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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185762
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/30 20060101AFI20221208BHJP
   A47G 29/20 20060101ALI20221208BHJP
   A47G 29/122 20060101ALI20221208BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A47G29/30
A47G29/20
A47G29/122 A
E05B65/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093580
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】596116846
【氏名又は名称】濱田プレス工藝株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 好文
(72)【発明者】
【氏名】大鉢 忠
(72)【発明者】
【氏名】濱田 惠
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA43
3K100CA45
3K100CA48
3K100CC05
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】 全体として配線を簡素化できる、宅配ボックスを提供する。
【解決手段】 宅配ボックス10は、メインボックス列12およびそれに従属するサブボックス列14を備え、メインボックス列は表示部(24)および操作部(26)を前面に設けた制御ボックス18を有し、サブボックス列は、複数の収納ボックス28を有する。マスタユニット34のマイコン(38)が表示部および操作部を制御する。スレーブユニット56のマイコン(60)が対応する収納ボックスを管理する。マイコン(38)とマイコン(60)を第1の2線式シリアル信号線で接続し、マイコン(60)同士を第2の2線式シリアル信号線で接続し、それによってマスタユニット34にすべてのスレーブユニット56を連係させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部および操作部が前面に設けられた制御ボックスを有するメインボックス列、
前記メインボックス列に従属するとともに各々が収納扉を有する複数の収納ボックスを有するサブボックス列、
前記表示部および操作部を制御する第1のコンピュータを含むマスタユニット、
前記複数の収納ボックスの各々に個別的に対応して設けられ、各収納ボックスを管理する第2のコンピュータを有するスレーブユニット、
前記第1のコンピュータおよび前記第2のコンピュータを接続する第1の2線式シリアル信号線、および
前記第2のコンピュータ同士を接続する第2の2線式シリアル信号線を備える、宅配ボックス。
【請求項2】
前記スレーブユニットは、個別的に対応する収納ボックスの収納扉の施錠、解錠および収納物を管理する、請求項1記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記マスタユニットは、前記第1のコンピュータに接続された第1のトランシーバ、および前記第1のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第1の汎用入出力コネクタを含み、
前記スレーブユニットは、前記第2のコンピュータに接続された第2のトランシーバ、および前記第2のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第2の汎用入出力コネクタを含み、
前記第1の2線式シリアル信号線は前記第1の汎用入出力コネクタと前記第2の汎用入出力コネクタを接続する、請求項1または2記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記スレーブユニットは、前記第2のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第3の汎用入出力コネクタをさらに含み、
前記第2の2線式シリアル信号線は前段のスレーブユニットの前記第3の汎用入出力コネクタと後段のスレーブユニットの前記第2の汎用入出力コネクタを接続する、請求項3記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記マスタユニットは、前記第1のコンピュータに接続された第3のトランシーバ、および前記第3のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第4の汎用入出力コネクタを含み、
前記表示部および前記操作部は前記第4の汎用入出力コネクタを介して前記第3のトランシーバに接続される、請求項3または4記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、宅配ボックスに関し、特にたとえば、荷物を収容する複数の収納部(収納ボックス)を備える、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2では、いずれも、郵便受けまたはメールボックスであるが、多数の収容部の施錠管理等のための電気配線を容易にする工夫が提案されている。
【0003】
特許文献1では、ボックス本体の内壁に配線路を形成し、複数の電気錠装置の中から対応する電気錠装置を制御するための制御部と各電気錠装置とを配線路10内に通した配線により接続するようにしている。
【0004】
特許文献2では、複数のメールボックスの各々の上面と下面に、隣接するメールボックスと電気的に接続する出力コネクタと入力コネクタを設け、メールボックスを積み重ねるだけで、各列において上下に隣接するメールボックスの出力コネクタと入力コネクタとを接続する。各列のメールボックスは左右方向に並ぶ中継ボックス上に配置され、中継ボックスを介して制御部に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009‐100874号公報 [A47G 29/12 E05B 49/00, 65/02]
【特許文献2】特開2016‐140434号公報 [A47G 29/124, 29/122]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2のいずれにおいても、全体の配線の簡素化には不十分である。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、宅配ボックスを提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、全体として配線を簡素化できる、宅配ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0010】
第1の発明は、表示部および操作部が前面に設けられた制御ボックスを有するメインボックス列、メインボックス列に従属するとともに各々が収納扉を有する複数の収納ボックスを有するサブボックス列、表示部および操作部を制御する第1のコンピュータを含むマスタユニット、複数の収納ボックスの各々に個別的に対応して設けられ、各収納ボックスを管理する第2のコンピュータを有するスレーブユニット、第1のコンピュータおよび第2のコンピュータを接続する第1の2線式シリアル信号線、および第1のコンピュータに接続された第2のコンピュータおよび当該第2のコンピュータに後続する第2のコンピュータを接続する第2の2線式シリアル信号線を備える、宅配ボックスである。
【0011】
第1の発明では、宅配ボックス(10:実施例において相当する部分を例示する参照符号。以下同様。)は、メインボックス列(12)およびメインボックス列(12)に従属するサブボックス列(14)を備え、メインボックス列(12)には表示部(24)および操作部(26)が前面に設けられた制御ボックス(18)が形成され、サブボックス列(14)は、各々が収納扉を有する複数の収納ボックス(28)を有する。マスタユニット(34)の第1のコンピュータ(38)が表示部(24)および操作部(26)を制御する。複数の収納ボックスの各々に個別的に対応して設けられる複数のスレーブユニット(56)の第2のコンピュータ(60)が各収納ボックス(28)を管理する。そして、マスタユニット(34)の第1のコンピュータ(38)および初段のスレーブユニット(56a)の第2のコンピュータ(60)が第1の2線式シリアル信号線(84)によって接続され、その初段のスレーブユニット(56)に後続する次段のスレーブユニット(56b)のそれぞれの第2のコンピュータ(60)同士が第2の2線式シリアル信号線(84)によって接続される。
【0012】
第1の発明によれば、マスタユニットの第1のコンピュータと、各スレーブユニットの第2のコンピュータとをシリアル信号線だけで接続して連係させることができるので、配線を全体的に簡素化することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に従属し、スレーブユニットは、個別的に対応する収納ボックスの収納扉の施錠、解錠および収納物を管理する、宅配ボックスである。
【0014】
第2の発明では、スレーブユニット(56)は、対応する収納ボックス(28)の電気錠(32)の施錠、解錠および収納物すなわち収納物検知センサ(88)を管理、制御する。
【0015】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、マスタユニットは、第1のコンピュータに接続された第1のトランシーバ、および第1のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第1の汎用入出力コネクタを含み、スレーブユニットは、第2のコンピュータに接続された第2のトランシーバ、および第2のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第2の汎用入出力コネクタを含み、第1の2線式シリアル信号線は第1の汎用入出力コネクタと第2の汎用入出力コネクタを接続する、宅配ボックスである。
【0016】
第3の発明では、マスタユニット(34)は、第1のコンピュータ(38)に接続された第1のトランシーバ(52)および第1のトランシーバに2線式シリアル信号線(50)を介して接続される第1の汎用入出力コネクタ(54)を含む。スレーブユニット(56)は、第2のコンピュータ(60)に接続された第2のトランシーバ(66)および第2のトランシーバに2線式シリアル信号線(68aまたは68b)を介して接続される第2の汎用入出力コネクタ(70aまたは70b)を含む。そして、第1の2線式シリアル信号線(84)は第1の汎用入出力コネクタ(54)と第2の汎用入出力コネクタ(70aまたは70b)を接続する、
第3の発明によれば、第1の2線式シリアル信号線で第1の汎用入出力コネクタと第2の汎用入出力コネクタを接続するだけで、マスタユニットとスレーブユニットを接続することができるので、配線の一層の簡素化が可能である。
【0017】
第4の発明は、第3の発明に従属し、スレーブユニットは、第2のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第3の汎用入出力コネクタをさらに含み、第2の2線式シリアル信号線は前段のスレーブユニットの第3の汎用入出力コネクタと後段のスレーブユニットの第3の汎用入出力コネクタを接続する、宅配ボックスである。
【0018】
第4の発明では、スレーブユニット(56)は、第2のトランシーバ(66)に2線式シリアル信号線(68aまたは68b)を介して接続される第3の汎用入出力コネクタ(70bまたは70a)をさらに含む。そして、第2の2線式シリアル信号線(84)は前段のスレーブユニットの第3の汎用入出力コネクタ(70bまたは70a)と後段のスレーブユニットの第2の汎用入出力コネクタ(70aまたは70b)を接続する、
第4の発明によれば、第2の2線式シリアル信号線で第3の汎用入出力コネクタと第2の汎用入出力コネクタを接続するだけで、スレーブユニット同士を接続することができるので、配線の一層の簡素化が可能である。
【0019】
第5の発明は、第3または第4の発明に従属し、マスタユニットは、第1のコンピュータに接続された第3のトランシーバ、および第3のトランシーバに2線式シリアル信号線を介して接続される第4の汎用入出力コネクタを含み、表示部および操作部は第4の汎用入出力コネクタを介して第3のトランシーバに接続される、宅配ボックスである。
【0020】
第5の発明では、マスタユニット(34)は、第1のコンピュータ(38)に接続された第3のトランシーバ(46)、および第3のトランシーバに2線式シリアル信号線(44)を介して接続される第4の汎用入出力コネクタ(48)を含み、表示部(34)および操作部(26)は第4の汎用入出力コネクタを介して第3のトランシーバに接続される。
【0021】
第5の発明によれば、第4の汎用入出力コネクタを介して表示部および操作部を第1のコンピュータに接続されるので、表示部および操作部を第1のコンピュータで制御することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、全体を制御するマスタユニットと個々の収納ボックスを管理、制御するスレーブユニット(およびスレーブユニット同士)を2線式シリアル信号線で接続するようにしたので、全体の配線を大幅に簡素化することができる。
【0023】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1はこの発明の一実施例の宅配ボックスを示す斜視図である。
図2図2図1実施例に用いるマスタユニットの一例を示すブロック図である。
図3図3図1実施例に用いるスレーブユニットの一例を示すブロック図である。
図4図4図1実施例においてマスタユニットおよびスレーブユニットを接続する状態を示すブロック図である。
図5図5図1実施例における収納物検知および電気錠制御の一例を示す図解図である。
図6図6図5実施例に用いられる赤外線測距センサの一例を示す図解図であり、図6(A)は正面図を示す、図6(B)は側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、この発明の一実施例の宅配ボックス10は、たとえばマンション等の集合住宅の他、オフィス、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の店舗や商業施設、または駅や病院等の公共施設等に設置され、配達先の配送物を施錠可能に収納する。宅配ロッカー等と呼ばれることもある。
【0026】
宅配ボックス10は、この実施例では、1列のメインボックス列12およびそのメインボックス列12に従属する複数(この実施例では2列)のサブボックス列14、14含み、これらメインボクス列12およびサブボックス列14、14は共通のベース16上に、互いに密接して固定される。
【0027】
メインボックス列12は、制御ボックス18を含み、この制御ボックス18には制御扉20が開閉可能に取り付けられ、この制御扉20には錠(かぎ)22が取り付けられる。ただし、この錠22は電気錠であってよいが、通常は施錠されたままであり、必要なときに、この宅配ボックス10の管理者が解錠するだけである。
【0028】
制御扉20の前面には、後述する各収納ボックス28内における収納物の存否等を表示する表示部24が設けられるとともに、各収納ボックス28の施錠や解錠等のためにたとえば暗証番号や収納ボックス番号等を入力するための操作部26が設けられる。
【0029】
メインボックス列12にはさらに、上述の制御ボックス18の上下に、複数の収納ボックス28が設けられる。ただし、メインボックス列12には収納ボックス28を設けなくてもよい。
【0030】
各収納ボックス28には収納扉30が開閉可能に設けられ、その収納扉30にも上述の制御扉20の電気錠22と同様の電気錠32が設けられる。この電気錠32の施錠、解錠は、後述のスレーブユニット56(図3)によって制御される。
【0031】
ただし、電気錠は、コンピュータ等による電気的または電子的な操作によって開閉管理ないし制御(施錠/解錠)を行える錠を意味し、いわゆる電子錠を包含する概念である。
【0032】
メインボックス列12に隣接するサブボックス列14、14には制御ボックス18は設けられず、メインボックス列12のものと同様の収納ボックス28のみが設けられる。このサブボックス列14の各収納ボックス28の電気錠32の少なくとも解錠可否を管理、制御するのは後述のマスタユニット34(図2)である。その意味で、サブボックス列14はメインボックス列12に従属しているということができる。
【0033】
電気錠32は、収納ボックス28に収納物が収納されていない状態では解錠されており、宅配業者はその収納ボックス28の収納扉30を開けて配達物を収納することができる。そして、配達物を収納すると、宅配業者は、収納扉30を閉めて電気錠32を施錠する。その後、その収納ボックスの配達物の宛先のユーザが操作部26によってたとえば暗証コード(ID)を入力すると、その入力がマスタユニット34で検証される。入力の検証がOKであれば、マスタユニット34が該当の電気錠32の解錠可能に設定する。その状態でユーザが解錠操作をすると、該当の収納ボックス28の電気錠32が解錠され、収納扉30を開けて配達物を取り出すことができる。
【0034】
また、この実施例では、中央のサブボックス列14と右端のサブボックス列14では収納ボックス28のサイズ(図1で上下方向の高さ)が違うように設定されているが、これらは同じサイズのものであってよい。さらに、この実施例ではメインボックス列12およびサブボックス列14の幅(図1で左右方向)を同じに設定しているが、各列12、14の幅は違っていてもよい。
【0035】
図2を参照して、上述のマスタユニット34の一例は、マスタ基板36上に装着されたマイコン38を含む。このマイコン38は、第1のコンピュータとして機能するもので、実施例の宅配ボックス10の全体の管理および制御を司る。このマイコン38としては、たとえば、ルネサス株式会社製の「RX65N」(32ビットマイコン イーサネット(商品名)コントローラ内蔵)等が利用可能である。
【0036】
マスタ基板36にはさらにLAN(Local Area Network)接続装置40が装備され、このLAN接続装置40は、マイコン38に内蔵されているイーサネットコントローラによって制御される。そのために、LAN接続装置40は、たとえば2線式シリアル信号線(以下、単に「シリアル信号線」という。)42を介して、マイコン38に内蔵されているイーサネットコントローラに接続される。LAN接続装置40と外部通信接続は、有線LANに限ることなく無線通信で接続する無線LANでもよい。
【0037】
マイコン38には、特定のピン(電源/GNDを含む4本)を使って、たとえばRS‐232C(商品名)のようなシリアル信号線44のためのトランシーバ(RS‐232C Tx/Rx)46が、接続される。シリアル信号線44には、GPIO(General Purpose Input/Output)という汎用の入出力コネクタ(以下、単に「コネクタ」といことがある。)48が設けられ、このコネクタ48を用いて、前述の表示部24および操作部26に接続される。なお、このコネクタ48は、たとえば8ピンコネクタであり、よく知られているように、入力用ピンまたは出力用ピンを自由に組み替えられるばかりでなく、個々のピンを必要に応じて無効または有効に設定することができる。
【0038】
マイコン38には、さらに、別の特定のピン(電源/GNDを含む4本)を使って、たとえばRS‐485(商品名)のようなシリアル信号線50のためのトランシーバ(RS‐485 Tx/Rx)52が接続される。シリアル信号線50には、コネクタ54が設けられ、このコネクタ54を用いて、後述のスレーブユニット56(図3)(のマイコン60)と連係される。
【0039】
図3を参照して、上述のスレーブユニット56の一例は、スレーブ基板58上に装着されたマイコン60含む。このマイコン60は、第2のコンピュータとして機能するもので、実施例の宅配ボックス10の個々の収納ボックス28を個別的に管理、制御する。このマイコン60としては、たとえば、ルネサス株式会社製の「RL78」(16ビットマイコン)
等が利用可能である。
【0040】
マイコン60には、この実施例では4系統のたとえばRS‐485のようなシリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線62a、62b、62cおよび62dが接続され、それらの信号線62a、62b、62cおよび62dには、GPIOのような汎用のコネクタ64a、64b、64cおよび64dが接続されるとともに、電源/GNDも別線で供給される。この実施例では、4系統のシリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線62a、62b、62cおよび62dを設けているが、実際に使用するのは、後述するように、収納物検知および電気錠の開閉制御のための2系統の信号線62aおよび62bである。したがって、信号線62a、62b、62cおよび62dは、必要に応じて増減することができる。
【0041】
マイコン60には、シリアル信号線68のためのトランシーバ(RS‐485Tx/Rx)66が特定のピン(電源/GNDを含む4本)を使って接続される。シリアル信号線68は、2つのシリアル信号線68aおよび68bに分岐されていて、その分岐されたシリアル信号線68aおよび68bには、それぞれ、コネクタ70aおよび70bが設けられ、一方のコネクタ70a(または70b)を用いて、前段のスレーブユニット56(のマイコン60)と連係し、他方のコネクタ70b(または70a)用いて、後段のスレーブユニット56(のマイコン60)と連係する。ただし、マスタユニット34と直接連係するスレーブユニット56においては、コネクタ70a(または70b)は、シリアル信号線によって前述のコネクタ54(図2)に接続される。
【0042】
図1に示す実施例の宅配ボックス10では、たとえば図4に示すように、制御ボックス18および収納ボックス28が、シリアル信号線のみを含むデータ伝送路によってマスタユニット34およびスレーブユニット56を接続することによって、連係される。そして、マスタユニット34のマイコン38によって、宅配ボックス10を全体的に管理、制御し、またスレーブユニット56のマイコン60によって対応する収納ボックス28を個別に管理、制御する。
【0043】
なお、この図4では、基本的に、図1の宅配ボックス10の内部構造(縦断面)を部分的に示すが、一部を省略しているし、メインボックス列12における制御ボックス18の位置や大きささらには収納ボクス28の数や位置が図1とは異なるがそれらは単なる便宜のためである。
【0044】
メインボックス列12およびサブボックス列14は、それぞれ、たとえばステンレス等の金属からなる外ケース72と、同様の金属からなる内ケース74を含み、外ケース72および内ケース74は、断熱性を確保し、さらにはコンポーネントの内部での配置の必要性などのために、所定の空隙を隔てて、互いに溶接等で連結される。ただし、この図4では、溶接等の外ケース72および内ケース74の連結部分は図示していない。
【0045】
内ケース74の左右の側壁には同じ高さ位置に、同様の金属からなる仕切り板76が差し渡され、左右の側壁に溶接等によって固着される。内ケース74においてこの仕切り板76で上下に仕切られた部屋が、制御ボックス18または収納ボックス28として用いられる。
【0046】
外ケース72と内ケース74との空隙の所定の場所、図4の実施例では両方の天井部分の間に、マスタユニット34が設けられる。そして、マスタユニット34のマイコン38(図2)がLAN接続装置40(図2)によって、たとえば宅配業者の管轄営業所や集合住宅の管理室等に設置される集中管理装置78に無線ネットワーク80によって接続される。したがって、集中管理装置78は、マスタユニット34から送られてくるデータに従って宅配ボックス10の現況を把握することができるとともに、その集中管理装置78からマスタユニット34に対して必要な制御データを送信することができる。
【0047】
マスタユニット34のマイコン38は、コネクタ48に接続された、たとえばRS‐232Cのようなシリアル信号線82によって表示部24および操作部26に接続される。したがってマイコン38は、操作部26からの操作入力を取得して所定の処理を実行するとともに、たとえばスレーブユニット56から取得した収納ボックス28における収納物の存否等を表示部24に表示する。
【0048】
たとえばRS‐485のようなシリアル信号線84によってコネクタ54(図2)とおよびコネクタ70a(または70b)(図3)とを連結することによって、マスタユニット34のマイコン38は、制御ボックス18に並設された、メインボックス列12内の収納ボックス28(初段の収納ボックス)を管理、制御する初段のスレーブユニット56aのマイコン60(図3)に接続される。
【0049】
この初段のスレーブユニット56aはさらに、後続する次段の収納ボックスを制御する次段のスレーブユニット56bに接続される。つまり、初段のスレーブユニット56aのコネクタ70b(または70a)と次段のスレーブユニット56bのコネクタ70a(または70b)とが、たとえばRS‐485のようなシリアル信号線84によって接続され、それによってスレーブユニット56aおよび56bのマイコン60同士が連係される。
【0050】
スレーブユニット56bはさらに、それに続く次段のスレーブユニット56cに接続される。つまり、スレーブユニット56bのコネクタ70b(または70a)と次段のスレーブユニット56cのコネクタ70a(または70b)とが、たとえばRS‐485のようなシリアル信号線84によって接続され、それによってスレーブユニット56bおよび56cのマイコン60同士が連係される。
【0051】
以下、同様にして、コネクタ70b(または70a)およびコネクタ70a(または70a)をRS‐485のようなシリアル信号線84によって接続することによって、次段のスレーブユニット56dが前段のスレーブユニット56cに接続される。
【0052】
このようにして、初段の収納ボックス28のためのスレーブユニット56aがマスタユニット34に接続され、後続する収納ボックス28のスレーブユニット56が順次、シリアル信号線84によって直列的に接続され、結果的に、すべての収納ボックス28のスレーブユニット56b、56c、56d、56e、56f、…がマスタユニット34に連係する。
【0053】
なお、スレーブユニット56の入力となるコネクタは、コネクタ70aまたはコネクタ70bのどちらでもよく、出力となるコネクタは、コネクタ70bまたはコネクタ70aのどちらでもよい。
【0054】
図4では、隣接する外ケース72の間にはシリアル信号線84を通過させるために、ブッシング85を形成した。
【0055】
このように、実施例の宅配ボックス10では、制御ボックス18の表示部24および操作部26を管理、制御するマスタユニット34のマイコン38と、複数の収納ボックス28を個別に管理、制御するスレーブユニット56のマイコン60とをシリアル信号線だけで接続して連係させることができるので、配線を全体的に簡素化することができ、それによって宅配ボックス10の製造コストを大幅に低減することができる。
【0056】
さらに、この実施例の宅配ボックス10では、制御ボックス18をメインボックス列12だけに設け、サブボックス列14をメインボックス列12に従属させて設け、そのサブボックス列14には収納ボックス28だけを設ける。したがって、サブボックス列だけを増設することによって、宅配ボックスを容易に大容量化することができる。ただし、この場合、メインボックス列12に収納ボックス28を設けてもよく、設けなくてもよい。
【0057】
さらに、この実施例の宅配ボックス10では、図5に示すように、各収納ボックス28を形成する内ケース74の側壁74aに切欠き86を形成し、その切欠き86の外面に、赤外線測距センサ88を設ける。この赤外線測距センサ88は、この実施例では、収納物検知センサとして機能する。この実施例で使用する赤外線測距センサとして、たとえばコーデンシ株式会社製の「ORA1M05」という赤外線測距センサが利用されるが、必ずしもこの具体的な素子に限定するものではない。
【0058】
図6を参照して、この赤外線測距センサ88は、図6(B)に示す側面から見て後方に突出したハウジング90を有し、このハウジング90の上下端部92にねじ孔94が形成され、ハウジング90の内部下部には赤外線発光素子96が設けられ、内部上部には光検知素子98が設けられる。そして、ねじ孔94を利用して、赤外線測距センサ88が内ケース74の側壁74aの外面に、赤外線発光素子96からの赤外光96aが切欠き86を通して収納ボックス28に照射され、その反射光を切欠き86を通して受光素子98で受けられるように、ねじ100によって、取り付けられる。
【0059】
ただし、赤外線測距センサ88が切欠き86を通して収納ボックス28の内部に露出するのを防止するために、図示してはいないが、たとえばアクリルまたはポリカーボネートなどの透明材料で切欠き86を封止するようにすることが望ましい。
【0060】
スレーブユニット56のシリアル信号線62aのコネクタ64a(図3)に接続された、RS‐232Cのようなシリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線102が赤外線測距センサ88に接続される。詳しく言うと、シリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線102を通してマイコン60(図3)から赤外線発光素子96に発光駆動のための駆動電圧を出力し、シリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線102を通して受光素子98からの光検知信号(出力電圧)をマイコン60へ入力する。
【0061】
マイコン60から駆動電圧を赤外線発光素子96に与えると、この赤外線発光素子96からは図5に示すように、所定の放射角を有する赤外光96aを出力し、その赤外光が収納ボックス28内に照射される。赤外光96aの反射光を受光素子98で受光し、その受光素子98からの出力電圧をマイコン60で検出することによって、対象物までの距離を測定することができる。たとえば、受光素子98からは、赤外線発光素子96から5.5cm‐60cmの範囲の距離に応じた、アナログ電圧が出力される。ただし、その距離の範囲内に対象物が存在しない場合、受光素子98からは光検知信号(出力電圧)は出力されない。したがって、この赤外線測距センサ88は、収納ボックス28の仕切り板76上に収納物(配達物)が存在するかどうかのセンサとして機能する。
【0062】
そして、収納物(配達物)が収納ボックス28に存在するとき、受光素子98からの出力電圧に応じて、対応するスレーブユニット56のマイコン60が収納物の存在を検知し、その情報がシリアル信号線84(図4)を通してマスタユニット34のマイコン38へ送信される。したがって、マスタユニット34が宅配ボックス10のすべての収納ボックス28の状態を把握し、管理することができる。
【0063】
この種の宅配ボックス10においては収納ボックス28内に収納物または配達物が存在するかどうかの検知は不可欠である。そのために、各収納ボックス28を区画する仕切り板76に重量センサや赤外線センサなどの収納物検知装置を配置している。しかしながら、それらの収納物検知装置には当然のことながら対応するスレーブユニット56への配線が必要であるが、仕切り板76は内ケース74とは別体で形成されるために、スレーブユニット56から収納物検知装置への配線には手間が掛かることとなり、製造コストアップの要因となるとともに、保守点検の際の工数増加を招いていた。
【0064】
この実施例では、収納ボックス28内に収納物または配達物が存在するかどうかの検知装置、実施例では赤外線測距センサ88を内ケース74の側壁74aに設けたので、検知装置としてたとえば重量センサなどを用いる場合に比べて、構造や配線を簡略化することができるばかりでなく、その保守も簡単になる。
【0065】
さらに、この実施例では、図5に示すように、スレーブユニット56のシリアル信号線62bのコネクタ64b(図3)に接続されたRS‐232Cのようなシリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線104が、電気錠32に接続される。
【0066】
そして、電気錠32を施錠したとき、そのことを示す情報(信号)がシリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線104を通ってスレーブユニット56のマイコン60(図3)に入力され、さらにマスタユニット34のマイコン38に伝えられ、ひいては集中管理装置78まで送信される。そして、ユーザの操作部26(図1)の操作に応じて、マスタユニット34のマイコン38が電気錠32の解錠を許可するときには、その旨の命令がマイコン38からスレーブユニット56のマイコン60へ送信され、マイコン60が電気錠32を解錠する。それによって、ユーザは当該収納ボックス28の収納扉30を開いては収納物(配達物)を取り出すことができる。
【0067】
図4および図5の実施例では、スレーブユニット56を収納ボックス28の左側の外ケース72と内ケース74の間の空隙に配置したので、収納ボックス28の左側に設けた赤外線測距センサ88や電気錠32に接続する場合、シリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線(ワイヤハーネス)を最短にすることができ、ユニット化することで配線の簡素化、メンテナンス工数低減、配線作業工数削減を可能にしている。
【0068】
しかしながら、スレーブユニット56を収納ボックス28の右側に配置するなどの別の構造が考えられてもよい。この場合には、赤外線測距センサ88や電気錠32とスレーブユニット56の距離すなわちシリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線の長さが長くなる可能性があるが、実施例のように汎用入出力コネクタにシリアル信号線もしくはアナログ・デジタル信号線を接続するだけでよいので、配線の簡素化を妨げるものではない。
【0069】
なお、図4の実施例では、メインボックス列12の制御ボックス18より上方の収納ボックスを初段の収納ボックスとし、それを管理、制御するスレーブユニット56aを初段のスレーブユニットとして説明した。しかしながら、初段の収納ボックスの意味は、マスタユニット34が最初に接続されるスレーブユニットに対応する収納ボックスのことを指しており、収納ボックスの設けられている位置によって命名したものではない。
【0070】
また、上述の実施例では、制御ボックス18がメインボックス列12に設けられ、そのメインボクス列12にも複数の収納ボックス28が設けられたが、メインボックス列12は制御ボックス18だけを有してもよく、収納ボックス28はすべてメインボックス列12に従属するサブボックス列14に設けるようにしてもよい。この場合には、極端な場合、制御ボックス18およびそれを管理、制御するマスタユニット34だけを1つのボックス列とすることも考えられる。
【0071】
さらに、上述の実施例では、収納ボックス28の収納物検知機構として、赤外線測距センサを用いるようにしたが、他の構造または方式の収納物検知センサが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 …宅配ボックス
12 …メインボックス列
14 …サブボックス列
18 …制御ボックス
20 …制御扉
24 …表示部
26 …操作部
28 …収納ボックス
30 …収納扉
32 …電気錠
34 …マスタユニット
38 …マイコン(第1のコンピュータ)
42、44、50、68、82、84 …2線式シリアル信号線
56 スレーブユニット
60 …マイコン(第2のコンピュータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6