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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185694
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】籾摺選別機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B02B7/02 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093467
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】岩井 通和
【テーマコード(参考)】
4D043
【Fターム(参考)】
4D043AA02
4D043DA01
4D043GA02
4D043GB03
4D043GB05
4D043GB08
4D043GB12
(57)【要約】
【課題】短粒種と長粒種の双方に迅速に対応できる籾摺選別機を提供する。
【解決手段】機体に籾摺装置2、風選部3、揺動選別装置6を配置した籾摺選別機において、籾を収容する籾ホッパ20をロール型籾摺装置2の上方に配置し、籾ホッパ20の上部に籾収容ユニット21を設け、籾収容ユニット21の上部を籾収容部21bに形成し、籾収容部21bから籾ホッパ20に籾を流下させる流下板21cを設ける。また、前記籾収容ユニット21の流下板21cに対向する位置に案内体21dを設け、案内体21dの下端側は籾収容ユニット21を籾ホッパ20に載置したとき籾ホッパ20内に侵入するよう形成した。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に籾摺装置(2)、風選部(3)、揺動選別装置(6)を配置した籾摺選別機において、籾を収容する籾ホッパ(20)をロール型籾摺装置(2)の上方に配置し、籾ホッパ(20)の上部に籾収容ユニット(21)を設け、籾収容ユニット(21)の上部を籾収容部(21b)に形成し、籾収容部(21b)から籾ホッパ(20)に籾を流下させる流下板(21c)を設けることを特徴とする籾摺選別機。
【請求項2】
籾ホッパ(20)には籾収容ユニット(21)からの新たな籾を受ける籾収容室(20a)と揺動選別装置6からの還元籾を受け入れる戻り室(20b)を備え、籾収容室(20a)と戻り室(20b)の間に仕切り壁(20c)を形成し、前記籾収容ユニット(21)の流下板(21c)の下端部と仕切り壁(20c)の上端部を対応するよう設けてなる請求項1に記載の籾摺選別機。
【請求項3】
前記籾収容ユニット(21)の流下板(21c)に対向する位置に案内体(21d)を設け、案内体(21d)の下端側は籾収容ユニット(21)を籾ホッパ(20)に載置したとき籾ホッパ(20)内に侵入するよう形成した請求項2に記載の籾摺選別機。
【請求項4】
案内体(21d)の下端側を折畳可能に構成する請求項3に記載の籾摺選別機。
【請求項5】
籾収容ユニット(21)は籾ホッパ(20)に対して着脱自在とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の籾摺選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺選別機に関し、特に長粒種籾への対応構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来籾摺選別機においてはジャポニカ米である短粒種を主な対象として籾を収容する籾ホッパをロール型籾摺装置の上方に配置する構成とするが(特許文献1)、左右一対の籾摺ロールのうち左右外側の籾摺ロールを他側の籾摺ロールより低くして籾投入線を機体内方に傾斜して配置し、この籾投入線に沿うように前記籾ホッパから籾を案内する傾斜板を備える構成としインディカ米等の長粒種に対応させる構成がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-189272号公報
【特許文献2】特開2019-42722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の構成のように、長粒種に対応できる構成があるが、短粒種と長粒種の双方に対応できない。
【0005】
この発明は、短粒種と長粒種の双方に迅速に対応できる構成を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記に鑑みて次のような技術的手段を講じた。
【0007】
請求項1に係る発明は、機体に籾摺装置2、風選部3、揺動選別装置6を配置した籾摺選別機において、籾を収容する籾ホッパ20をロール型籾摺装置2の上方に配置し、籾ホッパ20の上部に籾収容ユニット21を設け、籾収容ユニット21の上部を籾収容部21bに形成し、籾収容部21bから籾ホッパ20に籾を流下させる流下板21cを設けてなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、籾ホッパ20には籾収容ユニット21からの新たな籾を受ける籾収容室20aと揺動選別装置6からの還元籾を受け入れる戻り室20bを備え、籾収容室20aと戻り室20bの間に仕切り壁20cを形成し、前記籾収容ユニット21の流下板21cの下端部と仕切り壁20cの上端部を対応するよう設ける。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記籾収容ユニット21の流下板21cに対向する位置に案内体21dを設け、案内体21dの下端側は籾収容ユニット21を籾ホッパ20に載置したとき籾ホッパ20内に侵入するよう形成した。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、案内体21dの下端側を折畳可能に構成する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、籾収容ユニット(21)は籾ホッパ(20)に対して着脱自在とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、長粒種を籾摺りするときには、籾収容部21bに収容された籾が流下板21cを流下して籾摺装置2に供給できるので長粒種を整列させて供給できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、仕切り壁20cを流下板21cの一部として利用することができ、流下板21cの長さを延長でき所定長さを確保できる。流下板21cと仕切り壁20cをもって長い流下範囲で長粒種の整列作用を行い得て整列作用が良好となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によると、請求項2に記載の効果に加え、流下板21cで飛散する籾を籾摺装置2に確実に案内できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によると、請求項3に記載の効果に加え、籾収容ユニット21を取り外しておくときには、案内体21dの下端側を折畳むことで、案内体21dを籾収容ユニット21内に収納できる。
【0016】
請求項5に記載に発明によると、短粒種を籾摺りするときには、籾収容ユニット21を取り外すことで、迅速に籾摺作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかる籾摺選別機の正面側斜視図
図2】(a)同籾摺選別機の内部構成の正断面図および(b)籾収容ユニット正断面図
図3】同籾摺選別機の揺動選別板の選別分布状況
図4】(a)同籾摺選別機の揺動選別装置の正面図および(b)側面図
図5】同籾摺選別機の籾玄米分離体の斜視図
図6】穀物調製システム概要図
図7】短粒長粒籾兼用収容ユニット部の正断面図
図8】摩擦式精米機と研削式精米機の概要図
図9】仕様の異なる多段選別盤2区分とした一例の概要図
図10】異なる目合いの選別孔を有する選別機の概要図
図11】(a)同籾摺選別機の操作盤周辺の上面斜視図、(b)操作盤周辺の正面図
図12】同籾摺選別機の操作レバー他主要各部の連動構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態につき、図面に基づき説明する。
【0019】
まず、本発明の適用対象である籾摺選別機の全体について説明する。
【0020】
籾摺選別機1は、図1に示すように、機体正面側左端の籾摺装置2と、籾殻ダクト3aを備える風選部3と、その後部に配置の混合米昇降機4および混合米タンク5と、この混合米タンク5を後部に受ける前後に長い揺動選別装置6と、その側方の仕上米昇降機7とを備えて構成される。
【0021】
籾摺選別機1の内部構成は、図2の正面図に示すように、籾を収容する籾ホッパ20をロール型籾摺装置2の上方に配置し、この籾摺装置2から脱ぷ穀粒を風選部3により風選処理して分離した籾殻を籾殻ダクト3aから排出するとともに、風選穀粒(籾と玄米との混合米)を混合米昇降機4により混合米タンク5に貯留し、この混合米を供給調節可能な混合米タンク5から、図3に示すような揺動選別装置6の選別始端部H側に供給し、この揺動選別装置6の左右方向の揺動動作によって揺上げ側に玄米を比重選別し、この玄米の選別領域Aに合わせて選別終端側Tに可動玄米仕切板8を配置することによって選別玄米を仕切り、仕上米昇降機7に至る排出路9を経て仕上玄米として排出する(図3)。
【0022】
その一方で、揺動選別装置6の揺下げ側に選別される籾は、その籾領域Bに合わせて可動籾仕切板10を配置することにより、籾領域Bの選別籾をスロワ11に至る再籾摺路12を経て再び籾摺装置2に還元供給し、残余の混合米領域Cに選別される混合米は、混合米昇降機4に至る再選別路13を経て再び揺動選別装置6に循環供給する。このようにして、籾摺作業の進行とともに玄米を選別して玄米領域Aから仕上米昇降機5によって仕上玄米として排出する。
【0023】
揺動選別装置6について詳細に説明する。図4の正面図(a)および側面図(b)及び図5に示すように、前後に長い揺動選別板14を両側板14a,14bによって多段に固定した選別部と、その上部背面側で混合米を受けて各揺動選別板14に分配供給する分配用受部15からなる混合米分配部とを一体に構成し、揺下側となる左の側板14aには、籾領域Bの選別籾を再籾摺路12に導く籾玄米分離体16を備える。
【0024】
揺動選別装置6を構成する多段構成の揺動選別板14は、それぞれに選別用の凹部14cを多数形成しており、全体を左右方向の右側が高く傾斜するとともに選別始端側Hの後端部を高くして分配用受部15から混合米を受けつつ左右に傾斜揺動することにより、それぞれの前端部を選別終端側Tとして穀粒が比重選別される。揺動選別板14の揺上げ側には玄米層の玄米領域A、揺下げ側には籾層の籾領域B、中間部には混合米層の混合米領域Cが形成される。
【0025】
そして、揺動選別装置6の揺動選別板14毎に籾領域Bの選別終端側Tの側部に籾領域Bの籾を取り出す籾案内口17を設け、該籾案内口17の側方に対向する位置に、箱型状の籾玄米分離体16を側板14aを介して取付ける。籾玄米分離体16には各揺動選別板14それぞれの籾領域Bの籾が籾案内口17を通過して流入し、そこで籾に混じる玄米を分離し、前記再籾摺路12に籾を案内し、再選別路13に玄米を案内する構成である。
【0026】
籾玄米分離体16内には、籾に混じる玄米を漏下する網目体である目抜孔を多数形成した多孔板16aを揺動選別板14の段数分設ける。各多孔板16aの下方には、それぞれ漏下選別された玄米を受ける玄米案内板16bを設ける。すなわち、多孔板16aと玄米案内板16bを上下方向に交互に配置する構成である。
【0027】
玄米案内板16bの玄米排出側には、各玄米案内板16bから排出した玄米が一括して通過案内する玄米案内通路18を設け、この玄米案内通路18を前記再選別路13に連通する。また、各段の多孔板16aを漏下しなかった籾を一括して通過案内する籾案内通路19を設け、籾案内通路19と再籾摺路12を連通する。
【0028】
この実施の形態の玄米案内通路18は玄米案内板16bの側方に配置し、籾案内通路19は多孔板16aの前側に配置している。
【0029】
各多孔板16aと玄米案内通路18とを籾仕切壁16Sで仕切り、玄米案内板16bと玄米案内通路18は連通する構成とし、各多孔板16aと籾案内通路19とを連通し、玄米案内板16bと籾案内通路19とを玄米仕切壁16Gで仕切る構成である。すなわち、多孔板16a、玄米案内板16b、籾案内通路19、玄米案内通路18、籾仕切壁16S、玄米仕切壁16Gが籾玄米分離体16の箱体内に設けられている。
【0030】
多段の揺動選別板14毎に設けた籾案内口17から籾領域Bの籾が籾玄米分離体16の多孔板16aに流入する。多孔板16aにより混入している玄米が漏下し、多孔板16a上に残った籾は籾仕切壁16Sにより玄米案内通路18への流入を阻止されつつ籾案内通路19に流入し、再籾摺路12に落下して案内される。また、多孔板16aを漏下した玄米は玄米案内板16bに落下して供給され、玄米仕切壁16Gにより籾案内通路19への流入を阻止されつつ玄米案内通路18に入り、落下して再選別路13に案内される。本構成により、籾領域Bから取り出された籾に混じる玄米を各段毎の選別によって滞留無しに精度良く選別することができる。
【0031】
この場合において、籾玄米分離体16を側板14aの外側に沿って設け、前後方向に長い多孔板16aによる長い選別行程を形成することにより籾と玄米の選別精度を向上することができるため、籾摺装置2に戻る玄米量が低減し、二度摺りによる肌ずれ玄米の量を低減することができる。また、選別された玄米は再選別路13を介して迅速な再選別処理が可能となる。
【0032】
また、各玄米案内板16bは、籾案内口17の多孔板16aの下方で玄米を玄米案内通路18側に送出する傾斜角度を設けることにより、多孔板16aから受けた漏下選別穀粒が迅速に案内されて滞留のない効率のよい再選別が可能となる。また、多孔板16aは揺動選別板14と平行する姿勢で設けており、揺動選別板と同様に前後方向に前下がり傾斜する構成のため、籾を円滑に籾案内通路19に排出できる。
【0033】
また、玄米案内通路18の下端に揺動選別板14の下方を傾斜して設ける再選別連通部18aを接続し、再選別連通部18aと再選別路13に連通することにより、籾案内通路19の後方に再選別連通部18aを設けることとなり、籾玄米分離体16で分離した籾と玄米のそれぞれの搬送行程を簡潔に構成することができる。
【0034】
前記図2において、籾ホッパ20の上部に、籾収容ユニット21を設ける。この籾収容ユニット21は、断面矩形を呈し、上面を開放し漏斗21aを内装していてその上部を籾収容部21bに形成し、漏斗21aと対向し籾収容部21aから籾ホッパ20に籾を流下させる流下板21cを設け、漏斗21aの下部側に案内体21dを設けている。さらに、漏斗21aの下端部に供給シャッタ22を構成し、供給シャッタ22の上方に接近して繰出しロール23を設けている。
【0035】
ところで、長粒種を籾摺処理するときは、籾収容ユニット21を籾ホッパ20に載置しておき、籾を籾収容部21bに投入すると、籾収容部21bの籾は流下板21cを流下して籾摺装置2に供給できるものであるが、流下板21cに沿って流下できるので長粒種を整列させて籾摺装置2に供給できる。なお、供給シャッタ22を閉じて所定量の長粒種を籾収容部21bに収容でき、供給シャッタ22を開くとともに繰出しロール23を回転することで籾の供給量を調整できるので流下板21cによる整列を促進できる。
【0036】
籾ホッパ20には籾収容ユニット21からの新たな籾を受ける籾収容室20aと前記スロワ11からの還元籾を受け入れる戻り室20bを備える。そして籾収容室20aと戻り室20bの間に仕切り壁20cを形成する。さらに、前記籾収容ユニット21の流下板21cの下端部と仕切り壁20cの上端部を対応するよう設けている。したがって、仕切り壁20cを流下板21cの一部として利用することができ、流下板21cの長さを延長でき所定長さを確保できる。流下板21cと仕切り壁20cをもって長い流下範囲で長粒種の整列作用を行い得て整列作用が良好となる。
【0037】
籾収容ユニット21の流下板21cに対向する位置に案内体21dを設けるものであるが、この案内体21dの下端側は籾収容ユニット21を籾ホッパ20に載置したとき籾ホッパ20内に侵入するよう形成している。このように構成すると流下板21cで飛散する籾を籾摺装置2に確実に案内できる。なお、この案内体21dの下端側を折畳可能に構成することにより(図2中仮想線)、籾収容ユニット21内に収容可能としている。
【0038】
籾収容ユニット21を取り外すときは、短粒種の籾を籾摺処理する場合である。整列処理の必要がないため、籾ホッパ20に直接投入して籾摺選別を行うことで、迅速に籾摺り選別作業を行うことができるものである。
【0039】
前記籾収容ユニット21を取り外しておくときには、案内体21dの下端側を折畳むことで、案内体21dを籾収容ユニット21内に収納できる。
【0040】
図6において、籾摺選別機1からの玄米を小米除去選別、精白、貯留する穀物調製システムを示すもので、籾摺選別機1、米選機30、精米機40、玄米貯留タンク50、精白米貯留タンク60を設ける。
【0041】
籾摺選別機1は、前記のように、籾を貯留する籾ホッパ20と籾摺りする脱ぷ機(籾摺装置)2、籾殻を風選する風選部3、籾と玄米とを比重選別する多段の揺動選別板14を備えた揺動選別装置6、揺動選別装置6で選別した玄米を取り出す玄米昇降機7とを備えている。この実施の形態の脱ぷ機2はインペラ式による籾に衝撃を与えて脱ぷするタイプであるが、図2に示すようにそれぞれ逆回転する一対のロール間を籾が通過することで脱ぷするロール式の脱ぷ機でも良い。多段の揺動選別装置6のそれぞれの選別面は籾が分布する籾領域Mと、籾と玄米の混合米が分布する混合米領域Kと、玄米が分布する玄米領域Gとに分かれ、各領域の穀物は、揺動選別装置6の排出側に設ける玄米仕切板16Gと籾仕切板16Mとで分けて取り出される。
【0042】
籾摺選別装置1の籾ホッパ2の上部には、短粒種及び長粒種兼用の籾収容ユニット25を載置可能に設ける。この短粒長粒籾兼用収容ユニット25内には、短粒種用通路25aと長粒種用通路25bとを備え、上部に形成する貯留部25cからいずれの通路25a又は25bに供給するか切り替える供給切替部26を設けている。供給切替部26は、短粒種用落下口26aと長粒種用落下口26bを形成したスライドシャッタ形態とし、正逆転転可能な切替モータ27によって図7における左右にスライド切替でき、下方にのぞむ短粒種用通路25a又は長粒種用通路25bに貯留部25cの籾を供給できる構成としている。なお、短粒種用通路25aは多量の籾を供給可能に籾ホッパ20との対向面積を比較的広く形成し、長粒種用通路25bは直線状に籾を供給できるよう直線状の整列通路に形成している。上部の貯留部25cには短粒種・長粒種識別センサ28を備えて図外制御部に検出結果を出力できる。
【0043】
米選機30について説明する。縦長姿勢の機体内に、小米が通過する多数の選別孔fを形成する選別筒31と、選別筒31内にあって、米選機30の投入ホッパ32に投入された穀物を上方に移送する移送螺旋33を、それぞれ、米選機駆動モータ34で縦軸芯周りに回転する構成としている。選別孔fを通過した小米は小米排出口35から排出され、選別孔fを通過しないで移送螺旋33で上部まで移送された整粒(選別米)は選別米排出口36から排出される。
【0044】
次いで精米機40について説明すると、機体内の精白室41内の精白ロール(図示せず)を設け、精白ロールを精米機駆動モータ42で回転駆動させると共に、精白室41の精白米排出口43には精白度を設定する圧迫板44を設け、圧迫板44は圧迫板駆動モータ45で駆動し、精白室41内を所望の精白度にする公知の構成である。精米機40の投入ホッパ45の玄米を精白室41に供給すると、精白ロール(図示せず)と圧迫板の作用で玄米から糠を剥離して精白米にする。
【0045】
ところで、籾摺選別装置1の玄米昇降機7の排出口から玄米移送筒70を設け、玄米移送筒70には、米選機30の投入ホッパ32又は精米機40の投入ホッパ45に玄米を案内するための第一切換弁71を設けている。
【0046】
精米機40の精白米排出口43から精白米移送筒72を設け、精白米移送筒72には精白米を精白米貯留タンク5又は米選機3の投入ホッパ13に精白米を案内するための第二切換弁73を設けている。
【0047】
米選機30の選別米排出口36から選別米移送筒74を設け、選別米移送筒74には選別米を精白米貯留タンク60又は玄米貯留タンク50に案内するための第三切換弁75を設けている。
【0048】
玄米貯留タンク50には玄米を排出する玄米排出バルブ51を設け、精白米貯留タンク60には精白米を排出する精白米排出バルブ61を設け、玄米貯留タンク50の排出口側には玄米を精米機40の投入ホッパ43側に移送する第二玄米移送筒76側か、玄米を出荷するかを切り換える第四切換弁77を設けている。
【0049】
前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果に基づいて、切替モータ27を正転又は逆転制御し、籾が供給切替部26の短粒種用落下口26a又は長粒種用落下口26bのいずれから供給するかを自動設定できる。又は、切替モータ27の正転スイッチ、逆転スイッチ(共に図示せず)を設け、前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果を表示させることにより作業者はこれを確認し切替モータ27を正逆転して任意の落下口を手動設定できるよう構成してもよい。供給切替部26を自動設定する場合のタイミングは、籾摺選別装置1の籾タンク20の籾シャッタ弁20aの開作動に連動する構成としている。
【0050】
更に、前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果に基づく各種制御について説明する。前記のように籾摺装置2としてロール式を採用する場合は、一対のロール間隔を初期設定できる構成とするが、前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果に応じて初期ロール間隔を異ならせて設定するよう構成する。脱ぷし難い粒種の場合は初期ロール間隔を広く設定する。また、インペラ式脱ぷ機の場合には、予め設定する回転数を短粒種又は長粒種識別結果に応じて大小に変更するものである。前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果に基づき粒種に加えて籾の流量を検出できるように構成することより、精米機40の投入ホッパ45の玄米を精白室41に供給する供給調整シャッタ(図示せず)の開度を調整する制御構成とすることができる。また粒種の識別結果により精米機40の圧迫板44による精白度設定を、精白し難い粒種の場合は予め圧迫板44による精白圧力初期設定を高くすることで適正な精白処理を行うことができる。
【0051】
また、精米機40への供給量調整に関連して、前記混合米タンク5の貯留量に関連して籾摺装置2への供給量を調整する公知の構成に加えて、精米機40への供給量を増減調整する構成とすることにより、安定した精米作業を実行できる。さらに、混合米タンク5の貯留量と精米機40への供給量とを連動制御する際には、後述循環・排出切換弁83を作動して玄米排出側から循環側に切替されるよう構成している。
【0052】
ところで精白処理する精白手段として摩擦式精白手段と研削式精白手段が公知である。前記精米機40は摩擦式精白手段を採用しているが、予めこの精米機40と並列に摩擦式精白手段を採用した第2精米機49を設け、前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果に基づいて、短粒種の場合は摩擦式精白手段の第1の精米機40に供給し、長粒種の場合は研削式精白手段の第2精米機49に切替供給制御することで小米少なく適切な精米処理を行うことができる(図8)。
【0053】
また、揺動選別装置6の多段構成の揺動選別板14,14…のうち、例えば上4段と下4段に2区分し、上4段の揺動選別板14の選別盤面を長粒種に優位な上突起とし、下4段を短粒種に優位な下突起に形成しておき、前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果に基づいて分配用受部15から上4段に供給するか、下4段に供給するかを判定し分配制御する構成とすることで、効率よく選別作用を実行できる(図9)。
【0054】
また更に、米選機30において、籾の粒種に応じて選別孔fの目合いを異ならせ、例えば目合い1.75mmと1.40mmの2種とし、2連の米選機30,39を設ける。第1の米選機30の目合いは短粒種用に第2の米選機39の目合いは長粒種用に用いられるが、前記短粒種・長粒種識別センサ28の検出結果に基づいて、いずれかの米選機30又は39に切り替わるよう制御構成するものである(図10)。
【0055】
図11に示すように、前記風選部3の正面に操作レバー80が設けられ、左右方向のガイド溝81に沿って往復操作自在に設けられている。 操作レバー80をガイド溝81の左側端部の第1操作位置に操作すると、始動/停止状態にあって、籾シャッタ弁20aを閉状態、揺動駆動装置82を切り状態、循環・排出切換弁83は循環状態に切り替わり、「始動/停止」ランプL1が点灯する。また、操作レバー80をガイド溝81の左右方向中間部の第2操作位置に切り替えると、籾シャッタ弁20aを開状態、揺動駆動装置82を駆動状態、循環・排出切換弁83を循環状態に切り替え、「循環」ランプL2が点灯する。また、操作レバー80をガイド溝81の右側端部の第3操作位置に切り替えると、籾シャッタ弁20aを開状態、揺動駆動装置82を駆動状態、循環・排出切換弁83を排出状態に切り替え、「排出」ランプL3が点灯するようになっている。
【0056】
尚、循環・排出切換弁83は、前記揺動選別板14面の選別玄米を排出路9を経て仕上米昇降機7に案内する排出側と、選別玄米を再選別路13側に案内する循環側とに切り換わるよう構成される。揺動選別板14面の被選別物が少なくなると仕上玄米中に籾が混入するので、循環・排出切換弁83を循環側に切り換え、再選別路13から混合米昇降機4を経て揺動選別板14に戻しつつ一部は再籾摺路12を経由して籾摺装置2に還元でき再籾摺工程と相まって残米を脱ぷ選別処理できる。
【0057】
この循環・排出切換弁83は、図12に示すように、循環・排出切替モータM1によって切り替えるように構成している。また、操作レバー80と循環・排出切換弁83とは循環・排出操作ワイヤ84により連動連結し、操作レバー80の操作により籾シャッタ弁20a、揺動入り切りプーリ85及び循環・排出切換弁83を切替操作するよう連動構成している。さらに前記供給切替部26の切替モータ27を正逆転連動している。
【符号の説明】
【0058】
2 籾摺装置
3 風選部
6 揺動選別装置
20 籾ホッパ
20a 籾収容室
20b 戻り室
20c 仕切り壁
21 籾収容ユニット
21a 籾収容部
21b 籾収容部
21c 流下板
21d 案内体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12