(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185892
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20221208BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20221208BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20221208BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20221208BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 C
H01L27/144 K
G01T1/20 E
G01T1/20 G
H01L31/10 A
A61B6/00 300S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093795
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 力也
(72)【発明者】
【氏名】中野 文樹
(72)【発明者】
【氏名】中澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】森脇 弘幸
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
4M118
5F849
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD11
4C093CA36
4C093EB12
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4M118AA05
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4M118GB14
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5F849XB01
(57)【要約】
【課題】光電変換素子の特性を測定する際に、測定作業者の作業負担を軽減することが可能な光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置を提供する。
【解決手段】光電変換パネル1は、基板に形成された複数のTFT15と、TFT15にそれぞれ接続された複数のフォトダイオード14と、複数のフォトダイオード14よりも光入射側に形成されたメタル層40とを備える。メタル層40は、複数のフォトダイオード14のうちの一部のフォトダイオード14と平面視で重なる位置に形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成された複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタにそれぞれ接続された複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子よりも光入射側に形成されたメタル層であって、前記複数の光電変換素子のうちの一部の光電変換素子と平面視で重なる位置に形成されたメタル層と、を備える、光電変換パネル。
【請求項2】
前記複数の光電変換素子は、前記基板上において、マトリクス状に配置されており、
前記メタル層は、前記複数の光電変換素子のうちの外縁部分に配置された複数の光電変換素子の少なくとも1つと平面視で重なる位置に形成されている、請求項1に記載の光電変換パネル。
【請求項3】
前記メタル層は、平面視で枠状に形成されている、請求項2に記載の光電変換パネル。
【請求項4】
前記複数の光電変換素子よりも光入射側に形成された透明電極であって、前記複数の光電変換素子のうちの前記外縁部分よりも内側に配置された複数の光電変換素子の少なくとも1つと平面視で重なる位置に配置された透明電極を、さらに備える、請求項2または3項に記載の光電変換パネル。
【請求項5】
前記透明電極は、前記メタル層の少なくとも一部を覆うように前記メタル層よりも上層に形成されている、請求項4に記載の光電変換パネル。
【請求項6】
前記複数の光電変換素子に接続されたバイアス線であって、前記メタル層よりも下層に形成されたバイアス線を、さらに備え、
前記メタル層は、前記バイアス線に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換パネル。
【請求項7】
前記複数の光電変換素子に接続されたバイアス線を、さらに備え、
前記メタル層は、前記バイアス線と同一の層に形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換パネル。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の光電変換パネルと、
X線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、を備え、
前記メタル層は、前記光電変換素子と前記シンチレータとの間に配置されている、X線パネル。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の光電変換パネルと、
前記メタル層と平面視で重なる位置に配置された少なくとも1つの光電変換素子のリーク電流を検出する検出部と、を備える、撮像装置。
【請求項10】
前記光電変換パネルは、前記複数のトランジスタの各々に接続される複数のデータ線を、さらに含み、前記検出部により検出された前記リーク電流の大きさに基づいて、前記複数のデータ線に印加する電圧の高さを補正する補正制御部を、さらに備える、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
X線を照射するX線源と、前記X線源からX線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、をさらに備え、前記検出部は、前記X線源からX線が照射された際に、前記メタル層と平面視で重なる位置に配置された少なくとも1つの光電変換素子のリーク電流を検出する、請求項9または10に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置が知られている。このような光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
上記特許文献1の固体撮像装置は、半導体基板と、シールド層とを備える。半導体基板には、半導体基板の表面近傍に形成された電荷蓄積領域と、電荷蓄積領域に蓄積された信号電荷を読み出す受光領域とが形成されている。シールド層は、半導体基板の上側に配置されており、受光領域を取り囲むように導電材料により形成されている。また、この固体撮像装置には、シールド層の上方に配置された導電材料からなる支持体と、支持体上に配置された保護ガラスとが設けられている。そして、この固体撮像装置は、保護ガラス上に静電気が発生した場合、支持体及びシールド層を介して、半導体基板の外部に静電気を逃がす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているような固体撮像装置では、固体撮像装置自体の検査が行われる際に、受光領域に光を照射させない状態で、受光領域に配置された素子(光電変換素子)の特性の測定が行われる。この場合、測定作業者は、受光領域に遮光部材を取り付ける手間がかかるという問題点がある。
【0006】
そこで、本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、光電変換素子の特性を測定する際に、測定作業者の作業負担を軽減することが可能な光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の第1の態様に係る光電変換パネルは、基板と、前記基板に形成された複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタにそれぞれ接続された複数の光電変換素子と、前記複数の光電変換素子よりも光入射側に形成されたメタル層であって、前記複数の光電変換素子のうちの一部の光電変換素子と平面視で重なる位置に形成されたメタル層と、を備える。
【0008】
第2の態様に係るX線パネルは、上記第1の態様に係る光電変換パネルと、X線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、を備え、前記メタル層は、前記光電変換素子と前記シンチレータとの間に配置されている。
【0009】
第3の態様に係る撮像装置は、上記第1の態様に係る光電変換パネルと、前記メタル層と平面視で重なる位置に配置された光電変換素子のリーク電流を検出する検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置によれば、複数の光電変換素子のうちの、メタル層により遮光された一部の光電変換素子について、メタル層によりシンチレーション光を遮光することができる。この結果、光が当たらない状態の光電変換素子の特性を測定する際に、測定作業者は、遮光するための部材を光電変換パネルに取り付ける作業が不要となる。この結果、測定作業者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態における光電変換パネル1を含むX線パネル10を備えるX線撮像装置100を示す模式図である。
【
図2】
図2は、光電変換パネル1の概略構成を示す平面模式図である。
【
図3】
図3は、メタル層40の配置位置を説明するための光電変換パネル1の平面模式図である。
【
図4】
図4は、X線パネル10における外縁部分R11と撮像領域R12との境界部分の断面図である。
【
図5】
図5は、制御回路34の機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、X線撮像装置100における検出及び補正モードの制御処理に関するフロー図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態におけるX線撮像装置200の光電変換パネル201の平面模式図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態による光電変換パネル201の一部の断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態によるX線撮像装置300の光電変換パネル301の一部の断面図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態によるX線撮像装置400の光電変換パネル401の平面模式図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態による光電変換パネル401の外縁部分R11と撮像領域R12との境界部分の断面図である。
【
図12】
図12は、第1~第3実施形態の変形例による光電変換パネルの平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0013】
[第1実施形態]
(X線撮像装置の構成)
図1は、第1実施形態における光電変換パネル1を含むX線パネル10を備えるX線撮像装置100を示す模式図である。X線撮像装置100は、光電変換パネル1とシンチレータ2とを含むX線パネル10と、制御部3と、X線源4と、記憶部5と、操作部6とを備える。
【0014】
図1に示すように、制御部3は、ゲート制御回路31と、信号読出回路32と、バイアス電圧供給回路33と、制御回路34とを含む。ゲート制御回路31は、光電変換パネル1のゲート端子11に接続されている。また、信号読出回路32は、データ端子12に接続されている。バイアス電圧供給回路33は、バイアス端子13に接続されている。制御回路34は、ゲート制御回路31と、信号読出回路32と、バイアス電圧供給回路33と、X線源4と、記憶部5と、操作部6とに接続されている。
【0015】
X線源4は、被写体Sに対しX線を照射する。被写体Sを透過したX線は、光電変換パネル1の上部に配置されたシンチレータ2において蛍光(以下、シンチレーション光)に変換される。X線撮像装置100は、シンチレーション光をX線パネル10において撮像することにより、X線画像を生成する。
【0016】
記憶部5は、例えば、不揮発性メモリ(例えば、RAM)を含む。記憶部5は、制御回路34により実行されるプログラム51と、制御回路34により記憶される検出データ52とが記憶されている。検出データ52の詳細は、後述する。
【0017】
操作部6は、例えば、ユーザによる操作を受け付けるタッチパネル又は複数の操作ボタンが配置された操作パネルを含む。操作部6は、「通常の撮像モード」と「検出及び補正モード」とのいずれかを選択するためのユーザによる操作を受け付ける。
【0018】
ここで、「通常の撮像モード」とは、X線源4とX線パネル10との間に被写体Sを配置した状態で、X線源4からX線パネル10にX線を照射し、X線画像を生成するモードである。「検出及び補正モード」とは、後述するメタル層40により遮光されたフォトダイオード14から取得したデータ信号に基づいて、リーク電流の大きさを検出し、検出したリーク電流の大きさに基づいて、データ線12aから得られる読み出し電圧の大きさを補正する、一連の制御処理を実行するモードである。
【0019】
図2は、光電変換パネル1の概略構成を示す平面模式図である。光電変換パネル1は、複数のゲート端子11と、複数のデータ端子12と、バイアス端子13と、複数のフォトダイオード14と、複数の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)15とを含む。また、光電変換パネル1の基板101(
図4参照)上には、複数のTFT15のゲート電極15aとゲート端子11とをそれぞれ接続する複数のゲート線11aと、複数のTFT15のソース電極15cとデータ端子12とをそれぞれ接続する複数のデータ線12aと、複数のフォトダイオード14に接続されたバイアス線13aとが形成されている。
【0020】
図2に示すように、光電変換パネル1には、画素領域R1と、端子領域R2とが設けられている。画素領域R1は、例えば、平面視で矩形状を有する。画素領域R1とは、複数のゲート線11aと複数のデータ線12aとにより区画された複数の画素20が形成された領域である。端子領域R2は、画素領域R1のX方向の正側及びY方向の負側にそれぞれ設けられており、ゲート端子11とデータ端子12とバイアス端子13とが配置された領域である。
【0021】
また、
図2に示すように、画素領域R1では、複数のゲート線11aと複数のデータ線12aとが、互いに交差するように形成されている。これにより、複数の画素20は、平面視でマトリクス状に形成されている。また、バイアス線13aは、例えば、データ線12aに沿って形成されている。そして、画素20の各々に、フォトダイオード14およびTFT15が設けられている。フォトダイオード14およびTFT15は、それぞれ、平面視でマトリクス状に配置されている。
【0022】
また、
図2に示すように、端子領域R2では、複数のゲート端子11がY方向に並んで配置されている。また、端子領域R2では、複数のデータ端子12とバイアス端子13とが、X方向に並んで配置されている。複数のゲート端子11は、ゲート制御回路31からのゲート信号をゲート線11aに伝達する。複数のデータ端子12は、信号読出回路32からの読み出し電圧をデータ線12aに印加する。また、複数のデータ端子12は、データ信号をデータ線12a及びTFT15を介してフォトダイオード14から取得して、データ信号を信号読出回路32に伝達する。バイアス端子13は、バイアス電圧供給回路33からのバイアス電圧をバイアス線13aに供給する。
【0023】
図3は、メタル層40の配置位置を説明するための光電変換パネル1の平面模式図である。
図3に示すように、メタル層40は、複数のフォトダイオード14のうちの一部のフォトダイオード14と平面視で重なる位置に形成されている。そして、メタル層40は、シンチレータ2からフォトダイオード14に向かうシンチレータ光の少なくとも一部を反射又は吸収することにより、平面視で重なる位置に配置されたフォトダイオード14に対して遮光する。メタル層40は、これに限られないが、例えば、遮光性を有する金属材料としてアルミニウムを含む。なお、
図3では、説明のためにメタル層40と平面視で重なる位置に配置されたフォトダイオード14を図示している。
【0024】
また、
図3に示すように、画素領域R1は、外縁部分R11と外縁部分R11よりも内側の撮像領域R12とを含む。ここで、「外縁部分R11」とは、画素領域R1におけるX方向の正側及び負側それぞれの端部、及びY方向の正側及び負側それぞれの端部を含む部分である。メタル層40は、複数のフォトダイオード14のうちの外縁部分R11に配置された複数のフォトダイオード14と平面視で重なる位置に形成されている。また、メタル層40は、平面視で撮像領域R12を取り囲む枠状を有するように形成されている。例えば、メタル層40は、平面視で矩形の枠形状を有する。この構成によれば、撮像に使用される撮像領域R12に配置されたフォトダイオード14への光がメタル層40によって遮光されるのを防止することができる。この結果、メタル層40が光電変換パネル1による撮像性能に影響を与えるのを防止することができる。
【0025】
また、
図3に示すように、メタル層40とバイアス線13aとは、接続部分21を介して電気的に接続されている。これにより、メタル層40又はバイアス線13aの一方に静電気が侵入した場合でも、他方に静電気を拡散させるショートリングの機能を有する。接続部分21は、例えば、画素領域R1よりも外側に形成されている。
【0026】
なお、
図3では、説明を容易にするために、メタル層40を、マトリクス状に配置された複数のフォトダイオード14のうちの最も外側の1列及び1行のフォトダイオード14と重なる位置に形成されるように図示しているが、本開示はこれに限られず、例えば、メタル層40は、マトリクス状に配置された複数のフォトダイオード14のうちの最も外側から数十列及び数十行のフォトダイオード14と重なる位置に形成されていてもよい。また、
図3では、撮像領域R12のフォトダイオード14を、3行3列に配置する例を示しているが、4行以上、又は4列以上のフォトダイオード14を配置してもよい。
【0027】
図4は、X線パネル10における外縁部分R11と撮像領域R12との境界部分の断面図である。フォトダイオード14は、第1下部電極14aおよび第2下部電極14bと上部電極14cと、光電変換層16とを含む。光電変換層16は、第2下部電極14bと上部電極14cとの間に設けられている。そして、撮像領域R12では、シンチレータ2で変換されたシンチレーション光が光電変換層16に入射し、入射したシンチレーション光が電荷に変換される。外縁部分R11においては、シンチレーション光は、メタル層40により遮光される。
【0028】
また、
図4に示すように、TFT15は、ゲート電極15aと、半導体活性層15bと、ソース電極15cと、ドレイン電極15dとを有する。ドレイン電極15dと第2下部電極14bとは、第1下部電極14aを介して接続されている。データ線12aは、例えば、下部データ電極12bと上部データ電極12cとの2層により構成されている。データ線12aは、接続電極12dを介してソース電極15cに接続されている。また、バイアス線13aは、例えば、下部バイアス電極13bと上部バイアス電極13cとの2層により構成されている。バイアス線13aは、上部電極14cに接続されている。
【0029】
また、
図4に示すように、光電変換パネル1は、基板101と、第1絶縁膜102~第10絶縁膜111とを含む。ゲート電極15aは、基板101上に形成されている。基板101は、絶縁性を有する基板である。ゲート電極15aは、例えば、タングステン(W)および窒化タンタル(TaN)を材料として含む積層膜として構成されている。第1絶縁膜102は、ゲート電極15aを覆う。第1絶縁膜102は、例えば、上層に酸化ケイ素(SiO
2)からなる絶縁膜と、下層に窒化ケイ素(SiN
x)からなる絶縁膜とが積層されて構成されている。半導体活性層15b、ソース電極15c、及びドレイン電極15dは、第1絶縁膜102を介してゲート電極15aの上に形成されている。
【0030】
半導体活性層15bは、酸化物半導体からなる。酸化物半導体は、例えば、InGaO3(ZnO)5、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1-xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1-xO)、酸化カドミウム(CdO)、InSnZnO(In(インジウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)を含む)もの、In(インジウム)-Al(アルミニウム)-Zn(亜鉛)-O(酸素)系、又は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を所定の比率で含有するアモルファス酸化物半導体等を用いてもよい。また、酸化物半導体としては、「非晶質」、「結晶質(多結晶、微結晶、c軸配向を含む)」の材料も適用可能である。積層構造の場合は、何れの組合せも含まれる(特定の組合せを排除しない)。本実施形態では、半導体活性層15bは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を所定の比率で含有するアモルファス酸化物半導体からなる。半導体活性層15bに、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む酸化物半導体を適用することで、アモルファスシリコン(a-Si)と比べ、TFT15のオフリーク電流を低減することができるため、S/N比を高くとることができ、高感度なセンサが実現できる。
【0031】
また、
図4に示すように、ソース電極15cとドレイン電極15dとは、同一層上に形成されている。ソース電極15cとドレイン電極15dとは、例えば、アルミニウム(Al)からなる金属膜を、チタン(Ti)からなる2つの金属膜が挟むように積層された3層構造を有する。また、第1絶縁膜102の上層に、ソース電極15cとドレイン電極15dとを覆うように第2絶縁膜103(パッシベーション膜)が設けられている。第2絶縁膜103は、例えば、酸化ケイ素(SiO
2)により構成されている。
【0032】
第1下部電極14a及び接続電極12dは、第2絶縁膜103よりも上層に形成されている。第1下部電極14a及び接続電極12dは、例えば、チタン(Ti)からなる2つの金属膜がアルミニウム(Al)からなる金属膜を挟むように積層された3層構造を有する。第3絶縁膜104は、第1下部電極14aの一部と、第2絶縁膜103の一部と、を覆うように形成されている。第2下部電極14bは、第1下部電極14aの一部を覆うように形成されている。第2下部電極14bは、例えば、チタン(Ti)により形成されている。
【0033】
光電変換層16は、第2下部電極14bの上に形成されている。光電変換層16は、n型非晶質半導体層161、真性非晶質半導体層162、p型非晶質半導体層163が順に積層されて構成されている。n型非晶質半導体層161は、n型不純物(例えば、リン)がドーピングされたアモルファスシリコンからなる。真性非晶質半導体層162は、真性のアモルファスシリコンからなる。真性非晶質半導体層162は、n型非晶質半導体層161に接して形成されている。p型非晶質半導体層163は、p型不純物(例えば、ボロン)がドーピングされたアモルファスシリコンからなる。p型非晶質半導体層163は、真性非晶質半導体層162に接して形成されている。なお、本開示はこれに限られず、n型半導体(+n)と、真性半導体(i)と、p型半導体(+p)の積層順は、+p/i/+nであっても、+n/i/+pであってもよい。また、上部電極14cは、光電変換層16よりも上層に形成されている。上部電極14cは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)で構成されている。
【0034】
第4絶縁膜105は、フォトダイオード14および第3絶縁膜104の少なくとも一部を覆うように形成されている。また、第4絶縁膜105は、フォトダイオード14の上面の一部とフォトダイオード14の側面とを覆う。例えば、第4絶縁膜105は、窒化ケイ素(SiNx)により構成されている。
【0035】
第5絶縁膜106は、第4絶縁膜105の少なくとも一部を覆う。また、第5絶縁膜106は、フォトダイオード14を覆い、フォトダイオード14により形成される段差部分を平坦化する平坦化膜である。第5絶縁膜106は、例えば、有機系材料からなる。第5絶縁膜106は、第4絶縁膜105の少なくとも一部を覆う。第6絶縁膜107は、第5絶縁膜106の一部を覆う無機膜である。データ線12a及びバイアス線13aは、第6絶縁膜107上に形成されている。データ線12aの下部データ電極12bとバイアス線13aの下部バイアス電極13bとは、例えば、アルミニウム(Al)からなる金属膜を、チタン(Ti)からなる2つの金属膜が挟むように積層された3層構造を有する。データ線12aの上部データ電極12cとバイアス線13aの上部バイアス電極13cとは、例えば、ITOから構成される。
【0036】
第7絶縁膜108は、データ線12a及びバイアス線13aを覆うように形成されている。第7絶縁膜108は、例えば、窒化ケイ素(SiNx)からなる。第8絶縁膜109は、第7絶縁膜108を覆う。第8絶縁膜109は、例えば、有機系材料から構成されている。
【0037】
図4に示すように、メタル層40は、外縁部分R11において、フォトダイオード14よりも上層(光入射側)に形成されている。また、メタル層40は、撮像領域R12には形成されていない。例えば、メタル層40は、第8絶縁膜109上に形成されている。第9絶縁膜110は、メタル層40を覆うように形成されている。第9絶縁膜110は、例えば、窒化ケイ素(SiN
x)からなる。第10絶縁膜111は、第9絶縁膜110を覆うように形成されている。第10絶縁膜111は、例えば、有機系材料から構成されている。シンチレータ2は、第10絶縁膜111よりも上層に形成されている。これにより、例えば、シンチレータ2を蒸着する際に光電変換パネル1の上面から浸入する静電気から、メタル層40によりフォトダイオード14を保護することができる。
【0038】
上記の構成によれば、メタル層40により外縁部分R11のフォトダイオード14を遮光することができる。この結果、フォトダイオード14の特性を測定する際に、測定作業者は、遮光するための部材を光電変換パネル1に取り付ける作業が不要となる。この結果、測定作業者の作業負担を軽減することができる。そして、光電変換パネル1に静電気が侵入しようとした場合でも、メタル層40によって、静電気を拡散させることができるので、TFT15又はフォトダイオード14が静電気に起因して破損するのを防止することができる。また、メタル層40が遮光するための部材を兼ねるので、光電変換パネル1における部品点数が増加するのを防止しながら、測定作業者の作業負担を軽減することができる。
【0039】
図5は、制御回路34の機能ブロック図である。制御回路34は、記憶部5に記憶されたプログラム51を実行するプロセッサを含む。そして、制御回路34は、プログラム51を実行することにより、撮像制御部34a、検出制御部34b、及び補正制御部34cとして機能する。
【0040】
撮像制御部34aは、操作部6により「通常の撮像モード」が選択された場合に、X線源4からX線を照射して、信号読出回路32により取得したデータ信号に基づいて、X線画像を生成する。例えば、撮像領域R12に配置されたフォトダイオード14は、バイアス線13aからバイアス電圧が印加されている状態で、被写体Sを透過したX線をシンチレータが変換したシンチレーション光の光量に応じた電荷に変換し、電荷に応じた信号(データ信号)をTFT15に伝達する。そして、撮像制御部34aは、各ゲート線11aに対して、ゲート制御回路31から順次選択的にゲート信号を供給させる。ゲート信号が供給されたTFT15はオン状態となる。データ線12aには、信号読出回路32により読み出し電圧が印加され、TFT15がオン状態になると、フォトダイオード14において変換された電荷に応じた信号(データ信号)が、読み出し電圧に印加される。そして、信号読出回路32は、データ信号を取得する。撮像制御部34aは、撮像領域R12における各画素20のデータ信号に基づいて、X線画像を生成する。
【0041】
検出制御部34bは、操作部6により「検出及び補正モード」が選択された場合に、X線源4からX線を照射し、外縁部分R11および撮像領域R12に配置されたフォトダイオード14からのデータ信号を取得する。ここで、メタル層40により遮光された状態における外縁部分R11から検出されたデータ信号は、フォトダイオード14の特性のうちの1つであるシンチレーション光が照射されない状態のリーク電流の大きさに対応した波形となる。検出制御部34bは、取得したデータ信号に基づいて、リーク電流の大きさを検出する。ここで、X線源4から照射されたX線はメタル層を透過しTFT15のしきい値電圧に影響を与える可能性がある。そこで、上記のように、X線を照射した状態のデータ信号に基づいてリーク電流を検出することにより、後述する補正において、X線による影響を補正値に反映させることが可能になる。検出制御部34bは、検出したリーク電流の大きさを検出データ52(
図1参照)として、記憶部5に記憶する。この構成によれば、記憶部5に記憶された検出データ52を読み出せば、検出データ52に基づいて、平面視でメタル層40と重なるフォトダイオード14から発生した信号と、平面視でメタル層40と重ならないフォトダイオード14から発生した信号の2種類が検出される。
【0042】
補正制御部34cは、検出データ52に基づいて、複数のデータ線12aから得られた読み出し電圧の高さを補正する。例えば、補正制御部34cは、検出データ52に基づいて、リーク電流の大きさが大きい程、読み出し電圧を低い値に設定する。ここで、フォトダイオード14の特性及び経年劣化の具合、X線からの直接的な影響に応じてフォトダイオード14から得られるリーク電流は変化する。これに対して、上記の構成によれば、得られるリーク電流に基づいて、データ線12aに印加する読み出し電圧の高さを補正することができるので、フォトダイオード14の特性及び経年劣化やX線の直接的な影響による撮像品質への影響を低減することができる。
【0043】
[X線撮像装置の制御処理]
次に、
図6を参照して、X線撮像装置100の制御処理について説明する。
図6は、X線撮像装置100における「検出及び補正モード」の制御処理に関するフロー図である。なお、「通常の撮像モード」の制御処理については説明を省略する。X線撮像装置100の制御処理は、制御部3により実行される。
【0044】
ステップS1において、「検出及び補正モード」が選択されたか否かが判断される。「検出及び補正モード」が選択された場合、ステップS2に進む。
【0045】
ステップS2において、X線源4からX線が照射され、外縁部分R11のフォトダイオード14からのデータ信号が取得される。そして、ステップS3において、データ信号に基づいて、リーク電流の大きさが検出される。そして、ステップS4において、リーク電流の大きさに基づく検出データ52が記憶部5に記憶される。そして、ステップS5において、検出データ52に基づいて、読み出し電圧の高さが補正される。その後、「検出及び補正モード」における制御処理が終了する。
【0046】
[第2実施形態]
図7及び
図8を参照して、第2実施形態におけるX線撮像装置200の構成について説明する。
図7は、第2実施形態におけるX線撮像装置200の光電変換パネル201の平面模式図である。
図8は、第2実施形態による光電変換パネル201の一部の断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、第2実施形態によるX線撮像装置200では、画素領域R1を覆うように、透明電極層240が形成されている。すなわち、透明電極層240は、平面視で、撮像領域R12に配置されたフォトダイオード14と重なる位置と、外縁部分R11に配置されたフォトダイオード14と重なる位置とに連続して形成されている。透明電極層240は、例えば、ITOを含む。
【0048】
図8に示すように、透明電極層240は、メタル層40よりも上層に形成されている。例えば、透明電極層240は、メタル層40に積層されており、電気的に接続されている。これにより、透明電極層240とメタル層40との一方に静電気が侵入した場合でも、他方に拡散させることが可能になる。また、透明電極層240は、撮像領域R12に配置されたフォトダイオード14と平面視で重なる位置に配置されているので、撮像領域R12に配置されたフォトダイオード14を静電気から保護することができる。また、透明電極層240は、シンチレーション光を透過するので、撮像領域R12において、シンチレータ2からの光をフォトダイオード14に入射させることができる。その他の構成及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0049】
[第3実施形態]
図9を参照して、第3実施形態におけるX線撮像装置300の構成について説明する。
図9は、第3実施形態によるX線撮像装置300の光電変換パネル301の一部の断面図である。なお、第1又は第2実施形態と同様の構成には、第1又は第2実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0050】
図9に示すように、第3実施形態によるX線撮像装置300の光電変換パネル301では、フォトダイオード314よりも下層で、かつ、TFT315よりも上層に、平坦化膜302が設けられている。平坦化膜302は、TFT315を覆う第2絶縁膜103(パッシベーション膜)を覆うように形成されており、TFT315による第2絶縁膜103の上面の凹凸を平坦化する。フォトダイオード314とTFT315とは、平坦化膜302に設けられたコンタクトホールに形成された下部電極314aを介して接続されている。また、データ線12aとTFT315とは、平坦化膜302に設けられたコンタクトホールに形成された接続電極312dを介して接続されている。そして、平坦化膜302が設けられていることにより、平面視でフォトダイオード314とTFT315とを重なる位置に配置することができるので、TFT315上にもフォトダイオード314を配置することができるため、単位画素あたりのフォトダイオード314の面積を大きくとることができる。この結果、光電変換パネル301を高感度化することができる。その他の構成及び効果は、第1又は第2実施形態と同様である。
【0051】
[第4実施形態]
図10及び
図11を参照して、第4実施形態におけるX線撮像装置400の構成について説明する。
図10は、第4実施形態によるX線撮像装置400の光電変換パネル401の平面模式図である。
図11は、第4実施形態によるX線撮像装置400の光電変換パネル401の一部の断面図である。なお、第1~第3実施形態のいずれかと同様の構成には、第1~第3実施形態のいずれかと同じ符号を用い説明を省略する。
【0052】
図10に示すように、第4実施形態によるX線撮像装置400の光電変換パネル401は、バイアス線13aと同一の層で、かつ、バイアス線13aと一体的に形成された複数のメタル層440を含む。
図11に示すように、メタル層440は、外縁部分R11に設けられたフォトダイオード14を覆うように配置されており、バイアス線13aは、撮像領域R12に設けられたフォトダイオード14に接続されている。また、メタル層440は、データ線12aとは間隔を空けて形成されている。これにより、メタル層440とデータ線12aとが短絡しない。メタル層440は、下部バイアス電極13bと同一の層に形成された下部メタル層413bと、上部バイアス電極13cと同一の層に形成された上部メタル層413cとを含む。また、メタル層440は、外縁部分R11に配置されたフォトダイオード14に接続されており、外縁部分R11に配置されたフォトダイオード14に対してバイアス線として機能する。さらに、シンチレーション光によるTFT15のしきい値電圧シフトが発生する場合には、それを低減させるために、バイアス線13aでフォトダイオード14と共にTFT15を遮光しても良い。第4実施形態の構成によれば、バイアス線13aを形成する層に加えて、新たにメタル層を追加する必要がないので、層の増加と製造工程数の増加を抑制することができる。この結果、光電変換パネル401を製造するためのコストを削減することができる。なお、第1~第3実施形態によるメタル層では、データ線12aとの間に間隔を空ける必要がない分、遮光性が高くなる。その他の構成及び効果は、第1~第3実施形態と同様である。
【0053】
以上、実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0054】
(1)上記第1~第3実施形態では、メタル層をバイアス線に接続する例を示したが、本開示はこれに限られない。
図12に示す第1及び第2実施形態の変形例による光電変換パネル501では、メタル層540は、グラウンドGNDに接続されている。
【0055】
(2)上記第1~第4実施形態では、光電変換パネルを、X線撮像装置用のX線パネルに適用する例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、X線以外の光センサ用のパネルに上記光電変換パネルを適用してもよい。
【0056】
(3)上記第1~第4実施形態では、光電変換パネルを構成する層(膜)の材料の例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、上記した例以外の材料により光電変換パネルを構成する層(膜)を構成してもよい。
【0057】
(4)上記第1~第4実施形態では、メタル層を、外縁部分R11に形成する例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、メタル層を、外縁部分R11よりも内側の部分の一部に形成してもよい。
【0058】
(5)上記第1~第4実施形態では、メタル層を、平面視で枠状に形成する例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、メタル層を、平面視で線状に形成してもよいし、平面視で四角形状に形成してもよい。
【0059】
(6)上記第2実施形態では、メタル層の上層に透明電極を形成する例を示したが、本開示はこの例に限られない。すなわち、メタル層の下層に透明電極を形成してもよい。
【0060】
(7)上記第2実施形態では、透明電極を、画素領域を覆うように形成する例を示したが、本開示はこの例に限られない。例えば、メタル層を、撮像領域のみに形成してもよいし、外縁部分のみに形成してもよい。
【0061】
(8)上記第1~第4実施形態では、リーク電流の大きさを検出する例を示したが、本開示はこの例に限られない。例えば、メタル層により遮光されたフォトダイオード又は当該フォトダイオードに接続されたTFTにおけるリーク電流以外の特性を検出(検査)してもよい。
【0062】
(9)上記第1~第4実施形態では、リーク電流の大きさ(検出データ)に基づいて、読み出し電圧の高さを補正する例を示したが、本開示はこの例に限られない。例えば、検出データに基づいて、X線画像の画素値を補正してもよい。
【0063】
(10)上記第4実施形態では、
図11に示すように、バイアス線の一部がフォトダイオードを覆うように形成することにより、フォトダイオードが遮光される例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、データ線の一部がフォトダイオードを覆うように形成することにより、フォトダイオードが遮光されてもよい。なお、データ信号を伝達するデータ線は、一般的に寄生容量を増加させないことが好ましい。このため、データ線によりフォトダイオードを遮光する場合よりも、上記第4実施形態のようにバイアス線によりフォトダイオードを遮光する場合の方が比較的データ信号(撮像性能)に影響を与えるのを防止しながら、フォトダイオードを遮光することができる。
【0064】
上述した光電変換パネル、X線パネル、及び撮像装置は、以下のように説明することもできる。
【0065】
第1の構成に係る光電変換パネルは、基板と、基板に形成された複数のトランジスタと、複数のトランジスタにそれぞれ接続された複数の光電変換素子と、複数の光電変換素子よりも光入射側に形成されたメタル層であって、複数の光電変換素子のうちの一部の光電変換素子と平面視で重なる位置に形成されたメタル層と、を備える(第1の構成)。
【0066】
上記第1の構成によれば、メタル層により複数の光電変換素子のうちの一部の光電変換素子を遮光することができる。これにより、遮光された一部の光電変換素子の特性を測定すれば、光電変換素子の特性を測定する際に、測定作業者は、光電変換パネルに遮光部材を取り付ける作業が不要となる。この結果、測定作業者の作業負担を軽減することができる。そして、光電変換パネルに静電気が侵入した場合でも、メタル層によって、静電気を拡散させることができるので、基板上のトランジスタ又は光電変換素子が静電気に起因して破損するのを防止することができる。また、メタル層が遮光部材を兼ねるので、光電変換パネルにおける部品点数が増加するのを防止しながら、測定作業者の作業負担を軽減することができる。
【0067】
第1の構成において、複数の光電変換素子は、基板上において、マトリクス状に配置されていてもよく、メタル層は、複数の光電変換素子のうちの外縁部分に配置された複数の光電変換素子の少なくとも1つと平面視で重なる位置に形成されていてもよい(第2の構成)。第2の構成において、メタル層は、平面視で枠状に形成されていてもよい(第3の構成)。
【0068】
上記第2及び第3の構成によれば、複数の光電変換素子のうちの撮像に使用される中央部分に配置された光電変換素子への光がメタル層によって遮光されるのを防止することができる。この結果、メタル層が光電変換パネルによる撮像性能に影響を与えるのを防止することができる。
【0069】
第2または第3の構成において、複数の光電変換素子よりも光入射側に形成された透明電極であって、複数の光電変換素子のうちの外縁部分よりも内側に配置された複数の光電変換素子の少なくとも1つと平面視で重なる位置に配置された透明電極を、さらに備えてもよい(第4の構成)。
【0070】
上記第4の構成によれば、外縁部分よりも内側に配置された複数の光電変換素子を、透明電極によって静電気から保護することができる。
【0071】
第4の構成において、透明電極は、メタル層の少なくとも一部を覆うようにメタル層よりも上層に形成されていてもよい(第5の構成)。
【0072】
上記第5の構成によれば、透明電極がメタル層よりも上層に形成されるので、透明電極及びメタル層によって、基板上のトランジスタ又は光電変換素子が静電気に起因して破損するのをより確実に防止することができる。
【0073】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、複数の光電変換素子に接続されたバイアス線であって、メタル層よりも下層に形成されたバイアス線を、さらに備えてもよく、メタル層は、バイアス線に接続されていてもよい(第6の構成)。
【0074】
上記第6の構成によれば、メタル層又はバイアス線の一方に静電気が侵入した場合でも、他方に静電気を拡散させることができる。
【0075】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、複数の光電変換素子に接続されたバイアス線を、さらに備えてもよく、メタル層は、バイアス線と同一の層に形成されていてもよい(第7の構成)。
【0076】
上記第9の構成によれば、バイアス線を形成する層に加えて、新たにメタル層を追加する必要がないので、層の増加と製造工程数の増加を抑制することができる。この結果、光電変換パネルを製造するためのコストを削減することができる。
【0077】
第8の構成に係るX線パネルでは、上記第1~第7の構成のいずれか1つの光電変換パネルと、X線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、を備え、メタル層は、光電変換素子とシンチレータとの間に配置されている(第8の構成)。
【0078】
上記第8の構成によれば、シンチレータを成膜する際に静電気が発生した場合でも、メタル層により光電変換素子を静電気から保護することができる。
【0079】
第9の構成に係る撮像装置は、上記第1~第7の構成のいずれか1つの光電変換パネルと、メタル層と平面視で重なる位置に配置された少なくとも1つの光電変換素子のリーク電流を検出する検出部と、を備える(第9の構成)。
【0080】
上記第9の構成によれば、メタル層により遮光された光電変換素子のリーク電流を検出することができる。この結果、リーク電流に基づいて、光電変換パネルを検査することができる。
【0081】
第9の構成において、光電変換パネルは、複数のトランジスタの各々に接続される複数のデータ線を、さらに含み、検出部により検出されたリーク電流の大きさに基づいて、複数のデータ線に印加する電圧の高さを補正する補正制御部を、さらに備える(第10の構成)。
【0082】
ここで、光電変換素子の特性及び経年劣化の具合に応じて光電変換素子のリーク電流は変化する。これに対して、上記第10の構成によれば、リーク電流に基づいて、データ線に印加する電圧の高さを補正することができるので、光電変換素子の特性及び経年劣化による撮像品質への影響を低減することができる。
【0083】
第8または第9の構成において、X線を照射するX線源と、X線源からX線が照射されることにより蛍光するシンチレータと、をさらに備えてもよく、検出部は、X線源からX線が照射された際に、メタル層と平面視で重なる位置に配置された少なくとも1つの光電変換素子のリーク電流を検出するように構成してもよい(第11の構成)。
【0084】
ここで、X線源から照射されたX線はメタル層を透過しトランジスタのしきい値電圧に影響を与える可能性がある。そこで、上記第11の構成によれば、X線を照射した状態のデータ信号に基づいてリーク電流を検出するので、リーク電流を検出することによりX線による影響について検知することができる。そして、上記第10の構成と組み合わせた場合には、X線による影響を補正することができるので、光電変換素子の特性及び経年劣化やX線の直接的な影響による撮像品質への影響を低減することができる。
【符号の説明】
【0085】
1,201,301,401,501…光電変換パネル、2…シンチレータ、3…制御部、10…X線パネル、11a…ゲート線、12a…データ線、13a…バイアス線、14,314…フォトダイオード、15,315…TFT、16…光電変換層、20…画素、34…制御回路、34b…検出制御部、34c…補正制御部、40,340,440,540…メタル層、52…検出データ、100,200,300,400…X線撮像装置、101…基板、240…透明電極層、R1…画素領域、R11…外縁部分、R12…撮像領域