(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185796
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20221208BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61M1/36 107
A61M1/16 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093639
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】正岡 勝則
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD16
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH12
4C077HH15
4C077KK27
(57)【要約】
【課題】過濃縮や循環血液量の急激な低下を低減しつつ、1つの濃度測定部を用いて実血流量を測定可能な血液浄化装置を提供すること。
【解決手段】血液回路110と、血液浄化器120と、血液回路110に注水を行う注水手段と、血液回路110における注水手段による注水により血液濃度が変化する位置に配置され、血液濃度に応じて変化する血液性状を測定する測定部115と、制御装置150と、を備える血液浄化装置100であって、制御装置150は、測定部115で測定された注水手段による注水前の測定値、注水後の測定値及び注水手段による注水量に基づいて実血流量を算出する実血流量算出部151を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液回路と、
前記血液回路に配置される血液浄化器と、
前記血液回路に注水を行う注水手段と、
前記血液回路における前記注水手段による注水により血液濃度が変化する位置に配置され、血液濃度に応じて変化する血液性状を測定する測定部と、
制御装置と、を備える血液浄化装置であって、
前記制御装置は、
前記測定部で測定された前記注水手段による注水前の測定値、注水後の測定値及び前記注水手段による注水量に基づいて実血流量を算出する実血流量算出部を備える血液浄化装置。
【請求項2】
前記血液浄化器に透析液を供給する透析液回路と、前記透析液回路から前記血液回路のうち前記血液浄化器の上流側に透析液を注水する補充液ラインと、を更に備え、
前記制御装置は、前記補充液ラインを介して所定の注水量で注水を行い、
前記測定部は、前記血液回路と前記補充液ラインとの接続部よりも下流側であって、前記血液浄化器よりも上流側に配置される請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記血液浄化器において前記所定の注水量に対応する濾過量で濾過を行う請求項2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記注水手段は、前記血液浄化器及び該血液浄化器に透析液を供給する透析液回路を含み、
前記測定部は、前記血液浄化器の下流側に配置される請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記血液浄化器に透析液を供給する透析液回路と、前記透析液回路から前記血液回路のうち前記血液浄化器の下流側に透析液を注水する補充液ラインと、を備え、
前記測定部は、前記血液回路のうち前記血液浄化器よりも下流側であって前記血液回路と前記補充液ラインとの接続部よりも上流側に配置され、
前記制御装置は、前記補充液ラインを介して所定の注水量で注水を行うと共に、前記血液浄化器から前記所定の注水量に対応する濾過量で濾過を行う請求項1に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実血流量を測定可能な血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析等の血液浄化療法においては、チューブをローラーでしごいて送液するローラー式のチュービングポンプを用いて、患者の動脈側から血液を取り出して血液回路に導入して血液浄化器に送血し、血液浄化器において浄化された血液が血液回路から患者の静脈側に戻される。一般的に血液透析は、1回あたりの治療時間が4時間程度かかる。治療中に血液を取り出すために用いられる留置針は、生体に対しては異物であるため、血液の凝固が生じやすい環境が長時間継続することとなる。そのため、凝固した血液によって血液回路の流路が徐々に閉塞する場合がある。また、患者の体動等によって、留置針の先端が血管壁に接触して血液流量が確保できない場合が生じる。このように血液流量が確保できない状況に陥った場合でも、チュービングポンプは、チューブに陰圧がかかり虚脱状態となったまま設定した流量で動作し続ける。そのため、血液流量の低下(脱血不良状態)は、医療スタッフの目視による監視だけでは発見が困難である。
【0003】
そこで脱血不良状態を検知するため、血液回路内の実際の血液流量(実血流量)を測定することが行われている。例えば、特許文献1では、除水量を一次的に増加させることにより血液濃度に変化を与え、その濃度変化から実血流量を測定する方法が記載されている。また、特許文献2では、血液浄化器の下流側の2つの濃度測定センサを所定の距離を置いて配置して、除水量を一次的に増加させることにより血液濃度に変化を与え、その濃度変化が2つの濃度測定センサで検出される時間差等を用いて、実血流量を測定する方法が記載されている。また、特許文献3では、血液浄化器の上流側と下流側に2つの濃度測定センサを配置し、測定される血液濃度と除水量又は逆濾過による注水量に基づいて実血流量を測定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5222706号公報
【特許文献2】特許第5237007号公報
【特許文献3】特開2015-029882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1及び2に記載の方法では、濃度変化を与える方法として除水量を増加させる方法を用いているため、血液の過濃縮による血液の凝固や、急激な循環血液量の低下による患者の血圧低下や下肢痙攣等の症状の発生が懸念される。また、特許文献3に記載の方法のうち、逆濾過により透析液を注水して濃度変化を与える場合には、前述した懸念は生じないが、2つの濃度測定センサを用意する必要があり、コスト増が課題となる。
【0006】
従って、本発明は、過濃縮や循環血液量の急激な低下を低減しつつ、より簡易な構成で実血流量を測定可能な血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、血液回路と、前記血液回路に配置される血液浄化器と、前記血液回路に注水を行う注水手段と、前記血液回路における前記注水手段による注水により血液濃度が変化する位置に配置され、血液濃度に応じて変化する血液性状を測定する測定部と、制御装置と、を備える血液浄化装置であって、前記制御装置は、前記測定部で測定された前記注水手段による注水前の測定値、注水後の測定値及び前記注水手段による注水量に基づいて実血流量を算出する実血流量算出部を備える血液浄化装置に関する。
【0008】
また、血液浄化装置は、前記血液浄化器に透析液を供給する透析液回路と、前記透析液回路から前記血液回路のうち前記血液浄化器の上流側に透析液を注水する補充液ラインと、を更に備え、前記制御装置は、前記補充液ラインを介して所定の注水量で注水を行い、前記測定部は、前記血液回路と前記補充液ラインとの接続部よりも下流側であって、前記血液浄化器よりも上流側に配置されることが好ましい。
【0009】
また、前記制御装置は、前記血液浄化器において前記所定の注水量に対応する濾過量で濾過を行うことが好ましい。
【0010】
また、前記注水手段は、前記血液浄化器及び該血液浄化器に透析液を供給する透析液回路を含み、前記測定部は、前記血液浄化器の下流側に配置されることが好ましい。
【0011】
また、血液浄化装置は、前記血液浄化器に透析液を供給する透析液回路と、前記透析液回路から前記血液回路のうち前記血液浄化器の下流側に透析液を注水する補充液ラインと、を備え、前記測定部は、前記血液回路のうち前記血液浄化器よりも下流側であって前記血液回路と前記補充液ラインとの接続部よりも上流側に配置され、前記制御装置は、前記補充液ラインを介して所定の注水量で注水を行うと共に、前記血液浄化器から前記所定の注水量に対応する濾過量で濾過を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、過濃縮や循環血液量の急激な低下を低減しつつ、より簡易な構成で実血流量を測定可能な血液浄化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る血液浄化装置の概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る血液浄化装置を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態における血液濃度の変化前の状態を示す図である。
【
図4】第1実施形態における血液濃度の変化後の状態を示す図である。
【
図5】第1実施形態の変形例における血液濃度の変化前の状態を示す図である。
【
図6】第1実施形態の変形例における血液濃度の変化後の状態を示す図である。
【
図7】第2実施形態における血液濃度の変化前の状態を示す図である。
【
図8】第2実施形態における血液濃度の変化後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の血液浄化装置の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の血液浄化装置は、腎不全患者や薬物中毒患者の血液を浄化すると共に、血液中の余分な水分を除去する透析工程を行う。また、本発明の血液浄化装置は、プライミング工程、脱血工程、透析工程、補液工程、返血工程等の各工程を、血液回路内の透析液の流れを制御することで連続して自動的に行う自動血液浄化装置である。
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図5を参照して第1実施形態について詳細に説明する。第1実施形態では、注水により血液に濃度変化を与える場合について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る血液浄化装置100の概略構成を示す図であり、
図2は、血液浄化装置100のブロック図である。
【0016】
第1実施形態の血液浄化装置100は、血液浄化器120において血液透析及び濾過を行って血液を浄化すると共に、血液浄化器120に供給される透析液の一部を透析前の血液に補液(注水)して、補液(注水)と同量を濾過するオンラインHDFを実施する。
図1に示すように、血液浄化装置100は、血液回路110と、測定部115と、血液浄化器120と、透析液回路130と、補充液ライン140Aと、制御装置150と、を備える。
【0017】
血液回路110は、動脈側ライン111と、静脈側ライン112と、薬剤ライン113と、排液ライン114と、を有する。動脈側ライン111、静脈側ライン112、薬剤ライン113及び排液ライン114は、いずれも液体が流通可能な可撓性を有する軟質のチューブを主体として構成される。
【0018】
動脈側ライン111は、一端側が後述する血液浄化器120の血液導入口122aに接続される。動脈側ライン111には、動脈側接続部111a、動脈側気泡検知器111b、血液ポンプ111c、及び動脈側クランプ111dが配置される。
【0019】
動脈側接続部111aは、動脈側ライン111の他端側に配置される。動脈側接続部111aには、患者の血管に穿刺される針が接続される。
動脈側気泡検知器111bは、チューブ内の気泡の有無を検出する。
血液ポンプ111cは、動脈側ライン111における動脈側気泡検知器111bよりも下流側に配置される。血液ポンプ111cは、動脈側ライン111を構成するチューブをローラーでしごくことにより、動脈側ライン111の内部の血液やプライミング液等の液体を送出する。
【0020】
動脈側クランプ111dは、動脈側気泡検知器111bよりも上流側に配置される。動脈側クランプ111dは、例えば、動脈側気泡検知器111bによる気泡の検出結果に応じて制御され、動脈側ライン111の流路を開閉する。
【0021】
静脈側ライン112は、一端側が後述する血液浄化器120の血液導出口122bに接続される。静脈側ライン112には、静脈側接続部112a、静脈側気泡検知器112b、ドリップチャンバ112c、及び静脈側クランプ112dが配置される。
【0022】
静脈側接続部112aは、静脈側ラインの他端側に配置される。静脈側接続部112aには、患者の血管に穿刺される針が接続される。
静脈側気泡検知器112bは、チューブ内の気泡の有無を検出する。
ドリップチャンバ112cは、静脈側気泡検知器112bよりも上流側に配置される。ドリップチャンバ112cは、静脈側ライン112に混入した気泡や凝固した血液等を除去するため、また、静脈圧を測定するため、一定量の血液を貯留する。
【0023】
静脈側クランプ112dは、静脈側気泡検知器112bよりも下流側に配置される。静脈側クランプ112dは、静脈側気泡検知器112bによる気泡の検出結果に応じて制御され、静脈側ライン112の流路を開閉する。
【0024】
薬剤ライン113は、血液透析中に必要な薬剤を動脈側ライン111に供給する。薬剤ライン113は、一端側が薬剤を送り出す薬液ポンプ113aに接続され、他端側が動脈側ライン111に接続される。また、薬剤ライン113には不図示のクランプ手段が設けられており、薬剤を注入するとき以外は、クランプ手段により流路は閉鎖された状態である。第1実施形態では、薬剤ライン113の他端側は、動脈側ライン111における血液ポンプ111cよりも下流側に接続される。
【0025】
排液ライン114は、ドリップチャンバ112cに接続される。排液ライン114には、排液ラインクランプ114aが配置される。排液ライン114は、血液回路110及び血液浄化器120を洗浄して清浄化するプライミング工程でプライミング液を排液するためのラインである。
【0026】
測定部115は、患者から取り出す血液濃度に応じて変わる血液性状を測定するためのセンサであり、血液回路110のうち注水により濃度変化が生じる箇所に配置される。
ここで、血液性状とは、具体的には、ヘマトクリット値、ヘモグロビン値、電気抵抗率等が挙げられる。本明細書で説明する各実施形態では、血液性状を示す指標としてヘマトクリット値が測定される。
【0027】
本実施形態では、後述する補充液ライン140Aから透析液が注水されると共に、注水された透析液の量に対応する量が後述する血液浄化器120で除水される。そのため、測定部115は、補充液ライン140Aと動脈側ライン111との接続部よりも下流であって血液浄化器120の上流側に配置される。本実施形態では、測定部115は、動脈側ライン111のうち血液浄化器120の血液導入口122aの近傍に配置される。
【0028】
血液浄化器120は、筒状に形成された容器本体121と、この容器本体121の内部に収容された透析膜(図示せず)と、を備え、容器本体121の内部は、透析膜により血液側流路と透析液側流路とに区画される(いずれも図示せず)。容器本体121には、血液回路110に連通する血液導入口122a及び血液導出口122bと、透析液回路130に連通する透析液導入口123a及び透析液導出口123bと、が形成される。
【0029】
以上の血液回路110及び血液浄化器120によれば、対象者(透析患者)の動脈から取り出された血液は、血液ポンプ111cにより動脈側ライン111を流通して血液浄化器120の血液側流路に導入される。血液浄化器120に導入された血液は、透析膜を介して後述する透析液回路130を流通する透析液により浄化される。血液浄化器120において浄化された血液は、静脈側ライン112を流通して対象者の静脈に返血される。
【0030】
透析液回路130は、第1実施形態では、いわゆる密閉容量制御方式の透析液回路130により構成される。この透析液回路130は、透析液供給ライン131aと、透析液排液ライン131bと、透析液導入ライン132aと、透析液導出ライン132bと、透析液送液部133と、を備える。
【0031】
透析液送液部133は、透析液チャンバ1331と、バイパスライン1332と、除水/逆濾過ポンプ1333と、を備える。
透析液チャンバ1331は、一定容量(例えば、300mL~500mL)の透析液を収容可能な硬質の容器で構成され、この容器の内部は軟質の隔膜(ダイアフラム)により、送液収容部1331a及び排液収容部1331bに区画される。
バイパスライン1332は、透析液導出ライン132bと透析液排液ライン131bとを接続する。
【0032】
除水/逆濾過ポンプ1333は、バイパスライン1332に配置される。除水/逆濾過ポンプ1333は、バイパスライン1332の内部の透析液を透析液排液ライン131b側に流通させる方向(除水方向)及び透析液導出ライン132b側に流通させる方向(逆濾過方向)に送液可能に駆動するポンプにより構成される。
【0033】
透析液供給ライン131aは、基端側が透析液供給装置(図示せず)に接続され、先端側が透析液チャンバ1331に接続される。透析液供給ライン131aは透析液チャンバ1331の送液収容部1331aに透析液を供給する。
【0034】
透析液導入ライン132aは、透析液チャンバ1331と血液浄化器120の透析液導入口123aとを接続し、透析液チャンバ1331の送液収容部1331aに収容された透析液を血液浄化器120の透析液側流路に導入する。
【0035】
透析液導出ライン132bは、血液浄化器120の透析液導出口123bと透析液チャンバ1331とを接続し、血液浄化器120から排出された透析液を透析液チャンバ1331の排液収容部1331bに導出する。
【0036】
透析液排液ライン131bは、基端側が透析液チャンバ1331に接続され、排液収容部1331bに収容された透析液の排液を排出する。
【0037】
以上の透析液回路130によれば、透析液チャンバ1331を構成する硬質の容器の内部を軟質の隔膜(ダイアフラム)により区画することで、透析液チャンバ1331からの透析液の導出量(送液収容部1331aからの透析液の供給量)と、透析液チャンバ1331(排液収容部1331b)に回収される排液の量と、を同量にできる。
これにより、除水/逆濾過ポンプ1333を停止させた状態では、血液浄化器120に導入される透析液の流量と血液浄化器120から導出される透析液(排液)の量とを同量にできる。また、除水/逆濾過ポンプ1333を除水方向に送液するように駆動させた場合は、血液浄化器120において、血液から所定の速度で所定量の除水が行われる。また、除水/逆濾過ポンプ1333を逆濾過方向に送液するように駆動させた場合は、血液浄化器120において、血液回路110に所定量の透析液が注入(逆濾過)される。
【0038】
補充液ライン140Aは、透析液回路130内の透析液を血液回路110に直接注入するラインであり、液体が流通可能な可撓性を有する軟質のチューブを主体として構成される。
図1に示すように、補充液ライン140Aの上流側は、透析液回路130の透析液導入ライン132aに接続されている。補充液ライン140Aの下流側は、動脈側ライン111のうち血液ポンプ111cの下流側に接続される。補充液ライン140Aには、補充液ポンプ141及び補充液ラインクランプ142が配置される。
【0039】
補充液ポンプ141は、透析液回路130から透析液を取り出して、血液回路110(動脈側ライン111)に送液する。除水/逆濾過ポンプ1333を停止した場合、補充液ライン140Aを介して動脈側ライン111に注水された透析液と同量の水分が、血液浄化器120において濾過される。また、注水された透析液を患者の体内に送液する場合(補液を行う場合)、補充液ポンプ141を所定の補液流量で除水/逆濾過ポンプ1333を逆濾過方向に送液するよう駆動させる。本実施形態では、補充液ポンプ141は、精度よく送液可能なピストンポンプを用いることが好ましい。
補充液ラインクランプ142は、補充液ライン140Aの流路を開閉する。
【0040】
制御装置150は、情報処理装置(コンピュータ)により構成され、制御プログラムを実行することにより、血液浄化装置100の動作を制御する。
制御装置150は、血液回路110、透析液回路130及び補充液ライン140Aに配置された各種のポンプやクランプ等の動作を制御して、血液浄化装置100により行われる各工程、例えば、プライミング工程、脱血工程、透析工程、補液工程、返血工程等を実行する。
【0041】
第1実施形態では、制御装置150は、上述の各工程を実行する機能に加えて、血液回路110を流通する実際の血流量である実血流量を算出する機能を有する。具体的には、制御装置150は、測定部115において測定される、血液回路110に透析液を注水する前のヘマトクリット値、及び血液回路110に透析液を注水した後のヘマトクリット値、並びに注水された透析液の量に基づいて、実血流量を算出する。
当該機能を実現するために、制御装置150は、実血流量算出部151を備える。
【0042】
第1実施形態において、実血流量を算出する場合における血液浄化装置100の動作について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。第1実施形態では、実血流量算出部151による実血流量の算出は、透析工程又は補液工程において行われる。
【0043】
透析工程では、患者の余剰水分の除水及び老廃物の除去が行われる。
補液工程では、血液回路110に透析液が注入されることで患者の循環血液量が増加される。補液工程は、透析工程中に血圧低下や下肢のつり等の症状が生じた場合に必要に応じて行う他、血圧低下の予防や末梢循環改善を目的として、透析工程中に計画的に複数回、一定の間隔で行うこともできる。
第1実施形態では、補液工程は、透析液回路130を流通する透析液の一部を、補充液ライン140Aを通じて動脈側ライン111(血液回路110)に注水するいわゆる前希釈方式により行われる。
【0044】
透析工程及び補液工程において、動脈側接続部111aから導入される患者の血液は、動脈側ライン111を通って血液浄化器120で浄化され、静脈側ライン112を通って静脈側接続部112aから患者に戻される。
【0045】
また、透析工程及び補液工程では、
図3及び
図4に示すように、動脈側接続部111a及び静脈側接続部112aは、それぞれ患者の血管に穿刺される針に接続された状態であり、排液ラインクランプ114aは閉状態、静脈側クランプ112dは開状態である。
【0046】
この状態で、
図3に示すように、制御装置150(実血流量算出部151)は、透析液チャンバ1331からQ
A(例えば、500mL/min)の送液量で透析液を供給させ、除水/逆濾過ポンプ1333を、除水方向にQ
R(例えば、10mL/min)で送液するように作動させる。
【0047】
血液ポンプ111cは、QB(例えば、200mL/min)の流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120側に血液を送出する。
血液浄化器120には、血液導入口122aからQBの流量で血液が流入し、QRの流量で除水されて、血液導出口122bからQB-QRの流量で導出される。また、透析液導入口123aにはQAの流量で透析液が導入され、透析液導出口123bからはQA+QRの流量で透析排液が導出される。このようにして、血液浄化器120においてQRの流量で除水が行われる。
【0048】
ここで、実血流量算出部151は、QB(例えば、200mL/min)の流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120側に血液が送出されている状態において、血液導入口122aの近傍に配置された測定部115によりヘマトクリット値を測定する。これにより、血液回路110に透析液が注水される前(希釈前)のヘマトクリット値が測定される。
【0049】
次いで、制御装置150は、
図3に示す状態において、補充液ポンプ141を駆動する。これにより、
図4に示すように、補充液ライン140Aを通じて所定の注水量q(例えば、20mL/min)で透析液が動脈側ライン111に注水される。即ち、第1実施形態では、補充液ライン140Aが血液回路110に注水を行う注水手段として用いられる。
透析液導入口123aにはQ
A-qの流量で透析液が導入され、透析液導出口123bからはQ
A+Q
Rの流量で透析排液が導出される。このようにして、補液工程においては、透析工程における除水量Q
Rに、補充液ライン140Aを介して血液回路110に注水された注水量qを加えたQ
R+qの流量で除水が行われる。
【0050】
血液ポンプ111cは、QB(例えば、200mL/min)の流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120側に血液を送出している。そのため、血液浄化器120には、血液導入口122aからQB+qの流量で血液が流入する。そして、血液浄化器120においてQR+qの流量で除水されて、血液導出口122bからQB-QRの流量で導出される。
【0051】
実血流量算出部151は、QBの流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120側に血液が送出され、かつ所定の注水量qで透析液が動脈側ライン111に注水されることでQB+qの流量で血液が血液導入口122aから導入されている状態において、血液導入口122aの近傍に配置された測定部115によりヘマトクリット値を測定する。これにより、血液回路110に透析液が注水された後(希釈後)のヘマトクリット値が測定される。
【0052】
ここで、測定部115により測定される注水前のヘマトクリット値をHctb(変化前の測定値)、注水後のヘマトクリット値をHcta(変化後の測定値)とし、血液回路110を流れる実際の血流量である実血流量をx[mL/min]とする。
実血流量算出部151は、上述の注水前の測定値Hctb、注水後の測定値Hcta及び注水量qに基づいて、実血流量xを算出する。具体的には、ヘマトクリット値の変化前後で赤血球の容量は変わらないので、数式(数1)が成り立つ。
【0053】
【0054】
これより、実血流量xは、数式(数2)で算出できる。
【0055】
【0056】
以上説明した第1実施形態の血液浄化装置100によれば、以下のような効果を奏する。
【0057】
(1)血液浄化装置100を、血液回路110と、血液浄化器120と、血液濃度に応じて変わる血液性状を測定する測定部115と、血液回路に注水を行う注水手段と、測定部115で測定された注水手段による注水前の測定値、注水後の測定値及び注水手段による注水量に基づいて実血流量を算出する実血流量算出部151と、を含んで構成した。これにより、過濃縮や循環血液量の急激な低下を招くことなく、1つの測定部を用いて実血流量が測定可能となる。
【0058】
(2)血液浄化装置100を、透析液回路130と、血液浄化器120の上流側に透析液を注水する補充液ライン140Aと、を含んで構成し、測定部115を、血液回路110と補充液ライン140Aとの接続部よりも下流側であって、血液浄化器120よりも上流側に配置した。また、制御装置150に、補充液ライン140Aを介して所定の注水量qで注水を行わせた。これにより、医療従事者が所定量の生理食塩水を血液回路に注入する等の操作をしなくても、簡単に血液回路110を流れる血液に濃度変化を与えることができる。また、前希釈方式の血液透析濾過の治療を行う場合に、除水量QRで除水を継続したまま、補充液ポンプ141の流量を増減させるだけで実血流量の測定が可能である。また、患者の体内に補充液を注入する急速補液を行うタイミングを利用して、実血流量を測定することも可能である。
【0059】
(3)制御装置150に、血液浄化器120において所定の注水量qに対応する量で濾過を行わせた。これにより、所定の注水量qを大きくすることができ、血液の濃度変化を大きくすることができるので、実血流量の測定精度を高めることができる。
【0060】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る血液浄化装置100Aについて
図5及び
図6を参照して説明する。
変形例に係る血液浄化装置100Aは、補充液ラインを備えていない点及び測定部115の配置において第1実施形態と異なる。よって、第1実施形態で説明した構成と同様のものには同じ符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0061】
図5に示すように、変形例では、血液浄化器120を介して逆濾過により透析液を注水する。即ち、変形例に係る血液浄化装置100Aでは、透析液回路130及び血液浄化器120を注水手段として用いる。
変形例では、測定部115は、血液浄化器120の下流側に配置される。具体的には、測定部115は、静脈側ライン112における血液浄化器120の血液導出口122bの近傍に配置される。
【0062】
次に、第1実施形態の変形例における実血流量の算出方法について説明する。
【0063】
(実血流量算出方法)
血液浄化装置100Aは、注水手段として透析液回路130及び血液浄化器120を用い、血液回路110のうち測定部115が配置された箇所を流れる血液に濃度変化を与える。
具体的には、まず、
図5に示すように、実血流量算出部151は、除水/逆濾過ポンプ1333が停止し、血液ポンプ111cによりQ
Bの流量で血液が送液されている状態において、測定部115によりヘマトクリット値を測定する。これにより、血液回路110に透析液が注入される前(希釈前)のヘマトクリット値が測定される。
【0064】
次いで、
図6に示すように、制御装置150は、除水/逆濾過ポンプ1333を逆濾過方向に駆動する。これにより、血液ポンプ111cによりQ
Bの流量で血液が送液されると共に、血液浄化器120を介して所定の注水量q(例えば、20mL/min)で血液回路110に逆透析濾過液が注水される。
【0065】
実血流量算出部151は、血液ポンプ111cによりQBの流量で血液が送液されると共に、血液浄化器120を介して所定の注水量q(例えば、20mL/min)で血液回路110に逆透析濾過液が注水されることで、血液導出口122bからQB+qの流量で血液が導出されている状態において、血液導出口122bの近傍に配置された測定部115によりヘマトクリット値を測定する。これにより、血液回路110に透析液が注入された後(希釈後)のヘマトクリット値が測定される。
【0066】
変形例では、注水手段が第1実施形態で説明した場合と異なるが、以降の実血流算出方法は、第1実施形態で説明した場合と同様であるので説明を省略する。
【0067】
以上説明した第1実施形態の変形例に係る血液浄化装置100Aによれば、上述の効果(1)に加えて、以下のような効果を奏する。
【0068】
(4)血液浄化装置100Aを、血液浄化器120に透析液を供給する透析液回路130を含んで構成し、測定部115を、血液浄化器120の下流側に配置した。そして、制御装置150に、注水手段として透析液回路130及び血液浄化器120を用い、透析液を所定の注水量qで逆濾過により注水させた。これにより、医療従事者が所定量の生理食塩水を血液回路に注入する等の操作をしなくても、簡単に血液回路110を流れる血液に濃度変化を与えることができる。また、患者の体内に補充液を注入する急速補液を行うタイミングを利用して、実血流量の測定が可能である。
【0069】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る血液浄化装置100Bについて
図7及び
図8を参照して説明する。
血液浄化装置100Bは、血液回路110と、測定部115と、血液浄化器120と、透析液回路130と、補充液ライン140Bと、制御装置150と、を備えており、補充液ラインの接続先及び測定部115の配置において、第1実施形態と異なる。また、第1実施形態及びその変形例では血液回路110を流通する血液の希釈により濃度変化を行うが、本実施形態では血液回路110を流通する血液の濃縮により濃度変化を行う。第1実施形態で説明した構成と同様のものには同じ符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0070】
補充液ライン140Bは、透析液回路130内の透析液を血液回路110に直接注入するためのラインであり、液体が流通可能な可撓性を有する軟質のチューブを主体として構成される。
図7に示すように、補充液ライン140Bの上流側は、透析液回路130の透析液導入ライン132aに接続されている。補充液ライン140Bの下流側は、静脈側ライン112に配置されたドリップチャンバ112cに接続される。
【0071】
補充液ライン140Bには、補充液ポンプ141及び補充液ラインクランプ142が配置される。
補充液ポンプ141は、透析液回路130から透析液を取り出して、血液回路110(静脈側ライン112)に送液する。除水/逆濾過ポンプ1333を停止した場合、補充液ライン140Bを介して静脈側ライン112に注水される透析液と同量の水分が、血液浄化器120において濾過により回収される。また、注水された透析液を患者の体内に送液する場合(補液を行う場合)、補充液ポンプ141を所定の補液流量で除水/逆濾過ポンプ1333を逆濾過方向に送液するよう駆動させる。
補充液ラインクランプ142は、補充液ライン140Bの流路を開閉する。
【0072】
図7に示すように、測定部115は、血液回路110のうち濾過により濃度変化が生じる箇所に配置される。第2実施形態では、血液浄化器120にて濾過されるので、測定部115は、血液浄化器120の下流側であって静脈側ライン112と補充液ライン140Bとの接続部よりも上流側に配置される。具体的には、測定部115は、静脈側ライン112における血液浄化器120の血液導出口122bの近傍に配置される。
【0073】
次に、第2実施形態において、実血流量を算出する場合における血液浄化装置100Bの動作について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。第2実施形態においても、実血流量算出部151による実血流量の算出は、透析工程又は補液工程において行われる。
【0074】
第2実施形態では、透析液回路130を流通する透析液の一部を、補充液ライン140Bを通じて静脈側ライン112(血液回路110)に注水するいわゆる後希釈方式で補液を行う。
【0075】
透析工程及び補液工程では、
図7及び
図8に示すように、動脈側接続部111a及び静脈側接続部112aは、それぞれ患者の血管に穿刺される針に接続された状態であり、排液ラインクランプ114aは閉状態、静脈側クランプ112dは開状態である。
【0076】
この状態で、制御装置150(実血流量算出部151)は、透析液チャンバ1331からQA(例えば、500mL/min)の送液量で透析液を供給させ、除水/逆濾過ポンプ1333を、除水方向にQR(例えば、10mL/min)で送液するように作動させる。これにより、血液浄化器120において、QRの除水が行われる。
血液ポンプ111cは、QB(例えば、200mL/min)の流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120側に血液を送出する。
血液浄化器120には、血液導入口122aからQBの流量で血液が流入し、QRの流量で除水されて、血液導出口122bからQB-QRの流量で導出される。また、透析液導入口123aにはQAの流量で透析液が導入され、透析液導出口123bからはQA+QRの流量で透析排液が導出される。このようにして、透析工程においてQRの流量で除水が行われる。
【0077】
ここで、実血流量算出部151は、QBの流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120に血液が導入され所定の除水量QRで除水が行われることで血液導出口122bからQB-QRの流量で血液が導出されている状態において、血液導出口122bの近傍に配置された測定部115によりヘマトクリット値を測定する。これにより、血液回路110に透析液が注水される前(濃縮前)のヘマトクリット値が測定される。
【0078】
次いで、制御装置150は、
図7に示す状態において、補充液ポンプ141を駆動する。これにより、
図8に示すように、補充液ライン140Bを通じて所定の注水量q(例えば、20mL/min)で透析液が静脈側ライン112に注水される。また、透析液導入口123aにはQ
A-qの流量で透析液が導入され、透析液導出口123bからはQ
A+Q
Rの流量で透析排液が導出される。このようにして、補液工程においては、透析工程における除水量Q
Rに、補充液ライン140Bを介して血液回路110に注水された注水量qを加えたQ
R+qの流量で除水が行われる。
血液ポンプ111cは、Q
B(例えば、200mL/min)の流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120側に血液を送出する。
血液浄化器120には、血液導入口122aからQ
Bの流量で血液が流入し、Q
R+qの流量で除水されて、血液導出口122bからQ
B-Q
R-qの流量で導出される。
【0079】
実血流量算出部151は、QBの流量で動脈側接続部111a側から血液浄化器120に血液が導入されQR+qの流量で除水が行われることで血液導出口122bからQB-QR-qの流量で血液が導出されている状態において、血液導出口122bの近傍に配置された測定部115によりヘマトクリット値を測定する。これにより、血液回路110に透析液が注水された後(濃縮後)のヘマトクリット値が測定される。
【0080】
このように、後希釈方式で補液を行う第2実施形態では、補液を実施している最中の血液濃度は補液開始前の血液濃度よりも高くなる。即ち、注水の前後において、静脈側ライン112における血液浄化器120の下流側であって補充液ライン140Bとの接続部分の上流側では、血液は濃縮される。
【0081】
ここで、測定部115により測定される濃度変化前のヘマトクリット値をHctb(変化前の測定値)、濃度変化後のヘマトクリット値をHcta(変化後の測定値)とし、血液回路110を流れる実際の血流量である実血流量をx[mL/min]とおく。
実血流量算出部151は、上述の変化前の測定値Hctb、変化後の測定値Hcta及び除水量QR+qに基づいて、実血流量xを算出する。具体的には、濃度変化前後で赤血球の容量は変わらないので、数式(数3)が成り立つ。
【0082】
【0083】
これより、実血流量xは、数式(数4)で算出できる。
【0084】
【0085】
以上説明した第2実施形態の血液浄化装置100Bによれば、上述の(1)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0086】
(5)血液浄化装置100Bを、透析液回路130と、血液浄化器120の下流側に透析液を注水する補充液ライン140Bと、を含んで構成し、測定部115を、血液回路110のうち血液浄化器120よりも下流側であって血液回路110と補充液ライン140Bとの接続部よりも上流側に配置した。また、制御装置150に、補充液ライン140Bを介して所定の注水量qで注水を行わせると共に、血液浄化器120から所定の注水量qに対応する濾過量qで濾過が生じる。これにより、過濃縮や循環血液量の急激な低下を招くことなく、1つの測定部115を用いて実血流量が測定可能となる。また、患者に戻される血液が過濃縮にならずに所定の濾過量qを大きくすることができ、血液の濃度変化を大きくすることができるので、実血流量の測定精度を高めることができる。また、後希釈方式の血液透析濾過の治療を行う場合に、除水量QRで除水を継続したまま、補充液ポンプ141の流量を増減させるだけで実血流量の測定が可能である。
【0087】
以上、本発明の血液浄化装置の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0088】
例えば、上述の各実施形態では、血液浄化装置が透析液回路を備える構成としたが、これに限らない。血液濃度変化を血液回路に生理食塩水を注入することにより行ってもよいし、透析を行わず血液濾過のみの除水で行ってもよい。
【0089】
また、第1実施形態では、
図4に示すように、補充液ライン140Aを介して所定の注水量qで注水を行うときに、注水した分の透析液に相当する濾過量qの濾過が血液浄化器120で生じるがこれに限らない。即ち、補充液ライン140Aを介して注水を行うときに、注水した透析液を補液として患者の体内に注入してもよい。この場合、除水/逆濾過ポンプ1333を、注水量qに相当するq又は所定の補液流量で逆濾過方向に送液させればよい。
【符号の説明】
【0090】
100、100A、100B 血液浄化装置
110 血液回路
111 動脈側ライン
111c 血液ポンプ
112 静脈側ライン
120 血液浄化器
130 透析液回路
133 透析液送液部
140A、140B 補充液ライン
141 補充液ポンプ
150 制御装置
151 実血流量算出部