(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185819
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/04 20060101AFI20221208BHJP
G09G 3/3208 20160101ALI20221208BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20221208BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221208BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221208BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221208BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20221208BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20221208BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H05B33/04
G09G3/3208
G09G3/20 680H
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/30 338
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093677
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 眞澄
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107CC27
3K107CC33
3K107DD37
3K107DD89
3K107DD94
3K107DD95
3K107EE48
3K107FF15
5C080AA06
5C080BB05
5C080CC03
5C080FF11
5C080JJ03
5C080JJ06
5C080KK02
5C080KK07
5C080KK20
5C080KK43
5C094AA38
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA14
5C094EA04
5C094FA01
5C094FA02
5C380AA01
5C380AB06
5C380AB21
5C380AB34
5C380AB36
5C380AC07
5C380AC08
5C380AC12
5C380AC13
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC62
5C380CD012
(57)【要約】
【課題】 表示品位の向上が可能な表示装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、基材と、第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、および、前記第1電極と前記第2電極の間の電圧に応じて発光する有機層を備え、前記基材の上方に配置された複数の表示素子と、隣り合う前記表示素子の間に位置する隔壁と、
前記隔壁に沿う金属層と、無機材料により形成され、前記表示素子、前記隔壁および前記金属層を覆う無機層と、を備えている。前記隔壁は、第1部分と、前記第1部分の下方に位置し、前記第1部分よりも幅が小さい第2部分と、を有している。前記金属層は、前記第2部分の側面の第1領域を覆い、前記無機層は、前記側面の第2領域を覆い、前記第2領域は、前記第1領域と前記第1部分の間に位置している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、および、前記第1電極と前記第2電極の間の電圧に応じて発光する有機層を備え、前記基材の上方に配置された複数の表示素子と、
隣り合う前記表示素子の間に位置する隔壁と、
前記隔壁に沿う金属層と、
無機材料により形成され、前記表示素子、前記隔壁および前記金属層を覆う無機層と、
を備え、
前記隔壁は、
第1部分と、
前記第1部分の下方に位置し、前記第1部分よりも幅が小さい第2部分と、
を有し、
前記金属層は、前記第2部分の側面の第1領域を覆い、
前記無機層は、前記側面の第2領域を覆い、
前記第2領域は、前記第1領域と前記第1部分の間に位置している、
表示装置。
【請求項2】
前記隔壁は、無機材料により形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記金属層と接触している、
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
隣り合う前記表示素子の間に位置するリブをさらに備え、
前記隔壁および前記金属層は、前記リブの上に配置されている、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記隔壁は、格子状に配置され、
前記隔壁の交点において、前記金属層の一部が前記第2部分と前記リブの間に位置している、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記金属層は、前記表示素子を囲っている、
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、第1電極と、第2電極と、これら電極の間に配置された有機層とを備えている。有機層は、第1電極と第2電極の間の電圧に応じて発光する発光層を含む。
【0003】
一般に、有機層は水分への耐性が低い。何らかの原因で有機層に水分が到達すると、発光時における表示素子の輝度低下など、表示品位の低下を招く一因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-135325号公報
【特許文献2】特開2000-195677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表示品位の向上が可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、基材と、第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、および、前記第1電極と前記第2電極の間の電圧に応じて発光する有機層を備え、前記基材の上方に配置された複数の表示素子と、隣り合う前記表示素子の間に位置する隔壁と、
前記隔壁に沿う金属層と、無機材料により形成され、前記表示素子、前記隔壁および前記金属層を覆う無機層と、を備えている。前記隔壁は、第1部分と、前記第1部分の下方に位置し、前記第1部分よりも幅が小さい第2部分と、を有している。前記金属層は、前記第2部分の側面の第1領域を覆い、前記無機層は、前記側面の第2領域を覆い、前記第2領域は、前記第1領域と前記第1部分の間に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る副画素のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る有機層に適用し得る層構成の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図3における隔壁の近傍を拡大した概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る金属層の形状の一例を示す概略的な平面図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるVII-VII線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る隔壁および金属層を得るための製造工程を示す図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る接続部を得るための製造工程を示す図である。
【
図13】
図13は、一実施形態の効果を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。X軸およびY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸およびZ軸によって規定される面をX-Z平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基材10の形状が長方形である。ただし、基材10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを備えている。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2および青色の副画素SP3を備えている。なお、画素PXは、上記の3色の副画素の他に、白色などの他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えてもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20とを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2において、ゲート電極は走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。表示素子20のカソードは、共通電圧が印加された給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。
【0016】
図2は、副画素SP(SP1,SP2,SP3)のレイアウトの一例を示す図である。ここでは、4個の画素PXに着目する。それぞれの画素PXにおいて、副画素SP1,SP2,SP3はこの順で第1方向Xに並んでいる。すなわち、表示領域DAにおいて、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP1により構成される列と、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP2により構成される列と、第2方向Yに並ぶ複数の副画素SP3により構成される列とが、第1方向Xにおいて交互に配置されている。
【0017】
副画素SP1,SP2,SP3の境界には、リブ14が配置されている。
図2の例において、リブ14は、第1方向Xに隣り合う副画素SPの間に位置する部分と、第2方向Yに隣り合う副画素SPの間に位置する部分とを有した格子状である。リブ14は、副画素SP1,SP2,SP3のそれぞれにおいて開口OPを形成する。
【0018】
リブ14の上には、複数の隔壁PTが配置されている。
図2の例において、複数の隔壁PTは、第2方向Yと平行な複数の隔壁PT1と、第1方向Xと平行な複数の隔壁PT2とを含む。すなわち、複数の隔壁PTは、格子状に配置されている。
【0019】
隔壁PT1は、第1方向Xに隣り合う副画素SP1,SP2の間、第1方向Xに隣り合う副画素SP2,SP3の間、および、第1方向Xに隣り合う副画素SP1,SP3の間にそれぞれ位置している。すなわち、隔壁PT1は、異なる色の副画素SPの境界に位置している。
【0020】
隔壁PT2は、第2方向Yに隣り合う2つの副画素SP1の間、第2方向Yに隣り合う2つの副画素SP2の間、および、第2方向Yに隣り合う2つの副画素SP3の間にそれぞれ位置している。すなわち、隔壁PT2は、同じ色の副画素SPの境界に位置している。なお、同じ色の副画素SPにおいては混色が生じないため、隔壁PT2が省略されてもよい。
【0021】
図3は、
図2のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図3においては、主に副画素SP2の断面構造を示すが、副画素SP1,SP3も同様の断面構造を有している。なお、副画素SP2に配置される素子として駆動トランジスタ3および表示素子20を示し、その他の素子の図示を省略している。
【0022】
表示装置DSPは、上述の基材10、リブ14、隔壁PT1に加え、絶縁層11,12,13と、第1無機層IL1と、第2無機層IL2と、樹脂層RLと、金属層MLとを備えている。
【0023】
絶縁層11,12,13は、基材10の上において第3方向Zに積層されている。絶縁層11,12は、例えば無機材料で形成されている。絶縁層13は、例えば有機材料で形成されている。
【0024】
駆動トランジスタ3は、半導体層30と、電極31,32,33とを備えている。電極31は、ゲート電極に相当する。電極32,33の一方はソース電極に相当し、他方はドレイン電極に相当する。半導体層30は、基材10と絶縁層11の間に配置されている。電極31は、絶縁層11,12の間に配置されている。電極32,33は、絶縁層12,13の間に配置され、絶縁層11,12を貫通するコンタクトホールを通じて半導体層30に接触している。
【0025】
表示素子20は、第1電極E1と、第2電極E2と、第1電極E1および第2電極E2の間に配置された有機層ORとを備えている。第1電極E1は、副画素SP毎に配置された電極であり、画素電極、下部電極またはアノードと称される場合がある。第2電極E2は、共通電極、上部電極またはカソードと称される場合がある。
【0026】
リブ14は、絶縁層13の上に配置されている。リブ14は、有機材料で形成することができる。第1電極E1は、絶縁層13の上に配置され、開口OPと重なっている。第1電極E1の周縁部は、リブ14により覆われている。第1電極E1は、絶縁層13を貫通するコンタクトホールを通じて電極33と電気的に接続されている。第1電極E1は、金属材料で形成されている。ただし、第1電極E1は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料で形成されてもよいし、透明導電材料と金属材料の積層体であってもよい。
【0027】
有機層ORは、開口OPを通じて第1電極E1に接触している。有機層ORの一部は、リブ14の上に位置している。第2電極E2は、有機層ORを覆っている。第2電極E2は、例えば金属材料で形成されている。ただし、第2電極E2は、ITOやIZOなどの透明導電材料で形成されてもよい。
【0028】
隔壁PT1は、リブ14の上に配置されている。
図2に示した隔壁PT2もリブ14の上に配置されている。隔壁PT1,PT2は、本実施形態においては無機材料で形成されている。
【0029】
金属層MLは、隔壁PT1の根本付近に配置されている。
図3の例においては、リブ14の上に2つの金属層MLが配置され、これら金属層MLの間に隔壁PT1が位置している。隔壁PT2の根本付近にも同様に金属層MLが配置されている。金属層MLは、例えばアルミニウムで形成されている。
【0030】
第1無機層IL1は、第2電極E2、隔壁PT1,PT2および金属層MLを覆っている。樹脂層RLは、第1無機層IL1を覆っている。樹脂層RLは、例えば有機材料(樹脂)によって形成されている。樹脂層RLは、絶縁層11,12,13、リブ14、第1無機層IL1、第2無機層IL2、金属層MLおよび隔壁PT1,PT2よりも厚く、リブ14や隔壁PT1,PT2により生じる凹凸を平坦化している。第2無機層IL2は、樹脂層RLを覆っている。第1無機層IL1、第2無機層IL2および樹脂層RLは、有機層ORを水分などから保護する封止層として機能する。
【0031】
隔壁PT1,PT2、第1無機層IL1および第2無機層IL2は、例えばシリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)またはシリコン酸窒化物(SiONx)などの無機材料で形成されている。隔壁PT1,PT2および第1無機層IL1は、両者の密着性の観点からは、同じ無機材料で形成されることが好ましい。また、例えば隔壁PT1,PT2および第1無機層IL1の一方がシリコン酸化物であり、他方がシリコン窒化物である場合のように、隔壁PT1,PT2および第1無機層IL1の双方がシリコン系の無機材料で形成されてもよい。さらに、隔壁PT1,PT2および第1無機層IL1は、シリコン系以外の同系統の無機材料で形成されてもよい。これらの場合であっても、隔壁PT1,PT2および第1無機層IL1の密着性を向上させることができる。第2無機層IL2に関しても、隔壁PT1,PT2および第1無機層IL1と同じ無機材料で形成されてもよいし、隔壁PT1,PT2および第1無機層IL1と同系統の無機材料で形成されてもよい。
【0032】
図4は、有機層ORに適用し得る層構成の一例を示す断面図である。例えば、有機層ORは、第1電極E1から第2電極E2に向けて順に積層された第1機能層F1、発光層ELおよび第2機能層F2を含んでいる。
【0033】
第1電極E1の電位が第2電極E2の電位よりも相対的に高い場合、第1電極E1がアノードに相当し、第2電極E2がカソードに相当する。また、第2電極E2の電位が第1電極E1の電位よりも相対的に高い場合、第2電極E2がアノードに相当し、第1電極E1がカソードに相当する。
【0034】
一例として、第1電極E1がアノードに相当する場合、第1機能層F1は正孔注入層、正孔輸送層および電子ブロッキング層の少なくとも1つを含み、第2機能層F2は電子輸送層、電子注入層および正孔ブロッキング層の少なくとも1つを含む。
【0035】
第1電極E1と第2電極E2の間に電位差が形成されると、発光層ELが発光する。本実施形態においては、副画素SP1,SP2,SP3の有機層ORに含まれる発光層ELがいずれも同一色(例えば白色)の光を放つ場合を想定する。この場合において、例えば樹脂層RLの上方に副画素SP1,SP2,SP3の色に応じたカラーフィルタが配置されてもよい。また、発光層ELが放つ光により励起して副画素SP1,SP2,SP3に応じた色の光を生成する量子ドットを含んだ層が副画素SP1,SP2,SP3に配置されてもよい。なお、副画素SP1,SP2,SP3の発光層ELは、それぞれ副画素SP1,SP2,SP3に対応する色を放つものであってもよい。
【0036】
図5は、
図3において副画素SP1,SP2の間に位置する隔壁PT1の近傍を拡大した概略的な断面図である。隔壁PT1は、第1部分P1と、第1部分P1よりも幅が小さい第2部分P2とを有している。第2部分P2は、第1部分P1の下方に位置している。第1部分P1と第2部分P2は、一体的に形成されている。
図5の例においては、第2部分P2がリブ14の上面14aに接触している。
【0037】
図5の例において、第1部分P1の一対の側面SF1は、これら側面SF1の間の距離が第1部分P1の上端から下端に向けて大きくなるように傾斜している。すなわち、第1部分P1の幅は、第3方向Zにおいて一定ではない。他の例として、一対の側面SF1は、第3方向Zと平行であってもよい。また、一対の側面SF1は、これら側面SF1の間の距離が第1部分P1の上端から下端に向けて小さくなるように傾斜していてもよい。
【0038】
図5の例において、第2部分P2の一対の側面SF2は、これら側面SF2の間の距離が第2部分P2の上端から下端に向けて小さくなるように傾斜している。すなわち、第2部分P2の幅は、第3方向Zにおいて一定ではない。他の例として、一対の側面SF2は、第3方向Zと平行であってもよい。また、一対の側面SF2は、これら側面SF2の間の距離が第2部分P2の上端から下端に向けて大きくなるように傾斜していてもよい。
【0039】
第1部分P1は、側面SF1と側面SF2を繋ぐ一対の下面BFを有している。これら下面BFは、リブ14の上面14aと対向している。このような形状の第1部分P1と第2部分P2を有する隔壁PT1の形状は、例えばオーバーハング形状と呼ぶことができる。
【0040】
金属層MLは、側面SF2の一部を覆っている。換言すると、側面SF2は、金属層MLにより覆われた第1領域A1と、金属層MLにより覆われていない第2領域A2とを有している。第2領域A2は、第1領域A1と第1部分P1の間に位置している。
【0041】
図5の例においては、金属層MLの第1方向Xにおける幅が、金属層MLの第3方向Zにおける幅よりも小さい。金属層MLは、全体的に第1部分P1の下方に位置している。金属層MLの下端は、上面14aに接触している。金属層MLの上端は、リブ14上の第2電極E2よりも上方に位置している。なお、金属層MLの形状はここで例示したものに限られない。
【0042】
隔壁PT1(第1部分P1)の上面UFは、有機層ORaにより覆われている。また、有機層ORaは、導電層E2aにより覆われている。
図5の例において、有機層ORaは、側面SF1も覆っている。
【0043】
有機層ORaは、有機層ORと同じ材料で形成されている。導電層E2aは、第2電極E2と同じ材料で形成されている。有機層ORaは、副画素SP1,SP2に配置された有機層ORと離間している。導電層E2aは、副画素SP1,SP2に配置された第2電極E2と離間している。
【0044】
有機層ORおよび第2電極E2は、例えば真空蒸着により表示領域DAの全面に形成される。このとき、隔壁PT1の上面UFや側面SF1に蒸着源からの材料が付着することにより、有機層ORaおよび導電層E2aが形成される。一方、下面BFや側面SF2には蒸着源からの材料が付着しにくい。これにより、有機層ORと有機層ORaが分断され、第2電極E2と導電層E2aが分断される。
【0045】
有機層ORは、リブ14の上面14aに位置する第1端部ED1を有している。第2電極E2は、上面14aに位置する第2端部ED2を有している。第1端部ED1は、第2電極E2により覆われている。第2端部ED2は、金属層MLと接触している。
【0046】
第1無機層IL1は、副画素SP1,SP2の第2電極E2、一対の側面SF2にそれぞれ形成された金属層ML、一対の側面SF2のそれぞれの第2領域A2、一対の下面BFおよび導電層E2aを連続的に覆っている。すなわち、第1無機層IL1は、第2領域A2において第2部分P2と接触している。
【0047】
なお、
図5においては副画素SP1,SP2の境界付近の構造を示したが、副画素SP2,SP3の境界付近や副画素SP1,SP3の境界付近にも同様の構造を適用できる。
図2に示した隔壁PT2には隔壁PT1と同様の形状を適用できる。
図5に示した構造は、第2方向Yに並ぶ2つの副画素SP1の境界付近、第2方向Yに並ぶ2つの副画素SP2の境界付近、第2方向Yに並ぶ2つの副画素SP3の境界付近の断面構造にも適用できる。
【0048】
図6は、金属層MLの形状の一例を示す概略的な平面図である。
図6においては、隔壁PT1,PT2の第1部分P1の外形を破線で示している。金属層MLは、隔壁PT1に沿って第2方向Yに延びる第1線部LN1と、隔壁PT2に沿って第1方向Xに延びる第2線部LN2とを有している。
図3および
図5に示した金属層MLは、第1線部LN1に相当する。
【0049】
図6の例においては、副画素SP1の開口OPに近接する2本の第1線部LN1と2本の第2線部LN2が矩形状に接続されている。すなわち、金属層MLは、開口OPや表示素子20を囲っている。
【0050】
金属層MLは、隔壁PT1,PT2の交点(リブ14の交点)において、接続部CPを有している。接続部CPは、複数の第1線部LN1および複数の第2線部LN2を接続している。これにより、隣接する副画素SPを囲う複数の第1線部LN1および複数の第2線部LN2が接続される。
【0051】
このような構成の金属層MLは、
図2に示した給電線FLとして利用することができる。この場合において、金属層MLは、例えば周辺領域SAにて共通電圧が印加された配線と接続されている。
図5に示したように本実施形態においては第2電極E2と金属層MLが接触しているため、金属層MLを通じて第2電極E2に共通電圧が印加される。
【0052】
図7は、
図6におけるVII-VII線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。この図においては、リブ14より下方の層や第1無機層IL1より上方の層を省略している。
【0053】
接続部CPは、リブ14の上面14aと隔壁PT1の第2部分P2との間に位置している。接続部CPは、第2部分P2の一対の側面SF2にそれぞれ配置された第1線部LN1と一体的に形成されている。
図7とは異なる断面において、接続部CPは、第2線部LN2とも接続されている。
【0054】
ここで、表示装置DSPの製造方法の一例について説明する。
図8乃至
図12は、隔壁PTおよび金属層MLを得るための製造工程を示す図である。
図8においては、リブ14および第1電極E1を覆う第1層L1と、第1層L1を覆う第2層L2とが形成されている。
【0055】
第1層L1は、金属層MLと同じ金属材料で形成されている。第2層L2は、第1層L1よりもウェットエッチングに対する耐性が弱い(エッチングレートが高い)金属材料で形成されている。一例として、第1層L1はアルミニウムで形成することができ、第2層L2はモリブデンタングステン合金で形成することができる。
【0056】
リブ14の上方において、第1層L1および第2層L2には溝GRが設けられている。平面視において、溝GRは、
図2に示した隔壁PT1,PT2と同様の格子状である。
図8の断面においては、溝GRがリブ14の上面14aまで貫通している。
【0057】
このような第1層L1および第2層L2が形成された後、隔壁PT1,PT2の基となる無機層が第2層L2の上に形成される。当該無機層は、溝GRを満たす。当該無機層をパターニングすることで、
図9に示すように隔壁PT1が得られる。第1部分P1は、パターニングされた無機層のうち溝GRの外に位置する部分に相当する。第2部分P2は、パターニングされた無機層のうち溝GR内に位置する部分に相当する。当該パターニングにより隔壁PT2も形成される。
【0058】
隔壁PT1,PT2が形成された後、第1層L1および第2層L2を取り除くためのウェットエッチングが施される。第2層L2は当該ウェットエッチングに対する耐性が弱いため全体的に取り除かれ、溝GRにおいて第2層L2と接触していた第2部分P2の側面SF2が露出する。
【0059】
一方、第1層L1は完全には取り除かれず、
図10に示すように少なくとも側面SF2に接触していた部分が残る。この残った部分が金属層MLの第1線部LN1に相当する。隔壁PT2付近においても同様に、当該ウェットエッチングにより金属層MLの第2線部LN2が形成される。
【0060】
なお、金属層MLの接続部CPが設けられる位置においては、
図11に示すように第1層L1を貫通しないように溝GRが形成される。この溝GRに対して隔壁PT1,PT2が形成されると、第2部分P2とリブ14の上面14aとの間に第1層L1が介在する。第1層L1および第2層L2に対してウェットエッチングが施されると、
図12に示すように第2部分P2の下方に接続部CPが形成される。
【0061】
続いて、本実施形態が奏する効果の一例について説明する。
図13は、隔壁PT1の近傍を拡大して示す概略的な断面図である。第1無機層IL1は、第2電極E2が形成された後に、例えば化学蒸着法(CVD)などの蒸着により形成される。第1無機層IL1を蒸着により形成するときに、大きな角度をなす2つの面で構成される角の近傍においては、一方の面から無機層が成長するとともに、他方の面からも無機層が成長してくる。これら無機層が接近すると、その間の部分へのガスの流入が抑制され、クレバス状のボイド(隙間)やシームが形成されることがある。ボイドには樹脂層RLが入り込みにくいため、ボイド内に大気が残留し得る。
【0062】
図13の例においては、側面SF2と下面BFの角付近においてボイドVが形成されている。このボイドVに代えて、側面SF2と下面BFの角付近にシームが形成される場合もある。このようなボイドVやシームが形成された場合、表示素子20への水分浸入を十分に抑制できない可能性がある。
【0063】
すなわち、仮に金属層MLが側面SF2の全体に形成されている場合、ボイドVやシームを通じて第1無機層IL1の内側に入り込んだ水分が金属層MLと側面SF2の境界や金属層MLと第1無機層IL1の境界を伝って表示素子20に到達し得る。水分が表示素子20、特に有機層ORに到達すると、表示素子20の輝度低下(ダークスポットの発生)などの表示不良の一因となり得る。
【0064】
これに対し、本実施形態では、側面SF2のうち第1領域A1が金属層MLにより覆われ、第1領域A1の上方の第2領域A2が第1無機層IL1により覆われている。このような構成であれば、ボイドVやシームと金属層MLとの間で第1無機層IL1と側面SF2が接触し、金属層MLおよび表示素子20に至る水分浸入の経路を遮ることができる。結果として、表示装置DSPの表示品位を向上させることが可能となる。
【0065】
さらに、第1無機層IL1および隔壁PT1が無機材料で形成されているため、第1無機層IL1と側面SF2が良好な密着性を発揮する。これにより、金属層MLおよび表示素子20への水分浸入をより好適に抑制することができる。なお、
図13においては隔壁PT1と第1線部LN1を含む断面構造を示したが、隔壁PT2と第2線部LN2を含む断面構造においても同様の効果を得ることができる。
【0066】
上述したように金属層MLを第2電極E2への給電線FLとして利用する場合には、別途の給電線FLを形成する必要がない。この場合において、
図6に示したように金属層MLが表示素子20を囲う形状であれば、第2電極E2の周囲から効率的に給電することが可能となる。
【0067】
なお、
図5および
図7においては金属層MLと第2電極E2が接触している構成を示したが、金属層MLを給電線FLとして利用しない場合には、第2電極E2と金属層MLが離間していてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0069】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0070】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0071】
DSP…表示装置、PX…画素、SP…副画素、E1…第1電極、E2…第2電極、OR…有機層、PT1,PT2…隔壁、P1…第1部分、P2…第2部分、ML…金属層、FL…給電線、1…画素回路、14…リブ、IL1…第1無機層、IL2…第2無機層、RL…樹脂層。