(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185778
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221208BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20221208BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20221208BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/14
B65H9/00 A
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093608
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大中 皓允
【テーマコード(参考)】
2H270
3F048
3F102
【Fターム(参考)】
2H270LC10
2H270LC12
2H270LD03
2H270MB36
2H270MD12
2H270MH10
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA02
3F048AB01
3F048BA22
3F048BB02
3F048CC05
3F048DA06
3F048DC17
3F048EB22
3F048EB24
3F048EB26
3F102AA02
3F102AB01
3F102BA01
3F102BB04
3F102CA05
3F102CB02
3F102DA01
3F102EA03
3F102FA02
3F102FA03
(57)【要約】
【課題】レジストローラーの揺動動作によって十分に記録材の片寄りを補正可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録材を搬送する搬送部と、記録材にトナー像を転写する転写ローラーを有する転写部と、記録材に形成されたトナー像を定着する定着ローラーを有する定着部と、記録材の搬送交差方向の位置を検知する片寄り検知部と、転写部よりも上流側に位置し、記録材を搬送交差方向に移動させて記録材の片寄りを補正する片寄り補正部と、片寄り検知部の検知結果と、搬送中の記録材を挟持するニップ部の圧接力に基づいて、片寄り補正部の駆動量を制御する制御部とを備える画像形成装置を構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップ部で記録材を挟持して搬送する画像形成装置において、
前記記録材を搬送する搬送部と、
前記記録材にトナー像を転写する転写ローラーを有する転写部と、
前記記録材に形成された前記トナー像を定着する定着ローラーを有する定着部と、
前記記録材の搬送交差方向の位置を検知する片寄り検知部と、
前記転写部よりも上流側に位置し、前記記録材を搬送交差方向に移動させて記録材の片寄りを補正する片寄り補正部と、
前記ニップ部の圧接力を検知する圧力検知部と、
前記片寄り検知部の検知結果と、前記圧力検知部が検知した前記ニップ部の圧接力に基づいて、前記片寄り補正部の駆動量を制御する制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ニップ部として、前記搬送部のローラー対による搬送ニップ部、前記転写部の前記転写ローラーによる転写ニップ部、及び、前記トナー像を定着する定着ローラーによる定着ニップ部のいずれか1以上の圧接力に基づいて前記片寄り補正部の駆動量を制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記片寄り補正部の駆動量を制御するための制御テーブルを記憶し、前記片寄り検知部の検知結果と、前記制御テーブルとに基づいて、前記片寄り補正部の駆動量を制御する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ニップ部の圧接力を制御する
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ニップ部の圧接力を大きくした場合に、前記片寄り補正部の駆動量を増加させる
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記片寄り補正部と、前記ニップ部との距離が短いほど、前記片寄り補正部の駆動量を増加させる
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記録材内の前記片寄り補正部が片寄りを補正する位置に応じて、前記片寄り補正部の駆動量を増加させる
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ニップ部の圧接力を検知する圧力検知部を備える
請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記録材の特性を検出する記録材特性検出部を備え、
前記制御部は、記録材特性検出部が検出した記録材特性に応じて、前記片寄り補正部の駆動量を制御する
請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記記録材がエンボス紙の場合に、前記片寄り補正部の駆動量を増加させる
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記記録材が封筒の場合に、前記片寄り補正部の駆動量を増加させる
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記記録材特性検出部は前記記録材特性として、紙種、紙厚、坪量、記録材サイズ、及び、表面平滑度のいずれか一つ以上を検出する
請求項9から11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記片寄り補正部の駆動量を機械学習により学習する機械学習部を有し、
前記機械学習部は、前記転写ローラー、及び、前記ローラー対の少なくともいずれか一方の圧接力と、前記記録材の物性とを入力し、前記片寄り補正部による前記記録材の駆動量を出力し、片寄り補正後の前記記録材の片寄り量が所定範囲内か否かに応じて報酬値を算出する学習モデルを有し、
前記制御部は、前記学習モデルによって得られた前記片寄り補正部の駆動量を基に、前記片寄り補正部を制御する
請求項1から12のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係る。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、給紙部や反転経路から転写部に記録材が搬送される際に、装置の機械的な要因等により、記録材が搬送方向に対して直交する方向(以下、搬送交差方向、記録材幅方向、主走査方向という場合もある)に片寄ってしまう場合がある。このように記録材の片寄りが発生した状態で画像形成を行った場合、記録材に対する画像の形成位置が本来の適正位置からずれてしまう。
【0003】
このため、画像形成装置では、記録材の片寄りを考慮して画像と記録材とを精度よく位置合わせするために、レジストローラーで記録材を挟持して搬送交差方向に揺動させて記録材の片寄りを補正するレジスト揺動補正が行われている。このレジスト揺動補正では、レジストローラーの下流側に片寄りセンサーを配置し、記録材の片寄り量に基づいて記録材を搬送交差方向に揺動させて、記録材の片寄りを補正する制御が行われる。
【0004】
しかし、上記のレジスト揺動補正では、記録材の先端が二次転写ローラーに到達する前にレジストローラーを揺動させ、記録材の端部の位置を合わせている。このような、二次転写ローラーに記録材が到達する前に揺動を行うだけでは、二次転写ローラーや定着ローラーのアライメントのずれや、各ローラーの記録材幅方向のローラー径の差によって、記録材が二次転写ローラーに到達した後に片寄る場合がある。特に、長尺紙はこの影響を受けやすく、二次転写ローラーへの到達後も、記録材の主走査方向への片寄りが発生しやすい。この結果、従来のレジスト揺動補正では、画像形成ジョブ中に記録材への画像形成位置がずれてしまう場合がある。
【0005】
そこで、記録材が二次転写ローラーに通過した後もレジストローラーの揺動動作を行い、記録材の片寄りを補正する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成装置では、二次転写ローラーを通過した画像転写済の記録材を画像読み取り部で読み取り、記録材上の画像形成位置を検知する。そして、形成画像の読取結果に基づいてレジストローラーの揺動制御情報を補正し、記録材上の画像の形成位置のずれ量に対応する量の駆動量で揺動動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像形成装置において、二次転写ローラー、定着ローラー、及び、搬送ローラー等の圧接力は、画像形成条件によって変化するため一定ではない。このため、各ローラーの圧接力によっては、揺動動作の際における記録材とローラーとの間で生じる滑り度合いが異なる。例えば、ローラーの圧接力が高くなるほど、揺動動作の際の記録材の移動に関する抵抗が大きくなり、記録材の移動量が小さくなる。この結果、記録材上の画像の形成位置のずれ量に基づく駆動量でレジストローラーの揺動動作を行っても、ローラーの圧接力によって変化する記録材の移動量によっては、必ずしも十分に記録材の片寄りを解消できない。
【0008】
上述した問題の解決のため、本発明においては、レジストローラーの揺動動作によって十分に記録材の片寄りを補正可能な画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、記録材を搬送する搬送部と、記録材にトナー像を転写する転写ローラーを有する転写部と、記録材に形成されたトナー像を定着する定着ローラーを有する定着部と、記録材の搬送交差方向の位置を検知する片寄り検知部と、転写部よりも上流側に位置し、記録材を搬送交差方向に移動させて記録材の片寄りを補正する片寄り補正部と、片寄り検知部の検知結果と、搬送中の記録材を挟持するニップ部の圧接力に基づいて、片寄り補正部の駆動量を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レジストローラーの揺動動作によって十分に記録材の片寄りを補正可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】レジストローラーの揺動動作を補正するための揺動制御テーブルである。
【
図4】画像形成装置のレジストローラーの揺動処理に係る周辺の構成を示す図である。
【
図5】レジストローラーによる揺動処理のフローチャートである。
【
図6】画像形成装置の制御部における機械学習部の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】機械学習部による機械学習処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成装置の第1実施形態
2.画像形成装置の第2実施形態
【0013】
〈1.画像形成装置の第1実施形態〉
以下、画像形成装置の第1実施形態施について説明する。
図1に、本実施形態の画像形成装置の概略構成図を示す。
図1に示す画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置100であり、複数の感光体を中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりカラー画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置100は、画像形成部10、制御部11、記録材搬送部20、及び、定着部50を主体に構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0014】
画像形成部10は、4組の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト6、二次転写ローラー9等を備える。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成ユニット10Y、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成ユニット10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成ユニット10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成ユニット10Kで構成されている。
【0015】
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y、及び、ドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成ユニット10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K、及び、ドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0016】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kは、帯電部2Y,2M,2C,2Kによりその表面が一様に帯電され、光書込部3Y,3M,3C,3Kによる走査露光により、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに潜像が形成される。さらに、現像装置4Y,4M,4C,4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのいずれかに対応する所定色のトナー画像が形成される。感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成されたトナー画像は、一次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと一次転写される。
【0017】
中間転写ベルト6上に転写された各色のトナー画像は、後述する記録材搬送部20により所定のタイミングで搬送される記録材Sに、二次転写ローラー9によって転写される。二次転写ローラー9は、記録材Sを裏面(画像形成面の反対面)側に配置され、中間転写ベルト6を介して、中間転写ベルト6の裏面(転写面の反対面)側に配置された対向ローラー8に圧接して配置される。この二次転写ローラー9と対向ローラー8との圧接により、二次転写ローラー9と中間転写ベルト6とにニップ部(以下「転写ニップ部」という)が形成される。そして、中間転写ベルト6と二次転写ローラー9とを駆動することにより、転写ニップ部において記録材Sへのトナー画像の転写と、記録材Sの搬送とが行われる。
【0018】
記録材搬送部20は、記録材Sの搬送経路に従って記録材Sを搬送する。記録材Sは給紙トレイ21に収容されている。給紙トレイ21に収容された記録材Sは、給紙部22により取り込まれ、搬送経路へと送り出される。また、記録材Sは、画像形成装置100に接続された外部給紙装置(図示せず)が有する給紙トレイに収容され、給紙装置から画像形成装置100へと供給され、搬送経路に送り出される構成であってもよい。
【0019】
この搬送経路において、転写ニップ部よりも上流側には、記録材Sを搬送するための搬送ローラーとして、圧接された一対のローラー(ローラー対)が複数設けられている。ローラー対は、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより記録材Sを搬送する。また、個々の搬送部を構成するローラ対は、ローラー間の状態を圧接状態と離間状態とで切り換えることができように構成されている。そして、ローラ対が圧接することにより各ローラー対にニップ部(以下「搬送ニップ部」という)が形成される。
【0020】
記録材搬送部20には、搬送ローラーとして、記録材Sの搬送経路の上流側から下流側にかけて中間搬送ローラー23,24,25、ループローラー26が設けられている。さらに、記録材搬送部20には、搬送ローラーとして、記録材Sの搬送タイミングの調整、及び、搬送される記録材Sの傾きを補正するレジストローラー27が設けられている。なお、記録材搬送部20は、ローラー対で構成する以外にも、ベルトを介したローラー対の組み合わせや、ベルトとローラーと組み合わせといったように、一対の回転部材によって搬送ニップ部が形成される構成を広く採用することができる。
【0021】
このような記録材搬送部20の搬送経路において、給紙トレイ21又は給紙装置の給紙トレイから給紙された記録材Sは、上流側から下流側に設けられた複数の中間搬送ローラー23,24,25及びループローラー26により順次搬送される。記録材Sの先端がレジストローラー27へ近づくと、ループローラー26等によって搬送される記録材Sは、回転停止状態のレジストローラー27に突き当てられる。そして、ループローラー26が所定時間だけ回転を継続することで、記録材Sにループが形成される。このループ形成の作用により、記録材Sの先端の曲がりが矯正される(スキュー補正)。
【0022】
レジストローラー27の上流側の近傍には、記録材Sの到達を検知するレジストセンサーSE1が設けられている。
また、レジストローラー27の下流側の近傍には、記録材Sの到達と、記録材Sの側端部の記録材幅方向CDの位置を検知する位置検知センサーSE2が設けられている。位置検知センサーSE2としては、例えば、複数の受光素子を記録材幅方向CDに沿って直線状に配列したリニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)などが用いられる。
【0023】
また、記録材搬送部20には、搬送経路へと送り出された記録材Sの記録材特性を検出可能な記録材特性検知部として、メディアセンサーSE4を備える。メディアセンサーSE4は、ループローラー26よりも上流側に配置されていればよい。メディアセンサーSE4としては、記録材Sの記録材特性を検出可能な従来公知のものを用いることができる。
【0024】
次に、中間転写ベルト6が担持するトナー画像と同期するように、所定のタイミングでレジストローラー27が回転を開始すると、中間搬送ローラー23,24,25及びループローラー26は、圧接状態から離間状態へと切り換えられる。すなわち、ループローラー26が離間状態へと遷移してからは、記録材Sは、レジストローラー27のみによって搬送される。このレジストローラー27は、揺動ローラーとして、記録材Sの搬送を行いながら後述する揺動動作を行い、像担持体としての中間転写ベルト6と転写部としての二次転写ローラー9との転写ニップ部へと記録材Sを搬送する。
【0025】
定着部50は、トナー画像が転写された記録材S、すなわち、転写ニップ部から送り出された記録材Sに定着処理を施す。定着部50は、記録材Sの画像形成面側に配置された定着ローラー51と、定着ローラー51に搬送される記録材Sを介して対向する位置に配置された加圧ローラー52と、定着ローラー51を加熱するヒーター(図示省略)とを備える。加圧ローラー52が定着ローラー51に圧接することにより、定着ローラー51と加圧ローラー52とにニップ部(以下「定着ニップ部」という)が形成される。
【0026】
定着部50は、記録材Sの搬送過程において、定着ニップ部での定着ローラー51と加圧ローラー52とによる加熱及び加圧により、記録材Sへのトナー画像の定着を行う。定着部50により定着処理が施された記録材Sは、排紙ローラー28により、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ29に排出される。
【0027】
さらに、二次転写ローラー9、中間搬送ローラー23,24,25、ループローラー26、及び、定着部50の定着ローラー51、加圧ローラー52には、各ニップ部の圧接力を検知するための圧力検知部として、圧力検知センサーSE3が設けられている。圧力検知センサーSE3は、例えば、各ローラー内に配置されたニップ部の圧接力を検知する。圧力検知センサーSE3は、例えば圧力切り替えカムの回転角度を検知するフォトインタラプタを用いることができる。また、圧力検知センサーSE3は、圧力変換器等を用いてニップ部の圧力を直接検知してもよい。
また、ニップ部の圧接力を検知する圧力検知部の構成としては、上記の圧力検知センサーSE3の他に、例えば、図示しない各ローラーの圧接モータの駆動量を用いてもよく、ローラの駆動トルクの変動を検知することでニップ部の圧量を算出する構成であってもよい。
なお、
図1では、二次転写ローラー9の圧接力を検知する圧力検知センサーSE3のみを示しているが、この圧力検知センサーSE3は、中間搬送ローラー23,24,25、ループローラー26、及び、定着部50にも設けられていてもよい。
【0028】
[システムブロック図]
図2に、画像形成装置100のシステムブロック図を示す。
図2に示すように、画像形成装置100は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、画像形成部10、記録材搬送部20、定着部50、画像読取部60、レジストセンサーSE1、位置検知センサーSE2、圧力検知センサーSE3、メディアセンサーSE4、及び、レジスト揺動駆動部34を備える。
【0029】
記憶部12、通信部13、操作部14、画像形成部10、記録材搬送部20、定着部50、画像読取部60、レジストセンサーSE1、位置検知センサーSE2、圧力検知センサーSE3、メディアセンサーSE4、及び、レジスト揺動駆動部34は、制御部11に通信可能に接続され、制御部11によって駆動制御や信号処理等の制御が行わる。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成されている。制御部11のCPUは、ROMや記憶部12に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100各部の動作を集中制御する。例えば、制御部11は、操作部14によりジョブ実行指令が入力されると、ジョブを実行し、通信部13等から入力された画像データに基づいて記録材Sにトナー画像を形成する制御を行う。また、制御部11は、操作部14によりジョブ実行指令が入力されると、後述する揺動制御処理を実行し、ジョブ実行中のレジストローラー27の揺動制御を行う。
【0031】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、制御部11で実行される各種プログラムの他、各部で必要なパラメータやデータ等を記憶している。例えば、記憶部12には、レジストローラー27の揺動動作を制御するための揺動制御情報が格納されている。
【0032】
例えば、記録材Sが二次転写ローラー9に突入する前のレジストローラー27の揺動動作(第1揺動動作)の揺動制御情報として、記録材Sの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量(片寄り量)に応じた、レジスト揺動駆動部34の揺動方向(+、-)、揺動速度、及び、駆動量等を算出するための情報が格納される。
【0033】
また、記録材Sが二次転写ローラー9に突入した後のレジストローラー27の揺動動作(第2揺動動作)を制御するための揺動制御情報として、記録材Sの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量に応じた揺動制御情報に加え、搬送中の記録材Sを挟持するニップ部の圧接力に基づいて、レジストローラー27の揺動動作を補正するための揺動制御テーブルが格納されている。
【0034】
レジストローラー27の揺動動作を補正するための揺動制御テーブルの例を
図3に示す。
図3に示す揺動制御テーブルには、ニップ部の圧接力及び記録材特性に対応した補正量が記載されている。
制御部11は、記録材Sが二次転写ローラー9に突入した後、予め定められた複数のタイミング(揺動タイミングと呼ぶ)でレジストローラー27を揺動するよう制御する。このため、
図3に示す揺動制御テーブルには、記録材を挟持するニップ部の圧接力情報、及び、記録材物性情報に基づいて、レジストローラー27の揺動動作を補正する補正量が格納されている。
【0035】
図3に示す揺動制御テーブルには、圧接力情報の例として、転写ニップ部、定着ニップ部、及び、搬送ニップ部等の各ニップ部(ニップ部a、ニップ部b)における圧接力と、各ニップ部とレジストローラー27との距離が格納されている。揺動制御テーブルには、記録材物性情報の例として、種類、厚さ、坪量、記録材サイズ、及び、表面平滑度が格納されている。そして、格納された各ニップ部の圧接力と距離、及び、記録材物性情報の各条件に応じて、補正量が算出されている。
【0036】
このため、制御部11は、上記の第2揺動動作において、記憶部12に格納された記録材Sの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量に応じた揺動制御情報を、揺動制御テーブルに格納された補正量に基づいて補正し、レジストローラー27の揺動動作を制御する。これにより、揺動動作の際の記録材Sの移動に対するニップ部の圧接力による抵抗の大きさを考慮して、記録材Sの片寄りを補正することができ、トナー画像を記録材Sの最適な位置に形成することが可能となる。
【0037】
また、ニップ部の圧接力だけでなく、記録材Sの記録材特性によって、ニップ部の圧接力が同じであっても、レジストローラー27の揺動動作に対する記録材Sの抵抗の大きさが異なる。例えば、表面平滑性が低い記録材Sの場合には、ニップ部の圧接力に対して抵抗が大きくなりやすいため、揺動動作の補正量を大きくし、レジストローラー27の駆動量を大きくすることが好ましい。さらに、厚さの大きい記録材Sの場合には、ニップ部の圧接力に対して抵抗が大きくなりやすいため、揺動動作の補正量を大きくし、レジストローラー27の駆動量を大きくすることが好ましい。このように、、記録材Sの片寄り補正を精度よく行うためには、揺動制御テーブルにおいて、ニップ部の圧接力とともに、記録材特性に対応した補正量等の条件に応じた補正量が格納されていることが好ましい。
【0038】
通信部13は、NIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備え、外部機器との接続を行う。
【0039】
操作部14は、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部11に出力する。操作部14としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部14を通じて、ユーザーは、印刷条件、すなわち、記録材Sの種類(例えば、坪量、サイズ、紙質等)、使用する給紙トレイ、画像の濃度、倍率、両面印刷の有無などを設定することができる。また、ユーザーは、操作部14を通じて、ジョブの実行指令や調整モードでの動作指示を入力することができる。また、制御部11は、操作部14を制御することにより、当該操作部14を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0040】
レジストセンサーSE1は、記録材Sの先端の到達を検出し、検出結果を制御部11に送信する。これにより、レジストセンサーSE1の検出結果は、制御部11においてレジストローラー27の回転開始タイミングの検知等に用いられる。
【0041】
位置検知センサーSE2は、記録材Sの側端部の記録材幅方向CDの位置を検知し、検出結果を制御部11に送信する。位置検知センサーSE2の検出結果は、制御部11においてレジストローラー27の揺動動作における移動量の決定や、二次転写ローラー9へ記録材Sの先端が突入したタイミングを把握するために用いられる。
【0042】
レジスト揺動駆動部34は、レジストローラー27に連結され、電動モーターを主体として構成される。レジスト揺動駆動部34によってレジストローラー27を駆動することにより、所定のホームポジションを起点としてレジストローラー27を搬送交差方向CDに移動させる、いわゆる揺動動作を行う。
【0043】
圧力検知センサーSE3は、記録材搬送部20の中間搬送ローラー23,24,25、ループローラー26、及び、定着部50の定着ローラー51、加圧ローラー52におけるニップ部の圧接力を検知するために用いられる。圧力検知センサーSE3は、記録材搬送部20の各ローラー内に配置された圧力検知センサーSE3からの情報を受け取り、各ローラーにおけるニップ部の圧接力を検知する。
【0044】
また、各ニップ部の圧接力の調整や、圧接状態と離間状態との切り換えは、制御部11によって制御される。例えば、制御部11は、各ニップ部を構成するローラ対等の間隔を調整することにより、記録材Sの搬送中の記録材搬送部20の中間搬送ローラー23,24,25及びループローラー26による搬送ニップ部の圧接力、画像形成部10の二次転写ローラー9と対向ローラー8との定着ニップ部の圧接力、並びに、定着部50の定着ローラー51と加圧ローラー52との定着ニップ部の圧接力を制御することができる。
【0045】
メディアセンサーSE4は、記録材Sの記録材特性を検出するための記録材特性検出部である。メディアセンサーSE4は、例えば、記録材Sの種類(紙種)や大きさ(サイズ)、記録材Sの物性等を検出する。メディアセンサーSE4は、記録材Sの物性として、例えば、厚さ、坪量、平滑度等の表面の状態、剛度、帯電量、含水率、及び、流れ目(記録材の繊維方向の角度)等を検出する。
【0046】
[レジスト揺動部]
(揺動部の構成)
次に、画像形成装置100におけるレジストローラー27による記録材Sの揺動処理について説明する。
図4に、画像形成装置100における揺動処理に係る、レジストローラー27の周辺の構成を示す。
【0047】
図4は、記録材Sを揺動するレジストローラー27、レジストローラー27を揺動するレジスト揺動駆動部34、レジストローラー27の上流側に配置された記録材Sの到達を検知するレジストセンサーSE1、及び、レジストローラー27の下流側に配置された記録材Sの片寄りを検知する位置検知センサーSE2を示している。また、
図4では、レジストローラー27から二次転写ローラー9による転写ニップ部、及び、ループローラー26による搬送ニップ部までの距離を矢印で示している。
【0048】
さらに、
図4は、レジストローラー27の下流側に配置された二次転写ローラー9、レジストローラー27の上流側に配置されたループローラー26、及び、二次転写ローラー9及びループローラー26に設置されたニップ部の圧接力を検知する圧力検知センサーSE3を示している。画像形成装置100において、位置検知センサーSE2が、記録材Sの片寄りを検知する片寄り検知部に該当する。また、レジストローラー27及びレジスト揺動駆動部34が、記録材Sを搬送交差方向に移動させて記録材の片寄りを補正する片寄り補正部に該当する。
【0049】
レジストローラー27は、記録材搬送方向FDと直行する方向(搬送交差方向CD、主走査方向)に揺動可能に構成されている。このレジストローラー27には、電動モーターを主体とするレジスト揺動駆動部34が連結されている。そして、レジスト揺動駆動部34の駆動によって、レジストローラー27が所定のホームポジションを起点として搬送交差方向CDに移動する。
【0050】
レジストローラー27は、記録材Sが通過する期間に合わせて搬送交差方向CDに沿って移動することにより、搬送される記録材Sを搬送交差方向CDに沿って移動させる(揺動処理)。これにより、レジストローラー27は、搬送される記録材Sの搬送交差方向CDの片寄りを補正し、転写されるトナー画像の位置と整合するように記録材Sの搬送位置を調整する。
【0051】
ここで、搬送交差方向CDにおいて片寄りのない場合に記録材Sの側端部が通過する位置を目標位置Tpとする。この目標位置Tpは、搬送交差方向CDにおいて、記録材Sの側端部がその位置を通過すれば、記録材Sとトナー画像との位置関係が最適となる位置(最適画像位置)である。レジストローラー27は、記録材Sの側端部が目標位置Tpとなるように記録材Sの搬送交差方向CDの搬送位置を調整する。
【0052】
搬送経路には、レジストセンサーSE1、位置検知センサーSE2が設けられている。制御部11は、レジストセンサーSE1、及び、位置検知センサーSE2の検出結果に基づいて、レジストローラー27の動作を制御する。
レジストセンサーSE1は、搬送経路においてレジストローラー27とループローラー26との間に配置されている。レジストセンサーSE1は、レジストローラー27の上流側の所定の位置において、記録材Sの先端の到達を検出する。
位置検知センサーSE2は、搬送経路においてレジストローラー27と二次転写ローラー9との間に配置されている。位置検知センサーSE2は、記録材Sの搬送交差方向CDの側端部の通過位置と、目標位置Tpとのからのずれ量(片寄り量)を検出する。
【0053】
(レジスト揺動制御)
次に、レジストローラー27による揺動動作の制御処理について説明する。
図5に、レジストローラー27の揺動動作を制御するための揺動制御処理のフローチャートを示す。
【0054】
まず、ジョブが開始されると、位置検知センサーSE2が記録材Sの側端部の位置を検知する(ステップS101)。
制御部11は、位置検知センサーSE2による検知結果と目標位置Tpとに基づいて、記録材Sの側端部が目標位置Tpからずれているかどうかを判定する(ステップS102)。
【0055】
記録材Sの側端部が目標位置Tpからずれている場合(ステップS102のYes)、位置検知センサーSE2で検知された記録材Sの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量(片寄り量)を基に、記憶部12に記憶された揺動制御情報からレジストローラー27の揺動量及び揺動方向を決定する(ステップS103)。
【0056】
制御部11は、決定したレジストローラー27の揺動量及び揺動方向に従ってレジスト揺動駆動部34を駆動し、レジストローラー27の揺動動作(第1揺動動作)を実行する(ステップS104)。
【0057】
レジストローラー27の揺動を停止した後、又は、記録材Sの側端部が目標位置Tpからずれていない場合(ステップS102のNo)にはレジストローラー27の揺動動作を行わずに、記録材Sを二次転写ローラー9に突入させる(ステップS105)。
【0058】
次に、制御部11は、揺動タイミングが到来したかどうかを判定する(ステップS106)。揺動タイミングが到来していない場合(ステップS106のNo)、制御部11は、揺動タイミングが到来するまで待機する。揺動タイミングは、記録材Sが二次転写ローラー9に突入した後、所定時間が経過する毎に設定されている。
【0059】
揺動タイミングが到来した場合(ステップS106のYes)、制御部11は、位置検知センサーSE2による検知結果と目標位置Tpとに基づいて、記録材Sの側端部が目標位置Tpからずれているかどうかを判定する(ステップS107)。
記録材Sの側端部が目標位置Tpからずれていない場合(ステップS107のNo)、制御部11は、次の揺動タイミングが到来するまで待機する。
【0060】
記録材Sの側端部が目標位置Tpからずれている場合(ステップS107のYes)、位置検知センサーSE2で検知された記録材Sの片寄り量、及び、記録材Sを搬送中のニップ部の圧接力に基づいて、レジストローラー27の揺動量及び揺動方向を決定する(ステップS108)。このステップS108において、制御部11は、位置検知センサーSE2で検知された片寄り量を基に、記憶部12に記憶された揺動制御情報からレジストローラー27の揺動量及び揺動方向の暫定値を算出する。さらに、制御部11は、記録材Sを搬送中のニップ部の圧接力、及び、記録材Sの記録材特性を基に、記憶部12に記憶された揺動動作を補正するための揺動制御テーブルから、揺動量の補正量を算出する。そして、算出した揺動量の暫定値を補正値で補正して、レジストローラー27の揺動量及び揺動方向の実行値を算出する。
【0061】
ニップ部の圧接力による揺動量の補正では、レジストローラー27によって揺動処理されている記録材Sを挟持(ニップ)しているニップ部のいずれか1以上の圧接力を考慮する。例えば、搬送される記録材Sをニップする転写ニップ部、定着ニップ部、及び、搬送ニップ部のいずれか1以上の圧接力を考慮する。また、搬送ニップ部としては、中間搬送ローラー23,24,25及びループローラー26のいずれか1以上、好ましくは、最もレジストローラー27に近いループローラー26の圧接力を考慮する。
【0062】
画像形成装置100において、二次転写部の転写ニップや定着部50の定着ニップ部での圧接力は、搬送性や画像品質を満たすために切り替えることが可能となっている。例えば、記録材Sが封筒の場合には、しわを抑制するために転写ニップの圧接力を低くする。また、記録材Sがエンボス紙など凹凸の大きい場合では、凹凸部と転写部材(中間転写ベルト)との密着性を高め、転写性を向上させるために二次転写部の転写ニップの圧接力を高くする。また、記録材搬送部20における各搬送ローラーでは、搬送中の記録材S内の位置に応じて切り替えることが可能であり、記録材Sの前端部、中央部、後端部において、それぞれニップ部の圧接力を変更することもできる。
【0063】
レジストローラー27の揺動動作では、記録材Sがニップされているニップ部の圧接力が大きいほど、記録材Sの搬送交差方向CDの揺動に対する抵抗が大きくなる。このような状態で記録材Sを揺動させた場合、記録材Sとローラーとの間でスリップしにくくなり、レジストローラー27の揺動量に対して、記録材Sの揺動量が小さくなってしまう。したがって、ニップ部の圧接力が大きい場合には、記録材Sの片寄り量に基づいて決定した揺動量を、さらにニップ部の圧接力に応じて増加させる方向に補正する必要がある。
【0064】
レジストローラー27の揺動動作において、ニップ部の圧接力による影響は、記録材Sを挟持するローラー等がレジストローラー27に近いほど大きくなる。したがって、ニップ部の圧接力に応じた最終的な揺動量の補正量は、各ローラーのニップ部の圧接力と、各ローラーとレジストローラー27との距離に応じて決めてもよい。
例えば、レジストローラー27からの距離が短い転写ニップ部の圧接力の増加は、レジストローラー27から距離が遠いローラーのニップ部(定着ニップ部や搬送ニップ部)の圧接力の増加よりも揺動量(補正量)への影響を大きくすることが好ましい。
【0065】
また、記録材Sは、二次転写ローラー9や定着ローラー51のアライメントのずれや、各ローラー(搬送ローラー等)の手前側と奥側とのローラー径の差によって、記録材搬送中も搬送交差方向CDにずれ(片寄り)が発生してしまう。2次転ローラー通過後の記録材は、記録材がレジストローラー27が排出されるまでの間、所定時間が経過するごとレジスト揺動動作判定をし、目標位置からずれていれば揺動動作を実施する。このため、記録材Sの先端だけでなく、中間部分や後端側においても記録材Sの側端部の位置補正を行い、記録材Sの片寄りを補正することができる。例えば、長尺紙などの記録材搬送方向に長い記録材において顕著に生じる副走査曲がりを補正することができる。
【0066】
次に、制御部11は、決定したレジストローラー27の揺動量及び揺動方向に従ってレジスト揺動駆動部34を駆動し、レジストローラー27を揺動(第2揺動動作)させる(ステップS109)。
レジストローラー27の揺動処理後、記録材Sがレジストローラー27から排出されたかどうかを判定する(ステップS110)。制御部11は、レジストセンサーSE1や位置検知センサーSE2において記録材Sの後端部の通過を検知し、これを基に記録材Sがレジストローラー27から排出されたかどうかを判定する。
記録材Sがレジストローラー27から排出されていない場合(ステップS110のNo)、次の揺動タイミングが到来するまで待機する。
記録材Sがレジストローラー27から排出された場合(ステップS110のYes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0067】
〈2.画像形成装置の第2実施形態〉
次に、画像形成装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の画像形成装置は、制御部の構成として、ニップ圧接力に応じたレジストローラー(片寄り補正部)の揺動量を機械学習により学習する機械学習部を備える。なお、機械学習部を備える以外の構成は上述の第1実施形態の画像形成装置と同様の構成を適用することができる。このため、上述の第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0068】
[機械学習部の構成]
図6は、制御部における機械学習部の機能構成を示すブロック図である。
図6では、機械学習部70が、制御部11内に設けれている例を示している。機械学習部70は、画像形成装置100におけるニップ部の圧接力や、記録材特性に応じた揺動量を機械学習(強化学習)によって決定する。
【0069】
制御部11は、状態情報通知部81、及び、更新処理部82を有する。制御部11は、画像形成装置100の位置検知センサーSE2、圧力検知センサーSE3、メディアセンサーSE4、及び、記憶部12に対する情報の出力及び入力を行う。
機械学習部70は、状態情報取得部71、学習部72、報酬計算部73、及び、制御情報出力部74を有する。
【0070】
図6において、位置検知センサーSE2は、レジストローラー27における記録材Sの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量(片寄り量)を検出し、状態情報通知部81に送信する。圧力検知センサーSE3は、検知した搬送中の記録材Sのニップ部の圧接力を検出し、状態情報通知部81に送信する。メディアセンサーSE4は、記録材Sの記録材特性を検出し、状態情報通知部81に送信する。
状態情報通知部81は、位置検知センサーSE2、圧力検知センサーSE3、及び、メディアセンサーSE4から受信した片寄り量、ニップ部の圧接力、及び、記録材特性を、画像形成装置100における記録材Sの状態情報として機械学習部70に通知する。
更新処理部82は、機械学習部70で算出した新たな揺動制御情報を制御情報出力部74から受け取り、記憶部12に格納された揺動制御を補正するための揺動制御テーブルの情報を更新する。
【0071】
状態情報取得部71は、状態情報通知部81から片寄り量、ニップ部の圧接力、及び、記録材特性を状態情報として取得する。
学習部72は、状態情報取得部71からニップ部の圧接力、及び、記録材Sの記録材特性を入力とし、レジスト揺動駆動部34の揺動量を出力として学習を開始する。また、学習部72は、搬送中の記録材Sのニップ部の圧接力及び記録材物性と、報酬計算部73が算出した報酬とに基づいて、行動価値が最も高いレジスト揺動駆動部34の揺動量を揺動制御情報として算出する。
【0072】
報酬計算部73は、レジストローラー27の揺動動作後の位置検知センサーSE2の検出値(片寄り量)に基づいて記憶する報酬を算出する。報酬計算部73は、記録材Sの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量(片寄り量)が一定量未満であれば正の報酬を算出して記憶し、一定量以上であれば負の報酬を算出して記憶する。
【0073】
制御情報出力部74は、ニップ部の圧接力及び記録材物性と、報酬計算部73が算出した報酬とに基づいて、学習部72が算出した新たな揺動制御情報を受け取って出力し、画像形成装置100にの記憶部12に格納されている揺動制御情報を更新する。
【0074】
画像形成装置100は、機械学習(強化学習)を行うことにより、二次転写部や定着部などの搬送経路中の記録材Sのそれぞれのニップ部の圧接力と、記録材特性データの組み合わせた状態に応じた最適な補正量を決定することができる。このため、記録材Sの片寄りによる画像位置ずれを低減することが可能となる。
【0075】
[機械学習処理]
次に、上述の機械学習部70による機械学習処理について説明する。
図7に、機械学習部70による機械学習処理のフローチャートを示す。機械学習部70は、記録材の各ローラ対のニップ部の圧接力、記録材特性を入力とし、レジストローラー27の揺動量を出力として学習を開始する。
【0076】
まず、機械学習部70の状態情報取得部71は、状態情報通知部81から画像形成装置100における記録材Sの状態情報を取得する(ステップS201)。状態情報取得部71は、例えば、画像形成装置100の位置検知センサーSE2が検出した片寄り量、圧力検知センサーSE3が検出した搬送中の記録材Sの各ニップ部での圧接力、及び、メディアセンサーSE4が検出した記録材特性を、状態情報として状態情報通知部81から取得する。
【0077】
次に、レジスト揺動駆動部34を駆動し、レジストローラー27の揺動動作を実施する(ステップS202)。このレジストローラー27の揺動動作は、上述の第1実施形態の
図4に示すフローチャートに従って、第1揺動動作及び第2揺動動作を実行する。
【0078】
次に、報酬計算部73は、レジストローラー27の第2揺動動作の実施後に、位置検知センサーSE2が検出した片寄り量から、報酬を計算する(ステップS203)。報酬計算部73は、第2揺動動作後の位置検知センサーの値に基づいて、記録材Pの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量が一定量未満であれば正の報酬、一定量以上であれば負の報酬を算出する。
【0079】
次に、学習部72は、ニップ部の圧接力及び記録材Sの記録材物性と、報酬計算部73が算出した報酬とに応じて、行動価値が最も高い揺動動作(補正量)を算出することで、レジストローラー27の揺動動作の学習を行う(ステップS204)。
そして、学習部72は、学習結果に基づいて決定した行動価値がもっとも高い揺動動作(補正量)の制御情報を、制御情報出力部74に出力する(ステップS205)。
【0080】
機械学習部70で算出した新たな揺動制御情報を制御情報出力部74が受け取って更新処理部82に出力し、更新処理部82が記憶部12に格納されている揺動制御テーブルの補正量を更新する(ステップS206)。
制御部11は、更新された揺動制御テーブルの情報を基に、レジストローラー27の第2揺動動作を制御する(ステップS207)。そして、ステップS201からステップS207の処理を繰り繰り返すことで、機械学習部70が機械学習(強化学習)を行う。
【0081】
上記の機械学習部70が機械学習(強化学習)により、搬送中の記録材Sが挟持されているニップ部(転写ニップ部、定着ニップ部、及び、搬送ニップ部等)の圧接力と、記録材特性とを組み合わせた状態に応じて、レジストローラー27の揺動動作に対する最適な補正量を決定することができる。これにより、レジストローラー27の揺動動作によって十分に記録材の片寄りを補正し、記録材Sに対する画像形成の位置ずれを低減することができる。
【0082】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1Y,1M,1C,1K 感光体ドラム、2Y,2M,2C,2K 帯電部、3Y,3M,3C,3K 光書込部、4Y,4M,4C,4K 現像装置、5Y,5M,5C,5K ドラムクリーナー、6 中間転写ベルト、7Y,7M,7C,7K 一次転写ローラー、8 対向ローラー、9 二次転写ローラー、10 画像形成部、10C,10K,10M,10Y 画像形成ユニット、11 制御部、12 記憶部、13 通信部、14 操作部、20 記録材搬送部、21 給紙トレイ、22 給紙部、23 中間搬送ローラー、26 ループローラー、27 レジストローラー、28 排紙ローラー、29 排紙トレイ、34 レジスト揺動駆動部、50 定着部、51 定着ローラー、52 加圧ローラー、60 画像読取部、70 機械学習部、71 状態情報取得部、72 学習部、73 報酬計算部、74 制御情報出力部、81 状態情報通知部、82 更新処理部、100 画像形成装置、SE1 レジストセンサー、SE2 位置検知センサー、SE3 圧力検知センサー、SE4 メディアセンサー