(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185881
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】センサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20221208BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G01N27/416 341M
G01N27/416 302M
C12M1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093780
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】池谷 生一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中前 賢太
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029BB01
4B029DF03
4B029FA12
(57)【要約】
【課題】高温多湿の環境下において使用された場合でも結露に起因するリーク電流の発生を効果的に抑制することが可能なセンサユニットおよび細胞培養分析装置を提供する。
【解決手段】センサユニット28は、センサ30、ボトムプレート27、トッププレート29、プローブホルダ10を備える。センサ30は、培地Xの成分を測定する際に電圧が印加される複数の電極31cを含む接続端子部31bを有する。ボトムプレート27は、接続端子部31bが取り付けられる。トッププレート29は、ボトムプレート27とともに接続端子部31bを挟み込むように配置され、プローブ10aが挿入される貫通孔29bを有する。プローブホルダ10は、プローブ10aが接続端子部31bに向かって突出するようにプローブ10aを保持し、接続端子部31bに対向配置された金属板12を有する。金属板12の下面とトッププレート29との間には、所定の空間S1が形成される。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養容器に入れられた液体試料の成分を測定するセンサユニットであって、
本体部と、前記本体部上に配置され前記液体試料に浸漬される検出部と、前記検出部と電気的に接続され前記液体試料の成分を測定する際に所定の電圧が印加される複数の電極を含む接続端子部と、有するセンサと、
前記センサの前記接続端子部が取り付けられる第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する第1基板と、
前記第1基板とともに前記センサの前記接続端子部を挟み込むように配置され、前記センサの前記接続端子部に当接して所定の電圧を印加する接続部が挿入される貫通孔を有する第2基板と、
前記第2基板の前記貫通孔に挿入される前記接続部が前記センサの前記接続端子部に向かって突出するように前記接続部を保持するとともに、前記センサの前記接続端子部に対向配置された対向面を有しており、前記対向面と前記第2基板との間に所定の空間が形成されるように配置されている接続部ホルダと、
を備えているセンサユニット。
【請求項2】
前記第2基板の前記貫通孔は、互いに隣接する前記複数の電極が面する空間を連通させる、
請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記接続部ホルダは、前記接続部を保持する部分における前記電極側の第1端部に、前記第1端部の反対側の第2端部よりも、前記接続部を保持する外径が小さい径小部を有している、
請求項1または2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記接続端子部に含まれる複数の電極は、互いに隣接する前記電極同士の間隔が、前記電極の幅よりも大きくなるように配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記センサの前記電極が配置された電極面に形成され、撥水性を有する撥水層を、さらに備えている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記撥水層の厚さは、前記電極の厚さよりも大きい、
請求項5に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記撥水層は、前記電極に隣接する縁部分に、前記電極からの距離が離れる方向に突出する凸部を有している、
請求項5または6に記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記本体部の上端側において複数の前記センサを連結する連結部を、さらに備えている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサユニット。
【請求項9】
前記連結部の長手方向に略平行な折り曲げ線に沿って前記本体部に対して前記連結部が折り曲げられるように、複数の前記センサが折り曲げられた折り曲げ部を、さらに備えている、
請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項10】
前記第1基板は、前記貫通孔の開口縁に設けられており、前記センサの前記折り曲げ部の下面側を支える支持部を、さらに有し、
前記第2基板は、前記支持部に対向する部分に設けられており、前記センサの前記折り曲げ部の上面側を下方に押す押圧部を有している、
請求項9に記載のセンサユニット。
【請求項11】
前記支持部は、上面湾曲形状を有しており、
前記押圧部は、下面湾曲形状を有している、
請求項10に記載のセンサユニット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のセンサユニットと、
前記接続端子部に当接して所定の電圧を印加する接続部と、
を備えた細胞培養分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養される細胞の分析を行うセンサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の細胞培養分析装置では、測定装置がインキュベータ内に配置されており、細胞を培養するセンサ付き培養モジュールが測定装置にセットされた状態で、細胞を培養しながら、細胞培養の状態をグルコースセンサで測定(培養状態の分析)するように構成されている。
例えば、特許文献1には、恒温槽内に配置されたキャニスタと、キャニスタに収納される培養カセットとを含む複数の培養ユニットを備えた細胞培養装置について開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された細胞培養装置では、培養カセットは、培養される細胞を含む培養バッグを有し、キャニスタに挿入される。そして、培養バッグ内の細胞は、キャニスタごとに独立した培養環境下で培養される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の細胞培養装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された細胞培養装置では、高温多湿環境下において使用されるセンサの表面に発生する測定電極間の結露に起因するリーク電流の発生について何ら考慮されていない。
例えば、室温(25度)環境下に載置されていたセンサが培養容器に入れられた培地に浸漬された状態で、インキュベータ内の高温多湿環境下(37度、湿度90%以上)に置かれると、しばらくの間、センサの表面は室温に近い温度のままであるためインキュベータ内の温度よりも低くなる。よって、センサの表面には、結露した水分によって測定電極の間が電気的に接続され、電流のリークが発生してしまう場合がある。
【0006】
このような測定電極間における電流のリークが発生すると、微少な電流を測定して細胞培養の分析等を行う細胞培養分析装置では、精度よく各種測定を実施することができなくなるおそれがある。
本発明の課題は、高温多湿の環境下において使用された場合でも、結露に起因するリーク電流の発生を効果的に抑制することが可能なセンサユニットおよびこれを備えた細胞培養分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るセンサユニットは、培養容器に入れられた液体試料の成分を測定するセンサユニットであって、センサと、第1基板と、第2基板と、接続部ホルダと、を備えている。センサは、本体部と、本体部上に配置され液体試料に浸漬される検出部と、検出部と電気的に接続され液体試料の成分を測定する際に所定の電圧が印加される複数の電極を含む接続端子部と、有する。第1基板は、センサの接続端子部が取り付けられる第1面と、第1面とは反対側の第2面とを有する。第2基板は、第1基板とともにセンサの接続端子部を挟み込むように配置され、センサの接続端子部に当接して所定の電圧を印加する接続部が挿入される貫通孔を有する。接続部ホルダは、第2基板の貫通孔に挿入される接続部がセンサの接続端子部に向かって突出するように接続部を保持するとともに、センサの接続端子部に対向配置された対向面を有しており、対向面と第2基板との間に所定の空間が形成されるように配置されている。
【0008】
つまり、第2基板には、所定の空間側と第1基板側とを連通させる貫通孔が設けられており、第1基板上において、センサの接続端子は、貫通孔を介して所定の空間に表出されている。
これにより、例えば、室温環境から高温多湿環境下に置かれたセンサユニットの表面、特に、センサの接続端子部の表面に発生した結露に起因する複数の電極間のリーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0009】
すなわち、室温環境から高温多湿環境下に置かれたセンサユニットの表面には、結露が生じるが、複数の電極を含む接続端子部に対向する部分に所定の空間が形成されているため、結露によって生じた水分が電極間を電気的に接続するまで成長することを抑制することができる。
よって、高温多湿の環境下において使用された場合でも、結露に起因するリーク電流の発生を効果的に抑制して、細胞培養の分析に関する各種測定を精度良く実施することができる。
【0010】
第2の発明に係るセンサユニットは、第1の発明に係るセンサユニットであって、第2基板の貫通孔は、互いに隣接する複数の電極が面する空間を連通させる。
これにより、例えば、接続端子部に対して接続部を当接させるために形成された貫通孔が、互いに隣接する複数の電極が面する空間を連通させて開放空間を形成することで、その電極間における結露の成長を抑制して、リーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
第3の発明に係るセンサユニットは、第1または第2の発明に係るセンサユニットであって、接続部ホルダは、接続部を保持する部分における電極側の第1端部に、第1端部の反対側の第2端部よりも、接続部を保持する外径が小さい径小部を有している。
これにより、接続部を保持する接続部ホルダが、電極に近い側の第1端部の外形が小さくなるように形成されているため、接続部ホルダの第1端部によって空間を塞がれることなく、電極に対向する空間を広く開放して、結露の成長を抑制することができる。
【0012】
第4の発明に係るセンサユニットは、第1から第3の発明のいずれか1つに係るセンサユニットであって、接続端子部に含まれる複数の電極は、互いに隣接する電極同士の間隔が、電極の幅よりも大きくなるように配置されている。
これにより、互いに隣接する電極の間が、電極の幅よりも大きく離れて配置されているため、結露によって生じた水分が電極間を電気的に接続してしまうまで成長することを抑制することができる。
【0013】
第5の発明に係るセンサユニットは、第1から第4の発明のいずれか1つに係るセンサユニットであって、センサの電極が配置された電極面に形成され、撥水性を有する撥水層を、さらに備えている。
これにより、複数の電極が配置された電極面に、撥水性を有する撥水層が設けられているため、結露によって生じた水分が撥水層の撥水作用によって個々に独立した球状となり水膜のように広がりにくくすることができる。この結果、電極間が電気的に接続されることを効果的に抑制することができる。
【0014】
第6の発明に係るセンサユニットは、第5の発明に係るセンサユニットであって、撥水層の厚さは、電極の厚さよりも大きい。
これにより、接続端子部の電極面における電極の部分を除く領域は、電極よりも厚い撥水層によって覆われていることで、互いに隣接する電極間の沿面距離が延長されるため、電極間が電気的に接続されることをより効果的に抑制することができる。
【0015】
第7の発明に係るセンサユニットは、第5または第6の発明に係るセンサユニットであって、撥水層は、電極に隣接する縁部分に、電極からの距離が離れる方向に突出する凸部を有している。
これにより、電極に隣接する縁部分に盛り上がった撥水層の部分(凸部)が設けられていることで、結露によって生じた水分を撥水層上において保持して、電極間が電気的に接続されることをより効果的に抑制することができる。
【0016】
第8の発明に係るセンサユニットは、第1から第7の発明のいずれか1つに係るセンサユニットであって、本体部の上端側において複数のセンサを連結する連結部を、さらに備えている。
これにより、複数のセンサの本体部の上端側において互いに連結された状態で培養容器に浸漬されるため、培養容器に対する複数のセンサの位置精度を向上させることができる。
【0017】
第9の発明に係るセンサユニットは、第8の発明に係るセンサユニットであって、連結部の長手方向に略平行な折り曲げ線に沿って本体部に対して連結部が折り曲げられるように、複数のセンサが折り曲げられた折り曲げ部を、さらに備えている。
これにより、連結部を本体部に対して略直角に配置することができるため、連結部と同じ面上に電極面を設けることで、第1基板の第1面上に電極面を配置するとともに、第1面に対して略直角にセンサの本体部を向けることができる。
【0018】
第10の発明に係るセンサユニットは、第9の発明に係るセンサユニットであって、第1基板は、貫通孔の開口縁に設けられており、センサの折り曲げ部の下面側を支える支持部を、さらに有している。第2基板は、支持部に対向する部分に設けられており、センサの折り曲げ部の上面側を下方に押す押圧部を有している。
これにより、第1基板側の支持部と第2基板側の押圧部との間に、センサの一部を挟み込むように配置することができる。
【0019】
この結果、センサは、折り曲げられた角度を正確に規定されるため、センサの本体部の下端部に設けられた検出部を安定した状態で培養容器内に配置して、浸漬深さ等を正確に管理することができる。
第11の発明に係るセンサユニットは、第10の発明に係るセンサユニットであって、支持部は、上面湾曲形状を有している。押圧部は、下面湾曲形状を有している。
【0020】
これにより、上下の湾曲形状に挟み込まれるように折り曲げられたセンサは、本体部の下端部に設けられた検出部を安定した状態で培養容器内に配置して、浸漬深さ等を正確に管理することができる。
第12の発明に係る細胞培養分析装置は、第1から第11の発明のいずれか1つに係るセンサユニットと、接続端子部に当接して所定の電圧を印加する接続部と、を備えている。
【0021】
これにより、細胞培養分析装置において、高温多湿の環境下でセンサユニットを使用する場合でも、結露に起因するリーク電流の発生を効果的に抑制し、細胞培養の分析に関する各種測定を精度良く実施することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るセンサユニットによれば、高温多湿の環境下において使用された場合でも、結露に起因するリーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るセンサユニットを備えた細胞培養分析装置を示す全体図。
【
図2】
図1の細胞培養分析装置に含まれる分析ユニットの構成を示す斜視図。
【
図3】
図2の分析ユニット内にセンサ付き培養モジュールがセットされる状態を示す斜視図。
【
図4】室温環境下の安全キャビネット内におけるセンサ付き培養モジュールに対する処理を示す概略図。
【
図5】(a)および(b)は、分析ユニット内でセンサ付き培養モジュールを上昇させる昇降機構を示す側面図。
【
図6】センサユニットの下部を構成する部材を含むセンサ付き培養モジュールの分解斜視図。
【
図7】
図6のセンサの下端部が浸漬される複数のウェルを含むウェルプレートを示す上面図。
【
図8】
図6のセンサ付き培養モジュールに含まれる複数のセンサを示す斜視図。
【
図9】
図8のセンサの下端部がウェルに浸漬された状態を示す図。
【
図10】
図8のセンサがトッププレートとボトムプレートによって上下から挟み込まれた状態を示す断面図。
【
図12】
図7のセンサの電極に接続部を当接させるプローブを保持するプローブホルダの下面側の構成を示す斜視図。
【
図13】
図12のプローブホルダの上面側の構成を示す斜視図。
【
図14】
図13のプローブホルダから基板を除去した状態を示す斜視図。
【
図15】ウェルプレート上に載置されたボトムプレート、センサ、トッププレート上にプローブホルダがセットされた状態を示す斜視図。
【
図16】
図15の状態において、センサの電極にプローブの先端が当接した状態を示す断面図。
【
図17】(a)は、センサの電極が配置された電極面上に形成された撥水レジストを示す断面図。(b)は、(a)のA部分の拡断面大図。
【
図19】(a)~(c)は、
図17(a)および
図17(b)の撥水レジストの形成工程の他の例を示す図。
【
図20】(a)は、
図17(a)および
図17(b)の撥水レジストの撥水作用によって結露によって生じた水分が水滴となって電極間にリーク電流が発生させない状態を示す断面図。(b)は、結露によって生じた水分が水膜となって電極間にリーク電流が発生する状態を示す比較例の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係るセンサユニット28を備えた細胞培養分析装置1について、
図1~
図20(a)を用いて説明すれば以下の通りである。
<細胞培養分析装置1の概要説明>
細胞培養分析装置1は、複数のウェル(培養容器)25aを含むウェルプレート25(
図7参照)に入れられた培地(液体試料)X(
図9参照)内にセンサ30(
図8等参照)の一部を浸漬させた状態で電気化学的に培地Xに含まれる特定の成分(例えば、グルコース、乳酸等)の濃度を検出し、培養状態の分析を行う。細胞培養分析装置1は、
図1に示すように、分析ユニット2と、分析ユニット2が内部空間に載置される培養インキュベータ3と、分析ユニット2を制御するとともに分析結果を表示する制御ユニット4と、を備えている。また、分析ユニット2と制御ユニット4とは、電気ケーブル5によって接続されている。
【0025】
分析ユニット2は、培養インキュベータ3の正面に開閉可能に取り付けられた透明な扉3aを開けて、内部空間にセットされる。そして、分析ユニット2と電気ケーブル5を介して接続された制御ユニット4は、培養インキュベータ3の外部に配置されている。
これにより、使用者は、培養インキュベータ3の扉3aを開閉することなく、培養インキュベータ3内の培養状態を制御ユニット4によって分析することで、培養インキュベータ3内のコンタミネーションによる空気汚染を防止することができる。
【0026】
分析ユニット2は、培養インキュベータ3内に複数台設置できるように、横(幅)方向は短く、高さ方向は低く、奥行き方向に長くなるように設計されている。
分析ユニット2は、
図2および
図3に示すように、センサ付き培養モジュール20、本体部21、引き出し部22および昇降機構23を備えている。
なお、本体部21は、
図1に示すように、予め培養インキュベータ3内に配置され、電気ケーブル5によって制御ユニット4に接続される。そして、細胞の培養分析を行う時に、組み立てられたセンサ付き培養モジュール20が、
図3に示すように、使用者によって培養インキュベータ3内の本体部21にセットされる。
【0027】
分析ユニット2は、引き出し部22によって本体部21の内部にセンサ付き培養モジュール20を引き入れた状態で、昇降機構23によって、後述するプローブホルダ(接続部ホルダ)10側へ持ち上げられるように構成されている。
センサ付き培養モジュール20は、
図4に示すように、例えば、室温環境下(例えば、気温25度)の安全キャビネットC1内において、ウェルプレート25に培地Xが充填され(
図9参照)、細胞が幡種された後、組み立てられる。組み立てられたセンサ付き培養モジュール20は、高温多湿環境(37度、湿度90%以上)に保持された培養インキュベータ3内の分析ユニット2にセットされる。つまり、組み立てられたセンサ付き培養モジュール20は、室温環境下から高温多湿環境下(例えば、気温37度、湿度90%以上)に移動される。
【0028】
なお、センサ付き培養モジュール20が室温環境下から高温多湿環境下へ移動した際に生じる結露に起因するリーク電流の発生を抑制する構成については、後段にて詳述する。
昇降機構23は、
図5(a)および
図5(b)に示すように、本体部21の内部に配置された載置台23aと、複数のアーム23b,23c,23d,23eが連結されて構成されるリンク機構と、を備えている。
【0029】
載置台23aは、本体部21から外部空間に対して進退可能な引き出し部22によって本体部21の内部空間に引き入れられたセンサ付き培養モジュール20が載置され、リンク機構が駆動されることによって上下に移動する。
具体的には、昇降機構23では、図示しない駆動部によって、アーム23cが図中反時計回りに駆動されると、一端が回動中心となるアーム23cの他端側に連結されたアーム23dを介して連結されたアーム23bの図中右端が押し下げられる。このとき、アーム23bの図中左端は、載置台23aの側面に連結されている。
【0030】
これにより、アーム23bは、回転中心23baを中心にして右端が押し下げられるとともに、左端が押し上げられることで、センサ付き培養モジュール20が載置された載置台23aを上方へ持ち上げることができる。
このとき、分析ユニット2におけるセンサ付き培養モジュール20が持ち上げられた上方の空間には、後述するプローブ(接続部)10aが下向きに突出したプローブホルダ10が設けられている。
【0031】
これにより、昇降機構23は、センサ付き培養モジュール20に含まれるセンサ30の電極31cにプローブ10aが当接した状態になるように、センサ付き培養モジュール20を上昇させることができる。
センサ付き培養モジュール20は、
図6に示すように、下方から、アダプタボトム24、ウェルプレート25、アダプタトップ26、ボトムプレート27、センサ30およびトッププレート29の順に配置されている。
【0032】
アダプタボトム24は、アダプタトップ26とヒンジ部24aを介して接続されており、アダプタトップ26との間に、ウェルプレート25を挟み込むように保持している。
ウェルプレート25は、
図7に示すように、縦4列横6列の計24個のウェル(培養容器)25aを含むように構成されている。ウェルプレート25は、汎用品も含めていくつかの種類を有しており、その種類に応じてアダプタボトム24およびアダプタトップ26が使い分けられる。
【0033】
アダプタトップ26は、上述したようにヒンジ部24aを介してアダプタボトム24に対して開閉可能な状態で取り付けられている。アダプタトップ26は、ウェルプレート25に含まれる複数のウェル25aの位置に合わせて設けられた貫通孔41aと、平板状の四隅に設けられた位置決め用の貫通孔41bと、を有している。
貫通孔41aは、ウェルプレート25に含まれる24個のウェル25aの位置に合わせて、縦4列横6列に設けられている。各センサ30は、貫通孔41aを介して、ウェル25a内の培地Xに浸漬される。
【0034】
貫通孔41bは、複数のセンサ30が取り付けられるボトムプレート27の脚部40が挿入されることで、複数のセンサ30のウェル25aに対する位置決めが行われる。
ボトムプレート27は、その上面(第1面)に複数のセンサ30が取り付けられた状態で、アダプタトップ26の上面に重ねて配置される。
センサ30は、例えば、樹脂材料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上面に、スパッタリングによってカーボンの電極層が形成されて構成されている。そして、センサ30は、
図8に示すように、本体部31、検出部31a、接続端子部31b、折り曲げ部32および連結部33を有している。
【0035】
本体部31は、略長方形の平板状の部材であって、その上端部において折り曲げ部32と連結されている。
検出部31aは、
図9に示すように、下向きの略T字形状の本体部31の下端部の幅が広い部分の表面に設けられており、測定電極(作用極、対極、参照極)を含む。検出部31aは、ウェル25aに入れられた培地Xに浸漬された状態で各測定電極に所定の電圧が印加されることで、電気化学的に培地Xに含まれる特定の成分(例えば、グルコース、乳酸等)の濃度を測定する。
【0036】
検出部31aに含まれる各測定電極は、レーザによって電極層を蒸散させ、分割されることによって形成される。なお、各測定電極は、配線間の絶縁性向上のため、スクリーン印刷によって電極パターンが形成されてもよい。
ここで、培地Xに含まれるグルコースの濃度を測定する場合には、作用極の表面に固定化された試薬層には、グルコース酸化酵素として、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOx)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、さらにはレドックスメディエータが含まれ得る。
【0037】
グルコースの濃度は、保護膜を通して培地Xから透過してきたグルコースが、試薬層の酵素(例えば、GOx、GDH)との反応で酸化されてグルコノラクトンとなり、同時に生成されるレドックスメディエータの還元体、もしくは過酸化水素の酸化反応によって生じる電子を電流値に変換することで測定される。
折り曲げ部32は、
図8に示すように、本体部31と連結部33との間を連結する部分であって、所定の折り曲げ線に沿って略直角に折り曲げられる。これにより、連結部33は、本体部31に対して略直角に配置される。
【0038】
連結部33は、
図8に示すように、折り曲げ部32を介して、横方向に配置された4つのセンサ30の本体部31の上端部を互いに連結する。
接続端子部31bは、4つ1組で1つのセンサ30の検出部31aの各測定電極に対応して配置された4つの電極31cを有している。4つの電極31cは、センサ30の本体部31の下部に配置された検出部31aに含まれる各測定電極(作用極、対極、参照極)に電気的に接続されている。
【0039】
本実施形態のセンサユニット28に含まれる複数のセンサ30は、
図8に示すように、本体部31と、本体部31の下端側に配置され培地X内に浸漬されて培地Xの成分を測定する検出部31aと、本体部31の上端側において複数のセンサ30を連結する連結部33と、を備えている。
これにより、複数のセンサ30は、連結部33によって互いに連結された状態でボトムプレート27の上面に対して取り付けられるため、互いに連結されたセンサ30同士の位置を正確に規定することができる。
【0040】
よって、ウェルプレート25に含まれる複数のウェル(培養容器)25aに対する個々のセンサ30の位置精度(位置・角度等)を向上させることができる。
この結果、ウェル25a内に入れられた培地Xに対する個々のセンサ30の浸漬深さがほぼ一定になるため、安定した測定結果を得ることができる。
トッププレート29は、
図6および
図10に示すように、ボトムプレート27の上面に取り付けられたセンサ30の上面を覆うように配置されている。トッププレート29は、センサ30の折り曲げ部32の上辺側を下方に押す押圧部29aと、貫通孔29bとを有している。
【0041】
ここで、センサ30は、
図10に示すように、連結部33が折り曲げられた状態で、ボトムプレート27の上面と、トッププレート29の下面との間に挟み込まれるようにして重ねて配置される。
このとき、各センサ30は、
図10に示すように、ボトムプレート27側の支持部27bとトッププレート29側の押圧部29aとの間に保持される。
【0042】
すなわち、ボトムプレート27の貫通孔27aの開口縁には、センサ30の折り曲げ部32の下辺側を支える支持部27bが設けられている。トッププレート29の支持部27bに対向する部分には、センサ30の折り曲げ部32の上辺側を下方に押す押圧部29aが設けられている。
これにより、センサ30は、その上面がトッププレート29の下面側に設けられた押圧部29aによって支持され、その下面がボトムプレート27の上面側に設けられた支持部27bによって支持される。
【0043】
支持部27bは、
図10に示すように、上面に湾曲した面を含む上面湾曲部形状を有している。また、押圧部29aは、
図10に示すように、下面に湾曲した面を含む下面湾曲部形状を有している。
これにより、
図10に示すように、センサ30が、トッププレート29とボトムプレート27との間に上下から挟み込まれた状態になると、センサ30の折り曲げ部32が支持部27bと押圧部29aとによって上下から挟まれた状態で保持される。
【0044】
よって、センサ30は、折り曲げられた角度を正確に規定されるため、センサ30の本体部31の下端部に設けられた検出部31aが、安定した状態で配置される。
<結露によって生じた水分に起因するリーク電流の発生を抑制する構造>
ここでは、上述したように、センサ付き培養モジュール20が室温環境下から高温多湿環境下へ持ち込まれた際に生じる結露に起因するリーク電流の発生を抑制する構成について説明する。
【0045】
すなわち、室温(例えば、気温25度)で組み立てられたセンサ付き培養モジュール20が、高温多湿環境(37度、湿度90%以上)に保持された培養インキュベータ3内の分析ユニット2にセットされると、室温に近いセンサ30の表面は、培養インキュベータ3内の温度よりも低い状態となり、センサ30の表面に結露が発生するおそれがある(
図17参照)。そして、センサ30の電極31c間が結露で接続されると電流のリークが発生し、微少な電流を用いる測定(細胞培養の分析)が適切に実施できなくなるおそれがある。
【0046】
そこで、本実施形態の細胞培養分析装置1は、以下のような構成により、リーク電流の発生を抑制する。
すなわち、
図6および
図8に示すように、センサ付き培養モジュール20において、トッププレート29は、上述したように、各センサ30の接続端子部31bの位置に合わせて設けられた複数の貫通孔29bを有している。
【0047】
トッププレート29の上面側から見て、複数の貫通孔29bには、
図11に示すように、ボトムプレート27の上面に取り付けられた複数のセンサ30の接続端子部31bが露出するように配置されている。すなわち、複数の貫通孔29bの底部分に、接続端子部31bが配置されている。
そして、
図15および
図16に示すように、トッププレート29の貫通孔29bを介して、上述したプローブ10aの先端が接続端子部31bを構成する複数の電極31cに対して当接した状態で、電圧が印加されることで、接続端子部31bの各電極31cと電気的に接続された測定電極によって培地Xの測定が実施される。
【0048】
貫通孔29bに挿入されるプローブ10aは、例えば、樹脂によって成形されたプローブホルダ10によって保持されている。プローブホルダ10は、
図12に示すように、金属板12と一体化された状態で、金属板12から複数のプローブ10aが突出するように設けられている。
プローブホルダ10は、
図13に示すように、その下面側に、金属板12が取り付けられており、その上面側に、上部開口を有する箱型のプローブボックス10bを有している。
【0049】
プローブボックス10bの底面には、複数のプローブ10aが半田付けによって固定された基板11が配置されている。すなわち、複数のプローブ10aは、
図14に示すように、プローブボックス10bの底面から突出しており、基板11がプローブボックス10bの底面にセットされた状態で半田付けされることで(
図16の破線円の部分参照)、基板11と電気的に接続される。
【0050】
なお、基板11の上下面は、防水・防湿のために樹脂モールドされていてもよい(
図16のドットでハッチングされた部分参照)。
複数のプローブ10aが半田付けによって基板11に固定された状態で、プローブホルダ10がトッププレート29の上面にセットされると、
図15に示すように、複数のプローブ10aの先端が、複数のセンサ30の接続端子部31bに含まれる各電極31cに対して当接した状態となる。
【0051】
すなわち、トッププレート29の上面に複数のプローブ10aが下向きに突出した状態で保持されたプローブホルダ10が配置されると、
図16に示すように、複数のプローブ10aは、トッププレート29の貫通孔29bに挿入され、貫通孔29bの底部分に配置された複数のセンサ30の接続端子部31bを構成する各電極31cに当接する。
なお、プローブ10aは、図示しないバネによって下向きに付勢されており、電極31cとの当接によって上向きに移動し、電極31cとの当接状態が保持される。
【0052】
このとき、トッププレート29の上面と、プローブホルダ10の下面(金属板12)との間には、
図16に示すように、所定の空間S1が形成されている。トッププレート29には、所定の空間S1側とボトムプレート27側とを連通させる貫通孔29bが設けられている。これにより、センサ30の接続端子部31bは、ボトムプレート27上で、貫通孔29bを介して所定の空間S1に表出されている。
【0053】
なお、トッププレート29の上面とプローブホルダ10の下面との間に形成される空間S1には、プローブホルダ10から下向きに突出するプローブ10aだけが存在する。
ここで、空間S1は、例えば、その高さが、トッププレート29の厚さよりも大きくなるように形成されている。
これにより、プローブ10aを介して電圧が印加される接続端子部31bを構成する各電極31cの上方には、開放された空間S1が形成される。
【0054】
よって、センサ付き培養モジュール20が室温環境下から高温多湿環境下の培養インキュベータ3内へ移動した際にその表面に結露が生じた場合でも、開放された空間S1によって通気性を確保することができる。このため、接続端子部31b付近が高温多湿の環境になじみやすいとともに、良好な通気性によって結露した水分が成長することを抑制し、隣接する電極31c間が電気的に接続されることを抑制することができる。
【0055】
この結果、センサ付き培養モジュール20が室温環境下から高温多湿環境下へ移動した際に生じる結露に起因するリーク電流の発生を抑制して、高精度な測定を実施することができる。
また、本実施形態の構成では、プローブホルダ10は、複数のプローブ10aの先端付近を保持する部分に、その上部よりも外径が小さい径小部10cを有している。
【0056】
これにより、プローブ10aの先端が当接する接続端子部31bを構成する各電極31cの上方の空間S1に占めるプローブホルダ10の先端部分の体積を最小限とし、空間S1を最大限広く確保することができる。
よって、センサ30の接続端子部31bを構成する複数の電極31cの周囲に結露した水分の成長を妨げて、リーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、プローブ10aが挿入されるトッププレート29の貫通孔29bが、隣接する2つの電極31cが面する上方の空間を連通させるように形成されている。すなわち、貫通孔29bは、1つの穴が2つの電極31cの範囲をカバーするように形成されている。
これにより、電極31cの上方に形成される空間S1をより広く開放して、複数の電極31cが配置された電極面に結露した水分の成長を効果的に抑制することができる。
【0058】
また、センサ30の接続端子部31bを構成する電極31cは、
図17(a)に示すように、電極31c間の距離Lが、各電極31cの幅Wよりも大きくなるように設けられている。
これにより、各電極31c間の距離が大きくなり、結露した水分によって形成される水膜が電極31c間を電気的に繋げてしまうことを抑制することで、電極31c間にリーク電流が流れてしまうことを抑制することができる。
【0059】
さらに、センサ30の基材34(PETシート)の表面には、撥水性を有する撥水レジスト(撥水層)35が設けられている。
これにより、センサ30の電極面に結露した水分は、
図17(b)に示すように、撥水レジスト35の撥水性によって球状の水滴W1となる。よって、電極31c間において水滴W1がつながって水膜となり、リーク電流が流れてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0060】
さらに、撥水レジスト35は、その厚さが、電極31cの厚さよりも大きくなるように形成されている。
これにより、各電極31cの間の沿面距離を延長して、より効果的に電極31cの間にリーク電流が発生することを抑制することができる。
また、電極31cの表面が、撥水レジスト35よりも低い位置にあるため、電極31cの表面に結露した水分と、撥水レジスト35の表面に結露した水分とがつながることを抑制することができる。
【0061】
さらに、撥水レジスト35は、電極31cの外周部に隣接する縁部分に、上向きに突出する凸部35aが設けられている。
これにより、撥水レジスト35の表面に結露した水分を撥水レジストの表面に留めることで、電極31c側とつながることを抑制することができる。
なお、撥水レジスト35の縁部分に形成される凸部35aは、例えば、
図18に示すように、土台52上に形成された撥水レジスト35を、ピナクル(普通名称)51を用いて打ち抜く際に抜き断面に形成される段差を利用して形成されてもよい。
【0062】
あるいは、凸部35aは、
図19(a)に示すように、土台55上に置かれた型枠53にレジスト材料R1が入れられた状態で、
図19(b)に示すように、板材54を型枠53の上面に押し付けながらスクリーン印刷によって撥水レジスト35を形成してもよい。
この場合、
図19(b)に示すように、型枠53を土台55上から持ち上げる際に、サドル現象によって、撥水レジスト35の端部に形成される突出部分を、凸部35aとして用いてもよい。
【0063】
このような突出部分は、撥水レジスト35を厚くするほど、サドル現象によって両端部分が自然に盛り上がった形状となるため、盛り上がった部分を凸部35aとして活用することができる。
<主な特徴>
本実施形態のセンサユニット28は、結露に起因するリーク電流の発生を抑制して適切な分析を行うために、
図16に示すように、センサ30、ボトムプレート27、トッププレート29、プローブホルダ10を備えている。センサ30は、検出部31aと電気的に接続され培地Xの成分を測定する際に所定の電圧が印加される複数の電極31cを含む接続端子部31bとを有する。ボトムプレート27は、接続端子部31bが取り付けられる上面と、上面とは反対側の下面とを有する。トッププレート29は、複数の電極31cに当接して所定の電圧を印加するプローブ10aが挿入される貫通孔29bを有し、ボトムプレート27とともに接続端子部31bを挟み込むように配置される。プローブホルダ10は、プローブ10aが接続端子部31bに向かって突出するようにプローブ10aを保持するとともに、センサ30の接続端子部31bに対向配置された金属板12を有しており、金属板12の下面とトッププレート29との間に所定の空間S1が形成されるように配置されている。
【0064】
これにより、室温環境から高温多湿環境下に置かれたセンサユニット28の表面には、結露が生じるが、複数の電極31cを含む接続端子部31bに対向する部分に所定の空間S1が形成されている。このため、
図20(a)に示すように、センサ30の表面に結露した水分(水滴W1)が電極31c間を電気的に接続するまで成長することを抑制することができる。
【0065】
よって、高温多湿の環境下において使用された場合でも、
図20(b)に示すように、電極31cの間に結露した水分が水膜W2となって発生するリーク電流を効果的に抑制して、細胞培養の分析に関する各種測定を精度良く実施することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0066】
(A)
上記実施形態では、センサ30の接続端子部31bを構成する複数の電極31cが配置された電極面に撥水性を有する撥水レジスト35が形成された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、接続端子部が設けられる電極面に撥水層を持たない構成であってもよい。
【0067】
ただし、上記実施形態で説明したように、電極面に撥水層が設けられることにより、結露した水分を水滴化して水膜になりにくくすることで、電極間におけるリーク電流の発生を抑制するという観点では、撥水層が設けられた構成であることがより好ましい。
(B)
上記実施形態では、プローブ10aが挿入されるトッププレート29の貫通孔29bが、隣接する2つの電極31cが面する上方の空間を連通させるように形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
例えば、トッププレートの貫通孔は、1個の電極に対して1つずつ設けられていてもよいし、3個以上の電極に対して1つずつ設けられていてもよい。
(C)
上記実施形態では、4つのセンサ30が1セットとなるように4つのセンサ30の上端部を連結部33によって連結した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0069】
例えば、連結部によって連結されるセンサの数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
いずれの場合でも、互いに連結されたセンサ間の位置が正確に規定されるため、センサの位置精度を向上させることができる。
(D)
上記実施形態では、センサ30が折り曲げ部32において折り曲げた状態で使用される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、センサが折り曲げられることなく使用される構成であってもよい。
この場合でも、センサの本体部の上端部分において、複数のセンサが連結部によって連結された構成にすることで、センサの位置精度を向上させるという上記と同様の効果を得ることができる。
(E)
上記実施形態では、逆向きに略T字形状のセンサ30を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
例えば、略I字形状あるいは略L字形状のセンサが用いられていてもよい。
(F)
上記実施形態では、室温(25度)環境下に載置されていたセンサ付き培養モジュール20が培養インキュベータ3内の高温多湿環境下(37度、湿度90%以上)に置かれる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
例えば、高温環境下に置かれる前に置かれる環境としては、室温に限らず、センサモジュールに対する培養前の処理に適した環境下であってもよい。
あるいは、室温よりも低い温度環境下において前処理が行われたセンサモジュールが、室温あるいは室温よりも高温多湿の環境下に置かれる場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のセンサユニットは、高温多湿の環境下において使用された場合でも、結露に起因するリーク電流の発生を効果的に抑制することができるという効果を奏することから、細胞培養分析に使用される各種センサユニットに対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 細胞培養分析装置
2 分析ユニット
3 培養インキュベータ
3a 扉
4 制御ユニット
5 電気ケーブル
10 プローブホルダ(接続部ホルダ)
10a プローブ(接続部)
10b プローブボックス
10c 径小部
11 基板
12 金属板
20 センサ付き培養モジュール
21 本体部
22 引き出し部
23 昇降機構
23a 載置台
23b,23c,23d,23e アーム
23ba 回動中心
24 アダプタボトム
24a ヒンジ部
25 ウェルプレート
25a ウェル(培養容器)
26 アダプタトップ
27 ボトムプレート
27a 貫通孔
27b 支持部
28 センサユニット
29 トッププレート
29a 押圧部
29b 貫通孔
30 センサ
31 本体部
31a 検出部
31b 接続端子部
31c 電極
32 折り曲げ部
33 連結部
34 基材(PETシート)
35 撥水レジスト(撥水層)
35a 凸部
40 脚部
41a 貫通孔
41b 貫通孔
51 ピナクル(普通名称)
52 土台
53 型枠
54 板材
55 土台
C1 安全キャビネット
L 距離
R1 レジスト材料
S1 空間
W 幅
W1 水滴
W2 水膜
X 培地