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特開2022-185703草刈機、グラウンド整備システムおよびグラウンド整備方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185703
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】草刈機、グラウンド整備システムおよびグラウンド整備方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/68 20060101AFI20221208BHJP
   A01D 42/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A01D34/68 K
A01D42/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093479
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平木 秀憲
(72)【発明者】
【氏名】中次 幸一
(72)【発明者】
【氏名】越河 義治
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA18
2B083DA02
2B083DA03
2B083HA58
2B083HA59
2B083HA60
2B083JA08
2B083JA10
(57)【要約】
【課題】グラウンド上の対象物が刃物に接触するのを防ぐとともに、走行装置が対象物に乗り上げるのを防ぎつつ、グラウンドを効率良く整備できる草刈機を提供する。
【解決手段】草刈機10Aであって、グラウンド2上を走行する第一走行装置20と、第一走行装置20に連結され、グラウンド2の草を刈る刃物31を有する第一作業装置30と、第一走行装置20の前方に設けられた第一ガイド部材41と、を備えている。第一走行装置20を前方に向けて走行させたときに、第一ガイド部材41に当接したグラウンド2上のボール5(対象物)が、第一ガイド部材41に沿って移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウンド上を走行する走行装置と、
前記走行装置に連結され、前記グラウンドの草を刈る刃物を有する第一作業装置と、
前記走行装置および前記第一作業装置の少なくとも一方の前方に設けられたガイド部材と、を備えている草刈機であって、
前記走行装置を前方に向けて走行させたときに、前記ガイド部材に当接した前記グラウンド上の対象物が、前記ガイド部材に沿って移動することを特徴とする草刈機。
【請求項2】
請求項1に記載の草刈機であって、
前記ガイド部材は、左右方向に延びており、
前記走行装置を前方に向けて走行させたときに、前記ガイド部材に当接した前記対象物が、前記ガイド部材に沿って左右方向に移動することを特徴とする草刈機。
【請求項3】
請求項2に記載の草刈機であって、
前記走行装置には、左右の車輪が設けられており、
前記ガイド部材は、前記両車輪の左右方向の外端部よりも外側に突出していることを特徴とする草刈機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の草刈機であって、
前記走行装置と前記第一作業装置とは、それぞれ別体に構成されており、
前記第一作業装置は、前記走行装置に対して着脱自在に連結されていることを特徴とする草刈機。
【請求項5】
請求項4に記載の草刈機であって、
前記グラウンド上の前記対象物を収集して収容する第二作業装置を備え、
前記第一作業装置を取り外した前記走行装置に、前記第二作業装置を連結可能であることを特徴とする草刈機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の草刈機であって、
前記ガイド部材は、前記走行装置および前記第一作業装置の少なくとも一方に対して傾動自在に連結されており、
前記走行装置および前記第一作業装置の少なくとも一方に対して、前記ガイド部材を傾動させることで、前記走行装置を前方に向けて走行させたときに、前記ガイド部材に当接した前記対象物の移動方向を調整可能であることを特徴とする草刈機。
【請求項7】
草刈機および回収機を備えているグラウンド整備システムであって、
前記草刈機は、
第一走行装置と、
グラウンドの草を刈る刃物を有する第一作業装置と、
前記第一走行装置および前記第一作業装置の少なくとも一方の前方に設けられた第一ガイド部材と、を備え、
前記第一走行装置を前方に向けて走行させたときに、前記第一ガイド部材に当接した前記グラウンド上の対象物が、前記第一ガイド部材に沿って移動し、
前記回収機は、
第二走行装置と、
前記グラウンド上の対象物を収集して収容する第二作業装置と、を備え、
前記草刈機および前記回収機は、同一の前記グラウンド上を同時または順次に走行可能であることを特徴とするグラウンド整備システム。
【請求項8】
請求項7に記載のグラウンド整備システムであって、
前記第一走行装置と前記第一作業装置とは、それぞれ別体に構成され、
前記第一作業装置は、前記第一走行装置に対して着脱自在に連結されるとともに、
前記第二走行装置と前記第二作業装置とは、それぞれ別体に構成され、
前記第二作業装置は、前記第二走行装置に対して着脱自在に連結されていることを特徴とするグラウンド整備システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のグラウンド整備システムであって、
前記回収機は、
前記第二走行装置および前記第二作業装置の少なくとも一方の前方に設けられた第二ガイド部材を備えており、
前記第二走行装置を前方に向けて走行させたときに、前記第二ガイド部材に当接した前記対象物が、前記第二ガイド部材に沿って移動することを特徴とするグラウンド整備システム。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のグラウンド整備システムであって、
前記回収機は、ゴルフ用のボールである前記対象物を前記グラウンドの上面から収集可能であることを特徴とするグラウンド整備システム。
【請求項11】
草刈機および回収機を用いたグラウンド整備方法であって、
前記草刈機および前記回収機を同一のグラウンド内で同時または順次に走行させ、
前記回収機によって前記グラウンド上の対象物を収集して、前記回収機の容器に前記対象物を収容するとともに、
前記草刈機の刃物によって前記グラウンドの草を刈り取り、
前記草刈機の走行方向の前端部に設けられたガイド部材に当接した前記グラウンド上の前記対象物は、前記ガイド部材に沿って移動することを特徴とするグラウンド整備方法。
【請求項12】
請求項11に記載のグラウンド整備方法であって、
前記グラウンドは、ゴルフ用の球技場に設けられており、
前記回収機は、ゴルフ用のボールである前記対象物を前記グラウンド上から収集することを特徴とするグラウンド整備方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機、グラウンド整備システムおよびグラウンド整備方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ練習場のグラウンドの草(芝)を刈るための草刈機としては、グラウンドの草を刈る刃物を有する作業装置と、作業装置をグラウンド上で走行させる走行装置と、を備えているものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1211924号明細書
【特許文献2】特開2019-201574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1に記載された草刈機では、グラウンド上に散乱したボールが刃物に接触して損傷するのを防ぐために、本体部の下部にカバーを被せている。この構成では、本体部の側面と上部はカバーで覆われていないため、グラウンド上のボールに草刈機の車輪が乗り上げたときに、車輪に弾かれたボールがカバー内に入り込んで、刃物とボールが接触してボールが損傷してしまうという問題がある。
【0005】
前記した特許文献2に記載された草刈機では、刃物と、本体部の下部と側面とを覆うカバーとにより、グラウンド上に散乱したボールが刃物に接触しないため、ボールが損傷するのを防ぐことができるが、カバーの取付構造が複雑になるという問題がある。
【0006】
前記した従来の草刈機を用いてグラウンドを整備する場合に、草刈機の車輪がグラウンド上のボールに乗り上げるのを防ぐことができない。そのため、回収機によってグラウンド上のボールを回収した後に、草刈機によってグラウンドの芝を刈っている。このように、グラウンドを整備するときに、草刈機は回収機の作業後でしかグラウンド上を走行させられないため、グラウンドの整備全体に要する作業時間が長くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、前記した問題を解決し、グラウンド上の対象物が刃物に接触するのを防ぐとともに、走行装置が対象物に乗り上げるのを防ぎつつ、グラウンドを効率良く整備することができる草刈機、グラウンド整備システムおよびグラウンド整備方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第一の発明は、草刈機であって、グラウンド上を走行する走行装置と、前記走行装置に連結され、前記グラウンドの草を刈る刃物を有する第一作業装置と、前記走行装置および前記第一作業装置の少なくとも一方の前方に設けられたガイド部材と、を備えている。前記走行装置を前方に向けて走行させたときに、前記ガイド部材に当接した前記グラウンド上の対象物が、前記ガイド部材に沿って移動するように構成されている。
【0009】
前記課題を解決するため、第二の発明は、草刈機および回収機を備えているグラウンド整備システムであって、前記草刈機は、第一走行装置と、グラウンドの草を刈る刃物を有する第一作業装置と、前記第一走行装置および前記第一作業装置の少なくとも一方の前方に設けられた第一ガイド部材と、を備えている。前記第一走行装置を前方に向けて走行させたときに、前記第一ガイド部材に当接した前記グラウンド上の対象物が、前記第一ガイド部材に沿って移動するように構成されている。前記回収機は、第二走行装置と、前記グラウンド上の対象物を収集して収容する第二作業装置と、を備えている。前記草刈機および前記回収機は、同一の前記グラウンド上を同時または順次に走行可能である。
【0010】
前記課題を解決するため、第三の発明は、草刈機および回収機を用いたグラウンド整備方法である。前記草刈機および前記回収機を同一のグラウンド内で同時または順次に走行させる。そして、前記回収機によって前記グラウンド上の対象物を収集して、前記回収機の容器に前記対象物を収容するとともに、前記草刈機の刃物によって前記グラウンドの草を刈り取る。このとき、前記草刈機の走行方向の前端部に設けられたガイド部材に当接した前記グラウンド上の前記対象物は、前記ガイド部材に沿って移動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、草刈機のガイド部材がグラウンド上の対象物を押し退けるため、対象物が刃物に接触して損傷するのを防ぐことができる。また、草刈機がグラウンド上の対象物に乗り上げるのを防ぐことができる。このように、グラウンド上に対象物が散乱した状態でも、草刈機がグラウンドの草を刈ることができる。これにより、本発明では、草刈機が草を刈る作業と、回収機が対象物を回収する作業とを同時または順次に効率良く行うことができるため、グラウンドを整備する際の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係るグラウンド整備システムの一例を示した平面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るグラウンド整備システムの一例を示した側面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るグラウンド整備システムの草刈機の変形例を示した図で、傾動自在な端部ガイドを有する構成の平面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るグラウンド整備システムの草刈機の変形例を示した図で、ガイド部材にボールを収集可能な構成の平面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係るグラウンド整備システムの一例を示した平面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係るグラウンド整備システムの変形例を示した図で、直線状のガイド部材を有する構成の平面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係るグラウンド整備システムの変形例を示した図で、スライド自在なガイド部材を有する構成の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態の一例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の実施形態では、本発明の草刈機、グラウンド整備システムおよびグラウンド整備方法をゴルフ用の練習場(球技場)に適用した場合について説明する。
【0014】
[第一実施形態]
第一実施形態のグラウンド整備システム1Aは、図1および図2に示すように、グラウンド2の草(芝)を刈る草刈機10Aと、グラウンド2上のボール5(特許請求の範囲における「対象物」)を収集する回収機50Aと、を備えている。草刈機10Aおよび回収機50Aは、同一のグラウンド2の上面を同時または順次に走行可能である。
【0015】
草刈機10Aは、グラウンド2の上面を移動しながら、グラウンド2の草を刈る車両である。草刈機10Aは、グラウンド2の上面を走行する第一走行装置20と、グラウンド2の草を刈る刃物31を有する第一作業装置30と、第一走行装置20に設けられた第一ガイド部材41と、を備えている。
第一作業装置30は、第一走行装置20に連結されている。第一実施形態の草刈機10Aでは、第一走行装置20と第一作業装置30とが一体に構成されている。
【0016】
第一走行装置20は、図1に示すように、車体21と、車体21の前後左右に設けられた四つの車輪22と、を備えている。
第一作業装置30は、車体21の中央下部に設けられた刃物31を回転させることで、グラウンド2の草を刈るものである。
車体21内には、第一走行装置20の車輪22を駆動させるとともに、刃物31を回転させるためのモータやエンジン等の駆動装置(図示せず)が搭載されている。
【0017】
草刈機10Aは、GPS等の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)や、ミリ波レーダ等の位置情報に基づいて、車体21に搭載された制御部が第一走行装置20および第一作業装置30を駆動させて、グラウンド2の上面を移動するように構成されている。なお、草刈機10Aは、送信機による遠隔操作によって、第一走行装置20および第一作業装置30を駆動させてもよい。
【0018】
第一走行装置20の車体21の前方には、第一ガイド部材41が設けられている。グラウンド2上のボール5は、第一走行装置20の車輪22および第一作業装置30の刃物31よりも先に、第一ガイド部材41に当接するため、ボール5が刃物31に接触するのを防ぐとともに、車輪22がグラウンド2上のボール5に乗り上げるのを防止できる。
第一ガイド部材41は、左右方向に延びているため、第一ガイド部材41に沿って移動するグラウンド2上のボール5を左右方向に指向させ、車体21からボール5を遠ざけることができる。
なお、第一ガイド部材41の材質は特に問わないが、例として金属、樹脂、弾性体などが挙げられる。
【0019】
第一ガイド部材41は、車体21の前端面に固定されている。第一ガイド部材41の左右方向の両端部は、左右の車輪22,22の左右方向の外端部よりも外側に突出している。このようにすれば、ボール5は、左右の車輪22,22の左右方向の外端部より外側に移動させられるため、車輪22とボール5との接触を防止できる。
【0020】
第一実施形態の第一ガイド部材41は、左右方向の中央部から両端部に向かうに連れて後方に変位するように湾曲している。つまり、第一ガイド部材41が車体21の側方に沿うように設けられている。
【0021】
これにより、草刈機10Aを前方に向けて走行させたときに、第一ガイド部材41に当接したグラウンド2上のボール5は、左右方向から後方へとスムーズに移動するため、第一ガイド部材41周辺にボール5が滞留するのを防ぐとともに、ボール5が車体の進行方向とは反対の方向へ離れていく。
この構成は、特にグラウンド2上に多数のボール5が散乱している場合など、車体21にボール5が次々に当接するような場面において有効である。
【0022】
第一走行装置20によって草刈機10Aを前方に向けて走行させたときに、第一ガイド部材41の前面にグラウンド2上のボール5が当接すると、ボール5は第一ガイド部材41の前面に沿って左右方向に移動し、車輪22よりも外側に向けて移動する。
このように、草刈機10Aは、グラウンド2上のボール5を第一ガイド部材41によって押し退けながら前方に移動する。
【0023】
回収機50Aは、グラウンド2の上面を移動しながら、グラウンド2上に散乱した複数の対象物であるボール5を収集して収容する車両である。
回収機50Aは、グラウンド2の上面を走行する第二走行装置60と、グラウンド2上のボール5を収集して収容する第二作業装置70と、を備えている。
第二作業装置70は、第二走行装置60に連結されている。第一実施形態の回収機50Aでは、第二走行装置60と第二作業装置70とが一体に構成されている。
【0024】
第二走行装置60は、車体61と、車体61の前後左右の四つの車輪62と、を備えている。
【0025】
第二作業装置70は、グラウンド2上のボール5を収集するドラム71と、複数のボール5を収容可能な容器72と、を備え、ドラム71および容器72は、車体61の前後方向の中央部に配置されている。
【0026】
ドラム71は、左右方向の軸回りに回転する円筒状の部材である。ドラム71を回転させて、ドラム71の外周部の溝部によって、グラウンド2上のボール5をすくい上げるように構成されている。
容器72は、複数のボール5を収容可能なタンクである。ドラム71によってグラウンド2上から拾い上げられたボール5は、ドラム71から容器72内に送り込まれる。容器72には、ボール5を車体61の外部に排出する排出機構が設けられている。
【0027】
車体61内には、第二走行装置60の車輪62を駆動させるとともに、ドラム71を上下動させるためのモータやエンジン等の駆動装置(図示せず)が搭載されている。
【0028】
回収機50Aは、GPS等の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)やミリ波レーダ等から得られる位置情報に基づいて、車体61に搭載された制御部が、第二走行装置60および第二作業装置70を駆動させて、グラウンド2の上面を自律移動するように構成されている。なお、回収機50Aは、送信機による遠隔操作によって、第二走行装置60および第二作業装置70を駆動させてもよい。
【0029】
次に、前記したグラウンド整備システム1Aを用いて、ゴルフ用の練習場のグラウンド2を整備する方法について説明する。
第一実施形態では、図1および図2に示すように、草刈機10Aおよび回収機50Aを同一のグラウンド2内で同時に走行させる。このとき、回収機50Aが通過した後の領域を、草刈機10Aが移動するように制御した場合には、草刈機10Aにボール5が当たらない。また、回収機50Aに追従させて草刈機10Aを走行させてもよい。
【0030】
回収機50Aは、グラウンド2の上面を移動しながら、ドラム71によってグラウンド2上のボール5を収集して、容器72にボール5を収容する。回収機50Aは、容器72内に多数のボール5が収容されると、グラウンド2の内外に設けられた排出領域に移動して、容器72内のボール5を排出する。
【0031】
草刈機10Aは、グラウンド2の上面を移動しながら、刃物31によってグラウンド2の草を刈り取る。このとき、草刈機10Aは、グラウンド2上のボール5を第一ガイド部材41によって押し退けながら前方(進行方向)に移動する。
【0032】
このように、草刈機10Aおよび回収機50Aをグラウンド2上で同時に走行させることにより、グラウンド2上に散乱したボール5を回収する作業と、グラウンド2の草を刈る作業とを同時に行ってグラウンド2を整備する。
【0033】
以上のような草刈機10A、グラウンド整備システム1Aおよびグラウンド整備方法では、図1に示すように、草刈機10Aがグラウンド2上を走行するときに、草刈機10Aの第一ガイド部材41がグラウンド2上のボール5を押し退ける。これにより、ボール5が刃物31に接触して損傷するのを防ぐことができるとともに、草刈機10Aの車輪22がグラウンド2上のボール5に乗り上げるのを防ぐことができる。
【0034】
このように、グラウンド2上にボール5が散乱した状態でも、草刈機10Aによってグラウンド2の草を刈ることができる。そして、草刈機10Aによって草を刈る作業と、回収機50Aによってボール5を回収する作業とを同時に行うことで、グラウンド2を整備する際の作業効率を高めることができる。
【0035】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態において、草刈機10Aは第一ガイド部材41を備えていれば良く、必ずしも草刈機10Aが草刈り作業を行う必要がない。
例えば、草刈り作業を必要としない時期や、グラウンド2上のボール5の回収作業を優先させたい場合には、草刈機10Aに草刈り作業を行わせずに、第一ガイド部材43に沿ってボール5を移動させて集めるように構成してもよい。この構成では、草刈機10Aが多数のボール5を寄せ集めた領域に、回収機50Aを走行させて、ボール5を回収することで、グラウンド2の整備効率を高めることができる。
【0036】
第一実施形態では、図1に示すように、草刈機10Aおよび回収機50Aをグラウンド2内で同時に走行させているが、草刈機10Aおよび回収機50Aをグラウンド2内で順次に走行させてもよい。
例えば、草刈機10Aおよび回収機50Aの一方をグラウンド2内で走行させている途中に、草刈機10Aおよび回収機50Aの他方をグラウンド2内で走行させてもよい。
また、草刈機10Aおよび回収機50Aの一方のみをグラウンド2内で走行させて作業が完了した後に、草刈機10Aおよび回収機50Aの他方のみをグラウンド2内で走行させてもよい。
【0037】
第一ガイド部材41は、グラウンド2上のボール5を押し退けることができるのであれば、その形状や大きさは限定されるものではない。
例えば、図3に示すように、第一ガイド部材41の左右方向の両端部にそれぞれ端部ガイド42,42を連結してもよい。端部ガイド42は、第一ガイド部材41に対して上下方向の軸回りに傾動可能である。この構成では、第一ガイド部材41に対する端部ガイド42の傾斜角度を調整することで、第一ガイド部材41および端部ガイド42によって押し退けたボール5の移動方向を調整できる。
また、図4に示すように、第一ガイド部材43に沿って複数のボール5を移動させながら、第一ガイド部材43にボール5を保持させるように構成してもよい。この場合には、ボール5を回収する作業と、草を刈る作業とを一台の装置で同時に行うことができる。
【0038】
第一実施形態のグラウンド整備システム1Aでは、図1に示すように、草刈機10Aのみに第一ガイド部材41が設けられているが、回収機50Aにもガイド部材を設けて、ガイド部材によってボール5をドラム71に案内するように構成してもよい。
【0039】
草刈機10Aの刃物31および第一走行装置20の構成は限定されるものではなく、各種の既存の装置を用いることができる。同様に、回収機50Aの回収機構および第二走行装置60の構成は限定されるものではなく、各種の既存の装置を用いることができる。
【0040】
第一実施形態のグラウンド整備システム1Aでは、ゴルフ用の練習場のグラウンド2を整備しているが、グラウンド2の種類は限定されるものではなく、例えば、農地のグラウンドの草を刈るとともに、グラウンド上の果物や木の実等の対象物を収集することもできる。
【0041】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のグラウンド整備システム1Bについて説明する。
第二実施形態のグラウンド整備システム1Bは、図5に示すように、前記第一実施形態のグラウンド整備システム1A(図1参照)と略同様な構成であり、作業装置と走行装置とが別体である点と、草刈機および回収機にガイド部材が設けられている点が異なる。
【0042】
第二実施形態の草刈機10Bは、第一走行装置20と第一作業装置30とがそれぞれ別体に構成されている。第一作業装置30は、第一走行装置20の車体21の後部に対して着脱自在に連結されている。第二実施形態の第一作業装置30には、前後左右の四つの車輪32が設けられている。第二実施形態の第一作業装置30は、第一走行装置20に牽引されて走行する。
【0043】
第二実施形態の草刈機10Bでは、車体21の前端部に左右二本の第一ガイド部材44,44が設けられている。第二実施形態の第一ガイド部材44は、左右方向の中央側の端部から外側の端部に向かうに連れて後方に変位するように湾曲している。また、第二実施形態の左右の第一ガイド部材44,44は、左右方向の中央部において上下方向の軸回りに回動可能である。ここでは、左右の第一ガイド部材44,44を上下方向の軸回りに回動可能としたが、回動可能とせずに、車体21の前端部に左右の第一ガイド部材44,44を固定してもよい。
【0044】
第二実施形態の草刈機10Bの左右の第一ガイド部材44,44は、車体21の前端部の左右方向の中央部において連続した状態である。
これにより、第一走行装置20を前方に向けて走行させたときに、左右の第一ガイド部材44,44の前面に当接したボール5は、第一ガイド部材41に沿って車輪22よりも外側に移動する。
【0045】
さらに、第二実施形態の左右の第一ガイド部材44,44における各外側端部は、第一走行装置20の前後左右の四つの車輪22および第一作業装置30の前後左右の四つの車輪32の左右方向の外端部よりも外側に突出している。このため、第一ガイド部材44によって移動されたグラウンド2上のボール5が、第一走行装置20に牽引されて走行する第一作業装置30の刃物31に接触するのを防ぐことができ、第一作業装置30の車輪32がグラウンド2上のボール5に乗り上げるのを防止できる。
【0046】
第二実施形態の回収機50Bは、第二走行装置60と第二作業装置70とがそれぞれ別体に構成されている。第二作業装置70は、第二走行装置60の車体61の後部に対して着脱自在に連結されている。第二実施形態の第二作業装置70には、前後左右の四つの車輪73が設けられている。第二実施形態の第二作業装置70は、第二走行装置60に牽引されて走行する。
【0047】
第二実施形態の回収機50Bの第二走行装置60と、草刈機10Bの第一走行装置20とは同じ構成の同一機種である。
したがって、回収機50Bの車体61の前端部にも、左右二本の第二ガイド部材45,45が設けられており、第二ガイド部材45が上下方向の軸回りに回動可能である。この第二ガイド部材45も、第一ガイド部材44と同様に上下方向の軸回りに回動可能とせずに、車体21の前端部に固定してもよい。
【0048】
第二実施形態の回収機50Bの第二ガイド部材45は、草刈機10Bの第一ガイド部材44を上下方向の軸回りに約180度回転させた状態、または第一ガイド部材44の表裏を反転させた状態で固定されている。左右の第二ガイド部材45,45は、車体61の前端部の左右方向の中央部において離れている。
これにより、第二走行装置60を前方に向けて走行させたときに、左右の第二ガイド部材45,45の前面に当接したボール5は、第二ガイド部材45の前面に沿って車体61の左右方向の中央側に移動し、両第二ガイド部材45,45の間を通過してドラム71に案内される。
【0049】
また、第二実施形態の第二ガイド部材45の外側端部は、車体61よりも外側に突出している。この構成では、第二ガイド部材45を備えていない回収機と比べて、ボール5を回収可能な範囲が広がるため、より多くのグラウンド2上のボール5を回収できる。
【0050】
以上のようなグラウンド整備システム1Bでは、草刈機10Bの第一走行装置20と、回収機50Bの第二走行装置60とが同一機種であるため、グラウンド2の整備に係るコストを低減できる。
【0051】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第二実施形態の第一ガイド部材44および第二ガイド部材45は、図1に示すように、弧状に湾曲しているが、図6に示すように、第一ガイド部材44および第二ガイド部材45を直線状に形成してもよい。
【0052】
第二実施形態の第一ガイド部材44および第二ガイド部材45は、図1に示すように、上下方向の軸回りに回動するように構成されているが、図7に示すように、第一ガイド部材44および第二ガイド部材45を前後方向にスライド可能に構成してもよい。この構成では、草刈機10Bのように、両第一ガイド部材44,44が連続した状態から、第一ガイド部材44を外側に向けて斜め後方に移動させることで、回収機50Bのように、両第二ガイド部材45,45を離すことができる。
【0053】
第二実施形態のグラウンド整備システム1Bでは、図1に示すように、第一走行装置20に第一ガイド部材44が設けられているが、第一作業装置30に第一ガイド部材44を設けてもよい。同様に、第二走行装置60に第二ガイド部材45が設けているが、第二作業装置70に第二ガイド部材45を設けてもよい。
【0054】
第二実施形態のグラウンド整備システム1Bでは、第一走行装置20と第二走行装置60とが同一機種であるため、第一走行装置20から第一作業装置30を取り外して、第一走行装置20に第二作業装置70を取り付けることで、回収機を構成することもできる。また、第二走行装置60から第二作業装置70を取り外して、第二走行装置60に第一作業装置30を取り付けることで、草刈機を構成することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1A グラウンド整備システム(第一実施形態)
1B グラウンド整備システム(第二実施形態)
2 グラウンド
5 ボール
10A 草刈機(第一実施形態)
10B 草刈機(第二実施形態)
20 第一走行装置
21 車体
22 車輪
30 第一作業装置
31 刃物
32 車輪
41 第一ガイド部材(第一実施形態)
42 端部ガイド
43 第一ガイド部材(第一実施形態の変形例)
44 第一ガイド部材(第二実施形態)
45 第二ガイド部材
50A 回収機(第一実施形態)
50B 回収機(第二実施形態)
60 第二走行装置
61 車体
62 車輪
70 第二作業装置
71 ドラム
72 容器
73 車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7