(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185811
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】自律走行システム、自律走行方法、及び自律走行プログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20221208BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093667
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301BB10
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD05
5H301DD16
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301QQ08
(57)【要約】
【課題】自律走行装置の走行経路を生成する作業者の作業効率を向上させることが可能な自律走行システム、自律走行方法、及び自律走行プログラムを提供する。
【解決手段】自律走行装置10は、カメラ43の撮像画像に基づいて作業者を認識する認識処理部413と、自律走行装置10を作業者を追従して走行させる走行処理部418と、撮像画像に基づいて、作業者の所定のジェスチャー操作を検出する検出処理部415と、検出されるジェスチャー操作が予め設定された特定ジェスチャー操作である場合に、特定ジェスチャー操作に対応する特定動作と自律走行装置10の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する登録処理部414と、自律走行装置10が作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、登録処理部414により登録される動作情報とに基づいて、走行経路を生成する生成処理部416と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に基づいて自律走行装置を走行させる自律走行システムであって、
前記自律走行装置に搭載される検出部の検出情報に基づいて作業者を認識する認識処理部と、
前記自律走行装置を、前記作業者を追従して走行させる走行処理部と、
前記検出情報に基づいて、前記作業者の所定の登録操作を検出する検出処理部と、
前記検出処理部により検出される前記登録操作が予め設定された特定登録操作である場合に、当該特定登録操作に対応する特定動作と前記自律走行装置の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する登録処理部と、
前記自律走行装置が前記作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、前記登録処理部により登録される前記動作情報とに基づいて、前記走行経路を生成する生成処理部と、
を備える自律走行システム。
【請求項2】
前記検出部はカメラであって、
前記認識処理部は、前記カメラの撮像画像に基づいて前記作業者を認識し、
前記検出処理部は、前記撮像画像に基づいて、前記作業者の所定の登録操作を検出する、
請求項1に記載の自律走行システム。
【請求項3】
前記検出処理部は、前記作業者の所定のジェスチャー操作を検出し、
前記登録処理部は、前記検出処理部により検出される前記ジェスチャー操作が予め設定された特定ジェスチャー操作である場合に、当該ジェスチャー操作に対応する前記特定動作と前記自律走行装置の位置情報とを互いに関連付けた前記動作情報を登録する、
請求項1又は2に記載の自律走行システム。
【請求項4】
前記登録処理部は、前記検出処理部により検出される前記ジェスチャー操作が第1ジェスチャー操作である場合に、前記自律走行装置に第1位置で第1動作を実行させる第1動作情報を登録し、前記検出処理部により検出される前記ジェスチャー操作が第2ジェスチャー操作である場合に、前記自律走行装置に第2位置で第2動作を実行させる第2動作情報を登録する、
請求項3に記載の自律走行システム。
【請求項5】
前記自律走行装置に搭載される表示部に前記検出情報を表示させる表示処理部をさらに備える、
請求項1から3のいずれかに記載の自律走行システム。
【請求項6】
前記登録処理部は、前記検出処理部により検出される前記登録操作が前記特定登録操作であって、かつ、前記表示部に表示される前記検出情報に対して前記作業者から登録操作を受け付けた場合に、前記動作情報を登録する、
請求項5に記載の自律走行システム。
【請求項7】
前記生成処理部は、前記自律走行装置が前記作業者を追従して走行している間に前記検出部が検出した前記検出情報に基づいて地図を生成し、前記地図上に前記走行経路を生成する、
請求項1から6のいずれかに記載の自律走行システム。
【請求項8】
前記生成処理部は、前記走行軌跡を前記自律走行装置の走行動作に応じた経路に補正して前記走行経路を生成する、
請求項1から7のいずれかに記載の自律走行システム。
【請求項9】
前記自律走行装置が前記作業者を追従できない状態になった場合に、警告情報を報知する報知処理部をさらに備える、
請求項1から8のいずれかに記載の自律走行システム。
【請求項10】
走行経路に基づいて自律走行装置を走行させる自律走行方法であって、
一又は複数のプロセッサが、
前記自律走行装置に搭載される検出部の検出情報に基づいて作業者を認識する認識ステップと、
前記自律走行装置を、前記作業者を追従して走行させる走行ステップと、
前記検出情報に基づいて、前記作業者の所定の登録操作を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出される前記登録操作が予め設定された特定登録操作である場合に、当該特定登録操作に対応する特定動作と前記自律走行装置の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する登録ステップと、
前記自律走行装置が前記作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、前記登録ステップにおいて登録される前記動作情報とに基づいて、前記走行経路を生成する生成ステップと、
を実行する自律走行方法。
【請求項11】
走行経路に基づいて自律走行装置を走行させる自律走行プログラムであって、
前記自律走行装置に搭載される検出部の検出情報に基づいて作業者を認識する認識ステップと、
前記自律走行装置を、前記作業者を追従して走行させる走行ステップと、
前記検出情報に基づいて、前記作業者の所定の登録操作を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出される前記登録操作が予め設定された特定登録操作である場合に、当該特定登録操作に対応する特定動作と前記自律走行装置の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する登録ステップと、
前記自律走行装置が前記作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、前記登録ステップにおいて登録される前記動作情報とに基づいて、前記走行経路を生成する生成ステップと、
を一又は複数のプロセッサに実行させるための自律走行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行可能な自律走行装置を走行させる自律走行システム、自律走行方法、及び自律走行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、労働力不足や人件費の高騰などにより、ショッピングモール、駅、空港などの施設を警備(監視)したり、清掃したりする作業者が不足している。そのため、自律走行可能に設計され、安全性を有する産業用の自律走行型の警備ロボット、清掃ロボットなどの移動ロボット(自律走行装置)の導入が進んでいる。
【0003】
この種の自律走行装置の中には、作業者の操作に基づいて走行経路を記憶する教示機能(ティーチング機能)を備えるものがある(例えば特許文献1参照)。例えば、作業者は、経路教示モードに設定して、作業エリアにおいて自律走行装置を運転操作しながら所望の経路を走行させて自律走行装置が走行した軌跡を走行経路として記憶させる。自律走行装置は、自律走行モードに設定されると、経路教示モードで記憶された前記走行経路を再現走行する。これにより、作業者の操作(教示操作)に基づいて生成された走行経路に従って自律走行装置を自律的に走行させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、作業者が自律走行装置を手動で移動させながら操作端末において走行経路の設定操作などを行う必要があり、作業者が操作に不慣れな場合、走行経路の設定操作(教示操作)に時間がかかり、作業効率が低下する問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、自律走行装置の走行経路を生成する作業者の作業効率を向上させることが可能な自律走行システム、自律走行方法、及び自律走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る自律走行システムは、走行経路に基づいて自律走行装置を走行させるシステムである。前記自律走行システムは、前記自律走行装置に搭載される検出部の検出情報に基づいて作業者を認識する認識処理部と、前記自律走行装置を、前記作業者を追従して走行させる走行処理部と、前記検出情報に基づいて、前記作業者の所定の登録操作を検出する検出処理部と、前記検出処理部により検出される前記登録操作が予め設定された特定登録操作である場合に、当該特定登録操作に対応する特定動作と前記自律走行装置の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する登録処理部と、前記自律走行装置が前記作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、前記登録処理部により登録される前記動作情報とに基づいて、前記走行経路を生成する生成処理部と、を備える。
【0008】
本発明の他の局面に係る自律走行方法は、走行経路に基づいて自律走行装置を走行させる方法である。前記自律走行方法では、一又は複数のプロセッサが、前記自律走行装置に搭載される検出部の検出情報に基づいて作業者を認識する認識ステップと、前記自律走行装置を、前記作業者を追従して走行させる走行ステップと、前記検出情報に基づいて、前記作業者の所定の登録操作を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出される前記登録操作が予め設定された特定登録操作である場合に、当該特定登録操作に対応する特定動作と前記自律走行装置の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する登録ステップと、前記自律走行装置が前記作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、前記登録ステップにおいて登録される前記動作情報とに基づいて、前記走行経路を生成する生成ステップと、を実行する。
【0009】
本発明の他の局面に係る自律走行プログラムは、走行経路に基づいて自律走行装置を走行させるプログラムである。前記自律走行プログラムは、前記自律走行装置に搭載される検出部の検出情報に基づいて作業者を認識する認識ステップと、前記自律走行装置を、前記作業者を追従して走行させる走行ステップと、前記検出情報に基づいて、前記作業者の所定の登録操作を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出される前記登録操作が予め設定された特定登録操作である場合に、当該特定登録操作に対応する特定動作と前記自律走行装置の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する登録ステップと、前記自律走行装置が前記作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、前記登録ステップにおいて登録される前記動作情報とに基づいて、前記走行経路を生成する生成ステップと、を一又は複数のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自律走行装置の走行経路を生成する作業者の作業効率を向上させることが可能な自律走行システム、自律走行方法、及び自律走行プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の前方側の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の後方側の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の記憶部に登録される地図情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の記憶部に登録されるティーチング情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の記憶部に登録されるジェスチャー情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る自律走行装置が作業者を追従して走行する様子を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るティーチング操作の様子を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る自律走行装置に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る自律走行装置の記憶部に登録される動作情報の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る自律走行装置で実行される走行経路生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係る自律走行装置で実行される走行経路生成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[自律走行装置10]
図1は、本発明の実施形態に係る自律走行装置10の前方側の外観を示す斜視図であり、
図2は、自律走行装置10の後方側の外観を示す模式図である。以下の説明では、各図に示される上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3を用いる。自律走行装置10は、本発明の自律走行装置の一例である。
【0014】
自律走行装置10は、ショッピングモール、駅、空港などの施設内を自律的に走行することによって移動する自律走行装置であり、移動ロボットとも称される。自律走行装置10は、例えば、警備ロボット、清掃ロボット、案内ロボット、介護ロボット、荷物運搬ロボットなど様々な用途に利用される。例えば、自律走行装置10は、自律走行によって移動しつつ、施設内の警備対象エリアを警備(監視)する。また例えば、自律走行装置10は、自律走行によって移動しつつ、清掃対象エリアを清掃する。また例えば、自律走行装置10は、自律走行によって移動しつつ、利用者を目的地に案内したり、表示パネル21に案内情報又は広告情報を表示したりする。自律走行装置10は、予め設定された走行経路、時間帯、充電のために戻る帰還位置などの各種設定情報に基づいて自律走行する。
【0015】
以下では、本実施形態の自律走行装置10として、警備機能を備える警備ロボットを挙げて説明する。例えば、自律走行装置10は、ショッピングモールにおいて、所定の時間帯(例えば夜間)に、予め設定された走行経路に従って走行処理を実行しながら、不審者などの異常の有無を検知する警備処理を実行する。
【0016】
自律走行装置10は、装置本体11と、装置本体11に設けられた各機能部とを備えている。具体的には、装置本体11には、走行部12、モータ(不図示)、バッテリ(不図示)、操作部20(
図2参照)、表示パネル21(
図1参照)、充電接続部30(
図2参照)、及び制御部40(制御装置)などが設けられている。
【0017】
図1に示すように、装置本体11は、その外装を構成する外装カバー11Aを有する。また、
図2に示すように、装置本体11は、その下部にシャーシ11Bを有する。シャーシ11Bは、床面に対して概ね平行に設けられている。また、装置本体11の内部には、上述の各機能部を支持するための支持フレームが適宜設けられている。
【0018】
走行部12は、装置本体11の下部に設けられている。走行部12は、装置本体11の走行姿勢を維持しつつ進行方向の搬送力を床面に伝達するものであり、シャーシ11Bに取り付けられている。走行部12は、走行用の一対の車輪121と、4つのキャスタ122とを有する。
【0019】
車輪121は、シャーシ11Bの前後方向の中央であって、左右方向D3(幅方向)の両端部それぞれに回転可能に支持されている。4つのキャスタ122は、装置本体11の走行姿勢を維持するためのものであり、シャーシ11Bの前方端の両端部、及びシャーシ11Bの後方端の両端部に回転可能に支持されている。自律走行装置10が床面に置かれた状態で、車輪121及びキャスタ122の各外周面は床面によって支持される。これにより、装置本体11が、
図1及び
図2に示される走行姿勢に維持される。
【0020】
車輪121の回転軸には、減速ギヤなどの伝達機構を介して、前記モータの出力軸が連結されている。このため、前記モータが駆動されて、その回転駆動力が前記出力軸から出力されると、前記モータの回転駆動力が車輪121に伝達される。本実施形態では、一対の車輪121のそれぞれに対して、個別に前記モータが設けられている。したがって、前記各モータが個別に駆動制御されることによって、各車輪121の回転速度が制御される。例えば、各車輪121の回転速度が等速に制御されると、自律走行装置10は直進又は後進し、各車輪121の回転速度が異なる速度に制御されると、回転速度の遅い車輪121側に自律走行装置10が旋回する。
【0021】
前記バッテリは、装置本体11の中心部に設けられている。前記バッテリは、前記モータに駆動用の電力を供給する。
【0022】
図2に示すように、装置本体11の背面には、背面を覆う背面カバー17が設けられている。背面カバー17には、前記バッテリの充電時に用いられる充電接続部30が設けられている。充電接続部30は、充電ステーションが備える3つの給電端子に接続される3つの受電端子31を有している。なお、自律走行装置10が清掃ロボットの場合、背面カバー17内部に清掃機能に係る構成部品が配置される。
【0023】
図3は、自律走行装置10の正面図である。
図3に示すように、自律走行装置10の正面には、フロントレーザセンサ41と、ソナーセンサ42と、カメラ43とが設けられている。
【0024】
フロントレーザセンサ41は、装置本体11の正面の下部に形成された幅方向に延びる溝部175に設けられている。フロントレーザセンサ41は、溝部175の内部の中央に配置されている。フロントレーザセンサ41は、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。フロントレーザセンサ41は制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。フロントレーザセンサ41は、前方へ向けて幅方向(水平方向)へ所定の走査角(例えば120°)の範囲内でレーザ光を走査する。フロントレーザセンサ41が、照射された物体(対象物)で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部40は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部40は、自律走行装置10の正面側(進行方向側)に存在する物体までの距離や位置、その物体の幅方向における形状やサイズを把握することができる。
【0025】
ソナーセンサ42は、表示パネル21の下側に設けられている。装置本体11の正面における幅方向の両端部それぞれにソナーセンサ42が設けられている。ソナーセンサ42は制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。ソナーセンサ42は、音波を用いて物体を検知するものであり、その音波が物体に反射して戻ってくるまでの時間に基づいて、その物体との距離を測定する。
【0026】
カメラ43は、表示パネル21の上側に設けられている。カメラ43は、装置本体11の正面における幅方向の中央に配置されている。カメラ43は制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。カメラ43は、所定のフレームレートで前方の所定範囲(例えば水平方向120度、垂直方向100度の範囲)を撮像し、撮像した画像データを制御部40に出力する。制御部40は、カメラ43から前記画像データを順次取得して所定の画像処理(後述)を実行する。カメラ43は、本発明の検出部の一例であり、また本発明のカメラの一例である。
【0027】
また、装置本体11の両側面それぞれには、サイドレーザセンサ45が設けられている。サイドレーザセンサ45は、フロントレーザセンサ41と概ね同様に構成されており、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。サイドレーザセンサ45は制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。サイドレーザセンサ45は、前方から下方そして後方へ向けて所定の走査角(例えば180°)の範囲内でレーザ光を走査する。サイドレーザセンサ45が、照射された物体(対象物)で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部40は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部40は、自律走行装置10の正面側(進行方向側)に存在する物体や、床面に存在する段差や障害物までの距離や位置、それらの走査方向における形状やサイズを把握することができる。
【0028】
また、装置本体11の上面には監視カメラ44が設けられている。監視カメラ44は、装置本体11の天板における中央に配置されている。監視カメラ44は制御部40に接続されており、制御部40によって制御される。監視カメラ44は、撮像範囲を変更可能に構成されており、制御部40の命令に従って所定の撮像範囲を撮像する。例えば、監視カメラ44は、レンズを水平方向に360度、垂直方向に180度回転させることが可能な回転機構を備えており、制御部40が指示した方向にレンズを回転させて当該方向の所定範囲を撮像する。監視カメラ44は、所定のフレームレートで所定範囲を撮像し、撮像した画像データを制御部40に出力する。制御部40は、監視カメラ44から前記画像データを順次取得して所定の画像処理(後述)を実行する。
【0029】
自律走行装置10は、警備対象エリアに相当する地図(環境地図)の情報と、フロントレーザセンサ41、ソナーセンサ42、カメラ43、監視カメラ44、及びサイドレーザセンサ45の検出情報とを利用することにより、予め設定された前記走行経路を自律走行する。なお、カメラ43及び監視カメラ44が一つのカメラで構成されてもよい。例えば、装置本体11の上面に設けられた監視カメラ44が、カメラ43の役割を担ってもよい。
【0030】
操作部20(
図2参照)は、装置本体11の背面の上部に設けられている。操作部20は、外装カバー11Aに取り付けられている。操作部20は、作業者よって操作される装置であり、例えば、タッチ操作が可能なタッチパネルを有する装置である。操作部20には、作業者が各種操作(ティーチング操作、登録操作、設定操作、走行指示操作など)を行うための操作画面が表示される。操作部20に対する操作情報は、制御部40に転送され、制御部40による走行制御に用いられる。なお、操作部20は、装置本体11の上面に設けられてもよい。
【0031】
表示パネル21(
図1参照)は、装置本体11の前面に設けられている。表示パネル21は、例えば液晶パネルである。表示パネル21には、ティーチング操作(教示操作)中に各種の操作画面(
図10~
図18参照)が制御部40によって表示される。また、表示パネル21には、自律走行装置10が自律走行中(警備中)に、警備情報などのアナウンス情報が制御部40によって表示される。前記警備情報は、例えば不審者を検知した場合の警告、通報などをアナウンスする情報である。表示パネル21は、本発明の表示部の一例である。
【0032】
操作ハンドル22は、装置本体11の背面の最上部に設けられている。操作ハンドル22は、外装カバー11Aに取り付けられている。操作ハンドル22は、作業者が手動で自律走行装置10を運転操作する場合に、作業者が把持する操作部材である。
【0033】
通信部25(
図4参照)は、自律走行装置10を有線又は無線でネットワークに接続し、当該ネットワークを介してサーバ(不図示)などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0034】
記憶部50(
図4参照)は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部50には、地図情報51、ティーチング情報52、ジェスチャー情報53、動作情報54などのデータが記憶される。
図5は、地図情報51の一例を示す図である。
図6は、ティーチング情報52の一例を示す図である。
図7は、ジェスチャー情報53の一例を示す図である。動作情報54(
図19参照)については後述する。
【0035】
図5に示すように、地図情報51には、自律走行装置10が走行する警備エリア(作業エリア)に対応する環境地図の情報が登録される。地図情報51には、1又は複数の環境地図が登録される。
図5には、一つの環境地
図M1を例示している。例えば、施設のフロアごとに環境地図が生成される場合、地図情報51には、施設のフロアのそれぞれに対応する複数の環境地図が登録される。具体的には、地図情報51に、施設のフロアF1の環境地
図M1と、フロアF2の環境地
図M2と、フロアF3の環境地
図M3とが登録される。前記環境地図は、外部機器において予め生成されたものであってもよいし、自律走行装置10が走行しながら各センサ(フロントレーザセンサ41と、ソナーセンサ42など)により検出される障害物までの距離及び位置に基づいて生成されたものであってもよい。すなわち、制御部40は、自律走行装置10を走行させることによって走行エリアの環境地図を生成してもよい。以下では、
図5に示す環境地
図M1を例に挙げて説明する。
【0036】
図6に示すように、ティーチング情報52には、作業者による前記ティーチング操作に関する情報が登録される。
【0037】
ここで、本実施形態に係るティーチング操作では、
図5に示す環境地
図M1に対応する施設の走行経路のティーチング操作を担当する作業者Aが施設内を歩行し、自律走行装置10が
図8に示すように作業者Aの後ろを追従して走行する。
図9には、ティーチング操作中の作業者Aと作業者Aに追従して走行する自律走行装置10とを示している。
図9の符号P0は、ティーチング操作の開始位置P1を表している。自律走行装置10は、作業者Aに追従して走行している間、各種情報を取得してティーチング情報52に登録する。
【0038】
具体的には、ティーチング情報52には、所定の時間間隔の時刻ごとに、「位置情報」、「ジェスチャー検出」、「ジェスチャー種別」などの情報が登録される。「位置情報」は、自律走行装置10の位置(座標)を示す情報である。前記位置情報は、環境地
図M1と、フロントレーザセンサ41、ソナーセンサ42、及びカメラ43などの検出結果とに基づいて算出される。「ジェスチャー検出」は、自律走行装置10が作業者Aのジェスチャー操作を検出したか否かを示す情報である。前記ジェスチャー操作は、作業者Aの手(右手及び左手)、顔、全身による所定の動作である。例えば、前記ジェスチャー操作は、右手を挙げる動作、左手を挙げる動作、指差し動作、手を横又は縦に振る動作、腰や膝を折り曲げて姿勢を低くする動作(屈む動作)などである。制御部40は、カメラ43の撮像画像を解析して前記ジェスチャー操作を検出すると、ティーチング情報52の「ジェスチャー検出」に「1」を登録する。「ジェスチャー種別」は、前記ジェスチャー操作に対応する作業者の動作を示す情報である。作業者Aは、ティーチング操作において、自律走行装置10が追従走行しているときに所定の位置で所定のジェスチャー操作を行う。制御部40は、作業者Aのジェスチャー操作を検出すると、当該ジェスチャー操作の動作情報を「ジェスチャー種別」に登録する。
【0039】
図7に示すように、ジェスチャー情報53には、作業者による前記ジェスチャー操作に関する情報が登録される。具体的には、ジェスチャー情報53には、「ジェスチャー種別」、「動作内容」などの情報が登録される。ジェスチャー情報53の各種情報は、管理者等により予め設定されて記憶部50に記憶される。「ジェスチャー種別」は、前記ジェスチャー操作の認識対象となるジェスチャー操作の種別である。制御部40は、前記ジェスチャー種別に登録されたジェスチャー操作を認識することが可能である。「動作内容」は、制御部40が前記ジェスチャー操作を認識した場合に、自律走行装置10に実行させる動作内容を示す情報である。
【0040】
ジェスチャー種別「指差し」には、「監視カメラにより指差し方向をジェスチャー操作時間だけ撮影する動作を登録」の動作内容が関連付けられて登録されている。例えば、制御部40は、ティーチング操作において、カメラ43の撮像画像に基づいて作業者Aの「指差し」のジェスチャー操作を検出すると、監視カメラ44に指差し方向を指差し操作の時間だけ撮影させる動作の情報を、自律走行装置10の位置情報に関連付けて登録する(
図19の動作情報54)。
【0041】
また、ジェスチャー種別「手を振る」には、「監視カメラにより360度をジェスチャー操作時間だけ撮影する動作を登録」の動作内容が関連付けられて登録されている。例えば、制御部40は、ティーチング操作において、カメラ43の撮像画像に基づいて作業者Aの「手を振る」のジェスチャー操作を検出すると、監視カメラ44に360度の方向を手を振る操作の時間だけ撮影させる動作の情報を、自律走行装置10の位置情報に関連付けて登録する(
図19の動作情報54)。
【0042】
また、ジェスチャー種別「屈む」には、「特定情報をジェスチャー操作時間だけ表示する動作を登録」の動作内容が関連付けられて登録されている。例えば、制御部40は、ティーチング操作において、カメラ43の撮像画像に基づいて作業者Aの「屈む」のジェスチャー操作を検出すると、表示パネル21に所定の情報を表示させる動作の情報を、自律走行装置10の位置情報に関連付けて登録する(
図19の動作情報54)。
【0043】
また、ジェスチャー種別「右手挙手」には、「動作情報の登録モードに移行」の動作内容が関連付けられて登録されている。例えば、制御部40は、ティーチング操作において、カメラ43の撮像画像に基づいて作業者Aの「右手挙手」のジェスチャー操作を検出すると、特定のジェスチャー操作(「指差し」、「手を振る」、「屈む」など)に関連付けられた動作内容を自律走行装置10の位置情報に関連付けて登録する登録モードに移行させる。制御部40は、登録モードに移行した後に前記特定のジェスチャー操作を検出すると、当該ジェスチャー操作に関連付けられた動作内容の情報を、自律走行装置10の位置情報に関連付けて登録する(
図19の動作情報54)。
【0044】
また、ジェスチャー種別「左手挙手」には、「ティーチング操作を終了」の動作内容が関連付けられて登録されている。例えば、制御部40は、ティーチング操作において、カメラ43の撮像画像に基づいて作業者Aの「左手挙手」のジェスチャー操作を検出すると、ティーチング操作を終了させて、動作内容の登録処理及び位置情報の登録処理を終了する。
【0045】
このように、制御部40は、作業者Aのジェスチャー操作を検出すると、ジェスチャー情報53を参照して、検出したジェスチャー操作に関連付けられた動作内容を実行する。
【0046】
他の実施形態として、地図情報51、ティーチング情報52、ジェスチャー情報53、動作情報54などの情報の一部又は全部が、自律走行装置10からネットワークを介してアクセス可能なデータサーバなどに記憶されてもよい。
【0047】
さらに、記憶部50には、制御部40に後述の走行経路生成処理(
図20及び
図21参照)を実行させるための走行経路生成プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記走行経路生成プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、自律走行装置10が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部50に記憶される。
【0048】
制御部40は、装置本体11の上部に設けられている(不図示)。
図4には、制御部40の構成を示す機能ブロック図を示している。制御部40は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部40は、前記ROM又は記憶部50に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより自律走行装置10を制御する。
【0049】
具体的に、制御部40は、
図4に示すように、取得処理部411、表示処理部412、認識処理部413、登録処理部414、検出処理部415、生成処理部416、報知処理部417、走行処理部418などの各種の処理部を含む。なお、制御部40は、前記CPUで前記走行経路生成プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記走行経路生成プログラムは、複数のプロセッサを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0050】
取得処理部411は、ティーチング操作中にカメラ43が撮像した撮像画像の画像データを取得する。具体的には、
図8に示すように、ティーチング操作において、自律走行装置10が作業者Aを追従して走行している間、カメラ43は所定のフレームレートで前方を撮像し、撮像画像の画像データを制御部40に順次出力する。取得処理部411は、ティーチング操作中、カメラ43から繰り返し画像データを取得する。
【0051】
表示処理部412は、各種情報を表示パネル21に表示させる。具体的には、表示処理部412は、ティーチング操作に関する操作画面(
図10~
図18参照)を表示パネル21に表示させる。表示処理部412は、各操作画面にアナウンス情報を表示することにより、作業者Aによるティーチング操作を支援する。
【0052】
認識処理部413は、取得処理部411が取得する画像データに対応する撮像画像に基づいて作業者を認識する。具体的には、作業者Aは、ティーチング操作を開始する際に、自律走行装置10のカメラ43で自身を撮影する。表示処理部412は、
図10に示すように、カメラ43が撮像した撮像画像を表示パネル21に表示させる。なお、表示処理部412は、操作画面に、ティーチング操作の対象エリア(環境地
図M1)の情報(環境地図情報)、走行経路ID、走行経路名などを表示させてもよい。
【0053】
認識処理部413は、前記撮像画像から人物を検出すると、検出した人物画像を表示させて、作業者Aに間違いないかどうかを確認する(
図11参照)。作業者Aがカメラ43の前で頷くと、認識処理部413は、検出した人物を、ティーチング操作を行う作業者であると認識する。認識処理部413が作業者を認識すると、制御部40は、ティーチング操作を開始する(
図12参照)。表示処理部412は、ティーチング操作が開始されると、
図12に示すように、環境地
図M1において、ティーチング操作の開始位置P0と、自律走行装置10の現在位置(“★”マーク)と、作業者Aの現在位置(“●”マーク)とを表示させる。
【0054】
ティーチング操作が開始されると、制御部40は、認識した作業者Aを追従するように自律走行装置10の走行を制御する。具体的には、制御部40は、カメラ43から取得する撮像画像に含まれる作業者Aの位置に基づいて自律走行装置10の走行速度及び走行方向を制御する。表示処理部412は、自律走行装置10が作業者Aを追従走行している間、自律走行装置10の走行軌跡を操作画面に表示させる(
図13参照)。
【0055】
なお、ティーチング操作が開始された後に、認識処理部413が作業者Aを認識できなくなった場合(見失った場合)には、報知処理部417は、認識不能であることを示すメッセージ(警告情報)を操作画面に表示させる(
図14参照)。なお、報知処理部417は、前記メッセージを音声出力してもよいし、所定の警告音を出力してもよい。すなわち、報知処理部417は、自律走行装置10が作業者Aを追従できない状態になった場合に、警告情報を報知する。
【0056】
このように、認識処理部413は、カメラ43から取得する撮像画像に基づいて作業者を認識する。他の実施形態として、認識処理部413は、自律走行装置10に搭載されるセンサ(例えばフロントレーザセンサ41、ソナーセンサ42など)の検出結果に基づいて作業者を認識してもよい。前記センサは、本発明の検出部の一例である。
【0057】
登録処理部414は、ティーチング操作中の自律走行装置10の現在位置の位置情報をティーチング情報52(
図6参照)に登録する。
【0058】
検出処理部415は、前記撮像画像に基づいて、作業者Aの所定のジェスチャー操作(本発明の登録操作)を検出する。具体的には、検出処理部415は、ジェスチャー情報53(
図7参照)に登録された複数のジェスチャー操作(ジェスチャー種別)を参照して、前記撮像画像に含まれる作業者Aのジェスチャー操作を特定する。検出処理部415が所定のジェスチャー操作を検出すると、制御部40は、当該ジェスチャー操作に関連付けられた特定の動作(
図7の動作内容)を実行する。
【0059】
ここで、例えば、ティーチング操作中に作業者Aが任意の位置で所定時間立ち止まると、表示処理部412は、
図15に示す操作画面を表示させる。具体的には、表示処理部412は、特定動作を登録する登録モードに移行させるジェスチャー操作(例えば「右手挙手」)と、ティーチング操作を終了させるジェスチャー操作(例えば「左手挙手」)とに関するアナウンス情報を表示させる。検出処理部415が、カメラ43の撮像画像から作業者Aの「右手挙手」の特定ジェスチャー操作を検出すると、制御部40は、特定の動作内容を自律走行装置10の位置情報に関連付けて登録する登録モードに移行させる。なお、検出処理部415が「右手挙手」を検出すると、登録処理部414は、「右手挙手」に関する情報をティーチング情報52に登録する(
図6の時刻t12)。
【0060】
前記登録モードに移行すると、さらに、検出処理部415が検出したジェスチャー操作が特定ジェスチャー操作である場合に、登録処理部414は、当該特定ジェスチャー操作に対応する動作内容と自律走行装置10の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する。具体的には、登録処理部414は、検出処理部415が検出したジェスチャー操作が第1ジェスチャー操作である場合に、自律走行装置10に第1位置で第1動作を実行させる第1動作情報を登録し、検出処理部415が検出したジェスチャー操作が第2ジェスチャー操作である場合に、自律走行装置10に第2位置で第2動作を実行させる第2動作情報を登録する。
【0061】
また、登録処理部414は、検出処理部415が検出したジェスチャー操作が特定ジェスチャー操作であって、かつ、表示パネル21に表示された当該特定ジェスチャー操作の情報に対して作業者から登録操作(例えば頷く操作)を受け付けた場合に、前記動作情報を登録する。
【0062】
例えば、作業者Aが任意の位置で指差し操作を行うと、表示処理部412は、
図16に示す操作画面において、当該ジェスチャー操作を確認する問い合わせ情報を表示させる。作業者Aがカメラ43に向かって頷くと、制御部40は、指差し操作に関連付けられた特定動作を実行する。ここでは、登録処理部414が、「監視カメラにより指差し方向をジェスチャー操作(指差し操作)時間だけ撮影する動作」を自律走行装置10の現在位置[x10,y10]に関連付けて登録する処理を実行する(
図6の時刻t13)。また、表示処理部412は、
図17に示す操作画面において、登録内容を表示させる。これにより、作業者Aは、意図した特定動作が確実に登録されたことを認識することができる。
【0063】
例えば、作業者Aが任意の位置で手を振る操作を行うと、表示処理部412は、操作画面において、当該ジェスチャー操作を確認する問い合わせ情報を表示させる。作業者Aがカメラ43に向かって頷くと、制御部40は、手を振る操作に関連付けられた特定動作を実行する。ここでは、登録処理部414が、「監視カメラにより360度をジェスチャー操作(手を振る)時間だけ撮影する動作」を自律走行装置10の現在位置[x20,y20]に関連付けて登録する処理を実行する(
図6の時刻t23)。
【0064】
生成処理部416は、自律走行装置10が作業者Aを追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、登録処理部414により登録される前記動作情報とに基づいて、前記走行経路を生成する。具体的には、生成処理部416は、ティーチング情報52(
図6参照)に登録された位置情報に基づいて
図18に示す軌跡情報を生成する。前記軌跡情報には、自律走行を開始する位置P0、自律走行する経路R1、自律走行を終了する位置Gなどの情報が含まれる。表示処理部412は、生成した軌跡情報を
図18に示す操作画面に表示させて、作業者Aに確認を促す。また、表示処理部412は、
図18に示す操作画面に、特定動作の位置P1,P2を表示させてもよい。なお、位置P1は
図6の位置情報[x10,y10]に対応し、位置P2は
図6の位置情報[x20,y20]に対応する。
【0065】
また、登録処理部414は、
図6に示すティーチング情報52に基づいて動作情報54を登録する。
図19には、動作情報54の一例を示している。動作情報54には、自律走行装置10を自律走行させる際の動作情報を示す情報が登録される。例えば、位置情報[x1,y1]には、自律走行装置10が自律走行を開始する際の動作情報が関連付けられて登録される。また、位置情報[x10,y10]には、作業者Aが特定のジェスチャー操作(指差し)により登録した特定動作の動作情報が関連付けられて登録される。また、位置情報[x20,y20]には、作業者Aが特定のジェスチャー操作(手を振る)により登録した特定動作の動作情報が関連付けられて登録される。また、位置情報[x50,y50]には、自律走行装置10が自律走行を終了する際の動作情報が関連付けられて登録される。生成処理部416は、前記走行軌跡及び動作情報54を含む走行経路を生成する。生成処理部416は、生成した走行経路の情報を、走行経路ID及び走行経路名に関連付けて記憶部50に記憶する。
【0066】
例えば、記憶部50には、施設のフロアF1の環境地
図M1に対応する走行経路(走行経路ID「0001」)の情報と、施設のフロアF2の環境地
図M2に対応する走行経路(走行経路ID「0002」)の情報と、施設のフロアF3の環境地
図M3に対応する走行経路(走行経路ID「0003」)の情報とが記憶される。
【0067】
なお、生成処理部416は、自律走行装置10が作業者Aを追従して走行している間にカメラ43が撮像した撮像画像に基づいて地図(環境地図)を生成し、前記地図上に前記走行経路を生成してもよい。
【0068】
ここで、自律走行装置10が作業者Aを追従して走行した走行軌跡は、作業者Aの移動軌跡に対応するため、通路に対して斜めになったり、ジグザクになったりする可能性がある。そこで、生成処理部416は、前記走行軌跡を自律走行装置10の走行動作に応じた経路に補正して前記走行経路を生成してもよい。例えば、生成処理部416は、直線状の走行経路に補正したり、右左折経路を90度旋回するように走行経路を補正したりする。また、生成処理部416は、作業者Aの移動軌跡を、警備対象エリア内の障害物などを回避可能な位置に補正して走行経路を生成してもよい。
【0069】
走行処理部418は、生成処理部416により生成された走行経路に従って自律走行を実行する。例えば、施設の管理者は、操作部20(
図2参照)を操作して、自律走行させる走行経路(走行経路ID、走行経路名など)を選択する。走行経路が選択されると、走行処理部418は、記憶部50から当該走行経路の情報(
図18及び
図19参照)を読み出して、
図18に示す経路R1に従って自律走行しながら、
図19に示す動作情報54に応じた動作を実行する。これにより、自律走行装置10は、例えば位置P0で自律走行を開始し、位置P1[x10,y10]に到達すると一旦停止して監視カメラ44に左側90度の方向を30秒間撮影させる。その後、自律走行装置10は、経路R1に従って走行し、位置P2[x20,y20]に到達すると一旦停止して監視カメラ44を360度回転させながら90秒間撮影させる。その後、自律走行装置10は、経路R1に従って走行し、位置G[x50,y50]に到達すると自律走行を終了する。
【0070】
このように、本実施形態に係る自律走行装置10が警備ロボットである場合、自律走行装置10は、作業者Aによるティーチング操作の登録内容に応じて、前記走行経路に従って自律走行するとともに、位置P1,P2において前記特定動作を実行することにより、警備対象エリアを警備する。
【0071】
[走行経路生成処理]
以下、
図20及び
図21を参照しつつ、自律走行装置10において実行される走行経路生成処理について説明する。具体的に、本実施形態では、自律走行装置10の制御部40によって前記走行経路生成処理が実行される。
【0072】
なお、本発明は、前記走行経路生成処理に含まれる一又は複数のステップを実行する走行経路生成方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記走行経路生成処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記走行経路生成処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部40が前記走行経路生成処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサが当該走行経路生成処理における各ステップを分散して実行する走行経路生成方法も他の実施形態として考えられる。
【0073】
制御部40は、作業者からティーチング操作を開始する指示を受け付けると、前記走行経路生成処理を実行する。
【0074】
先ず、ステップS11において、制御部40は、カメラ43から撮像画像を取得する。例えば、作業者Aが自律走行装置10においてティーチング操作を開始する操作を行うと、制御部40は、カメラ43に撮影指示を出力して、カメラ43が撮像した撮像画像を取得する。
【0075】
制御部40は、カメラ43から前記撮像画像を取得すると(S11:Yes)、ステップS12において、前記撮像画像から人物を検出する。制御部40は、人物を検出すると(S12:Yes)、ステップS13において、検出した人物の画像を表示パネル21に表示させる(
図10参照)。
【0076】
次にステップS14において、制御部40は、表示パネル21に表示した人物が作業者であるか否かを問い合わせる問い合わせ画面を表示させる(
図11参照)。作業者がカメラ43の前で頷くと、制御部40は、作業者の確認を取得し、検出した人物を、ティーチング操作を行う作業者であると認識する(S14:Yes)。制御部40は、ティーチング操作を行う作業者を認識するまでステップS1~S4の処理を繰り返す。
【0077】
制御部40は、ティーチング操作を行う作業者を認識(決定)すると(S14:Yes)、ステップS15において、ティーチング処理を実行する(
図12参照)。制御部40は、ティーチング処理を開始すると、ステップS16において、カメラ43から取得する撮像画像から作業者を検出する(
図13参照)。なお、制御部40は、カメラ43から取得する撮像画像から作業者を検出できない場合(S16:No)、ステップS161において、作業者を認識できないことを示す警告情報を操作画面に表示させる(
図14参照)。
【0078】
制御部40は、カメラ43から取得する撮像画像から作業者を検出すると(S16:Yes)、自律走行装置10が所定時間停止しない間(S17:No)、自律走行装置10の位置情報を取得する(S171)。制御部40は、取得した位置情報をティーチング情報52(
図6参照)に登録する。このように、制御部40は、自律走行装置10が作業者を認識しながら追従して走行している間、自律走行装置10の移動軌跡の位置情報を蓄積していく(
図6参照)。
【0079】
ここで、作業者が任意の位置で立ち止まり、自律走行装置10が所定時間停止すると(S17:Yes)、制御部40は、ステップS18において、
図15に示す操作画面において、特定動作を登録する登録モードに移行させるジェスチャー操作(例えば「右手挙手」)と、ティーチング操作を終了させるジェスチャー操作(例えば「左手挙手」)とに関するアナウンス情報を表示させる。
【0080】
次に、ステップS19において、制御部40は、カメラ43から取得した撮像画像から作業者による「右手挙手」のジェスチャー操作を検出したか否かを判定する。制御部40が「右手挙手」のジェスチャー操作を検出した場合(S19:Yes)、処理はステップS20に移行する。一方、制御部40が「右手挙手」のジェスチャー操作を検出しない場合(S19:No)、処理はステップS191に移行する。
【0081】
ステップS20では、制御部40は、自律走行装置10に実行させる特定動作を登録する登録モードに移行させる。
【0082】
次にステップS21において、制御部40は、カメラ43から取得した撮像画像から検出したジェスチャー操作が特定ジェスチャー操作であるか否かを判定する。ジェスチャー操作が特定ジェスチャー操作である場合(S21:Yes)、処理はステップS22に移行する。ジェスチャー操作が特定ジェスチャー操作でない場合(S21:No)、処理はステップS19に戻る。なお、ここでの前記特定ジェスチャー操作は、「指差し」、「手を振る」、「屈む」など、自律走行装置10が自律走行する際に実行する特定動作を登録するためのジェスチャー操作である。
【0083】
ステップS22では、制御部40は、
図16に示す操作画面において、検出した前記特定ジェスチャー操作を確認する問い合わせ情報を表示させる。
【0084】
次にステップS23において、制御部40は、作業者から前記特定ジェスチャー操作に対応する動作情報の登録操作を受け付けたか否かを判定する。例えば、作業者がカメラ43に向かって頷くと(
図16参照)、制御部40は、前記特定ジェスチャー操作に対応する動作情報の登録操作を受け付ける。
【0085】
次にステップS24において、制御部40は、前記特定ジェスチャー操作に対応する動作情報を登録する。例えば、自律走行装置10の現在位置[x10,y10]における前記特定ジェスチャー操作が「指差し」である場合、制御部40は、「監視カメラにより指差し方向を指差し操作時間だけ撮影する動作」を位置[x10,y10]に関連付けて登録する(
図6の時刻t13)。また例えば、自律走行装置10の現在位置[x20,y20]における前記特定ジェスチャー操作が「手を振る」である場合、制御部40は、「監視カメラにより360度を手を振る時間だけ撮影する動作」を位置[x20,y20]に関連付けて登録する(
図6の時刻t23)。制御部40は、前記特定動作に関する動作情報を動作情報54に登録する(
図19参照)。また、制御部40は、
図17に示す操作画面において、登録内容を表示させる。制御部40が動作情報を登録すると、処理はステップS15に戻る。ステップS15に戻ると、制御部40は、自律走行装置10を、作業者を追従して走行させる。
【0086】
ステップS15に戻り、自律走行装置10が作業者を追従して走行し、位置[x20,y20]において前記特定ジェスチャー操作「手を振る」を検出すると、制御部40は、「監視カメラにより360度を手を振る時間だけ撮影する動作」を位置[x20,y20]に関連付けて登録する(
図6の時刻t23)。制御部40は、前記特定動作に関する動作情報を動作情報54に登録する(
図19参照)。
【0087】
ここで、ステップS191において、制御部40が作業者による「左手挙手」のジェスチャー操作を検出すると(S191:Yes)、制御部40はティーチング処理を終了する(S192)。その後、制御部40は、自律走行装置10が作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報(
図18参照)と、登録した動作情報54(
図19参照)とに基づいて、走行経路を生成する。制御部40は、生成した走行経路の情報を記憶部50に記憶する。
【0088】
以上のようにして、制御部40は、自律走行装置10の走行経路を生成する。作業者は、自律走行装置10を自律走行させる場合に、記憶部50に登録された一又は複数の走行経路(経路パターン)から所望の走行経路を選択する。制御部40は、作業者が選択した前記走行経路に従って、自律走行装置10を自律走行させる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る自律走行装置10は、自律走行装置10に搭載される検出部(例えばカメラ43)の検出情報(例えば撮像画像)に基づいて作業者を認識する。また、自律走行装置10は、認識した作業者を追従して走行する。また、自律走行装置10は、前記検出情報に基づいて、作業者の所定の登録操作(例えばジェスチャー操作)を検出し、検出した前記登録操作が予め設定された特定登録操作である場合に、当該特定登録操作に対応する特定動作と自律走行装置10の位置情報とを互いに関連付けた動作情報を登録する。また、自律走行装置10は、作業者を追従して走行する走行軌跡の軌跡情報と、登録した前記動作情報とに基づいて、自律走行する走行経路を生成する。
【0090】
この構成によれば、作業者は、ティーチング操作において、自律走行装置10に自律走行させたい経路を移動(歩行)することにより走行経路を登録することができる。また、走行経路の所定の位置において、自律走行装置10に特定の動作を実行させたい場合に、作業者は、ティーチング操作において、所定のジェスチャー操作を行うことにより、当該特定の動作を登録することができる。このように、作業者は操作端末などを用いて走行経路を設定したり登録したりする必要がないため、容易にティーチング操作を行うことができる。このため、ティーチング操作に不慣れな作業者であっても、ティーチング操作を行うことができる。また、ティーチング操作の作業効率を向上させることができる。
【0091】
なお、前記ティーチング操作において前記特定動作を登録する方法は、作業者の体を使ったジェスチャー操作による方法に限定されない。例えば、作業者の音声により前記特定動作を登録してもよい。例えば、作業者が位置[x10,y10]において、「監視カメラにより左側90度の方向を30秒間撮影」の音声を発話した場合に、制御部40は、当該音声を取得してその内容を特定動作として位置[x10,y10]に関連付けて登録する。
【0092】
上述の実施形態では、自律走行装置10が警備ロボットである場合を例に挙げたが、本発明の自律走行装置は、例えば清掃ロボットであってもよい。自律走行装置が清掃ロボットの場合、自律走行装置は、生成された走行経路に従って自律走行しながら清掃作業を行う。また、自律走行装置は、位置P1,P2において特定動作を実行する。ここでは、前記特定動作として、例えば位置P1において清掃作業を重点的に行う動作、位置P2において汚れを落とすために薬剤を散布する動作などが登録される。
【0093】
また他の実施形態として、本発明の自律走行装置は、例えば案内ロボットであってもよい。自律走行装置が案内ロボットの場合、自律走行装置は、生成された走行経路に従って自律走行するとともに、位置P1,P2において特定動作を実行する。ここでは、前記特定動作として、例えば位置に応じた特定の広告を表示する動作、広告情報を音声でアナウンスする動作などが登録される。
【0094】
上述した実施形態では、自律走行装置10単体が本発明に係る自律走行システムに相当するが、本発明に係る自律走行システムは、自律走行装置10及びサーバ(情報処理装置)のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。例えば、自律走行装置10及びサーバのうち複数の構成要素が協働して前記走行経路生成処理を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムを本発明に係る自律走行システムとして捉えることが可能である。例えば、前記サーバ単体が本発明に係る自律走行システムを構成してもよい。具体的には、前記サーバが、
図4に示す制御部40の各処理部(取得処理部411、表示処理部412、認識処理部413、登録処理部414、検出処理部415、生成処理部416、報知処理部417、走行処理部418)を備え、自律走行装置10を制御してもよい。また、前記サーバが、地図情報51、ティーチング情報52、ジェスチャー情報53、及び動作情報54を記憶してもよい。前記サーバは、物理サーバで構成されてもよいし、仮想サーバ(クラウドサーバ)で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 :自律走行装置
21 :表示パネル
40 :制御部
51 :地図情報
52 :ティーチング情報
53 :ジェスチャー情報
54 :動作情報
411 :取得処理部
412 :表示処理部
413 :認識処理部
414 :登録処理部
415 :検出処理部
416 :生成処理部
417 :報知処理部
418 :走行処理部