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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185847
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20221208BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20221208BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20221208BHJP
【FI】
F24F1/0007 401Z
F24F6/00 331
F24F8/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093730
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智己
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小山 千佳
(72)【発明者】
【氏名】奥本 衛
【テーマコード(参考)】
3L051
3L055
【Fターム(参考)】
3L051BJ03
3L055AA01
(57)【要約】
【課題】室外空気を取り込んで利用する空気調和装置において室内に吹き出される空気の衛生性を高める。
【解決手段】空気調和装置(10)は、室内の空気調和を行う室内機(20)と、室内機(20)に加湿した室外空気を搬送するホース(13)とを備える。ホース(13)は、断面積が8000mm以下の比較的狭い空気流路(15)を構成する管体である。そして、空気調和装置(10)は、紫外線を照射することでホース(13)の内面(14)を殺菌する照射装置(80)をさらに備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気調和を行う室内機(20)と、
前記室内機(20)に室外空気を搬送する配管(13)と、
前記配管(13)の内面(14)を殺菌する殺菌装置(80)と、を備える、空気調和装置。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和装置において、
前記殺菌装置(80)は、紫外線を照射する紫外線光源(81)を有する、空気調和装置。
【請求項3】
請求項2に記載された空気調和装置において、
前記紫外線光源(81)は、紫外線LED(81)である、空気調和装置。
【請求項4】
請求項3に記載された空気調和装置において、
前記紫外線LED(81)は、前記配管(13)の延びる方向に紫外線を照射する、空気調和装置。
【請求項5】
請求項4に記載された空気調和装置において、
前記紫外線LED(81)は、前記配管(13)の空気が流入する入口(16)に配置され、前記配管(13)での空気の流れ方向における下流側に向けて紫外線を照射する、空気調和装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載された空気調和装置において、
前記紫外線LED(81)は、前記配管(13)の空気が流出する出口(17)に配置され、前記配管(13)での空気の流れ方向における上流側に向けて紫外線を照射する、空気調和装置。
【請求項7】
請求項2に記載された空気調和装置において、
前記紫外線光源(81)は、紫外線を照射する照射部(84)を前記配管(13)の内面(14)に向けて前記配管(13)内に設けられる、空気調和装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載された空気調和装置において、
前記室内機(20)に前記配管(13)を介して接続された加湿器(50)をさらに備え、
前記配管(13)は、前記加湿器(50)により加湿された室外空気を搬送する配管である、空気調和装置。
【請求項9】
請求項8に記載された空気調和装置において、
前記殺菌装置(80)は、紫外線を照射する紫外線LED(81)を有し、
前記紫外線LED(81)が照射する紫外線は、200nm以上且つ380nm以下の波長を有する、空気調和装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載された空気調和装置において、
前記殺菌装置(80)が有する紫外線LED(81)の発光を制御する制御部(70)をさらに備え、
前記制御部(70)は、前記配管(13)内の湿度が所定値以下になると、前記紫外線LED(81)に紫外線を照射させる、空気調和装置。
【請求項11】
請求項2~10のいずれか1項に記載された空気調和装置において、
前記配管(13)の内面(14)は、紫外線を反射する反射部(18)を有する、空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室外空気を取り込んで室内を換気する機能を有する空気調和装置が開示される。この空気調和装置の室内機内には、熱交換器の前方に紫外線ランプが設置される。紫外線ランプは、室外空気の取り込みによる換気時に紫外線を照射し、室内機の吹出口から室内に吹き出される空気を殺菌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-265399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、室外空気を室内機へ搬送する配管の内面には、カビや細菌などの微生物が繁殖することがある。配管の内面に微生物が繁殖すると、配管を通じて室内機へ送られる空気には、繁殖した微生物が配管を流れる過程で多く付与される。このため、特許文献1の空気調和装置のように、室内機内の局所的な領域を通過する空気に僅かな時間だけ紫外線を照射しても空気を十分に殺菌することが難しくなる。
【0005】
本開示の目的は、室外空気を取り込んで利用する空気調和装置において室内に吹き出される空気の衛生性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、室内の空気調和を行う室内機(20)と、前記室内機(20)に室外空気を搬送する配管(13)と、前記配管(13)の内面(14)を殺菌する殺菌装置(80)とを備える、空気調和装置(10)である。ここで、「配管」とは、断面積が8000mm以下の比較的狭い空気流路を構成する管体を意味する。
【0007】
第1の態様では、殺菌装置(80)が配管(13)の内面(14)を殺菌する。配管(13)の内面(14)が殺菌されると、配管(13)の内面(14)でカビや細菌などの微生物が繁殖するのを抑制できる。これにより、配管(13)を通じて室内機(20)へ送られる空気に対して、配管(13)を流れる過程で付与される微生物が低減される。したがって、空気調和装置(10)において室内に吹き出される空気の衛生性を高めることができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様の空気調和装置(10)において、前記殺菌装置(80)が、紫外線を照射する紫外線光源(81)を有する、空気調和装置(10)である。
【0009】
第2の態様では、紫外線光源(81)から配管(13)の内面(14)に紫外線が照射される。紫外線は、微生物への殺菌作用を有する。紫外線光源(81)は、配管(13)の内面(14)を殺菌する殺菌装置(80)として利用できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様の空気調和装置(10)において、前記紫外線光源(81)が、紫外線LED(Light Emitting Diode)(81)である、空気調和装置(10)である。
【0011】
第3の態様では、紫外線LED(81)が紫外線光源(81)として用いられる。紫外線LED(81)は、紫外線ランプなどの他の紫外線光源(81)に比べて小さい。このことは、殺菌装置(80)を配管(13)内に配置させるのに有利である。
【0012】
本開示の第4の態様は、第3の態様の空気調和装置(10)において、前記紫外線LED(81)が、前記配管(13)の延びる方向に紫外線を照射する、空気調和装置(10)である。
【0013】
第4の態様では、紫外線LED(81)から配管(13)の延びる方向に紫外線が照射される。このように紫外線が照射されると、配管(13)内を流れる空気が、配管(13)の内面(14)と共に、配管(13)の延びる方向における比較的広い範囲で紫外線に晒される。それにより、空気中の微生物に対する紫外線の反応時間を比較的長くでき、室外空気が配管(13)を流れる過程で好適に殺菌される。
【0014】
本開示の第5の態様は、第4の態様の空気調和装置(10)において、前記紫外線LED(81)が、前記配管(13)の空気が流入する入口(16)に配置され、前記配管(13)での空気の流れ方向における下流側に向けて紫外線を照射する、空気調和装置(10)である。
【0015】
第5の態様では、配管(13)の入口(16)から空気の流れる方向における下流側に向けて紫外線が照射される。配管(13)が室内機(20)に搬送する室外空気は、配管(13)の入口(16)で紫外線により殺菌される。室外空気に含まれる雑菌などの微生物は、配管(13)に流入する際に殺菌される。これにより、室外空気中の微生物が配管(13)の内面(14)に付いて繁殖するのを抑制できる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第3または第4の態様の空気調和装置(10)において、前記紫外線LED(81)が、前記配管(13)の空気が流出する出口(17)に配置され、前記配管(13)での空気の流れ方向における上流側に向けて紫外線を照射する、空気調和装置(10)である。
【0017】
第6の態様では、配管(13)の出口(17)から空気の流れる方向における上流側に向けて紫外線が照射される。配管(13)が室内機(20)に搬送する室外空気は、配管(13)の出口(17)で紫外線により殺菌される。配管(13)内を搬送中の室外空気に含まれる雑菌などの微生物は、配管(13)から流出する際に殺菌される。これにより、配管(13)内を搬送される室外空気中の微生物を室内機(20)に送られる前に低減できる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第2の態様の空気調和装置(10)において、前記紫外線光源(81)が、紫外線を照射する照射部(84)を前記配管(13)の内面(14)に向けて前記配管(13)内に設けられる、空気調和装置(10)である。
【0019】
第7の態様では、配管(13)の内面(14)に向けられた紫外線光源(81)の照射部(84)から紫外線が照射される。紫外線光源(81)の照射部(84)が配管(13)の内面(14)に向いていると、配管(13)の内面(14)に照射される紫外線の量が多くなる。このことは、配管(13)の内面(14)を殺菌するのに有利である。
【0020】
本開示の第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つの空気調和装置(10)において、前記室内機(20)に前記配管(13)を介して接続された加湿器(50)をさらに備える、空気調和装置(10)である。前記配管(13)は、前記加湿器(50)により加湿された室外空気を搬送する配管(13)である。
【0021】
第8の態様では、加湿器(50)により加湿された室外空気が配管(13)を通じて室内機(20)に搬送される。加湿器(50)が運転されると、配管(13)の中の湿度は比較的高くなる。そして、配管(13)自体の温度または配管(13)内の空気の温度が下がると、配管(13)の内面(14)に結露が生じ、カビや細菌などの微生物が繁殖しやすい環境となる。殺菌装置(80)により配管(13)の内面(14)を殺菌することは、そうした環境下で微生物の繁殖を抑制するのに有効である。
【0022】
本開示の第9の態様は、第8の態様の空気調和装置(10)において、前記殺菌装置(80)が、紫外線を照射する紫外線LED(81)を有する、空気調和装置(10)である。前記紫外線LED(81)が照射する紫外線は、200nm以上且つ380nm以下の波長を有する。
【0023】
第9の態様では、紫外線LED(81)から照射される紫外線が、200nm以上且つ380nm以下の波長を有する。このように水を透過し易い波長の紫外線を配管(13)の内面(14)に照射することで、配管(13)の内面(14)に結露が生じていても、配管(13)の内面(14)を効果的に殺菌できる。
【0024】
本開示の第10の態様は、第8または第9の態様の空気調和装置(10)において、前記殺菌装置(80)が有する紫外線LED(81)の動作を制御する制御部(70)をさらに備える、空気調和装置(10)である。前記制御部(70)は、前記配管(13)内の湿度が所定値以下になると、前記紫外線LED(81)に紫外線を照射させる。
【0025】
第10の態様では、配管(13)内の湿度が所定値以下のときに紫外線が配管(13)の内面(14)に照射される。配管(13)内の湿度が低いと、紫外線の照射による殺菌効果が高まる。また、紫外線を照射するか否かの判断の基になる所定値を配管(13)内に結露が生じ難い湿度の値に設定すると、配管(13)の内面(14)に結露が生じていないかまたは少ないタイミングで紫外線を照射できる。そうすることで、紫外線が結露した水に減衰されるのを避けて、紫外線の照射により配管(13)の内面(14)を強力に殺菌できる。
【0026】
本開示の第11の態様は、第2~第10の態様のいずれか1つの空気調和装置(10)において、前記配管(13)の内面(14)が、紫外線を反射する反射部(18)を有する、空気調和装置(10)である。
【0027】
第11の態様では、紫外線光源(81)から照射された紫外線が、配管(13)の内面(14)の反射部(18)で反射されて、配管(13)の延びる方向へ伝搬される。紫外線が配管(13)内を伝搬されると、紫外線の照射範囲が配管(13)の延びる方向に広がる。そのことで、紫外線の照射により配管(13)の内面(14)を比較的広い範囲に亘って殺菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、空気調和装置の構成を例示する概念図である。
図2図2は、空気調和装置の冷媒回路と空気流路を含む全体的な構成図である。
図3図3は、空気調和装置の要部を例示する概念図である。
図4図4は、空気調和装置のブロック図である。
図5図5は、空気調和装置の配管内面の殺菌処理に係るフローチャートである。
図6図6は、変形例の空気調和装置の要部を例示する概念図である。
図7図7は、変形例の空気調和装置の要部を例示する概念図である。
図8図8は、変形例の空気調和装置の要部を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示の技術は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示の技術を概念的に説明するためのものであるから、理解を容易にするために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0030】
-空気調和装置の構成-
空気調和装置(10)は、対象空間の空気の温度および湿度を調節する装置である。対象空間は、室内空間(SI)である。空気調和装置(10)は、室内機(20)と室外機(30)とを一台ずつ有するペア式の空気調和装置である。図1および図2に示すように、空気調和装置(10)は、室内機(20)と、室外機(30)と、加湿器(50)と、制御部(70)とを備える。
【0031】
室内機(20)と室外機(30)とは、液連絡管(11)およびガス連絡管(12)を介して互いに接続される。液連絡管(11)およびガス連絡管(12)はそれぞれ、室内機(20)に設けられた配管継手と、室外機(30)に設けられた閉鎖弁とに接続される。室内機(20)と加湿器(50)とは、ホース(13)を介して互いに接続される。
【0032】
室内機(20)、室外機(30)、液連絡管(11)およびガス連絡管(12)は、冷媒回路(40)を構成する。冷媒回路(40)には、冷媒が充填される。冷媒は、例えばR32(ジフルオロメタン)である。冷媒回路(40)は、冷媒を循環させることにより、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。冷媒回路(40)は、主として、圧縮機(35)と、室外熱交換器(37)と、膨張弁(38)と、四方切換弁(39)と、室内熱交換器(27)とを有する。
【0033】
冷媒回路(40)は、室内熱交換器(27)の機能を蒸発器と放熱器とに切り換え可能に構成される。具体的には、冷媒回路(40)は、四方切換弁(39)の切り換えに応じて第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとを行う。第1冷凍サイクルは、室内熱交換器(27)を蒸発器とする冷凍サイクルである。第2冷凍サイクルは、室内熱交換器(27)を放熱器とする冷凍サイクルである。
【0034】
〈室外機〉
室外機(30)は、室外に設置される。室外機(30)は、ケーシング(31)と、圧縮機(35)と、室外ファン(36)と、室外熱交換器(37)と、膨張弁(38)と、四方切換弁(39)とを有する。圧縮機(35)、室外ファン(36)、室外熱交換器(37)、膨張弁(38)および四方切換弁(39)は、ケーシング(31)内に収容される。
【0035】
ケーシング(31)には、吸込口(32)と、吹出口(33)とが形成される。吸込口(32)は、室外空気を吸い込むための開口である。吹出口(33)は、室外熱交換器(37)との熱交換後の空気を吹き出すための開口である。ケーシング(31)の内部には、吸込口(32)から吹出口(33)に続く内部流路(34)が設けられる。
【0036】
圧縮機(35)は、モータの駆動により冷媒を圧縮する。圧縮機(35)は、回転式の圧縮機である。回転式の圧縮機(35)は、例えば、揺動式、ローリングピストン式またはスクロール式の圧縮機である。圧縮機(35)は、モータの運転周波数(回転数)を調整することで、冷媒の吐出容量を変更可能に構成される。
【0037】
室外ファン(36)および室外熱交換器(37)は、内部流路(34)に配置される。室外ファン(36)は、モータの駆動により回転し、室外空気を内部流路(34)に取り込んで搬送する。室外ファン(36)によって搬送される空気は、吸込口(32)から内部流路(34)に吸い込まれる。内部流路(34)に吸い込まれた空気は、室外熱交換器(37)を通過する。室外熱交換器(37)を通過した空気は、吹出口(33)から吹き出される。室外ファン(36)は、例えばプロペラファンである。
【0038】
室外熱交換器(37)は、室外ファン(36)によって搬送される室外空気と、内部の冷媒とを熱交換させる。室外熱交換器(37)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。膨張弁(38)は、冷媒を減圧する。膨張弁(38)は、例えば電子式または感温式の膨張弁である。膨張弁(38)は、キャピラリ-チューブであってもよい。四方切換弁(39)は、冷媒回路(40)での冷媒の流れを反転させる。
【0039】
四方切換弁(39)は、第1状態(図2の実線で示す状態)と、第2状態(図2の破線で示す状態)とに切り換えられる。第1状態の四方切換弁(39)は、圧縮機(35)の吐出側と室外熱交換器(37)のガス側とを連通させ、圧縮機(35)の吸入側と室内熱交換器(27)のガス側とを連通させる。第2状態の四方切換弁(39)は、圧縮機(35)の吐出側と室内熱交換器(27)のガス側とを連通させ、圧縮機(35)の吸入側と室外熱交換器(37)のガス側とを連通させる。
【0040】
室外機(30)には、第1制御装置(71)と、各種のセンサとが設けられる。室外機(30)に設けられたセンサには、外気温度センサ(SN1)が含まれる。外気温度センサ(SN1)は、室外空気の温度を検出するセンサである。第1制御装置(71)には、外気温度センサ(SN1)から室外空気の温度についての検出信号が入力される。
【0041】
〈加湿器〉
加湿器(50)は、室外に設置される。本例の加湿器(50)は、室外機(30)と一体化される。加湿器(50)は、室外空気から水分を取り入れて高湿度の空気を生成し、その高湿度の空気を室内機(20)に送る装置である。加湿器(50)は、ケーシング(51)と、加湿ロータ(58)と、第1ファン(59)と、切換ダンパ(60)と、ヒータ(63)と、第2ファン(64)とを有する。加湿ロータ(58)、第1ファン(59)、切換ダンパ(60)、ヒータ(63)および第2ファン(64)は、ケーシング(51)内に収容される。
【0042】
ケーシング(51)には、吸込口(52)と、排気口(53)と、吸排口(55)とが形成される。吸込口(52)は、吸湿用に室外空気を吸い込むための開口である。排気口(53)は、吸湿後の空気を排出するための開口である。吸排口(55)は、室外空気を吸い込む、または室内空気を排出するための開口である。ケーシング(51)の内部には、吸込口(52)から排気口(53)に続く第1流路(54)と、吸排口(55)からホース(13)が接続される接続口(56)に続く第2流路(57)とが設けられる。
【0043】
加湿ロータ(58)は、第1流路(54)と第2流路(57)とに亘って配置される。加湿ロータ(58)は、例えば円盤状のセラミックロータである。加湿ロータ(58)は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナなどの吸着剤からなる。加湿ロータ(58)をなす吸着剤は、接触する空気中の水分を吸着する性質を有する。当該吸着剤はさらに、加熱されると、吸着した水分を脱離する性質を有する。
【0044】
加湿ロータ(58)は、モータの駆動により回転する。加湿ロータ(58)は、吸湿領域(58a)と、放湿領域(58b)とを有する。吸湿領域(58a)は、空気中の水分を吸着する領域であって、加湿ロータ(58)のうち第1流路(54)に位置する部分で構成される。放湿領域(58b)は、空気中に水分を脱離する領域であって、加湿ロータ(58)のうち第2流路(57)に位置する部分で構成される。
【0045】
第1ファン(59)は、第1流路(54)に配置される。第1ファン(59)は、モータの駆動により回転し、室外空気を第1流路(54)に取り込んで搬送する。第1ファン(59)によって搬送される空気は、吸込口(52)から第1流路(54)に吸い込まれる。第1流路(54)に吸い込まれた空気は、加湿ロータ(58)の吸湿領域(58a)を通過する。加湿ロータ(58)の吸湿領域(58a)は、通過する空気中の水分を吸着する。そうして水分が脱離した空気は、排気口(53)から排出される。
【0046】
切換ダンパ(60)は、第2流路(57)に配置される。切換ダンパ(60)は、第1出入口(61)と、第2出入口(62)とを有する。第1出入口(61)は、吸排口(55)と連通される。第2出入口(62)は、ケーシング(51)におけるホース(13)との接続口(56)と連通される。切換ダンパ(60)は、モータの駆動により、第1状態と、第2状態とに切り換えられる。第1状態の切換ダンパ(60)は、空気を吸い込む入口を第1出入口(61)とする。第2状態の切換ダンパ(60)は、空気を吸い込む入口を第2出入口(62)とする。
【0047】
ヒータ(63)は、第2流路(57)において吸排口(55)と切換ダンパ(60)との間に配置される。ヒータ(63)は、第2流路(57)に流れる空気を加熱する。ヒータ(63)は、出力を可変に構成される。ヒータ(63)を通過する空気の温度は、ヒータ(63)の出力に応じて変化する。第2ファン(64)は、切換ダンパ(60)の第1出入口(61)と第2出入口(62)との間に配置される。第2ファン(64)は、モータの駆動により回転し、室外空気または室内空気を第2流路(57)に取り込んで搬送する。
【0048】
切換ダンパ(60)が第1状態であると、第2ファン(64)は、第1出入口(61)から第2出入口(62)に向かう空気の流れ(図2に実線矢印で示す方向の流れ)を発生させる。このとき、第2ファン(64)によって搬送される空気は、室外空気であって、吸排口(55)から第2流路(57)に吸い込まれる。第2流路(57)を流れる空気は、ヒータ(63)および加湿ロータ(58)の放湿領域(58b)をこの順に通過する。ヒータ(63)によって加熱された空気は、加湿ロータ(58)の放湿領域(58b)を加熱する。加湿ロータ(58)の放湿領域(58b)は、加熱されることで、通過する空気に水分を付与する。そうして水分が付与された高湿度の空気は、加湿用空気として接続口(56)からホース(13)内に送られる。
【0049】
切換ダンパ(60)が第2状態であると、第2ファン(64)は、第2出入口(62)から第1出入口(61)に向かう空気の流れ(図2に破線矢印で示す方向の流れ)を発生させる。このとき、第2ファン(64)によって搬送される空気は、室内機(20)からホース(13)を通じて送られる室内空気であって、接続口(56)から第2流路(57)に吸い込まれる。第2流路(57)を流れた空気は、吸排口(55)から排出される。
【0050】
加湿器(50)には、外気湿度センサ(SN2)が設けられる。外気湿度センサ(SN2)は、室外空気の湿度を検出するセンサである。外気湿度センサ(SN2)が検出する室外空気の湿度は、例えば相対湿度である。外気湿度センサ(SN2)は、第1制御装置(71)に接続される。第1制御装置(71)には、外気湿度センサ(SN2)から室外空気の湿度についての検出信号が入力される。
【0051】
〈室内機〉
室内機(20)は、室内に設置される。室内機(20)は、部屋(RM)の壁(WL)に取り付けられる壁掛け式の空調室内機である。室内機(20)は、室内の空気調和を行う。室内機(20)は、ケーシング(21)と、室内ファン(25)と、エアフィルタ(26)と、室内熱交換器(27)とを有する。室内ファン(25)、エアフィルタ(26)および室内熱交換器(27)は、ケーシング(21)内に収容される。
【0052】
ケーシング(21)には、吸込口(22)と、吹出口(23)とが形成される。吸込口(22)は、室内空気を吸い込むための開口である。吹出口(23)は、室内熱交換器(27)との熱交換後の空気、または加湿用空気を吹き出すための開口である。吹出口(23)には、吹き出す空気の風向きを調節するフラップ(28)が設けられる。ケーシング(21)の内部には、吸込口(22)から吹出口(23)に続く内部流路(24)が設けられる。
【0053】
室内ファン(25)、エアフィルタ(26)および室内熱交換器(27)は、内部流路(24)に配置される。室内ファン(25)は、モータの駆動により回転し、室内空気を取り込んで搬送する。室内ファン(25)によって搬送される空気は、吸込口(22)から内部流路(24)に吸い込まれる。内部流路(24)を流れる空気は、エアフィルタ(26)および室内熱交換器(27)をこの順に通過する。室内熱交換器(27)を通過した空気は、吹出口(23)から吹き出される。室内ファン(25)は、例えばクロスフローファンである。
【0054】
エアフィルタ(26)は、内部流路(24)における室内熱交換器(27)の上流側に配置される。エアフィルタ(26)は、吸込口(22)から室内熱交換器(27)へ送られる空気中の塵埃などを捕集する。室内熱交換器(27)は、内部流路(24)における室内ファン(25)の上流側に配置される。室内熱交換器(27)は、室内ファン(25)によって搬送される室内空気と内部の冷媒とを熱交換させる。室内熱交換器(27)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0055】
室内機(20)には、第2制御装置(72)と、各種のセンサとが設けられる。室内機(20)に設けられたセンサには、内気温度センサ(SN3)と、内気湿度センサ(SN4)とが含まれる。内気温度センサ(SN3)は、室内空気の温度を検出するセンサである。内気温度センサ(SN3)が検出する温度は、吸込み空気の温度である。内気湿度センサ(SN4)は、室内空気の湿度を検出するセンサである。
【0056】
内気湿度センサ(SN4)が検出する湿度は、吸込み空気の絶対湿度である。内気温度センサ(SN3)は、室内空気(吸込み空気)の相対湿度を検出してもよい。第2制御装置(72)には、内気温度センサ(SN3)から室内空気の温度についての検出信号が入力される。第2制御装置(72)にはさらに、内気湿度センサ(SN4)から室内空気の湿度についての検出信号が入力される。
【0057】
〈照射装置〉
図3に示すように、空気調和装置(10)は、照射装置(80)をさらに備える。照射装置(80)は、ホース(13)の内面(14)を殺菌する殺菌装置を構成する。ホース(13)は、加湿器(50)により加湿された室外空気(加湿用空気)を室内機(20)に搬送する配管である。ホース(13)は、可撓性を有する。ホース(13)は、比較的狭い空気流路(15)を構成する。この空気流路(15)の断面積は、500mm程度である。例えば、ホース(13)の外径は35mm程度であり、ホース(13)の内径は25mm程度である。
【0058】
ホース(13)は、空気入口(16)と、空気出口(17)とを有する。空気入口(16)は、加湿された室外空気が流入する開口であって、加湿器(50)の接続口(56)に接続される。空気出口(17)は、加湿された室外空気が流出する開口であって、室内機(20)に接続される。ホース(13)内の空気流路(15)には、高湿度の加湿用空気が流れる。このため、ホース(13)の中の湿度は比較的高くなり、ホース(13)の内面(14)にはカビや細菌などの微生物が繁殖し易い。
【0059】
ホース(13)の内面(14)には、紫外線を照射する反射部(18)が設けられる。本例の反射部(18)は、ホース(13)の内面(14)自体で構成される。ホース(13)は、例えば、紫外線を反射する反射材を含むプラスチック材料によって形成される。反射部(18)は、紫外線を反射するシートやフィルムなどの反射部材によって構成されてもよい。反射部材としては、例えばアルミニウムなどからなる金属箔が挙げられる。
【0060】
照射装置(80)は、ホース(13)の内面(14)に紫外線を照射する装置である。本例の照射装置(80)は、複数の紫外線LED(81)を有する。紫外線LED(81)は、紫外線光源の一例である。複数の紫外線LED(81)としては、第1紫外線LED(82)と、第2紫外線LED(83)とが設けられる。第1紫外線LED(82)および第2紫外線LED(83)はそれぞれ、紫外線を照射する照射部(84)を有する。
【0061】
第1紫外線LED(82)は、ホース(13)の空気入口(16)に配置される。第1紫外線LED(82)は、照射部(84)をホース(13)の空気入口(16)から空気流路(15)の奥側に向けて設けられる。第1紫外線LED(82)の照射部(84)は、ホース(13)の延びる方向に紫外線を照射する。第1紫外線LED(82)は、ホース(13)内での空気の流れ方向における下流側に向けて紫外線を照射する。
【0062】
第2紫外線LED(83)は、ホース(13)の空気出口(17)に配置される。第2紫外線LED(83)は、照射部(84)をホース(13)の空気出口(17)から空気流路(15)の奥側に向けて設けられる。第2紫外線LED(83)の照射部(84)は、ホース(13)の延びる方向に紫外線を照射する。第2紫外線LED(83)は、ホース(13)内での空気の流れ方向における上流側に向けて紫外線を照射する。
【0063】
第1紫外線LED(82)および第2紫外線LED(83)が照射する紫外線は、200nm以上且つ380nm以下の波長を有する。第1紫外線LED(82)から照射された紫外線は、ホース(13)の内面(14)の反射部(18)で反射されて、空気入口(16)から空気流路(15)の奥側へ伝搬される。第2紫外線LED(83)から照射された紫外線は、ホース(13)の内面(14)の反射部(18)で反射されて、空気出口(17)から空気流路(15)の奥側へ伝搬される。
【0064】
〈制御部〉
制御部(70)は、室内機(20)、室外機(30)および加湿器(50)の動作を制御する。制御部(70)はさらに、照射装置(80)の動作を制御する。図4に示すように、制御部(70)は、第1制御装置(71)と、第2制御装置(72)と、リモートコントローラ(73)とを有する。
【0065】
第1制御装置(71)および第2制御装置(72)はそれぞれ、マイクロコンピュータと、メモリと、通信インターフェースとを含む。マイクロコンピュータは、メモリに記憶されたソフトウェアに基づいて各種処理を行う。メモリには、マイクロコンピュータを動作させるための各種ソフトウェアおよびデータが記憶される。第1制御装置(71)と第2制御装置(72)とは、互いに通信可能に接続される。
【0066】
リモートコントローラ(73)は、表示部(74)と、入力部(75)とを有する。表示部(74)は、空気調和装置(10)の運転状態、設定温度などの所定の情報を表示する。表示部(74)は、例えば液晶表示パネルによって構成される。入力部(75)は、ユーザからの各種設定を行う入力操作を受け付ける。入力部(75)は、スイッチ、ボタンまたはタッチパネルを含む。
【0067】
リモートコントローラ(73)は、第2制御装置(72)と通信可能に接続される。リモートコントローラ(73)は、室内においてユーザが操作可能な位置に配置される。リモートコントローラ(73)は、入力部(75)でのユーザの操作に応じて、空気調和装置(10)の運転(冷房運転、暖房運転および加湿運転など)を指示する指示信号を第2制御装置(72)に送信する。
【0068】
第2制御装置(72)は、リモートコントローラ(73)からの指示信号を受信すると、その指示信号を第1制御装置(71)に送信する。そして、第2制御装置(72)は、受信した指示信号に従い、室内ファン(25)の動作およびフラップ(28)の角度を制御する。
【0069】
第1制御装置(71)は、第2制御装置(72)からの指示信号を受信すると、その指示信号に従い、圧縮機(35)、室外ファン(36)、膨張弁(38)および四方切換弁(39)の動作と、加湿ロータ(58)、第1ファン(59)、切換ダンパ(60)、ヒータ(63)および第2ファン(64)の動作とを制御する。第1制御装置(71)はさらに、受信した指示信号に従い、照射装置(80)の動作、つまり第1紫外線LED(82)および第2紫外線LED(83)の発光を制御する。
【0070】
制御部(70)は、リモートコントローラ(73)を用いたユーザによる運転指示に応じて、冷房運転と、暖房運転と、加湿運転とを切り換えて実行させる。また、制御部(70)は、加湿運転時において、ホース(13)内の湿度に基づき、照射装置(80)を動作させる。具体的には、制御部(70)は、ホース(13)内の相対湿度が所定値以下になると、第1紫外線LED(82)および第2紫外線LED(83)に紫外線を照射させる。ここで、上記所定値は、例えば70%以下に設定される。
【0071】
-空気調和装置の運転動作-
空気調和装置(10)は、冷房運転、暖房運転、換気運転および加湿運転を行う。これら冷房運転、暖房運転、換気運転および加湿運転は、制御部(70)において、第2制御装置(72)がリモートコントローラ(73)からその実行を指示する指示信号を受信することで開始し、その停止を指示する指示信号を受信することで停止される。
【0072】
〈冷房運転〉
冷房運転は、蒸発器とした室内熱交換器(27)により室内空気を冷却する運転である。冷房運転では、制御部(70)が、四方切換弁(39)を第1状態に設定する。制御部(70)は、圧縮機(35)、室外ファン(36)および室内ファン(25)を運転させる。制御部(70)は、膨張弁(38)の開度を適宜調節する。冷房運転では、圧縮した冷媒が室外熱交換器(37)で放熱し、室内熱交換器(27)で蒸発する第1冷凍サイクルが行われる。
【0073】
制御部は、(70)は、内気温度センサ(SN3)で検出される室内温度がリモートコントローラ(73)で設定された冷房温度に収束するように、圧縮機(35)の回転数などを制御する。室内機(20)では、室内ファン(25)の運転により室内空気が吸込口(22)を通じて内部流路(24)に吸い込まれる。内部流路(24)に吸い込まれた空気は、室内熱交換器(27)を通過する。室内熱交換器(27)は、通過する空気を冷却する。室内熱交換器(27)によって冷却された空気は、吹出口(23)から室内空間(SI)へ供給される。
【0074】
〈暖房運転〉
暖房運転は、放熱器とした室内熱交換器(27)により室内空気を加熱する運転である。暖房運転では、制御部(70)が、四方切換弁(39)を第2状態に設定する。制御部(70)は、圧縮機(35)、室外ファン(36)および室内ファン(25)を運転させる。制御部(70)は、膨張弁(38)の開度を適宜調節する。暖房運転では、圧縮した冷媒が室内熱交換器(27)で放熱し、室外熱交換器(37)で蒸発する第2冷凍サイクルが行われる。
【0075】
制御部は、(70)は、内気温度センサ(SN3)で検出される室内温度がリモートコントローラ(73)で設定された暖房温度に収束するように、圧縮機(35)の回転数などを制御する。室内機(20)では、室内ファン(25)の運転により室内空気が吸込口(22)を通じて内部流路(24)に吸い込まれる。内部流路(24)に吸い込まれた空気は、室内熱交換器(27)を通過する。室内熱交換器(27)は、通過する空気を加熱する。室内熱交換器(27)によって加熱された空気は、吹出口(23)から室内空間(SI)へ供給される。
【0076】
〈換気運転〉
換気運転は、室内空気を換気する運転である。換気運転では、制御部(70)が、ヒータ(63)、加湿ロータ(58)および第1ファン(59)を停止させ、第2ファン(64)を運転させる。制御部(70)は、圧縮機(35)、室外ファン(36)および室内ファン(25)を停止させる。換気運転では、冷媒回路(40)における冷凍サイクルが行われない。制御部(70)は、切換ダンパ(60)を第1状態と第2状態とで切り換える。
【0077】
換気運転は、切換ダンパ(60)が第1状態であると給気状態になり、切換ダンパ(60)が第2状態であると排気状態になる。給気状態においては、室外空気が吸排口(55)から加湿器(50)に取り入れられ、ホース(13)を通じて室内機(20)に搬送された後、室内機(20)の吹出口(23)から室内空間(SI)へ供給される。排気状態においては、室内空気が室内機(20)に取り入れられ、ホース(13)を通じて加湿器(50)に搬送された後、吸排口(55)から排気される。
【0078】
〈加湿運転〉
加湿運転は、加湿器(50)により室内空気を加湿する運転である。加湿運転では、制御部(70)が、切換ダンパ(60)を第1状態に設定する。制御部(70)は、ヒータ(63)、加湿ロータ(58)および第1ファン(59)を運転させる。制御部(70)は、圧縮機(35)および室外ファン(36)を停止させる。加湿運転では、冷媒回路(40)における冷凍サイクルが行われない。
【0079】
制御部(70)は、内気温度センサ(SN3)によって検出される室内温度と、内気温度センサ(SN3)によって検出される室内空間(SI)の湿度(絶対湿度)とに基づいて、室内空気の相対湿度を算出する。制御部(70)は、算出した相対湿度がリモートコントローラ(73)で設定された設定湿度に収束するように、第1ファン(59)および第2ファン(64)の回転数と、ヒータ(63)の出力とを制御する。
【0080】
加湿器(50)では、第2ファン(64)の運転により室外空気が吸排口(55)を通じて第2流路(57)に吸い込まれる。第2流路(57)に吸い込まれた空気は、ヒータ(63)により加熱された後に、加湿ロータ(58)の放湿領域(58b)を通過する。加湿ロータ(58)は、放湿領域(58b)を通過する空気に水分を付与する。水分が付与された高湿度の空気は、ホース(13)を通じて室内機(20)に搬送され、室内機(20)の吹出口(23)から室内空間(SI)へ供給される。
【0081】
〈加湿運転時の照射装置の動作〉
加湿運転では、照射装置(80)に紫外線を照射させることによるホース(13)内の殺菌処理が実行される。以下に、ホース(13)内の殺菌処理に係る制御について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0082】
空気調和装置(10)が運転すると、制御部(70)は、ホース(13)内の殺菌処理に係る制御を開始する。図5に示すように、ステップST1において、制御部(70)は、リモートコントローラ(73)で加湿運転の実行が指示されたかを判定する。ステップST1で加湿運転の実行が指示されていない(NO)と判定すると、ステップST1を繰り返し行う。ステップST1で加湿運転の実行が指示された(YES)と判定すると、ステップST2が行われる。
【0083】
ステップST2では、制御部(70)が加湿運転を実行する。そして、制御部(70)は、照射装置(80)をON状態とする。照射装置(80)がON状態になると、第1紫外線LED(82)および第2紫外線LED(83)が点灯し、紫外線を照射する。この紫外線は、ホース(13)の内面(14)に照射される。ホース(13)の内面(14)は、紫外線に晒されて殺菌される。また、当該紫外線は、ホース(13)内の空気流路(15)を流れる加湿用空気にも照射される。空気流路(15)を流れる加湿用空気は、紫外線に晒されて殺菌される。
【0084】
加湿運転の実行を開始すると、ステップST3が行われる。ステップST3では、制御部(70)がリモートコントローラ(70)で加湿運転の停止が指示されたかを判定する。ステップST6で加湿運転の停止が指示されていない(NO)と判定すると、ステップST2に戻って加湿運転を継続し、ステップST3が再び行われる。ステップST3で加湿運転の停止が指示された(YES)と判定すると、ステップST4が行われる。
【0085】
ステップST4では、制御部(70)が加湿運転を停止する。そして、制御部(70)は、照射装置(80)をOFF状態にする。照射装置(80)がOFF状態であると、第1紫外線LED(82)および第2紫外線LED(83)が消灯し、紫外線を照射しない。加湿運転を停止すると、ステップST5が行われる。
【0086】
ステップST5では、制御部(70)がホース(13)内の湿度が所定値(例えば70%)以下であるかを判定する。このとき、制御部(70)は、ホース(13)内の湿度として相対湿度を取得する。ホース(13)内の相対湿度は、外気湿度センサ(SN2)によって検出される室外空気の湿度、または内気湿度センサ(SN4)によって検出される室内空気の湿度に基づいて推定される。ホース(13)内の相対湿度は、ホース(13)内またはホース(13)外の所定の物理量(電流、電圧、気圧、気温など)をビッグデータ解析することにより推定してもよい。
【0087】
ステップST5でホース(13)内の湿度が所定値よりも高い(No)と判定すると、ホース(13)内の湿度が当該所定値以下になるまでステップST5の判定を繰り返す。例えば、ホース(13)内の相対湿度が70%よりも高いと、ホース(13)自体の温度またはホース(13)内の空気の温度が下がったときに、ホース(13)の内面(14)に結露が生じ易い。ホース(13)の内面(14)に結露が生じると、紫外線が結露した水によって減衰される。このようにホース(13)の内面(14)に結露が生じ易いときには、紫外線の照射による殺菌作用が弱まることから、照射装置(80)をON状態とするのを待機する。
【0088】
ステップST5でホース(13)内の湿度が所定値以下である(YES)と判定すると、ステップST6が行われる。ステップST6では、制御部(70)が照射装置(80)をON状態とする。照射装置(80)がON状態になると、ホース(13)の内面(14)が第1紫外線LED(82)および第2紫外線LED(83)から照射された紫外線に晒されて殺菌される。このようにホース(13)の中の湿度が下がるのを待って照射装置(80)による紫外線の照射を実施することで、ホース(13)の内面(14)に対する殺菌効果が高まる。
【0089】
ステップST6で照射装置(80)がON状態になると、ステップST7が行われる。ステップST7では、制御部(70)が照射装置(80)をON状態にしてから所定時間(例えば30分)が経過したかを判定する。ステップST7で所定時間が経過していない(NO)と判定すると、照射装置(80)をON状態にしてから所定時間が経過するまでステップST7を繰り返す。
【0090】
ステップST7で所定時間が経過した(YES)と判定すると、ステップST8が行われる。ステップST8では、制御部(70)が照射装置(80)をOFF状態にする。ステップST8で照射装置(80)をOFF状態にすると、制御部(70)は、ホース(13)内の殺菌処理に係る制御を終了する。
【0091】
-実施形態の特徴-
空気調和装置(10)は、ホース(13)の内面(14)に紫外線を照射する照射装置(80)を備える。照射装置(80)が紫外線を照射すると、ホース(13)の内面(14)が殺菌される。そうした紫外線の殺菌作用により、ホース(13)の内面(14)でカビや細菌などの微生物が繁殖するのを抑制できる。これにより、ホース(13)を通じて室内機(20)へ送られる加湿用空気に対して、ホース(13)内を流れる過程で付与される微生物が低減される。したがって、空気調和装置(10)において室内に吹き出される加湿用空気の衛生性を高めることができる。
【0092】
空気調和装置(10)では、紫外線LED(81)が照射装置(80)を構成する紫外線光源として用いられる。紫外線LED(81)は、紫外線ランプなどの他の紫外線光源に比べて小さい。このことは、照射装置(80)を構成する紫外線光源をホース(13)内に配置させるのに有利である。したがって、照射装置(80)をホース(13)内にコンパクトに組み込むことができる。
【0093】
空気調和装置(10)では、紫外線LED(81)がホース(13)の延びる方向に紫外線を照射する。このように紫外線が照射されると、ホース(13)内を流れる空気が、ホース(13)の内面(14)と共に、ホース(13)の延びる方向における比較的広い範囲で紫外線に晒される。それにより、空気中の微生物に対する紫外線の反応時間を比較的長くできる。したがって、加湿用空気がホース(13)内を流れる過程で好適に殺菌される。
【0094】
空気調和装置(10)では、第1紫外線LED(82)が、ホース(13)の空気入口(16)に配置され、ホース(13)での空気の流れ方向における下流側に向けて紫外線を照射する。ホース(13)が室内機(20)に搬送する加湿用空気は、ホース(13)の空気入口(16)で紫外線により殺菌される。加湿用空気に含まれる雑菌などの微生物は、ホース(13)に流入する際に殺菌される。これにより、加湿用空気中の微生物がホース(13)の内面(14)に付いて繁殖するのを抑制できる。
【0095】
空気調和装置(10)では、第2紫外線LED(83)が、ホース(13)の空気出口(17)に配置され、ホース(13)での空気の流れ方向における上流側に向けて紫外線を照射する。ホース(13)が室内機(20)に搬送する加湿用空気は、ホース(13)の空気出口(17)で紫外線により殺菌される。ホース(13)内を搬送中の加湿用空気に含まれる雑菌などの微生物は、ホース(13)から流出する際に殺菌される。これにより、ホース(13)内を搬送される加湿用空気中の微生物を室内機(20)に送られる前に低減できる。
【0096】
空気調和装置(10)では、紫外線LED(81)から照射される紫外線が、200nm以上且つ380nm以下の波長を有する。このように水を透過し易い波長の紫外線をホース(13)の内面(14)に照射することで、ホース(13)の内面(14)に結露が生じていても、ホース(13)の内面(14)を効果的に殺菌できる。
【0097】
空気調和装置(10)では、制御部(70)が、ホース(13)内の湿度が所定値以下になると、紫外線LED(81)に紫外線を照射させる。ホース(13)内の湿度が低いと、紫外線の照射による殺菌効果が高まる。また、紫外線を照射するか否かの判断の基になる所定値をホース(13)内に結露が生じ難い湿度の値(例えば70%)に設定することで、ホース(13)の内面(14)に結露が生じていないかまたは少ないタイミングで紫外線を照射できる。そうすることで、紫外線が結露した水に減衰されるのを避けて、紫外線の照射によりホース(13)の内面(14)を強力に殺菌できる。
【0098】
空気調和装置(10)では、ホース(13)の内面(14)が、紫外線を反射する反射部(18)を有する。紫外線LED(81)から照射された紫外線は、ホース(13)の内面(14)の反射部(18)で反射されて、ホース(13)の延びる方向へ伝搬される。紫外線がホース(13)内を伝搬されると、紫外線の照射範囲がホース(13)の延びる方向に広がる。そのことで、ホース(13)の内面(14)と加湿用空気を比較的広い範囲に亘って殺菌できる。
【0099】
-変形例-
上記実施形態においては、以下のような構成としてもよい。
【0100】
照射装置(80)は、ホース(13)の長さ方向における中程でホース(13)の内面(14)に紫外線を照射してもよい。例えば、図6に示すように、第1紫外線LED(82)がホース(13)の長さ方向における中程に照射部(84)を空気入口(16)側に向けて設けられ、第2紫外線LED(83)がホース(13)の長さ方向における中程に照射部(84)を空気出口(17)側に向けて設けられてもよい。この場合、第1紫外線LED(82)は、ホース(13)内での空気の流れ方向における上流側に向けて紫外線を照射する。第2紫外線LED(83)は、ホース(13)内での空気の流れ方向における下流側に向けて紫外線を照射する。
【0101】
照射装置(80)は、ホース(13)の長さ方向における複数箇所でホース(13)の内面(14)に紫外線を照射してもよい。例えば、図7に示すように、照射装置(80)は、ホース(13)の長さ方向において互いに間隔をあけて配置された複数の紫外線LED(81)を有してもよい。複数の紫外線LED(81)は、ホース(13)の径方向における一方側に配列される。複数の紫外線LED(81)はそれぞれ、照射部(84)をホース(13)の内面(14)に向けて設けられる。複数の紫外線LED(81)は、テープ状に一体化されたテープライト、チューブ状に一体化されたチューブライトとして設けられてもよい。
【0102】
このような照射装置(80)では、ホース(13)の内面(14)に向けられた各紫外線LED(81)の照射部(84)から紫外線が照射される。紫外線LED(81)の照射部(84)がホース(13)の内面(14)に向いていると、ホース(13)の内面(14)に照射される紫外線の量が多くなる。このことは、ホース(13)の内面(14)を殺菌するのに有利である。したがって、ホース(13)の内面(14)で微生物が繁殖するのを好適に抑制できる。
【0103】
図8に示すように、複数の紫外線LED(81)は、ホース(13)の径方向における両側に設けられ、互いに対向する紫外線LED(81)の列を構成してもよい。また、照射装置(80)が備える紫外線LED(81)は1つのみであってもよい。この1つの紫外線LED(81)は、ホース(13)の延びる方向に紫外線を照射してもよく、ホース(13)の内面(14)に向けて紫外線を照射してもよい。
【0104】
空気調和装置(10)は、天井設置式の室内機(20)を有してもよい。ここで、天井設置式の室内機(20)は、室内機(20)が天井面に埋め込まれる天井埋め込み式や、室内機(20)が上壁に吊り下げられる天井吊り式を含む。また、室内機(20)は、床置き式や、天井裏に設置されるダクト式であってもよい。
【0105】
空気調和装置(10)は、複数の室内機(20)を有するマルチ式であってもよい。空気調和装置(10)は、複数の室外機(30)を有してもよい。空気調和装置(10)は、複数の加湿器(50)を有してもよい。加湿器(50)は、室外機(30)と別体であってもよい。
【0106】
制御部(70)は、空気調和装置(10)の運転停止時において、照射装置(80)をON状態としてもよい。例えば、制御部(70)は、加湿運転の終了直後またはその終了から所定時間の経過後に照射装置(80)をON状態としてもよい。この場合、照射装置(80)は、ホース(13)の内面(14)に紫外線を照射する。加湿運転後には、ホース(13)の中の湿度が高くなり、微生物が繁殖し易い環境になる。よって、加湿運転後のタイミングでホース(13)の内面(14)を殺菌することは、微生物の繁殖を抑制するのに有効である。
【0107】
制御部(70)は、加湿運転の終了後に換気運転を実行し、換気運転の実行中または終了後に照射装置(80)をON状態としてもよい。この場合の換気運転は、給気状態で行われても、排気状態で行われてもよく、給気状態および排気状態を切り換えて両方で行ってもよい。換気運転が行われると、加湿運転で高くなったホース(13)の中の湿度が下がる。このため、ホースの内面に結露が生じ難い状態になる。その状態で照射装置(80)をON状態にすることで、紫外線LED(81)から照射される紫外線が水により減衰されるのを避けて、ホース(13)の内面(14)を紫外線の照射により好適に殺菌できる。
【0108】
制御部(70)は、ホース(13)内の湿度(例えば相対湿度)に応じて照射装置(80)の出力を変更してもよい。例えば、制御部(70)は、ホース(13)内の相対湿度が所定値(例えば70%)以上であるときに、ホース(13)内の相対湿度が当該所定値よりも低いときよりも、紫外線LED(81)が照射する紫外線の量を多くしてもよい。そうすることで、ホース(13)の内面(14)に結露が生じても、ホース(13)の内面(14)を有効な量の紫外線に晒して好適に殺菌できる。
【0109】
ホース(13)は、配管の一例に過ぎず、加湿用空気を搬送するものでなくても、室内機(20)に室外空気を搬送する配管であれば、照射装置(80)による殺菌処理の対象としてもよい。ここでいう「配管」とは、断面積が8000mm以下(例えば直径100mm以下)の比較的狭い空気流路を構成する管体を意味する。この「配管」には、細長くて柔らかいホースやチューブ、細長くて固いパイプが含まれるが、天井裏などに設置される断面積が比較的広いダクトは含まれない。当該「配管」は、断面円形状の管体に限らず、断面矩形状など、他の断面形状の管体であってもよい。
【0110】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0111】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
【符号の説明】
【0113】
10 空気調和装置
13 ホース(配管)
14 内面
18 反射部
20 室内機
50 加湿器
70 制御部
80 照射装置(殺菌装置)
81 紫外線LED(紫外線光源)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8