(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185643
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
H05K13/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093385
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 貴文
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH40
5E353QQ05
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】トップテープに付着した部品を分離・回収しやすい部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置50は、複数の部品Wが配列され、トップテープ45で覆われた部品供給テープ40を送出して部品Wを供給する部品供給装置50であって、部品供給テープ40のトップテープ45を剥離するトップテープ剥離部60と、トップテープ剥離部60において剥離されたトップテープ45を引き込む引き込み部64と、トップテープ剥離部60と引き込み部64との間に位置し、トップテープ45に付着した部品Wを分離する部品分離部材70と、を備え、部品分離部材70は、トップテープ45に付着した部品Wが衝突するようになっている部品当たり部80を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品が配列され、トップテープで覆われた部品供給テープを送出して前記部品を供給する部品供給装置であって、
前記部品供給テープの前記トップテープを剥離するトップテープ剥離部と、
前記トップテープ剥離部において剥離された前記トップテープを引き込む引き込み部と、
前記トップテープ剥離部と前記引き込み部との間に位置し、前記トップテープに付着した前記部品を分離する部品分離部材と、
を備え、
前記部品分離部材は、前記トップテープに付着した前記部品が衝突するようになっている部品当たり部を備える、部品供給装置。
【請求項2】
前記部品分離部材は、前記部品当たり部の下方に位置し、前記部品当たり部と衝突することにより前記トップテープから落下した前記部品を受け止める部品受け部を備える、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記部品受け部は、前記トップテープの両側方に位置する一対の側縁部を備え、
前記部品分離部材は、前記一対の側縁部の一方から立ち上がる第1飛散防止壁を備え、
前記第1飛散防止壁は、前記部品当たり部とつながっている、請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記部品分離部材は、前記一対の側縁部の他方から立ち上がり、前記第1飛散防止壁と対向する第2飛散防止壁を備える、請求項3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記部品当たり部は、前記第1飛散防止壁側に向かうにつれて、前記引き込み部に近づくように位置している、請求項3または請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
平面視において、前記部品当たり部の前記第1飛散防止壁と反対側の端部は、前記部品受け部に重なっている、請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記トップテープを引き込む方向及び上下方向の双方に直交する幅方向における前記部品分離部材の寸法は、部品供給装置の前記幅方向における寸法より小さい、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記部品当たり部は、前記トップテープを引き込む方向及び上下方向の双方に直交する幅方向における前記トップテープの全幅にわたって前記トップテープに接触する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、部品供給装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に電子部品を実装する電子部品実装装置に用いられる電子部品供給装置として、特許第5208722号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この電子部品供給装置は、電子部品が配列された電子部品供給テープのカバーテープを剥離する剥離部と、剥離部で剥離されたカバーテープを引き込み、回収するカバーテープ回収部と、剥離部及びカバーテープ回収部の間において、空中で引張状態にあるカバーテープの表面に当接するテンションローラと、を備える。テンションローラの周面には、凹凸形状が形成されているため、空中で引張状態にあるカバーテープを適度に振動させ、カバーテープに付着した電子部品を分離することができる。したがって、カバーテープを引き込む機構部の動作不良や破損を未然に防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の電子部品供給装置においては、カバーテープに付着した電子部品が落下する場所を制御することが困難である。例えば、テンションローラによってカバーテープから分離された電子部品が、隣接する電子部品供給装置の電子部品のピックアップ位置まで飛散することもありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の部品供給装置は、複数の部品が配列され、トップテープで覆われた部品供給テープを送出して前記部品を供給する部品供給装置であって、前記部品供給テープの前記トップテープを剥離するトップテープ剥離部と、前記トップテープ剥離部において剥離された前記トップテープを引き込む引き込み部と、前記トップテープ剥離部と前記引き込み部との間に位置し、前記トップテープに付着した前記部品を分離する部品分離部材と、を備え、前記部品分離部材は、前記トップテープに付着した前記部品が衝突するようになっている部品当たり部を備える、部品供給装置である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、トップテープに付着した部品を分離・回収しやすい部品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る部品実装装置の平面図である。
【
図2】
図2は、ヘッドユニットの支持構造を示す図である。
【
図5】
図5は、トップテープ剥離部周辺を示す
図4の拡大図である。
【
図6】
図6は、引き込み部及び部品分離部材の周辺を示す
図4の拡大図である。
【
図7】
図7は、引き込み部及び部品分離部材の周辺を示す部品供給装置の拡大平面図である。
【
図8】
図8は、部品分離部材周辺を示す部品供給装置の拡大斜視図である。
【
図10】
図10は、部品分離部材による部品の分離について示す部品供給装置の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
(1)本開示の部品供給装置は、複数の部品が配列され、トップテープで覆われた部品供給テープを送出して前記部品を供給する部品供給装置であって、前記部品供給テープの前記トップテープを剥離するトップテープ剥離部と、前記トップテープ剥離部において剥離された前記トップテープを引き込む引き込み部と、前記トップテープ剥離部と前記引き込み部との間に位置し、前記トップテープに付着した前記部品を分離する部品分離部材と、を備え、前記部品分離部材は、前記トップテープに付着した前記部品が衝突するようになっている部品当たり部を備える、部品供給装置である。
【0009】
トップテープ剥離部により部品供給テープのトップテープが剥離され、剥離されたトップテープは引き込み部により引き込まれる。上記の構成によれば、トップテープ剥離部と引き込み部との間に部品分離部材が配されているから、トップテープに部品が付着していた場合に、部品が部品分離部材の部品当たり部に衝突することにより、トップテープから分離される。これにより、引き込み部への部品の侵入を抑制し、引き込み部の動作不良を抑制することができる。
【0010】
(2)前記部品分離部材は、前記部品当たり部の下方に位置し、前記部品当たり部と衝突することにより前記トップテープから落下した前記部品を受け止める部品受け部を備えることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、部品当たり部の下方に位置する部品受け部によって、部品当たり部と衝突してトップテープから落下した部品を受け止めることができるから、トップテープから分離された部品の回収が容易になる。
【0012】
(3)前記部品受け部は、前記トップテープの両側方に位置する一対の側縁部を備え、前記部品分離部材は、前記一対の側縁部の一方から立ち上がる第1飛散防止壁を備え、前記第1飛散防止壁は、前記部品当たり部とつながっていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、部品受け部の一対の側縁部の一方から立ち上がるとともに部品当たり部とつながっている第1飛散防止壁によって、トップテープから分離された部品が部品分離部材の外部に飛散することを抑制することができる。
【0014】
(4)前記部品分離部材は、前記一対の側縁部の他方から立ち上がり、前記第1飛散防止壁と対向する第2飛散防止壁を備えることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、部品受け部の一対の側縁部の他方から立ち上がるとともに第1飛散防止壁と対向する第2飛散防止壁によって、トップテープから分離された部品が部品分離部材の外部に飛散することを一層抑制することができる。
【0016】
(5)前記部品当たり部は、前記第1飛散防止壁側に向かうにつれて、前記引き込み部に近づくように位置していることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、部品当たり部は、第1飛散防止壁側に向かうにつれて、引き込み部に近づくように配されるから、トップテープから分離された部品が落下する位置を制御しやすい。例えば、部品当たり部に衝突した部品は、トップテープが送出されるにつれて、部品当たり部に沿って滑るように移動し、トップテープの端部から部品受け部に落下しやすい。また、部品と部品当たり部との衝突の衝撃が大きい場合には、部品当たり部に衝突した部品は、第1飛散防止壁に衝突して部品受け部に落下しやすい。
【0018】
(6)平面視において、前記部品当たり部の前記第1飛散防止壁と反対側の端部は、前記部品受け部に重なっていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、部品当たり部に衝突した部品が部品受け部に落下しやすい。
【0020】
(7)前記トップテープを引き込む方向及び上下方向の双方に直交する幅方向における前記部品分離部材の寸法は、部品供給装置の前記幅方向における寸法より小さいことが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、幅方向において部品分離部材を部品供給装置の内側に収めることができるから、部品供給装置を幅方向に隣接して配置する際に、部品分離部材が隣接する部品供給装置と干渉することがない。
【0022】
(8)前記部品当たり部は、前記トップテープを引き込む方向及び上下方向の双方に直交する幅方向における前記トップテープの全幅にわたって前記トップテープに接触することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、部品当たり部は、トップテープに付着した部品に必ず衝突するから、部品をトップテープから確実に分離できる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施形態に係る部品供給装置50は、
図1に示すように、電子部品等の部品Wをプリント基板P上に実装する部品実装装置10内に配されている。
【0025】
<部品実装装置の全体構成>
部品実装装置10は、
図1に示すように、基台11と、プリント基板Pを搬送する搬送コンベア14と、ヘッドユニット30と、ヘッドユニット30を基台11上にて移動させる駆動装置20とを備えている。なお、以下の説明において、基台11の長手方向(
図1の左右方向)をX方向、基台11の奥行方向(
図1の上下方向)をY方向、
図2の上下方向をZ方向とする。
【0026】
搬送コンベア14は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア14はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト15を備えており、搬送ベルト15上のプリント基板Pを、ベルトとの摩擦によりX方向に搬送する。本実施形態では、プリント基板Pは、
図1に示す左側より搬送コンベア14を通じて部品実装装置10の内部へと搬入される。搬入されたプリント基板Pは、搬送コンベア14により基台11の中央の作業位置まで運ばれ、そこで停止される。
【0027】
基台11上には、作業位置の周囲を囲むようにして、部品供給部12が4箇所設けられている。各部品供給部12には、部品Wを供給する部品供給装置50がX方向に隣接して多数設置されている。本実施形態に係る部品供給装置50は、フィーダとされている。
【0028】
作業位置では、部品供給装置50により部品Wが供給され、ヘッドユニット30の実装ヘッド31により部品Wがプリント基板P上に実装される。その後、部品Wが実装されたプリント基板Pは搬送コンベア14を通じて
図1における右方向に運ばれ、部品実装装置10の外部に搬出されるようになっている。
【0029】
駆動装置20は、大まかには一対の支持脚21、ヘッド支持体25、Y軸ボールねじ23、Y軸モータ24、X軸ボールねじ27、X軸モータ28から構成される。基台11上には一対の支持脚21が設置されている。両支持脚21は作業位置の両側に位置しており、Y方向にまっすぐにのびている。両支持脚21の上面にはY方向にのびるガイドレール22が設置されている。これら左右のガイドレール22には、長手方向の両端部を嵌合させつつヘッド支持体25が取り付けられている。
【0030】
右側の支持脚21にはY方向にのびるY軸ボールねじ23が装着されている。Y軸ボールねじ23には図示しないボールナットが螺合されている。Y軸ボールねじ23にはY軸モータ24が付設されている。Y軸モータ24を通電操作すると、Y軸ボールねじ23に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体25、ひいては次述するヘッドユニット30がガイドレール22に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0031】
ヘッド支持体25は、X方向に長い形状をなす。ヘッド支持体25には、
図2に示すように、X方向にのびるガイド部材26が設置されている。ガイド部材26には、ヘッドユニット30が、ガイド部材26の軸に沿って移動自在に取り付けられている。ヘッド支持体25には、X方向にのびるX軸ボールねじ27が装着されている。X軸ボールねじ27には、図示しないボールナットが螺合されている。X軸ボールねじ27にはX軸モータ28が付設されている。X軸モータ28を通電操作すると、X軸ボールねじ27に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット30がガイド部材26に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0032】
したがって、X軸モータ28、Y軸モータ24を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット30をXY平面内において移動操作できる構成となっている。
【0033】
ヘッドユニット30には、部品Wの実装作業を行う実装ヘッド31が列をなして複数個搭載されている。各実装ヘッド31は、R軸モータ(図示せず)の駆動による軸回りの回転と、Z軸モータ(図示せず)の駆動によるヘッドユニット30に対する昇降とが可能な構成となっている。また、各実装ヘッド31には図外の負圧手段から負圧が供給されており、この負圧によって実装ヘッド31は部品Wを吸着可能に構成されている。
【0034】
このような構成とすることで、X軸モータ28、Y軸モータ24、Z軸モータを所定のタイミングで作動させることにより、部品供給装置50から供給される部品Wを実装ヘッド31により吸着して、プリント基板P上に実装する処理を実行することができる。
【0035】
図1に示すように、基台11上には部品認識カメラ13が撮像面を上に向けて配置されている。部品認識カメラ13は、実装ヘッド31に吸着された部品Wの画像(下面画像)を撮像し、実装ヘッド31による部品Wの吸着姿勢を検出する。
【0036】
図2に示すように、ヘッドユニット30には基板認識カメラ32が撮像面を下に向けた状態で配置されている。基板認識カメラ32はヘッドユニット30と一体であるから、上述のX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を駆動させることで、プリント基板P上の任意の位置の画像を撮像できる。
【0037】
<部品供給テープ及び部品供給装置の構成>
部品供給テープ40は、
図3に示すように、キャリアテープ41と、これに貼着されるトップテープ45とから構成されている。キャリアテープ41及びトップテープ45の材質は、例えば、合成樹脂である。キャリアテープ41は、上方に開口した空洞状の部品収納部42を一定間隔置きに有しており、各部品収納部42にはチップ抵抗等の部品Wが収納されている。また、キャリアテープ41の一辺側には、縁部に沿って係合孔43が一定間隔で設けられている。この部品供給テープ40は、部品供給装置50の後方位置において、図外のリールに巻回されて支持されている。
【0038】
部品供給装置50は、
図4に示すように、送出装置54と、テープガイド58と、部品分離部材70と、引取装置61と、テープ収納部68と、これらが取り付けられるフレーム51とを備える。フレーム51は、Y方向に長い形状であり、例えば、アルミダイキャスト製である。フレーム51には、部品供給テープ40を通すためのテープ通路52が設けられている。テープ通路52は、フレーム51の下部後端から前方に向けてのびている。その後、テープ通路52は、斜め上方に向かってのびており、フレーム51の上面に連続している。
【0039】
送出装置54は、フレーム51の前側に設けられている。送出装置54は、第1モータ55、複数枚のギヤからなるギヤ列56、スプロケット57からなる。ギヤ列56は、第1モータ55の動力を伝達してスプロケット57を回転させる。スプロケット57は、ギヤ列56のうち前端上部のギヤの左側方(
図4の図示紙面奥方)に一体に設けられ、前端上部のギヤと同じ回転軸を有する。スプロケット57の外周には等間隔で歯57Aが形成されている。スプロケット57の歯57Aは部品供給テープ40の係合孔43の孔壁と係合しており、スプロケット57を回転させることにより、部品供給テープ40を部品供給装置50の前部の部品供給位置Gに送出することが出来る。
【0040】
テープガイド58は、前後に長い形状をなし、フレーム51の上面前部に設置されている。
図5に示すように、テープガイド58は、部品供給テープ40の両側をガイドするガイド壁58Aを有し、送出される部品供給テープ40の姿勢が傾かないようにしている。また、テープガイド58の上面壁59には、スリット状をなすトップテープ剥離部60が設けられている。トップテープ剥離部60は部品供給テープ40からトップテープ45を剥離し、剥離されたトップテープ45は後方に折り返される。後述するように、剥離されたトップテープ45は引き込み部64によって後方に引き込まれるようになっている。
【0041】
トップテープ45の剥離後、キャリアテープ41はトップテープ剥離部60の前方の部品供給位置Gに部品Wを供給する。部品Wが部品供給位置Gに送られるタイミングに合わせて、実装ヘッド31は部品供給位置Gに移動し、キャリアテープ41の部品収納部42から部品Wをピックアップする。
【0042】
図4に示すように、引取装置61は、第2モータ62と、複数枚のギヤからなるギヤ列63と、引き込み部64とから構成される。本実施形態の引き込み部64は、引っ張りローラ65と、ピンチローラ66とからなる。ギヤ列63は、第2モータ62の動力を伝達して、引っ張りローラ65を回転させる。引っ張りローラ65とピンチローラ66は、テープ収納部68の導入部68Aにて対向配置されている。引っ張りローラ65及びピンチローラ66は、互いに噛み合うように設けられた歯車とされている。
【0043】
ピンチローラ66は、ヒンジ67Aを中心に揺動可能なレバー67に固定されており、レバー67を操作することで、引っ張りローラ65に接した状態と、引っ張りローラ65から離れた状態とに変位操作可能となっている。また、レバー67には、ピンチローラ66を下向きに付勢するばね67Bが取り付けられている。このため、
図6に示すように、ピンチローラ66は、トップテープ45を挟んだ状態で引っ張りローラ65に噛み合った状態で保持されるようになっている。
【0044】
したがって、引っ張りローラ65を回転させると、トップテープ45は、回転する引っ張りローラ65とピンチローラ66により後方に引き込まれ、テープ収納部68に収納されるようになっている。
図6及び
図7に示すように、フレーム51のうち、引っ張りローラ65の前側の壁面上部には、テープ溝53が凹状をなして形成されている。トップテープ45は、テープ溝53の内壁に摺接することで、引っ張りローラ65やピンチローラ66に対して横ずれしないように位置規制されている。
【0045】
図4に示すように、テープ収納部68は、フレーム51の後部に設けられており、その前端上部には、トップテープ45を導入するための導入部68Aが設けられている。導入部68Aには、上記した引っ張りローラ65とピンチローラ66が配置されている。テープ収納部68は、キャリアテープ41から剥離されたトップテープ45を収納する。また、テープ収納部68の後面には、開閉操作可能なカバー68Bが取り付けられている。
【0046】
<部品分離部材>
上記のように、本来、部品供給テープ40に配された部品Wは、トップテープ45剥離後、キャリアテープ41とともに部品供給位置Gに送られるようになっている。しかし、静電気やトップテープ45に残存した粘着剤等によって、誤って部品Wがトップテープ45に付着する場合がある。仮に、部品Wが付着したトップテープ45が引き込み部64に引き込まれた場合、部品Wが引き込み部64の歯車の谷間に侵入して引き込み部64の動作不良を引き起こす可能性がある。このような事態を回避するために、
図6から
図8に示すように、本開示の部品供給装置50では、トップテープ45に付着した部品Wをトップテープ45から分離するための部品分離部材70が設けられている。
【0047】
さらに、本開示の部品分離部材70は、トップテープ45から分離された部品Wを回収することが容易な構成となっている。
【0048】
本実施形態の部品分離部材70は、
図8に示すように、金属板を折り曲げ加工して構成されており、静電気が発生しにくい構成となっている。部品分離部材70は、概ね上方に開口する箱状をなしている。
図6に示すように、部品分離部材70の前側部分には、固定部71が下方に突出して設けられており、フレーム51にねじ止めされるようになっている。
【0049】
図7に示すように、本実施形態では、トップテープ45を引き込む方向(Y方向、後方)及び上下方向の双方に直交する幅方向(左右方向)における部品分離部材70の寸法L1は、部品供給装置50の幅方向における寸法L2より小さく設定されている。よって、幅方向において、部品分離部材70は部品供給装置50(フレーム51)の範囲内に収められるため、部品供給部12における部品供給装置50の隣接配置が阻害されない(
図1参照)。
【0050】
図9に示すように、部品分離部材70の下側の凹部は、部品受け部76とされている。部品受け部76は、底部72と、底部72の前端縁から立ち上がる前壁73と、底部72の後端縁から立ち上がる後壁74と、底部72の両側縁から立ち上がり、前壁73と後壁74とを接続する一対の側壁75と、を備える。一対の側壁75は、部品受け部76の一対の側縁部の一例である。一対の側壁75のうち左側の側壁75A(一対の側縁部の一方の一例)には、第1飛散防止壁77Aが上方にのびて設けられている。部品受け部76の一対の側壁75のうち右側の側壁75B(一対の側縁部の他方の一例)には、第2飛散防止壁77Bが上方にのびて設けられており、第1飛散防止壁77Aと対向している。
図8に示すように、部品受け部76は、部品分離部材70においてトップテープ45が配される位置より下側に設けられている。第1飛散防止壁77Aと第2飛散防止壁77Bは、部品分離部材70においてトップテープ45が配される位置よりも上方に突出している。右側の側壁75Bの後側には、第2飛散防止壁77Bが設けられておらず、右側の側壁75Bの上端部と後壁74の上端部の高さが略同一となっている。第2飛散防止壁77Bの後端部は、後方を向いた後端面78とされており、右側の側壁75Bの上端部と第2飛散防止壁77Bの上端部とを接続している。
【0051】
図8に示すように、第1飛散防止壁77Aには、部品当たり部80が一体に形成されている。部品当たり部80は、第1飛散防止壁77Aの後端部から右斜め前方向にのびて設けられている。換言すると、部品当たり部80は、第1飛散防止壁77A側に向かうほど引き込み部64側(後側)に位置している。部品当たり部80は、部品分離部材70においてトップテープ45が配される位置より上側に設けられており、部品当たり部80の上端部と第1飛散防止壁77Aの上端部とは同一の高さとなっている。部品当たり部80の第1飛散防止壁77Aと反対側の端部(以下、先端部81とする)は、第2飛散防止壁77Bの後端面78に近接して配されている。部品当たり部80の下端部は、テープ接触部82とされている。テープ接触部82は、破断面ではなく、円滑な曲面を有するように加工されている。
【0052】
図8に示すように、部品分離部材70は、トップテープ45の両側方に第1飛散防止壁77A及び第2飛散防止壁77Bが位置するように、部品供給装置50に配置される。部品当たり部80は、トップテープ45を跨ぐように配され、テープ接触部82は、幅方向におけるトップテープ45の全幅にわたってトップテープ45の上面45Aに接触するようになっている(
図6参照)。ここで、「接触する」とは、実際にトップテープ45の上面45Aに接触する場合だけでなく、トップテープ45の上面45Aと僅かなクリアランスをもって近接する場合も含む。「僅かなクリアランス」とは、典型的には、部品供給テープ40に配された部品Wの最小寸法より小さい間隔である。
【0053】
<部品分離部材による部品の分離・回収>
上記の部品供給装置50において、剥離されたトップテープ45に部品Wが付着していた場合について説明する。
図5に示すように、トップテープ剥離部60によって、部品供給テープ40から剥離され、後方に送られたトップテープ45は、キャリアテープ41に貼り付けられていた面を上方に向けている。このため、
図6から
図8に示すように、部品Wは剥離されたトップテープ45の上面45Aに付着している。
【0054】
部品Wが付着したトップテープ45が部品分離部材70の内部に入り、さらに後方に送られると、テープ接触部82がトップテープ45の上面45Aに接触(もしくは、トップテープ45の上面45Aと僅かなクリアランスをもって近接)しているため、部品Wは部品当たり部80に衝突して部品分離部材70をすり抜けることができない。部品Wは部品分離部材70内でトップテープ45から分離され、トップテープ45のみが後方に送り出される。したがって、引き込み部64への部品Wの侵入が抑制され、ひいては、引き込み部64の動作不良等が抑制される。
【0055】
なお、本実施形態では、トップテープ45の下面45Bに付着したごみなどの異物は、部品分離部材70によって分離されず、部品分離部材70の後方へと送られる場合がある。しかし、この異物は、
図6及び
図7に示すように、トップテープ45の下面45Bに当接するフレーム51のテープ溝53の内壁によって取り除かれる。
【0056】
部品当たり部80に衝突した部品Wは、トップテープ45が後方に送られるにつれて、部品当たり部80から力を受ける。本実施形態では、部品当たり部80は第1飛散防止壁77A側の基端部から先端部81に向かうにつれて前方に傾斜する構成となっている。よって、部品当たり部80に衝突した部品Wは、トップテープ45が後方に送られるにつれて、部品当たり部80からの力を受けて
図10の移動方向DAに示すように移動する。すなわち、部品Wは、部品当たり部80に沿って第1飛散防止壁77Aに近づくようにトップテープ45上を滑って移動する。最終的に、部品Wはトップテープ45の左端部から落下し、部品受け部76に受け入れられる。部品WAは、移動方向DAに移動し、部品受け部76の底部72に落下した部品Wを示す。したがって、トップテープ45から分離された部品Wは部品受け部76によって受けることができるから、部品Wの回収が容易である。
【0057】
また、部品当たり部80の先端部81は、平面視において、部品受け部76に重なっている。すなわち、部品Wに力を及ぼす部品当たり部80の下方に部品受け部76が配されているから、部品Wは部品受け部76上に落下しやすい構成となっている。
【0058】
部品Wが部品当たり部80と衝突する衝撃が大きい場合には、部品Wは、上記したように移動方向DAにトップテープ45上を滑るように移動するのではなく、部品当たり部80に衝突後、直接周囲に飛散する場合も考えられる。このような場合、部品当たり部80が第1飛散防止壁77A側の基端部から先端部81に向かうにつれて前方に傾斜する構成となっているから、部品当たり部80に衝突した部品Wは、
図10の飛散方向DBに示すように、第1飛散防止壁77Aに向かって飛散しやすく、第1飛散防止壁77Aに当たって部品受け部76へと落下しやすくなっている。部品WBは、飛散方向DBに飛散し、最終的に部品受け部76の底部72に落下した部品Wを示す。
【0059】
また、第1飛散防止壁77Aに対向して第2飛散防止壁77Bが設けられているから、部品Wが第1飛散防止壁77Aとは違う方向に飛散しても、第2飛散防止壁77Bに当たって部品受け部76へと落下しやすくなっている。さらに、部品当たり部80は、第1飛散防止壁77Aと接続され、第1飛散防止壁77Aと同一の高さまでのびて設けられているから、第1飛散防止壁77Aあるいは第2飛散防止壁77Bを介して再び部品当たり部80の方へ部品Wが飛散した場合でも、部品Wは部品当たり部80に当たって部品受け部76へと落下しやすくなっている。加えて、第2飛散防止壁77Bの後端面78と部品当たり部80の先端部81とは互いに近づくように配されている。後端面78と先端部81との間のクリアランスは、部品Wの最小寸法より小さいことが好ましい。このような構成では、部品Wの部品分離部材70の外部への飛散を一層抑制できる。
【0060】
第1飛散防止壁77A及び第2飛散防止壁77Bにより、部品Wが部品分離部材70の外部に飛散しにくいため、周囲の装置の動作、例えば、隣接する部品供給装置50の部品Wの供給や、実装ヘッド31の部品Wの吸着等を阻害しにくい。
【0061】
部品受け部76で受けた部品Wは、部品供給装置50が動作していないときに、例えば、図示しない回収皿の上で部品供給装置50全体を上下反転させることで回収できる。もしくは、部品供給装置50を動かさずに、小型掃除機等で部品受け部76から部品Wを直接吸引し、そのまま廃棄してもよい。
【0062】
<本実施形態の作用効果>
以上のように、本実施形態の部品供給装置50は、複数の部品Wが配列され、トップテープ45で覆われた部品供給テープ40を送出して部品Wを供給する部品供給装置50であって、部品供給テープ40のトップテープ45を剥離するトップテープ剥離部60と、トップテープ剥離部60において剥離されたトップテープ45を引き込む引き込み部64と、トップテープ剥離部60と引き込み部64との間に位置し、トップテープ45に付着した部品Wを分離する部品分離部材70と、を備え、部品分離部材70は、トップテープ45に付着した部品Wが衝突するようになっている部品当たり部80を備える。
【0063】
トップテープ剥離部60により部品供給テープ40のトップテープ45が剥離され、剥離されたトップテープ45は引き込み部64により引き込まれる。上記の構成によれば、トップテープ剥離部60と引き込み部64との間に部品分離部材70が配されているから、トップテープ45に部品Wが付着していた場合に、部品Wが部品分離部材70の部品当たり部80に衝突することにより、トップテープ45から分離される。これにより、引き込み部64への部品Wの侵入を抑制し、引き込み部64の動作不良を抑制することができる。
【0064】
本実施形態では、部品分離部材70は、部品当たり部80の下方に位置し、部品当たり部80と衝突することによりトップテープ45から落下した部品Wを受け止める部品受け部76を備える。
【0065】
上記の構成によれば、部品当たり部80の下方に位置する部品受け部76によって、部品当たり部80と衝突してトップテープ45から落下した部品Wを受け止めることができるから、トップテープ45から分離された部品Wの回収が容易になる。
【0066】
本実施形態では、部品受け部76は、トップテープ45の両側方に位置する一対の側縁部(一対の側壁75)を備え、部品分離部材70は、一対の側縁部の一方(左側の側壁75A)から立ち上がる第1飛散防止壁77Aを備え、第1飛散防止壁77Aは、部品当たり部80とつながっている。
【0067】
上記の構成によれば、部品受け部76の一対の側縁部の一方(左側の側壁75A)から立ち上がるとともに部品当たり部80とつながっている第1飛散防止壁77Aによって、トップテープ45から分離された部品Wが部品分離部材70の外部に飛散することを抑制することができる。
【0068】
本実施形態では、部品分離部材70は、一対の側縁部の他方(右側の側壁75B)から立ち上がり、第1飛散防止壁77Aと対向する第2飛散防止壁77Bを備える。
【0069】
上記の構成によれば、部品受け部76の一対の側縁部の他方(右側の側壁75B)から立ち上がるとともに第1飛散防止壁77Aと対向する第2飛散防止壁77Bによって、トップテープ45から分離された部品Wが部品分離部材70の外部に飛散することを一層抑制することができる。
【0070】
本実施形態では、部品当たり部80は、第1飛散防止壁77A側に向かうにつれて、引き込み部64に近づくように位置している。
【0071】
上記の構成によれば、部品当たり部80は、第1飛散防止壁77A側に向かうにつれて、引き込み部64に近づくように配されるから、トップテープ45から分離された部品Wが落下する位置を制御しやすい。例えば、部品当たり部80に衝突した部品Wは、トップテープ45が送出されるにつれて、部品当たり部80に沿って滑るように移動し、トップテープ45の端部から部品受け部76に落下しやすい(
図10の移動方向DA参照)。また、部品Wと部品当たり部80との衝突の衝撃が大きい場合には、部品当たり部80に衝突した部品Wは、第1飛散防止壁77Aに衝突して部品受け部76に落下しやすい(
図10の飛散方向DB参照)。
【0072】
本実施形態では、平面視において、部品当たり部80の第1飛散防止壁77Aと反対側の端部(先端部81)は、部品受け部76に重なっている。
【0073】
上記の構成によれば、部品当たり部80に衝突した部品Wが部品受け部76に落下しやすい。
【0074】
本実施形態では、トップテープ45を引き込む方向及び上下方向の双方に直交する幅方向における部品分離部材70の寸法L1は、部品供給装置50の幅方向における寸法L2より小さい。
【0075】
上記の構成によれば、幅方向において部品分離部材70を部品供給装置50の内側に収めることができるから、部品供給装置50を幅方向に隣接して配置する際に、部品分離部材70が隣接する部品供給装置50と干渉することがない。
【0076】
本実施形態では、部品当たり部80は、トップテープ45を引き込む方向及び上下方向の双方に直交する幅方向におけるトップテープ45の全幅にわたってトップテープ45に接触する。
【0077】
上記の構成によれば、部品当たり部80は、トップテープ45に付着した部品Wに必ず衝突するから、部品Wをトップテープ45から確実に分離できる。
【0078】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、部品分離部材70は金属製であったが、導電性の合成樹脂でもよい。
【0079】
(2)上記実施形態では、テープ接触部82はトップテープ45の上面45Aに接触する構成としたが、テープ接触部はトップテープの上面と下面の双方に接触する構成としてもよい。
【0080】
(3)上記実施形態では、実装ヘッド31が直線状に並んだインライン型のヘッドユニット30を用いたが、ロータリーユニットを有するヘッドユニットを用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…部品実装装置
11…基台、12…部品供給部、13…部品認識カメラ、14…搬送コンベア、15…搬送ベルト
20…駆動装置、21…支持脚、22…ガイドレール、23…Y軸ボールねじ、24…Y軸モータ、25…ヘッド支持体、26…ガイド部材、27…X軸ボールねじ、28…X軸モータ
30…ヘッドユニット、31…実装ヘッド、32…基板認識カメラ
40…部品供給テープ
41…キャリアテープ、42…部品収納部、43…係合孔、45…トップテープ、45A…上面、45B…下面
50…部品供給装置
51…フレーム、52…テープ通路、53…テープ溝、54…送出装置、55…第1モータ、56…ギヤ列、57…スプロケット、57A…歯、58…テープガイド、58A…ガイド壁、59…上面壁、60…トップテープ剥離部、61…引取装置、62…第2モータ、63…ギヤ列、64…引き込み部、65…引っ張りローラ、66…ピンチローラ、67…レバー、67A…ヒンジ、67B…ばね、68…テープ収納部、68A…導入部、68B…カバー
70…部品分離部材
71…固定部、72…底部、73…前壁、74…後壁、75…一対の側壁(一対の側縁部の一例)、75A…左側の側壁(一対の側縁部の一方の一例)、75B…右側の側壁(一対の側縁部の他方の一例)、76…部品受け部、77A…第1飛散防止壁、77B…第2飛散防止壁、78…後端面、80…部品当たり部、81…先端部(第1飛散防止壁と反対側の端部)、82…テープ接触部
DA…移動方向、DB…飛散方向、G…部品供給位置、L1…部品分離部材の幅方向における寸法、L2…部品供給装置の幅方向における寸法、P…プリント基板、W…部品、WA、WB…部品受け部に落下した部品