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特開2022-185891張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置
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  • 特開-張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185891
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20221208BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20221208BHJP
   E04F 21/165 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
E04F15/00 601A
E04F13/08 A
E04F13/08 101V
E04F21/165 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093794
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】船越 貴惠
(72)【発明者】
【氏名】名知 博司
【テーマコード(参考)】
2E110
2E220
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB05
2E110BA12
2E110DC24
2E110EA02
2E110FA10
2E110GA34W
2E110GB23Y
2E110GB24Z
2E220AA51
2E220AB14
2E220AC01
2E220BA03
2E220DA01
2E220DB09
2E220FA20
2E220GA26X
2E220GB22Y
2E220GB23Z
(57)【要約】
【課題】仕上げ材を剥がすことなく張付けモルタルの充填状態を確認することができる張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置を提供する。
【解決手段】コンクリート下地2(下地材)の表面におけるタイル4(仕上げ材)が張付けられるタイル張付け領域22(仕上げ材張付け領域)に張付けモルタル3を塗布する張付けモルタル塗布工程と、張付けモルタル3がタイル張付け領域22の周囲にはみ出すようにタイル4を張付けモルタル3に押し付けて接着するタイル接着工程(仕上げ材接着工程)と、を有するタイル4の施工の際に、張付けモルタル塗布工程に、コンクリート下地2におけるタイル張付け領域22の周囲に互いに間隔をあけた2つの位置それぞれに電極6,6を設置して、電極同士を電気的に接続し、タイル接着工程において、電極6,6間の通電を確認する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材の表面における仕上げ材が張付けられる仕上げ材張付け領域に張付けモルタルを塗布する張付けモルタル塗布工程と、
前記張付けモルタルが前記仕上げ材張付け領域の周囲にはみ出すように前記仕上げ材を前記張付けモルタルに押し付けて接着する仕上げ材接着工程と、を有する仕上げ材の施工の際に、前記下地材と前記仕上げ材との間の前記張付けモルタルの充填状態を確認する張付けモルタルの充填状態確認方法であって、
前記張付けモルタル塗布工程の前に、前記下地材における前記仕上げ材張付け領域の周囲に互いに間隔をあけた2つの位置それぞれに電極を設置して、前記電極同士を電気的に接続し、
前記仕上げ材接着工程において、前記電極間の通電を確認する張付けモルタルの充填状態確認方法。
【請求項2】
前記仕上げ材接着工程において、前記電極間の抵抗値を測定する請求項1に記載の張付けモルタルの充填状態確認方法。
【請求項3】
前記電極を前記下地材における前記仕上げ材の角部が張付けられる位置の近傍に設置する請求項1または2に記載の張付けモルタルの充填状態確認方法。
【請求項4】
前記電極を前記下地材における前記仕上げ材の4つの角部のうちの2つの角部が張付けられる位置それぞれの近傍に設置して、電気的に接続するとともに、
前記電極を前記仕上げ材の4つの角部のうちの他の2つの角部が張付けられる位置それぞれの近傍に設置して、電気的に接続する請求項3に記載の張付けモルタルの充填状態確認方法。
【請求項5】
下地材の表面における仕上げ材が張付けられる仕上げ材張付け領域に張付けモルタルを塗布する張付けモルタル塗布工程と、
前記張付けモルタルが前記仕上げ材張付け領域の周囲にはみ出すように前記仕上げ材を前記張付けモルタルに押し付けて接着する仕上げ材接着工程と、を有する仕上げ材の施工の際に、前記下地材と前記仕上げ材との間の前記張付けモルタルの充填状態を確認する張付けモルタルの充填状態確認装置であって、
前記張付けモルタル塗布工程の前に、前記下地材における前記仕上げ材張付け領域の周囲に互いに間隔をあけた2つの位置それぞれに設置され電気的に接続される電極と、
仕上げ材接着工程において、前記電極間の通電を検知可能な検電部と、を有する張付けモルタルの充填状態確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイルなどの仕上げ材の施工では、下地材と仕上げ材との間に張付けモルタルを塗布して、仕上げ材を下地材に張付けている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献2に開示された仕上げ材の施工方法では、仕上げ材と下地材との間に空気が残らないようにするために、下地材の表面に張付けモルタルを薄く塗布する一方、仕上げ材の裏面にも張付けモルタルを厚く塗布し、下地材及び仕上げ材のいずれか一方に塗布された張付けモルタルに空気を逃がす溝を形成した後に、仕上げ材を下地材に張付けている。特許文献2に開示された仕上げ材の施工方法では、仕上げ材を下地材に張付ける際に、仕上げ材と下地材との間に空気を巻き込みにくく、かつ、仕上げ材を押し込んだ際に仕上げ材と下地材との間の空気を抜きやすい。
通常、仕上げ材と下地材との間に空気が残らずに張付けモルタルが充填されているかどうか(張付けモルタルの充填状態)を確認は、仕上げ材を下地材に張付けた直後に仕上げ材を剥がして行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6640454号公報
【特許文献2】特開2019-183568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、一辺の長さが600mmを超えるような大形タイルを施工する場合、一度張付けたタイルを剥がすことが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、仕上げ材を剥がすことなく張付けモルタルの充填状態を確認することができる張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る張付けモルタルの充填状態確認方法は、下地材の表面における仕上げ材が張付けられる仕上げ材張付け領域に張付けモルタルを塗布する張付けモルタル塗布工程と、前記張付けモルタルが前記仕上げ材張付け領域の周囲にはみ出すように前記仕上げ材を前記張付けモルタルに押し付けて接着する仕上げ材接着工程と、を有する仕上げ材の施工の際に、前記下地材と前記仕上げ材との間の前記張付けモルタルの充填状態を確認する張付けモルタルの充填状態確認方法であって、前記張付けモルタル塗布工程の前に、前記下地材における前記仕上げ材張付け領域の周囲に互いに間隔をあけた2つの位置それぞれに電極を設置して、前記電極同士を電気的に接続し、前記仕上げ材接着工程において、前記電極間の通電を確認する。
【0007】
本発明に係る張付けモルタルの充填状態確認装置は、下地材の表面における仕上げ材が張付けられる仕上げ材張付け領域に張付けモルタルを塗布する張付けモルタル塗布工程と、前記張付けモルタルが前記仕上げ材張付け領域の周囲にはみ出すように前記仕上げ材を前記張付けモルタルに押し付けて接着する仕上げ材接着工程と、を有する仕上げ材の施工の際に、前記下地材と前記仕上げ材との間の前記張付けモルタルの充填状態を確認する張付けモルタルの充填状態確認装置であって、前記張付けモルタル塗布工程の前に、前記下地材における前記仕上げ材張付け領域の周囲に互いに間隔をあけた2つの位置それぞれに設置され電気的に接続される電極と、仕上げ材接着工程において、前記電極間の通電を検知可能な検電部と、を有する。
【0008】
仕上げ材接着工程において、仕上げ材に押し付けられた張付けモルタルが広がって下地材と仕上げ材との間に良好に充填されると、仕上げ材張付け領域の周囲にはみ出すことになる。本発明では、仕上げ材張付け領域の周囲に2つの位置それぞれに電極を設置して電気的に接続することにより、仕上げ材接着工程において、張付けモルタルが仕上げ材張付け領域の周囲にはみ出して2つ位置に設置された電極それぞれに接触すると、2つ位置に設置された電極が張付けモルタルの水分を介して通電する。これにより、2つ位置に設置された電極が通電したことを確認することにより、仕上げ材に押し付けられた張付けモルタルが広がって下地材と仕上げ材との間に良好に充填されたと判断することができる。
このように、本発明では、仕上げ材を剥がすことなく張付けモルタルの充填状態を確認することができる。
【0009】
また、本発明に係る張付けモルタルの充填状態確認方法では、前記仕上げ材接着工程において、前記電極間の抵抗値を測定してもよい。
【0010】
仕上げ材と張付けモルタルとの間に空隙があると、2つ位置に設置された電極が通電していても仕上げ材と張付けモルタルとの間に空隙が無い場合と比べて抵抗値が大きくなる。このため、仕上げ材接着工程において、電極間の抵抗値を測定することにより、その抵抗値が予め設定された閾値を超えた場合には、仕上げ材と張付けモルタルとの間に空隙があると判断することができる。
【0011】
また、本発明に係る張付けモルタルの充填状態確認方法では、前記電極を前記下地材における前記仕上げ材の角部が張付けられる位置の近傍に設置してもよい。
【0012】
このような構成とすることにより、張付けモルタルが仕上げ材の角部と下地材との間に充填されているかどうかを確認することができる。
【0013】
また、本発明に係る張付けモルタルの充填状態確認方法では、前記電極を前記下地材における前記仕上げ材の4つの角部のうちの2つの角部が張付けられる位置それぞれの近傍に設置して、電気的に接続するとともに、前記電極を前記仕上げ材の4つの角部のうちの他の2つの角部が張付けられる位置それぞれの近傍に設置して、電気的に接続してもよい。
【0014】
このような構成とすることにより、張付けモルタルが仕上げ材の角部と下地材との間に充填されているかどうかを仕上げ材が張付けられる範囲全体にわたって確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、仕上げ材を剥がすことなく張付けモルタルの充填状態を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態によるタイル(仕上げ材)の施工状態を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態による張付けモルタルの充填状態確認装置およびタイルの施工方法の墨出し工程を示す平面図である。
図3】タイルの施工方法の張付けモルタル塗布工程を示す平面図である。
図4】タイルの施工方法のタイル接着工程の張付けモルタルにタイルを載せた状態を示す平面図である。
図5】タイルの施工方法のタイル接着工程の張付けモルタルにタイルを載せた状態を示す断面図である。
図6】タイルの施工方法のタイル接着工程の張付けモルタルにタイルを押し付けた状態を示す平面図である。
図7】タイルの施工方法のタイル接着工程の張付けモルタルにタイルを押し付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置について、図1図7に基づいて説明する。
本実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置は、図1に示すようなコンクリート下地2(下地材)に張付けモルタル3を塗布してタイル4(仕上げ材)を張付ける施工の際に、コンクリート下地2とタイル4との間の張付けモルタル3の充填状態を確認する方法である。コンクリート下地2とタイル4との間の張付けモルタル3が良好に充填された状態とは、張付けモルタル3がコンクリート下地2とタイル4との間で広がり、コンクリート下地2とタイル4との間に空気が入り込んでいない(残っていない)状態である。
本実施形態では、タイル4は、1辺が600mmを超える角形の床タイルで、隣り合うタイル4間には、3~10mmの目地5を設けている。図面では、説明のため、目地5の幅を大きく示している。
【0018】
本実施形態のタイル4の施工方法について説明する。図面に符号1で示されている張付けモルタルの充填状態確認装置1については後述する。
まず、図2に示すように、コンクリート下地2の表面に、タイル4形状に合わせた墨出しを行う(墨出し工程)。隣り合うタイル4の墨出し線21の間が目地5の位置である。タイル4の墨出し線21の内側で、タイル4が張付けられる領域をタイル張付け領域22(仕上げ材張付け領域)とする。
【0019】
続いて、図3に示すように、タイル張付け領域22に張付けモルタル3を塗布する(張付けモルタル塗布工程)。張付けモルタル3には、くし目ごてを用いて一方向に延びるくし目31を形成する。
【0020】
続いて、図4および図5に示すように、張付けモルタル3の上にタイル4を載せて、図6および図7に示すように、タイル4を張付けモルタル3に押し付ける(タイル接着工程、仕上げ材接着工程)。
図4および図5に示すように、張付けモルタル3の上にタイル4が載せられた状態では、張付けモルタル3は、くし目31がややつぶれる程度で、くし目31間の空隙32は無くならず、横に広がらない。図6および図7に示すように、タイル4が張付けモルタル3に押し付けられると、張付けモルタル3は、くし目31間の空隙32が埋まるとともに、横に広がり、タイル張付け領域22の側方の目地5が形成される位置にはみ出した状態となる。このような状態となり、張付けモルタル3が硬化するとタイル4がコンクリート下地2に張付けられる。
【0021】
本実施形態による張付けモルタルの充填状態確認装置1は、張付けモルタル塗布工程の前に、コンクリート下地2におけるタイル張付け領域22の周囲に設置され互いに電気的に接続される2つの電極6,6と、2つの電極6,6間の通電を検知可能な検電部7と、を有している。
【0022】
2つの電極6,6は、例えば銅テープなどである。2つの電極6,6は、コンクリート下地2におけるタイル張付け領域22の周囲、すなわち目地5が形成される部分に間隔をあけて1つずつ設置される。本実施形態では、タイル張付け領域22を挟んで対向する2つの位置それぞれに電極6が1つずつ設置される。
張付けモルタルの充填状態確認装置1は、2つの電極6,6の間に塗布された張付けモルタル3が2つの電極6,6それぞれと接触すると、水分を含む張付けモルタル3が通電し、検電部7が2つの電極6,6の通電を検知するように構成されている。
【0023】
本実施形態の張付けモルタルの充填状態確認方法では、2つの張付けモルタルの充填状態確認装置1を使用しており、タイル張付け領域22の周囲に4つの電極6が設置される。
墨出し工程の後で張付けモルタル塗布工程の前に、墨出し線21の外側でタイル4の4つの角部42が配置される位置それぞれの近傍に電極6を取り付ける。本実施形態では2つの張付けモルタルの充填状態確認装置1を設置しており、くし目31が延びる方向に対向する2つの角部42に設けられた電極6,6どうしを電気的に接続する。電気的に接続された2つの電極6,6は、離れた位置に設置されるため、通電していない。電極6は、張付けモルタル塗布工程で塗布されてタイル4が押し付けられていない張付けモルタル3と接触しない位置に取り付ける。
【0024】
張付けモルタル塗布工程では、電極6と接触しないように張付けモルタル3を塗布する。
タイル接着工程では、検電部7が通電を検知したか確認しながらタイル4を張付けモルタル3に押し付ける。タイル4に押し付けられて目地5が形成される位置にはみ出た張付けモルタル3が、電気的に接続されている2つの電極6,6それぞれに接触すると、張付けモルタル3の水分を介して2つの電極6,6が通電するため、検電部7に通電が表示される。
すなわち、本実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法では、張付けモルタル3がコンクリート下地2とタイル4との間で良好に広がると、検電部7に通電が表示されるため、検電部7の通電を確認することで張付けモルタル3の充填状態を確認することができる。
【0025】
上記のように、張付けモルタル3にくし目31ごてを用いて一方向に延びるくし目31を形成する場合、押し付けられたタイル4の裏面の中央部分41が張付けモルタル3と接触し、タイル4の中央部分41と張付けモルタル3との間に空隙32が残らない。このような場合、図6に示すように、タイル4の一辺の長さ寸法L、タイル4に押し付けられた張付けモルタル3がタイル4からはみ出る幅寸法xとすると、上にタイル4が載せられた直後の張付けモルタル3の平面積Sと、タイル4に押し付けられた張付けモルタル3の平面積S´との関係性は、以下のようになる。
S´=S+4x(L+x)
【0026】
この関係性を利用して、タイル4のサイズに合わせてはみ出す張付けモルタル3の幅寸法を想定し、その位置に電極6を設置する。このようにすることにより、モルタルが電極6に触れる位置まではみ出して検電部7に通電が表示された場合には、タイル4と張付けモルタル3との間に空隙32ができず、充填状態が良好であると判定できる。
【0027】
タイル4を張付けモルタル3に押し付けた際に、タイル4の裏面の中央部分41と張付けモルタル3との間に空隙があると、張付けモルタル3が2つの電極6,6それぞれに接触し通電したとしても、抵抗値(電気抵抗)が大きくなる。このような場合には、張付けモルタルの充填状態確認装置1に2つの電極6,6間の抵抗値を測定する抵抗値測定部を設け、1枚のタイル4の周囲に4以上の電極6を設置する。4以上の電極6のうちの選択した2つの電極6,6間の抵抗値と、他の2つの電極6,6間の抵抗値とが大きく異なる場合に、抵抗値が大きい2つの電極6,6間に空隙があると判定できる。
【0028】
次に、上記の本実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置1の作用・効果について説明する。
タイル接着工程において、タイル4に押し付けられた張付けモルタル3が広がってコンクリート下地2とタイル4との間に良好に充填されると、タイル張付け領域22の周囲にはみ出すことになる。本発明では、タイル張付け領域22の周囲に2つの電極6,6を設置して電気的に接続することにより、タイル接着工程において、張付けモルタル3がタイル張付け領域22の周囲にはみ出して2つの電極6,6それぞれに接触すると、2つの電極6,6が張付けモルタル3の水分を介して通電する。これにより、2つの電極6,6が通電したことを確認することにより、タイル4に押し付けられた張付けモルタル3が広がってコンクリート下地2とタイル4との間に良好に充填されたと判断することができる。
このように、本実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置1では、タイル4を剥がすことなく張付けモルタル3の充填状態を確認することができる。
【0029】
また、本実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法では、タイル接着工程において、2つの電極6,6間の抵抗値を測定している。
タイル4と張付けモルタル3との間に空隙があると、2つの電極6,6が通電していてもタイル4と張付けモルタル3との間に空隙が無い場合と比べて抵抗値が大きくなる。このため、タイル接着工程において、2つの電極6,6間の抵抗値を測定することにより、その抵抗値が予め設定された閾値を超えた場合には、タイル4と張付けモルタル3との間に空隙があると判断することができる。
【0030】
また、本実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法では、電極6をコンクリート下地2におけるタイル4の4つの角部42が張付けられる位置の近傍それぞれに設置している。
このような構成とすることにより、張付けモルタル3がタイル4の角部42とコンクリート下地2との間に充填されているかどうかを確認することができる。
【0031】
以上、本発明による張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、タイル4は床タイルであるが、壁のタイル施工において本発明による張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置1を採用してもよい。
【0032】
また、上記の実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法および張付けモルタルの充填状態確認装置1は、コンクリート下地2に張付けモルタル3を介してタイル4を張付ける施工に採用されているが、下地材はコンクリート下地2以外であってもよいし、タイル4以外の仕上げ材を張付けモルタル3を介して下地材に張付ける施工に採用されてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態では、タイル接着工程において、2つの電極6,6間の抵抗値を測定しているが、測定しなくてもよい。
【0034】
また、上記の実施形態では、電極6をコンクリート下地2におけるタイル4の角部42が張付けられる位置それぞれの近傍に設置しているが、角部42と離れる位置に設置してもよい。
また、上記の実施形態による張付けモルタルの充填状態確認方法では、2つの張付けモルタルの充填状態確認装置を用いて張付けモルタルの充填状態を確認しているが、1つまたは3つ以上の充填状態確認装置を用いて張付けモルタルの充填状態を確認してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 張付けモルタルの充填状態確認装置
2 コンクリート下地(下地材)
3 張付けモルタル
4 タイル(仕上げ材)
6 電極
7 検電部
22 領域
42 角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7