(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185706
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】親機、端末、中継機、通信システム、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/25 20180101AFI20221208BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20221208BHJP
【FI】
H04W76/25
H04W52/02 110
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093482
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】浅野目 美幸
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067CC22
5K067DD24
5K067DD30
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067FF05
(57)【要約】
【課題】端末が死活監視パケットを受信するまで待ち受け状態を維持するのに必要な電力を抑制することが可能な通信監視システム、通信監視方法、及び通信監視プログラムを提供すること。
【解決手段】本開示にかかる親機1は、クロック供給部11aと送受信部12aを備えている。クロック供給部11aは、所定の周期の時刻を計測し、送受信部12aに出力する。送受信部12aは、クロック供給部11aが計測した時刻に基づいて、所定の周期のタイミングで、死活監視パケットを端末2または中継機3へ送信する。このとき、送受信部12aは、死活監視パケットにクロック供給部11aが計測した時刻の情報を添付して、端末2または中継機3へ送信する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する通信部と、
を備える親機。
【請求項2】
前記通信部は、前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記死活監視パケットの送信後、前記端末または中継機からの応答パケットを待ち受ける、
請求項1に記載の親機。
【請求項3】
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信する通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻計測部の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える端末。
【請求項4】
前記通信部は、前記所定の周期のタイミングから所定の受信待ち受け時間の間起床し、前記死活監視パケットを待ち受ける、
請求項3に記載の端末。
【請求項5】
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信し、前記受信した死活監視パケットに対応する応答パケットを前記親機に送信し、死活監視パケットを端末へ送信する通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻計測部の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える中継機。
【請求項6】
前記通信部が、前記端末から前記死活監視パケットの応答パケットを受信するまで、起床状態を維持する、
請求項5に記載の中継機。
【請求項7】
前記通信部が、前記端末から前記応答パケットを受信した場合、次に前記親機へ自身の応答パケットを送信する際に、前記端末から受信した前記応答パケットをまとめて送信する、
請求項5又は6に記載の中継機。
【請求項8】
親機と端末とを備えた通信システムであって、
前記親機は、
所定の周期の第1の時刻を計測する第1の時刻計測部と、
前記計測された第1の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された第1の時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを前記端末へ送信する第1の通信部と、
を備え、
前記端末は、
前記所定の周期の第2の時刻を計測する第2の時刻計測部と、
前記計測された第2の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信する第2の通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記第2の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える通信システム。
【請求項9】
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する、
親機の制御方法。
【請求項10】
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
端末の制御方法。
【請求項11】
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する、
処理をコンピュータに実行させるための親機の制御プログラム。
【請求項12】
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
処理をコンピュータに実行させるための端末の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機、端末、中継機、通信システム、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)技術の発展を背景に、遠隔地のカメラや各種センサで取得した情報を無線端末経由で収集、活用するサービスの需要が増加しており、LPWA(Low Power, Wide Area)のような低消費電力で広範囲をカバーする通信規格での通信の不確実性を補償する技術の必要性が以前に増して高まっている。
【0003】
LPWAのような通信規格での通信の不確実性を補償する技術として、親機がある一定の周期で端末に対して死活監視パケットを送信することで、端末を監視する技術が知られている。
【0004】
また、関連する技術として、特許文献1が知られている。特許文献1では、親機と端末が定期的にアクセスをおこなうネットワークにおいて、端末がパケットを送信する時間を親機が指定し、それ以外の時間帯では端末をスリープさせることによって、端末の電力消費を抑制する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、死活監視パケットにより端末を監視することができる。しかしながら、端末は、死活監視パケットを待ち受けて応答する必要があるため、低消費電力化を図ることが困難な恐れがある。すなわち、端末が、親機から死活監視パケットを受信するタイミングを正確に把握することはできない。そのため、端末は親機から死活監視パケットを受信するまで待ち受け状態を維持する必要があり、それに対応する電力を消費するという課題があった。
【0007】
なお、特許文献1では、死活監視パケットにより端末を監視しつつ端末の電力消費を抑制することはできない。
【0008】
本開示は上述した課題を解決するためになされたものであり、死活監視を行いつつ電力消費を抑制することが可能な親機、端末、中継機、通信システム、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示にかかる親機は、
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する通信部と、
を備える親機である。
【0010】
本開示にかかる端末は、
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信する通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻計測部の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える端末である。
【0011】
本開示にかかる中継機は、
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信するとともに、死活監視パケットを端末へ送信する通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻計測部の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える中継機である。
【0012】
本開示にかかる通信システムは、
親機と端末とを備えた通信システムであって、
前記親機は、
所定の周期の第1の時刻を計測する第1の時刻計測部と、
前記計測された第1の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された第1の時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを前記端末へ送信する第1の通信部と、
を備え、
前記端末は、
前記所定の周期の第2の時刻を計測する第2の時刻計測部と、
前記計測された第2の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信する第2の通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記第2の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える通信システムである。
【0013】
本開示にかかる親機の制御方法は、
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する、
親機の制御方法である。
【0014】
本開示にかかる端末の制御方法は、
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
端末の制御方法である。
【0015】
本開示にかかる親機の制御プログラムは、
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する、
処理をコンピュータに実行させるための親機の制御プログラムである。
【0016】
本開示にかかる端末の制御プログラムは、
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
処理をコンピュータに実行させるための端末の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本開示により、死活監視を行いつつ電力消費を抑制することが可能な親機、端末、中継機、通信システム、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】関連する技術における死活監視動作を示す図である。
【
図2】関連する技術における死活監視動作を示す図である。
【
図3】実施の形態における死活監視動作の概要を示す図である。
【
図4】実施の形態における死活監視動作の概要を示す図である。
【
図5】実施の形態1にかかる通信システムの構成を示す構成図である。
【
図6】実施の形態1にかかる親機の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態1にかかる端末の構成を示すブロック図である。
【
図8】実施の形態1にかかる通信システムの他の構成を示す構成図である。
【
図9】実施の形態1にかかる中継機の構成を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態2にかかる通信システムの構成を示す構成図である。
【
図11】実施の形態2にかかる親機と端末の構成を示すブロック図である。
【
図12】実施の形態2にかかる親機と端末の通信を示す模式図である。
【
図13】実施の形態3にかかる親機と端末と中継機の構成を示すブロック図である。
【
図14】実施の形態3にかかる親機と端末と中継機の通信を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(関連する技術の検討)
親機と端末によって構成されるネットワークサービスにおいて、端末の状態を把握するための死活監視は不可欠である。死活監視は、親機がある一定の周期で端末に対して死活監視パケットを送信し、端末は親機に対して確認応答(以下、ACKと記載)を返して生存を通達することで行われる。
【0020】
図1は、関連する技術における、親機901と端末902の間の死活監視動作を示している。
図1に示すように、端末902は、一定の周期922でスリープ状態から復帰して死活監視パケット911を受信しようとするものの、親機901から正確にいつ来るかわからない死活監視パケット911を受信できるように、ある程度の長さの待ち受け期間921をもって受信の待ち受けをする必要があった。このとき、端末902における実際の死活監視パケット911受信時の処理自体は親機901に対してACK912を返して生存を通達するのみで、この処理が完了すれば端末902は即座にスリープ状態へ移行することができた。しかしながら、前述のとおり、死活監視パケット911を受信するまでは待ち受け状態を維持する必要があり、このときに余計な電力消費が生じてしまう課題があった。この不要な電力消費によって端末の可用性が低下し、通信規格の長所を十分に活かしきることができなかった。
【0021】
図2は、関連する技術における、親機901と端末902の間に中継機903を経由する場合の死活監視動作を示している。
図2に示すように、親機901と端末902の間で中継機903を経由する場合、中継機903は、一定の周期924でスリープ状態から復帰して待ち受け期間923で待ち受け、親機901からの死活監視パケット911を受信する。中継機903は、これを端末902へ転送する際、端末902がこれを受信してACK912を返してくるまで繰り返し再送を行う必要があり、これによって中継機903における電力消費は前述の端末2以上に大きくなってしまう課題があった。
【0022】
加えて、中継機903を経由する場合においては、親機901は、中継機903が親機901の死活監視パケット911を受信できた後も、その後の中継機903を経由した端末902からのACK912を受信するために継続して待ち受け動作を行う必要があり、これによって親機901の電力消費が増大してしまうことも課題であった。
【0023】
(実施の形態の概要)
そこで、実施の形態は、端末2と、端末2との間で情報を送受する親機1とからなるネットワークにおいて、親機1が通信の不確実性を補うために端末2の監視を行う場合に、端末2がこの監視動作を利用して親機1と端末2の間の通信を同期させ、この同期化によって親機1からの監視を待ち受けるために端末2で発生する不要な電力消費を削減し、端末2の監視と長寿命化を両立させる特徴を備える。
【0024】
図3は、実施の形態における、親機1と端末2の間の死活監視動作の概要を示している。
図3に示すように、端末2は、一定の周期202でスリープ状態から復帰し、待ち受け期間201で死活監視パケット101を待ち受け、親機1から死活監視パケット101を受信するとACK102を返す。
図4は、実施の形態における、親機1と端末2の間に中継機3を経由する場合の死活監視動作の概要を示している。
図4に示すように、中継機3は、周期204でスリープ状態から復帰して待ち受け期間203で待ち受け、親機1からの死活監視パケット101を受信して端末2へ転送する。
【0025】
前述の課題は、親機1と端末2の間、あるいは親機1と中継機3と端末2の間で通信を同期させ、端末2、中継機3の起床タイミングと、中継機3、親機1からの死活監視パケット受信タイミングと、を合わせこみ、中継機3においては親機1からの死活監視パケット101を受信できたら即座に親機1に対してACK102を返し、端末2からのACK102については次回の中継機3からのACK102と併せて返すようにすれば解決できる。
【0026】
すなわち、親機1、中継機3、端末2は最初にそれぞれ独立に一定周期のタイマを持ち、親機1は死活監視パケット101に自身の時刻情報を含めて送信する。中継機3、端末2は親機1からの初回の死活監視パケット受信タイミングにおける自身の時刻情報と死活監視パケット101に含まれる親機1の時刻情報に従って次回の受信タイミングを予測し、このタイミングに合わせて次回の受信待ち受けを行うことで、中継機3、端末2は次回以降の受信待ち受けのための起床時間幅を最適化でき、監視動作に伴う電力消費を低減できる。このとき、中継機3、端末2は前述の通りパケット受信後すぐにACK102を出力し、中継機3は端末2から受信したACK102を次回の親機1へのACK102出力時に併せて出力する。この処理によって、中継機3を経由する場合の親機1においても監視動作に伴う電力消費を低減できる。
【0027】
実施の形態1.
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。
図5は、本実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す構成図である。
図5に示すように、通信システム1001は、互いに無線通信を行う親機1および端末2を備える。親機1は、端末2に対して死活監視パケットを送信し、端末2は、死活監視パケットに対応するACKを返信する。
【0028】
図6は、本実施の形態にかかる親機1の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、親機1はクロック供給部11aおよび送受信部12aを備える。
【0029】
クロック供給部11aは、所定の周期(死活パケット送信周期)の時刻を計測する時刻計測部である(第1の時刻計測部と呼ぶ場合がある)。クロック供給部11aは、所定の周期の時間が経過したタイミングで、その情報を送受信部12aに出力する。
【0030】
送受信部12aは、クロック供給部11aによって計測された時刻に基づいて、所定の周期のタイミングで、クロック供給部11aが計測する現在の時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを送信する通信部である(第1の通信部と呼ぶ場合がある)。また、送受信部12aは、所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床(復帰)し、死活監視パケットの送信後、端末2(または中継機3)からのACK(応答パケット)を待ち受け、端末2から死活監視パケットに対して返信されたACKを受信する。
【0031】
図7は、本実施の形態にかかる端末2の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、端末2は、クロック供給部11b、送受信部12b、及び受信タイミングチェック部13bを備える。クロック供給部11bは、親機1と同じ所定の周期の時刻を計測する時刻計測部である(第2または第3の時刻計測部と呼ぶ場合がある)。クロック供給部11bは、所定の周期の時間が経過したタイミングで、その情報を送受信部12bに出力する。
【0032】
送受信部12bは、クロック供給部11bによって計測された時刻に基づいて、所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機1(または中継機3)からクロック供給部11aの時刻情報を含む死活監視パケットを受信する通信部である(第2または第3の通信部と呼ぶ場合がある)。また、送受信部12bは、所定の周期のタイミングから所定の受信待ち受け時間の間起床し、死活監視パケットを待ち受け、受信した死活監視パケットに対応するACKを親機1に対して送信する。送受信部12bは、受信したクロック供給部11aの時刻情報を受信タイミングチェック部13に出力する。
【0033】
受信タイミングチェック部13bは、送受信部12bから入力したクロック供給部11aの時刻情報に基づいて、クロック供給部11bの計測する時刻を補正する。具体的には、クロック供給部11a及びbが、同じ時刻を計測しているように補正する。受信タイミングチェック部13bは、受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報にクロック供給部11bの時刻を同期させる時刻同期部であるとも言える(第1または第2の時刻同期部と呼ぶ場合がある)。
【0034】
本実施の形態にかかる通信監視方法の処理の流れについて説明する。まず、親機1の送受信部12aが、クロック供給部11aの計測する時刻に基づいて、所定の周期のタイミングで、クロック供給部11aの時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを送信する。この死活監視パケットを端末2の送受信部12bが受信すると、送受信部12bは、死活監視パケットに対応するACKを送受信部12aに送信し、クロック供給部11aの時刻の時刻情報を受信タイミングチェック部13に出力する。送受信部12bは、ACKを送受信部12aに送信すると、スリープ状態に移行する。受信タイミングチェック部13bは、送受信部12bから入力したクロック供給部11aの時刻情報に基づいて、クロック供給部11a及びbが同じ時刻を計測するように、クロック供給部11bの時刻を補正する。以後、送受信部12bは、この補正された時刻に基づいて所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機1から送信される死活監視パケットを待ち受ける。
【0035】
このようにして、親機1と端末2それぞれのクロック供給部11a及びbの時刻を同期させ、端末2が死活監視パケットを受信するタイミングと、端末2が待ち受け状態になるタイミングを合わせこむことによって、端末2の待ち受け時間を抑制することができ、その結果として、死活監視パケットにより死活監視を行いつつ端末の電力消費を抑制することができる。
【0036】
また、
図5の構成に限らず、通信システムはさらに中継機を備えていてもよい。
図8は、本実施の形態にかかる通信システムの他の構成例を示す構成図である。
図8の例では、通信システム1002は、親機1と端末2の間の無線通信を中継する中継機3を備える。
【0037】
図9は、本実施の形態にかかる中継機3の構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、中継機3は、クロック供給部11c、送受信部12c、及び受信タイミングチェック部13cを備える。クロック供給部11cは、親機1と同じ所定の周期の時刻を計測する時刻計測部である(第2または第3の時刻計測部と呼ぶ場合がある)。クロック供給部11cは、所定の周期の時間が経過したタイミングで、その情報を送受信部12cに出力する。
【0038】
送受信部12cは、クロック供給部11cによって計測された時刻に基づいて、所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機1からクロック供給部11aの時刻情報を含む死活監視パケットを受信するとともに、死活監視パケットを端末2へ送信する通信部である(第2または第3の通信部と呼ぶ場合がある)。送受信部12cは、クロック供給部11cが計測する現在の時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを送信する。また、送受信部12cは、所定の周期のタイミングから所定の受信待ち受け時間の間起床し、死活監視パケットを待ち受け、受信した死活監視パケットに対応するACKを親機1に対して送信する。さらに、死活監視パケットの送信後、端末2からのACKを待ち受け、端末2から死活監視パケットに対して返信されたACKを受信し、次に親機1へACKを送信する際、中継機3のACKと端末2から受信したACKをまとめて送信する。送受信部12cは、受信したクロック供給部11aの時刻情報を受信タイミングチェック部13cに出力する。
【0039】
受信タイミングチェック部13cは、送受信部12cから入力したクロック供給部11aの時刻情報に基づいて、クロック供給部11cの計測する時刻を補正する。具体的には、クロック供給部11a及びcが、同じ時刻を計測しているように補正する。受信タイミングチェック部13cは、受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報にクロック供給部11cの時刻を同期させる時刻同期部であるとも言える(第1または第2の時刻同期部と呼ぶ場合がある)。
【0040】
これにより、上記と同様に、親機1、端末2及び中継機3それぞれのクロック供給部11a、11b及び11cの時刻を同期させることで、死活監視パケットにより死活監視を行いつつ端末及び中継機の電力消費を抑制することができる。
【0041】
実施の形態2.
次に、
図10~12を用いて、実施の形態2について説明する。
図10は、本実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す構成図である。
図10に示すように、本実施の形態にかかる通信システム1003は、親機1、端末2、中継機3、および管理センタ4を備えている。例えば、親機1、端末2、及び中継機3は、LPWAなどの低消費電力の無線通信が可能である。親機1と管理センタ4は、任意の有線または無線の通信回線5によって接続されている。なお、簡単のため、
図10では端末2が2台しか記載されていないが、接続可能な端末2の台数は2台であることに限られない。同様に、中継機3の数も限定されない。
【0042】
親機1は、管理センタ4からのリクエストに基づいて処理を行い、また、定期的に端末2および中継機3の監視を行う。親機1は、管理センタ4から何らかのリクエストが発生した場合、死活監視を中断し、リクエストに応じた各種指示コマンドを、端末2に直接、あるいは中継機3を経由して送信する。また、親機1は、死活監視パケットを送信した端末2または中継機3から、対応するACKを受信できなかった場合は、管理センタ4に対して警告を通知してもよい。
【0043】
端末2は、例えば、遠隔地のカメラや各種センサである。端末2は、親機1から受信するコマンドに応じた処理を行い、また、定期的に親機1から死活監視パケットを受信し応答する。中継機3は、親機1と端末2の間でコマンドや死活監視パケットを含む通信を中継する。
【0044】
管理センタ4は、親機1を介して、端末2の動作やデータを管理する管理装置である。管理センタ4は、必要に応じて、端末2の動作を制御するリクエストを親機1へ指示する。
【0045】
親機1と端末2は直接通信を行ってもよいし、中継機3を経由して通信を行ってもよい。本実施の形態では、親機1と端末2が直接通信をおこなう場合について、詳しく説明する。親機1と端末2が中継機3を経由して通信をおこなう場合については、実施の形態3で詳しく説明する。
【0046】
図11は、本実施の形態にかかる親機1と端末2の構成を示すブロック図である。親機1は定期的に端末2に対して死活監視パケットを送信し、端末2はその死活監視パケットに対してACKを返信する。
図11に示すように、親機1は、クロック供給部11a、送受信部12a、及びパケット通信制御部16aを備えている。
【0047】
クロック供給部11aは、所定の周期の時間をカウントするタイマである。本実施の形態では、クロック供給部11aは60秒を予め定められた周期として時間をカウントするが、これは適宜調整可能である。親機1は、クロック供給部11aが計測している時間を、内部時刻として扱う。
【0048】
送受信部12aは、後述するパケット通信制御部16aからの制御に基づいて、端末2と通信をおこなう。送受信部12aは、パケット通信制御部16aから入力したパケットを端末2に対して送信する。また、送受信部12aは、端末2からパケットを受信すると、それをパケット通信制御部16aに出力する。
【0049】
パケット通信制御部16aは、送受信部12aの通信を制御する。例えば、パケット通信制御部16aは、端末2へ送信するコマンドの生成や、送受信部12aとの間でやり取りするパケットのヘッダの付け外しや、パケット通信制御に必要な情報の出入力を行ってもよい。パケット通信制御部16aは、クロック供給部11aから入力した内部時刻に基づいて、送受信部12aを制御し、端末2と通信をおこなう。具体的には、パケット通信制御部16aは、内部時刻に基づいて所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、死活監視パケットの送信後、端末2からのACKを待ち受ける。パケット通信制御部16aは、死活監視パケットにクロック供給部11aから入力した内部時刻を添付する。また、パケット通信制御部16aは、送受信部12aから端末2のACKを入力したタイミングで、送受信部12aをスリープ状態に移行させてもよい。
【0050】
また、
図11に示すように、端末2は、クロック供給部11b、送受信部12b、受信タイミングチェック部13b、記憶部14b、待ち受け時間設定部15b、及びパケット通信制御部16bを備えている。例えば、受信タイミングチェック部13b、記憶部14b、待ち受け時間設定部15b、及びパケット通信制御部16bは、端末2に搭載されたCPUに備えられていてもよい。クロック供給部11bは、クロック供給部11aと同じ周期の時間をカウントするタイマである。クロック供給部11bはカウントしている時間情報を、受信タイミングチェック部13bに出力する。
【0051】
送受信部12bは、後述するパケット通信制御部16bからの制御に基づいて、親機1と通信をおこなう。送受信部12bは、親機1からパケットを受信すると、それをパケット通信制御部16bに出力する。また、パケット通信制御部16bから入力したパケットを親機1に対して送信する。
【0052】
受信タイミングチェック部13bは、パケット通信制御部16bからクロック供給部11aの時間情報を入力し、それに基づいて、クロック供給部11bが出力した時間情報を補正する。具体的には、受信タイミングチェック部13bは、クロック供給部11bが出力した時間情報が、クロック供給部11aが出力する親機1の内部時刻と一致するように補正する。端末2はこの補正した時間情報を、端末2の内部時刻として扱う。つまり、受信タイミングチェック部13bは、親機1と端末2の内部時刻を同期する。受信タイミングチェック部13は、同期した内部時刻を待ち受け時間設定部15bに出力する。
【0053】
記憶部14bは、親機1との通信に必要な各種パラメータを格納しているメモリである。記憶部14bは、端末2を待ち受け状態にする時間の長さ(以降、待ち受け時間と記載)の情報をパラメータの1つとして格納している。本実施の形態では、待ち受け時間を、初回の死活監視パケットを受信するまでは6秒、初回の死活監視パケットを受信した後は1秒、として設定している。なお、この待ち受け時間は適宜調整可能であるが、初回の死活監視パケットを受信した後の待ち受け時間が、初回の死活監視パケットを受信するまでの待ち受け時間よりも短いことが好ましい。言い換えると、端末2は、親機1と内部時刻を同期させた場合、待ち受け時間を、時刻の同期前よりも短く設定することが好ましい。
【0054】
待ち受け時間設定部15bは、受信タイミングチェック部13bから内部時刻を入力し、記憶部14bから待ち受け時間の情報を入力する。待ち受け時間設定部15bは、内部時刻が予め定められた時刻になったタイミングで、パケット通信制御部16bに通知をおこない、待ち受け時間の情報を出力する。
【0055】
パケット通信制御部16bは、送受信部12bの通信を制御する。例えば、パケット通信制御部16bは、送受信部12aとの間でやり取りするパケットのヘッダの付け外しや、パケット通信制御に必要な情報の出入力を行ってもよい。パケット通信制御部16bは、待ち受け時間設定部15bからの通知に基づいて、端末2のパケット通信を制御する。具体的には、待ち受け時間設定部15bから通知が来たタイミングで、送受信部12bを待ち受け状態に移行させ、設定された待ち受け時間の間、端末2の待ち受け状態を維持する。言い換えると、端末2は、所定の周期のタイミングから所定の受信待ち受け時間の間起床し、死活監視パケットを待ち受ける。また、パケット通信制御部16bは、送受信部12bから親機1の死活監視パケットを入力すると、送受信部12bにACKを出力する。
【0056】
以下、
図11及び12を用いて、親機1と端末2の死活監視の処理の流れを詳しく説明する。
図12は、親機1と端末2のパケットのやり取りと、内部時刻との関係を示した模式図である。親機1から端末2に向けた矢印101a~dは死活監視パケットをあらわしており、端末2から親機1に向けた矢印102a及びbは、ACKを表している。また、期間301a及びbは、管理センタ4からのコマンド入力がない期間を、期間302は、管理センタからのコマンド入力がない期間を示している。
【0057】
まず始めに、親機1は、親機1側内部時刻401に基づいて、1秒間隔で死活監視パケットと親機1側内部時刻401の情報を、端末2に送信する(101a~cに対応)。この時、親機1は、ACKを受信するまで、死活監視パケットの再送を繰り返してもよい。次に、親機1は、死活監視パケット101cに対応するACK102aを、端末2から受信する。親機1は、端末2のACK102aの受信を確認すると、スリープ状態に移行する。以後、親機1は、親機1側内部時刻401に基づき、所定の周期である60秒間隔で待ち受け状態に移行して死活監視パケットを端末2に送信し、端末2からのACKが届くまで待ち受け時間を維持する。
【0058】
続いて、本実施の形態における端末2の動作の流れについて説明する。
端末2は、親機1から最初の死活監視パケットを受信するまでは、補正をおこなっていないクロック供給部11bがカウントしている時間を端末2側内部時刻402として用いて、所定の周期で、所定の時間待ち受け状態に移行する。本実施形態の場合は、前述したように、端末2は60秒周期で待ち受け状態に移行し、6秒間待ち受け状態を維持する。端末2は、親機1から最初の死活監視パケット101cを受信すると、添付された親機1側内部時刻401の情報に基づいて、端末2側内部時刻402を補正する。具体的には、親機1と端末2の内部時刻が同じになるように、端末2側内部時刻402を補正する。例えば
図12の場合、親機1の内部時刻3秒のタイミングで、死活監視パケット101cを受信しているので、死活監視パケット101cを受信したタイミングを内部時刻3秒として、受信タイミングチェック部13bが端末2の端末2側内部時刻402を補正する。次に、端末2は、親機1に対してACK102aを送信し、スリープ状態に移行する。待ち受け時間設定部15bは、端末2側内部時刻402が0秒になったタイミング(すなわち、クロック供給部11bが60秒の所定の周期をカウントし終わったタイミング)毎にパケット通信制御部16bに通知を出す。待ち受け時間設定部15bから通知を受けたパケット通信制御部16bは、送受信部12bを待ち受け状態に移行し、1秒間待ち受け状態を維持する。端末2は、この待ち受け状態の間に、親機1から死活監視パケットを受信し、ACKを返信する。
【0059】
親機1と端末2は、管理センタからのコマンド入力がない期間301a及びbでは、これらの操作を繰り返す。管理センタからのコマンド入力がなされる期間302においては、死活監視パケットのやり取りを中断し、待ち受け状態を維持したまま、コマンドに対応したパケットのやり取りをおこなう。
【0060】
以上のことをまとめると、受信タイミングチェック部13bが、親機1からの死活監視パケットに添付して送信された親機1の内部時刻情報に基づいて端末2の内部時刻を補正することで、親機1と端末2の内部時刻を同期させることができる。その結果、親機1が死活監視パケットを送信するタイミングと、端末2が待ち受け状態に移行するタイミングを合わせこむことが可能となり、端末2は、待ち受け時間を抑制することができる。
【0061】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、
図10の通信システム1003において、親機1と端末2が中継機3を経由して通信を行う場合について、
図13及び14を用いて詳しく説明する。
【0062】
図13は、本実施の形態にかかる親機、端末、及び中継機の構成を示すためのブロック図である。親機1および端末2は、実施の形態2と同様の構成をしている。中継機3は、実施の形態2における端末2と同様に、クロック供給部11c、送受信部12c、受信タイミングチェック部13c、記憶部14c、待ち受け時間設定部15c、及びパケット通信制御部16cを備えている。
【0063】
クロック供給部11cは、クロック供給部11a及びbと同じ周期の時間をカウントするタイマである。クロック供給部11bはカウントしている時間情報を受信タイミングチェック部13cに出力する。
【0064】
送受信部12bは、後述するパケット通信制御部16bからの制御に基づいて、親機1と通信をおこなう。送受信部12cは、親機1からパケットを受信すると、それをパケット通信制御部16cに出力する。また、パケット通信制御部16cから入力したパケットを親機1に対して送信する。さらに、送受信部12cは、端末2とも通信をおこなう。すなわち、パケット通信制御部16cから入力したパケットを端末2に対して送信し、端末2から受信したパケットをパケット通信制御部16cに出力する。
【0065】
受信タイミングチェック部13cは、パケット通信制御部16cからクロック供給部11aの時間情報を入力し、それに基づいて、クロック供給部11cが出力した時間情報を補正する。具体的には、受信タイミングチェック部13cは、クロック供給部11cが出力した時間情報が、クロック供給部11aが出力する親機1の内部時刻と一致するように補正する。中継機3はこの補正した時間情報を、中継機3の内部時刻として扱う。つまり、受信タイミングチェック部13cは、親機1と中継機3の内部時刻を同期する。受信タイミングチェック部13cは、同期した内部時刻を待ち受け時間設定部15cに出力する。
【0066】
記憶部14cは、親機1との通信に必要な各種パラメータを格納しているメモリである。記憶部14cは、中継機3の待ち受け時間の情報をパラメータの1つとして格納している。本実施の形態では、初回の死活監視パケットを受信するまでは6秒の待ち受け時間を設定し、初回の死活監視パケットを受信後は端末2からのACKを受信し次第スリープに移行するように設定している。なお、この待ち受け時間は適宜調整可能である。また、本実施の形態では、初回の死活監視パケットを受信後は端末2からのACKを受信し次第スリープに移行するように設定しているが、特定の長さの時間(たとえば2秒)を設定してもよい。
【0067】
待ち受け時間設定部15cは、受信タイミングチェック部13cから内部時刻を入力し、記憶部14cから待ち受け時間の情報を入力する。待ち受け時間設定部15cは、内部時刻が予め定められた時刻になったタイミングで、パケット通信制御部16cに通知をおこない、待ち受け時間の情報を出力する。
【0068】
パケット通信制御部16cは、送受信部12cの通信を制御する。例えば、パケット通信制御部16cは、送受信部12a及びbとの間でやり取りするパケットのヘッダの付け外しや、パケット通信制御に必要な情報の出入力を行ってもよい。パケット通信制御部16cは、待ち受け時間設定部15cからの通知に基づいて、中継機3のパケット通信を制御する。具体的には、待ち受け時間設定部15cから通知が来たタイミングで、送受信部12cを待ち受け状態に移行させ、待ち受け時間設定部15cから入力した待ち受け時間の情報に基づいて、中継機3の待ち受け状態を維持する。また、パケット通信制御部16cは、送受信部12cから親機1の死活監視パケットを入力すると、送受信部12cに対して、親機1に対するACKおよび端末2に対する死活監視パケットを出力する。この時、パケット通信制御部16cは端末2に対する死活監視パケットに、受信タイミングチェック部13cから入力した中継機3の補正した内部時刻を添付する。さらに、パケット通信制御部16cは端末2からのACKを入力すると、次に親機から死活監視パケットを受信したタイミングで送受信部12cに端末2からのACKを出力し、親機1に送信させる。
【0069】
以下、
図13および14を参照して、本実施の形態にかかる親機1、端末2、及び中継機3の処理の流れを説明する。
図14は、親機1、端末2、及び中継機3のパケットのやり取りと、内部時刻との関係を示した模式図である。親機1から中継機3に、もしくは中継機3から端末2に向けた矢印101a~hは死活監視パケットをあらわしており、端末2から中継機3に、もしくは中継機3から親機1に向けた矢印102a~dは、ACKを表している。また、期間301a及びbは、管理センタ4からのコマンド入力がない期間を、期間302は、管理センタからのコマンド入力がない期間を示している。
【0070】
まず始めに、親機1は、親機1側内部時刻401に基づいて、1秒間隔で死活監視パケットと親機1側内部時刻401の情報を、中継機3に送信する(101a~cに対応)。次に、親機1は、死活監視パケット101cに対応するACK102aを、中継機3から受信する。親機1は、ACK102aの受信を確認すると、スリープ状態に移行する。以後、親機1は、親機1側内部時刻401に基づいて、所定の周期である60秒間隔で待ち受け状態に移行して、死活監視パケットを中継機3に送信し、中継機3から、端末2および中継機3のACKが届くまで待ち受け時間を維持する。このとき、所定の時間が経過しても中継機3からACKが届かなかった場合や、中継機3が端末2からACKを受信できていない場合は、親機1は管理センタに警告を通知してもよい。
【0071】
続いて、本実施の形態における中継機3の動作の流れについて説明する。中継機3は、親機1から最初の死活監視パケット101cを受信すると、実施の形態2における端末2と同様の処理を行い、親機1側内部時刻401と中継機3側内部時刻403を同期する。また、中継機3は、死活監視パケット101cを受信した時、親機1にACK102aを送信する。次に、中継機3は、親機1側内部時刻401と同期した中継機3側内部時刻403の情報を含む死活監視パケットを端末2へ送信する。中継機3は、親機1と同様に、1秒間隔で端末2に死活監視パケット(101d~101fまでの死活監視パケットに対応)を送信する。この時、中継機3は、端末2からACKを受信するまで、死活監視パケットの再送を繰り返す。中継機3は、端末2のACK102bの受信を確認すると、スリープ状態に移行する。スリープ状態に移行した中継機3は、所定の周期である60秒が経過すると再び待ち受け状態に移行し、親機1から死活監視パケット101gを受信する。親機1から死活監視パケット101gを受信すると、中継機3はACK102cを返信する。なお、このACK102cは、死活監視パケット101cに対応する端末2のACK(つまり、ACK102b)の情報と、死活監視パケット101gに対応する中継機3自身のACKの情報を含む。つまり、中継機3は、端末2からACKを受信した場合、次に親機1から死活監視パケットを受信した際に、端末2から受信したACKと自身のACKをまとめて送信する。また、中継機3は、死活監視パケット101gを受信後、端末2に対して、死活監視パケット101gに対応する死活監視パケット101hを送信し、端末2からのACK102dを受信するまで待ち受け状態を維持する。このような構成にすることによって、
図3に示す方法よりも、中継機3の待ち受け時間を抑制することができる。
【0072】
端末2は、実施の形態2の場合と同様の処理で、中継機3側内部時刻403と端末2側内部時刻402を同期し、中継機3から死活監視パケットを受信するタイミングと自身が起床するタイミングを合わせこんで、中継機3と死活監視パケットのやり取りをおこなう。
【0073】
親機1、端末2、および中継機3は、管理センタからのコマンド入力がない期間301a及びbでは、これらの操作を繰り返す。管理センタからのコマンド入力がなされる期間302においては、死活監視パケットのやり取りを中断し、待ち受け状態を維持したまま、コマンドに対応したパケットのやり取りをおこなう。
【0074】
以上のことをまとめると、親機1と端末2が中継機3を経由して通信をおこなう場合についても、本開示にかかる通信システムは適用可能であり、親機、端末、および中継機の待ち受け状態を維持する時間を抑制し、その結果として、電力消費を抑制することができる。
【0075】
その他実施の形態.
実施の形態2及び3に示された親機1、端末2、及び中継機3の動作は、これらの装置に搭載された通信監視プログラムによって実行されてもよい。
【0076】
なお、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0077】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する通信部と、
を備える親機。
(付記2)
前記通信部は、前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記死活監視パケットの送信後、前記端末または中継機からの応答パケットを待ち受ける、
付記1に記載の親機。
(付記3)
前記通信部は、前記応答パケットを受信した場合、スリープ状態へ移行する、
付記2に記載の親機。
(付記4)
前記通信部は、前記応答パケットを受信するまで、前記死活監視パケットの再送を繰り返す、
付記2または3に記載の親機。
(付記5)
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信する通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻計測部の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える端末。
(付記6)
前記通信部は、前記所定の周期のタイミングから所定の受信待ち受け時間の間起床し、前記死活監視パケットを待ち受ける、
付記5に記載の端末。
(付記7)
前記時刻を同期させた場合、前記受信待ち受け時間を前記時刻の同期前よりも短く設定する、
付記6に記載の端末。
(付記8)
所定の周期の時刻を計測する時刻計測部と、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信するとともに、死活監視パケットを端末へ送信する通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻計測部の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える中継機。
(付記9)
前記通信部は、前記同期した時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末へ送信する、
付記8に記載の中継機。
(付記10)
前記通信部は、前記死活監視パケットを受信したとき、前記親機へ自身の応答パケットを送信する、
付記8または9に記載の中継機。
(付記11)
前記通信部は、前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記死活監視パケットを前記端末に送信後、前記端末からの応答パケットを待ち受ける、
付記10に記載の中継機。
(付記12)
前記通信部は、前記端末から応答パケットを受信するまで、前記死活監視パケットの再送を繰り返す、
付記11に記載の中継機。
(付記13)
前記通信部は、前記端末から応答パケットを受信した場合、次に前記親機へ自身の応答パケットを送信する際、前記端末から受信した応答パケットをまとめて送信する、
付記11または12に記載の中継機。
(付記14)
親機と端末とを備えた通信システムであって、
前記親機は、
所定の周期の第1の時刻を計測する第1の時刻計測部と、
前記計測された第1の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された第1の時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを前記端末へ送信する第1の通信部と、
を備え、
前記端末は、
前記所定の周期の第2の時刻を計測する第2の時刻計測部と、
前記計測された第2の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信する第2の通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記第2の時刻を同期させる時刻同期部と、
を備える通信システム。
(付記15)
親機と中継機と端末とを備えた通信システムであって、
前記親機は、
所定の周期の第1の時刻を計測する第1の時刻計測部と、
前記計測された第1の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された第1の時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを前記端末へ送信する第1の通信部と、
を備え、
前記中継機は、
前記所定の周期の第2の時刻を計測する第2の時刻計測部と、
前記計測された第2の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信するとともに、死活監視パケットを前記端末へ送信する通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記第2の時刻を同期させる第1の時刻同期部と、
を備え
前記端末は、
前記所定の周期の第3の時刻を計測する第3の時刻計測部と、
前記計測された第3の時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、前記中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信する第3の通信部と、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記第3の時刻を同期させる第2の時刻同期部と、
を備える通信システム。
(付記16)
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する、
親機の制御方法。
(付記17)
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
端末の制御方法。
(付記18)
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信するとともに、死活監視パケットを端末へ送信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
中継機の制御方法。
(付記19)
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングで、前記計測された時刻の時刻情報を含む死活監視パケットを端末または中継機へ送信する、
処理をコンピュータに実行させるための親機の制御プログラム。
(付記20)
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機または中継機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
処理をコンピュータに実行させるための端末の制御プログラム。
(付記21)
所定の周期の時刻を計測し、
前記計測された時刻に基づく前記所定の周期のタイミングでスリープ状態から起床し、親機から時刻情報を含む死活監視パケットを受信するとともに、死活監視パケットを端末へ送信し、
前記受信した死活監視パケットに含まれる時刻情報に前記時刻を同期させる、
処理をコンピュータに実行させるための中継機の制御プログラム。
【符号の説明】
【0078】
1、901 親機
2、902 端末
3、903 中継機
4 管理センタ
5 通信回線
11a~c クロック供給部
12a~c 送受信部
13b、13c 受信タイミングチェック部
14b、14c 記憶部
15b、15c 待ち受け時間設定部
16b、16c パケット通信制御部
101、101a~h、911 親機から端末への死活監視パケット
102、102a~d、912 端末から親機へのACK
201、921 端末が待ち受け状態である期間
202、922 端末がスリープ状態を解除する周期
203、923 中継機が待ち受け状態である期間
204、924 中継機がスリープ状態を解除する周期
301a、301b 管理センタからのコマンド入力がない期間
302 管理センタからのコマンド入力がある期間
401 親機1側内部時刻
402 端末2側内部時刻
403 中継機3側内部時刻
1001、1002、1003 通信システム