の光偏向器10においては、ミラー部2に近い第2圧電カンチレバーほど、当該第2圧電カンチレバーの折り返し端と第2軸Xとの間の距離が短い。すなわち、ミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53G、54Gの折り返し端と第2軸Xとの間の距離D2が最も長く、ミラー部2から最も近い圧電カンチレバー53A、54Aの折り返し端と第2軸Xとの間の距離D3が最も短い。
第2圧電カンチレバーのうち53A、54Aは第1支持部4と第2軸X上で接続され、53G、54Gは第2支持部6と第2軸X上で接続されている。そのため第2圧電カンチレバーのうち53A、54A、53G、54Gは第2軸Xより上方もしくは下方のみに延在する形状となっている。
第2圧電カンチレバー53B~53E、54B~54Eは第2軸Xの上方と下方両方に延在する形状であるが、第2軸Xからの長さは異なり、非対称な形状となっている。
第2圧電カンチレバー53F、54Fは第2軸Xの上方と下方両方に延在する形状であり、第2軸Xからの長さは同一である。
第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gはともにミラー部2側から奇数番目の第2圧電カンチレバーの長さを足し合わせた長さと、ミラー部2側から偶数番目の第2圧電カンチレバーの長さを足し合わせた長さは同じになるようにしている。一方の第2圧電カンチレバー53A~53G、及び、他方の第2圧電カンチレバー54A~54Gはともに7つと奇数個のカンチレバーとなっている。第2圧電カンチレバーはミラー部2に近いほど短いが、奇数個のカンチレバーであることで、ミラー部2から奇数番目の第2圧電カンチレバーほうが偶数番目の第2圧電カンチレバーが多く、長さを同じにする調整をしている。
【0104】
別言すると、
図5に示すように、本実施形態の光偏向器10においては、一方の第2圧電カンチレバー53A~53Gの折り返し端は、ミラー部2に向かって傾斜した直線L1、L2に沿って配置されている。同様に、他方の第2圧電カンチレバー54A~54Gの折り返し端は、ミラー部2に向かって傾斜した直線L3、L4に沿って配置されている。
【0105】
次に、上記のようにミラー部2に近い第2圧電カンチレバーほど、当該第2圧電カンチレバーの折り返し端と第2軸Xとの間の距離を短くすることの効果について、比較例と対比しながら説明する。
【0106】
【0107】
図6(a)に示すように、第1比較例の光偏向器10Aにおいては、第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gの長さがD2で全て同一、すなわち、第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gの折り返し端と第2軸Xとの間の距離が全てD2で同一である。それ以外、光偏向器10と同様の構成である。
【0108】
【0109】
図6(b)に示すように、第2比較例の光偏向器10Bにおいては、第1比較例の光偏向器10Aと比べ、第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gの長さが短い。具体的には、第2比較例の光偏向器10Bにおいては、第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gの長さがD4(D4<D2)で全て同一、すなわち、第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gの折り返し端と第2軸Xとの間の距離が全てD4(D4<D2)で同一である。それ以外、光偏向器10、第1比較例の光偏向器10Aと同様の構成である。
【0110】
本発明者らは、第1比較例の光偏向器10A、第2比較例の光偏向器10B、本実施形態の光偏向器10について、1次モードの周波数(1次共振周波数)を所定ソフトウエアによるシミュレーションで確認した。
【0111】
【0112】
図7中、「蛇腹の長さ」は、第1比較例の第2圧電アクチュエータ53、54のトータル長さに対する各光偏向器10、10A、10Bの第2圧電アクチュエータ53、54のトータル長さの割合を表す。「1次モード(Hz)」は、各光偏向器10、10A、10Bの1次モードの周波数(1次共振周波数)を表す。なお、実際の1次モードの周波数(1次共振周波数)は、例えば、レーザードップラー振動計(Polytec社製)を用いて測定することができる。「振角効率(deg/V)」は、各光偏向器10、10A、10Bの第2圧電アクチュエータ53、54に単位電圧を印加した場合のミラー部2の振角を表す。
【0113】
図7中の「第2比較例」を参照すると、第2比較例の光偏向器10Bは、第1比較例の光偏向器10Aと比べ、1次モードの周波数(1次共振周波数)が高くなること、及び、振角効率が低下することが分かる。
【0114】
第2比較例の光偏向器10Bにおいては、第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gの長さD4をさらに短くすることにより、1次モードの周波数(1次共振周波数)をさらに高くできるが、振角効率もさらに低下してしまう。
【0115】
これに対して、
図7中の「実施形態」を参照すると、本実施形態の光偏向器10においては、第2比較例の光偏向器10Bと比べ、振角効率が低下することなく、1次モードの周波数(1次共振周波数)が高くなることが分かる。
【0116】
本実施形態の光偏向器10において、第2比較例の光偏向器10Bと比べ、1次モードの周波数(1次共振周波数)が高くなるのは、本実施形態の光偏向器10が、第2比較例の光偏向器10Bの第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gより短い(相対的に剛性が高い)第2圧電カンチレバー(例えば、ミラー部2から最も近い第2圧電カンチレバー53A、54A)を備えていることによるものである。
【0117】
一方、本実施形態の光偏向器10において、第2比較例の光偏向器10Bと比べ、振角効率が低下しないのは、本実施形態の光偏向器10が、第2比較例の光偏向器10Bの第2圧電カンチレバー53A~53G、54A~54Gより長い(相対的に剛性が低い。つまり、相対的に屈曲変形しやすい)第2圧電カンチレバー(例えば、ミラー部2から最も遠い第2圧電カンチレバー53G、54G)を備えていることによるものである。
【0118】
なお、本実施形態の光偏向器10を比較例2と同様の1次モードの周波数となるように設計した場合、当該光偏向器10の振角効率を比較例2より大きくすることができる。
【0119】
本実施形態の光偏向器10は、レーザースキャン型ミラーデバイスのアプリケーション全般に適用することができる。例えば、スマートグラス、超小型プロジェクター、インターラクティブプロジェクターに適用することができる。
【0120】
以上説明したように、本実施形態によれば、ミラー部2の振角効率が低下するのを抑制しつつ、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができる。
【0121】
1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができるのは、ミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53G、54G以外の圧電カンチレバー53A~53F、54A~54Fのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの折り返し端と第2軸Xとの間の距離(例えば、
図5中符号D3が示す距離参照)を、ミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53G、54Gの折り返し端と第2軸Xとの間の距離D2より短くしたことによるものである。すなわち、これにより、ミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53G、54G以外の圧電カンチレバー53A~53F、54A~54Fのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの剛性が、ミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53G、54Gの剛性より相対的に高くなることによるものである。
【0122】
ミラー部2の振角効率が低下するのを抑制することができるのは、ミラー部2から遠い圧電カンチレバーほど、剛性が相対的に低くなる(屈曲変形しやすくなる)ことによるものである。
また、本実施形態によれば、1次モードの周波数(1次共振周波数)を大きくすること(高周波側にシフトさせること)ができるため、外部振動に強い光偏向器を実現することができる。外部振動とは、例えば、光偏向器を身につけた人が歩行することに起因する振動、光偏向器が搭載された車両が走行することに起因する振動である。
【0123】
次に変形例について説明する。
【0124】
図8は、光偏向器10の変形例について説明する図である。
【0125】
上記実施形態では、本実施形態の光偏向器10においては、ミラー部2に近い第2圧電カンチレバーほど、当該第2圧電カンチレバーの折り返し端と第2軸Xとの間の距離が短い例について説明した(
図5参照)が、これに限らない。
【0126】
要は、ミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53G、54G以外の圧電カンチレバー53A~53F、54A~54Fのうち少なくとも1つの圧電カンチレバーの折り返し端と第2軸Xとの間の距離(例えば、圧電カンチレバー53C、53D、54C、54Dの折り返し端と第2軸Xとの間の距離D5)が、ミラー部2から最も遠い圧電カンチレバー53G、54Gの折り返し端と第2軸Xとの間の距離D2より短ければよい。
【0127】
本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0128】
なお、第2圧電カンチレバーの数は、複数であればよく、4つ(
図1参照)、7つ(
図5参照)に限らない。
【0129】
図9は、光偏向器10の他の変形例について説明する図である。
【0130】
図9に示すように、第2支持部6は、第1支持部4、第1圧電アクチュエータ31、32及び第2圧電アクチュエータ53、54を囲むように設けられ、かつ、複数の圧電カンチレバー53A~53F、54A~54Fの折り返し端が対向する複数の部分を含み、この複数の部分は、それぞれ、当該部分が対向する圧電カンチレバーの折り返し端近傍まで延びていてもよい。
【0131】
このようにすれば、当該複数の部分を設けない場合(例えば、
図5参照)と比べ、光偏向器10の強度を高くできるため、光偏向器10が破損しにくくなる。
【0132】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0133】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0134】
1…光偏向器、2…ミラー部、2a…反射面、2b…反射面支持体、4…第1支持部、6…第2支持部、10…光偏向器、10A…光偏向器、10B…光偏向器、21…トーションバー、22…トーションバー、31…第1圧電アクチュエータ、31A…第1圧電カンチレバー、32…第1圧電アクチュエータ、32A…第1圧電カンチレバー、51…第2圧電アクチュエータ、51A~51D…第2圧電カンチレバー、52…第2圧電アクチュエータ、52A~52D…第2圧電カンチレバー、53…第2圧電アクチュエータ、53A~53G、54A~54G…第2圧電カンチレバー、54…第2圧電アクチュエータ、61a…下部電極パッド、61b…第1上部電極パッド、61c…奇数用第2上部電極パッド、61d…偶数用第2上部電極パッド、61e…第1検知用電極パッド、62a…下部電極パッド、62b…第1上部電極パッド、62c…奇数用第2上部電極パッド、62d…偶数用第2上部電極パッド、62e…第2検知用電極パッド、71x…第2検知部、71y…第1検知部、72x…第2検知部、72y…第1検知部、L1…下部電極、L2…圧電体、L3…上部電極、M1…層間絶縁膜、M2…パッシベーション膜、W…上部電極配線、We…第2駆動用偶数上部電極配線、Wmx…第2検知用上部電極配線、Wmy…第1検知用上部電極配線、Wo…第2駆動用奇数上部電極配線、Wy…第1駆動用上部電極配線