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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185809
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20221208BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20221208BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093665
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿一
(72)【発明者】
【氏名】松島 寿治
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
【Fターム(参考)】
2H092GA14
2H092GA17
2H092GA20
2H092GA29
2H092JA25
2H092JA38
2H092JA46
2H092JB16
2H092NA25
2H092QA09
2H192AA24
2H192BB12
2H192BB13
2H192BB21
2H192BB55
2H192BB64
2H192BB66
2H192BB72
2H192BB73
2H192BB86
2H192BC12
2H192BC31
2H192BC51
2H192CB02
2H192CC02
2H192DA24
2H192EA22
2H192EA43
2H192JA33
(57)【要約】
【課題】 高精細化が可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 実施形態の液晶表示装置は、第1基板と、第2基板と、液晶層とを備える。前記第1基板は、第1共通電極と、前記第1基板の厚さ方向において前記第1共通電極と前記液晶層の間に位置する第2共通電極と、前記厚さ方向において前記第1共通電極と前記第2共通電極の間に位置し、第1方向に並ぶ一対の第1側辺を有する第1画素電極とを備える。前記第2共通電極は、前記第1方向に延びるとともに第2方向に並ぶ第1幹部および第2幹部と、前記第2幹部から前記第1幹部に向けて延出する第1枝部とを有する。前記第1画素電極は、前記第1幹部と前記第2幹部の間に位置する。前記第1枝部は、前記一対の第1側辺の間において前記第1画素電極と重なる。前記一対の第1側辺の間における前記第1画素電極の幅は、前記第2幹部に近づくに連れて小さくなる。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板の間の液晶層と、
を備え、
前記第1基板は、
共通電圧が印加される第1共通電極と、
前記第1基板の厚さ方向において前記第1共通電極と前記液晶層の間に位置し、前記共通電圧が印加される第2共通電極と、
前記厚さ方向において前記第1共通電極と前記第2共通電極の間に位置し、第1方向に並ぶ一対の第1側辺を有する第1画素電極と、
を備え、
前記第2共通電極は、
前記第1方向にそれぞれ延びるとともに前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1幹部および第2幹部と、
前記第2幹部から前記第1幹部に向けて延出する第1枝部と、
を有し、
前記第1画素電極は、前記第1幹部と前記第2幹部の間に位置し、
前記第1枝部は、前記一対の第1側辺の間において前記第1画素電極と重なり、
前記一対の第1側辺の間における前記第1画素電極の幅は、前記第2幹部に近づくに連れて小さくなる、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1基板は、平面視において、
前記第1共通電極が形成され、前記第2共通電極および前記第1画素電極が形成されていない一対の第1共通電圧領域と、
前記第1方向において前記一対の第1共通電圧領域の間に位置し、前記第1枝部が形成された第2共通電圧領域と、
前記第1方向において前記一対の第1共通電圧領域と前記第2共通電圧領域の間にそれぞれ位置し、前記第1画素電極が形成された画素電圧領域と、
を有している、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記一対の第1側辺は、それぞれ前記第2方向に対して鋭角を成している、
請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1画素電極は、前記一対の第1側辺と、前記第1方向と平行な短辺および長辺とを有する台形状である、
請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記短辺の幅は、前記第1枝部の根本部の幅よりも大きい、
請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1枝部の先端部は、前記第1幹部と離れている、
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1基板は、前記厚さ方向において前記第1共通電極と前記第2共通電極の間に位置するとともに前記第2方向において前記第1幹部と前記第2幹部の間に位置する第2画素電極をさらに備え、
前記第2共通電極は、前記第1幹部から前記第2幹部に向けて延出する第2枝部をさらに有し、
前記第2画素電極は、前記第1方向に並ぶ一対の第2側辺を有し、
前記第2枝部は、前記一対の第2側辺の間において前記第2画素電極と重なり、
前記一対の第2側辺の間における前記第2画素電極の幅は、前記第1幹部に近づくに連れて小さくなる、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第2共通電極は、
前記第1方向に延びるとともに前記第1幹部および前記第2幹部と前記第2方向に並ぶ第3幹部と、
前記第2幹部から前記第3幹部に向けて延出する第3枝部と、
をさらに有し、
前記第1基板は、前記厚さ方向において前記第1共通電極と前記第2共通電極の間に位置するとともに前記第2方向において前記第2幹部と前記第3幹部の間に位置する第3画素電極をさらに備え、
前記第3画素電極は、前記第1方向に並ぶ一対の第3側辺を有し、
前記第3枝部は、前記一対の第3側辺の間において前記第3画素電極と重なり、
前記一対の第3側辺の間における前記第3画素電極の幅は、前記第2幹部に近づくに連れて小さくなる、
請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1基板は、第1配向膜を有し、
前記第2基板は、第2配向膜を有し、
前記液晶層に含まれる液晶分子は、正の誘電率異方性を有し、
前記第1配向膜および前記第2配向膜は、前記液晶分子を前記第2方向に配向させる、
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1基板は、第1配向膜を有し、
前記第2基板は、第2配向膜を有し、
前記液晶層に含まれる液晶分子は、負の誘電率異方性を有し、
前記第1配向膜および前記第2配向膜は、前記液晶分子を前記第1方向に配向させる、
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一例として、IPS(In-Plane-Switching)モードの液晶表示装置が知られている。IPSモードの液晶表示装置においては、液晶層を介して対向する一対の基板のうちの一方に画素電極および共通電極が設けられ、これら電極間に発生する横電界を利用して液晶層の液晶分子の配向が制御される。また、IPSモードの中で、画素電極および共通電極を異なる層に配置する、FFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置が実用化されている。この液晶表示装置においては、一対の電極間に発生するフリンジ電界を利用して液晶分子の配向が制御される。
【0003】
一方で、下記の特許文献1には、各画素において液晶分子が回転しない領域を周期的に形成することにより応答速度を速めた液晶表示装置が開示されている。以下、この種の液晶表示装置の構成を高速応答モードと呼ぶ。
【0004】
高速応答モードにおいては、各画素において櫛歯状の電極パターンを狭ピッチで形成する必要がある。液晶表示装置をより高精細化する場合、当該櫛歯状の電極パターンが短絡する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-116184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高精細化が可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る液晶表示装置は、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板の間の液晶層と、を備えている。前記第1基板は、共通電圧が印加される第1共通電極と、前記第1基板の厚さ方向において前記第1共通電極と前記液晶層の間に位置し、前記共通電圧が印加される第2共通電極と、前記厚さ方向において前記第1共通電極と前記第2共通電極の間に位置し、第1方向に並ぶ一対の第1側辺を有する第1画素電極と、を備えている。前記第2共通電極は、前記第1方向にそれぞれ延びるとともに前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1幹部および第2幹部と、前記第2幹部から前記第1幹部に向けて延出する第1枝部と、を有している。前記第1画素電極は、前記第1幹部と前記第2幹部の間に位置している。前記第1枝部は、前記一対の第1側辺の間において前記第1画素電極と重なっている。さらに、前記一対の第1側辺の間における前記第1画素電極の幅は、前記第2幹部に近づくに連れて小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置の構成例を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る液晶表示装置の等価回路の一例を概略的に示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る表示パネルの概略的な断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る表示パネルの他の概略的な断面図である。
図5図5は、高速応答モードの動作原理を説明するためのモデルを示す平面図である。
図6図6は、図5のモデルにおいて電界が形成された状態を示す平面図である。
図7図7は、高速応答モードの動作原理を説明するための他のモデルを示す平面図である。
図8図8は、図7のモデルにおいて電界が形成された状態を示す平面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る第1共通電極、第2共通電極および画素電極の概略的な平面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る副画素に適用し得るより詳細な構造を示す概略的な平面図である。
図11図11は、第1実施形態の他の一例に係る副画素の概略的な平面図である。
図12図12は、第2実施形態に係る副画素の概略的な平面図である。
図13図13は、第3実施形態に係る副画素の概略的な平面図である。
図14図14は、第4実施形態に係る副画素の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、いくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
各実施形態においては、電子機器の一例として液晶表示装置を開示する。この液晶表示装置は、例えば、VR(Virtual Reality)ビュアー、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、テレビ受像装置、車載装置、ゲーム機器およびウェアラブル端末等の種々の装置に用いることができる。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置DSP(以下、表示装置DSPと称す)の構成例を概略的に示す斜視図である。図示した第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向Xおよび第2方向Yは、液晶表示装置(以下、単に、表示装置と称する)DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当する。第3方向Zは、表示装置DSPやその構成要素の厚さ方向に相当する。本明細書において、第1基板SUB1から第2基板SUB2に向かう方向を「上側」(あるいは、単に上)と称し、第2基板SUB2から第1基板SUB1に向かう方向を「下側」(あるいは、単に下)と称する。「第1層の上の第2層」及び「第1層の下の第2層」とした場合、第2層は、第1層に接していてもよいし、第1層から離間していてもよい。また、表示装置DSPやその構成要素を第3方向Zと平行に観ることを平面視という。
【0012】
表示装置DSPは、表示パネルPNLと、表示パネルPNLに対向する照明装置BLと、表示パネルPNLを駆動するドライバIC4と、表示パネルPNLおよび照明装置BLの動作を制御する制御モジュール5と、フレキシブル回路基板FPC1と、フレキシブル回路基板FPC2とを備えている。
【0013】
図1の例において、表示パネルPNLの平面視における形状は、第1方向Xと平行な短辺と、第2方向Yと平行な長辺とを有する長方形状である。表示パネルPNLの平面形状は、例えば正方形、正円形または楕円形などの他の形状であってもよい。
【0014】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向する第2基板SUB2と、これら基板SUB1,SUB2の間に位置する液晶層(後述する液晶層LC)とを備えている。
【0015】
表示パネルPNLは、表示領域DAおよび非表示領域NDAを有している。表示領域DAは、画像を表示する領域である。非表示領域NDAは、画像が表示されない領域である。図1の例においては、非表示領域NDAが表示領域DAを囲っている。非表示領域NDAは、周辺領域や額縁領域と呼ぶこともできる。表示パネルPNLは、例えば、表示領域DAにおいてマトリクス状に並ぶ複数の画素PXを備えている。
【0016】
ドライバIC4は、非表示領域NDAに位置している。図1の例において、ドライバIC4は、第1基板SUB1の実装部MTに実装されている。実装部MTは、第1基板SUB1のうち第2基板SUB2と重なっていない部分である。なお、ドライバIC4は、フレキシブル回路基板FPC1などの他の位置に実装されてもよい。
【0017】
フレキシブル回路基板FPC1は、表示パネルPNLと制御モジュール5とを電気的に接続している。フレキシブル回路基板FPC2は、照明装置BLと制御モジュール5とを電気的に接続している。フレキシブル回路基板FPC1は、制御モジュール5から出力される信号を表示パネルPNLに伝達する。フレキシブル回路基板FPC2は、制御モジュール5から出力される信号を照明装置BLに伝達する。
【0018】
図2は、表示装置DSPの等価回路の一例を概略的に示す図である。表示装置DSPは、第1ドライバDR1と、第2ドライバDR2と、第1ドライバDR1に接続された複数の走査線Gと、第2ドライバDR2に接続された複数の信号線Sとを備えている。各走査線Gは、表示領域DAにおいて第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに間隔を置いて並んでいる。各信号線Sは、表示領域DAにおいて第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに間隔を置いて並び、各走査線Gと交差している。
【0019】
画素PXは、複数の副画素SPを有している。例えば、本実施形態においては、1つの画素PXが赤色の副画素SPR、緑色の副画素SPG、青色の副画素SPBを1つずつ含む場合を想定する。但し、画素PXは、白色を表示する副画素SPなどをさらに含んでもよいし、同一の色に対応する複数の副画素SPを含んでもよい。なお、副画素を単に画素と称する場合もある。
【0020】
図2において、副画素SPは、第1方向Xに隣り合う2本の走査線Gと、第2方向Yに隣り合う2本の信号線Sとで区画される領域に相当する。各副画素SPに対してスイッチング素子SWと画素電極PEが配置されている。また、複数の副画素SPに亘って共通電極CEが形成されている。共通電極CEには共通電圧が印加される。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G、信号線Sおよび画素電極PEと接続されている。
【0021】
走査線Gは、第1方向Xに並んだ副画素SPの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ副画素SPの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。例えば、共通電極CEと画素電極PEとの間には保持容量が形成される。
【0022】
第1ドライバDR1は、各走査線Gに対して走査信号を順次供給する。第2ドライバDR2は、各信号線Sに対して映像信号を選択的に供給する。あるスイッチング素子SWに対応する走査線Gに走査信号が供給され、かつこのスイッチング素子SWに接続された信号線Sに映像信号が供給されると、この映像信号に応じた画素電圧が画素電極PEに印加される。このとき、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって、液晶層LCの液晶分子の配向が電圧の印加されていない初期配向状態から変化する。このような動作により、表示領域DAに画像が表示される。
【0023】
図3は、本実施形態に係る表示パネルPNLの概略的な断面図である。図3においては、1つの副画素SPの概略的な断面を示している。図示した断面において、第1基板SUB1は、透明な絶縁基材10と、絶縁層11,12,13,14,15,16と、第1配向膜17と、信号線Sと、共通電極CEと、画素電極PEとを備えている。
【0024】
絶縁基材10は、例えばガラスまたはプラスチックにより形成されている。絶縁層11,12,13,14,15,16は、この順で第3方向Zに積層されている。絶縁層11,12,13,15,16は、例えば窒化ケイ素や酸化ケイ素などの無機材料で形成されている。絶縁層14は、例えばアクリル樹脂などの有機材料で形成されている。
【0025】
信号線Sは、絶縁層13の上に配置され、絶縁層14により覆われている。本実施形態において、共通電極CEは、第1共通電極CE1と、第3方向Zにおいて第1共通電極CE1と液晶層LCの間に位置する第2共通電極CE2とを含む。第1共通電極CE1および第2共通電極CE2には、それぞれ共通電圧が印加される。
【0026】
第1共通電極CE1は、絶縁層14の上に配置され、絶縁層15により覆われている。第2共通電極CE2は、絶縁層16の上に配置され、第1配向膜17により覆われている。
【0027】
画素電極PEは、絶縁層15の上に配置され、絶縁層16により覆われている。すなわち、画素電極PEは、第3方向Zにおいて第1共通電極CE1と第2共通電極CE2の間に位置している。
【0028】
図3の断面においては、第1共通電極CE1、第2共通電極CE2および画素電極PEが第3方向Zに重なっている。1共通電極CE1、第2共通電極CE2および画素電極PEは、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料で形成されている。
【0029】
第2基板SUB2は、透明な絶縁基材20と、遮光層21と、カラーフィルタ22と、オーバーコート層23と、第2配向膜24とを備えている。絶縁基材20は、例えばガラスまたはプラスチックにより形成されている。
【0030】
遮光層21およびカラーフィルタ22は、絶縁基材20の下に配置され、オーバーコート層23により覆われている。オーバーコート層23は、第2配向膜24により覆われている。第1配向膜17および第2配向膜24は、液晶層LCに含まれる液晶分子を後述する初期配向方向に配向させる。
【0031】
遮光層21は、副画素SPの境界に配置されている。遮光層21は、各副画素SPにおいて開口OPを有している。開口OPは、当該開口OPが設けられた副画素SPに対応する色のカラーフィルタ22と重なっている。
【0032】
表示パネルPNLは、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2とをさらに備えている。第1偏光板PL1は、絶縁基材10の下面に貼り付けられている。第2偏光板PL2は、絶縁基材20の上面に貼り付けられている。偏光板PL1,PL2の偏光軸(または吸収軸)は、互いに直交している。表示パネルPNLは、第1偏光板PL1および第2偏光板PL2以外の光学機能層をさらに備えてもよい。
【0033】
図4は、表示パネルPNLの他の概略的な断面図である。スイッチング素子SWは、半導体層SCを備えている。図4に示す断面は、この半導体層SCに沿ったものに相当する。
【0034】
半導体層SCは、絶縁層11の上に配置され、絶縁層12により覆われている。走査線Gは、絶縁層12の上に配置され、絶縁層13により覆われている。図4の断面においては、走査線Gが半導体層SCと2か所で対向している。すなわち、当該スイッチング素子SWはダブルゲート型である。ただし、スイッチング素子SWはシングルゲート型であってもよい。
【0035】
半導体層SCの一部には、絶縁層12,13に設けられたコンタクトホールCH1を通じて信号線Sが接触している。半導体層SCの他の一部には、絶縁層12,13,14,15に設けられたコンタクトホールCH2を通じて画素電極PEが接触している。画素電極PEと半導体層SCの間に中継用の導電層が介在してもよい。この導電層は、例えば信号線Sと同じ材料により信号線Sと同層に形成することができる。
【0036】
図4の断面においては、半導体層SC、信号線S、走査線G、コンタクトホールCH1,CH2が第3方向Zにおいて遮光層21と対向している。ただし、例えば半導体層SCの一部が遮光層21と対向していなくてもよい。
【0037】
ここで、高速応答モードについて説明する。図5および図6は、高速応答モードの動作原理を説明するためのモデルM1を示す平面図である。モデルM1は、下部電極E1と、下部電極E1に重ねられた上部電極E2と、複数の液晶分子LMとを含む。モデルM1における液晶分子LMは、正(ポジ型)の誘電率異方性を有している。
【0038】
上部電極E2は、幹部TPmと、幹部TPmから延出する複数の枝部BPmとを有している。枝部BPmは、先端側の角部C1,C2と、根本側の角部C3,C4と、角部C1,C3の間の側辺101と、角部C2,C4の間の側辺102とを有している。
【0039】
図5の例においては、下部電極E1と上部電極E2の間に電界が形成されていない。このとき、液晶分子LMは、配向膜の作用によりその長軸が初期配向方向ADと一致するように配向される。図5の例においては、初期配向方向ADと枝部BPmの延出方向が一致している。
【0040】
図6の例においては、下部電極E1と上部電極E2の間に電界が形成されている。図中に鎖線で示すELは、上部電極E2の周囲に生じる電界の等電位線の一例である。液晶分子LMには、電界の方向に対して長軸が平行となる(等電位線ELに直交する)ように回転する力が働く。
【0041】
角部C1,C3の近傍においては、液晶分子LMが第1回転方向R1に回転する。また、角部C2,C4の近傍においては、液晶分子LMが第2回転方向R2に回転する。第1回転方向R1および第2回転方向R2は、互いに異なる回転方向(反対の回転方向)である。
【0042】
角部C1~C4は、側辺101,102の近傍における液晶分子LMの回転方向を制御する配向制御機能(換言すると、配向を安定化する機能)を有している。すなわち、側辺101の近傍の液晶分子LMは、角部C1,C3の近傍における液晶分子LMの回転の影響を受けて、第1回転方向R1に回転する。また、側辺102の近傍の液晶分子LMは、角部C2,C4の近傍における液晶分子LMの回転の影響を受けて、第2回転方向R2に回転する。画像表示に際して、側辺101,102の近傍は、高透過率領域(明領域)となる。
【0043】
一方で、枝部BPmの中心CL1の近傍や、2本の枝部BPmの間の領域における中心CL2の近傍においては、第1回転方向R1に回転する液晶分子LMと第2回転方向R2に回転する液晶分子LMとが拮抗している。そのため、中心CL1,CL2においては液晶分子LMが初期配向状態に維持され、殆ど回転しない。画像表示に際して、中心CL1,CL2の近傍は、低透過率領域(暗領域)となる。
【0044】
図7および図8は、高速応答モードの動作原理を説明するためのモデルM2を示す平面図である。モデルM2は、モデルM1と同じく下部電極E1、上部電極E2および複数の液晶分子LMを含む。ただし、モデルM2における液晶分子LMは、負(ネガ型)の誘電率異方性を有している。
【0045】
モデルM2においては、初期配向方向ADと枝部BPmの延出方向が直交している。下部電極E1と上部電極E2の間に電界が形成されていない状態においては、図7に示すように液晶分子LMが配向される。
【0046】
図8の例においては、下部電極E1と上部電極E2の間に電界が形成されている。液晶分子LMには、電界の方向に対して長軸が垂直を成す(等電位線ELと平行となる)ように回転する力が働く。
【0047】
モデルM2においても、側辺101の近傍の液晶分子LMが第1回転方向R1に回転し、側辺102の近傍の液晶分子LMが第2回転方向R2に回転する。また、中心CL1,CL2においては液晶分子LMが初期配向状態に維持され、殆ど回転しない。
【0048】
モデルM1,M2のいずれにおいても、電界の形成時に液晶分子LMが所定方向に回転する領域と、液晶分子LMが回転しない領域とが図中の上下方向に交互に形成される。これにより、表示装置の応答速度を高めることができる。
【0049】
図9は、本実施形態に係る第1共通電極CE1、第2共通電極CE2および画素電極PEの概略的な平面図である。ここでは、4つの副画素SP(SPa,SPb,SPc,SPd)に着目する。表示領域DAにおいては、これら副画素SPa,SPb,SPc,SPdから成る構成が第1方向Xおよび第2方向Yに繰り返し並んでいる。
【0050】
副画素SPa,SPb,SPc,SPdは、上述の副画素SPR,SPG,SPBのいずれかである。副画素SPa,SPbは第1方向Xに並び、副画素SPc,SPdは第1方向Xに並び、副画素SPa,SPcは第2方向Yに並び、副画素SPb,SPdは第2方向Yに並んでいる。
【0051】
第2共通電極CE2は、第1方向Xに延びる複数の幹部TPと、各幹部TPから延出する複数の枝部BPとを有している。図9においては、第2方向Yに並ぶ3つの幹部TP(第1乃至第3幹部TPa,TPb,TPc)および4つの枝部BP(第1乃至第4枝部BPa,BPb,BPc,BPd)が示されている。枝部BPa,BPbは、幹部TPbから幹部TPaに向けて延出している。枝部BPc,BPdは、幹部TPcから幹部TPbに向けて延出している。枝部BPa,BPb,BPc,BPdの延出方向は、第2方向Yと平行である。
【0052】
副画素SPa,SPb,SPc,SPdのそれぞれに対して開口OP(第1乃至第4開口OPa,OPb,OPc,OPd)が設けられている。開口OPa,OPbは、幹部TPa,TPbの間に位置している。開口OPc,OPdは、幹部TPb,TPcの間に位置している。すなわち、図9の例においては、幹部TPa,TPb,TPcが上述の遮光層21と重なっている。
【0053】
副画素SPa,SPb,SPc,SPdのそれぞれに対して画素電極PE(第1乃至第4画素電極PEa,PEb,PEc,PEd)と、半導体層SC(第1乃至第4半導体層SCa,SCb,SCc,SCd)とが配置されている。画素電極PEa,PEbは、大部分が幹部TPa,TPbの間に位置している。画素電極PEc,PEdは、大部分が幹部TPb,TPcの間に位置している。
【0054】
枝部BPaは、第1方向Xに並ぶ一対の側辺31,32と、根本部33と、先端部34とを有している。側辺31は、第2方向Yに対して時計回りに鋭角θ1を成すように傾いている。側辺32は、第2方向Yに対して反時計回りに鋭角θ1を成すように傾いている。根本部33は、枝部BPaと幹部TPbの接続部分に相当する。先端部34は、幹部TPaと離れている。
【0055】
画素電極PEaは、第1方向Xに並ぶ一対の側辺41,42と、短辺43(上底)と、短辺43に平行な長辺44(下底)とを有する台形状である。側辺41は、第2方向Yに対して反時計回りに鋭角θ2を成すように傾いている。側辺42は、第2方向Yに対して時計回りに鋭角θ2を成すように傾いている。短辺43および長辺44は、第1方向Xと平行である。
【0056】
側辺41,42が上記の通り傾いているため、側辺41,42の間における画素電極PEaの幅Wpeは、幹部TPb(または根本部33、短辺43)に近づくに連れて小さくなる。枝部BPaおよび画素電極PEaは、大部分が開口OPaと重なっている。枝部BPaは、側辺41,42の間において画素電極PEaと重なっている。
【0057】
鋭角θ1,θ2は、例えば10度以下である。他の例として、鋭角θ1,θ2は5度以下である。図9の例においては、鋭角θ1が鋭角θ2よりも小さい。この場合には、画素電極PEaに比べて幅が小さい枝部BPaを極力長く形成することができる。ただし、鋭角θ1を鋭角θ2以上とすることも可能である。
【0058】
図9の例においては、短辺43が幹部TPbと重なり、長辺44が幹部TPaと重なっている。ただし、短辺43と幹部TPbが重なっていなくてもよい。また、長辺44と幹部TPaが重なっていなくてもよい。
【0059】
枝部BPb,BPc,BPdは、枝部BPaと同様の形状を有している。また、画素電極PEb,PEc,PEdは、画素電極PEaと同様の形状を有している。
【0060】
第1共通電極CE1は、副画素SPa,SPb,SPc,SPdと全体的に重なる形状を有している。すなわち、図9において第2共通電極CE2および各画素電極PEが存在しない領域には、第1共通電極CE1が存在している。
【0061】
図10は、副画素SPに適用し得るより詳細な構造を示す概略的な平面図である。ここでは図9に示した副画素SPaに着目する。副画素SPaの開口OPaは、2本の走査線G(第1および第2走査線Ga,Gb)と、2本の信号線S(第1および第2信号線Sa,Sb)とで囲われている。走査線Ga,Gbおよび信号線Sa,Sbは、全体的に遮光層21と重なっている。また、走査線Gaは幹部TPaと重なり、走査線Gbは幹部TPbと重なっている。
【0062】
図10の例においては、画素電極PEaの短辺43が走査線Gbと重なり、画素電極PEaの長辺44が走査線Gaと重なっている。他の例として、第2方向Yにおいて短辺43と走査線Gbが離れていてもよいし、第2方向Yにおいて長辺44と走査線Gaが離れていてもよい。さらに、図10の例においては、画素電極PEaが信号線Sa,Sbと重なっていない。他の例として、画素電極PEaの一部が信号線Sa,Sbの少なくとも一方と重なっていてもよい。
【0063】
図10の例においては、画素電極PEaの短辺43の幅W43が、枝部BPaの根本部33の幅W33よりも大きい。さらに、第1方向Xにおいて、画素電極PEaの側辺41,42と根本部33とが離れている。
【0064】
副画素SPaの半導体層SCaと信号線Saは、コンタクトホールCH1(図4参照)を通じて接続されている。また、半導体層SCaと画素電極PEaは、コンタクトホールCH2(図4参照)を通じて接続されている。半導体層SCaは、コンタクトホールCH1,CH2の間で走査線Gaと2回交差している。
【0065】
コンタクトホールCH1は、走査線Ga,Gbの間において走査線Ga寄りに位置している。コンタクトホールCH2は、開口OPaと長辺44の間に位置している。コンタクトホールCH2は、開口OPaと走査線Gaの間、開口OPaと幹部TPaの間、または側辺41と長辺44が成す角部に位置していると言うこともできる。
【0066】
副画素SPb,SPc,SPdを含む他の副画素SPについても図10に示した副画素SPaと同様の構造を適用し得る。
【0067】
以上のような本実施形態の構造であれば、図9において幹部TPb,TPcの間に例示するように、第1共通電圧領域Ac1と、第2共通電圧領域Ac2と、画素電圧領域Apとが形成される。第1共通電圧領域Ac1および第2共通電圧領域Ac2は、共通電圧が印加される領域である。画素電圧領域Apは、画素電圧が印加される領域である。
【0068】
第1共通電圧領域Ac1は、第1共通電極CE1が形成され、第2共通電極CE2および画素電極PEが形成されていない領域であり、第1方向Xに隣り合う2つの画素電極PEの間に位置している。第2共通電圧領域Ac2は、枝部BPが形成された領域であり、第1方向Xにおいて一対の第1共通電圧領域Ac1の間に位置している。画素電圧領域Apは、画素電極PEが形成され、第2共通電極CE2が形成されていない領域であり、第1方向Xにおいて一対の第1共通電圧領域Ac1と第2共通電圧領域Ac2の間にそれぞれ位置している。
【0069】
図9の例においては、液晶分子LMの初期配向方向ADが第2方向Yと一致している。すなわち、第1配向膜17および第2配向膜24は、液晶分子LMを第2方向Yに配向させる。液晶分子LMは、正の誘電率異方性を有している。
【0070】
共通電極CE1,CE2と画素電極PEとの間に電界が形成された際に、枝部BPの側辺31の近傍や画素電極PEの側辺42の近傍においては、液晶分子LMが第1回転方向R1に回転する。また、枝部BPの側辺32の近傍や画素電極PEの側辺41の近傍においては、液晶分子LMが第2回転方向R2に回転する。
【0071】
一方で、第1共通電圧領域Ac1の第1方向Xにおける中心CLc1、第2共通電圧領域Ac2の第1方向Xにおける中心CLc2、画素電圧領域Apの第1方向Xにおける中心CLpにおいては、液晶分子LMの回転が抑制される。これにより、上述のモデルM1と同様の高速応答モードが実現される。
【0072】
仮に、第1共通電圧領域Ac1と第2共通電圧領域Ac2を1つの導電層で形成する場合、これら共通電圧領域Ac1,Ac2を第1方向Xに狭ピッチでパターニングする必要がある。例えば2000ppi以上に高精細な表示装置DSPを実現するにあたっては、パターニングの解像限界により、共通電圧領域Ac1,Ac2を1つの導電層で形成することが困難となり得る。
【0073】
これに対し、本実施形態においては、第1共通電圧領域Ac1と第2共通電圧領域Ac2が第3方向Zに重ねられた異なる導電層で形成されている。そのため、これら共通電圧領域Ac1,Ac2を狭ピッチで配列することが可能である。また、各副画素SPにおける一対の画素電圧領域Apは、画素電極PEに枝部BPを重ね合わせることで形成されている。これにり、画素電極PEに対する精細なパターニングが不要となる。これらにより、高精細な表示装置DSPを製造することができる。
【0074】
さらに、本実施形態において、画素電極PEは、当該画素電極PEと重なる枝部BPが接続された幹部TPに近づくに連れて幅Wpeが小さくなる形状を有している。これにより、画素電極PEの側辺41,42が第2方向Y(初期配向方向AD)に対して鋭角θ2を成すように傾いている。このような構成においては、側辺41,42が第2方向Yと平行である場合に比べ、側辺41,42の近傍における液晶分子LMの回転方向が定まりやすくなる。結果として、液晶分子LMの配向安定性が高まり、表示装置DSPの表示品位が向上する。
【0075】
また、本実施形態においては、枝部BPの側辺31,32が第2方向Y(初期配向方向AD)に対して鋭角θ1を成すように傾いている。これにより、側辺41,42の場合と同様に液晶分子LMの配向安定性が高まる。
【0076】
図11は、本実施形態の他の一例に係る副画素SPa,SPb,SPc,SPdの概略的な平面図である。この例においては、初期配向方向ADが第1方向X(幹部TPの延出方向)と平行であり、液晶分子LMが負の誘電率異方性を有している。すなわち、第1配向膜17および第2配向膜24は、液晶分子LMを第1方向Xに配向させる。その他の構成は図9と同様である。
【0077】
図9の例と同じく、共通電極CE1,CE2と画素電極PEとの間に電界が形成された際に、側辺31,42の近傍においては液晶分子LMが第1回転方向R1に回転し、側辺32,41の近傍においては液晶分子LMが第2回転方向R2に回転する。一方で、中心CLc1,CLc2,CLpにおいては液晶分子LMの回転が抑制される。これにより、上述のモデルM2と同様の高速応答モードが実現される。
【0078】
図11の例においても、側辺31,32,41,42が第2方向Y(初期配向方向ADと直交する方向)に対して鋭角を成すように傾いていることにより、側辺31,32,41,42の近傍における液晶分子LMの回転方向が定まりやすくなる。結果として、液晶分子LMの配向安定性が高まり、表示装置DSPの表示品位が向上する。
【0079】
以上の他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
【0080】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。特に言及しない構成は第1実施形態と同様である。
【0081】
図12は、第2実施形態に係る副画素SPa,SPb,SPc,SPdの概略的な平面図である。表示領域DAにおいては、これら副画素SPa,SPb,SPc,SPdから成る構成が第1方向Xおよび第2方向Yに繰り返し並んでいる。
【0082】
図12の例において、副画素SPa,SPcの構造は図9の例と同様であるが、副画素SPb,SPdの構造が図9の例と異なる。すなわち、副画素SPb,SPdは、第1方向Xと平行な軸に関して副画素SPa,SPcと線対称の形状を有している。
【0083】
具体的には、枝部BPbが幹部TPaから幹部TPbに向けて延出し、枝部BPdが幹部TPbから幹部TPcに向けて延出している。また、画素電極PEbは幹部TPaに近づくに連れて幅が小さくなる形状を有し、画素電極PEdは幹部TPbに近づくに連れて幅が小さくなる形状を有している。
【0084】
図12の例においては、副画素SPaの開口OPaと、副画素SPbの開口OPbとが第2方向Yにおいてずれている。すなわち、開口OPa,OPbのサイズは同じであるが、開口OPbと幹部TPaの間の距離が開口OPaと幹部TPaの間の距離よりも小さい。さらに、開口OPbと幹部TPbの間の距離が開口OPaと幹部TPbの間の距離よりも大きい。副画素SPcの開口OPcと副画素SPdの開口OPdとの関係も、開口OPa,OPbの関係と同様である。
【0085】
副画素SPaの半導体層SCaの配置態様は、図10に示したものと同様である。すなわち、半導体層SCaの一部が幹部TPaと重なっている。一方、副画素SPbの半導体層SCbについては、その一部が幹部TPbと重なっている。半導体層SCbと画素電極PEbを接続するコンタクトホールCH2は、開口OPbと幹部TPbの間に位置している。副画素SPcの半導体層SCcと副画素SPdの半導体層SCdの配置態様は、それぞれ半導体層SCa,SCbと同様である。すなわち、半導体層SCcの一部が幹部TPbと重なり、半導体層SCdの一部が幹部TPcと重なっている。
【0086】
図10の例と同じく、隣り合う幹部TPの間には、第1共通電圧領域Ac1と、第2共通電圧領域Ac2と、画素電圧領域Apとが形成される。図10の例においては、第1共通電圧領域Ac1の幅が一定ではなく、隣接する画素電極PEの長辺44に近づくに連れて小さくなる。これに対し、図12の例においては、第1方向Xにおける第1共通電圧領域Ac1の幅(第1方向Xに隣り合う画素電極PEの間隔)が一定である。したがって、第1方向Xにおいて画素電極PEを狭ピッチで配列した場合であっても、隣り合う画素電極PEが短絡しにくい。
【0087】
図12においては、初期配向方向ADが第2方向Yと一致し、かつ正の誘電率異方性を有する液晶分子LMが電界により回転した状態を示している。本実施形態においては、第1方向Xに隣り合う画素電極PEの側辺同士が平行となるため、図12において画素電極PEcの側辺42と画素電極PEdの側辺41に重ねて示した液晶分子LMのように、第1共通電圧領域Ac1における液晶分子LMの回転方向が揃う。これにより、第1共通電圧領域Ac1には液晶分子LMが回転しない部分が形成されにくい。したがって、安定した高速応答モードを実現する観点からは、第1実施形態の構成に利点がある。
【0088】
なお、本実施形態の構成において、図11の例と同じく、初期配向方向ADが第1方向Xと平行であり、かつ液晶分子LMが負の誘電率異方性を有していてもよい。
【0089】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。特に言及しない構成は上述の各実施形態と同様である。
【0090】
図13は、第3実施形態に係る副画素SPa,SPb,SPc,SPdの概略的な平面図である。表示領域DAにおいては、これら副画素SPa,SPb,SPc,SPdから成る構成が第1方向Xおよび第2方向Yに繰り返し並んでいる。
【0091】
図13の例において、副画素SPa,SPbの構造は図9の例と類似しているが、副画素SPc,SPdの構造が図9の例と異なる。すなわち、枝部BPc,BPdがいずれも幹部TPbから幹部TPcに向けて延出し、画素電極PEc,PEdがいずれも幹部TPbに近づくに連れて幅が小さくなる形状を有している。
【0092】
図13においては、シングルゲート型の半導体層SCa,SCb,SCc,SCdを例示している。半導体層SCa,SCb,SCc,SCdは、上述の各実施形態と同様のダブルゲート型であってもよい。
【0093】
図13の例においては、半導体層SCaの一部が幹部TPaと重なっている。半導体層SCaと画素電極PEaを接続するコンタクトホールCH2は、側辺41と長辺44が成す角部の近傍において開口OPaと幹部TPaの間に位置している。半導体層SCbの配置態様は半導体層SCaと同様である。
【0094】
また、図13の例においては、半導体層SCcの一部が幹部TPcと重なっている。半導体層SCcと画素電極PEcを接続するコンタクトホールCH2は、側辺42と長辺44が成す角部の近傍において開口OPcと幹部TPcの間に位置している。半導体層SCdの配置態様は半導体層SCcと同様である。
【0095】
本実施形態の構成においても、図9の例と同じく、隣り合う2つの幹部TPの間に第1共通電圧領域Ac1、第2共通電圧領域Ac2および画素電圧領域Apが形成される。図13においては、初期配向方向ADが第2方向Yと一致し、かつ正の誘電率異方性を有する液晶分子LMが電界により回転した状態を示している。他の例として、初期配向方向ADが第1方向Xと平行であり、かつ液晶分子LMが負の誘電率異方性を有していてもよい。
【0096】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。特に言及しない構成は上述の各実施形態と同様である。
【0097】
図14は、第4実施形態に係る副画素SPa,SPb,SPc,SPdの概略的な平面図である。表示領域DAにおいては、これら副画素SPa,SPb,SPc,SPdから成る構成が第1方向Xおよび第2方向Yに繰り返し並んでいる。
【0098】
図14の例において、副画素SPa,SPdの構造は図9の例と同様である。また、副画素SPb,SPcの構造は図12の例における副画素SPbと同様である。すなわち、枝部BPaが幹部TPbから幹部TPaに向けて延出し、枝部BPbが幹部TPaから幹部TPbに向けて延出し、枝部BPcが幹部TPbから幹部TPcに向けて延出し、枝部BPdが幹部TPcから幹部TPbに向けて延出している。
【0099】
また、画素電極PEaが幹部TPbに近づくに連れて幅が小さくなる形状を有し、画素電極PEbが幹部TPaに近づくに連れて幅が小さくなる形状を有し、画素電極PEcが幹部TPbに近づくに連れて幅が小さくなる形状を有し、画素電極PEdが幹部TPcに近づくに連れて幅が小さくなる形状を有している。
【0100】
本実施形態の構成においても、図9の例と同じく、隣り合う2つの幹部TPの間に第1共通電圧領域Ac1、第2共通電圧領域Ac2および画素電圧領域Apが形成される。また、図12の例と同じく、第1方向Xにおける第1共通電圧領域Ac1の幅(第1方向Xに隣り合う画素電極PEの間隔)が一定である。
【0101】
図14においては、初期配向方向ADが第2方向Yと一致し、かつ正の誘電率異方性を有する液晶分子LMが電界により回転した状態を示している。他の例として、初期配向方向ADが第1方向Xと平行であり、かつ液晶分子LMが負の誘電率異方性を有していてもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態として説明した液晶表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0103】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0104】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0105】
DSP…液晶表示装置、PNL…表示パネル、BL…照明装置、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、LC…液晶層、PX…画素、SP…副画素、CE1…第1共通電極、CE2…第2共通電極、PE…画素電極、TP…幹部、BP…枝部、LM…液晶分子、AD…初期配向方向、OP…開口、SC…半導体層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14