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2022-185754通信システム、センサ、端末および通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185754
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】通信システム、センサ、端末および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20221208BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20221208BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H04Q9/00 311K
G08C17/00 Z
G08C15/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093565
(22)【出願日】2021-06-03
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 昂志
【テーマコード(参考)】
2F073
5K048
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073BC04
2F073CC03
2F073CC15
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE08
2F073EE13
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
5K048BA34
5K048DA02
5K048DC01
5K048EB10
5K048EB12
5K048FB10
(57)【要約】
【課題】変化を継続して監視する際の通信コストおよび通信負荷を抑制する技術を提供する。
【解決手段】センサおよびセンサと通信可能な端末を含む通信システムにおいて、センサは、物体の変化または状況の変化を検知する検知部と、所定の無線通信規格により端末と通信する通信部と、検知部が物体の変化または状況の変化を検知すると、通信部を介して端末に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を端末に送信する処理部と、を備え、端末は、所定の無線通信規格により、センサから変化情報を受信する第1通信部と、受信した変化情報を、インターネットを介して外部装置に送信する第2通信部と、第1通信部が変化情報を受信すると、第2通信部が変化情報を外部装置に送信するように制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサおよび前記センサと通信可能な端末を含む通信システムであって、
前記センサは、
物体の変化または状況の変化を検知する検知部と、
所定の無線通信規格により前記端末と通信する通信部と、
前記検知部が前記物体の変化または前記状況の変化を検知すると、前記通信部を介して前記端末に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を前記端末に送信する処理部と、を備え、
前記端末は、
前記所定の無線通信規格により、前記センサから前記変化情報を受信する第1通信部と、
受信した前記変化情報を、インターネットを介して外部装置に送信する第2通信部と、
前記第1通信部が前記変化情報を受信すると、前記第2通信部が前記変化情報を前記外部装置に送信するように制御する制御部と、を備える、
通信システム。
【請求項2】
前記所定の無線通信規格は、前記第2通信部による通信を阻害しない通信規格である、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記所定の無線通信規格は、BLE(Bluetooth Low Energy)、赤外線通信、またはWi-Fiである、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第2通信部は、4GLTE(Long Term Evolution)、5G、LPWA(Low Power Wide Area)、WiMAXおよびWi-Fiのうち少なくともいずれかの通信規格によりインターネットと通信可能である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記変化情報は、前記物体または前記状況の定常状態からの変化を示す情報である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記変化情報は、前記センサが取得したデータを含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記端末の前記第1通信部は、前記センサから前記変化情報を受信すると、前記変化情報を受信したことを前記センサに通知する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記センサの前記通信部は、前記端末の前記第1通信部から前記変化情報を受信したことの通知を受信しなかった場合、前記変化情報を前記端末に再送信する
請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記端末の前記制御部は、所定のプログラムにより、前記第1通信部および前記第2通信部による前記変化情報の送受信を制御する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記端末の前記制御部は、前記所定のプログラムにより、前記センサから前記第1通信部が受信した前記変化情報を加工し、
前記端末の前記第2通信部は、前記制御部が加工した情報を前記外部装置に送信する、請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記端末の前記制御部は、前記所定のプログラムにより、前記センサから前記第1通信部が受信した前記変化情報に追加の情報を付加し、
前記端末の前記第2通信部は、前記追加の情報を付加した前記変化情報を前記外部装置に送信する、
請求項9または10に記載の通信システム。
【請求項12】
物体の変化または状況の変化を検知する検知部と、
インターネットを介して外部装置に接続可能な端末と、所定の無線通信規格により通信する通信部と、
前記検知部が前記物体の変化または前記状況の変化を検知すると、前記通信部を介して前記端末に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を前記端末に送信する処理部と、
を備えるセンサ。
【請求項13】
物体の変化または状況の変化を検知したセンサから、検知した変化を示す情報である変化情報を、所定の無線通信規格により受信する第1通信部と、
受信した前記変化情報を、インターネットを介して外部装置に送信する第2通信部と、
前記第1通信部が前記変化情報を受信すると、前記第2通信部が前記変化情報を前記外部装置に送信するように制御する制御部と、
を備える端末。
【請求項14】
センサおよび前記センサと通信可能な端末を含む通信システムの通信方法であって、
前記センサは、
物体の変化または状況の変化を検知し、
所定の無線通信規格により前記端末と通信し、
前記物体の変化または前記状況の変化を検知すると、前記所定の無線通信規格により前記端末に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を前記端末に送信し、
前記端末は、
前記所定の無線通信規格により、前記センサから前記変化情報を受信し、
受信した前記変化情報を、インターネットを介して外部装置に送信し、
前記変化情報を受信すると、前記変化情報を前記外部装置に送信するように制御する、
通信方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、センサ、端末および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外等で作業をするユーザのリスクを検知し、見守りをするニーズは高まっている。ユーザのリスクは、例えば、温湿度センサ、振動センサなどの測定値の変化によって検知される熱中症のリスク、転倒のリスクなどである。特許文献1は、クラウドサーバと通信可能に接続された体温計で測定した人物の体温を、クラウドサーバで管理する監視システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-058596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リスクを監視するために、センサ等による測定値などの情報をクラウドサーバに送信する場合、LTE(Long Term Evolution)、LoRa(登録商標)な
ど特定のネットワークで直接通信すると通信料が発生する。
【0005】
また、リスクを検知するためのセンサ等は、クラウドサーバと通信するためにテザリングを使用する場合、スマートフォン等の端末と常にWi-Fi接続をすることになる。したがって、テザリングを使用する場合、バッテリーの消耗は激しくなる。このように、インターネット回線を介してクラウドサーバに常時接続し、継続してユーザのリスクにつながる変化を監視することは、通信コストおよび通信負荷の増加を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、一側面では、変化を継続して監視する際の通信コストおよび通信負荷を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成を採用する。
【0008】
本開示の第一側面は、センサおよびセンサと通信可能な端末を含む通信システムであって、センサは、物体の変化または状況の変化を検知する検知部と、所定の無線通信規格により端末と通信する通信部と、検知部が物体の変化または状況の変化を検知すると、通信部を介して端末に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を端末に送信する処理部と、を備え、端末は、所定の無線通信規格により、センサから変化情報を受信する第1通信部と、受信した変化情報を、インターネットを介して外部装置に送信する第2通信部と、第1通信部が変化情報を受信すると、第2通信部が変化情報を外部装置に送信するように制御する制御部と、を備える、通信システムである。
【0009】
物体は、例えば、人体のほかネットワーク環境が整備されていない外部環境に設置された機器等を含む。物体の変化は、例えば、人体の脈拍数または心拍数の変化であり、機器類の故障を検知するための指標(機器類の表面温度など)の変化等である。状況の変化は、例えば、温度または湿度など周囲の環境の変化を含む。変化情報は、物体の変化または状況の変化を示す情報である。上記の通信システムでは、ネットワーク環境が整備されていない外部環境であっても、センサは変化を検知した場合に、所定の無線通信規格を介し
て端末に変化情報を送信することで、通信コストおよび通信負荷を抑制することができる。
【0010】
所定の無線通信規格は、第2通信部による通信を阻害しない通信規格であってもよい。また、所定の無線通信規格は、BLE(Bluetooth Low Energy)、赤外線通信、またはWi-Fiであってもよい。センサは、変化を検知した場合に、所定の無線通信規格を介して端末と接続し、変化情報を送信することができる。
【0011】
第2通信部は、4GLTE(Long Term Evolution)、5G、LPWA(Low Power Wide Area)、WiMAXおよびWi-Fiのうち少なくともいずれかの通信規格によりインターネットと通信可能であってもよい。センサは、変化を検知した場合に端末に接続し、端末の第2通信部を介して変化情報を外部装置に送信することができる。
【0012】
変化情報は、物体または状況の定常状態からの変化を示す情報であってもよい。定常状態は、予めセンサの記憶部に保持されてもよく、センサによる過去の測定値から算出されてもよい。センサは、定常状態からの変化を示す情報を端末に送信することで、リスクがあることを端末に通知することができる。
【0013】
変化情報は、センサが取得したデータを含んでもよい。端末は、センサが取得したデータ(センサ情報)を変化情報として受信し、センサ情報に基づいて、リスク値を取得することができる。
【0014】
端末の第1通信部は、センサから変化情報を受信すると、変化情報を受信したことをセンサに通知してもよい。センサは、端末からの通知の有無により、端末が変化情報を受信したか否かを判定することができる。また、このような構成にすることで、センサは端末と常に接続状態にしなくてもよい。
【0015】
センサの通信部は、端末の第1通信部から変化情報を受信したことの通知を受信しなかった場合、変化情報を端末に再送信してもよい。センサは、変化情報が未送信となることを抑制することができる。
【0016】
端末の制御部は、所定のプログラムにより、第1通信部および第2通信部による変化情報の送受信を制御してもよい。所定のプログラムは、例えば、端末のOS(オペレーティングシステム、Operating System)または端末にインストールされたアプリケーションである。所定のプログラムは、センサから接続要求があった場合、センサから変化情報を受信する間、端末がセンサと接続されるように制御することができる。これにより、センサと端末との通信負荷は軽減される。
【0017】
端末の制御部は、所定のプログラムにより、センサから第1通信部が受信した変化情報を加工し、端末の第2通信部は、制御部が加工した情報を外部装置に送信してもよい。また、端末の制御部は、所定のプログラムにより、センサから第1通信部が受信した変化情報に追加の情報を付加し、端末の第2通信部は、追加の情報を付加した変化情報を外部装置に送信してもよい。追加の情報は、例えば、端末を使用するユーザの識別情報および端末の位置情報である。端末は、加工した情報または追加の情報により、変化情報が示すリスクに適切に対応するための情報を通知することができる。
【0018】
本発明の第二側面は、物体の変化または状況の変化を検知する検知部と、インターネットを介して外部装置に接続可能な端末と、所定の無線通信規格により通信する通信部と、検知部が物体の変化または状況の変化を検知すると、通信部を介して端末に接続し、検知
した変化を示す情報である変化情報を端末に送信する処理部と、を備えるセンサである。
【0019】
本発明の第三側面は、物体の変化または状況の変化を検知したセンサから、検知した変化を示す情報である変化情報を、所定の無線通信規格により受信する第1通信部と、受信した変化情報を、インターネットを介して外部装置に送信する第2通信部と、第1通信部が変化情報を受信すると、第2通信部が変化情報を外部装置に送信するように制御する制御部と、を備える端末である。
【0020】
本発明の第四側面は、センサおよびセンサと通信可能な端末を含む通信システムの通信方法であって、センサは、物体の変化または状況の変化を検知し、所定の無線通信規格により端末と通信し、物体の変化または状況の変化を検知すると、所定の無線通信規格により端末に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を端末に送信し、端末は、所定の無線通信規格により、センサから変化情報を受信し、受信した変化情報を、インターネットを介して外部装置に送信し、変化情報を受信すると、変化情報を外部装置に送信するように制御する、通信方法である。
【0021】
また、本発明は、かかる方法を実現するためのプログラムまたはそのプログラムを非一時的に記録した記録媒体として捉えることもできる。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、変化を継続して監視する際の通信コストおよび通信負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態に係る通信システムの適用例を説明する図である。
図2図2は、センサおよび端末の構成を例示するブロック図である。
図3図3は、センサの処理を例示するフローチャートである。
図4図4は、端末の処理を例示するフローチャートである。
図5図5は、センサ、端末、外部装置間で送受信する情報を説明する図である。
図6図6は、変形例に係るセンサの処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
<適用例>
図1は、実施形態に係る通信システムの適用例を説明する図である。通信システム10は、センサ11および端末12を含み、インターネット等のネットワークNを介して外部装置20に接続される。
【0026】
センサ11は、物体に直接または間接的に装着され、物体の変化または物体の周囲の状況の変化を検知する。物体は、例えば、人体のほかネットワーク環境が整備されていない外部環境に設置された機器等を含む。物体の変化は、例えば、人体の脈拍数または心拍数といった体調の変化、機器類の故障を検知するための指標の変化等である。状況の変化は、例えば、温度または湿度などである。
【0027】
図1の例では、センサ11は、クリップ型のセンサモジュールでユーザのヘルメット内に装着されている。センサ11は、測定値等の情報を取得し、定常状態からの変化を検知する。また、センサ11は、取得した測定値の情報と予め登録された正常時の測定値との差分に基づいて、変化を検知してもよい。
【0028】
センサ11は、無線通信により端末12と通信可能である。無線通信は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)、赤外線通信、またはWi-Fiである。センサ11は、物体の変化または状況の変化を検知すると、検知した物体の変化または状況の変化を示す情報である変化情報を、無線通信により端末12に送信する。
【0029】
端末12は、センサ11からの変化情報の送信をトリガとしてセンサ11に接続し、センサ11から無線通信により変化情報を受信する。端末12は、受信した変化情報を、ネットワークNを介して外部装置20に送信する。
【0030】
変化情報は、例えば、気温または湿度の変化に基づくリスク情報であり、センサ11は、気温および湿度がそれぞれ閾値以上となった場合に、センサ11を身に着けたユーザが熱中症になるリスクがあることを示すリスク情報を端末12に送信する。具体的には、センサ11は、気温または湿度とそれぞれの閾値との差分に応じて予め定められたリスク値を取得し、取得したリスク値をリスク情報として端末12に送信することができる。
【0031】
このように、センサ11は、変化を検知したことをトリガとして端末12に接続し、変化情報を送信する。端末12は、変化情報を受信すると、ネットワークNを介して外部装置20に変化情報を転送する。したがって、センサ11と端末12とは、変化(リスク)が発生したとき以外は接続状態としなくてもよいため、変化(リスク)を継続して監視する際の通信コストおよび通信負荷を抑制することができる。
【0032】
<実施形態1>
図2は、センサ11および端末12の構成を例示するブロック図である。センサ11は、プロセッサ111、主記憶部112、補助記憶部113、通信部114、センサ部115を備える。プロセッサ111は、補助記憶部113に記憶されたプログラムを主記憶部112に読み出して実行することにより、センサ11の各機能を実現する。プロセッサ111は、プロセッサおよび他の各種機能が実装されたSoC(System-on-a-chip)であってもよい。プロセッサ111は、「処理部」の一例である。
【0033】
通信部114は、所定の無線通信規格により端末12と直接通信することができるインタフェースである。所定の無線通信規格は、例えば、BLE、赤外線通信、NFC(Near Field Communication)その他の近距離無線通信またはWi-Fiである。所定の無線通信規格は、端末12と外部装置20との通信を阻害しない通信規格である。
【0034】
なお、所定の無線通信規格がBLE、赤外線通信、近距離無線通信の場合、センサ11自身は、ネットワークに接続する機能を持たなくてもよい。ネットワークに接続する機能を持たないことで、センサ11は小型化され、コスト削減が可能となる。
【0035】
センサ部115は、物体の変化または状況の変化を検知するセンサである。センサ部115は、例えば、気温および湿度の変化を検知する温湿度センサ、ユーザの転倒を検知する振動センサである。センサ部115は、物体または状況の定常状態からの変化を検知することができればよく、ユーザの血圧、心拍数、血中酸素濃度等を計測するセンサ、加速度センサ、騒音計等であってもよい。センサ部115は、複数のセンサから構成されてもよい。センサ部115は、「検知部」の一例である。
【0036】
センサ11は、電池によって駆動することができる。センサ11は、省電のため、センサ部115が変化を検知した場合に端末12にリスクを通知し、センサ部115が変化を検知しなかった場合には、端末12への通知は行わない。
【0037】
端末12は、プロセッサ121、主記憶部122、補助記憶部123、第1通信部124、第2通信部125、出力部126を備える。プロセッサ121は、補助記憶部123に記憶されたプログラムを主記憶部122に読み出して実行することにより、端末12の各機能を実現する。プロセッサ121は、「制御部」の一例である。
【0038】
第1通信部124は、無線通信によりセンサ11と通信するためのインタフェースである。第1通信部124は、通信部114を介してセンサ11と通信する。第2通信部125は、ネットワークNを介して外部装置20と通信するためのインタフェースである。第2通信部125は、例えば、4GLTE(Long Term Evolution)、5G、LPWA(Low Power Wide Area)、WiMAXおよびWi-Fiのうち少なくともいずれかの通信規格によりインターネットに接続可能である。LPWAは、低消費電力で長距離通信が可能な通信規格であり、LoRa変調を使用した無線通信規格(LoRa)を含む。出力部126は、例えばディスプレイ、スピーカー等であって、ユーザへのリスクの通知等を出力する装置である。
【0039】
端末12は、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンのような汎用的なコンピュータである。また、端末12の各機能の一部は、FPGAまたはASICなどの専用のハードウェア装置によって実現されてもよい。
【0040】
端末12は、例えば、常駐のアプリケーションによって、第1通信部124および第2通信部125による変化情報の送受信を制御することができる。端末12は、センサ11から送信された変化情報を受信した場合に、アプリケーションを起動させてもよい。当該アプリケーションは、「所定のプログラム」の一例である。「所定のプログラム」は、端末12のOSであってもよい。
【0041】
(センサの処理)
図3を参照して、センサ11の処理について説明する。図3は、センサ11の処理を例示するフローチャートである。センサ11の処理は、例えば、ユーザがセンサ11の電源を入れたことにより開始される。
【0042】
S101では、センサ部115は、測定値等のセンサ情報を取得する。センサ部115が温湿度センサである場合、センサ情報は、温湿度センサが装着されている位置での温度および湿度の測定値である。センサ部115が振動センサである場合、センサ情報は、振動の大きさを表す変位、速度、加速度の測定値である。
【0043】
S102では、プロセッサ111は、S101で取得したセンサ情報の変化を検知したか否かを判定する。プロセッサ111は、例えば、物体または状況が定常状態から変化しリスクが生じた場合に、変化を検知したと判定することができる。定常状態は、例えば、これまでの測定値の平均値とすることができる。プロセッサ111は、定常状態としての平均値との差分が閾値以上となった場合に、物体または状況が定常状態から変化したと判定することができる。
【0044】
また、プロセッサ111は、S101で取得したセンサ情報が正常時と異なる場合に、変化を検知したと判定することができる。判定に使用される正常時の測定値等の情報は、予め補助記憶部113に記憶させておくことができる。また、正常時の測定値は、正常である場合の測定値の範囲で指定されてもよい。
【0045】
S102でセンサ情報の変化を検知した場合、処理はS103に進む。センサ情報の変化を検知しなかった場合、処理はS101に戻る。センサ部115は、所定の間隔でセン
サ情報を取得する。所定の間隔は、センサ部115が取得する測定値の種類に応じて設定することができる。
【0046】
S103では、プロセッサ111は、S102でセンサ情報の変化が検知されると、通信部114を介して端末12に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を、通信部114を介して、端末12に送信する。通信部114は、BLE、赤外線通信、Wi-Fi等の所定の無線通信規格により端末12と通信する。センサ11は、BLEによって端末12と通信する場合、予め端末12とペアリングの設定がなされる。図3に示す処理は、センサ11の電源が入っている間、所定の時間間隔で繰り返される。
【0047】
プロセッサ111は、変化情報として、センサ部115が取得したセンサ情報に基づくリスク値を取得し、端末12に送信してもよい。リスク値は、例えば、センサ部115が取得した値とリスク値とを予め対応づけたテーブルから取得することができる。具体的には、リスク値を取得するためのテーブルは、センサ部115が取得した値と正常値との差分を、リスク値と対応づけたテーブルとすることができる。
【0048】
(端末の処理)
図4を参照して、端末12の処理について説明する。図4は、端末12の処理を例示するフローチャートである。端末12の処理は、例えば、センサ11の通信部114からの接続要求により開始される。
【0049】
S201では、第1通信部124は、センサ11から変化情報を受信する。第1通信部124は、センサ11から変化情報を受信した場合、受信したことをセンサ11に通知するようにしてもよい。
【0050】
プロセッサ121は、センサ11から受信した変化情報を出力部126に表示してユーザにリスクを通知してもよい。例えば、変化情報が温度または湿度の上昇を示す情報である場合、プロセッサ121は、熱中症のリスクがあることを、出力部126に表示してユーザに通知する。また、プロセッサ121は、端末12のバイブレーションまたは音によって、ユーザにリスクを通知してもよい。
【0051】
S202では、プロセッサ121は、S201で受信した変化情報を加工する。プロセッサ121は、例えば、受信した変化情報に、端末12が保持する個人ID、端末12の位置情報等の追加の情報を付加する。個人IDおよび位置情報を付加することで、外部装置20は、リスクにさらされているユーザおよびユーザの所在位置を管理者に提示することができる。
【0052】
また、変化情報は、センサ部115で取得された過去の測定値を含んでもよい。端末12のプロセッサ121は、過去の測定値に基づいて、リスク値を取得することができる。また、プロセッサ121は、リスクの有無を判定するための新たな正常値を推定したり、変化(リスク)の度合いをリスク値として取得したりしてもよい。
【0053】
S203では、プロセッサ121は、S202で加工された情報を、第2通信部125を介して外部装置20に送信する。なお、プロセッサ121は、新たな正常値のように、S202で加工して得られた情報を、センサ11に送信してもよい。
【0054】
図5を参照して、センサ11、端末12、外部装置20間で送受信する情報について説明する。センサ11は、センサ部115で取得したデータ(センサ情報)から変化を検知し、検知した変化を示す変化情報を端末12に送信する。センサ11は、センサ部115が取得したセンサ情報をそのまま端末12に送信してもよい。端末12は、センサ11か
ら変化情報またはセンサ情報を受信すると、受信したことをセンサ11に通知する。
【0055】
端末12は、センサ11から受信した変化情報およびセンサ情報に対し、個人ID、位置情報など追加の情報を付加して外部装置20に送信する。端末12は、センサ11から受信した情報を加工して、外部装置20に送信してもよい。端末12は、例えば、センサ部115が取得したセンサ情報からリスクの度合いを示すリスク値を取得して外部装置20に送信することができる。外部装置20は、端末12から変化情報、センサ情報、または加工された情報を受信すると、受信したことを端末12に通知する。
【0056】
<変形例>
変形例は、図3のS103の処理と同様に、端末12に変化情報を送信したあと、端末12から、変化情報を受信したことの通知がなくタイムアウトした場合の例である。センサ11のプロセッサ111は、所定時間の経過後、変化情報を再送信したり、処理を終了したりする。
【0057】
図6は、変形例に係るセンサ11の処理を例示するフローチャートである。S101からS103の処理は、図3の処理と同様であるため、説明は省略する。S104では、センサ11のプロセッサ111は、端末12から、変化情報を受信したことの通知があったか否かを判定する。
【0058】
端末12から通知があった場合(S104:YES)、プロセッサ111は変化情報の送信が成功したと判断し、処理は終了する。なお、図6に示す処理は、センサ11が所定の時間間隔でセンサ情報を取得することにより繰り返される。
【0059】
端末12から通知がなかった場合(S104:NO)、処理はS103に戻り、プロセッサ111は、変化情報を端末12に再送信する。所定回数(例えば、5回)、変化情報を端末12に再送信しても端末からの受信の通知がない場合、図6に示す処理は終了する。
【0060】
また、プロセッサ111は、S104で端末12から通知が所定時間なかった場合、端末12との通信ができていないことを通知する警告音または警告メッセージを流して、図6に示す処理を終了してもよい。
【0061】
<その他>
上記の各実施形態は、本発明の構成例を例示的に説明するものに過ぎない。本発明は上記の具体的な形態には限定されることはなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0062】
なお、変化情報は、変化の度合いに関する情報を含んでもよい。例えば、センサ11のプロセッサ111は、温湿度センサの測定値と正常値との差分を変化の度合いとして、端末12に送信することができる。端末12のプロセッサ121は、変化の度合い(差分)が大きいほど、ユーザに通知するリスクの表示態様(文字の大きさ、色等)を強調したり、より大きな音で通知したりしてもよい。
【0063】
<付記1>
センサ(11)および前記センサ(11)と通信可能な端末(12)を含む通信システム(10)であって、
前記センサ(11)は、
物体の変化または状況の変化を検知する検知部(115)と、
所定の無線通信規格により前記端末(12)と通信する通信部(114)と、
前記検知部(115)が前記物体の変化または前記状況の変化を検知すると、前記通信部(114)を介して前記端末(12)に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を前記端末(12)に送信する処理部(111)と、を備え、
前記端末(12)は、
前記所定の無線通信規格により、前記センサ(11)から前記変化情報を受信する第1通信部(124)と、
受信した前記変化情報を、インターネットを介して外部装置(20)に送信する第2通信部(125)と、
前記第1通信部(124)が前記変化情報を受信すると、前記第2通信部(125)が前記変化情報を前記外部装置(20)に送信するように制御する制御部(121)と、を備える、
通信システム(10)。
【0064】
<付記2>
物体の変化または状況の変化を検知する検知部(115)と、
インターネットを介して外部装置(20)に接続可能な端末(12)と、所定の無線通信規格により通信する通信部(114)と、
前記検知部(115)が前記物体の変化または前記状況の変化を検知すると、前記通信部(114)を介して前記端末(12)に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を前記端末(12)に送信する処理部(111)と、
を備えるセンサ(11)。
【0065】
<付記3>
物体の変化または状況の変化を検知したセンサ(11)から、検知した変化を示す情報である変化情報を、所定の無線通信規格により受信する第1通信部(124)と、
受信した前記変化情報を、インターネットを介して外部装置(20)に送信する第2通信部(125)と、
前記第1通信部(124)が前記変化情報を受信すると、前記第2通信部(125)が前記変化情報を前記外部装置(20)に送信するように制御する制御部(121)と、
を備える端末(12)。
【0066】
<付記4>
センサ(11)および前記センサ(11)と通信可能な端末(12)を含む通信システム(10)の通信方法であって、
前記センサ(11)は、
物体の変化または状況の変化を検知し、
所定の無線通信規格により前記端末(12)と通信し、
前記物体の変化または前記状況の変化を検知すると、前記所定の無線通信規格により前記端末(12)に接続し、検知した変化を示す情報である変化情報を前記端末(12)に送信し、
前記端末(12)は、
前記所定の無線通信規格により、前記センサ(11)から前記変化情報を受信し、
受信した前記変化情報を、インターネットを介して外部装置(20)に送信し、
前記変化情報を受信すると、前記変化情報を前記外部装置(20)に送信するように制御する、
通信方法。
【符号の説明】
【0067】
10:通信システム、11:センサ、111:プロセッサ、112:主記憶部、113:補助記憶部、114:通信部、115:センサ部、12:端末、121:プロセッサ、1
22:主記憶部、123:補助記憶部、124:第1通信部、125:第2通信部、126:出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6