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  • 特開-圧力調整方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185666
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】圧力調整方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/11 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
C01B13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093431
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴翔
【テーマコード(参考)】
4G042
【Fターム(参考)】
4G042CA01
4G042CB29
(57)【要約】
【課題】ハードウェア構成の変更を最小限に抑え、オゾン生成装置の後段に存在するオゾン利用装置に悪影響を与えないように行える、オゾン生成装置に対する圧力調整方法を得る。
【解決手段】ステップS1において、目標圧力値Pyを設定し、ステップS2において、実行周期回数Tnを設定する。その後、ステップS3において、制御部5の制御下でAPC4によって目標圧力値Pyへの段階的圧力制御が実行される。すなわち、ステップS3において、実行周期回数Tnが2以上の場合、目標圧力値Pyに近づく方向に圧力設定値Ps(i)を変化させ、実行周期毎に新たな圧力設定値Ps(i)がAPC4に付与される。そして、最終的に目標圧力値Pyを指示する圧力設定値Ps(Tn)がAPC4に付与される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン生成装置に対する圧力調整方法であって、
前記オゾン生成装置は、
原料ガスを供給するための原料ガス供給経路と、
前記原料ガス供給経路を介して原料ガスを受け、放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、前記放電空間に原料ガスを通過させてオゾンガスを発生するオゾン発生動作を実行するオゾン発生器と、
前記オゾン発生器から発生されたオゾンガスを出力するためのオゾンガス出力経路と、
前記オゾンガス出力経路上に設けられ、前記オゾン発生器の内部圧力が圧力設定値になるように圧力制御動作を実行する圧力制御機器と、
前記圧力設定値を前記圧力制御機器に付与することにより、前記圧力制御機器に前記圧力制御動作を実行させる制御部とを備え、
前記圧力調整方法は残存圧力排出処理を含み、前記残存圧力排出処理はパージ処理の実行後に行われ、前記パージ処理は前記オゾン発生器内に残存するオゾンガスを外部に排出する処理であり、
前記残存圧力排出処理は、前記制御部の制御下で実行され、
(a) 目標圧力値を設定するステップと、
(b) 実行周期回数を設定するステップと、
(c) 前記パージ処理の実行直後の前記圧力設定値を初期圧力設定値とし、前記初期圧力設定値、前記目標圧力値及び前記実行周期回数に基づき、最終的な前記圧力設定値が前記目標圧力値になるように、前記圧力設定値を前記圧力制御機器に付与するステップとを含み、
前記ステップ(c)は、前記実行周期回数が2以上の場合、前記目標圧力値に近づく方向に前記圧力設定値を変化させ、実行周期毎に新たな前記圧力設定値を前記圧力制御機器に付与することを特徴する、
圧力調整方法。
【請求項2】
請求項1記載の圧力調整方法であって、
前記初期圧力設定値は「Ps(0)」、前記目標圧力値は「Py(<Ps(0))」、前記実行周期回数は「Tn(Tn≧1の自然数)」に規定され、
前記ステップ(c)は、
(c-1) 圧力変化量Px(=(Ps(0)-Py)/Tn)を算出するステップと、
(c-2) パラメータ値iを“1”に初期設定するステップと、
(c-3) 前記パラメータ値iで規定されるi回目の圧力設定値Ps(i){=Ps(i-1)-Px}を算出するステップと、
(c-4) i回目の実行周期用の圧力設定値Ps(i)を前記圧力制御機器に付与し、前記圧力制御機器にi回目の前記圧力制御動作を実行させるステップとを含み、
前記ステップ(c-3)及び(c-4)は、前記パラメータ値iを“1”増加させつつ、前記パラメータ値iが前記実行周期回数Tnに達するまで、Tn回繰り返し実行される、
圧力調整方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧力調整方法であって、
前記オゾン生成装置は、
前記原料ガス供給経路上に設けられ、前記オゾン発生器に入力される原料ガスの流量である原料ガス流量を制御する流量制御動作を実行する流量制御機器をさらに備え、
前記制御部は前記流量制御機器をさらに制御し、
前記圧力調整方法は前記パージ処理を含み、
前記パージ処理は、
前記制御部の制御下で、前記流量制御機器に前記流量制御動作を実行させ、前記原料ガス供給経路を介して供給される原料ガスを用いて前記オゾン発生器内に残存するオゾンガスを外部に排出する処理を含む、
圧力調整方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち、いずれか1項に記載の圧力調整方法であって、
前記実行周期回数は、1以上50以下に設定される、
圧力調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オゾン生成装置に対する圧力調整方法に関し、圧力調整方法はパージ処理後に実行される残存圧力排出処理を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
半導体製造ラインにてオゾン生成装置を停止する際、オゾン発生器内に残留したオゾンガスを排出するため、原料ガスを用いてパージ処理を実行した後、オゾン生成装置の内部に設置された自動圧力調節器(APC:Auto Pressure Controller)にて、オゾン発生器内の内部圧力を変更し、一気に内部圧力を低下させる残存圧力排出処理を実行している。
【0003】
なお、オゾン発生器及びAPCを有するオゾン生成装置として、例えば、特許文献1に開示されたオゾンガス供給システムがある。オゾンガス供給システムはオゾン発生器を有し、オゾン発生器は誘電体バリア放電を利用して酸素を含む原料ガスからオゾンガスを発生するオゾン発生動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5627027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のオゾン生成装置では、オゾン発生器のオゾン発生動作を停止させ、その後、オゾン発生器内の残留オゾンを排出するためのパージ処理の実行していた。パージ処理の実行後、圧力制御機器であるAPCによって、オゾン発生器内の圧力値が目標圧力値に達するように圧力変更することにより、オゾン発生器の内部圧力を低下させる残存圧力排出処理を実行していた。
【0006】
従来のオゾン生成装置において、オゾン発生器のオゾン発生動作の停止直後の圧力は、{0.20~0.35MPa}の比較的高圧な初期圧力値になっている。この初期圧力値はパージ処理の実行後も維持されている。
【0007】
残存圧力排出処理は、APCにてオゾン発生器内の残存圧力(内部圧力)を、上述した初期圧力値から目標圧力値(0.05~0.1MPa程度)までに低下させる処理である。残存圧力排出処理は、通常、APCの1実行周期内で完了する。APCの1実行周期は100ms程度の比較的短い期間である。
【0008】
したがって、残存圧力排出処理によって、オゾン発生器の内部圧力は急激な圧力変化を伴うことになる。この急激な圧力変化はオゾン発生器の後段の装置等にも伝搬する。
【0009】
オゾン発生器の内部圧力の急激な圧力変化は後段のオゾン利用装置に悪影響を与える懸念材料がある。以下、この点を詳述する。
【0010】
なお、オゾン利用装置としては、例えば、半導体成膜装置やオゾンキラー装置が考えられる。オゾンキラー装置は不要なオゾンガスを排気するため,オゾンガスを分解して無害な酸素ガスに戻す装置である。
【0011】
ここで、オゾン利用装置が半導体成膜装置である場合を考える。半導体成膜装置は、供給されるオゾンガスの変動量が大きくなると成膜精度が劣化するため、成膜処理を停止させている。オゾンガスの変動量は半導体成膜装置の入力部における圧力変化に基づき、半導体成膜装置側で認識している。このため、半導体成膜装置の入力部に急激な圧力変化が生じると、半導体成膜装置は成膜処理を停止してしまうリスクが生じる。
【0012】
このように、半導体成膜装置は、急激な圧力変化を検知すると、圧力警報を発報し、実行すべき成膜処理を行うことなく停止してしまうという懸念材料がある。
【0013】
なお、パージ処理の実行後においても、半導体成膜装置はオゾン製造装置との接続状態が維持されている場合が比較的多い。
【0014】
また、急激な圧力変化を緩和すべく、オゾン生成装置の出力側にオリフィスを挿入するというハードウェア対応が考えられる。すなわち、ハードウェア対応は、オゾン生成装置の出力部や、オゾン利用装置の入力部や、オゾン生成装置とオゾン利用装置との間を結ぶオゾンガス出力配管に所定のオリフィス径が設定されたオリフィスを挿入する対応となる。オリフィス挿入により、オゾン生成装置から後段の装置に一気にガスが流れ込むのを防止して、後段のオゾン利用装置への圧力変化を緩やかにすることができる。
【0015】
このように、オリフィス挿入によるハードウェア対応により、後段のオゾン利用装置における圧力変化時間である後段圧力変化時間を長くすることができる。
【0016】
一方、オゾン生成装置の後段の出力配管の配管構成や二次側のオゾン利用装置の圧力値等の影響を受けるため、最適な後段圧力変化時間を予め認識することは難しい。なお、出力配管はオゾン生成装置の出力部からオゾン利用装置の入力部に至る経路の配管を意味し、配管構成は、配管長、バルブ等の有無、配管曲がり回数等を含む。バルブには開閉弁等が含まれる。
【0017】
このように、オゾン生成装置及びオゾン利用装置を含むオゾンシステムにおいて、最適な後段圧力変化時間を予め認識することは難しい。したがって、ハードウェア対応による後段圧力変化時間の変更が要求される可能性は比較的高い。
【0018】
しかしながら、ハードウェア対応では、後段圧力変化時間を変更することは極めて困難である。なぜなら、前述したようにオリフィス径を簡単に変更することはできないからである。すなわち、ハードウェア対応の場合における後段圧力変化時間は実質的に固定されるため、急激な圧力変化に柔軟に対応することができないという問題点を有している。
【0019】
本開示は上記問題点を解決するためになされたもので、ハードウェア構成の変更を最小限に抑え、オゾン生成装置の後段に存在するオゾン利用装置に悪影響を与えないように行える、オゾン生成装置に対する圧力調整方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示の圧力調整方法は、オゾン生成装置に対する圧力調整方法であって、前記オゾン生成装置は、原料ガスを供給するための原料ガス供給経路と、前記原料ガス供給経路を介して原料ガスを受け、放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、前記放電空間に原料ガスを通過させてオゾンガスを発生するオゾン発生動作を実行するオゾン発生器と、前記オゾン発生器から発生されたオゾンガスを出力するためのオゾンガス出力経路と、前記オゾンガス出力経路上に設けられ、前記オゾン発生器の内部圧力が圧力設定値になるように圧力制御動作を実行する圧力制御機器と、前記圧力設定値を前記圧力制御機器に付与することにより、前記圧力制御機器に前記圧力制御動作を実行させる制御部とを備え、前記圧力調整方法は残存圧力排出処理を含み、前記残存圧力排出処理はパージ処理の実行後に行われ、前記パージ処理は前記オゾン発生器内に残存するオゾンガスを外部に排出する処理であり、前記残存圧力排出処理は、前記制御部の制御下で実行され、(a) 目標圧力値を設定するステップと、(b) 実行周期回数を設定するステップと、(c) 前記パージ処理の実行直後の前記圧力設定値を初期圧力設定値とし、前記初期圧力設定値、前記目標圧力値及び前記実行周期回数に基づき、最終的な前記圧力設定値が前記目標圧力値になるように、前記圧力設定値を前記圧力制御機器に付与するステップとを含み、前記ステップ(c)は、前記実行周期回数が2以上の場合、前記目標圧力値に近づく方向に前記圧力設定値を変化させ、実行周期毎に新たな前記圧力設定値を前記圧力制御機器に付与することを特徴する。
【発明の効果】
【0021】
本開示の圧力調整方法に含まれる残存圧力排出処理のステップ(c)は、実行周期回数が2以上の場合、目標圧力値に近づく方向に圧力設定値を変化させながら、実行周期毎に新たな圧力設定値を圧力制御機器に付与している。
【0022】
一方、オゾン発生器のオゾン出力経路に接続され、オゾン出力経路を介してオゾンガスを受けるオゾン利用装置は急激な圧力変化によって悪影響を受ける懸念材料がある。
【0023】
上記懸念材料が重視される場合、本開示の残存圧力排出処理は、実行周期回数を2以上に設定して、圧力設定値を段階的に変化させつつ、オゾン発生器内の内部圧力が最終的に目標圧力値になるように段階的圧力制御が行える。
【0024】
したがって、本開示の残存圧力排出処理は、実行周期回数が2以上の場合、実行周期回数が“1”の場合に比べて、目標圧力値に達成するためのオゾン発生器内の圧力変化を緩やかにして、急激な圧力変化に伴うオゾン利用装置への悪影響を効果的に抑制することができる。
【0025】
また、上記懸念材料が軽視できる場合、本開示の残存圧力排出処理は、実行周期回数を“1”に設定して、オゾン発生器内の内部圧力を速やかに目標圧力値に導くことができる。
【0026】
このように、本開示の残存圧力排出処理は、オゾン発生器内の目標圧力値への圧力変化時間を実行周期回数によってソフトウェア的に可変設定することができるため、オゾン生成装置におけるハードウェア構成の実質的な変更を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施の形態である圧力調整方法の圧力調整対象となるオゾン生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施の形態の圧力調整方法に含まれる残存圧力排出制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
図3図2で示したステップS3の処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施の形態>
図1は本開示の実施の形態である圧力調整方法の圧力調整対象となるオゾン生成装置100の構成を示すブロック図である。以下、図1を参照して、オゾン生成装置100の構成及び動作を説明する。
【0029】
図1において、原料供給系10から原料ガス供給配管31を介して、酸素ガスを含む原料ガスG1がオゾン発生器1に供給される。原料ガス供給経路となる原料ガス供給配管31は原料ガスG1を供給するための配管であり、原料供給系10とオゾン発生器1との間に設けられる。原料ガス供給経路となる原料ガス供給配管31上にMFC(Mass Flow Controller)3が設けられる。MFC3は制御部5の制御下でオゾン発生器1に供給される原料ガス流量を制御する流量制御機器である。
【0030】
オゾン発生器1内に互いに対向する電極構成部11及び12が配置され、電極構成部12の上方に電極構成部11が配置される。電極構成部11は金属電極11a及び誘電体層11bより構成され、上層が金属電極11a、下層が誘電体層11bとなる。電極構成部12は金属電極12a及び誘電体層12bより構成され、上層が誘電体層12b、下層が金属電極12aとなる。
【0031】
オゾン用電源2から高周波高電圧の交流電圧がオゾン発生器1内の金属電極11a及び12a間に印加されると、電極構成部11及び12間の放電空間8に誘電体バリア放電(無声放電)が発生する。このため、オゾン発生器1は、誘電体バリア放電が発生する放電空間8内に供給された原料ガスG1からオゾンガスG2を発生するオゾン発生動作を実行することができる。
【0032】
オゾン発生器1より発生されたオゾンガスG2は、オゾンガス出力配管32を介して外部のオゾン利用装置20に出力される。オゾンガス出力経路であるオゾンガス出力配管32はオゾン発生器1より発生されたオゾンガスG2を外部に出力するための配管であり、オゾン発生器1とオゾン利用装置20との間に設けられる。
【0033】
オゾン利用装置20として、例えば、半導体成膜装置やオゾンキラー装置が考えられる。オゾン利用装置20は内部にオゾン処理チャンバー等を有している。
【0034】
このように、オゾン発生器1は、原料ガス供給配管31を介して酸素を含む原料ガスG1を受け、放電空間8に誘電体バリア放電を発生させることにより、放電空間8を通過する原料ガスG1からオゾンガスG2を発生するオゾン発生動作を実行している。放電空間8は誘電体層11b及び12b間で対向する空間であり、その間隔は所定の放電ギャップ長に設定されている。
【0035】
オゾンガス出力経路となるオゾンガス出力配管32上にオゾン濃度測定器6及びAPC(Auto Pressure Controller)4が、オゾン発生器1からオゾン利用装置20にかけてオゾン濃度測定器6及びAPC4の順で設けられる。オゾン濃度測定器6は、オゾンガスG2の濃度を測定して測定ガス濃度を取得する測定器である。
【0036】
APC4は制御部5の制御下で圧力制御動作を実行する圧力制御機器であり、圧力制御動作は、オゾン発生器1内の圧力である内部圧力が圧力設定値Ps(i)になるように自動制御する動作である。圧力設定値Ps(i)は制御部5より付与される。
【0037】
オゾン用電源2はオゾン発生器1の金属電極11a,金属電極12a間の高周波の交流電圧を付与する。オゾン用電源2が供給する交流電圧の内容は、制御部5によって設定される。
【0038】
制御部5は、MFC3、APC4、オゾン用電源2、及びオゾン濃度測定器6を制御して、オゾン生成装置100に対する圧力調整方法の実行を制御する。圧力調整方法には後述する残存圧力排出制御処理を含んでいる。なお、制御部5として、例えば、ECU(Electronic Control Unit)等の電気制御部が考えられる。
【0039】
MFC3は、制御部5の制御下でオゾン発生器1に供給する原料ガスG1の原料ガス流量が目標ガス流量になるように流量制御動作を実行している。目標ガス流量は制御部5から付与される。
【0040】
オゾン濃度測定器6は、オゾンガスG2のオゾン濃度を測定して測定オゾン濃度を得る。測定オゾン濃度は制御部5に伝達される。
【0041】
APC4は、オゾンガス出力配管32内を流れるオゾンガスG2の圧力を制御することにより、オゾン発生器1内の内部圧力が自動的に圧力設定値Ps(i)になるように制御する圧力制御動作を実行している。制御部5からAPC4に圧力設定値Ps(i)が指示される。
【0042】
なお、APC4は圧力制御動作を実行すべく、オゾンガス出力配管32内の圧力を測定する圧力センサを有している。
【0043】
このような構成のオゾン生成装置100において、オゾン用電源2より交流電圧をオゾン発生器1に印加することにより、オゾン発生器1はオゾン発生動作を実行して原料ガスG1からオゾンガスG2を発生している。すなわち、オゾン発生器1は、放電空間8に誘電体バリア放電を発生させ、放電空間8を通過する原料ガスG1をオゾンガスG2へ変化させるオゾン発生動作を実行している。オゾン発生器1のオゾン発生動作によって得られたオゾンガスG2は、オゾンガス出力経路となるオゾンガス出力配管32を介して外部のオゾン利用装置20に出力される。
【0044】
図2は本実施の形態の圧力調整方法の処理手順を示すフローチャートである。本実施の形態の圧力調整方法は、ステップS0のパージ処理と、ステップS1~S3の残存圧力排出処理を含んでいる。
【0045】
まず、ステップS0において、オゾン発生器1内に残存したオゾンガスG2を排出すべく、原料ガスG1によるパージ処理を実行する。パージ処理は、オゾン発生器1のオゾン発生動作を停止させた後に実行され、オゾン発生器1内に残存するオゾンガスG2をオゾンガス排出口35を介して外部に排出する処理である。なお、オゾン発生器1のオゾン発生動作の停止は、オゾン用電源2による交流電力の供給を停止することにより行える。
【0046】
オゾン発生器1のオゾン発生動作を停止させた後、オゾン発生器1内にオゾンガスが残留した状態では、オゾン発生器1内の電極構成部11,12間、オゾンガス出力配管32、APC4、及びオゾン濃度測定器6を含む各構成部の劣化や故障につながる。このため、オゾン発生動作の停止後、残留オゾンガスの排出処理としてステップS0でパージ処理を実行する必要がある。
【0047】
本実施の形態では、ステップS0において、原料ガスG1を利用したパージ処理を実行して、オゾン発生器1内の残留オゾンガスを外部に排出させている。
【0048】
ステップS0におけるパージ処理の実行時において、原料供給系10から原料ガスG1が原料ガス供給配管31を介してオゾン発生器1内に供給される。この際、制御部5の制御下でMFC3に流量制御動作を実行させ、オゾン発生器1内のオゾンガスG2をオゾンガス排出口35から外部に排出できる流量に原料ガスG1の流量(目標ガス流量)が設定される。オゾン発生器1はオゾン発生動作を停止しており、放電空間8に誘電体バリア放電は生じないため、原料ガスG1を供給しても、新たにオゾンガスG2が発生されることない。
【0049】
このように、本実施の形態の圧力調整方法は、ステップS0でパージ処理を実行して、オゾン発生動作を停止したオゾン発生器1内に原料ガスG1を供給することにより、オゾン発生器1内に残存したオゾンガスG2をオゾンガス排出口35から外部に排出することができる。なお、オゾンガス排出口35は、オゾンガス出力配管32と独立して設けられ、オゾンガス出力配管32を介して図示しないオゾン排出部から外部にオゾンガスG2を排出している。
【0050】
パージ処理によってオゾン発生器1内の残留オゾンガスが排出された後、オゾン発生器1内の電極構成部11,12間、オゾンガス出力配管32、APC4、及びオゾン濃度測定器6それぞれに、{0.20MPa~0.030MPa}程度の残圧が残っている。
【0051】
オゾン生成装置100を完全停止させるには、オゾン発生器1の内部圧力を所望の目標圧力値まで低下させる残存圧力排出処理を実行する必要がある。
【0052】
したがって、ステップS0のパージ処理の実行後、ステップS1~S3からなる残存圧力排出処理が制御部5の制御下で実行される。以下、残存圧力排出処理の処理手順を説明する。
【0053】
ステップS1において、目標圧力値Pyを設定する。具体的には、制御部5に目標圧力値Pyを付与する。目標圧力値Pyはオゾン発生器1の内部圧力の最終目標値である。
【0054】
次に、ステップS2において、実行周期回数Tnを設定する。具体的には、制御部5に実行周期回数Tnを付与する。APC4は実行周期毎に1単位の圧力制御動作を実行する。実行周期回数Tnによって、1単位の圧力制御動作の実行回数(Tn回)が設定される。
【0055】
なお、ステップS2に関し、例えば、オゾン生成装置100に搭載されタッチパネル等の操作パネル(図示せず)を使用者が操作することにより、実行周期回数Tnを制御部5に付与する態様が考えられる。この際、オゾン生成装置100内の制御部5に実行周期回数Tnが付与されるように、操作パネルはオゾン生成装置100に搭載される。
【0056】
また、実行周期回数Tnを指示する電気信号を制御部5に入力することにより、ステップS2を実行するようにしても良い。電気信号は電流値や電圧値によって実行周期回数Tnを指示する。
【0057】
さらに、ステップS1に関し、目標圧力値Pyも、実行周期回数Tnと同様、操作パネルや電気信号による入力が可能である。また、オゾン生成装置100内の図示しない記憶装置に目標圧力値Pyを予め格納しておき、ステップS1の実行時に制御部5に付与されるように構成しても良い。
【0058】
その後、ステップS3において、制御部5の制御下で目標圧力値Pyへの段階的圧力制御が実行される。
【0059】
まず、制御部5は、ステップS0のパージ処理実行直後の圧力設定値を初期圧力設定値Ps(0)として認識する。制御部5は常にAPC4に圧力設定値を付与しているため、初期圧力設定値Ps(0)を簡単に認識することができる。
【0060】
そして、制御部5は、初期圧力設定値Ps(0)、目標圧力値Py、及び実行周期回数Tnに基づき、圧力設定値Ps(i)を算出し、APC4の実行周期毎に圧力設定値Ps(i)をAPC4に付与する。その結果、APC4はオゾン発生器1の内部圧力が圧力設定値Ps(i)になるように、i回目の圧力制御動作を実行する。
【0061】
圧力設定値Ps(i)の設定は、実行周期回数Tn回行われ、実行周期回数Tnが2以上の場合、目標圧力値Pyに近づく方向に圧力設定値Ps(i)を変化させ、実行周期毎に新たな前記圧力設定値Ps(i)がAPC4に付与される。
【0062】
このように、ステップS3において、実行周期回数Tn段階で圧力設定値Ps(i)を変化させ、最終的にオゾン発生器1内の内部圧力を目標圧力値Pyに設定する段階的圧力制御が実行される。
【0063】
図3図2で示したステップS3の処理内容の詳細を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、ステップS3の段階的圧力制御の処理内容を説明する。
【0064】
上述したように、初期圧力設定値は「Ps(0)」で規定され、目標圧力値は「Py」で規定され、実行周期回数は「Tn」で規定される。なお、オゾン発生動作後のオゾン発生器1の内部圧力は{0.20~0.35MPa}程度の比較的高圧な状態であり、ステップS0のパージ処理の実行後も維持されている。一方、目標圧力値Pyは{0.05~0.1MPa}程度に設定されるため、{Py<Ps(0)}となる。また、実行周期回数Tnは1以上の自然数に設定される。
【0065】
図3を参照して、まず、ステップS31において、圧力変化量Pxを算出する。圧力変化量Pxは以下の式(1)を用いて算出される。
【0066】
Px=(Ps(0)-Py)/Tn…(1)
【0067】
次に、ステップS32において、パラメータ値iを“1”に初期設定する。
【0068】
その後、ステップS33において、i回目の圧力設定値Ps(i)を算出する。圧力設定値Ps(i)は以下の式(2)を用いて算出される。
【0069】
Ps(i)=Ps(i-1)-Px…(2)
【0070】
例えば、パラメータ値iが“1”の場合、{初期圧力設定値Ps(0)-Px}によって圧力設定値Ps(1)を算出することができる。
【0071】
なお、APC4による実行周期はソフトウェア制御周期Tsとして予め設定されている。ソフトウェア制御周期Tsは、例えば、100ms程度に設定される。また、ソフトウェア制御周期Tsは可変設定することができる。
【0072】
その後、ステップS34において、制御部5から圧力設定値Ps(i)をAPC4に付与することにより、圧力設定値Ps(i)によるi回目の圧力制御動作をAPC4に実行させる。例えば、パラメータ値iが“1”の場合、制御部5は、圧力設定値Ps(1)をAPC4に付与することにより、APC4に1回目の圧力制御動作を実行させる。
【0073】
その結果、APC4は。オゾン発生器1の内部圧力が圧力設定値Ps(i)になるようにi回目の圧力制御動作を実行する。この際、i回目の圧力制御動作は必ずソフトウェア制御周期Ts内に完了するように実行される。
【0074】
次に、ステップS35において、パラメータ値iが実行周期回数Tnに達した(i=Tn)か否かが検証され、YESの場合は処理を終了し、NOの場合はステップS36に移行する。
【0075】
例えば、パラメータ値iが“1”で実行周期回数Tnが2以上である場合、ステップS35は「NO」となり、パラメータ値iが“1”で実行周期回数Tnも“1”である場合、ステップS35は「YES」となり、処理を終了する。
【0076】
ステップS35でNOの場合に実行されるステップS36において、パラメータ値iが“1”増加される(i=i+1)。例えば、ステップS36の実行前のパラメータ値iが“1”であった場合、パラメータ値iは“2”に増加される。
【0077】
ステップS36の実行後に再び実行されるステップS33において、i回目の圧力設定値Ps(i)を上述した式(2)を用いて新たに算出する。
【0078】
例えば、パラメータ値iが“2”の場合、圧力設定値Ps(2)は{圧力設定値Ps(1)-Px}によって算出することができる。
【0079】
その後、ステップS34において、制御部5から新たな圧力設定値Ps(i)をAPC4に付与することにより、APC4にi回目の圧力制御動作を実行させる。例えば、パラメータ値iが“2”の場合、制御部5は圧力設定値Ps(2)をAPC4に付与することにより、APC4に2回目の圧力制御動作を実行させる。
【0080】
なお、パラメータ値iが2以上の場合、ステップS34で圧力設定値Ps(i)を付与するタイミングは、直近のステップS34で圧力設定値Ps(i-1)の付与タイミングから、ソフトウェア制御周期Tsの経過後になるように設定される。
【0081】
次に、ステップS35において、パラメータ値iが実行周期回数Tnに達した(i=Tn)か否かが検証され、YESの場合は処理を終了し、NOの場合はステップS36に移行する。
【0082】
例えば、パラメータ値iが“2”で実行周期回数Tnが3以上である場合、ステップS35は「NO」となり、パラメータ値iが“2”で実行周期回数Tnも“2”である場合、ステップS35は「YES」となり、処理を終了する。
【0083】
ステップS35でNOの場合に実行されるステップS36において、パラメータ値iが“1”増加される(i=i+1)。例えば、ステップS36の実行前のパラメータ値iが“2”であった場合、パラメータ値iは“3”に増加される。
【0084】
以降、ステップS35でYESとされるまで、ステップS36でパラメータ値iが“1”増加されながら、ステップS33及びステップS34の処理が繰り返し実行される。
【0085】
したがって、ステップS33及びS34は、パラメータ値iを“1”増加させつつ、パラメータ値iが実行周期回数Tnに達するまで、Tn回繰り返し実行される。
【0086】
このように、ステップS31~S36を含むステップS3は、実行周期回数Tnが2以上の場合、目標圧力値Pyに近づく方向に圧力設定値Ps(i)を段階的に変化させながら、APC4の実行周期毎に新たな圧力設定値Ps(i)をAPC4に付与する処理となる。
【0087】
(具体例)
ステップS3の具体例として、ステップS0のパージ処理によって、オゾン発生器1内の残留オゾンガスの外部への排出が完了した直後の、初期圧力設定値Ps(0)が「0.250MPa」であり、残存圧力排出処理の完了時における目標圧力値Pyを「0.050MPa」、実行周期回数Tnを“10”に設定した場合を考える。
【0088】
この場合、APC4の1単位の実行周期あたりの圧力変化量Pxは上述した式(2)によって、「Px={(0.250-0.050)/10}=0.02MPa」となる。したがって、ステップS33において、1実行周期毎の圧力設定値Ps(i)の減圧値を「0、02MPa」として、圧力設定値Ps(i)は10段階で減少するように設定される。
【0089】
残存圧力排出処理の1回目の圧力設定値Ps(1)は{Ps(0)-Px}となり、「0.230MPa」が得られるため、APC4の実行周期を規定するソフトウェア制御周期Tsである100ms内にオゾン発生器1の内部圧力は0.250MPaから0.220MPaに減圧される。
【0090】
オゾン発生器1の内部圧力は2回目以降も0.02MPaずつ減圧され、2回目の圧力設定値Ps(2)は「0.210MPa」となり、3回目の圧力設定値Ps(3)は「0.190MPa」となり、10回目の圧力設定値Ps(10(=Tn))は「0.050MPa(=Py)」となる。
【0091】
このように、ステップS3の実行により、段階的(傾斜状)にオゾン発生器1内の残存圧力を下げることができる。すなわち、具体例では、残存圧力排出処理を、1000ms(100ms×10)かけて実行することができる。
【0092】
オリフィス挿入などのハードウェア対応を行う場合、オゾン生成装置100を出荷する前段階、もしくは、出荷後において使用者側でオゾンガス出力配管32等の配管の取り外しが必要となり、オゾンガス出力配管32における気密性の確認やオゾンガス出力配管32内のパーティクル除去のための長時間のパージ処理が余分に必要となってしまう。
【0093】
これに対して、本実施の形態の圧力調整方法における残存圧力排出処理は、オゾン生成装置100のハードウェア構成を変更することなく、制御部5の制御内容を変更するというソフトウェア構成の変更のみによって実現することができる。すなわち、本実施の形態の残存圧力排出処理は、オゾン生成装置100の部品コストを抑えて実行することができる。
【0094】
したがって、本実施の形態の残存圧力排出処理は、オゾン生成装置100を生産設備に据え付けた後においても、実行周期回数Tn、目標圧力値Py、ソフトウェア制御周期Ts等を調整することができるため、圧力変化に柔軟に対応することができる。
【0095】
本実施の形態の圧力調整方法に含まれる残存圧力排出処理におけるステップS3は、図3で示したステップS31~S36を含んでいる。このため、実行周期回数Tnが2以上の場合、ステップS3において、目標圧力値Pyに近づく方向に圧力設定値Ps(i)を、Ps(1),Ps(2),…,Ps(Tn)の順で変化させながら、APC4の実行周期毎に新たな圧力設定値Ps(i)をAPC4に付与している。そして、最終的な圧力設定値Ps(Tn)を目標圧力値Pyに設定している。
【0096】
すなわち、本実施の形態の残存圧力排出処理は、制御部5の制御下で、i回目の実行周期において、オゾン発生器1の内部圧力が圧力設定値Ps(i)になるように、APC4に圧力制御動作を実行させている。そして、制御部5は、最終回であるTn回目の実行周期において、オゾン発生器1の内部圧力が目標圧力値Pyになるように、APC4に圧力制御動作を実行させている。
【0097】
一方、オゾン発生器1のオゾンガス出力経路であるオゾンガス出力配管32に接続され、オゾンガス出力配管32を介してオゾンガスG2を受けるオゾン利用装置20は、前述したように、急激な圧力変化によって悪影響を受ける懸念材料がある。
【0098】
したがって、本実施の形態の残存圧力排出処理は、上記懸念材料を重視して、実行周期回数Tnを2以上に設定する場合、実行周期回数Tnが“1”の場合に比べて、オゾン発生器1の内部圧力の圧力変化を緩やかにして、急激な圧力変化に伴うオゾン利用装置20への悪影響を効果的に抑制することができる。
【0099】
例えば、上述した具体例において、実行周期回数Tnが“1”の場合は、目標圧力値Pyへの圧力変化時間は100msとなるが、実行周期回数Tnが“10”の場合は、目標圧力値Pyへの圧力変化時間を1000msと緩やかにすることができる。
【0100】
また、オゾン利用装置20への圧力変化の影響に関する上記懸念材料が軽視できる場合、本実施の形態の残存圧力排出処理は、実行周期回数Tnを“1”に設定して、オゾン発生器1の内部圧力を速やかに目標圧力値Pyに導くことができる。
【0101】
例えば、上述した具体例において、実行周期回数Tnを“1”に設定すると、圧力設定値Ps(1)が目標圧力値Pyとなり、目標圧力値Pyへの圧力変化時間は100msと最短時間に短縮することができる。
【0102】
このように、本実施の形態の残存圧力排出処理は、オゾン発生器1内の目標圧力値Pyへの圧力変化時間を実行周期回数Tnによってソフトウェア的に可変設定することができるため、オゾン生成装置100のハードウェア構成の実質的な変更を不要にできる。したがって、オゾン生成装置100の部品コストの増加は生じない。
【0103】
さらに、本開示の圧力調整方法はステップS0のパージ処理実行時に、原料ガス供給配管31及びMFC3を利用してパージ処理を実行している。原料ガス供給経路である原料ガス供給配管31と流量制御機器であるMFC3とは一般的なオゾン生成装置が具備する構成要素である。
【0104】
したがって、オゾン生成装置100に構成要素を増加させることなく部品コストを抑え、圧力調整方法に含まれるパージ処理を実行することができる。
【0105】
(実行周期回数Tn)
本実施の形態では、ソフトウェア制御周期Tsが100ms程度を想定しているため、実行周期回数Tnは{1~50(回)}の範囲で設定することが望ましい。しかし、ソフトウェア制御周期Tsに合わせて、実行周期回数Tnの最大値は51以上でも、上述した実施の形態の効果を発揮することができる。
【0106】
<その他>
制御部5は、ソフトウェアに基づくCPUを用いたプログラム処理によって実行しても良い。例えば、制御部5がECUの場合、図2及び図3で示した一連のステップをプログラム処理としECU内に組み込むことができる。
【0107】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 オゾン発生器
2 オゾン用電源
3 MFC
4 APC
5 制御部
6 オゾン濃度測定器
10 原料供給系
20 オゾン利用装置
31 原料ガス供給配管
32 オゾンガス出力配管
100 オゾン生成装置
図1
図2
図3