(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185744
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】盤状玩具
(51)【国際特許分類】
A63F 3/00 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A63F3/00 511A
A63F3/00 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093549
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】594032333
【氏名又は名称】株式会社レイアップ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 地宙
(57)【要約】
【課題】格子状に配列したマス目を利用したゲーム等の遊戯性を向上させることができる盤状玩具を提供すること。
【解決手段】格子状に配列した複数のマス目12が設けられた固定盤部24が設けられた盤本体20と、固定盤部24の周囲を全周にわたって取り囲むと共に、固定盤部24に沿って一体的に移動可能な複数の回転ユニット30と、回転ユニット30を移動させる操作部材40と、を備え、回転ユニット30は、固定盤部24に設けられたマス目12に対し、縦横に並んで配列されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配列した複数のマス目が設けられた固定盤部が設けられた盤本体と、
前記固定盤部の周囲を全周にわたって取り囲むと共に、前記固定盤部に沿って一体的に移動可能な複数の回転ユニットと、
前記回転ユニットを移動させる操作部材と、を備え、
前記回転ユニットは、前記固定盤部に設けられた前記マス目に対し、縦横に並んで配列されている
ことを特徴とする盤状玩具。
【請求項2】
請求項1に記載された盤状玩具において、
前記回転ユニットは、板状の平板部と、前記平板部から側方に向かって伸長されると共に連結用穴が形成された連結脚部と、前記平板部の裏面から突出し、隣接する別の回転ユニットの連結用穴に挿入される連結ピンと、前記平板部に設けられ、前記操作部材に接触可能な移動用突部と、を有し、
前記操作部材は、前記盤本体に回転可能に支持されたシャフト部と、前記シャフト部の一端部に設けられて前記移動用突部に接触する複数の歯を有するギヤ部と、を有する
ことを特徴とする盤状玩具。
【請求項3】
請求項2に記載された盤状玩具において、
前記移動用突部と前記複数の歯とは、前記シャフト部が半回転するごとに、前記回転ユニットを一つ分移動させる位置関係に設定されている
ことを特徴とする盤状玩具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された盤状玩具において、
前記盤本体は、前記固定盤部を取り囲む溝部を有し、
前記回転ユニットは、前記溝部に配置されている
ことを特徴とする盤状玩具。
【請求項5】
請求項4に記載された盤状玩具において、
前記盤本体は、前記溝部を取り囲む外周部を有し、
前記溝部は、前記外周部側の立上り面に、前記回転ユニットの上方に張り出す突片が形成されている
ことを特徴とする盤状玩具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された盤状玩具において、
前記固定盤部は、周縁部から突出し、前記回転ユニットの上方に張り出す庇部を有する
ことを特徴とする盤状玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤状玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、縦横に配列した格子状のマス目が形成された盤面を有し、格子状に配列したマス目を利用したゲームに利用される盤状玩具が知られている(例えば、特許文献1~特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3205680号公報
【特許文献2】実用新案登録第3162490号公報
【特許文献3】実用新案登録第3131278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の盤状玩具では、各マス目は盤面を区画線によって区画することで形成されている。そのため、マス目にコマ等を配置した際、マス目ごとコマ等を移動させることができず、ゲームの遊戯性を高めることが難しい、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、格子状に配列したマス目を利用したゲーム等の遊戯性を向上させることができる盤状玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の盤状玩具は、格子状に配列した複数のマス目が表面に設けられた固定盤部を有する盤本体と、前記固定盤部の周囲を全周にわたって取り囲んだ状態で並べられると共に、前記固定盤部に沿って一体的に移動可能な複数の回転ユニットと、前記回転ユニットを移動させる操作部材と、を備えている。そして、前記回転ユニットは、前記固定盤部に設けられた前記マス目に対し、縦横に並んで配列される構成とした。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明の盤状玩具は、格子状に配列したマス目を利用したゲーム等の遊戯性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の盤状玩具を示す外観斜視図である。
【
図2】実施例1の盤状玩具を示す分解斜視図である。
【
図3】実施例1の盤状玩具の盤本体の本体部を示す平面図である。
【
図5A】実施例1の盤状玩具の回転ユニットを示す斜視図である。
【
図5B】実施例1の盤状玩具の回転ユニットを示す側面図である。
【
図5C】実施例1の盤状玩具の回転ユニットを示す平面図である。
【
図6A】二つの回転ユニットを連結するときの説明図である。
【
図6B】連結された二つの回転ユニットを示す説明図である。
【
図7A】実施例1の盤状玩具の操作部材を示す斜視図である。
【
図7B】実施例1の盤状玩具の操作部材を示す平面図である。
【
図8】実施例1の盤状玩具の要部を示す斜視図である。
【
図9A】回転ユニット移動時の回転ユニットと操作部材との位置関係を示す説明図であり、操作部材操作前の状態を示す。
【
図9B】回転ユニット移動時の回転ユニットと操作部材との位置関係を示す説明図であり、第1の歯が二つの回転ユニットの間に入った状態を示す。
【
図9C】回転ユニット移動時の回転ユニットと操作部材との位置関係を示す説明図であり、第1の歯で第1の回転ユニットを押圧する状態を示す。
【
図9D】回転ユニット移動時の回転ユニットと操作部材との位置関係を示す説明図であり、操作部材を約90°回転させた状態を示す。
【
図9E】回転ユニット移動時の回転ユニットと操作部材との位置関係を示す説明図であり、第2の歯で第2の回転ユニットを押圧する状態を示す。
【
図9F】回転ユニット移動時の回転ユニットと操作部材との位置関係を示す説明図であり、第2の歯が第2の回転ユニットから外れる状態を示す。
【
図9G】回転ユニット移動時の回転ユニットと操作部材との位置関係を示す説明図であり、操作部材を約180°回転させた状態を示す。
【
図10】第1変形例の盤状玩具を示す分解斜視図である。
【
図11】第1変形例の盤状玩具の要部断面図である。
【
図12】第1変形例の盤状玩具の要部を示す斜視図である。
【
図13】第1変形例のハンドル部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の盤状玩具を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
図1に示す実施例1の盤状玩具10は、盤面11にコマや模型等の遊戯用物品を載置してゲーム等に用いる玩具である。盤面11には、縦横に並んで格子状に配列された複数のマス目12が設けられており、盤状玩具10を用いてゲーム等を行うとき、通常、各マス目12に遊戯用物品が一つずつ載置される。
【0011】
ここで、実施例1の盤状玩具10は、
図2に示すように、盤本体20と、複数の回転ユニット30と、一対の操作部材40と、を備えている。
【0012】
盤本体20は、本体部21と、本体部21の下面に取り付けられる底板部22と、を有している。
【0013】
底板部22は、ABS樹脂等の合成樹脂によって形成された長方形状の板部材である。底板部22には、平行に延びる一対の段差部22aが設けられ、一対の段差部22aの間の領域(以下、「中間領域22b」という)が、段差部22aの外側の領域(以下、「端部領域22c」という)よりも高くなっている。また、底板部22は、一対の端部領域22cに、操作部材40を支持するボス部23がそれぞれ形成されている。
【0014】
本体部21は、ABS樹脂等の合成樹脂によって形成され、底板部22を覆う長方形状の外形を呈している。本体部21は、中央に形成された固定盤部24と、固定盤部24を取り囲む溝部25と、溝部25を取り囲む外周部26と、を有している。
【0015】
固定盤部24は、盤面11となる上面24aに、複数のマス目12が設けられた矩形の領域である。複数のマス目12は、
図3に示すように、縦横に並んで格子状に配列されており、ここでは縦横に四個ずつ並んで合計16個設けられている。各マス目12は、固定盤部24の上面24aに直径約25mmの円形の窪み24cを形成することで設けられている。なお、各窪み24cの大きさや形状等は任意に設定可能であり、四角形等に設定されていてもよい。また、マス目12は、上面24aを区画線によって区画することで固定盤部24に設けられてもよい。さらに、固定盤部24は、
図3に示すように、四カ所の隅角部24bがいずれもR形状に形成されている。
【0016】
溝部25は、固定盤部24の周囲を全周にわたって取り囲み、盤面11(固定盤部24の上面11a)よりもへこんだ環状の領域である。溝部25は、
図3に示すように、四カ所の隅角部25bがいずれもR形状に形成されている。なお、固定盤部24の隅角部24bの曲率と、溝部25の隅角部25bの曲率とは同じ大きさに設定されている。
【0017】
また、溝部25の幅及び深さは、任意に設定可能であるが、ここでは幅約38mm、底面25cから盤面11までの深さ約19mmに設定されている。なお、本体部21に底板部22を取り付けた際、溝部25の裏側が底板部22の中間領域22bに接触する。さらに、溝部25には、一対のスリット25aが形成されている。各スリット25aは、溝部25の底面25cと外周部26側の立上り面25dとの境界に設けられた貫通孔である。各スリット25aは、本体部21に底板部22を取り付けた際、底板部22に形成されたボス部23に臨む位置に形成されている。
【0018】
外周部26は、溝部25の周囲を全周にわたって取り囲み、上面26aが盤面11(固定盤部24の上面11a)とほぼ面一となる環状の領域である。外周部26の上面26aには、操作部材40が差し込まれる一対の操作用穴27と、溝部25に臨む内縁部(溝部25の縁)に沿って起立した立上り部28と、が形成されている。
【0019】
操作用穴27は、外周部26の上面26aを貫通する貫通孔であり、本体部21に底板部22を取り付けた際、底板部22に形成されたボス部23に対向する位置に形成されている。立上り部28は、上面26aから突出し、溝部25の全周を取り囲んでいる。なお、立上り部28の高さは任意に設定可能であり、ここでは高さ約9mmに設定されている。
【0020】
複数の回転ユニット30は、
図1、
図2及び
図4に示すように、溝部25の内部に配置され、固定盤部24の周囲を全周にわたって取り囲んだ状態に並べられている。また、複数の回転ユニット30は、環状に連結されており、溝部25内で固定盤部24に沿って一体的に移動可能になっている。そして、各回転ユニット30は、後述する平板部31の上面31aが盤面11となり、上面31aに円形の窪み31cを形成することで、各回転ユニット30が一つのマス目12を構成する。
【0021】
さらに、複数の回転ユニット30は、
図4に示すように、固定盤部24に設けられたマス目12に対し、縦横に並んで配列されている。すなわち、固定盤部24の辺に位置するマス目(以下、「第1マス目12α」という)に対しては、各第1マス目12αの側方に回転ユニット30が一個ずつ対応して配置される。また、固定盤部24の隅に位置するマス目(以下「第2マス目12β」という)に対しては、各第2マス目12βの側方に回転ユニット30が三個ずつ対応して配置される。これにより、固定盤部24の周囲には、合計で20個の回転ユニット30が配置される。ここで、「固定盤部24の辺に位置する第1マス目12α」とは、固定盤部24の周縁に沿って配置され、第2マス目12βに挟まれた位置のマス目である。第1マス目12αは、全部で八個設けられている。また、「固定盤部24の隅に位置する第2マス目12β」とは、固定盤部24の隅角部24bに位置するマス目であり、全部で四個設けられている。
【0022】
つまり、回転ユニット30は、第1マス目12αに対して縦方向又は横方向に配列され、第2マス目12βに対して縦方向と横方向と斜め方向との三方向に配列される。この結果、盤状玩具10の盤面11には、
図4に示すように、固定盤部24と複数の回転ユニット30とによって、縦横に六個ずつ格子状に並んだ合計36個のマス目12が設けられる。
【0023】
そして、各回転ユニット30は、
図5A及び
図5Bに示すように、板状の平板部31と、平板部31の裏面31bに設けられた連結脚部32と、平板部31の裏面31bに設けられた連結ピン33と、平板部31の裏面31bに設けられた移動用突部34と、を有している。ここで、連結脚部32と連結ピン33と移動用突部34は、平板部31からの突出高さが一致しており、平板部31は、連結脚部32と連結ピン33と移動用突部34によって支持される。
【0024】
平板部31は、円板の周縁部に円弧状の切欠部31dを有する外形を呈している(
図5C参照)。なお、切欠部31dの曲率は、平板部31の周縁部(切欠部31d以外の部分)の曲率と同じである。そして、平板部31は、回転ユニット30が溝部25内に配置された際、上面31aが固定盤部24の上面24aとほぼ同じ高さとなり、上面31aが盤状玩具10の盤面11となる。さらに、上面31aには、円形の窪み31cが形成されて、マス目12を構成している。上面31aに形成された窪み31cは、固定盤部24の上面24aに形成された円形の窪み24cと同じ大きさ(直径約25mm)に設定されている。
【0025】
連結脚部32は、平板部31の裏面31bに設けられ、平板部31の中心位置Oと、切欠部31dの周方向中央位置とを結んだ方向に沿って伸長されている。平板部31の径方向に突出した連結脚部32の先端部には、連結用穴32aが形成されている。連結用穴32aは、連結脚部32を貫通した貫通孔である。連結用穴32aの径は、連結ピン33を挿入可能な大きさに設定されている。また、連結用穴32aの位置(平板部31の中心位置Oから連結用穴32aまでの距離)は、後述するように、連結用穴32aに隣接する別の回転ユニット30の連結ピン33を挿入した際、連結し合う二つの回転ユニット30同士の平板部31が干渉せず、且つほぼ隙間なく隣り合う位置に設定される(
図6B参照)。
【0026】
連結ピン33は、平板部31の裏面31bから突出する円柱部材であり、ここでは平板部31の中心位置Oに設けられている。
図6Aに示すように、一方の回転ユニット30αの連結ピン33が、隣接する他方の回転ユニット30βの連結用穴32aに挿入される。これにより、
図6Bに示すように、隣り合う二つの回転ユニット30α、30βが連結する。また、このとき、一方の回転ユニット30αの平板部31の周縁部(切欠部31d以外の部分)が、他方の回転ユニット30βの平板部31に形成された切欠部31dに組み合い、二つの回転ユニット30α、30βは、ほぼ隙間なく隣り合う。さらに、平板部31が円板であり、切欠部31dが円弧状であることから、一方の回転ユニット30αは、他方の回転ユニット30βに連結した状態で、連結ピン33を中心にして回転可能となる。
【0027】
移動用突部34は、平板部31の裏面31bに設けられ、
図5Aに示すように、円柱状の第1突部34aと、板状の第2突部34bと、を有している。第1突部34aは、平板部31の中心位置Oから偏心した位置に配置され、ここでは、連結ピン33よりも太い径に設定されている。第2突部34bは、回転ユニット30を平面視したときに切欠部31dに重複する位置で、連結脚部32に直交する(
図5C参照)。ここでは、第2突部34bと連結脚部32とが一体に形成されている。また、板状の第2突部34bは、端部が第1突部34aの周面と同一曲率の円弧状に湾曲している。
【0028】
操作部材40は、
図1及び、
図7A、
図7Bに示すように、ハンドル部41と、ギヤ部42と、を有している。
【0029】
ハンドル部41は、下端部43a(一端部)にギヤ部42が設けられるシャフト部43と、シャフト部43の上端部43b(他端部)に設けられた連結部材44と、連結部材44から上方に向かって延びた把持部45と、を有している。
【0030】
シャフト部43は、下端部43aが開放した円筒形状を呈しており、操作用穴27の開口径よりも小さい外径寸法に設定されている。そして、シャフト部43は、操作部材40を盤本体20に組み付けた際、
図8に示すように、本体部21の外周部26に形成された操作用穴27に差し込まれ、盤本体20によって回転可能に支持される。
【0031】
連結部材44は、シャフト部43の上端部43bから延び、上面44aに把持部45が抜き差しできない状態で回転可能に取り付けられている。なお、ハンドル部41は、連結部材44の両側から、シャフト部43と把持部45がそれぞれ上下方向に延びているため、全体としてクランク形状を呈している。
【0032】
ギヤ部42は、シャフト部43の下端部43a(一端部)に設けられ、移動用突部34に接触する部分である。ギヤ部42は、下端面46aが開放した円筒状の軸部46と、軸部46に設けられた円板状の歯車部47と、を有している。
【0033】
軸部46は、シャフト部43の下端部43aに差し込まれ、シャフト部43に固定される。また、操作部材40を盤本体20に組み付けた際、軸部46には、盤本体20の底板部22に形成されたボス部23の支持軸23a(
図2参照)が挿入される。なお、軸部46の下端面46aの開口径は、支持軸23aの外径よりも大きく、軸部46は支持軸23aによって回転可能な状態に保持される。
【0034】
歯車部47は、周縁部に複数(ここでは四個)の歯47aが形成された円板部材である。歯47aは、操作部材40を盤本体20に組み付けた際、
図8に示すように、本体部21の溝部25に形成されたスリット25aから、溝部25内に突出する。そして、歯47aは、溝部25に配置された回転ユニット30の移動用突部34に接触し、操作部材40が回転することで回転ユニット30を押圧する。このため、操作部材40の回転に伴って、歯47aから移動用突部34に水平方向の力が作用し、回転ユニット30が移動する。なお、複数の歯47aの間隔は、回転ユニット30の移動用突部34との位置関係に応じて設定される。ここでは、複数の歯47aの間隔は、シャフト部43が半回転するごとに、回転ユニット30を一つ分移動させる間隔に設定されている。すなわち、実施例1の盤状玩具10では、移動用突部34と複数の歯47aとが、シャフト部43が半回転するごとに、回転ユニット30を一つ分移動させる位置関係に設定されている。
【0035】
また、操作部材40は、以下に説明する手順で盤本体20に組み付けられる。
【0036】
すなわち、まず、操作部材40は、予めハンドル部41とギヤ部42に分割される。次に、ハンドル部41のシャフト部43が、盤本体20の本体部21の下面に底板部22が取り付けられる前に、操作用穴27に挿入される。また、ギヤ部42が、歯車部47が本体部21に形成されたスリット25aに差し込まれた状態で保持される。続いて、歯車部47がスリット25aに差し込まれた状態のギヤ部42の軸部46が、シャフト部43に挿入されてギヤ部42がハンドル部41に固定される。これにより、操作部材40が本体部21に取り付けられる。その後、ギヤ部42の軸部46にボス部23の支持軸23aが挿入されるように、位置が調整されながら、本体部21の下面に底板部22が取り付けられる。これにより、本体部21と底板部22との間に操作部材40が挟み込まれ、操作部材40が盤本体20に組み付けられる。
【0037】
以下、回転ユニット30を移動させる際の、回転ユニット30と操作部材40との位置関係を
図9A~
図9Eに基づいて説明する。
【0038】
なお、
図9A~
図9Eでは、便宜上四個の回転ユニット30を示し、盤本体20は省略している。しかしながら、実際には
図2等に示すように、20個の回転ユニット30が環状に連結した状態で、本体部21の溝部25内に配置される。さらに、操作部材40は、回転ユニット30を溝部25内に配置する前に、盤本体20に予め組み付けられる。
【0039】
回転ユニット30を移動させる場合、まず、操作者は操作部材40の把持部45を摘まみ、
図9Aに示すように、ハンドル部41(シャフト部43)をここでは時計回り方向に回転させる。ハンドル部41が回転することで、ギヤ部42の歯車部47も一体に回転する。
【0040】
ギヤ部42が回転すると、
図9Bに示すように、歯車部47の一つの歯(以下、「第1の歯47α」という)が、操作部材40に対向する位置に存在している回転ユニット(以下、「第1の回転ユニット30X」という)の第2突部34bと、第1の回転ユニット30Xに連結された回転ユニット(以下、「第2の回転ユニット30Y」という)の第1突部34aとの間に入り込む。そして、操作部材40が回転することで、第1の歯47αは、第1の回転ユニット30Xの第2突部34bを押圧する。これにより、
図9Cに示すように、ギヤ部42の回転に伴って、歯車部47から第1の回転ユニット30Xの第2突部34bに力が伝わり、第1の回転ユニット30Xが反時計回り方向に移動する。
【0041】
ここで、複数の回転ユニット30は、連結ピン33が隣接する回転ユニット30の連結用穴32aに挿入され、環状に連結されている。そのため、第1の回転ユニット30Xが移動することで、第1の回転ユニット30Xに連結された第2の回転ユニット30Yが移動する。さらに、第2の回転ユニット30Yが移動することで、第2の回転ユニット30Yに連結された別の回転ユニット30が移動する。つまり、第1の回転ユニット30Xを移動させることで、複数の回転ユニット30が順次移動し、全ての回転ユニット30が一体的に移動する。しかも、複数の回転ユニット30が、固定盤部24を取り囲む溝部25内に配置されているため、複数の回転ユニット30は固定盤部24に沿って移動する。
【0042】
そして、操作部材40が約90°回転すると、
図9Dに示すように、第2の回転ユニット30Yの第1突部34aが、第1の歯47αと、第1の歯47αに隣接して形成された歯(以下、「第2の歯47β」という)との間に入り込む。さらに、操作部材40が時計回り方向に回転することで、第2の歯47βが第2の回転ユニット30Yの第1突部34aを押圧する。そして、
図9Eに示すように、ギヤ部42の回転に伴って、歯車部47から第2の回転ユニット30Yの第1突部34aに力が伝わり、第2の回転ユニット30Yが反時計回り方向に移動する。
【0043】
さらに、操作部材40が回転すると、
図9Fに示すように、第2の歯47βが第2の回転ユニット30Yの第1突部34aから次第に外れていく。そして、
図9Gに示すように、操作部材40のシャフト部43が約180°回転(半回転)すると、第2の歯47βと第1突部34aとの接触が完全に解除される。このとき、各回転ユニット30は、回転ユニット一個分移動し、複数の回転ユニット30によって構成されたマス目12は、固定盤部24に設けられたマス目12に対して周方向に一つずつ位置がずれる。
【0044】
以下、実施例1の盤状玩具10の作用を説明する。
【0045】
実施例1の盤状玩具10は、格子状に配列した複数のマス目12が設けられた固定盤部24が設けられた盤本体20と、固定盤部24の周囲を全周にわたって取り囲んだ状態に並べられると共に、固定盤部24に沿って一体的に移動可能な複数の回転ユニット30と、を備えている。そして、複数の回転ユニット30は、固定盤部24に設けられたマス目12に対し、縦横に並んで配列されている。
【0046】
これにより、盤状玩具10では、固定盤部24と複数の回転ユニット30とによって、盤面11に縦横に六個ずつ格子状に並んだ合計36個のマス目12が設けられている。そのため、盤状玩具10は、例えばリバーシ等の、格子状に配列したマス目12を利用したゲームに用いられる。なお、リバーシは、二人のプレイヤーが表裏白黒のコマを盤面11上のマス目12に交互に載置し、相手のコマの両側に自分のコマを置くことで相手のコマを反転させて自分のコマへと換え、最終的なコマの数を競うゲームである。
【0047】
そして、実施例1の盤状玩具10は、回転ユニット30を移動させる操作部材40を備えている。このため、ゲームのプレイヤーは、操作部材40を操作することで、固定盤部24の周囲に配置された複数の回転ユニット30を、固定盤部24に沿って移動させることができる。つまり、実施例1の盤状玩具10では、盤面11に格子状に配列された合計36個のマス目12のうち、最外周に位置する20個のマス目12が、周方向に移動可能になっている。
【0048】
これにより、ゲームのプレイヤーは、ゲーム中、任意のルールに法って回転ユニット30を移動させることで、回転ユニット30に載置されたコマを、マス目12ごと動かすことができる。この結果、盤面11に載置されたコマの位置を変動させることができ、ゲームの展開に変化を与えることができる。このため、格子状に配列したマス目12を利用したゲーム等の遊戯性を向上させることができる。
【0049】
また、実施例1の盤状玩具10では、回転ユニット30が、板状の平板部31と、平板部31から側方に伸長されると共に連結用穴32aが形成された連結脚部32と、平板部31の裏面31bから突出し、隣接する回転ユニット30の連結用穴32aに挿入される連結ピン33と、平板部31の裏面31bに設けられ、操作部材40に接触可能な移動用突部34と、を有している。さらに、操作部材40が、盤本体20に回転可能に支持されたシャフト部43と、シャフト部43の下端部43a(一端部)に設けられて移動用突部34に接触するギヤ部42と、を有している。
【0050】
これにより、簡易的な構成で回転ユニット30の移動を可能にすることができる。また、ゲームのプレイヤーによる手動操作で操作部材40を操作し、複数の回転ユニット30を移動させることができる。このため、回転ユニット30の移動量の調整を容易に行うことができる。
【0051】
しかも、実施例1の盤状玩具10では、移動用突部34の第1突部34a及び第2突部34bと、操作部材40のギヤ部42の歯47aとが、操作部材40のシャフト部43が半回転するごとに、回転ユニット30を一つ分移動させる位置関係に設定されている。つまり、シャフト部43を半回転させると、複数の回転ユニット30によって構成されたマス目12が、固定盤部24に設けられたマス目12に対して周方向に一つずつ位置がずれる。
【0052】
これにより、ゲームのプレイヤーは、回転ユニット30によって構成されたマス目12の移動量を把握しやすくなる。このため、プレイヤーが複数の回転ユニット30を移動させた際、固定盤部24に設けられたマス目12の配列方向に対し、回転ユニット30によって構成されたマス目12の位置をずれにくくできる。つまり、盤面11上のマス目12の格子状の配列が崩れることを防止できる。
【0053】
また、実施例1の盤状玩具10では、盤本体20が、固定盤部24を取り囲む溝部25を有している。そして、複数の回転ユニット30は、溝部25内に配置されている。このため、回転ユニット30を移動させる際、回転ユニット30の移動方向が規定され、固定盤部24に沿って円滑に移動させることができる。
【0054】
さらに、実施例1の盤状玩具10では、固定盤部24の上面24aに窪み24cを形成することでマス目12が設けられる。また、マス目12を構成する回転ユニット30の平板部31の上面31aには、窪み31cが形成されている。これにより、各マス目12に遊戯用物品を載置した際、遊戯用物品の位置がずれたときには窪み24cや窪み31cのふちに干渉する。このため、遊戯用物品がマス目12から脱落したり、載置したマス目12から位置がずれたりすることを防止できる。
【0055】
また、実施例1の盤状玩具10では、溝部25の周囲を全周にわたって取り囲む外周部26に、溝部25の縁に沿って起立した立上り部28が設けられている。このため、回転ユニット30に載置した遊戯用物品の位置がずれたときに立上り部28に干渉することができる。これにより、回転ユニット30に載置した遊戯用物品の脱落や位置ずれを防止することができる。
【0056】
以上、本発明の盤状玩具10を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0057】
例えば、
図10~
図12に示す第1変形例の盤状玩具10Aのように、固定盤部24が、溝部25の内側に突出する庇部50を有していてもよい。庇部50は、固定盤部24の上面24aの周縁部から突出し、溝部25の内部に配置された回転ユニット30の上方に張り出す。これにより、ギヤ部42に押された回転ユニット30が固定盤部24に沿って移動する際、回転ユニット30が溝部25の内側に引っ掛かる等することで盤本体20から回転ユニット30が浮き上がっても、庇部50に干渉する。このため、回転ユニット30の過度な浮き上がりを抑制することができ、回転ユニット30を円滑に移動させることができる。
【0058】
また、庇部50は、
図11に示すように、固定盤部24を溝部25から起立した環状の中央壁部51と、中央壁部51に被せられる上面板部52の二つのパーツで構成することで、容易に形成することができる。すなわち、上面板部52は、一方の平面が固定盤部24の上面24aとなり、複数のマス目12が形成される。また、上面板部52の他方の平面(裏面)には、中央壁部51に嵌め込まれる環状の脚部53が形成される。そして、庇部50は、上面板部52の周縁部に、脚部53よりも外側に突出して形成されている。これにより、上面板部52が中央壁部51に被せられ、脚部53が中央壁部51に嵌合することで、
図11に示すように、庇部50を中央壁部51よりも溝部25の内側に突出させることができる。
【0059】
なお、第1変形例の盤状玩具10Aでは、庇部50が固定盤部24の全周にわたって形成されている。しかしながら、庇部50は、固定盤部24の全周にわたって連続して形成されていなくてもよい。庇部50は、例えば操作部材40に対向する位置等、固定盤部24の周縁部の任意の位置に形成してもよい。
【0060】
また、
図10~
図12に示す第1変形例の盤状玩具10Aのように、溝部25の外周部26側の立上り面25dに、一対の突片54を設けてもよい。なお、
図10~
図12では一方の突片54のみ示している。突片54は、溝部25に形成されたスリット25aの上側に形成され、溝部25の内側に突出する。溝部25の底面25cから各突片54までの高さは、回転ユニット30の高さよりも僅かに高く、各突片54は、
図12に示すように、溝部25の内部に配置された回転ユニット30の上方に張り出す。
【0061】
そして、一対の突片54を立上り面25dに設けたことで、ギヤ部42から回転ユニット30に力が掛ったときに、庇部50と同様に回転ユニット30が浮き上がってしまうことを防止することができる。これにより、回転ユニット30を円滑に回転させることができる。
【0062】
なお、突片54は、スリット25aの上側だけでなく、立上り面25dの他の位置に形成したり、溝部25の全周にわたって連続して形成したりしてもよい。また、第1変形例の盤状玩具10Aは、庇部50及び突片54の双方を有しているが、これに限らない。庇部50又は突片54のいずれか一方のみを有するものであってもよい。庇部50又は突片54のいずれか一方を有する場合であっても、回転ユニット30を移動させた際の浮き上がりを抑制することができる。
【0063】
そして、実施例1の盤状玩具10では、操作部材40がギヤ部42の軸部46にボス部23の支持軸23aが挿入されて支持される例を示したが、これに限らない。例えば、
図13に示す第1変形例の操作部材40Aのように、ギヤ部42の歯車部47の下面にボス部23に挿入される支持突起部48を形成してもよい。
【0064】
また、第1変形例の操作部材40Aでは、ギヤ部42の下方から軸部46内にネジN1を差し込み、軸部46に挿入されたハンドル部41のシャフト部43を固定している。さらに、軸部46の上端部46bに切欠部49aを形成し、連結部材44に形成された噛合片49bに噛み合わせる。これにより、ハンドル部41とギヤ部42とが相対的に回転することを規制し、操作部材40Aのがたつきを抑え、回転ユニット30を円滑に移動させることができる。なお、把持部45は、連結部材44の下方から差し込まれるネジN2によって連結部材44に固定される。
【0065】
そして、実施例1の盤状玩具10では、固定盤部24に縦横に四個ずつ並んだ合計16個のマス目12が設けられ、その周囲に合計20個の回転ユニット30が配置されて、盤状玩具10の盤面11に、固定盤部24と複数の回転ユニット30とによって、縦横に六個ずつ格子状に並んだ合計36個のマス目12が設けられた例を示した。しかしながら、マス目12の数は任意に設定することができる。また、縦方向に並ぶマス目12の数と、横方向に並ぶマス目12の数は一致していなくてもよく、マス目12は格子状に配列されていればよい。
【0066】
また、実施例1では、回転ユニット30の平板部31が円板の周縁部に円弧状の切欠部31dを有する外形を呈する例を示したが、これに限らない。回転ユニット30の平板部31の形状は任意に設定することができる。
【0067】
さらに、実施例1の盤状玩具10では、回転ユニット30の平板部31の裏面31bに、連結脚部32と、連結ピン33と、移動用突部34と、を設け、これらによって平板部31を支持する例を示した。しかしながら、これに限らない。回転ユニット30は、固定盤部24の周囲に複数配置されて、固定盤部24に設けられたマス目12に対し縦横に並んで配列されると共に、一体的に移動可能であればよい。そのため、回転ユニット30は、例えば、平板部31の周面の一部に操作部材40のギヤ部42の歯47aが噛み合う凹凸が形成されると共に、平板部31の周面に形成された係合部と、平板部31の周面に形成されて、隣接する回転ユニットの係合部が係合する被係合部と、を有するものであってもよい。
【0068】
また、実施例1の盤状玩具10では、盤本体20が固定盤部24の周囲を取り囲む溝部25を有し、複数の回転ユニット30が溝部25内に配置される例を示した。しかしながら、固定盤部24の周囲に配置された複数の回転ユニット30が、固定盤部24に沿って一体的に移動可能であればよく、必ずしも盤本体20が溝部25を有していなくてもよい。
【0069】
また、実施例1の盤状玩具10では、操作部材40が盤本体20に回転可能に支持されるシャフト部43を有するハンドル部41と、シャフト部43に固定されるギヤ部42と、を有し、ゲームのプレイヤーが操作部材40を操作して、手動で回転ユニット30を移動させる例を示した。しかしながら、これに限らない。例えば、操作部材として電動モータ等を用い、自動的に回転ユニット30を移動させるものであってもよい。
【0070】
さらに、実施例1の盤状玩具10では、操作部材40を時計回り方向に回転させて、複数の回転ユニット30を反時計回り方向に回転させる例を示したが、これに限らない。例えば、操作部材40を反時計回り方向に回転させて、複数の回転ユニット30を時計回り方向に回転させてもよい。また、操作部材40を時計回り方向、反時計回り方向のどちらに回転させても、複数の回転ユニット30が回転するようにしてもよい。
【0071】
また、実施例1の盤状玩具10では、移動用突部34と複数の歯47aとが、シャフト部43が半回転するごとに、回転ユニット30を一つ分移動させる位置関係に設定された例を示したが、これに限らない。移動用突部34と複数の歯47aとの位置関係は、任意に設定することができ、例えば、シャフト部43が一回転するごとに、回転ユニット30を一つ分移動させる位置関係に設定されてもよい。
【0072】
また、実施例1では、盤状玩具10をリバーシに用いる例を示したが、本発明の盤状玩具は、盤面11上の格子状のマス目12を利用するゲームであれば、リバーシ以外のゲームに用いることが可能である。さらに、マス目12に模型等を載置して、いわゆる「ごっご遊び」等を行うことも可能である。すなわち、盤状玩具10の用途はゲームに限らず、任意の遊びに用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 盤状玩具
11 盤面
12 マス目
20 盤本体
21 本体部
22 底板部
24 固定盤部
25 溝部
27 操作用穴
28 立上り部
30 回転ユニット
31 平板部
32 連結脚部
32a 連結用穴
33 連結ピン
34 移動用突部
34a 第1突部
34b 第2突部
40 操作部材
41 ハンドル部
42 ギヤ部
43 シャフト部
47 歯車部
47a 歯