(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185867
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/22 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
F24F1/0007 361Z
F24F13/22 228
F24F1/0007 361F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093761
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 千佳
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智己
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】奥本 衛
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BD05
3L050BF02
(57)【要約】
【課題】ドレンパン内(53)の水を効果的に殺菌する。
【解決手段】空気調和装置は、ドレンパン(50)と、前記ドレンパン(50)で受けられた水に対して局所的な殺菌処理を行う殺菌部と、前記ドレンパン内(53)の水を撹拌する撹拌部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンパン(50)と、
前記ドレンパン(50)で受けられた水に対して局所的な殺菌処理を行う殺菌部と、
前記ドレンパン内(53)の水を撹拌する撹拌部と
を備える空気調和装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記撹拌部は、前記ドレンパン内(53)の水を吸い込んで前記ドレンパン内(53)に戻すポンプを含む、空気調和装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記殺菌部は、前記ドレンパン内(53)の水に局所的に紫外線を照射する第1照射部(72)を含む、空気調和装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記ポンプにより吸い込まれた前記ドレンパン内(53)の水が流れる流路(63)が設けられ、
前記殺菌部は、前記流路(63)に向けて紫外線を照射する第2照射部(76)を含む、空気調和装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記殺菌部は、複数の前記第2照射部(76)を含み、
前記複数の第2照射部(76)は互いに異なる方向から前記流路(63)に向けて紫外線を照射する、空気調和装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項において、
前記ポンプは、前記ドレンパン内(53)の第1位置(P1)から前記ドレンパン内(53)の水を吸い込み、前記第1位置(P1)と異なる前記ドレンパン内(53)の第2位置(P2)に水を吐出する、空気調和装置。
【請求項7】
請求項2から請求項5のいずれか1項において、
前記ポンプは、前記ドレンパン内(53)の第1位置(P1)から前記ドレンパン内(53)の水を吸い込み、前記第1位置(P1)に水を吐出する、空気調和装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれか1項において、
前記ポンプは、前記ドレンパン(50)を収容するケーシング(20)の外部に前記ドレンパン内(53)の水を排出するドレンポンプ(60)の機能を含む、空気調和装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項において、
前記殺菌部は、前記撹拌部により前記ドレンパン内(53)の水が撹拌される際に前記水を殺菌する、空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気調和装置は、室内ユニットに紫外線を照射する光源を設ける。光源は、規定された順路上を移動して、室内ユニットが備えるドレンパンに紫外線を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ドレンパン内の水と光源との距離によっては紫外線の照射量にムラがある場合、ドレンパン内の水を効果的に殺菌できず、ドレンパン内の水に殺菌しきれない箇所が発生する可能性がある。この場合、光源の移動領域を拡大するために室内ユニット内において光源設置のためのスペースを拡大しなければならず、さらに光源の移動領域の拡大に伴う余分な配線が必要になる。
【0005】
本開示の目的は、ドレンパン内の水を効果的に殺菌することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、空気調和装置を対象とする。空気調和装置は、ドレンパン(50)と、前記ドレンパン(50)で受けられた水に対して局所的な殺菌処理を行う殺菌部と、前記ドレンパン内(53)の水を撹拌する撹拌部とを備える。
【0007】
第1の態様では、ドレンパン内(53)の水を効果的に殺菌することができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、前記撹拌部は、前記ドレンパン内(53)の水を吸い込んで前記ドレンパン内(53)に戻すポンプを含む。
【0009】
第2の態様では、ドレンパン内(53)に戻された水の圧力でドレンパン内(53)の水を撹拌することができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、前記殺菌部は、前記ドレンパン内(53)の水に局所的に紫外線を照射する第1照射部(72)を含む。
【0011】
第3の態様では、紫外線によりドレンパン内(53)の水を殺菌することができる。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第2の態様において、前記ポンプにより吸い込まれた前記ドレンパン内(53)の水が流れる流路(63)が設けられ、前記殺菌部は、前記流路(63)に向けて紫外線を照射する第2照射部(76)を含む。
【0013】
第4の態様では、流路(63)を流れている水を殺菌することができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、上記第4の態様において、前記殺菌部は、複数の前記第2照射部(76)を含み、前記複数の第2照射部(76)は互いに異なる方向から前記流路(63)に向けて紫外線を照射する。
【0015】
第5の態様では、複数の第2照射部(76)からの紫外線を用いて流路(63)を流れている水を効果的に殺菌することができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、上記第2~第5の態様のいずれか1つにおいて、前記ポンプは、前記ドレンパン内(53)の第1位置(P1)から前記ドレンパン内(53)の水を吸い込み、前記第1位置(P1)と異なる前記ドレンパン内(53)の第2位置(P2)に水を吐出する。
【0017】
第6の態様では、第2位置(P2)に吐出された水の圧力でドレンパン内(53)の水を撹拌することができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、上記第2~第5の態様のいずれか1つにおいて、前記ポンプは、前記ドレンパン内(53)の第1位置(P1)から前記ドレンパン内(53)の水を吸い込み、前記第1位置(P1)に水を吐出する。
【0019】
第7の態様では、第1位置(P1)で水を吸い込む処理と吐出する処理とが行われるので、装置構成を簡素化できる。
【0020】
本開示の第8の態様は、上記第2~第7の態様のいずれか1つにおいて、前記ポンプは、前記ドレンパン(50)を収容するケーシング(20)の外部に前記ドレンパン内(53)の水を排出するドレンポンプ(60)の機能を含む。
【0021】
第8の態様では、ドレンポンプ(60)にドレンパン内(53)の水を撹拌するための機能を含ませることで、ドレンパン内(53)の水を撹拌するための装置構成をコンパクト化できる。
【0022】
本開示の第9の態様は、上記第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、前記殺菌部は、前記撹拌部により前記ドレンパン内(53)の水が撹拌される際に前記水を殺菌する。
【0023】
第9の態様では、ドレンパン内(53)の水が撹拌されて流動している状態で、殺菌部による殺菌が行われるので、ドレンパン内の水を全体的に殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態の空気調和装置の内部構造を示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の空気調和装置の内部構造を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のドレンパン周りの構造を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の空気調和装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の制御部の動作を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態のドレンパン周りの構造を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の制御部の動作を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態のドレンパン周りの構造を示す図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態の制御部の動作を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態のドレンパン周りの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明及びそれに付随する効果等の説明は繰り返さない。
【0026】
〈第1実施形態〉
第1実施形態に係る空気調和装置(10)は、室内の少なくとも温度を調節する。空気調和装置(10)は、室内空気(RA)の温度を調節し、温度を調節した空気を供給空気(SA)として室内へ供給する。空気調和装置(10)は、冷房運転と、暖房運転とを行う。
【0027】
図1~
図3に示すように、空気調和装置(10)は、室内ユニット(11)と、室外ユニット(図示省略)とを備える。室内ユニット(11)は、天井裏の空間に設置される。室内ユニット(11)は、冷媒配管を介して室外ユニットに接続されている。この接続により、空気調和装置(10)には、冷媒回路が構成される。冷媒回路には、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器(43)が接続される。冷媒回路では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
【0028】
冷媒回路では、第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとが切り換えて行われる。第1冷凍サイクルは、冷房運転時に行われる。第1冷凍サイクルを行っているときには、室外熱交換器が放熱器または凝縮器として機能し、室内熱交換器(43)が蒸発器として機能する
。第2冷凍サイクルは、暖房運転時に行われる。第2冷凍サイクルを行っているときには、室内熱交換器(43)が放熱器または凝縮器として機能し、室外熱交換器が蒸発器として機能する。
【0029】
〈室内ユニットの構成〉
室内ユニット(11)の概略の構成について、
図1~
図3を参照しながら説明する。室内ユニット(11)は、例えば、天井裏に設置される。室内ユニット(11)は、ケーシング(20)と、ファン(40)と、室内熱交換器(43)と、ドレンパン(50)と、ドレンポンプ(60)とを備えている。ファン(40)、室内熱交換器(43)、ドレンパン(50)、ドレンポンプ(60)および電装品箱(16)は、ケーシング(20)の内部に収容されている。
【0030】
〈ケーシング〉
ケーシング(20)は、例えば、直方体の中空箱形に形成されている。ケーシング(20)には、吸込口(31)と吹出口(32)とが形成されている。吸込口(31)には、吸込ダクト(図示省略)が接続されている。吸込ダクトの流入端は、室内空間に連通している。吹出口(32)には、吹出ダクト(図示省略)が接続されている。吹出ダクトの流出端は、室内空間に連通している。ケーシング(20)の内部において、吸込口(31)と吹出口(32)との間には、空気流路(33)が形成されている。
【0031】
〈ファン〉
第1実施形態では、3台のファン(40)が空気流路(33)に設けられている。各ファン(40)は、シロッコ型ファンである。3台のファン(40)は、回転軸(41)によって互いに連結されている。3台のファン(40)は、1つのモータ(42)によって駆動される。なお、空気調和装置(10)に設けられるファン(40)の個数については特に限定されない。
【0032】
〈室内熱交換器〉
室内熱交換器(43)は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器である。第1冷凍サイクルを行っているときの室内熱交換器(43)は、空気を冷却する。その際、空気中の水分が結露し、凝縮水が発生する。第2冷凍サイクルを行っているときの室内熱交換器(43)は、空気を加熱する。
【0033】
〈ドレンパン〉
ドレンパン(50)の詳細について、
図1、
図2、および
図3を参照しながら説明する。ドレンパン(50)は、例えば、樹脂材料からなる。ドレンパン(50)は、室内熱交換器(43)の下方に位置している。ドレンパン(50)は、室内熱交換器(43)で生成された水を受ける。室内熱交換器(43)で生成された水は、室内熱交換器(43)の近傍で空気中に発生した凝縮水を示す。
【0034】
ドレンパン(50)は、底板部(51)と、側壁部(52)とを有している。側壁部(52)は、底板部(51)の縁部から上方に立ち上がりつつ、底板部(51)の縁部に沿って環状に延びる。ドレンパン内(53)には、底板部(51)と側壁部(52)とで囲まれた空間が形成される。ドレンパン内(53)の空間は、底部及び側部が底板部(51)と側壁部(52)とで覆われつつ、上部が開口した形状を有する。ドレンパン内(53)の空間は、室内熱交換器(43)に対して下方から対向している。ドレンパン内(53)には、室内熱交換器(43)で生成された水が溜められる。
【0035】
〈ドレンポンプ〉
ドレンポンプ(60)は、ドレンパン(50)の上側に配置されている。ドレンポンプ(60)は、ドレンパン内(53)の水を排出するポンプである。ドレンポンプ(60)の下部には、水を吸い込む吸込部(61)が設けられている。吸込部(61)は、管状に構成されている。吸込部(61)は、吸水口(62)と、流路(63)とを含む。吸水口(62)は、吸込部(61)の下端に設けられ、吸込部(61)の外部とを連通する開口である。吸水口(62)は、ドレンパン内(53)の第1位置(P1)に配置される。流路(63)は、吸込部(61)の内部に設けられる空間であり、吸水口(62)と連通する。
【0036】
ドレンポンプ(60)には、排水管(64)が接続されている。排水管(64)は、ドレンポンプ(60)の流路(63)に連通している。排水管(64)は、ケーシング(20)を貫通しており、ケーシング(20)の外部に連通している。
【0037】
〈制御構成〉
図3及び
図4に示すように、空気調和装置(10)は、駆動源(71)と、第1照射部(72)と、操作部(73)と、記憶部(74)と、制御部(75)とをさらに備える。駆動源(71)、第1照射部(72)、記憶部(74)、及び制御部(75)は、室内ユニット(11)のケーシング(20)内に設けられる。
【0038】
駆動源(71)は、ドレンポンプ(60)を駆動させる。駆動源(71)は、例えば、モータを含む。
【0039】
第1照射部(72)は、ドレンパン内(53)の水に局所的に紫外線を照射する。第1照射部(72)は、例えば、紫外線LED(発光ダイオード)を含む。第1照射部(72)が照射する紫外線の波長は、例えば、180~350nmである。第1実施形態では、第1照射部(72)は、ドレンパン(50)の周囲に配置される。第1照射部(72)は、例えば、ドレンパン(50)、ケーシング(20)等に固定され、ドレンパン(50)に対して定位置に配置される。
【0040】
第1実施形態では、第1照射部(72)は、ドレンパン内(53)に水が溜められている状態で、当該水が存在している領域うちの一部の領域(E1)に紫外線を照射する。その結果、第1照射部(72)からの紫外線により領域(E1)に存在する水の殺菌処理が行われるので、ドレンパン(50)で受けられた水に対して領域(E1)において局所的に殺菌処理が行われる。
【0041】
第1照射部(72)は、本発明の殺菌部の一例である。
【0042】
操作部(73)は、空気調和装置(10)に対する指示を受け付ける。操作部(73)は、例えば、リモコン(リモートコントローラ)を含む。ユーザーは、リモコンである操作部(73)に対して指示を入力すると、操作部(73)から空気調和装置(10)の制御部(75)に対して赤外線等により当該指示に応じた制御信号が送信される。その結果、制御部(75)が当該指示に応じた動作を行う。
【0043】
記憶部(74)は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。記憶部(74)は、制御部(75)によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0044】
制御部(75)は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部(75)は、記憶部(74)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、空気調和装置(10)の各所構成要素を制御する。
【0045】
〈ドレンポンプの動作〉
図3及び
図4を参照して、ドレンポンプ(60)の動作について説明する。
【0046】
ドレンポンプ(60)は、第1排出処理と、第1撹拌処理とを行う。第1排出処理は、ドレンパン内(53)の水をケーシング(20)の外部へ排出する処理である。第1撹拌処理は、ドレンパン内(53)の水を撹拌する処理である。
【0047】
〈第1排出処理〉
第1排出処理が行われる際、駆動源(71)であるモータが第1方向に回転し続ける。これにより、ドレンパン内(53)の水が、ドレンポンプ(60)の吸水口(62)から流路(63)に吸い込まれた後、流路(63)から排水管(64)に送られて、排水管(64)からケーシング(20)の外部へ排出される。
【0048】
〈第2撹拌処理〉
第2撹拌処理が行われる際、駆動源(71)であるモータが、第1方向に回転する動作と、第1方向とは反対の第2方向に回転する動作とを交互に行う。これにより、ドレンパン内(53)の水が、ドレンポンプ(60)の吸水口(62)から流路(63)に吸い込まれた後、排水管(64)からケーシング(20)の外部に排出されることなく、吸水口(62)からドレンパン内(53)に戻される。その結果、ドレンパン内(53)に戻された水の圧力によりドレンパン内(53)の水が撹拌される。
【0049】
〈制御部の動作〉
ドレンパン内(53)の水を殺菌するときの制御部(75)の動作について説明する。
【0050】
図3~
図5に示すように、ステップS10において、制御部(75)は、所定のタイミングが到来したか否かを判定する。所定のタイミングは、ドレンパン内(53)の水の殺菌処理を行うタイミングである。所定のタイミングは、例えば、所定日時、毎日の所定時刻等である。
【0051】
なお、操作部(73)により空気調和装置(10)の電源がオフされると、所定のタイミングが到来したと制御部(75)が判定するように構成してもよい。また、操作部(73)に対してドレンパン内(53)の水の殺菌処理を開始することを示す指示する操作ボタン等を設け、当該操作ボタン等から殺菌処理を開始することを示す指示が入力されると、所定のタイミングが到来したと制御部(75)が判定するように構成してもよい。
【0052】
制御部(75)により所定のタイミングが到来したと判定されると(ステップS10で、Yes)、処理がステップS20に移行する。制御部(75)により所定のタイミングが到来したと判定されないと(ステップS10で、No)、ステップS10に示す処理が繰り返される。
【0053】
ステップS20において、制御部(75)は、駆動源(71)を操作して、ドレンポンプ(60)に第1撹拌処理を行わせる。その結果、ドレンポンプ(60)は、吸水口(62)が位置する第1位置(P1)からドレンパン内(53)の水を吸い込み、吸い込んだ水を第1位置(P1)に吐出することで、ドレンパン内(53)の水を撹拌する。
【0054】
第1撹拌処理を行うドレンポンプ(60)は、本発明の攪拌部の第1例である。
【0055】
ステップS30において、制御部(75)は、第1紫外線照射処理を行う。第1紫外線照射処理において、第1照射部(72)からドレンパン内(53)の領域(E1)に紫外線が照射される。
【0056】
第1実施形態では、ステップS30に示す第1紫外線照射処理は、ステップS20に示す第1撹拌処理と略同じタイミングで行われる。これにより、第1撹拌処理により撹拌されている状態のドレンパン内(53)の水に対して第1照射部(72)から紫外線が照射される。その結果、第1照射部(72)は、ドレンポンプ(60)によりドレンパン内(53)の水が攪拌されている際に紫外線により水を殺菌する。
【0057】
なお、第1撹拌処理と第1紫外線照射処理とは必ずしも略同じタイミングで行われる必要はない。第1紫外線照射処理は、ドレンパン内(53)の水が流動している状況で行われればよい。例えば、第1撹拌処理によりドレンパン内(53)の水を流動させ、そして、第1撹拌処理の終了後において、ドレンパン内(53)の水が流動している状態が継続している状況で第1紫外線照射処理が行われてもよい。
【0058】
ステップS40において、制御部(75)は、第1紫外線照射処理が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過したと判定されると(ステップS40で、Yes)、処理がステップS50に移行する。所定時間が経過していないと判定されると(ステップS40で、No)、ステップS50に示す処理が繰り返される。
【0059】
ステップS50において、制御部(75)は、第1撹拌処理及び第1紫外線照射処理を終了する。具体的には、制御部(75)は、ドレンポンプ(60)による水を吸い込み、吸い込んだ水を吐出する動作を停止し、第1照射部(72)による紫外線を照射する動作を停止する。
【0060】
ステップS50に示す処理が終了すると、処理がステップS10に戻る。
【0061】
〈効果〉
以上のように、空気調和装置(10)は、ドレンパン内(53)の水に対して局所的な殺菌処理を行う第1照射部(72)と、ドレンパン内(53)の水を撹拌するドレンポンプ(60)とを備える。これにより、第1照射部(72)からの紫外線によりドレンパン内(53)の水に対して局所的な殺菌処理が行われるが、このときドレンポンプ(60)を用いた第1撹拌処理によりドレンパン内(53)の水を撹拌することができる。これによると、第1撹拌処理によりドレンパン内(53)の水が流動するので、ドレンパン内(53)の水のうち紫外線を照射される領域に存在する水を随時流動させて、結果としてドレンパン内(53)の水全体に紫外線を照射することができる。その結果、ドレンパン内(53)の水を全体的に殺菌でき、ドレンパン内(53)の水を効果的に殺菌することができる。
【0062】
また、ドレンパン内(53)の水を全体的に殺菌することで、ドレンパン内(53)の水に菌が繁殖することを抑制でき、バイオフィルムの発生を抑制でき、さらに、バイオフィルムにより排水管(64)が詰まることを予防できる。
【0063】
また、ドレンパン内(53)の水を全体的に殺菌することで、空気調和装置(10)のケーシング(20)内で微生物が繁殖したことに由来するニオイ(MVOC)の発生を防ぐことができる。
【0064】
また、ドレンパン内(53)の水を全体的に殺菌することで、ドレンパン内(53)で繁殖した細菌、カビ等が室内ユニット(11)から室内に吹き出されることを防止でき、室内ユニット(11)からきれいな空気を提供できる。また、ドレンパン内(53)の水を全体的に殺菌することで、ドレンポンプ(60)自体の微生物由来の汚れが生じることを防止できる。また、ドレンパン内(53)の水を全体的に殺菌することで、殺菌処理後のドレンパン内(53)の水の一部が水滴となって、紫外線照射を行われる領域(E1)の範囲外に付着しても、当該水滴は殺菌済みであるので、菌の繁殖を抑制することができる。
【0065】
また、ドレンポンプ(60)にドレンパン内(53)の水を撹拌するための機能を含ませている。従って、ドレンパン内(53)の水を撹拌するための装置構成を簡素化でき、当該装置構成をコンパクト化できる。
【0066】
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係る空気調和装置(10A)は、ドレンパン内(53)内の水を撹拌するための構成が第1実施形態の空気調和装置(10)と異なる。以下では、主に、第1実施形態の空気調和装置(10)と異なる点を説明する。
【0067】
〈ドレンポンプ〉
図6に示すように、空気調和装置(10A)は、配水管(65)と、第1バルブ(67)と、第2バルブ(68)とをさらに備える。
【0068】
配水管(65)は、管状の部材である。配水管(65)は、配水管(65)の外部に通じる排水口(66)を含む。排水口(66)は、ドレンパン内(53)の第2位置(P2)に配置される。配水管(65)の一端は排水口(66)に連通し、配水管(65)の他端は流路(63)に連通する。
【0069】
第1バルブ(67)は、排水管(64)に設けられ、排水管(64)内の通路を開閉する。第2バルブ(68)は、配水管(65)に設けられ、配水管(65)内の通路を開閉する。第1バルブ(67)及び第2バルブ(68)の各々は、制御部(75)(
図4参照)により開閉される。
【0070】
〈ドレンポンプの動作〉
図4及び
図5を参照して、ドレンポンプ(60)の動作について説明する。
【0071】
ドレンポンプ(60)は、第1排出処理の変形例である第2排出処理と、第1撹拌処理の変形例である第2撹拌処理とを行う。
【0072】
〈第2排出処理〉
第2排出処理が行われる際、駆動源(71)であるモータが第1方向に回転し続けると共に、第1バルブ(67)が開状態になり、第2バルブ(68)が閉状態になる。これにより、ドレンパン内(53)の水が、ドレンポンプ(60)の吸水口(62)から流路(63)に吸い込まれた後、配水管(65)に送られることなく、排水管(64)に送られて、排水管(64)からケーシング(20)の外部へ排出される。
【0073】
〈第2撹拌処理〉
第2撹拌処理が行われる際、駆動源(71)であるモータが第1方向に回転し続けると共に、第1バルブ(67)が閉状態になり、第2バルブ(68)が開状態になる。これにより、ドレンパン内(53)の水が、ドレンポンプ(60)の吸水口(62)から流路(63)に吸い込まれた後、排水管(64)に送られることなく、配水管(65)に送られて、配水管(65)の排水口(66)からドレンパン内(53)に戻される。その結果、ドレンパン内(53)に戻された水の圧力によりドレンパン内(53)の水が撹拌される。
【0074】
〈制御部の動作〉
ステップS10で、Yesの場合、処理がステップS21に移行する。
【0075】
ステップS21において、制御部(75)は、駆動源(71)を操作して、ドレンポンプ(60)に第2撹拌処理を行わせる。その結果、ドレンポンプ(60)は、吸水口(62)が位置する第1位置(P1)からドレンパン内(53)の水を吸い込み、吸い込んだ水を第2位置(P2)に吐出することで、ドレンパン内(53)の水を撹拌する。
【0076】
なお、第1実施形態と同様に、第2撹拌処理と第1紫外線照射処理とが行われるタイミングは略同じでもよく、又は、第2撹拌処理の終了後、ドレンパン内(53)の水が流動している状態が継続している状況で第1紫外線照射処理が行われてもよい。
【0077】
ステップS21に示す処理が終了すると、ステップS30以降に示す処理が行われる。
【0078】
〈第3実施形態〉
第3実施形態に係る空気調和装置(10B)は、水に紫外線を照射する構成が第1実施形態の空気調和装置(10)と異なる。以下では、主に、第1実施形態の空気調和装置(10)と異なる点を説明する。
【0079】
〈第2照射部〉
図8に示すように、空気調和装置(10B)は、第2照射部(76)をさらに備える。第2照射部(76)は、例えば、紫外線LED(発光ダイオード)を含み、180~350nmの波長を有する紫外線を照射する。第3実施形態では、第2照射部(76)は、ドレンポンプ(60)に固定され、ドレンポンプ(60)に対して定位置に配置される。第3実施形態では、第2照射部(76)は、流路(63)に向けて紫外線を照射する。
【0080】
〈制御部の動作〉
図4、
図8、及び
図9に示すように、ステップS10及びステップS20に示す処理が終了すると、処理がステップS31に移行する。
【0081】
ステップS31において、制御部(75)は、第2紫外線照射処理を行う。第2紫外線照射処理において、第2照射部(76)から流路(63)に向けて紫外線が照射される。第2紫外線照射処理は、ドレンパン内(53)の水が流路(63)を流れるタイミングで行われる。第3実施形態では、ドレンパン内(53)の水が流路(63)を流れているタイミングは、ドレンパン内(53)の水がドレンポンプ(60)により吸い込まれる際に流路(63)を流れるタイミング、及び/又は、ドレンパン内(53)の水がドレンポンプ(60)により吸い込まれた後、ドレンパン内(53)に戻される際に流路(63)を流れるタイミングを示す。これにより、ドレンパン(50)で受けられた水のうち流路(63)を流れる水に対してのみ第2照射部(76)からの紫外線が照射されるので、ドレンパン(50)で受けられた水に対して局所的に殺菌が行われる。
【0082】
第3実施形態では、第1撹拌処理と第2紫外線照射処理とが略同じタイミングで行われる。
【0083】
ステップS31に示す処理が終了すると、ステップS40以降に示す処理が行われる。
【0084】
〈第4実施形態〉
第4実施形態に係る空気調和装置(10C)は、第3実施形態に係る空気調和装置(10B)の変形例である。以下では、主に、第3実施形態に係る空気調和装置(10B)と異なる点を説明する。
【0085】
図10に示すように、空気調和装置(10C)は、複数の第2照射部(76)を備える。複数の第2照射部(76)は、流路(63)の周囲に配置され、流路(63)の周方向に沿って並ぶように配置される。第4実施形態では、2つの第2照射部(76)が設けられ、2つの第2照射部(76)が流路(63)の周方向に沿って互いに180°の間隔を空けて配置される。
【0086】
〈制御部の動作〉
第4実施形態では、第3実施形態と同様に、
図9に示す処理(
図9のステップS10~ステップS50)が行われる。第4実施形態では、
図9に示すステップS31において、第2紫外線照射処理が行われる際、複数の第2照射部(76)が互いに異なる方向から流路(63)に向けて紫外線を照射する。その結果、流路(63)を流れる水を効果的に殺菌することが可能になる。
【0087】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう(例えば、下記(1)~(4))。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0088】
〈第3実施形態及び第4実施形態の変形例〉
(1)第3実施形態(
図8参照)、及び第4実施形態(
図10参照)において、第1撹拌処理(
図9参照)によりドレンパン内(53)の水が撹拌される。しかし、本発明はこれに限定されない。第3実施形態、及び第4実施形態において、第2撹拌処理(
図7参照)によりドレンパン内(53)の水が撹拌されてもよい。この場合、第3実施形態(
図8参照)、及び第4実施形態(
図10参照)のドレンポンプ(60)回りの構成について、第2実施形態(
図6参照)と同様に、配水管(65)、第1バルブ(67)、及び第2バルブ(68)を設け、吸水口(62)から吸い込んだ水を排水口(66)から戻すことでドレンパン内(53)の水が撹拌されるように構成する(
図6参照)。この場合、第3実施形態、及び第4実施形態について、
図9に示す処理(
図9のステップS10~ステップS50)が行われる際、第1撹拌処理(ステップS20)に代えて、第2撹拌処理(ステップS21)(
図7参照)が行われる。
【0089】
〈殺菌部の変形例〉
(2)第1実施形態~第4実施形態では、本発明の殺菌部の一例である第1照射部(72)及び第2照射部(76)は紫外線を用いてドレンパン(50)で受けられた水に対して局所的に殺菌処理を行う。しかし、本発明はこれに限定されない。殺菌部は、例えば、電磁波、超音波、放射線、放電、殺菌及び/又は消毒作用を持つ化学物質等を用いて、ドレンパン(50)で受けられた水に対して局所的に殺菌処理を行ってもよい。
【0090】
〈局所的に殺菌処理を行うことの定義〉
局所的に殺菌処理を行うことは、水が存在している領域うちの一部の領域に対して、紫外線、電磁波、超音波、放射線、放電、殺菌及び/又は消毒作用を持つ化学物質等の殺菌作用を持つものを供給することで、当該一部の領域に存在する水の殺菌を行うことを示す。当該一部の領域は、第1実施形態、及び第2実施形態では、領域(E1)(
図3参照)を示す。当該一部の領域は、第3実施形態、及び第4実施形態では、流路(63)内の領域(
図8参照)を示す。
【0091】
〈第1実施形態~第4実施形態の原理〉
第1実施形態~第4実施形態では、上記した第1撹拌処理(ステップS20)(
図5及び
図9参照)又は第2撹拌処理(ステップS21)(
図7参照)によりドレンパン内(53)の水を撹拌することで、当該一部の領域に存在する水が効果的に入れかえられるので、当該一部の領域で局所的に殺菌処理が行われても、結果として、ドレンパン内(53)の水を全体的に殺菌することができる。
【0092】
〈攪拌部の変形例〉
(3)第1実施形態~第4実施形態では、本発明の攪拌部の一例であるドレンポンプ(60)を用いてドレンパン内(53)の水を撹拌した。しかし、本発明はこれに限定されない。攪拌部は、ドレンパン内(53)の水を撹拌できるものであれば特に限定されない。例えば、ドレンポンプ(60)とは別部材のポンプを用意し、ドレンポンプ(60)に代えて、当該ポンプを用いて第1撹拌処理(
図3、
図5及び
図9参照)又は第2撹拌処理(
図6及び
図7参照)を行うように構成してもよい。また、スクリューをドレンパン内(53)に設け、当該スクリューを回転させることで第1撹拌処理又は第2撹拌処理を行うように構成してもよい。
【0093】
〈空気調和装置の変形例〉
(4)第1実施形態~第4実施形態では、空気調和装置(10)は、天井埋込形のものであるが、空気調和装置(10)の種類は特に限定されない。空気調和装置(10)は、壁掛形のものでもよく、又は床置形でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
【符号の説明】
【0095】
10,10A,10B,10C 空気調和装置
20 ケーシング
50 ドレンパン
53 ドレンパン内
60 ドレンポンプ
63 流路
72 第1照射部
76 第2照射部
P1 第1位置
P2 第2位置