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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185733
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】プラズマ計測装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/00 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
H05H1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093529
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 哲靖
(72)【発明者】
【氏名】夏目 祥揮
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB21
2G084BB23
2G084BB27
2G084CC33
2G084FF31
2G084HH02
2G084HH16
2G084HH19
2G084HH20
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH43
2G084HH44
2G084HH56
(57)【要約】      (修正有)
【課題】正確なプラズマ計測が可能なプラズマ計測装置を提供すること。
【解決手段】プラズマ計測装置1は、複数のプローブ11,12,13と、切替回路30と、加熱回路40と、計測回路50と、を備える。複数のプローブの各々は、両端に比して中間点が突出するように屈曲しているフィラメントにより構成されている。切替回路は、複数のプローブが加熱回路に接続されている接続状態と、複数のプローブが加熱回路から切断されている切断状態と、の間で切り替え可能な回路である。加熱回路は、接続状態において、フィラメントの両端間に所定電流を流すことで複数のプローブを加熱することが可能な回路である。計測回路は、切断状態において、複数のプローブを用いて電流電圧特性を測定することが可能な回路である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプローブと、切替回路と、加熱回路と、計測回路と、を備えるプラズマ計測装置であって、
前記複数のプローブの各々は、両端に比して中間点が突出するように屈曲しているフィラメントにより構成されており、
前記切替回路は、前記複数のプローブが前記加熱回路に接続されている接続状態と、前記複数のプローブが前記加熱回路から切断されている切断状態と、の間で切り替え可能な回路であり、
前記加熱回路は、前記接続状態において、前記フィラメントの両端間に所定電流を流すことで前記複数のプローブを加熱することが可能な回路であり、
前記計測回路は、前記切断状態において、前記複数のプローブを用いて電流電圧特性を測定することが可能な回路である、
プラズマ計測装置。
【請求項2】
前記切替回路は、前記接続状態と前記切断状態とを交互に切り替える回路である、請求項1に記載のプラズマ計測装置。
【請求項3】
前記接続状態の期間の方が前記切断状態の期間よりも長い、請求項2に記載のプラズマ計測装置。
【請求項4】
前記複数のプローブが固定されている固定部をさらに備えており、
前記固定部は、前記複数のプローブの各々に対応して一対の孔部を備えており、
前記一対の孔部に前記フィラメントの両端が挿入されている、請求項1~3の何れか1項に記載のプラズマ計測装置。
【請求項5】
前記一対の孔部の内壁には第1の材料が配置されており、
前記フィラメントは第2の材料で構成されており、
前記第1の材料と前記第2の材料の硬度が異なっている、
請求項4に記載のプラズマ計測装置。
【請求項6】
前記第1の材料は金属であり、前記第2の材料は炭素である、請求項5に記載のプラズマ計測装置。
【請求項7】
前記第1の材料は炭素であり、前記第2の材料は金属である、請求項5に記載のプラズマ計測装置。
【請求項8】
前記複数のプローブが固定されている一対の柱状部材と、
前記柱状部材の外周に巻き付けられている帯状部材と、
をさらに備えており、
前記フィラメントの両端は、前記帯状部材によって前記一対の柱状部材に固定されている、請求項1~3の何れか1項に記載のプラズマ計測装置。
【請求項9】
前記複数のプローブが固定されている一対の柱状部材と、
一端が前記一対の柱状部材の一方に巻き付けられており、他端が前記一対の柱状部材の他方に巻き付けられている、導電性の帯状部材と、
をさらに備えており、
前記一対の柱状部材の間を接続している前記帯状部材によって、前記フィラメントが構成されている、請求項1~3の何れか1項に記載のプラズマ計測装置。
【請求項10】
前記加熱回路による加熱温度は、前記複数のプローブから熱電子が放出されない温度である、請求項1~9の何れか1項に記載のプラズマ計測装置。
【請求項11】
前記加熱回路は定電流回路である、請求項1~10の何れか1項に記載のプラズマ計測装置。
【請求項12】
前記複数のプローブは3つであり、
前記計測回路は、トリプルプローブ法により電流電圧特性を測定する回路である、請求項1~11の何れか1項に記載のプラズマ計測装置。
【請求項13】
前記複数のプローブは2つであり、
前記計測回路は、ダブルプローブ法により電流電圧特性を測定する回路である、請求項1~11の何れか1項に記載のプラズマ計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、プラズマ計測装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
プローブ診断法を用いたプラズマ計測では、反応性プラズマにプローブを挿入すると、プローブの表面に絶縁膜等の汚染膜が生成されてしまう。特許文献1の技術では、複数本のプローブのそれぞれで、電圧電流特性の計測と物理スパッタリングによる汚染膜除去とをローテーションしている。これにより、長時間連続でのプラズマ計測を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-284400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汚染膜除去のために物理スパッタリング用を用いる場合、スパッタリングのために印加する負バイアスが、計測プローブ近傍のプラズマ粒子に影響を与えてしまう。正確なプラズマ計測が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、プラズマ計測装置を開示する。プラズマ計測装置は、複数のプローブと、切替回路と、加熱回路と、計測回路と、を備える。複数のプローブの各々は、両端に比して中間点が突出するように屈曲しているフィラメントにより構成されている。切替回路は、複数のプローブが加熱回路に接続されている接続状態と、複数のプローブが加熱回路から切断されている切断状態と、の間で切り替え可能な回路である。加熱回路は、接続状態において、フィラメントの両端間に所定電流を流すことで複数のプローブを加熱することが可能な回路である。計測回路は、切断状態において、複数のプローブを用いて電流電圧特性を測定することが可能な回路である。
【0006】
本明細書のプラズマ計測装置では、切替回路によって、複数のプローブを加熱回路に接続することができる。加熱回路によって、複数のプローブを構成しているフィラメントに電流を流すことでジュール加熱することができる。これにより、プローブ近傍のプラズマ粒子に影響を与えることなく、プローブ表面の汚染膜を昇華除去することができる。また電流電圧特性の測定時には、切替回路によって、複数のプローブを加熱回路から切断することができる。加熱回路によってフィラメントの両端に電位差が発生するが、この電位差の影響を測定時において排除できるため、計測回路による測定を正確に行うことができる。汚染膜の影響を抑制しながら、プラズマ計測することが可能となる。
【0007】
切替回路は、接続状態と切断状態とを交互に切り替える回路であってもよい。
【0008】
接続状態の期間の方が切断状態の期間よりも長くてもよい。
【0009】
複数のプローブが固定されている固定部をさらに備えていてもよい。固定部は、複数のプローブの各々に対応して一対の孔部を備えていてもよい。一対の孔部にフィラメントの両端が挿入されていてもよい。
【0010】
一対の孔部の内壁には第1の材料が配置されていてもよい。フィラメントは第2の材料で構成されていてもよい。第1の材料と第2の材料の硬度が異なっていてもよい。
【0011】
第1の材料は金属であり、第2の材料は炭素であってもよい。
【0012】
第1の材料は炭素であり、第2の材料は金属であってもよい。
【0013】
複数のプローブが固定されている一対の柱状部材を備えていてもよい。柱状部材の外周に巻き付けられている帯状部材を備えていてもよい。フィラメントの両端は、帯状部材によって一対の柱状部材に固定されていてもよい。
【0014】
複数のプローブが固定されている一対の柱状部材を備えていてもよい。一端が一対の柱状部材の一方に巻き付けられており、他端が一対の柱状部材の他方に巻き付けられている、導電性の帯状部材を備えていてもよい。一対の柱状部材の間を接続している帯状部材によって、フィラメントが構成されていてもよい。
【0015】
加熱回路による加熱温度は、複数のプローブから熱電子が放出されない温度であってもよい。
【0016】
加熱回路は定電流回路であってもよい。
【0017】
複数のプローブは3つであってもよい。計測回路は、トリプルプローブ法により電流電圧特性を測定する回路であってもよい。
【0018】
複数のプローブは2つであってもよい。計測回路は、ダブルプローブ法により電流電圧特性を測定する回路であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】プラズマ計測装置1の概略回路図である。
図2】プローブ部10の先端近傍の概略斜視図である。
図3】プラズマ計測時における動作を示すタイミングチャートである。
図4】実施例2に係る固定部121aおよび121bの断面図である。
図5】実施例3に係る柱状部材221aおよび221bの斜視図である。
図6】実施例3の変形例に係る帯状部材261の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0020】
(プラズマ計測装置1の構成)
図1に、プラズマ計測装置1の概略回路図を示す。プラズマ計測装置1は、トリプルプローブ法による測定装置である。プラズマ計測装置1は、プローブ部10、切替回路30、加熱回路40、計測回路50、制御部60、を備える。
【0021】
図2に、プローブ部10の先端近傍の概略斜視図を示す。プローブ部10は、3つのプローブ11~13、絶縁管20、固定部21~23を備えている。絶縁管20は、例えば石英で構成されている。絶縁管20の先端には、6つの貫通孔20hが配置されている。なお、プローブ11~13は全て同一構造を有しているため、プローブ11の構造を説明することで、プローブ12および13の説明を省略する。また図2では、プローブ11のみ、隠れている部分を点線で示している。
【0022】
一対の貫通孔20hの内部には、固定部21aおよび21bが配置されている。固定部21aおよび21bは、導体で形成された電極である。例えば銅などの金属であってよい。固定部21aおよび21bの先端には、孔部21ahおよび21bhが形成されている。孔部21ahおよび21bhの各々には、プローブ11の端部11aおよび11bが挿入されている。これによりプローブ11は、端部11aおよび11bに比して中間点が突出するように屈曲している。プローブ11は、炭素フィラメントにより構成されている。プローブ11の断面積は、加熱回路40によって効率的にジュール加熱できる程度に大きな抵抗を有するように定めればよい。
【0023】
孔部21ahおよび21bhの内径は、端部11aおよび11bの外径と同一またはそれ以下であることが好ましい。また固定部21aおよび21bの材料は、プローブ11の材料よりも硬度が高い材料が好ましい。これにより、端部11aおよび11bの表面を削りながら孔部21ahおよび21bhに挿入することができるため、隙間の無い嵌め合いが実現できる。端部11aおよび11bを固定部21aおよび21bに強固に固定することができる。
【0024】
プローブ11~13は、全て同一の曲率で屈曲しており、同一形状を有している。またプローブ11~13は、絶縁管20の中心軸CAに対して回転対称に配置されている。
【0025】
切替回路30(図1)は、スイッチ31~36を備える。スイッチ31~36は、制御部60によって導通/非導通が制御される。制御部60は、例えばPCであってよい。スイッチ31~36が全て導通すると、プローブ11~13が加熱回路40に直列接続されている接続状態となる。スイッチ31~36が全て非導通となると、プローブ11~13が加熱回路40から切り離されている切断状態となる。切断状態では、プローブ11~13は全てフローティング状態となる。
【0026】
加熱回路40は、定電流源41を備えている。接続状態では、プローブ11~13が定電流源41に直列接続される。これにより、プローブ11~13の両端間に所定電流を流すことで、プローブ11~13をジュール加熱することができる。また定電流源41を用いることで、ジュール熱を電流制御できるため、プローブ11~13を一定の加熱温度で維持することができる。また定電流源41を用いることで、加熱時の過電流によりプローブ11~13が損傷してしまう事態が防止できる。
【0027】
加熱回路40による加熱温度は、プローブ11~13から熱電子が放出されない温度とすることが好ましい。トリプルプローブ法では、熱電子が放出されると測定誤差の原因となるためである。また加熱温度は、汚染膜を昇華除去したり汚染膜の形成を防止することが可能な温度とすることが好ましい。加熱温度は、汚染膜の種類に応じて決定すればよい。本実施例では、約1200Kとした。
【0028】
計測回路50は、切断状態において、プローブ11~13を用いたトリプルプローブ法により電流電圧特性を測定する回路である。計測回路50には、固定部21a、22a、23aが接続されている。トリプルプローブ法では、フローティング状態にあるプローブ11~13の2本ずつをダブルプローブのように使用する。具体的には、プローブ11、12および11、13相互間にそれぞれ固定電圧を印加し、各プローブ11~13に流れ込む電流を測定する。これにより、プラズマの電子密度および電子温度や、プラズマ電位を測定することができる。
【0029】
なお、プローブ11~13は、従来用いられているエミッシブプローブと類似しているように見えるが、大きく2つの点で異なっている。第1に、エミッシブプローブはフィラメントを熱電子放出するまで加熱し、熱電子放出によりプラズマの電位を求めるものである。一方、本技術のプローブ11~13は、熱電子が放出されない温度に加熱するものである。第2に、エミッシブプローブはプラズマ中に熱電子を放出するため、単独で用いるものである。一方、本技術のプローブ11~13は、3つのプローブ間での電流電圧特性を測定するトリプルプローブ法に用いるため、複数で用いるものである。
【0030】
(プラズマ計測方法)
プラズマ計測装置1を用いた計測方法を説明する。第1ステップにおいて、プローブ11~13を計測対象のプラズマに挿入する。第2ステップにおいて、切替回路30を接続状態とすることで、プローブ11~13を所定温度まで加熱する。
【0031】
第3ステップにおいて、プラズマ計測を開始する。図3に、プラズマ計測時における動作を示すタイミングチャートを示す。プラズマ計測期間中は、制御部60は、スイッチ31~36を導通状態と非導通状態との間で交互に切り替える。これにより、プローブ11~13が加熱回路40に接続されている接続状態CSと、プローブ11~13が加熱回路40から切り離されている切断状態DSとが、交互に繰り返される。接続状態CSでは、プローブ11~13が加熱される。切断状態DSでは、計測回路50によってプラズマ計測が行われる。接続状態CSと切断状態DSとのペアによって、周期P1が形成される。周期P1は、プラズマ計測のサンプリング周期に相当し、適宜に定めることができる。
【0032】
(効果)
接続状態CSでは、プローブ11~13表面に形成されている汚染膜を昇華除去することができるとともに、汚染膜の形成を防止することができる。スパッタによる汚染膜除去のようなバイアス電圧を必要としないため、プローブ近傍のプラズマ粒子に影響を与えることがない。また切断状態DSでは、切替回路30によって、プローブ11~13を加熱回路40から切断することができる。プローブ11~13の抵抗値は比較的大きいため、加熱回路40によってプローブ11~13の両端に電位差が発生するが、この電位差の影響を切断状態DSでは排除することができる。計測回路50によるプラズマ計測を正確に行うことが可能となる。
【0033】
切断状態DSでは加熱が行われないため、プローブ11~13の温度が低下する。そこで接続状態CSの期間の方が切断状態DSの期間よりも長く設定することで、切断状態DS期間中の温度低下を抑制することができる。なお切断状態DSの期間は、計測回路50の処理時間で決まるため、一般的には1ms程度と非常に短い。よって切断状態DS期間中におけるプローブ11~13の温度低下量は、無視できる程度に小さい。これにより、プラズマ計測の全期間において、プローブ11~13の温度を、汚染膜が形成されないような所定温度に維持することが可能となる。プローブ11~13を、汚染膜が形成されていない清浄状態に常に維持できるため、プラズマ計測精度を高めることが可能となる。
【0034】
従来のエミッシブプローブでは、熱電子を放出する必要があるために、仕事関数の低いタングステンフィラメントを用いている。タングステンフィラメントは硬度が非常に高いため、両端を電極に固定するためにスポット溶接を用いていた。スポット溶接の難易度が高いため、フィラメントに機械的ストレスがかかりやすく、フィラメントが損傷しやすかった。またスポット溶接では溶接部の形状を揃えることが困難であるため、プローブ形状の再現性が低い問題があった。またタングステンは高温で著しく脆化するため、プローブ寿命が短命であった。本明細書のプローブ11~13では、熱電子を放出する必要がないために、炭素フィラメントを用いることができる。炭素フィラメントは金属と比して硬度が低いため、金属製のソケットに削られながら挿入することができ、隙間の無い強固な嵌め合いが実現できる。また、スポット溶接のような難易度の高い加工を不要にできるため、フィラメントにかかる機械的ストレスを低減することが可能になる。また嵌め合い部分の形状はスポット溶接部分に比して一定形状となるため、プローブ形状の再現性を高めることができる。よってプローブ11~13の形状を揃えることが可能となる。また炭素はタングステンのような脆化が発生しないため、プローブ寿命の長期化が可能になる。
【0035】
半導体製造で用いられるCVDなどの成膜装置で用いられる反応性プラズマは、プローブ表面に汚染膜が形成されやすい。従って、本明細書の技術は、成膜装置の反応性プラズマの計測に対して特に効果が高い。
【実施例0036】
実施例1の固定部21aおよび21bに代えて、実施例2では固定部121aおよび121bを説明する。実施例1と共通する部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。図4に、固定部121aおよび121bの先端近傍の断面図を示す。見易さのために、絶縁管20の記載を省略している。
【0037】
固定部121aおよび121bは、金属で構成されている。固定部121aおよび121bの先端には、円筒部材151aおよび151bが配置されている。円筒部材151aおよび151bは、炭素で構成されており、孔部151ahおよび151bhが形成されている。孔部151ahおよび151bhの各々には、プローブ11の端部11aおよび11bが挿入されている。プローブ11は、Mo、Ta、Wなどの金属により構成されている。Moを用いることで、プローブ加工を容易化できる。Taを用いることで、脆化を抑制することができる。
【0038】
プローブ11の材料(金属)の硬度は、円筒部材151aおよび151bの材料(炭素)の硬度よりも高い。これにより、孔部151ahおよび151bhの内壁を削りながら、端部11aおよび11bを挿入することができる。円筒部材151aおよび151bを緩衝材として用いることができるため、隙間の無い嵌め合いが実現できる。端部11aおよび11bを固定部121aおよび121bに強固に固定することができる。また、円筒部材151aおよび151bを交換することで、固定部121aおよび121bの再利用が可能となる。円筒部材151aおよび151bは安価な炭素で構成されているため、メンテナンス費用を抑制することができる。
【実施例0039】
実施例1の固定部21aおよび21bに代えて、実施例3では、柱状部材221aおよび221bを説明する。実施例1と共通する部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。図5に、柱状部材221aおよび221bの先端近傍の斜視図を示す。見易さのために、絶縁管20の記載を省略している。
【0040】
一対の柱状部材221aおよび221bは、金属で構成されている。柱状部材221aおよび221bの先端近傍の外周には、帯状部材261が巻き付けられている。帯状部材261は様々な材料で構成することができる。本実施例では、帯状部材261はリボン状の金属である。帯状部材261によって、プローブ11の端部11aおよび11bが、柱状部材221aおよび221bに固定されている。プローブ11の材料は、各種の金属や炭素であってよい。
【0041】
帯状部材261の巻き付けによってプローブ11を固定できるため、プローブを挿入するための孔部を加工する必要や、プローブを固定するためのスポット溶接を行う必要がない。難易度の高い加工を不要にできるため、加工時にプローブ11にかかる機械的ストレスを低減することや、メンテナンス性を向上させることが可能になる。
【0042】
(実施例3の変形例)
図6に、帯状部材261によってプローブ11を構成する変形例を示す。導電性の帯状部材261の一端が、柱状部材221aに巻き付けられている。帯状部材261の他端が、柱状部材221bに巻き付けられている。柱状部材221aと柱状部材221bとの間を接続している帯状部材261の中間点が、突出した形状となっている。これにより、帯状部材261によってプローブ11を構成することができる。部品点数を削減できるため、さらにメンテナンス性を向上させることが可能になる。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0044】
(変形例)
プローブ部10に備えられるプローブは3つに限られず、2つまたは4つ以上であってもよい。プローブを2つ備える場合には、計測回路50は、ダブルプローブ法により電流電圧特性を測定することができる。
【0045】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
1:プラズマ計測装置 10:プローブ部 11~13:プローブ 21~23:固定部 30:切替回路 31~36:スイッチ 40:加熱回路 41:定電流源 50:計測回路 60:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6