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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185695
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】光デバイス及び光通信装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
G02F1/035
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093469
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】土居 正治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛彦
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA00
2K102DA04
2K102DB04
2K102DB08
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA12
2K102EA16
2K102EA21
(57)【要約】
【課題】変調効率の向上を図る光デバイス等を提供することを目的とする。
【解決手段】光デバイスは、Xカットの基板と、基板上に形成された2本の折り返し構造の第1の光導波路及び第2の光導波路とを有する。更に、光デバイスは、基板上に配置され、第1の電界を発生する第1の信号電極と、基板上に配置され、第1の電界と逆相の前記第2の電界を発生する第2の信号電極とを有する。第1の光導波路は、第1の信号電極からの第1の電界が印加される往路側の第1の光導波路と、第2の信号電極からの第2の電界が印加される復路側の第1の光導波路とを有する。第2の光導波路は、第1の信号電極からの第1の電界が印加される往路側の第2の光導波路と、第2の信号電極からの第2の電界が印加される復路側の第2の光導波路とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Xカットの基板と、
前記基板上に形成された2本の折り返し構造の第1の光導波路及び第2の光導波路と、
前記基板上に配置され、第1の電界を発生する第1の信号電極と、
前記基板上に配置され、前記第1の電界と逆相の第2の電界を発生する第2の信号電極と、を有し、
前記第1の光導波路は、
前記第1の信号電極からの前記第1の電界が印加される往路側の第1の光導波路と、
前記第2の信号電極からの前記第2の電界が印加される復路側の第1の光導波路と、を有し、
前記第2の光導波路は、
前記第1の信号電極からの前記第1の電界が印加される往路側の第2の光導波路と、
前記第2の信号電極からの前記第2の電界が印加される復路側の第2の光導波路と、を有することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記往路側の第1の光導波路に印加する前記第1の電界の方向と、前記復路側の第1の光導波路に印加する前記第2の電界の方向とが同一であると共に、
前記往路側の第2の光導波路に印加する前記第2の電界の方向と、前記復路側の第2の光導波路に印加する前記第1の電界の方向とが同一であることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記基板の結晶の方向と、前記往路側の第1の光導波路に印加する前記第1の電界の方向と、前記復路側の第1の光導波路に印加する前記第2の電界の方向とが同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
【請求項4】
往路側の第1の接地電極及び復路側の第1の接地電極を有する、折り返し構造の第1の接地電極と、往路側の第2の接地電極及び復路側の第2の接地電極を有する、折り返し構造の第2の接地電極と、第3の接地電極とが前記基板上に並列に配置され、
往路側の第1の信号電極及び復路側の第1の信号電極を有する、折り返し構造の第1の信号電極と、往路側の第2の信号電極及び復路側の第2の信号電極を有する、折り返し構造の第2の信号電極とが前記基板上に並列に配置され、
前記往路側の第1の光導波路は、
前記往路側の第2の接地電極と前記往路側の第2の信号電極との間に配置され、
前記往路側の第2の光導波路は、
前記往路側の第2の信号電極と前記第3の接地電極との間に配置され、
前記復路側の第1の光導波路は、
前記復路側の第1の接地電極と前記復路側の第1の信号電極との間に配置され、
前記復路側の第2の光導波路は、
前記復路側の第1の信号電極と復路側の第2の接地電極との間に配置されることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の光デバイス。
【請求項5】
往路側の第1の接地電極及び復路側の第1の接地電極を有する、折り返し構造の第1の接地電極と、第3の接地電極とが前記基板上に並列に配置され、
往路側の第1の信号電極及び復路側の第1の信号電極を有する、折り返し構造の第1の信号電極と、往路側の第2の信号電極及び復路側の第2の信号電極を有する、折り返し構造の第2の信号電極とが前記基板上に並列に配置され、
前記往路側の第1の光導波路は、
前記往路側の第1の信号電極と前記往路側の第2の信号電極との間に配置され、
前記往路側の第2の光導波路は、
前記往路側の第2の信号電極と前記第3の接地電極との間に配置され、
前記復路側の第1の光導波路は、
前記復路側の第1の接地電極と前記復路側の第1の信号電極との間に配置され、
前記復路側の第2の光導波路は、
前記復路側の第1の信号電極と前記復路側の第2の信号電極との間に配置されることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の光デバイス。
【請求項6】
前記第1の光導波路は、
往路側の第1の光導波路と、復路側の第1の光導波路と、往路側の第1の光導波路と復路側の第1の光導波路との間を接続する中間の第1の光導波路とを有し、
前記第2の光導波路は、
往路側の第2の光導波路と、復路側の第2の光導波路と、往路側の第2の光導波路と復路側の第2の光導波路との間を接続する中間の第2の光導波路とを有し、
前記中間の第1の光導波路の光導波路長と前記中間の第2の光導波路の光導波路長とを調整して前記第1の光導波路の光導波路長と前記第2の光導波路の光導波路長とを同一にすることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の光デバイス。
【請求項7】
往路側の第4の接地電極及び復路側の第4の接地電極を有する、折り返し構造の第4の接地電極と、往路側の第5の接地電極及び復路側の第5の接地電極を有する、折り返し構造の第5の接地電極とが前記基板上に配置され、
2か所の折り返し構造の第1の信号電極と、2か所の折り返し構造の第2の信号電極とが前記基板上に並列に配置され、
前記第1の光導波路は、
第1の往路側の第1の光導波路と、第2の往路側の第1の光導波路と、前記第1の往路側の第1の光導波路と前記第2の往路側の第1の光導波路との間を接続する復路側の第1の光導波路とを有し、
前記第2の光導波路は、
第1の往路側の第2の光導波路と、第2の往路側の第2の光導波路と、前記第1の往路側の第2の光導波路と前記第2の往路側の第2の光導波路との間を接続する復路側の第2の光導波路とを有し、
前記第1の信号電極は、
第1の往路側の第1の信号電極と、第2の往路側の第1の信号電極と、前記第1の往路側の第1の信号電極と前記第2の往路側の第1の信号電極との間を接続する復路側の第1の信号電極とを有し、
前記第2の信号電極は、
第1の往路側の第2の信号電極と、第2の往路側の第2の信号電極と、前記第1の往路側の第2の信号電極と前記第2の往路側の第2の信号電極との間を接続する復路側の第2の信号電極とを有し、
前記第1の往路側の第1の光導波路は、
前記第1の往路側の第1の信号電極と前記第1の往路側の第2の信号電極との間に配置され、
前記第1の往路側の第2の光導波路は、
前記第1の往路側の第2の信号電極と前記往路側の第5の接地電極との間に配置され、
前記復路側の第1の光導波路は、
前記復路側の第4の接地電極と前記復路側の第1の信号電極との間に配置され、
前記復路側の第2の光導波路は、
前記復路側の第1の信号電極と前記復路側の第2の信号電極との間に配置され、
前記第2の往路側の第1の光導波路は、
前記第2の往路側の第1の信号電極と前記第2の往路側の第2の信号電極との間に配置され、
前記第2の往路側の第2の光導波路は、
前記第2の往路側の第2の信号電極と前記復路側の第5の接地電極との間に配置され、
前記復路側の第1の光導波路の光導波路長は、
前記第1の往路側の第1の光導波路の光導波路長又は前記第2の往路側の第1の光導波路の光導波路長に比較して長くすると共に、
前記復路側の第2の光導波路の光導波路長は、
前記第1の往路側の第2の光導波路の光導波路長又は前記第2の往路側の第2の光導波路の光導波路長に比較して長くすることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の光デバイス。
【請求項8】
電気信号に対する信号処理を実行するプロセッサと、
光を発生させる光源と、
前記プロセッサから出力される電気信号を用いて、前記光源から発生する光を変調する光デバイスとを有し、
前記光デバイスは、
Xカットの基板と、
前記基板上に形成された2本の折り返し構造の第1の光導波路及び第2の光導波路と、
前記基板上に配置され、第1の電界を発生する第1の信号電極と、
前記基板上に配置され、前記第1の電界と逆相の第2の電界を発生する第2の信号電極と、を有し、
前記第1の光導波路は、
前記第1の信号電極からの前記第1の電界が印加される往路側の第1の光導波路と、
前記第2の信号電極からの前記第2の電界が印加される復路側の第1の光導波路と、を有し、
前記第2の光導波路は、
前記第1の信号電極からの前記第1の電界が印加される往路側の第2の光導波路と、
前記第2の信号電極からの前記第2の電界が印加される復路側の第2の光導波路と、を有することを特徴とする光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及び光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光変調器のような光デバイスは、表面の光導波路上に信号電極が配置され、信号電極に電圧が印加されると、光変調器の表面に対して垂直方向の電界が光導波路内に発生する。この電界によって光導波路の屈折率が変化するため、光導波路を伝搬する光の位相が変化し、光を変調することが可能となる。すなわち、光変調器の光導波路は、例えば、マッハツェンダ干渉計を構成し、平行に配置された複数の光導波路間の光の位相差により、例えば、XY偏波多重されるIQ信号を出力することができる。
【0003】
図10は、光変調器100の構成の一例を示す平面模式図、図11は、図10に示すC-C線断面部位の一例を示す略断面図である。図10及び図11に示す光変調器100は、基板101と、基板101上に積層された中間層102と、中間層102上に積層されたLN(LiNbO3)材料の薄膜LN基板103とを有する。更に、光変調器100は、薄膜LN基板103で形成された2本の第11の光導波路104A及び第12の光導波路104Bと、薄膜LN基板103上に形成された一対の第11の接地電極105A及び第12の接地電極105Bとを有する。更に、光変調器100は、一対の第11の接地電極105A及び第12の接地電極105Bに挟まれるように配置され、薄膜LN基板103上に形成された第11の信号電極106とを有する。
【0004】
基板101は、例えば、Si又はLN等の材料の基板である。中間層102は、LNよりも光屈折率の低い、例えば、SiOの層である。薄膜LN基板103は、光の閉じ込めが強く小型化が有利となる薄膜基板である。
【0005】
第11の光導波路104A及び第12の光導波路104Bは、薄膜LN基板103で形成されるため、例えば、挿入損失や伝送特性の面で優れている。薄膜LN基板103は、Xカット基板であるため、構造対称性によりチャープフリー動作が可能であり、長距離伝送に適している。
【0006】
第11の光導波路104Aは、第11の接地電極105Aと第11の信号電極106との間に配置される。更に、第12の光導波路104Bは、第12の接地電極105Bと第11の信号電極106との間に配置される。
【0007】
薄膜LN基板103の結晶方向は、進行方向(Y方向)と直交する幅方向(Z方向)である。第11の光導波路104Aは、第11の接地電極105Aから第11の信号電極106への電界方向a11の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、第12の光導波路104Bは、第12の接地電極105Bから第11の信号電極106への電界方向b11の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0008】
光変調器100の変調効率は、電界を印加する第11の光導波路104A及び第12の光導波路104B等の相互作用部の長さの影響が大きく、変調効率を維持したまま、小型化を図るためには相互作用部を折り返す構造が求められている。
【0009】
図12は、折り返し構造の光変調器100Aの構成の一例を示す平面模式図、図13は、図12に示すD-D線断面部位の一例を示す略断面図である。尚、図10及び図11に示す光変調器100と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図12に示す光変調器100Aは、第11の光導波路104A、第12の光導波路104B、第11の接地電極105A、第12の接地電極105B及び第11の信号電極106を折り返す折り返し構造である。光変調器100Aは、往路の相互作用部110Aと、復路の相互作用部110Bとを有する。
【0010】
第11の光導波路104Aは、往路側の第11の光導波路104A1と、復路側の第11の光導波路104A2とを有する。第12の光導波路104Bは、往路側の第12の光導波路104B1と、復路側の第12の光導波路104B2とを有する。第11の接地電極105Aは、往路側の第11の接地電極105A1と、復路側の第11の接地電極105A2とを有する。第12の接地電極105Bは、往路側の第12の接地電極105B1と、復路側の第12の接地電極105B2とを有する。
【0011】
往路の相互作用部110Aは、往路側の第11の接地電極105A1と、往路側の第11の信号電極106A1と、往路側の第11の光導波路104A1と、往路側の第12の光導波路104B1と、往路側の第12の接地電極105B1とを有する。往路側の第11の接地電極105A1と往路側の第11の信号電極106A1との間に往路側の第11の光導波路104A1を配置する。往路側の第12の接地電極105B1と往路側の第11の信号電極106A1との間に往路側の第12の光導波路104B1を配置する。
【0012】
薄膜LN基板103の結晶方向は、進行方向(Y方向)と直交する幅方向(Z方向)である。往路側の第11の光導波路104A1は、往路側の第11の接地電極105A1から往路側の第11の信号電極106A1への電界方向a101の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、往路側の第12の光導波路104B1は、往路側の第12の接地電極105B1から往路側の第11の信号電極106A1への電界方向b101の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0013】
復路の相互作用部110Bは、復路側の第11の接地電極105A2と、復路側の第11の信号電極106A2と、復路側の第12の接地電極105B2と、復路側の第11の光導波路104A2と、復路側の第12の光導波路104B2とを有する。復路側の第11の接地電極105A2と復路側の第11の信号電極106A2との間に復路側の第11の光導波路104A2を配置する。復路側の第12の接地電極105B2と復路側の第11の信号電極106A2との間に復路側の第12の光導波路104B2を配置する。
【0014】
復路側の第11の光導波路104A2は、復路側の第11の接地電極105A2から復路側の第11の信号電極106A2への電界方向a102の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、復路側の第12の光導波路104B2は、復路側の第12の接地電極105B2から復路側の第11の信号電極106A2への電界方向b102の電界に応じて光屈折率が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2007/058366号公報
【特許文献2】米国特許第7212326号明細書
【特許文献3】特開2005-221874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、折り返し構造の光変調器100Aでは、復路側の第11の光導波路104A2の電界方向a102がLN結晶の結晶方向(Z方向)と同一であるのに対し、往路側の第11の光導波路104A1の電界方向a101がLN結晶の結晶方向(Z方向)と異なる。そして、往路側の第11の光導波路104A1の電界方向a101は、復路側の第11の光導波路104A2の電界方向a102と反対方向である。従って、往路側の第11の光導波路104A1の電界方向a101の電界は、復路側の第11の光導波路104A2の電界方向a102の電界に打ち消されるため、変調効率が低下してしまう。
【0017】
同様に、往路側の第12の光導波路104B1の電界方向b101がLN結晶の結晶方向(Z方向)と同一であるのに対し、復路側の第12の光導波路104B2の電界方向b102がLN結晶の結晶方向(Z方向)と異なる。更に、往路側の第12の光導波路104B1の電界方向b101は、復路側の第12の光導波路104B2の電界方向b102と反対方向である。従って、往路側の第12の光導波路104B1の電界方向b101の電界は、復路側の第12の光導波路104B2の電界方向b102の電界に打ち消されるため、変調効率が低下してしまう。
【0018】
1本の信号電極によるシングルエンド駆動のXカットのLN変調器である光変調器100Aでは、往路と復路とで伝搬方向(Y方向)に対して結晶軸が反転することになる。その結果、逆方向の位相変化が生じ、往路の位相変化が復路の位相変化で打ち消されて変調効率が低下してしまう。
【0019】
また、往路と復路とで進行方向に対する光導波路の左右の位置関係を入れ替える方法も考えられるが、光導波路を入れ替えるための交差導波路や外部ミラーによる反射構造は光信号の反射や減衰等を引き起こす。
【0020】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、変調効率の向上を図る光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願が開示する光デバイスは、1つの態様において、Xカットの基板と、基板上に形成された2本の折り返し構造の第1の光導波路及び第2の光導波路とを有する。更に、光デバイスは、基板上に配置され、第1の電界を発生する第1の信号電極と、基板上に配置され、第1の電界と逆相の第2の電界を発生する第2の信号電極とを有する。第1の光導波路は、第1の信号電極からの第1の電界が印加される往路側の第1の光導波路と、第2の信号電極からの第2の電界が印加される復路側の第1の光導波路とを有する。第2の光導波路は、第1の信号電極からの第1の電界が印加される往路側の第2の光導波路と、第2の信号電極からの第2の電界が印加される復路側の第2の光導波路とを有する。
【発明の効果】
【0022】
本願が開示する光デバイス等の1つの態様によれば、変調効率の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施例の光通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施例1の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図3図3は、図2に示すA-A線断面部位の一例を示す略断面図である。
図4図4は、実施例2の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図5図5は、図4に示すB-B線断面部位の一例を示す略断面図である。
図6図6は、実施例3の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図7図7は、実施例4の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図8図8は、実施例5の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図9図9は、実施例6の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図10図10は、光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図11図11は、図10に示すC-C線断面部位の一例を示す略断面図である。
図12図12は、折り返し構造の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図13図13は、図12に示すD-D線断面部位の一例を示す略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願が開示する光デバイス等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例0025】
図1は、本実施例の光通信装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す光通信装置1は、出力側の光ファイバ2A(2)及び入力側の光ファイバ2B(2)と接続する。光通信装置1は、DSP(Digital Signal Processor)3と、光源4と、光変調器5と、光受信器6とを有する。DSP3は、デジタル信号処理を実行する電気部品である。DSP3は、例えば、送信データの符号化等の処理を実行し、送信データを含む電気信号を生成し、生成した電気信号を光変調器5に出力する。また、DSP3は、受信データを含む電気信号を光受信器6から取得し、取得した電気信号の復号等の処理を実行して受信データを得る。
【0026】
光源4は、例えば、レーザダイオード等であって、所定の波長の光を発生させて光変調器5及び光受信器6へ供給する。光変調器5は、DSP3から出力される電気信号によって、光源4から供給される光を変調し、得られた光送信信号を光ファイバ2Aに出力する光デバイスである。光変調器5は、例えば、LN(Lithium Niobate:ニオブ酸リチウム)の光導波路とコプレーナ(CPW:Coplanar Waveguide)構造の信号電極とを備えるLN光変調器等の光デバイスである。
【0027】
光受信器6は、光ファイバ2Bから光信号を受信し、光源4から供給される光を用いて受信光信号を復調する。そして、光受信器6は、復調した受信光信号を電気信号に変換し、変換後の電気信号をDSP3に出力する。
【0028】
図2は、実施例1の光変調器5の構成の一例を示す平面模式図、図3は、図2に示すA-A線断面部位の一例を示す略断面図である。図2及び図3に示す光変調器5は、基板11と、基板11上に積層された中間層12と、中間層12上に積層されたLN(LiNbO3)材料の薄膜LN基板13とを有する。更に、光変調器5は、薄膜LN基板13で形成された2本の折り返し構造の第1の光導波路14A及び第2の光導波路14Bと、薄膜LN基板13上に形成された第1の接地電極15A、第2の接地電極15B及び第3の接地電極15Cとを有する。更に、光変調器5は、薄膜LN基板103上に形成された第1の信号電極16A及び第2の信号電極16Bを有する。
【0029】
基板11は、例えば、SiO2(二酸化ケイ素)、TiO2(二酸化チタン)、Si又はLN等の材料の基板である。中間層12は、LNよりも光屈折率の低い、例えば、SiO又はTiO2の層である。薄膜LN基板13は、LN結晶の薄膜を用いた基板であって、所定箇所を上方へ突起する凸形状の第1の光導波路14A及び第2の光導波路14Bが形成される。LN材料であるため、光の閉じ込めが強く小型化が有利となる。薄膜LN基板13は、Xカット基板である。
【0030】
第1の光導波路14A及び第2の光導波路14Bは、薄膜LN基板13で形成され、その材料は、LNであるため、例えば、挿入損失や伝送特性の面で優れている。光変調器5は、構造対称性によりチャープフリー動作が可能であり、長距離伝送に適している。第1の信号電極16A及び第2の信号電極16Bは、例えば、金や銅等の金属材料の電極である。第1の接地電極15A、第2の接地電極15B及び第3の接地電極15Cは、例えば、アルミニウム等の金属材料の電極である。
【0031】
第1の信号電極16Aは、薄膜LN基板13上に配置され、第1の光導波路14A又は第2の光導波路14Bに印加する第1の電界を発生する。第2の信号電極16Bは、薄膜LN基板13上に配置され、第1の光導波路14A又は第2の光導波路14Bに印加する第2の電界を発生する。第2の電界は、第1の電界の電界方向と逆相の電界方向の電界である。
【0032】
光変調器5は、第1の光導波路14A、第2の光導波路14B、第1の接地電極15A、第2の接地電極15B、第1の信号電極16A及び第2の信号電極16Bを往路と復路に折り返す折り返し構造を有する。光変調器5は、往路の第1の相互作用部20Aと、復路の第2の相互作用部20Bと、往路の第1の相互作用部20Aと復路の第2の相互作用部20Bとの間を接続する中間部20Cとを有する。
【0033】
折り返し構造の第1の光導波路14Aは、往路側の第1の光導波路14A1と、復路側の第1の光導波路14A2と、往路側の第1の光導波路14A1と復路側の第1の光導波路14A2との間を接続する中間側の第1の光導波路14A3とを有する。折り返し構造の第2の光導波路14Bは、往路側の第2の光導波路14B1と、復路側の第2の光導波路14B2と、往路側の第2の光導波路14B1と復路側の第2の光導波路14B2との間を接続する中間側の第2の光導波路14B3とを有する。
【0034】
折り返し構造の第1の接地電極15Aは、往路側の第1の接地電極15A1と、復路側の第1の接地電極15A2と、往路側の第1の接地電極15A1と復路側の第1の接地電極15A2との間を接続する中間側の第1の接地電極15A3とを有する。折り返し構造の第2の接地電極15Bは、往路側の第2の接地電極15B1と、復路側の第2の接地電極15B2と、往路側の第2の接地電極15B1と復路側の第2の接地電極15B2との間を接続する中間側の第2の接地電極15B3とを有する。
【0035】
折り返し構造の第1の信号電極16Aは、往路側の第1の信号電極16A1と、復路側の第1の信号電極16A2と、往路側の第1の信号電極16A1と復路側の第1の信号電極16A2との間を接続する中間側の第1の信号電極16A3とを有する。折り返し構造の第2の信号電極16Bは、往路側の第2の信号電極16B1と、復路側の第2の信号電極16B2と、往路側の第2の信号電極16B1と復路側の第2の信号電極16B2との間を接続する中間側の第2の信号電極16B3とを有する。
【0036】
往路の第1の相互作用部20Aは、往路側の第1の接地電極15A1と、往路側の第1の光導波路14A1と、往路側の第1の信号電極16A1と、往路側の第2の接地電極15B1と、往路側の第2の光導波路14B1と、第3の接地電極15Cとを有する。往路側の第2の接地電極15B1と往路側の第2の信号電極16B1との間に往路側の第1の光導波路14A1を配置する。第3の接地電極15Cと往路側の第2の信号電極16B1との間に往路側の第2の光導波路14B1を配置する。
【0037】
薄膜LN基板13の結晶方向は、進行方向(Y方向)と直交する幅方向(Z方向)である。往路側の第1の光導波路14A1は、往路側の第2の信号電極16B1から往路側の第2の接地電極15B1へ向かう電界方向a11の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、往路側の第2の光導波路14B1は、往路側の第2の信号電極16B1から第3の接地電極15Cへ向かう電界方向b11の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0038】
中間部20Cは、中間側の第1の接地電極15A3と、中間側の第1の信号電極16A3と、中間側の第2の接地電極15B3と、中間側の第1の光導波路14A3と、中間側の第2の光導波路14B3とを有する。更に、中間部20Cは、中間側の第2の信号電極16B3と、第3の接地電極15Cとを有する。
【0039】
復路の第2の相互作用部20Bは、復路側の第1の接地電極15A2と、復路側の第1の光導波路14A2と、復路側の第1の信号電極16A2と、復路側の第2の光導波路14B2と、復路側の第2の接地電極15B2とを有する。更に、復路の第2の相互作用部20Bは、復路側の第2の信号電極16B2と、第3の接地電極15Cとを有する。復路側の第1の接地電極15A2と復路側の第1の信号電極16A2との間に復路側の第1の光導波路14A2を配置する。復路側の第2の接地電極15B2と復路側の第1の信号電極16A2との間に復路側の第2の光導波路14B2を配置する。
【0040】
復路側の第1の光導波路14A2は、復路側の第1の接地電極15A2から復路側の第1の信号電極16A2へ印加する電界方向a12の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、復路側の第2の光導波路14B2は、復路側の第2の接地電極15B2から復路側の第1の信号電極16A2へ印加する電界方向b12の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0041】
つまり、第1の光導波路14Aは、往路側の第1の光導波路14A1に印加する電界の電界方向a11と、復路側の第1の光導波路14A2に印加する電界の電界方向a12とが薄膜LN基板13の結晶方向と同一となる。また、第2の光導波路14Bは、往路側の第2の光導波路14B1に印加する電界の電界方向b11と、復路側の第2の光導波路14B2に印加する電界の電界方向b12とが薄膜LN基板13の結晶方向と同一となる。
【0042】
実施例1の光変調器5は、往路側の第2の接地電極15B1と往路側の第2の信号電極16B1との間に往路側の第1の光導波路14A1を配置し、往路側の第2の信号電極16B1と第3の接地電極15Cとの間に往路側の第2の光導波路14B1を配置する。光変調器5は、復路側の第1の接地電極15A2と復路側の第1の信号電極16A2との間に復路側の第1の光導波路14A2を配置し、復路側の第1の信号電極16A2と復路側の第2の接地電極15B2との間に復路側の第2の光導波路14B2を配置する。その結果、第1の光導波路14Aは、往路側の第1の光導波路14A1に印加する電界の電界方向a11と、復路側の第1の光導波路14A2に印加する電界の電界方向a12と同一となるため、変調効率が高くなる。同様に、第2の光導波路14Bは、往路側の第2の光導波路14B1に印加する電界の電界方向b11と、復路側の第2の光導波路14B2に印加する電界の電界方向b12とが同一となるため、変調効率が高くなる。
【0043】
更に、Xカット基板の結晶の方向は、往路側の第1の光導波路14A1に印加する第1の電界の方向a11と、復路側の第1の光導波路14A2に印加する第2の電界の方向とa12が同一である。その結果、信号電極からそれぞれの光導波路に印可される電界の向きがLN結晶Z軸に対して折り返しの往路と復路とで同じ方向となるため、変調効率を維持したまま相互作用部の長さを短くすることで装置の小型化を図ることができる。しかも、光導波路の交差や外部ミラーによる反射構造を必要とせず、折り返し部での光信号の反射や減衰等を抑制できる。
【0044】
往路ではLN結晶Z軸方向に対して第1の光導波路14Aが+Z側、第2の光導波路14Bが-Z側にあり、復路では、第1の光導波路14Aが-Z側、第2の光導波路14Bが+Z側となる。従って、LN結晶Z軸方向及び単一の信号電極から接地電極の方向へ印加される電界の向きは往路と復路とで入れ変わらない。その結果、信号電極からそれぞれの光導波路に印可される電界の向きがLN結晶Z軸に対して往路と復路とで同じ方向となるため、変調効率を維持したまま相互作用部の長さを短縮化できる。
【実施例0045】
図4は、実施例2の光変調器5Aの構成の一例を示す平面模式図、図5は、図4に示すB-B線断面部位の一例を示す略断面図である。尚、実施例1の光変調器5と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0046】
図4及び図5に示す光変調器5Aは、基板11と、中間層12と、薄膜LN基板13と、2本の第1の光導波路14A及び第2の光導波路14Bとを有する。更に、光変調器5Aは、薄膜LN基板13上に形成された第1の接地電極15A及び第3の接地電極15Cと、薄膜LN基板103上に形成された第1の信号電極16A及び第2の信号電極16Bとを有する。尚、実施例1の光変調器5と実施例2の光変調器5Aとが異なるところは、第1の信号電極16Aと第2の信号電極16Bとの間に第2の接地電極15Bがない点である。
【0047】
光変調器5Aは、往路の第1の相互作用部20A1と、復路の第2の相互作用部20B1と、往路の第1の相互作用部20A1と復路の第2の相互作用部20B1との間を接続する中間部20C1とを有する。往路の第1の相互作用部20A1は、往路側の第1の接地電極15A1と、往路側の第1の信号電極16A1と、往路側の第1の光導波路14A1と、往路側の第2の信号電極16B1と、往路側の第2の光導波路14B1と、第3の接地電極15Cとを有する。往路側の第1の信号電極16A1と往路側の第2の信号電極16B1との間に往路側の第1の光導波路14A1を配置する。第3の接地電極15Cと往路側の第2の信号電極16B1との間に往路側の第2の光導波路14B1を配置する。
【0048】
薄膜LN基板13の結晶方向は、進行方向(Y方向)と直交する幅方向(Z方向)である。往路側の第1の光導波路14A1は、往路側の第2の信号電極16B1から往路側の第1の信号電極16A1へ向かう電界方向a21の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、往路側の第2の光導波路14B1は、往路側の第2の信号電極16B1から第3の接地電極15Cへ向かう電界方向b21の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0049】
中間部20C1は、中間側の第1の接地電極15A3と、中間側の第1の信号電極16A3と、中間側の第1の光導波路14A3と、中間側の第2の光導波路14B3と、中間側の第2の信号電極16B3と、第3の接地電極15Cとを有する。
【0050】
復路の第2の相互作用部20B1は、復路側の第1の接地電極15A2と、復路側の第1の光導波路14A2と、復路側の第1の信号電極16A2と、復路側の第2の光導波路14B2と、復路側の第2の信号電極16B2と、第3の接地電極15Cとを有する。復路側の第1の接地電極15A2と復路側の第1の信号電極16A2との間に復路側の第1の光導波路14A2を配置する。復路側の第2の信号電極16B2と復路側の第1の信号電極16A2との間に復路側の第2の光導波路14B2を配置する。
【0051】
復路側の第1の光導波路14A2は、復路側の第1の信号電極16A2から復路側の第1の接地電極15A2へ向かう電界方向a22の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、復路側の第2の光導波路14B2は、復路側の第2の信号電極16B2から復路側の第1の信号電極16A2へ向かう電界方向b22の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0052】
つまり、第1の光導波路14Aは、往路側の第1の光導波路14A1に印加する電界の電界方向a21と、復路側の第1の光導波路14A2に印加する電界の電界方向a22とが薄膜LN基板13の結晶方向と同一となる。また、第2の光導波路14Bは、往路側の第2の光導波路14B1に印加する電界の電界方向b21と、復路側の第2の光導波路14B2に印加する電界の電界方向b22とが薄膜LN基板13の結晶方向と同一となる。
【0053】
実施例2の光変調器5Aは、往路側の第1の信号電極16A1と往路側の第2の信号電極16B1との間に往路側の第1の光導波路14A1を配置し、往路側の第2の信号電極16B1と第3の接地電極15Cとの間に往路側の第2の光導波路14B1を配置する。光変調器5Aは、復路側の第1の接地電極15A2と復路側の第1の信号電極16A2との間に復路側の第1の光導波路14A2を配置し、復路側の第1の信号電極16A2と復路側の第2の信号電極16B2との間に復路側の第2の光導波路14B2を配置する。その結果、第1の光導波路14Aは、往路側の第1の光導波路14A1に印加する電界の電界方向a21と、復路側の第1の光導波路14A2に印加する電界の電界方向a22と同一となるため、変調効率が高くなる。同様に、第2の光導波路14Bは、往路側の第2の光導波路14B1に印加する電界の電界方向b21と、復路側の第2の光導波路14B2に印加する電界の電界方向b22とが同一となるため、変調効率が高くなる。しかも、第1の光導波路14Aと第2の光導波路14Bとの間に第2の接地電極15Bが配置されていないため、Z軸方向の幅を小さくして小型化を図ることができる。
【実施例0054】
図6は、実施例3の光変調器5Bの構成の一例を示す平面模式図である。尚、実施例1の光変調器5と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図6に示す光変調器5Bは、往路の第1の相互作用部20Aと、復路の第2の相互作用部20Bと、往路の第1の相互作用部20Aと復路の第2の相互作用部20Bとの間を接続する中間部20Cとを有する。中間部20Cは、図6に示すO-Zin面からO-Zout面までの部位とする。
【0055】
中間側の第1の光導波路14A3の光導波路長と中間側の第2の光導波路14B3の光導波路長とを調整して第1の光導波路14Aの光導波路長と第2の光導波路14Bの光導波路長とを同一にする。尚、説明の便宜上、図6に示す通り、中間側の第1の光導波路14A3及び中間側の第2の光導波路14B3は、光導波路長が分かるように第1の信号電極16A、第2の信号電極16B、第1の接地電極15A及び第2の接地電極15B上にあるように表現するものとする。中間側の第1の信号電極16A3は、O-Zin面からO-Zout面までの長さLr(S2)である。中間側の第1の光導波路14A3の導波路長は、O-Zin面からO-Zout面までの長さLr(W1)である。中間側の第2の光導波路14B3の導波路長は、O-Zin面からO-Zout面までの長さLr(W2)である。Lr(S2)=Lr(W2)=Lr(W1)にすることで、第1の光導波路14Aの光導波路長、第2の光導波路14Bの光導波路長及び第1の信号電極16Aの電極長を同一長にする。尚、中間側の第1の光導波路14A3及び中間側の第2の光導波路14B3の形状は適宜変更可能である。その結果、往路と復路とで位相を揃えて広帯域動作を実現できる。更に、第1の光導波路14Aの導波路長と第2の光導波路14Bの導波路長が等長となることで、第1の光導波路14Aと第2の光導波路14Bとの間の伝搬損失差が抑制して光変調器5Bの消光比や波長依存性を改善できる。
【0056】
実施例3の光変調器5Bは、中間側の第1の光導波路14A3の光導波路長と中間側の第2の光導波路14B3の光導波路長とを調整して第1の光導波路14Aの光導波路長と第2の光導波路14Bの光導波路長とを同一にする。その結果、第1の光導波路14Aと第2の光導波路14Bとの光導波路長が同一長になるため、光導波路間の伝搬損失差を抑制することで光変調器5Bの消光比や波長依存性を改善できる。
【実施例0057】
図7は、実施例4の光変調器5Cの構成の一例を示す平面模式図である。尚、実施例1の光変調器5と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図7に示す光変調器5Cは、基板11、中間層12、薄膜LN基板13、第1の光導波路14A、第2の光導波路14B、第1の信号電極16A及び第2の信号電極16Bを有する。更に、光変調器5Cは、第1の接地電極15A、第2の接地電極15B及び第3の接地電極15Cの代わりに、折り返し構造の第4の接地電極15D及び第5の接地電極15Eを有する。
【0058】
2箇所の折り返し構造の第1の光導波路14Aは、第1の往路側の第1の光導波路14A1と、復路側の第1の光導波路14A2と、第2の往路側の第1の光導波路14A4とを有する。更に、第1の光導波路14Aは、第1の往路側の第1の光導波路14A1と復路側の第1の光導波路14A2との間を接続する第1の中間側の第1の光導波路14A5を有する。更に、第1の光導波路14Aは、復路側の第1の光導波路14A2と第2の往路側の第1の光導波路14A4との間を接続する第2の中間側の第1の光導波路14A6を有する。
【0059】
2箇所の折り返し構造の第2の光導波路14Bは、第1の往路側の第2の光導波路14B1と、復路側の第2の光導波路14B2と、第2の往路側の第2の光導波路14B4とを有する。更に、第2の光導波路14Bは、第1の往路側の第2の光導波路14B1と復路側の第2の光導波路14B2との間を接続する第1の中間側の第2の光導波路14B5とを有する。更に、第2の光導波路14Bは、復路側の第2の光導波路14B2と第2の往路側の第2の光導波路14B4との間を接続する第2の中間側の第2の光導波路14B6を有する。
【0060】
2箇所の折り返し構造の第1の信号電極16Aは、第1の往路側の第1の信号電極16A1と、復路側の第1の信号電極16A2と、第2の往路側の第1の信号電極16A4とを有する。更に、第1の信号電極16Aは、第1の往路側の第1の信号電極16A1と復路側の第1の信号電極16A2との間を接続する第1の中間側の第1の信号電極16A5とを有する。更に、第1の信号電極16Aは、復路側の第1の信号電極16A2と第2の往路側の第1の信号電極16A4との間を接続する第2の中間側の第1の信号電極16A6を有する。
【0061】
2箇所の折り返し構造の第2の信号電極16Bは、第1の往路側の第2の信号電極16B1と、復路側の第2の信号電極16B2と、第2の往路側の第2の信号電極16B4とを有する。更に、第2の信号電極16Bは、第1の往路側の第2の信号電極16B1と復路側の第2の信号電極16B2との間を接続する第1の中間側の第2の信号電極16B5とを有する。第2の信号電極16Bは、復路側の第2の信号電極16B2と第2の往路側の第2の信号電極16B4との間を接続する第2の中間側の第2の信号電極16B6を有する。
【0062】
第4の接地電極15Dは、往路側の第4の接地電極15D1と、復路側の第4の接地電極15D2と、往路側の第4の接地電極15D1と復路側の第4の接地電極15D2との間を接続する中間の第4の接地電極15D3とを有する。第5の接地電極15Eは、往路側の第5の接地電極15E1と、復路側の第5の接地電極15E2と、往路側の第5の接地電極15E1と復路側の第5の接地電極15E2との間を接続する中間の第5の接地電極15E3とを有する。
【0063】
光変調器5Cは、第1の相互作用部20A3と、第2の相互作用部20B3と、第3の相互作用部20D3と、第1の相互作用部20A3と第2の相互作用部20B3との間を接続する第2の中間部20E3とを有する。更に、光変調器5Cは、第2の相互作用部20B3と第3の相互作用部20D3との間を接続する第2の中間部20F3を有する。
【0064】
第1の相互作用部20A3は、往路側の第4の接地電極15D1と、第1の往路側の第1の信号電極16A1と、第1の往路側の第1の光導波路14A1と、第1の往路側の第2の信号電極16B1とを有する。第1の相互作用部20A3は、第1の往路側の第2の光導波路14B1と、往路側の第5の接地電極15E1とを有する。第1の往路側の第1の光導波路14A1は、第1の往路側の第1の信号電極16A1と第1の往路側の第2の信号電極16B1との間に配置する。第1の往路側の第2の光導波路14B1は、第1の往路側の第2の信号電極16B1と往路側の第5の接地電極15E1との間に配置する。
【0065】
薄膜LN基板13の結晶方向は、進行方向(Y方向)と直交する幅方向(Z方向)である。第1の相互作用部20A3の第1の往路側の第1の光導波路14A1は、第1の往路側の第2の信号電極16B1から第1の往路側の第1の信号電極16A1へ向かう電界方向a31の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、第1の往路側の第2の光導波路14B1は、第1の往路側の第2の信号電極16B1から往路側の第5の接地電極15E1へ向かう電界方向b31の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0066】
第2の中間部20E3は、中間側の第4の接地電極15D3と、第1の中間側の第1の信号電極16A5と、第1の中間側の第1の光導波路14A5と、第1の中間側の第2の光導波路14B5と、第1の中間側の第2の信号電極16B5とを有する。
【0067】
第2の相互作用部20B3は、往路側の第5の接地電極15E1と、復路側の第2の信号電極16B2と、復路側の第2の光導波路14B2と、復路側の第1の信号電極16A2と、復路側の第1の光導波路14A2と、復路側の第4の接地電極15D2とを有する。復路側の第1の光導波路14A2は、復路側の第4の接地電極15D2と復路側の第1の信号電極16A2との間に配置する。復路側の第2の光導波路14B2は、復路側の第1の信号電極16A2と復路側の第2の信号電極16B2との間に配置する。
【0068】
第2の相互作用部20B3の復路側の第1の光導波路14A2は、復路側の第4の接地電極15D2から復路側の第1の信号電極16A2へ向かう電界方向a32の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、復路側の第2の光導波路14B2は、復路側の第2の信号電極16B2から復路側の第1の信号電極16A2へ向かう電界方向b32の電界に応じて光屈折率を変化する。
【0069】
第2の中間部20F3は、中間側の第5の接地電極15E3と、第2の中間側の第1の信号電極16A6と、第2の中間側の第1の光導波路14A6と、第2の中間側の第2の光導波路14B6と、第2の中間側の第2の信号電極16B6とを有する。
【0070】
第3の相互作用部20D3は、復路側の第4の接地電極15D2と、第2の往路側の第1の信号電極16A4と、第2の往路側の第1の光導波路14A4と、第2の往路側の第2の信号電極16B4とを有する。第3の相互作用部20D3は、第2の往路側の第2の光導波路14B4と、復路側の第5の接地電極15E2とを有する。第2の往路側の第1の光導波路14A4は、第2の往路側の第1の信号電極16A4と第2の往路側の第2の信号電極16B4との間に配置する。第2の往路側の第2の光導波路14B4は、第2の往路側の第2の信号電極16B4と復路側の第5の接地電極15E2との間に配置する。
【0071】
第3の相互作用部20D2の第2の往路側の第1の光導波路14A4は、第2の往路側の第2の信号電極16B4から第2の往路側の第1の信号電極16A4へ向かう電界方向a33の電界に応じて光屈折率が変化する。更に、第2の往路側の第2の光導波路14B4は、第2の往路側の第2の信号電極16B4から復路側の第5の接地電極15E2へ向かう電界方向b33の電界に応じて光屈折率が変化する。
【0072】
第1の光導波路14Aは、第1の往路側の第2の信号電極16B1から第1の往路側の第1の信号電極16A1へ向かう電界方向a31と、第1の往路側の第2の信号電極16B1から第1の往路側の第1の信号電極16A1へ向かう電界方向a32と、復路側の第4の接地電極15D2から復路側の第1の信号電極16A2へ向かう電界方向a32とが同一方向となる。また、第2の光導波路14Bは、第1の往路側の第2の信号電極16B1から往路側の第5の接地電極15E1へ向かう電界方向b31と、復路側の第2の信号電極16B2から復路側の第1の信号電極16A2へ向かう電界方向b32と、第2の往路側の第2の信号電極16B4から復路側の第5の接地電極15E2へ向かう電界方向b33とが同一方向となる。
【0073】
第2の相互作用部20Bの復路側の第1の光導波路14A2の光導波路長L2は、第1の相互作用部20Aの第1の往路側の第1の光導波路14A1の光導波路長L3又は第2の往路側の第1の光導波路14A4の光導波路長L3に比較して長くする。第2の相互作用部20Bの復路側の第2の光導波路14B2の光導波路長L2は、第3の相互作用部20Dの第1の往路側の第2の光導波路14B1の光導波路長L1又は第2の往路側の第2の光導波路14B4の光導波路長L1に比較して長くする。
【0074】
1箇所の折り返し構造を有する光変調器5Aでは、信号電極間の電界効率と、信号電極と接地電極との間の電界効率とが異なる場合、電気信号が伝搬するに連れて減衰する。従って、光変調器5Aでは、往路と復路とで第1の光導波路14A及び第2の光導波路14Bに印加される位相変化量が異なるため、チャープの周波数依存性が発生する場合がある。そこで、実施例5の光変調器5Cでは、2箇所の折り返し構造で3箇所の第1の相互作用部20A、第2の相互作用部20B及び第3の相互作用部20Dを配置する。第2の相互作用部20Bの光導波路長L2は、第1の相互作用部20Aの光導波路長L3に比較して長くする。第2の相互作用部20Bの光導波路長L2は、第3の相互作用部20Dの光導波路長L1に比較して長くする。その結果、第1の光導波路14A及び第2の光導波路14Bの位相変化量を揃えてチャープの風波数依存性を低減できる。
【実施例0075】
図8は、実施例5の光変調器5Dの構成の一例を示す平面模式図である。尚、実施例1の光変調器5と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0076】
図8に示す光変調器5Dは、図2に示す光変調器5にドライバ21を電気接続した構成である。図8に示すドライバ21は、図2に示す光変調器5内の往路側の第1の信号電極16A1及び往路側の第2の信号電極16B1にAuワイヤで接続する。更に、ドライバ21は、往路側の第1の接地電極15A1、往路側の第2の接地電極15B1及び第3の接地電極15CにAuワイヤで接続する。ドライバ21は、電気信号を増幅し、増幅後の電気信号を第1の信号電極16A及び第2の信号電極16Bに印加する。光変調器5Dのチップの1辺の近傍にAuワイヤでドライバ21と電気的に接続する。
【0077】
実施例5の光変調器5Dでは、チップの1辺の近傍にAuワイヤで電気的に接続したので、短距離で、効率よく接続できる。
【実施例0078】
図9は、実施例6の光変調器5Eの構成の一例を示す平面模式図である。尚、実施例4の光変調器5Cと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0079】
図9に示す光変調器5Eは、図6に示す光変調器5Cにドライバ21を電気接続した構成である。図9に示すドライバ21は、図7に示す光変調器5C内の第2の往路側の第1の信号電極16A4及び第2の往路側の第2の信号電極16B4にAuワイヤで接続する。ドライバ21は、復路側の第4の接地電極15D2及び復路側の第5の接地電極15E2にAuワイヤで接続する。ドライバ21は、電気信号を増幅し、増幅後の電気信号を第1の信号電極16A及び第2の信号電極16Bに印加する。光変調器5Eのチップの1辺の近傍にAuワイヤでドライバ21と電気的に接続する。
【0080】
ドライバ21は、第2の往路側の第1の信号電極16A4、第2の往路側の第2の信号電極16B4、復路側の第4の接地電極15D2及び復路側の第5の接地電極15E2と、第1の光導波路14Aと第2の光導波路14Bとが並列にならないように斜めに電気的に接続した。その結果、第2の往路側の第1の信号電極16A4、第2の往路側の第2の信号電極16B4、復路側の第4の接地電極15D2及び復路側の第5の接地電極15E2の斜めの部分が相互作用部として機能しないようにした。
【0081】
実施例6の光変調器5Eでは、チップの1辺の近傍にAuワイヤで電気的に接続したので、短距離で、効率よく接続できる。
【符号の説明】
【0082】
1 光通信装置
3 DSP
4 光源
5,5A,5B,5C 光変調器
13 薄膜LN基板
14A 第1の光導波路
14A1 往路側の第1の光導波路
14A2 復路側の第1の光導波路
14B 第2の光導波路
14B1 往路側の第2の光導波路
14B2 復路側の第2の光導波路
15A 第1の接地電極
15A1 往路側の第1の接地電極
15A2 復路側の第1の接地電極
15B 第2の接地電極
15B1 往路側の第2の接地電極
15B2 復路側の第2の接地電極
15C 第3の接地電極
16A 第1の信号電極
16A1 往路側の第1の信号電極
16A2 復路側の第1の信号電極
16B 第2の信号電極
16B1 往路側の第2の信号電極
16B2 復路側の第2の信号電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13