(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185721
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】咽喉用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20221208BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221208BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221208BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/81
A61K8/34
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093508
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】笹木 友美子
(72)【発明者】
【氏名】原 真佐夫
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 俊輔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC302
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083BB48
4C083CC41
4C083DD08
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】消毒作用を有し、清涼感があり、刺激感が少なく、経時安定性に優れ、かつ使用後に粉体の飲み込みやすさが良好な咽喉用組成物を提供することである。
【解決手段】塩化セチルピリジニウム、特定構造の共重合体、グリセリン、D-ソルビトール及びl-メントールを特定範囲内で配合することにより、消毒作用を有し、清涼感があり、刺激感が少なく、経時安定性に優れ、かつ使用後に粉体の飲み込みやすさが良好な咽喉用組成物を調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)塩化セチルピリジニウム 0.1~0.5w/v%と、
(2)重量平均分子量10,000~5,000,000であり、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A) 10~90モル%と、アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B1)、4級アンモニウム基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B2)および(メタ)アクリルアミド系単量体に基づく構成単位(B3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(B) 90~10モル%とを含有する共重合体(P) 0.001~0.25w/v%と、
(3)グリセリン 10~30w/v%と、
(4)D-ソルビトール 5~15w/v%と、及び
(5)l-メントール 0.01~0.25w/v%
を含む咽喉用組成物。
【化1】
(R
1は水素原子またはメチル基を示す。)
【化2】
(R
2は水素原子またはメチル基を示し、R
3は炭素数4~18のアルキル基を示す。)
【化3】
(R
4は水素原子またはメチル基を示し、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示し、X
-はハロゲンイオンまたは酸残基を示す。)
【化4】
(R
8は水素原子またはメチル基を示し、R
9およびR
10は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒作用を有し、清涼感があり、刺激感が少なく、経時安定性に優れ、かつ使用後に粉体の飲み込みやすさが良好な咽喉用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
咽喉用組成物は、声がれやのどの不快感を改善するために用いられている。咽喉用組成物には消毒剤、清涼化剤や甘味剤が用いられている(特許文献1-3)。しかし、清涼化剤として用いられる、l-メントールは、清涼感に優れているものの、刺激感を低減できない場合があり、さらに油溶性であるため、水系の咽喉用組成物に配合する場合は結晶や白濁を生ずる場合があった。また、甘味を足す目的でD-ソルビトールやグリセリンなどの甘味剤を多用すると、清涼感が低下しかつ刺激感が高まることで使用感が悪化する場合があった。
【0003】
声がれやのどの不快感を改善するために咽頭用組成物を使用する場合、治療を目的として、粉薬や錠剤等の内服薬を併用する場合がある。しかし、加齢とともに咽頭部の力が弱くなり、粉薬等が飲みこみづらくなる場合がある。粉薬を飲みやすくするために、先行文献4のように、粉薬をオブラートで包んで飲む手法がある。しかし、この手法では、粉薬をオブラートで包む際に、粉薬が飛散することがあった。粉薬が飛散すると所定量の薬剤を摂取することができなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-306768号公報
【特許文献2】特開2010-280610号公報
【特許文献3】特開2018-108963号公報
【特許文献4】特開2005-306960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
咽頭用組成物では、消毒作用を有し、油溶性化合物を配合した場合の経時安定性、清涼感の向上、刺激感の低減、及び使用後に粉体の飲み込みやすいことが求められている。
本発明の課題は、消毒作用を有し、清涼感があり、刺激感が少なく、経時安定性に優れ、かつ使用後に粉体の飲み込みやすさが良好な咽喉用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、塩化セチルピリジニウム、特定構造の共重合体(P)、グリセリン、D-ソルビトール及びl-メントールを特定範囲内で配合することにより、消毒作用を有し、清涼感があり、刺激感が少なく、経時安定性に優れ、かつ使用後に粉体の飲み込みやすさが良好な咽喉用組成物を調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の咽喉用組成物は以下の通りである。
【0007】
1.(1)塩化セチルピリジニウム 0.1~0.5w/v%と、
(2)重量平均分子量10,000~5,000,000であり、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A) 10~90モル%と、アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B1)、4級アンモニウム基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B2)および(メタ)アクリルアミド系単量体に基づく構成単位(B3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(B) 90~10モル%とを含有する共重合体(P) 0.001~0.25w/v%と、
(3)グリセリン 10~30w/v%と、
(4)D-ソルビトール 5~15w/v%と、及び
(5)l-メントール 0.01~0.25w/v%
を含む咽喉用組成物。
【化1】
R
1は水素原子またはメチル基を示す。
【化2】
R
2は水素原子またはメチル基を示し、R
3は炭素数4~18のアルキル基を示す。
【化3】
R
4は水素原子またはメチル基を示し、R
5、R
6およびR
7は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示し、X
-はハロゲンイオンまたは酸残基を示す。
【化4】
R
8は水素原子またはメチル基を示し、R
9およびR
10は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示す。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、消毒作用を有し、清涼感があり、刺激感が少なく、経時安定性に優れ、かつ使用後に粉体の飲み込みやすさが良好な咽喉用組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の本発明を詳細に説明する。
本発明の咽喉用組成物は、以下を含む。
(1)塩化セチルピリジニウム 0.1~0.5w/v%
(2)重量平均分子量10,000~5,000,000であり、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A) 10~90モル%と、アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B1)、4級アンモニウム基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B2)および(メタ)アクリルアミド系単量体に基づく構成単位(B3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位(B) 90~10モル%とを含有する共重合体(P) 0.001~0.25w/v%
(3)グリセリン 10~30w/v%
(4)D-ソルビトール 5~15w/v%
(5)l-メントール 0.01~0.25w/v%
なお、本発明において「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタアクリル(メタクリル)を意味し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルまたはメタアクリロイル(メタクリロイル)を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレート(メタクリレート)を意味する。
【0010】
<塩化セチルピリジニウム>
本発明の咽喉用組成物に含まれる塩化セチルピリジニウムは、該組成物中に0.1~0.5w/v%、好ましくは0.2~0.4w/v%、さらに好ましくは0.25~0.35w/v%含有する。
【0011】
<2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)>
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに基づく構成単位(A)は、より具体的には下記の式(A)で表され、式(A´)で表される単量体の重合によって得られる。
【0012】
【0013】
【0014】
式(A)および式(A')において、R1は水素原子もしくはメチル基のいずれでも良いが、好ましくはメチル基である。
本発明に用いる共重合体(P)は、分子鎖中に構成単位(A)を有することによって、刺激性成分を受容する部位に付着するのを阻害させる効果を発現することができる。本発明に用いる共重合体(P)中の構成単位(A)の含有量は、10~90モル%であり、好ましくは20~90モル%であり、より好ましくは30~90モル%である。含有量が低すぎると刺激性抑制効果が望めなくなる恐れがあり、高すぎるとそれ自身が超親水性のために水中に流れ出てしまうために効果が低くなる。
【0015】
<アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B1)>
アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B1)は、より具体的には下記の式(B1)で表され、式(B1´)で表される単量体の重合によって得られる。
本発明に用いる共重合体(P)は、分子鎖中に構成単位(B1)を有することによって、共重合体(P)の咽喉内組織への密着性をより高めることが出来る。
【0016】
【0017】
【0018】
上記式(B1)および式(B1´)において、R2は水素原子もしくはメチル基のいずれでも良いが、好ましくはメチル基である。R3は炭素数4~18の直鎖状または分岐状のアルキル基のいずれでも良い。
【0019】
炭素数4~18の直鎖状アルキル基としては、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基が挙げられる。炭素数4~18の分岐状アルキル基としては、t-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソへプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基などが挙げられる。
R3は、好ましくは、n-ブチル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基等である。
【0020】
アルキル基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B1)の好適な例として、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがより好ましく挙げられる。
【0021】
<4級アンモニウム基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B2)>
4級アンモニウム基含有(メタ)アクリル系単量体に基づく構成単位(B2)は、より具体的には下記の式(B2)で表され、式(B2´)で表される単量体の重合によって得られる。
本発明に用いる共重合体(P)は、分子鎖中に構成単位(B2)を有することによって、共重合体(P)の咽喉内組織への密着性をより高めることができる。
【0022】
【0023】
【0024】
上記式(B2)および式(B2')において、R4は水素原子もしくはメチル基のいずれでも良いが、好ましくはメチル基である。
【0025】
R5、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示し、アルキル基は直鎖状、分枝状および環状のいずれであってもよい。
具体的には、R5、R6およびR7としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
R5、R6およびR7としては、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0026】
X-はハロゲンイオンまたは酸残基を示し、例えば、ハロゲンイオンとしては、Cl-、Br-、I-などが挙げられ、酸残基としては硫酸イオン、メチル硫酸イオンなどが挙げられる。これらの中では、Cl-が好ましい。
【0027】
4級アンモニウム基含有(メタ)アクリル系単量体の好適な例として、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0028】
<(メタ)アクリルアミド系単量体に基づく構成単位(B3)>
(メタ)アクリルアミド系単量体に基づく構成単位(B3)は、より具体的には下記の式(B3)で表され、式(B3')で表される単量体の重合によって得られる。
本発明に用いる共重合体(P)は、分子鎖中に構成単位(B3)を有することによって、共重合体(P)を高分子量化し、共重合体(P)の咽喉内組織への密着性をより高めることができる。
【0029】
【0030】
【0031】
上記式(B3)および式(B3')において、R8は水素原子もしくはメチル基のいずれでも良いが、好ましくは水素原子である。
R9およびR10は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、アルキル基は直鎖状、分岐状および環状のいずれであっても良い。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。R9およびR10として好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基もしくはイソプロピル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0032】
(メタ)アクリルアミド系単量体の好適な例としては、N,N-ジメチルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0033】
<共重合体(P)>
本発明に用いる共重合体(P)は、分子鎖中に(B1)、(B2)および(B3)からなる群から選択される少なくとも1つの構成単位を有する。本発明に用いる共重合体(P)は、分子鎖中に(B1)、(B2)および(B3)からなる群から選択されるいずれか1つの構成単位のみを有していてもよく、(B1)、(B2)および(B3)からなる群から選択される2つの構成単位{例えば(B1)および(B2)、(B1)および(B3)、(B2)および(B3)}を有していてもよく、(B1)、(B2)、および(B3)の全ての構成単位を有していてもよい。
【0034】
本発明に用いる共重合体(P)は、分子鎖中に構成単位(B1)~(B3)からなる群から選択される少なくとも1つの構成単位を有することによって、共重合体(P)の咽喉内組織での密着性を高めることができる。
【0035】
本発明に用いる共重合体(P)中の構成単位(B1)~(B3)の含有量{(B1)~(B3)のうち1つの構成単位のみ含有する場合は当該構成単位の含有量、(B1)~(B3)のうち2つまたは3つの構成単位を含有する場合はそれらの構成単位の含有量の合計}は、10~90モル%であり、好ましくは10~85モル%であり、より好ましくは10~80モル%である。含有量が低すぎると共重合体(P)の親水性が高いために水中での使用時に流れてしまい、高すぎると刺激性抑制効果が望めなくなる恐れがある。
【0036】
本発明に用いる共重合体(P)の分子鎖中に含まれる、構成単位(A)と構成単位(B1)~(B3)の組み合わせの好適な例は、以下の通りである。便宜上、単量体の名称で組み合わせを記載する。
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびブチルメタクリレート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびステアリルメタクリレート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよび2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド;並びに
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、N,N-ジメチルアクリルアミド、およびステアリルメタクリレート。
【0037】
本発明に用いる共重合体(P)は、構成単位(A)および構成単位(B1)~(B3)以外の構成単位を含んでいてもよいが、好ましくは、構成単位(A)と、構成単位(B1)、(B2)、および(B3)からなる群から選択される1、2または3の構成単位からなる。
【0038】
本発明に用いられる共重合体(P)は、特開平11-035605の方法に準じて重合を行って得たポリマーP-(1)、特開2004-196868の方法に準じて重合を行って得たポリマーP-(2)、特開2004-196868の方法に準じて重合を行って得たポリマーP-(3)、特開2004-189678の方法に準じて重合を行って得たポリマーP-(4)、特開2012-0885242の方法に準じて重合を行って得たポリマーP-(5)等を用いることができる。
【0039】
本発明に用いる共重合体(P)の重量平均分子量は、10,000~5,000,000であり、好ましくは50,000~3,000,000である。重量平均分子量が10,000未満であると咽喉内組織への吸着性が低下し、5,000,000より大きいと粘度が急激に上昇し、咽喉用組成物を製することが困難となる恐れがある。
なお、本発明の共重合体の重量平均分子量は、例えば、EcoSECシステム(東ソー株式会社製)を用いたGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)測定により、ポリエチレングリコール換算で求められる。
【0040】
本発明の咽喉用組成物に含有する前記共重合体(P)の配合量は、共重合体(P)の組成物全体に対して、0.001~0.25w/v%である。配合量が0.001w/v%未満であると、刺激性抑制効果が得られない恐れがあり、配合量が0.25w/v%を超えると、添加量に見合った効果が得られず、経済的に不利である。
また、より好ましい本発明の咽喉用組成物に含有する前記共重合体(P)の配合量は、共重合体(P)の組成物全体に対して、0.01w/v%~0.05w/v%である。
【0041】
<グリセリン>
本発明の咽喉用組成物に含まれるグリセリンは、該組成物中に10~30w/v%、好ましくは15~25w/v%含まれる。
【0042】
<D-ソルビトール>
本発明の咽喉用組成物に含まれるD-ソルビトールは、該組成物中に5~15w/v%、好ましくは5~10w/v%含まれる。
【0043】
<l-メントール>
本発明の咽喉用組成物に含まれるl-メントールは、該組成物中に0.01~0.25w/v%、好ましくは0.05~0.2w/v%、さらに好ましくは0.1~0.15w/v%含まれる。
l-メントールは、咽用組成物に頻用される油溶性香料であり、当該量配合されることで、本発明の咽喉用組成物の使用時に清涼感を与え、さらに塩化セチルピリジニウムの苦みを改善・低減できる。
【0044】
l-メントールを含有する香料であるペパーミント油やハッカ油等をl-メントールに替えて又は一緒に本発明の咽喉用組成物に配合してもよい。
例えば、ペパーミント油やハッカ油をl-メントール含有量換算値で0.01~0.25w/v%になるように本発明の咽喉用組成物に含有しても良い。
【0045】
<薬学的に許容されるまたは食品衛生学的に許容される公知成分>
本発明の咽喉用組成物は、塩化セチルピリジニウム、共重合体(P)、グリセリン、D-ソルビトール及びl-メントール以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、薬学的に許容される公知成分、または食品衛生学的に許容される公知成分を含んでもよい。
特に、口腔用及び/又は咽喉用組成物に配合し得る公知成分を好ましく含有し得る。このような公知成分としては、例えば、香料、甘味剤、湿潤剤、防腐剤、保存剤、着色剤、pH調整剤等が挙げられるが、特に限定されない。
以下、当該公知成分について記載するが、当該記載は例示であり、これに限定されるものではない。
【0046】
香料としては、サリチル酸メチル、バニリン、ベンジルサクシネート、アネトール、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、エチルリナロール、ナツメグ、シンナミックアルデヒド、ベンズアルデヒド、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、シソ油、冬緑油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、フェンネル油、珪藻油、バジル油、ハッカ油、ウイキョウ油などが例示できる。これらの香料は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
甘味剤としては、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、スクラロース、アドバンテーム、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが例示できる。これらの甘味剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
湿潤剤としては、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、トルナーレ、トレハロース、トレハロース硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸などが挙げられる。これらの湿潤剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
防腐剤又は保存剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が例示できる。これらの防腐剤又は保存剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
着色剤としては、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等が例示できる。これらの着色剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等が例示できる。
これらは、本発明の咽喉用組成物のpHが、好ましくは4~8、より好ましくは5~7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。加えて、pH緩衝能が強く生じる組合せがより好ましい。例えば、酸化合物又はアルカリ化合物とそれらの塩を組み合わせることが好ましい。pH調整剤の配合量は、好ましくは0.01~2重量%である。
【0052】
そのほかの成分として、動植油脂、粉体、紫外線吸収剤、動植物抽出物なども挙げられる。
【0053】
<有用成分・薬効成分>
本発明の咽喉用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、有用成分や薬効成分を配合してもよい。例えば、抗炎症剤としてグリチルリチン酸二カリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸等;血行促進剤として酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素;出血改善剤としてアスコルビン酸など;水溶性溶媒で抽出された植物抽出物、クロロフィル、塩化ナトリウムなどが挙げられる。これらの薬効成分は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
<基材>
本発明の咽喉用組成物の基剤として、水、ブドウ水、ヘチマ水、ボダイジュ水、ヤグルマギク水、ユーカリ水、ヨモギ水、リンゴ水、ローズマリー水などの植物関連の水、エタノール、ブタノール、プロピレングリコールなどのアルコール類等を用いることができる。
スプレーに充填した咽喉用組成物として用いる観点からは、水、アルコール類を用いることが好ましい。アルコール類としては、プロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エタノールが好ましい。なお、これらの基剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて配合できる。
【0055】
<咽喉用組成物の製造方法>
本発明の咽喉用組成物は、常法に従って製造することができる。例えば、原料を適宜混合して製造することができる。また、本発明の咽喉用組成物は、例えば医薬品や医薬部外品として用いることができる。また、本発明の咽喉用組成物は、消毒用として好ましく用いることができる。
【0056】
なお、本発明の咽喉用組成物は、上述した各種成分(特に配合成分及び配合割合)については、適宜組み合わせてよい。言い換えれば、本発明の咽喉用組成物は、上述した各種成分の任意の組み合わせで示される組成物を包含する。
【0057】
本発明の咽喉用組成物は、ポンプ容器もしくはスプレー容器に収容することができる。該組成物は、使用時に口腔及び/又は咽喉内へ塗布若しくは噴霧して適用されることが好ましい。ポンプ容器もしくはスプレー容器としては、薬剤を吐出できる構造を有しているものであれば特に制限されない。具体的には、本発明の組成物を収容するプラスチックボトル等の容器本体と、ポンプディスペンサー等の吐出機構を有するポンプ部とを備え、容器本体の上部開口部に密着して装着されたポンプ部の押圧部を押圧することで、容器本体に収容された内容物が、ポンプ部の内容物吐出機構によって内容物排出口(ノズル)から吐出若しくは噴霧されるものが使用できる。咽喉内へ塗布若しくは噴霧する回数は、1回でも良いが、できるだけ広範囲に塗布等するためには複数回に分けて塗布・噴霧等するような設計とすることが好ましい。具体的には、塗布・噴霧回収は、2~5回程度が好ましい。
【実施例0058】
以下、実施例及び比較例により、本発明の咽喉用組成物について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明の咽喉用組成物の各種評価、試験は以下の通りに実施した。
【0059】
(共重合体(P)の合成)
共重合体(P)-1:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレート共重合体〔共重合組成比(モル比)80/20、重量平均分子量:600,000〕であり、特開平11-035605の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。
共重合体(P)-2:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレート共重合体〔共重合組成比(モル比)30/70、重量平均分子量:142,000〕であり、特開2004-196868の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。
共重合体(P)-3:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ステアリルメタクリレート共重合体〔共重合組成(モル比)33/67、重量平均分子量:164,000〕であり、特開2004-196868の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。
共重合体(P)-4:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体〔共重合組成(モル比)70/30、重量平均分子量:450,000〕であり、特開2004-189678の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。
共重合体(P)-5:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・N,N-ジメチルアクリルアミド・ステアリルメタクリレート共重合体〔共重合組成(モル比)50/45/5、重量平均分子量:1,000,000〕であり、特開2012-088524の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。
【0060】
(比較例で使用する重合体)
比較例で使用する重合体(Q)-1:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体〔重量平均分子量:200,000〕であり、特開平8-333421の実施例記載の方法によって重合を行って得られた。
比較例で使用する重合体(Q)-2:ブチルメタクリレートの重合体〔重量平均分子量:180,000〕であり、富士フィルム和光純薬(株)(製品名:ポリ(メタクリル酸n-ブチル))より購入して用いた。
【0061】
(GPC測定)
上記の共重合体(P)及び重合体(Q)のGPC測定は以下の条件で実施した。
GPCシステム:EcoSECシステム(東ソー株式会社製)
カラム:Shodex OHpak SB-802.5HQ(昭和電工株式会社製)、及びSB-806HQ(昭和電工株式会社製)を直列に接続
展開溶媒:20mMりん酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)
検出器:示差屈折率検出器
分子量標準:EasiVial PEG/PEO(Agilent Technologies社製)
流速:0.5mL/分
カラム温度:40℃
サンプル:得られた各MPCポリマーを終濃度0.1重量%となるよう展開溶媒で希釈
注入量:100μL
【0062】
[実施例1~実施例15及び比較例1~比較例13]
表1および表2に示す組成の咽喉用組成物を常法に従って調製した。詳細は、以下の通りである。
【0063】
<実施例1>
グリセリン 20gに、プロピレングリコール 1.0g、l-メントール 0.1gを加えて、l-メントールが溶解するまで混合した。ここに共重合体(P)-1 0.0125g、塩化セチルピリジニウム 0.3g、D-ソルビトール 10g、クエン酸ナトリウム水和物 0.1g、クエン酸 0.03gを加え、混合して均一に溶解させた。溶解後、精製水を加えて100mLとして実施例1の咽喉用組成物とした。
実施例1の咽喉用組成物の組成を表1に示す。また、性状評価結果、清涼感・刺激感の評価結果、使用後の飲み込みやすさの評価結果及びウイルス不活化試験結果を表3に示す。
【0064】
<実施例2~実施例15及び比較例1~比較例13>
配合成分の組成を表1および表2に示すものに変更した以外は、実施例1に記載の方法と同様に、実施例2~実施例15及び比較例1~比較例13の咽喉用組成物を調製した。
各実施例及び各比較例の組成を表1又は表2に示し、性状評価結果、清涼感・刺激感の評価結果、使用後の飲み込みやすさの評価結果及びウイルス不活化試験結果を表3又は表4に示す。
【0065】
各実施例および各比較例の調製に際し、以下の原料を用いた。
塩化セチルピリジニウム:局外規 セチルピリジニウム塩化物水和物、富士フイルム和光純薬株式会社製
l-メントール:日本薬局方 l-メントール「コザカイ・M」、小堺製薬株式会社製
グリセリン:日局 濃グリセリン-S、日油株式会社製
D-ソルビトール:日本薬局方 D-ソルビトール、純正化学株式会社製
プロピレングリコール:日本薬局方 プロピレングリコール、丸石製薬株式会社製
1,3-ブチレングリコール:1,3-ブチレングリコール、イワキ株式会社製
エタノール:日本薬局方 エタノール「製造専用」、 富士フイルム和光純薬株式会社製
クエン酸ナトリウム水和物:日本薬局方 クエン酸ナトリウム水和物、小堺製薬株式会社製
クエン酸:日本薬局方クエン酸「コザカイ・M」、小堺製薬株式会社製
【0066】
<性状評価>
調製した液剤(各組成物)5mLをガラス製スクリュー管瓶(容量6mL)に充填し、調製直後および遮光条件下低温(4℃)で7日間静置後の各液剤の外観を観察し、以下に示す判定基準に従って、析出物生成及び白濁(沈殿物生成の初期段階)生成の程度を評価した。評価結果を表3及び表4に示す。
【0067】
〔析出物の有無の評価〕
〇:析出物は全く認められない
△:僅かな析出物の生成が認められる
×:析出物が多く生成している
なお、析出物は結晶状態のものを対象とした。
〔白濁の生成の程度の判定基準〕
〇:液剤全体にわたって白濁は全く認められず、澄明な状態が維持できている
△:僅かに白濁が生成し、澄明な状態がやや失われている
×:液剤全体に白濁が生成しており、澄明な状態が失われている
なお、白濁は容器の底に沈殿した状態ではなく、液中に浮遊している状態のものを対象とした。
【0068】
<清涼感及び刺激感の評価>
24歳~58歳の男女パネラー20人に対して、調製した各組成物を中咽頭部に2プッシュして適用し、使用直後の咽喉に感じる刺激性、及び清涼感(さっぱり感)を4段階で評価した。各評価項目の評価基準(数値)及び判定基準を次に示す。表3~4に、20人のパネラーの評価数値から判定した結果を示す。
【0069】
〔清涼感の評価基準〕
0:清涼感を感じない
1:ほとんど清涼感がない
2:やや清涼感がある
3:明らかに清涼感がある
4:非常に清涼感がある
〔清涼感の判定基準〕
◎:3点以上
○:2点以上3点未満
△:1点以上2点未満
×:1点以下
【0070】
〔刺激感の評価基準〕
0:刺激を感じない
1:ほとんど刺激を感じない
2:わずかに刺激を感じる
3:明らかに刺激を感じる
4:強い刺激を感じる
〔刺激感の判定基準〕
◎:1点未満
○:1点以上2点未満
△:2点以上3点未満
×:3点以上
【0071】
<使用後の飲み込みやすさの評価>
24歳~58歳の男女パネラー20人に対して、調製した各組成物を中咽頭部に2プッシュして適用した。使用後、粉薬の代用として炭酸水素ナトリウム1gを口に含み、水10mlで飲みこんだ時の飲みこみやすさを4段階で評価した。各評価項目の評価基準(数値)を次に示す。表3~4に、20人のパネラーの評価数の平均値を示す。
【0072】
〔飲み込みやすさの評価基準〕
0:非常に飲み込みやすい
1:飲み込みやすい
2:やや飲み込みにくい
3:飲み込みにくい
4:非常に飲み込みにくい
【0073】
<ウイルス不活化の評価>
本発明の咽喉用組成物に含有する塩化セチルピリジニウムの消毒作用は、抗ウイルスの側面から構成されると定義して、ウイルス不活化試験を行い、その有用性を評価した。
【0074】
〔ウイルス不活化試験〕
以下の手順に従い、ウイルス不活化試験を行った。
試験管に0.9mLの調製した各組成物と、108TCID50/mLとなるように調整したインフルエンザウイルス液(InfluenzaA virus (H3N2) ATCC VR-1679) 0.1mLを加えてウイルス試験液(ウイルス試験液1)を調製し、ミキサーで混合し、25℃で30秒作用させた。作用後のウイルス試験液を0.1mL採取し、9.9mLの作用停止液(2%チオ硫酸ナトリウム、0.2%レシチン及び1.5%ポリソルベート80を含む細胞増殖液)に添加して100倍希釈後、ウイルスに対する反応を停止させた。これをウイルス感染価測定用試料原液として感染価の測定に用いた。ウイルス感染価測定用試料原液をPBSで10倍段階希釈した後、感染価測定用試料原液および希釈ウイルス液 50μLとウシ胎仔血清(FBS)を5%添加したDulbecco‘smodified Eagle’s Medium(DMEM)に懸濁した細胞を96ウェルプレートに植え込んだ。その後、CO2インキュベーターにおいて37℃、5%CO2の条件で4日間培養した。培養後、細胞変性効果を観察し、ウイルス感染価(TCID50/mL)を求めた。対照の初期感染価と試験品作用後の感染価から、ウイルス感染価Log減少値を算出し、以下の基準でウイルス不活化効果を評価した。
【0075】
〔感染価のLog減少値の判定基準〕
A:4.0以上の感染力価の減少(著効)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
※1:メントール不溶のため実施しなかった
※2:重合体(Q)-2不溶のため実施しなかった
【0081】
<性状評価結果>
実施例1~13の咽喉用組成物は、調製直後及び7日後の析出物生成の結果及び白濁生成の結果がすべて〇であった。すなわち、実施例1~13の咽喉用組成物は、析出物生成及び白濁生成がなかったので、経時安定性に優れていることを確認した。
【0082】
<清涼感、刺激感及び飲み込みやすさの評価結果>
実施例1-15の咽喉用組成物は優れた清涼感を有することを確認した。なお、共重合体(P)を含有しない比較例2の咽喉用組成物、グリセリンを含有しない比較例3の咽喉用組成物並びにl-メントールを含有しない比較例5、6の咽喉用組成物は清涼感を有さない(清涼感を向上させない)ことを確認した。
実施例1-15の咽喉用組成物は刺激感が少ないこと(刺激感が低減されていること)を確認した。なお、共重合体(P)を含有しない比較例2の咽喉用組成物、D-ソルビトールを含有しない比較例4の咽喉用組成物、塩化セチルピリジニウム含有量が多い比較例9の咽喉用組成物、共重合体(P)の含有量が低い比較例10の咽喉用組成物、グリセリン含有量が多い比較例11の咽喉用組成物、D-ソルビトール含有量が多い比較例12の咽喉用組成物並びにl-メントールの含有量が多い比較例13の咽喉用組成物は刺激感が低減されていないことを確認した。
実施例1-15の咽喉用組成物は良好な飲み込みやすさを確認した。なお、共重合体(P)を含有しない比較例2の咽喉用組成物、塩化セチルピリジニウム含有量が多い比較例9の咽喉用組成物、共重合体(P)の含有量が低い比較例10の咽喉用組成物、グリセリン含有量が多い比較例11の咽喉用組成物、D-ソルビトール含有量が多い比較例12の咽喉用組成物並びにl-メントールの含有量が多い比較例13の咽喉用組成物は飲みにくいことを確認した。
実施例1~13の咽喉用組成物は、ウイルス不活化能力が高いことを確認した。
加えて、実施例1及び実施例6~9の結果比較により、共重合体(P)-1(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレート共重合体)が他の共重合体よりも優れていることを確認した。
【0083】
<総括>
以上により、実施例1~実施例15の咽喉用組成物は、優れた性状安定性(経時安定性)とウイルス不活化能を有し、使用後の飲み込みやすさが良好である。さらに、清涼感及び刺激感の評価についても、良い使用感(良い結果)であった。これにより、本発明の咽喉用組成物は、塩化セチルピリジニウムの消毒作用を有し、経時安定性に優れ、薬効感に繋がる清涼感があり、刺激感が少なく、及び/又は使用後の飲み込みやすさが良好であることを確認した。
一方で、比較例1~比較例13の咽喉用組成物は、性状安定性、清涼感、刺激感、飲み込みやすさ及びウイルス不活化試験のいずれか1以上で評価基準を満たさなかった。
塩化セチルピリジニウムの消毒作用を有し、経時安定性に優れ、薬効感に繋がる清涼感があり、刺激感が少なく、及び/又は使用後の飲み込みやすさが良好な咽喉用組成物を提供できる。