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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018569
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0043 20190101AFI20220120BHJP
   F24F 1/0038 20190101ALI20220120BHJP
   F24F 3/00 20060101ALI20220120BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20220120BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20220120BHJP
【FI】
F24F1/0043
F24F1/0038
F24F3/00 A
F24F6/00 D
F24F7/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121767
(22)【出願日】2020-07-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000244958
【氏名又は名称】木村工機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 恵一
(72)【発明者】
【氏名】浦野 勝博
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和也
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BC01
3L055DA08
(57)【要約】
【課題】 健康的で快適な室内環境を維持できる空気調和システムを得る。
【解決手段】 室内の天井部から還気を吸込む吸込ユニット(1)と、吸込ユニット(1)の還気を屋外に排気しながら外気を供給する外調機(4)と、吸込ユニット(1)の還気と外調機(4)の外気との混合空気を空調用空気として供給する空調機(3)と、吸込ユニット(1)を囲むように室内に設けられて室内に空調用空気を放出しながら空調用空気の熱を放射する複数の放射ユニット(2)と、を備える。吸込ユニット(1)で誘引気流を発生させて室内を換気しながら放射ユニット(2)の熱放射で空調するように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の天井部から還気を吸込む吸込ユニット(1)と、前記吸込ユニット(1)の前記還気を屋外に排気しながら外気を供給する外調機(4)と、前記吸込ユニット(1)の前記還気と前記外調機(4)の前記外気との混合空気を空調用空気として供給する空調機(3)と、前記吸込ユニット(1)を囲むように前記室内に設けられて前記室内に前記空調用空気を放出しながら前記空調用空気の熱を放射する複数の放射ユニット(2)と、を備え、前記吸込ユニット(1)で誘引気流を発生させて前記室内を換気しながら前記放射ユニット(2)の熱放射で空調するように構成したことを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
前記室内中央の前記天井部に設けた前記吸込ユニット(1)と、前記吸込ユニット(1)を囲むように前記室内の壁に設けた複数の前記放射ユニット(2)と、を備えた請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
複数の前記吸込ユニット(1)と、前記室内の天井部と壁の一方又は両方に設けた複数の放射ユニット(2)と、を備えた請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記外気と前記還気をヒートポンプ(12)を介して熱交換する外調機(4)を、備えた請求項1から3のいずれかに記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記吸込ユニット(1)の前記還気に対して紫外線照射とフィルタリングの一方又は両方を行うクリーンユニット(5)を、備えた請求項1から4のいずれかに記載の空気調和システム。
【請求項6】
蒸気加湿器(16)と、前記蒸気加湿器(16)で加湿された空気にイオンを付加するイオン発生器(22)を設けた前記放射ユニット(2)と、を備えた請求項1から5のいずれかに記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の室内空調は、空調機から冷風または温風を吹出して循環させ、室内温度を調整するのものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-70620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような対流空調では、飛沫やエアロゾルが飛散しやすくて感染症罹患のリスクが高く、温度ムラが生じやすくて快適性が損なわれる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、室内の天井部から還気を吸込む吸込ユニットと、前記吸込ユニットの前記還気を屋外に排気しながら外気を供給する外調機と、前記吸込ユニットの前記還気と前記外調機の前記外気との混合空気を空調用空気として供給する空調機と、前記吸込ユニットを囲むように前記室内に設けられて前記室内に前記空調用空気を放出しながら前記空調用空気の熱を放射する複数の放射ユニットと、を備え、前記吸込ユニットで誘引気流を発生させて前記室内を換気しながら前記放射ユニットの熱放射で空調するように構成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、強制対流でなく熱放射しながら誘引気流で換気を行うので、飛沫やエアロゾルの拡散を防ぎつつ室内有害物質濃度を希釈して感染症の罹患リスクを抑制できる。しかも温度ムラのない放射空調なので快適性と健康性の両立を図れる。
請求項2の発明によれば、室内の壁から空調用空気を放出して室内中央の天井部から排気するので、狭い室内向きで、空気滞留域を減らして室内の隅々までムラなく換気できる。
請求項3の発明によれば、複数の吸込ユニットと、室内の天井部と壁の一方又は両方に放射ユニットを設けているので、広い室内でも換気ムラを抑えながら快適空調ができる。
請求項4の発明によれば、高エクセルギーの還気を利用して外気を熱交換して冷却・加熱できるので省エネとなる。
請求項5の発明によれば、クリーンユニットで空気浄化を確実に行えるので、高い清浄度が要求される病室などに最適である。
請求項6の発明によれば、蒸気加湿器で最適相対湿度50%前後にコントロールして人の免疫力を高めつつウィルスなどの室内有害物質の発生率や生存率を下げ、さらにイオン発生器で室内有害物質の捕集効果を高めて排気することで、低温で低湿な季節でも快適で健康的な室内環境を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の空調システムの第1の実施例の簡略平面図である。
図2図1の簡略正面図である。
図3】外調機の簡略説明図である。
図4図2の放射ユニットのA‐A断面図である。
図5】第2の実施例の簡略平面図である。
図6図5の簡略正面図である。
図7】第3の実施例の簡略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
図1から図4は、本発明の空気調和システムの第1の実施例を示している。この空気調和システムは、吸込ユニット1、放射ユニット2、空調機3、外調機4、クリーンユニット5、風量調整ダンパ6及び制御装置7を備え、吸込ユニット1の吸込風速を増加させることで誘引気流を発生させて室内を換気しつつ、吸込ユニット1の放射ユニット2の熱放射で空調するように構成する。
【0009】
吸込ユニット1、放射ユニット2、空調機3、外調機4、クリーンユニット5及び流量調整ダンパ6は、外気(OA)、還気(RA)、排気(EA)、給気(SA)が流れるように、太線で示すダクト8にて相互に接続し、病院やオフィスなどの室内外に設置する。室内の天井と壁のコーナー部Cは突出させて、コーナー部C以外の天井を高くする。これにより、室内有害物質が天井部に集まりやすくなり効率的に排気できるようになる。コーナー部Cの空洞にはダクト8などを収納してスペースを有効活用する。各図の太い点線矢印は空気の流れる方向を示す。
【0010】
吸込ユニット1は、室内の天井部から還気(室内空気)を吸込むと共に、吸込風速を増減する風速調整ダンパ9を、備えている。放射ユニット2は、吸込ユニット1を囲むように室内に設けられて室内に空調用空気(給気)を放出しながら空調用空気の熱を放射する。吸込ユニット1は室内中央の天井部に設け、吸込ユニット1を中心に放射状となるように室内の壁の入隅部に放射ユニット2を設ける。図例では、放射ユニット2は入隅部に縦長となるように設置しているが、入隅部以外の壁に設けても良い。
【0011】
クリーンユニット5は、図示省略の紫外線照射光源と特殊フィルタなどを備え、室内空気中の有害物質に対して紫外線照射とフィルタリングの一方又は両方を行い、ウィルスの不活性化などによって空気を浄化する。風量調整ダンパ6は、空調機3への送風量と外調機4への送風量(排気量)を、例えば7:3となるように調整する。
【0012】
空調機3は、機体内に熱交換コイル10及び送風機11を備えている。送風機11は、吸込ユニット1及びクリーンユニット5を介して吸込んだ還気と、外調機4から送られてきた外気との混合空気を空調用空気として、熱交換コイル10を通過させて放射ユニット2に供給する。熱交換コイル10は、外気と還気の混合空気を熱交換して、室内空調に適した温度に調整する。
【0013】
熱交換コイル10は、冷水又は温水の熱交換媒体で空調用空気を熱交換する構造、フロンなどの冷媒の熱交換媒体で空調用空気を熱交換する構造、その他の構造のものが利用可能であるが、図例では冷水又は温水で空調用空気を熱交換する構造のものを例示している。冷水又は温水は、図示省略のチラーやボイラーなどの熱源機で温度調整される。
【0014】
外調機4は、機体内にヒートポンプ12、給気ファン13、排気ファン14、気化式加湿器15及び蒸気加湿器16を備えている。排気ファン14は、吸込ユニット1を介して吸込んだ還気をダクト8を介して屋外に排気しながら、給気ファン13は、屋外からダクト8を介して外気を吸込んで空調機3に供給する。外気はヒートポンプ12を介して還気と熱交換されて空調機3に供給される。気化式加湿器15及び蒸気加湿器16は、外気を加湿する。
【0015】
ヒートポンプ12は、冷媒に対して圧縮・凝縮・膨張・蒸発の工程順を繰返し、この冷媒と熱交換する空気に対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うものである。ヒートポンプ12は、冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を担う外気用熱交換器17及び熱源空気用熱交換器18と、冷媒を圧縮して搬送する圧縮機19と、冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構20と、外気用熱交換器17及び熱源空気用熱交換器18の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構21と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。
【0016】
外気用熱交換器17と熱源空気用熱交換器18は、空調機3の熱交換コイル10と同様の構成で、熱交換用媒体(冷媒)が流通する伝熱管群を、空気が通過するフィン群に接続した構造で、熱交換用媒体と通過空気が、伝熱管群及びフィン群を介して熱交換する(図示省略)。伝熱管群は楕円管にて構成するのが望ましいが円形管としてもよい。
【0017】
放射ユニット2は、空気供給部23、空気誘引部24、空気混合部25及びイオン発生器22を、備える。空気供給部23はダクト8を介して空調機3の吹出口に接続され、空調機3から供給空気が送られる。供給空気は空気供給部23から空気混合部25へ噴流し、噴流した供給空気の誘引作用で空気誘引部24を介して室内空気を誘引する。供給空気と誘引空気は混ざり合って空気混合部25から室内へ出つつ、供給空気と誘引空気の混合空気の熱を空気混合部25の蓄熱プレート群27から室内へ放射する。イオン発生器22は、加湿された空調用空気にイオンを付加し、室内に浮遊する煙、臭気、菌類、ウィルス、アレルゲンなどの室内有害物質を吸着する。
【0018】
制御装置7は、予め設定された室内環境となるように空調機3、外調機4及び風量調整ダンパ6の運転を少なくとも制御する。室内環境は、温度、湿度、二酸化炭素濃度、浮遊粉塵量、室内有害物質量などを指標とする。制御装置7はマイクロプロセッサ、各種センサー、その他の制御機器で構成する。
【0019】
図5図6は、第1の実施例の放射ユニット2を、吸込ユニット1を中心に放射状となるように室内隅部の天井部に複数設けた第2の実施例で、その他の構成は第1の実施例と同様である。図7は、複数の吸込ユニット1と、室内の天井部と壁(図例では入隅部)の一方又は両方に設けた複数の放射ユニット2と、を備えた第3の実施例である。空調機3は、ファンユニット28とコイルユニット29に分割してダクト8で接続したセパレート形を示している。ファンユニット28は機体内に送風機11を備え、コイルユニット29は機体内に熱交換コイル10を備えている。その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0020】
なお、本発明は上述の実施例に限定されない。吸込ユニット1、放射ユニット2、空調機3及び外調機4の設置場所及び数量の変更は自由である。空調機3は、図1の一体形や図7のセパレート形など各種構造のものが使用可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 吸込ユニット
2 放射ユニット
3 空調機
4 外調機
5 クリーンユニット
16 蒸気加湿器
22 イオン発生器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7