(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185644
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20221208BHJP
G01F 15/075 20060101ALI20221208BHJP
G01F 15/06 20220101ALI20221208BHJP
【FI】
G01F3/22 D
G01F15/075
G01F15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093389
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長友 謙治
(72)【発明者】
【氏名】横畑 光男
【テーマコード(参考)】
2F030
2F031
【Fターム(参考)】
2F030CC13
2F030CE02
2F030CE09
2F030CE22
2F030CE25
2F030CE27
2F031AE09
2F031AF04
2F031AF10
(57)【要約】
【課題】本開示は、容器リセット完了を容易に視認できるガスメータを提供する。
【解決手段】本開示におけるガスメータ10は、ガスの流量を計測する流量計測部11と、流量計測部11で計測されたガスの流量を積算する積算部12と、積算部12で積算された積算値と所定値とを比較する比較部13と、比較部13の比較結果に基づく表示を行う容器リセット表示部19と、積算部12の積算値をリセットする為のリセットスイッチ17と、を備え、積算値が所定値に達したら容器リセット表示部19を点灯し、リセットスイッチ17の操作により積算値をリセットした時に、容器リセット表示部19を消灯する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの流量を計測する流量計測部と、
前記流量計測部で計測されたガスの流量を積算する積算部と、
前記積算部で積算された積算値と所定値とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づく表示を行う表示部と、
前記積算部の積算値をリセットする為の操作部と、
を備え、
前記操作部の操作により積算値をリセットした時に、前記表示部を用いて前記比較結果に基づく表示と異なる表示を行うことを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
前記表示部における前記比較結果に基づく表示は点灯表示であり、前記積算値をリセットした時の表示は消灯であることを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記表示部における前記比較結果に基づく表示は点滅表示であり、前記積算値をリセットした時の表示は点灯若しくは前記比較結果に基づく点滅表示以外であることを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記所定値は複数の値が設定されており、前記表示部は、前記積算値と複数の前記所定値との比較結果に応じて、点滅表示の点灯時間及び/又は消灯時間を変更することを特徴とする請求項3に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記表示部は、前記積算値と複数の前記所定値との比較結果に応じて、前記点滅表示の点灯時間と消灯時間の割合を変更することを特徴とする請求項4に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器リセット機能を有するガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、積算値のリセット操作と連動してリセット状態を表示する表示手段を有するガスメータを開示する。このガスメータは、流量検出信号を積算するカウンタ手段と、カウンタ手段の積算値をリセットするリセットスイッチと、リセット操作の状態表示を行うLEDを有し、このリセットスイッチをマグネットで操作している間LEDを点灯するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、容器(ガスボンベ)の残量を表示する表示部を有し、この表示部を用いて容器リセットの完了表示を行うことが可能なガスメータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示におけるガスメータは、ガスの流量を計測する流量計測部と、前記流量計測部で計測されたガスの流量を積算する積算部と、前記積算部で積算された積算値と所定値とを比較する比較部と、前記比較部の比較結果に基づく表示を行う表示部と、前記積算部の積算値をリセットする為の操作部と、を備え、前記操作部の操作により積算値をリセットした時に、前記表示部を用いて前記比較結果に基づく表示と異なる表示を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示におけるガスメータは、残量表示を行うと共に、容器リセットが完了した場合に、この残量表示とは異なる表示を行うことで、容器リセットの完了を作業者が確認することができるので、確実に容器リセット作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1におけるガスメータのブロック図
【
図2】実施の形態1におけるガスメータのメータ表示部の一例を示す図
【
図3】実施の形態1におけるガスメータの動作説明の為のフローチャート
【
図4】実施の形態1におけるガスメータの容器リセット表示部の表示状態を示すタイムチャート
【
図5】実施の形態2におけるガスメータの動作説明の為のフローチャート
【
図6】実施の形態2におけるガスメータの容器リセット表示部の表示状態を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、ガスボンベ交換時に積算値をリセットする為のリセットスイッチの操作は、作業者がガスボンベ交換を行う前後に操作するものであり、リセット操作を行ったことを確認する為の表示としてスイッチ操作中にLED等の点
灯表示を行うようになっていた。しかしながら、リセット操作の前とリセット操作後の表示が同じであるため、リセット操作が完了したかどうかを確認することが出来ず、リセット忘れが発生することがあった。
【0009】
一方、ガスメータの表示面積は限られており、新たな表示を追加することは困難であることから、リセット操作時に表示されるボンベリセット表示を利用して報知する方法を検討し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで本開示は、容器リセット完了を容易に視認できるガスメータを提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図3を用いて、実施の形態1を説明する。
【0014】
[1-1.ガスメータの構成]
図1は、本実施の形態のガスメータのブロック図を示している。
図1において、ガスメータ10は、ガスの流量を計測する流量計測部11、流量計測部11で計測された流量を積算する積算部12、ガスボンベの容量に基づき設定される使用可能なガスの使用量を設定する所定値設定部14、積算部12で積算されたガスの流量と所定値設定部14で設定された値を比較する比較部13、流量計測部11で計測されたガスの流量の累積値(検針値)やガスメータ10の状態を表示するメータ表示部16、ガスボンベの交換時に、積算部12の積算値をリセットする為の操作部であるリセットスイッチ17、及び、比較部13における比較結果に基づきセンター装置18に報知する為の通信部15から構成されている。また、メータ表示部16には、比較部13における比較結果に基づく表示を行う表示部としての容器リセット表示部19が設けられている。
【0015】
図2は、ガスメータの表示部を示す液晶表示の図で、メータ表示部16には、流量計測部11で計測されたガス流量の累積値(検針値)の他、ガスメータの状態を示す各種の表示素子が設けられており、その1つとして、比較部13における比較結果に基づく表示を行う為の表示部として利用する容器リセット表示部19が設けられている。
【0016】
本実施の形態では、この容器リセット表示部19を用いて、比較部13における比較結果に基づく表示として点灯表示を行うと共に、リセットスイッチ17の操作時に、積算部12のリセットが行われたことを消灯することで報知するものである。
【0017】
[1-2.ガスメータの動作]
図3は、本実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【0018】
【0019】
まず、流量計測部11でガスの流量を計測し(処理S101)、計測された流量を積算して積算値Qを算出する(処理S102)。次に、比較部13において、積算値Qと所定
値設定部14で設定された所定値QEとを比較し(処理S103)、比較結果に応じた処理が実行される。ここで、所定値QEは、ガスボンベの残量が5%(交換の必要な値)に基づき設定された値である。即ち、ガスボンベが満タン時の容量をQFとした場合、QF-QEで算出される値である。
【0020】
処理S103で積算値Qが所定値QE未満(処理S103でNo)であれば、ガスボンベの残量は十分であるとして、残量表示Aとして、容器リセット表示部19を消灯する(処理S104)。積算値Qが所定値QE以上(処理S103でYes)であれば、残量表示1として、容器リセット表示部19を点灯とする(処理S106)と共に、警報1として、ガスボンベの交換が必要な残量になったことを通信部15を介して、センター装置18に報知する(処理S107)。従って、ガスボンベの交換が必要なことを表示することができると共に、センター装置18はガスボンベの交換の手配をするなどの対応を行うことになる。
【0021】
次に、作業者によりガスボンベの交換が完了して、リセットスイッチ17の操作が行われると(処理S113でYes)、積算部における積算値をリセットし(処理S114)、残量表示Bとして容器リセット表示部19を消灯する(処理S115)。
【0022】
従って、容器リセット表示部19の表示の状態は、
図4に示す様に、ガスボンベの残量が所定値(例えば、5%)になるまでは消灯状態で、残量が所定値以下となった場合には点灯状態となり、ガスボンベの交換が行われて、リセットスイッチ17の操作により積算値がリセットされると、消灯状態となる。
【0023】
なお、
図3のフローチャートにおいて、処理S103で積算値Qが所定値QE以上と判定される度に警報1を実行するように記載しているが、実際には1度、実行した後は、禁止するようにしている。
【0024】
[1-3.効果等]
以上の様に、本実施の形態によると、ガスの流量を計測する流量計測部11と、流量計測部11で計測されたガスの流量を積算する積算部12と、積算部12の積算値と所定値とを比較する比較部13と、比較部13の比較結果に基づく表示を行う容器リセット表示部19と、積算部12の積算値をリセットする為のリセットスイッチ17と、を備え、リセットスイッチ17の操作により積算値をリセットした時に、容器リセット表示部19を用いてリセット前の比較結果に基づく表示と異なる表示をリセット後に行うようにしたことで、リセットの完了の有無を視認することができる。
【0025】
また、ガスボンベの残量が交換の必要な残量になったことを示す表示を容器リセット表示部19の点灯とし、積算値のリセットが完了したときの表示を容器リセット表示部19の消灯とすることで、一目で視認することができる。
【0026】
なお、容器リセット表示部19は既存のガスメータのメータ表示部であり、この容器リセット表示部19を利用することで、リセット完了を表示する為の表示素子を追加する必要もない。
【0027】
(実施の形態2)
以下、
図5、
図6を用いて、実施の形態2を説明する。
【0028】
[2-1.ガスメータの構成]
本実施の形態におけるガスメータの構成及びメータ表示部は、実施の形態1で用いた
図1、2と同様であり、説明を省略する。実施の形態1と異なる点は、所定値設定部14が
、3つの値を所定値として設定できる点と、比較部13がこの3つの所定値との比較を行い、この比較結果に応じて容器リセット表示部における表示状態を変更する点であり、以下、具体的な動作を説明する。
【0029】
[2-2.ガスメータの動作]
図5は、本実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【0030】
【0031】
まず、流量計測部11でガスの流量を計測し(処理S201)、計測された流量を積算して積算値Qを算出する(処理S202)。次に、比較部13において、積算値Qと所定値設定部14で設定された3つの所定値Q1,Q2,Q3とを順次比較し(処理S203、処理S203、処理S203)、比較結果に応じた処理が実行される。ここで、所定値Q1は、ガスボンベの残量が50%を判断する値、Q2は、ガスボンベの残量が25%を判断する値、Q3は、ガスボンベの残量が5%(交換の必要な残量に基づく値)に設定されている。
【0032】
処理S203では、積算値Qと所定値Q1との比較を行い、積算値Qが所定値Q1未満(処理S203でNo)であれば、ガスボンベの残量は十分であるとして、残量表示Aとして、容器リセット表示部19を消灯する(処理S204)。積算値Qが所定値Q1以上(処理S203でYes)であれば、処理S205に移行する。
【0033】
処理S205では、積算値Qと所定値Q2との比較を行い、積算値Qが所定値Q2未満(処理S205でNo)であれば、ガスボンベの残量は25%~50%であるとして、残量表示1として、容器リセット表示部19を1秒点灯、1秒消灯の点滅とする(処理S206)と共に、警報1として、残量が50%以下になったことを通信部15を介して、センター装置18に報知する(処理S207)。積算値Qが所定値Q2以上(処理S205でYes)であれば、処理S208に移行する。
【0034】
処理S208では、積算値Qと所定値Q3との比較を行い、積算値Qが所定値Q3未満(処理S208でNo)であれば、ガスボンベの残量は5%~25%であるとして、残量表示2して、容器リセット表示部19を2秒点灯、2秒消灯の点滅とする(処理S209)と共に、警報2として、残量が25%以下になったことを通信部15を介して、センター装置18に報知する(処理S210)。積算値Qが所定値Q3以上(処理S208でYes)であれば、ガスボンベの残量は5%以下であるとして、残量表示3して、容器リセット表示部19を3秒点灯、3秒消灯の点滅とする(処理S211)と共に、警報3として、残量が5%以下になったことを通信部15を介して、センター装置18に報知する(処理S212)。
【0035】
次に、作業者によりガスボンベの交換が完了して、リセットスイッチ17の操作が行われると(処理S213でYes)、積算部における積算値をリセットし(処理S214)、残量表示Bとして容器リセット表示部19を消灯する(処理S215)。
【0036】
従って、容器リセット表示部19の表示の状態は、
図5(1)に示す様に、残量に応じて変化することになる。
【0037】
なお、
図5のフローチャートにおいて、処理S203で積算値Qが所定値QE以上と判定された後、処理S205、処理S208における判定に応じて警報1~3を実行するように記載しているが、実際には1度、実行した後は、禁止するようにしている。
【0038】
なお、残量が50%以上とリセットスイッチ操作完了の表示とを共に容器リセット表示部19の消灯としたが、
図5(2)に示す様に、共に容器リセット表示部19の点灯としても良い。
【0039】
また、残量が50%以上と、リセットスイッチ操作完了の表示とを容器リセット表示部19を異なるように、例えば、
図5(3)に示す様に、残量が50%以上では点灯し、リセットスイッチ操作完了時は消灯としても良い。この場合、リセット完了の消灯状態から残量が50%以上の点灯状態に表示を変更する必要があるが、リセット完了後の消灯状態において、流量計測部11でガス器具の使用に相当する所定の流量(例えば、21L/h)を検知できた後に、点灯するようにすれば良い。逆に、残量が50%以上では消灯し、リセットスイッチ操作完了時は点灯としても良い。いずれにしても、残量表示1,2,3と、リセット完了の区別が出来れば良いことは言うまでもない。
【0040】
更に、残量表示1,2,3として、容器リセット表示部19の点灯と消灯の時間を同じとして、時間を変更したが、
図5(4)に示す様に、点灯時間を同じとして、消灯時間を残量に合わせて変更するようにしても良く、残量に応じて異なる表示を視認できれば良いことは言うまでもない。
【0041】
[2-3.効果等]
以上の様に、本実施の形態によると、比較結果に基づく表示は容器リセット表示部19の点滅表示とし、積算値をリセットした時の表示は点灯若しくは消灯など、比較結果に基づく表示点滅表示とは異なる表示とすることで、リセットの完了の有無を視認することができる。
【0042】
また、積算値と所定値との比較結果に応じて、点滅表示の点灯時間及び/又は消灯時間、或いは、点滅表示の点灯時間と消灯時間の割合を変更することで、残量を段階的に報知することも可能となる。
【0043】
更に、ガスメータの既存の容器リセット表示部19を利用することで、ガスボンベの残量の表示とリセット操作完了の表示を行うことができ、リセット忘れの確認を行うことができる。
【0044】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示は、容器リセット機能を有するガスメータに適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
11 流量計測部
12 積算部
13 比較部
14 所定値設定部
15 通信部
16 メータ表示部
17 リセットスイッチ
19 容器リセット表示部(表示部)