(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185878
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】伸縮手摺
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20221208BHJP
E04F 11/18 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
E04F11/18
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093776
(22)【出願日】2021-06-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
2E301
【Fターム(参考)】
2E001DH31
2E001FA18
2E001FA41
2E001LA18
2E001PA08
2E001PA12
2E301NN01
2E301NN32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自重等により中央維持機構が下方にたわむことを防止できるとともに、強風等による荷重にもたえることができ、地震による揺れ動きを吸収することができる手摺を提供すること。
【解決手段】一方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられ、他端部が他方の躯体に前後方向に回転可能に設けられ、目地部を塞ぐ伸縮手摺本体5と、一方の躯体と他方の躯体間に前後方向に回転可能で、かつ、伸縮手摺本体を支持するように設けられ、左右方向に伸縮する複数個の支持アーム部材6と、一方の躯体と他方の躯体間に設けられ、伸縮手摺本体の略中央部を目地部の略中央部に常時位置させる中央維持機構7とで構成され、地震によって一方の躯体と他方の躯体が揺れ動き、目地部の幅が変動した場合には、一方の端部手摺8及び他方の端部手摺9と中間手摺10との重なり合い幅が変動し揺れ動きを吸収する伸縮手摺。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
_Hlk19782290一方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられ、他端部が他方の躯体に前後方向に回転可能に設けられ、目地部を塞ぐ伸縮手摺本体と、一方の躯体と他方の躯体間に前後方向に回転可能で、かつ、伸縮手摺本体を支持するように設けられ、左右方向に伸縮する複数個の支持アーム部材と、一方の躯体と他方の躯体間に設けられ、伸縮手摺本体の略中央部を目地部の略中央部に常時位置させる中央維持機構とで構成され、
伸縮手摺本体は、一方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられた一方の端部手摺と、他方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられた他方の端部手摺と、一方の端部手摺と端部手摺の間に設けられ、一方の端部手摺と端部手摺に対して左右方向に摺動可能な中間手摺とで構成され、
支持アーム部材は、一方の端部手摺、他方の端部手摺及び中間手摺の内部を貫通するように設けられ、かつ、少なくとも一方の端部手摺と他方の端部手摺又は中間手摺のいずれかの内壁面に滑動部材を介して略_Hlk19782290当接し、
地震によって一方の躯体と他方の躯体が揺れ動き、目地部の幅が変動した場合には、一方及び他方の端部手摺と中間手摺との重なり合い幅が変動し揺れ動きを吸収する伸縮手摺。
【請求項2】
前記支持アーム部材は上下1対設けられ、前記上方の支持アーム部材と前記下方の支持アーム部材が左右逆転するように取り付けられており、前記伸縮手摺本体の内部には、前記支持アーム部材の外周部と略当接状態となる受け部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮手摺。
【請求項3】
前記中央維持機構は、前記一方の端部手摺、前記他方の端部手摺及び前記中間手摺の内部を貫通するように設けられたリンク部材又は対向する1対のラックのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の伸縮手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体の間の目地部に設けられる伸縮手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、躯体間の目地部に設けられる伸縮手摺や伸縮壁としては、例えば、「目地部を介して設けられた左右の躯体に他方の躯体方向へ突出するように設けられた一対の端部壁と、この一対の端部壁がそれぞれスライド移動可能に入り込む、該一対の端部壁の先端部が中央部に位置し、外側端部が一対の端部壁のほぼ中央部に位置する一対の筒状の可動壁と、この一対の筒状の可動壁がそれぞれスライド移動可能に入り込む外側端部が、該一対の筒状の可動壁のほぼ中央部に位置する一対の筒状の可動壁の約2倍の長さの筒状の中央壁と、両端部が前記一対の端部壁に取付けられ、地震により目地部が広くなる又は狭くなるように揺れ動いた場合に、前記中央壁を目地部の中央部に位置させるとともに、一対の筒状の可動壁をスライド移動させて、その揺れ動きを吸収する壁伸縮装置とからなることを特徴とする伸縮壁」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかし、このような伸縮手摺では、壁伸縮装置のリンク機構が長くなり、その自重がリンク機構の中央部にかかるとともに、中央壁は隣り合う可動壁を介して端部壁の上面に支持されるものの、中央壁や可動壁の荷重の一部がリンク機構の中央部にかかってしまい、リンク機構の中央部が下方へたわんでしまうという欠点があった。
【0004】
また、台風等により強風が吹いた場合に、リンク機構では強風による荷重に耐えることができず、変形又は破損してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、自重等により中央維持機構が下方にたわむことを防止できるとともに、強風等による荷重にもたえることができ、地震による揺れ動きを吸収することができる伸縮手摺を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の伸縮手摺は、一方の躯体と、前記一方の躯体と目地部を介して設けられた他方の躯体間の前記目地部に設けられる伸縮手摺において、前記一方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられ、他端部が前記他方の躯体に前後方向に回転可能に設けられ、前記目地部を塞ぐ伸縮手摺本体と、前記一方の躯体と前記他方の躯体間に前後方向に回転可能で、かつ、前記伸縮手摺本体を支持するように設けられ、左右方向に伸縮する複数個の支持アーム部材と、前記一方の躯体と前記他方の躯体間に設けられ、前記伸縮手摺本体の略中央部を前記目地部の略中央部に常時位置させる中央維持機構とで構成され、前記伸縮手摺本体は、一方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられた一方の端部手摺と、他方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられた他方の端部手摺と、前記一方の端部手摺と前記端部手摺の間に設けられ、前記一方の端部手摺と前記端部手摺に対して左右方向に摺動可能な中間手摺とで構成され、前記支持アーム部材は、前記一方の端部手摺、前記他方の端部手摺及び前記中間手摺の内部を貫通するように設けられ、かつ、少なくとも前記一方の端部手摺と前記他方の端部手摺又は前記中間手摺のいずれかの内壁面に滑動部材を介して略当接し、地震によって前記一方の躯体と前記他方の躯体が揺れ動き、前記目地部の幅が変動した場合には、前記一方及び他方の端部手摺と前記中間手摺との重なり合い幅が変動し揺れ動きを吸収することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の伸縮手摺の前記上下1対の支持アーム部材は、前記上方の支持アーム部材と前記下方の支持アーム部材が左右逆転するように取り付けられており、前記伸縮手摺本体の内部には、前記支持アーム部材の外周部と略当接状態となる受け部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の伸縮手摺の前記中央維持機構は、前記一方の端部手摺、前記他方の端部手摺及び前記中間手摺の内部を貫通するように設けられた前記リンク部材又は対向する1対のラックのいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、支持アーム部材に伸縮手摺本体が支持されるため、躯体の間の目地部に設けられる伸縮手摺の重量が中央維持機構に集中的にかかることがない。
したがって、中央維持機構が下方へたわむことを防止できる。
(2)また、支持アーム部材に伸縮手摺本体が支持されるため、台風等により強風を受けた場合でも、破損等することなく、その荷重に耐えることができる。
(3)請求項2に記載各発明についても、前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、より確実に支持アーム部材で荷重を受けることができる。
(4)請求項3に記載各発明についても、前記(1)~(3)と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至
図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至
図11は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図10】第2の実施形態の伸縮手摺の使用状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して左右に設けられた一方の躯体3と他方の躯体4間に設置される伸縮手摺である(例えば
図5参照)。
なお、左右方向とは
図1における左右方向であり、前後方向とは
図1における上下方向をいい、上下方向とは
図2における上下方向をいう。
【0014】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0015】
この伸縮手摺1は、躯体の間の目地部に設けられている。すなわち、例えば
図5に示すように、一方の躯体3に一端部が前後方向に回転可能に設けられ、他端部が他方の躯体4に前後方向に回転可能に設けられ、目地部2を塞ぐ伸縮手摺本体5と、前記一方の躯体3と前記他方の躯体4の間に前後方向に回転可能で、かつ、前記伸縮手摺本体5を支持するように設けられた複数個、本実施形態では上下1対の支持アーム部材6と、前記一方の躯体3と他方の躯体4間に設けられ、前記伸縮手摺本体5の略中央部を前記目地部の略中央部に常時位置させる中央維持機構7とで構成されている。
【0016】
しかして、前記伸縮手摺本体5は、一方の躯体3に一端部が前後方向に回転可能に設けられた一方の端部手摺8と、他方の躯体4に一端部が前後方向に回転可能に設けられた他方の端部手摺9と、前記一方の端部手摺8と前記端部手摺9の間に設けられ、前記一方の端部手摺8と前記端部手摺9に対して左右方向に摺動可能な中間手摺10とで構成されている。
【0017】
また前記一方の端部手摺8は、一端部側が一方の躯体3に設けられた回転軸11に前後方向に回転可能に設けられており、他端部側の側面が開口する箱状の部材に形成されている。
【0018】
一方、他方の端部手摺9は、一端部側が他方の躯体4に設けられた回転軸11に前後方向に回転可能に設けられており、他端部側の側面が開口する箱状の部材に形成されている。
【0019】
また前記中間手摺10は、両端部が開口する箱状の部材に形成され、一端部側が前記一方の端部手摺8の内部に挿入され、他端部側が他方の手摺の内部に挿入されている。また、中央維持機構7により中間手摺10の中央部(伸縮手摺本体5の中央部)が常時目地部2の略中央部に位置している。
【0020】
さらに付言すると、中間手摺10は一方及び他方の端部手摺8、9の内壁面に略当接する形状に形成されており、本実施形態においては、一方及び他方の端部手摺8、9の内部に設けられた滑動部材12及び中間手摺10の両端部側に設けられた滑動部材12を介して略当接した状態となっている。
【0021】
なお、「略当接する」とはぴったりと接触している状態だけでなく、わずかな間隙を有して接近している状態も含むものである。
本実施形態においては、上面及び下面はローラー等の滑動部材12を介して端部手摺8、9の上下側の内壁面と接触している状態となっており、前後方向の側面はわずかな間隙を有して接近している状態となっている。
【0022】
中間手摺10は、地震による目地部2の最大変位量よりも大きな寸法となるように形成されており、この中間手摺10が入り込む一方及び他方の端部手摺8、9は地震による目地部2の変位量が最大となった場合でも中間手摺10が脱落せず、目地部2の変位量が最小となった場合でも中間手摺10と衝突市内程度の寸法に形成されている。
【0023】
この伸縮手摺本体5の内部には伸縮手摺本体5を補強する支持アーム部材6及び伸縮手摺本体5の中央部を常時目地部2の略中央部に位置させる中央維持機構7が設けられている。
【0024】
また、前記支持アーム部材6は、その突出端部が前記目地部の略中央部付近に位置する角筒状、本実施形態では約200mm角の支持アーム本体13と、前記支持アーム本体13の内部に左右方向に移動可能に挿入される単数又は複数、本実施形態では、1つの角筒状の伸縮アーム14とで構成されており、いわゆる振出竿のように支持アーム本体13に伸縮アーム14が出没自在に取り付けられている。
【0025】
さらに付言すると、前記支持アーム部材6は、一端部が一方の躯体3に前後方向に回転可能に取り付けられ、前記一方の端部手摺8、前記他方の端部手摺9及び前記中間手摺10の内部を貫通して他端部が前記他方の躯体4に前後方向に回転可能に設けられ、少なくとも前記一方の端部手摺8と前記他方の端部手摺9又は前記中間手摺10のいずれかの内壁面に滑動部材12を介して略当接している。
本実施形態においては一方の端部手摺8や他方の端部手摺9の内部に中間手摺10が入り込む形状となっているため、支持アーム部材6の支持アーム本体13が、この中間手摺10の内壁面に滑動部材12を介して当接している。
【0026】
本実施形態では、滑動部材12を介して支持アーム本体13が中間手摺10の上下及び前後の内壁面と当接しているが、例えば前後方向の内壁面は、通常時においてはわずかな間隙を有して接近状態で、強風等の荷重を受けて中間手摺10がわずかに変位した場合に、滑動部材12を介して当接し、荷重を受けるようにしてもよい。
【0027】
また、上下1対の支持アーム部材6は、上方の支持アーム部材6と前記下方の支持アーム部材6が左右逆転するように取り付けられている。左右逆転するように取り付けられているとは、例えば上方の支持アーム部材6の支持アーム本体13を一方の躯体3に取り付け、伸縮アーム14を他方の躯体4に取り付けた場合には、下方の支持アーム部材6の支持アーム本体13を他方の躯体4に取り付け、伸縮アーム14を一方の躯体3に取り付ける。このように取り付けることにより、支持アーム部材6が伸縮手摺本体5の荷重を効率よく受けることができる。
【0028】
伸縮手摺本体5の中間手摺10には支持アーム部材6の支持アーム本体13の上方又は/及び下方の外周部(上面又は/及び下面)と略当接状態となるレール状の受け部15が形成されており、この受け部15が支持アーム部材6の支持アーム本体13の上面及び下面と滑動部材12を介して略当接しており、支持アーム部材6による強風等に対する補強効果をより効率よく得ることができる。本実施形態においては、コ字状のレール部材を中間手摺10の内部に固定し、受け部15としている。
【0029】
なお、端部手摺8、9が中間手摺10に入り込むような伸縮手摺本体5を用いる場合には、受け部15は端部手摺8、9に設けてもよい。
また前記中央維持機構7は、本実施形態においては、例えば
図5を参照にすると、少なくとも上下一対のラックとピニオンを用いたものであり、一方のラック16(
図5では左側)の一端部が一方の躯体3前後方向に回転可能に取り付けられ、他方のラック176(
図5では右側)の一端部が前後方向に回転可能に他方の躯体4に取り付けられ、目地部2の略中央部に中心部が位置するように一方のラック16及び他方のラック17に噛み合う上下一対のピニオン18、19が設けられている。
【0030】
ところで、例えば前記ピニオン18(
図5では下方側)の中心軸と略同軸となる部位には、前記伸縮手摺本体5(中間手摺10)の略中央部に接続され、前記伸縮手摺本体5(中間手摺10)の略中央部を常時目地部2の略中央部に位置させる接続部材19が設けられている。この接続部材19と伸縮手摺本体5(中間手摺10)の略中央部とを接続することにより、伸縮手摺本体5(中間手摺10)の略中央部が常時目地部の略中央部に位置する。したがって、前記ピニオン19(
図5では上方側)も前記ピニオン18も同様の接続構成となっている。このように、本実施形態においては、一方のラック16、他方のラック17及びピニオン18を上下に1対設けている。
【0031】
この伸縮手摺1を使用する場合には、
図4及び
図5に示すように、一方の躯体3の袖壁20付近に設けられた回転軸11に一方の端部手摺8を前後方向に回転可能に取り付けるとともに、他方の躯体4の袖壁20付近に設けられた回転軸11に他方の端部手摺8を前後方向に回転可能に取り付ける。なお、支持アーム部材6、中央維持機構7もこの回転軸11に前後方向に回転可能に取り付けられている。この回転軸11は、一方の躯体3や他方の躯体4の床面に立設するように設けられているが、例えば袖壁20に設けてもよい。
【0032】
伸縮手摺1は、例えば前後方向に1対設けられ、目地部2間の側面(袖壁20の間)を塞ぐ。ところで、この目地部2の床面は、床用目地プレート21等により塞がれる。この床用目地プレート21は、本実施形態においては、板状の部材で他方の躯体4に設けられたガイドレール22に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持されるとともに、他端部が一方の躯体3の床面に支持されている。
なお、床用目地プレート21については、前述したものの他、公知の床用目地プレート21を適宜用いることができる。
【0033】
また、端部手摺8、9と中間手摺10の外側(例えば正面側)には、例えば一方の躯体3の床面の間口を視認しづらいように、薄板の化粧板等(図示せず)を設けてもよい。この化粧板は、端部手摺8、9と中間手摺10よりも下方へ突出し、間口を覆うように形成され設けられることが望ましい。さらに例えば一方の躯体3の前後方向の側面や他方の躯体の外壁面に一方の躯体側へ突出し、端部手摺8、9と中間手摺10の摺動を妨げないように設けることが望ましい。
【0034】
地震で左右の躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図6に示すように、中央維持機構7及び支持アーム部材6が縮まり、端部手摺8、9と中間手摺10の重なり幅が大きくなるとともに、床用目地プレート21が左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0035】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図7に示すように、中央維持機構7及び支持アーム部材6が伸長し、端部手摺8、9と中間手摺10の重なり幅が小さくなるとともに、床用目地プレート21が左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0036】
また、図示しないが、左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、回転軸11を支点に伸縮手摺本体5、支持アーム部材6、中央維持機構7が回動し、揺れ動きを吸収する。
【0037】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図8乃至
図11に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図8乃至
図11に示す本発明を実施するための第2の形態の伸縮手摺1Aにおいて、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、パンタグラフ状のリンク部材23を用い、このリンク部材23の略中央部に位置する中央枢支部24と中間手摺10の略中央部を接続部材19で接続する中央維持機構7Aを用いた点で、このような中央維持機構7Aを用いた手摺1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
本実施形態では、1つのリンク部材23を用いたが、上下方向に2つ以上リンク部材23を設けて中央維持機構7Aとしてもよい。
なお、本発明の実施形態では、渡り廊下状の一方の躯体と他方の躯体とを接続しているが、本発明の手摺の設置場所等が限定されるものではなく、目地部を介した一方の躯体と他方の躯体間にどのように取り付けてもよい。
【0039】
また、滑動部材としてローラーを用いたものについて説明したが、その他にもベアリングやコロ、支承、滑り材等、スライド移動をスムーズに行うことができるものであれば、滑動部材として用いることができる。さらに、このような活動部材を用いる場合には、グリース等を自動的に供給できるよう、グリースが内蔵された滑動部材をもちいることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は伸縮手摺を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0041】
1、1A:伸縮手摺、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:伸縮手摺本体、 6:支持アーム部材、
7:中央維持機構、 8:一方の端部手摺、
9:他方の端部手摺、 10:中間手摺、
11:回転軸、 12:滑動部材、
13:支持アーム本体、 14:伸縮アーム、
15:受け部、 16:一方のラック、
17:他方のラック、 18:ピニオン、
19:接続部材、 20:袖壁、
21:床用目地プレート、 22:ガイドレール、
23:リンク部材、 24:中央枢支部。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられ、他端部が他方の躯体に前後方向に回転可能に設けられ、目地部を塞ぐ伸縮手摺本体と、一方の躯体と他方の躯体間に前後方向に回転可能で、かつ、伸縮手摺本体を支持するように設けられ、左右方向に伸縮する複数個の支持アーム部材と、一方の躯体と他方の躯体間に設けられ、伸縮手摺本体の略中央部を目地部の略中央部に常時位置させる中央維持機構とで構成され、
伸縮手摺本体は、一方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられた一方の端部手摺と、他方の躯体に一端部が前後方向に回転可能に設けられた他方の端部手摺と、一方の端部手摺と端部手摺の間に設けられ、一方の端部手摺と端部手摺に対して左右方向に摺動可能な中間手摺とで構成され、
支持アーム部材は、一方の端部手摺、他方の端部手摺及び中間手摺の内部を貫通するように設けられ、かつ、少なくとも一方の端部手摺と他方の端部手摺又は中間手摺のいずれかの内壁面に滑動部材を介して略当接し、
地震によって一方の躯体と他方の躯体が揺れ動き、目地部の幅が変動した場合には、一方及び他方の端部手摺と中間手摺との重なり合い幅が変動し揺れ動きを吸収する伸縮手摺。
【請求項2】
前記支持アーム部材は上下1対設けられ、前記上方の支持アーム部材と前記下方の支持アーム部材が左右逆転するように取り付けられており、前記伸縮手摺本体の内部には、前記支持アーム部材の外周部と略当接状態となる受け部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮手摺。
【請求項3】
前記中央維持機構は、前記一方の端部手摺、前記他方の端部手摺及び前記中間手摺の内部を貫通するように設けられたリンク部材又は対向する1対のラックのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の伸縮手摺。