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特開2022-185894ブックメーカシステム及びゲーム制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185894
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ブックメーカシステム及びゲーム制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/34 20120101AFI20221208BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20221208BHJP
【FI】
G06Q50/34
A63F13/80 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093799
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】富士本 淳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC54
(57)【要約】
【課題】ブックメーカシステムにおける各種処理の取り扱いを容易に変更可能にする。
【解決手段】ブックメーカシステム1は、時間経過によりオッズが変化する、イベント中に発生し得る複数のベット対象に対して任意のタイミングでベットする処理を含む各種の処理を実行可能であり、ゲーム管理サーバ680がアクセス可能な記憶ユニット640に、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報毎に各種の処理を示す処理項目情報と、処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶し、複数のユーザ端末装置50からユーザ識別情報が送信されると、ゲーム管理サーバ680は、受信したユーザ識別情報に基づいて、記憶ユニット640に記憶された処理項目情報及び処理制限情報に基づいて、各種処理のうちの一部の処理の実行を制限する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間経過によりオッズが変化する、イベント中に発生し得る複数のベット対象に対して任意のタイミングでベットする処理を含む各種の処理を実行可能なブックメーカシステムであって、
ユーザ識別情報と、前記ユーザ識別情報毎に前記各種の処理を示す処理項目情報と、前記処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶する記憶部と、
前記処理項目情報及び前記処理制限情報に基づいて、前記各種の処理のうち一部の処理の実行を制限する制限部と
を有することを特徴とするブックメーカシステム。
【請求項2】
前記制限部は、
前記処理が制限された場合に、前記処理が制限された旨を前記ブックメーカシステムの管理装置に通知することを特徴とする請求項1に記載のブックメーカシステム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記ベットのためのベット資金を出金する出金処理を前記処理項目情報として記憶することを特徴とする請求項1に記載のブックメーカシステム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ベットを受け付けるベット処理と、前記ベット資金を入金する入金処理とを前記処理項目情報として記憶し、
前記制限部は、
前記処理項目情報及び前記処理制限情報に基づいて、前記ベット処理を禁止する第1処理と、前記入金処理を禁止する第2処理と、前記ベット処理及び前記入金処理を禁止する第3処理との中で何れかの処理を選択可能に実行することを特徴とする請求項1に記載のブックメーカシステム。
【請求項5】
ゲーム管理サーバが、複数のユーザ端末装置にコミニュケーションネットワークを介して通信するとともに、前記複数のユーザ端末装置に対してゲームを提供するゲーム制御方法であって、
前記ゲーム管理サーバがアクセス可能な記憶ユニットに、ユーザ識別情報と、前記ユーザ識別情報毎に前記各種の処理を示す処理項目情報と、前記処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶し、
前記複数のユーザ端末装置から前記ユーザ識別情報が送信されると、前記ゲーム管理サーバは、受信した前記ユーザ識別情報と、前記記憶ユニットに記憶された前記処理項目情報及び前記処理制限情報とに基づいて、各種処理のうちの一部の処理の実行を制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブックメーカシステム及びゲーム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツの試合や選挙等のイベントにおいて生じ得る事象の複数の最終結果をそれぞれベット対象とし、イベント終了後の最終結果に合致するベット対象にベットしたユーザへ配当を付与するブックメーカシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のブックメーカシステムには、カジノ利用が禁止された特定のユーザに関する情報をデータベースに記録しておき、或るユーザがベットを行ったときに、このユーザがデータベースに記録された情報に基づいて禁止対象者であるか否かをリアルタイムで判定し、禁止対象者である場合に、ベットを受け付けないようにする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0364988号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなブックメーカシステムにおいて例えば、ユーザがカジノ利用の禁止対象者として登録されたときに、ベットの受け付けを禁止するだけでなく、ベットのために預け入れたベット資金の取り扱いや、ベット資金の入金等のように、ユーザによる各種の処理の取り扱いについての取り決めが必要になっているが、一旦取り決めた場合でも、システム変更等の状況の変化に応じて処理の取り扱いを容易に変更できることが好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するブックメーカシステム及びゲーム制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、時間経過によりオッズが変化する、イベント中に発生し得る複数のベット対象に対して任意のタイミングでベットする処理を含む各種の処理を実行可能なブックメーカシステムであって、
ユーザ識別情報と、前記ユーザ識別情報毎に前記各種の処理を示す処理項目情報と、前記処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶する記憶部と、
前記処理項目情報及び前記処理制限情報に基づいて、前記各種の処理のうち一部の処理の実行を制限する制限部とを有する。
【0008】
上記構成によれば、各種の処理のうち一部の処理の実行が制限されるため、システム変更等の状況の変化に応じて各ユーザ識別情報毎に処理の取り扱いを容易に変更することができる。
【0009】
本発明のブックメーカシステムであって、
前記制限部は、
前記処理が制限された場合に、前記処理が制限された旨を前記ブックメーカシステムの管理装置に通知する。
【0010】
上記構成によれば、処理の制限を受けている旨が管理装置に通知されることによって、処理の管理を強化することができる。
【0011】
本発明のブックメーカシステムであって、
前記記憶部は、前記ベットのためのベット資金を出金する出金処理を前記処理項目情報として記憶する。
【0012】
上記構成によれば、ベット資金の出金処理の取り扱いを容易に変更することができる。
【0013】
本発明のブックメーカシステムであって、
前記記憶部は、前記ベットを受け付けるベット処理と、前記ベット資金を入金する入金処理とを前記処理項目情報として記憶し、
前記制限部は、
前記処理項目情報及び前記処理制限情報に基づいて、前記ベット処理を禁止する第1処理と、前記入金処理を禁止する第2処理と、前記ベット処理及び前記入金処理を禁止する第3処理との中で何れかの処理を選択可能に実行する。
【0014】
上記構成によれば、処理項目情報に紐付けられた処理制限情報を書き換えるだけで、ベット処理の禁止と入金処理の禁止との組み合わせを選択することができる。
【0015】
本発明は、ゲーム管理サーバが、複数のユーザ端末装置にコミニュケーションネットワークを介して通信するとともに、前記複数のユーザ端末装置に対してゲームを提供するゲーム制御方法であって、
前記ゲーム管理サーバがアクセス可能な記憶ユニットに、ユーザ識別情報と、前記ユーザ識別情報毎に前記各種の処理を示す処理項目情報と、前記処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶し、
前記複数のユーザ端末装置から前記ユーザ識別情報が送信されると、前記ゲーム管理サーバは、受信した前記ユーザ識別情報と、前記記憶ユニットに記憶された前記処理項目情報及び前記処理制限情報とに基づいて、各種処理のうちの一部の処理の実行を制限する。
【0016】
上記構成によれば、各種の処理のうち一部の処理の実行が記憶ユニットに記憶された処理項目情報及び処理制限情報に基づいて制限されるため、システム変更等の状況の変化に応じて処理の取り扱いを容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ブックメーカシステムの動作を示すフローチャートである。
図2】ブックメーカシステムの全体構成を示す説明図である。
図3】ブックメーカシステムの動作を示すフローチャートである。
図4】処理管理テーブルの説明図である。
図5】オンラインゲーム管理センターの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態のブックメーカシステム1は、ユーザ端末装置50とスポーツブック管理センター460と認証センター80とを、コミュニケーションネットワークであるインターネット網400を介して相互にデータ通信可能に接続し、ユーザ端末装置50に対してリアルタイムベットによるゲームを提供可能になっている。リアルタイムベットは、時間経過によりオッズが変化する、イベント中に発生し得る複数のベット対象に対して任意のタイミングでベットする処理を含む各種の処理を実行可能な動作である。
【0020】
スポーツブック管理センター460は、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報毎に各種の処理を示す処理項目情報と、処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶する記憶ユニット640(記憶部)と、記憶ユニット640にアクセス可能なゲーム管理サーバ680とを有している。ゲーム管理サーバ680は、ユーザ識別情報毎に処理項目情報と処理制限情報とを記憶ユニット640に記憶するステップA1と、記憶ユニット640の処理項目情報及び処理制限情報とに基づいて、各種の処理のうち一部の処理の実行を制限する制限部のステップA2とを実行する。
【0021】
これにより、ブックメーカシステム1は、ステップA1・A2を有したゲーム制御方法による動作を実行可能に構成されている。ゲーム制御方法は、ゲーム管理サーバ680が、複数のユーザ端末装置50にインターネット網400を介して通信するとともに、複数のユーザ端末装置50に対してゲームを提供するものである。そして、ゲーム制御方法は、ゲーム管理サーバ680にアクセスされる記憶ユニット640に、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報毎に各種の処理を示す処理項目情報と、処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶するステップA1と、複数のユーザ端末装置50からユーザ識別情報が送信されると、ゲーム管理サーバ680は、受信したユーザ識別情報と、記憶ユニット640に記憶された処理項目情報及び処理制限情報とに基づいて、各種処理のうちの一部の処理の実行を制限するステップA2とを有している。
【0022】
ここで、「各種処理」は、出金やベット、入金、残高照会、アカウント認証等の処理が例示される。「出金」は、図2の資金管理装置10が複数存在する場合における資金管理装置10間の送金や現金自動支払機における払い出し、資金管理装置10から銀行等の金融機関への送金や振り込みが含まれる。「ベット」は、金銭を賭けることの他、金銭以外のゲームポイント等のゲーム媒体を賭けることを意味し、投票と読み替えることもできる。「入金」は、ユーザの銀行口座やクレジットカードから資金管理装置10のユーザ口座への入金等が例示される。ゲーム媒体の種類としては、チップやトークン、プラーク等の兌換ゲーム媒体や不換ゲーム媒体が存在し、通貨情報やゲームポイントのゲーム価値を電子データや外面形態で有し、このゲーム価値を外部から読み取り可能にされた構成が該当する。尚、外面形態とは、色や模様、文字、画像、形状等の外部から識別可能な形態である。また、兌換ゲーム媒体とは、カジノ等のゲーム場においてゲームに用いることが出来ると共に、直接通貨に交換可能なゲーム媒体を示す。
【0023】
また、「イベント」は、何らかの結果が出現する処理や動作等のベット対象を意味する。イベントは、サッカーや野球等の人間やコンピュータが実行する試合やゲームの他、国政選挙や地方選挙のように人間の行動、動植物の動作、人間やコンピュータが介在しない事象である自然界等の変化であってもよい。
【0024】
上記のように構成されたブックメーカシステム1及びゲーム制御方法は、各種の処理のうち一部の処理の実行が記憶ユニット640の処理項目情報及び処理制限情報に基づいて制限されるため、システム変更等の状況の変化に応じて処理の取り扱いを容易に変更することができる。
【0025】
尚、本実施形態においては、スポーツブック管理センター460を備えたブックメーカシステム1を中心にして説明するが、これに限定されるものではなく、ブックメーカシステム1は、スポーツブックを提供するスポーツブック管理センター460に加えて、オンラインゲームを提供するオンラインゲーム管理センター470を有してもよい。或いは、ブックメーカシステム1は、スポーツブック管理センター460の代わりに、ステップA1及びステップA2を実行するオンラインゲーム管理センター470だけを備えたオンラインゲームシステムに適用することもできる。即ち、オンラインゲームシステムは、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報毎に各種の処理を示す処理項目情報と、処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶する記憶ユニット640(記憶部)と、処理項目情報及び処理制限情報とに基づいて、各種処理のうち一部の処理の実行を制限する制限部(ステップA2)とを有する構成であってもよい。このようなオンラインゲームシステムにおいても、ブックメーカシステム1と同様に、ステップA1・A2を有したゲーム制御方法による動作を実行可能になっている。
【0026】
上記のステップA1の具体例を示すと、認証センター80において、ユーザ毎にベットや入金、出金等の各種の処理を実行可能にするか否かを決定する制限決定処理が実行された結果、処理項目情報と処理制限情報とがユーザ識別情報と共にゲーム管理サーバ680に出力される(S10)。ゲーム管理サーバ680は、認証センター80からの情報を受信すると、記憶ユニット640にアクセスすることにより情報更新処理を実行する(S11)。これにより、記憶ユニット640(記憶部)に記憶されたユーザ識別情報及び処理項目情報に対応する処理制限情報が更新される(S12)。この認証センター80は、例えば、スポーツブックを監視する政府機関(フィリピンにおいてはPAGCORがこれに相当)が運営することがある。
【0027】
また、ステップA2(制限部)の具体例を示すと、ユーザ端末装置50から各種処理を示す処理情報がユーザ識別情報と共にゲーム管理サーバ680に送信された場合(S21)、ゲーム管理サーバ680は、制限判定処理を実行する(S22)。具体的には、ユーザ識別情報に対応する処理項目情報及び処理制限情報を読み出し、各処理項目情報に対応する処理制限情報が処理の実行を禁止(「1(不可)」)しているか否かを判定する。処理制限情報が禁止を示さない場合は(S22:実行)、この処理制限情報に対応する処理項目情報で示されたベットや出金、入金等の処理を実行する(S23)。一方、処理制限情報が処理の禁止を示す場合は(S22:制限)、この処理制限情報に対応する処理項目情報で示された処理の実行を制限する(S24)。
【0028】
尚、ステップA2(制限部)は、特定の処理の実行だけを制限する構成にされていてもよい。「特定の処理の実行を制限する構成」を例示すると、ベット及び入金を特定の処理として禁止し、出金の処理については特定の処理以外として許可するように予め設定されていてもよい。具体的には、記憶ユニット640は、ベットのためのベット資金を出金する出金処理を処理項目情報として記憶し、ステップA2(制限部)は、ユーザ識別情報及び処理項目情報に対応する処理制限情報が処理の禁止を示す場合でも、出金処理を許可する。この場合は、必ずベット資金の出金が許可されるため、ユーザにとってベット資金が拘束されるという不測の事態が起こり得るという心配を解消することができる。
【0029】
また、ステップA2(制限部)は、処理の実行を選択的に制限可能な構成にされていてもよい。具体的には、記憶ユニット640は、ベットを受け付けるベット処理と、ベット資金を入金する入金処理とを処理項目情報として記憶し、ステップA2(制限部)は、処理項目情報及び処理制限情報に基づいて、ベット処理を禁止する第1処理と、入金処理を禁止する第2処理と、ベット処理及び入金処理を禁止する第3処理との中で何れかの処理を選択可能に実行する。この場合は、処理項目情報に対応付けられた処理制限情報を書き換えるだけで、ベット処理の禁止と入金処理の禁止との組み合わせを選択することができる。
【0030】
「処理の実行を選択的に制限可能な構成」は、記憶ユニット640に処理管理テーブルデータを書き換え可能に記憶することで実現可能である。この場合は、制限対象となる処理項目をデータテーブル形式に紐付けて管理することができるため、多くの処理項目が存在する場合でも容易に管理することができる。具体例を示すと、記憶ユニット640は、各種の処理(ベット、入金、出金等)を示す処理項目情報と、処理項目情報で示された処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを、ユーザ識別情報毎に記憶した処理管理テーブルデータを有している。そして、ステップA2は、処理項目情報及び処理制限情報に基づいて、各種の処理の実行を許可及び制限する。この場合は、処理制限情報を書き換えるだけで許可及び制限が変更されるため、システム変更等の状況の変化に応じて処理の取り扱いを容易に変更することができる。
【0031】
図4は、処理管理テーブルデータの一例を示す説明図である。処理管理テーブルデータは、データ項目としてユーザ識別情報と処理項目情報と処理制限情報とを記憶ユニット640に記憶し、これら情報をゲーム管理サーバ680において処理管理テーブルの状態に紐付けることにより利用可能にされている。
【0032】
ここで、ユーザ識別情報のデータ項目は、ユーザを識別するためのデータを記憶する。例えば図4においては、「Y0128」や「Y37」、「Y88654」等のユーザ識別情報を有するユーザが記憶されている。
【0033】
処理項目情報のデータ項目は、ベットや入金、出金等の複数の処理項目情報をユーザ識別情報毎に記憶する。また、処理制限情報のデータ項目は、処理の実行を許可する「0(可能)」と、処理の実行を禁止する「1(不可)」との何れかを、処理項目情報に対応付けて記憶する。
【0034】
例えば図4においては、「Y0128」のユーザ識別情報に対応付けられた処理項目情報として、ベット、入金、出金の処理項目が存在し、これらの処理項目に対応付けられた処理制限情報が「0(可能)」であるため、ベット、入金、出金が許可されている。従って、「Y0128」のユーザ識別情報の人物は、ベットや入金、出金を含む全ての処理項目を実施可能である。
【0035】
また、「Y37」及び「Y88654」のユーザ識別情報に対応付けられた処理項目情報として、ベット、入金、出金の処理項目が存在し、ベット及び入金の処理項目に対応付けられた処理制限情報が「1(不可)」である一方、出金の処理項目に対応付けられた処理制限情報が「0(可能)」であるため、ベット及び入金が禁止され、出金が許可されている。従って、「Y37」及び「Y88654」のユーザ識別情報の人物は、ベット及び入金はできないが、出金は行うことができる。
【0036】
また、「Y22098」のユーザ識別情報に対応付けられた処理項目情報として、ベット、入金、出金の処理項目が存在し、ベットの処理項目に対応付けられた処理制限情報が「1(不可)」である一方、入金及び出金の処理項目に対応付けられた処理制限情報が「0(可能)」であるため、ベットが禁止され、入金及び出金が許可されている。従って、「Y22098」のユーザ識別情報の人物は、ベットはできないが、入金及び出金を行うことができる。
【0037】
以上の処理管理テーブルは、各ユーザ識別情報に対応する処理項目情報が同一内容(ベット、入金、出金等)を設定した場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、ユーザ識別情報毎に異なる処理項目情報が設定されてもよい。例えば、ユーザ識別情報のユーザの職種や職能、経済状態、国籍、所在地等に応じて、制限対象となる処理項目情報が設定されていてもよい。また、処理項目情報は、「出金」の種別についても処理制限情報を変更可能にされていてもよい。例えば、資金管理装置10が複数存在する場合における資金管理装置10間の送金と、現金自動支払機における払い出しと、資金管理装置10から銀行等への振り込みとを、処理管理テーブルの処理項目情報としてもよい。
【0038】
図1に示すように、さらに、ステップA2(制限部)は、処理の実行が制限されている場合(S24)、その処理が制限された旨を認証センター80(管理装置)に通知する処理(S25)を実行することが好ましい。これにより、ブックメーカシステム1は、制限を受けている処理の実行が認証センター80に通知されることによって、処理の管理を強化することができる。
【0039】
図3に示すように、ブックメーカシステム1は、フィルタリングサーバ650による発信地域判定処理(S26)をステップA2(制限部)として有していてもよい。フィルタリングサーバ650は、ユーザ端末装置50から処理情報等を受信した場合に、IPアドレスに基づいて発信地域を特定し、発信地域に基づいて受信情報の取り込みを許可するか否かを判定する発信地域判定処理を実行する。この場合は、例えば、任意の1以上の国や地域、共通の言語が流通する1以上の国や地域、共通の通貨が流通する1以上の国や地域等を許可地域とし、許可地域内の発信地域から発信された受信情報だけを取り込むことによって、許可地域を限定することができる。尚、許可地域の決定は、認証センター80により行われる。
【0040】
また、ステップA2(制限部)は、出金処理を常に許可することが好ましい。例えば、ユーザ端末装置50からの処理情報が出金処理を示すか否かを判定し(S27)、出金処理である場合は、記憶ユニット640にアクセスすることなく出金処理を実行する(S28)。一方、出金処理でない場合は、上述の制限判定処理を実行する(S22)。この場合は、出金処理を処理項目情報として記憶ユニット640に記憶し、出金処理を許可に設定しなくても、出金を行うことができる。尚、出金処理が実行された場合は、出金処理が実行された旨を認証センター80(管理装置)に通知することが好ましい。
【0041】
以上のように構成されたブックメーカシステム1を詳細に説明する。
図2は、ブックメーカシステム1の一例を示す図である。ブックメーカシステム1は、1以上の資金管理装置10、ユーザ端末装置50、店舗端末装置40、金融機関システム70、金融機関システム70の現金自動預払機701(ATM)とを有している。さらに、ブックメーカシステム1は、1以上のスポーツブック運営管理センター460と、放送管理センター450と、1以上のオンラインゲーム管理センター470と、ブックメーカシステム1における各種処理の実行についての許可及び禁止をユーザ毎に決定する認証センター80とを備えている。そして、これら各部は、コミュニケーションネットワークであるインターネット網400を介してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0042】
認証センター80は、各種処理の実行についての許可及び禁止をユーザ毎に決定する他、スポーツブック管理センター460の認証、オンラインゲーム管理センター470の認証を行うことによって、ブックメーカシステム1において、スポーツブック管理センター460やオンラインゲーム管理センター470がスポーツブックやオンラインゲームをユーザに提供することを可能にする。また、認証センター80は、スポーツブックの対象となるスポーツの種類やベットの種類、上限オッズ、ルールについての承認を行うようになっている。
【0043】
スポーツブック運営管理センター460は、ゲーム管理サーバ680やオッズ管理サーバ620等の様々なサーバを備えていると共に、処理項目情報や処理制限情報等を記憶する記憶ユニット640を備えている。ゲーム管理サーバ680は、入金処理やベット処理、出金処理、リアルタイムベットによるゲーム処理を実行する機能を備えた情報処理装置により構成されている。オッズ管理サーバ620は、リアルタイムベットにおいて様々なタイミングで発生する複数種類のベット対象となるゲームに関するオッズ等を記憶する機能を備えた情報処理装置により構成されている。尚、情報処理装置は、例えばコンピュータ、ワークステーション、サーバなどの情報処理装置によって実現される装置である。この情報処理装置は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、及び必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置である。
【0044】
放送管理センター450は、スポーツブック連動サーバ500と映像送出サーバ501とを有している。スポーツブック連動サーバ500は、オッズ管理サーバ620から刻一刻と変化するオッズをリアルタイムで表示するためのオッズデータ等を受信して記憶する機能を備えた情報処理装置により構成されている。映像送出サーバ501は、スポーツブック管理センター460のスポーツブックに用いられる映像情報を送信する機能を備えた情報処理装置により構成されている。
【0045】
資金管理装置10は、ユーザとスポーツブック運営との間で行われる資金移動を各々の環境へ適応させ、利便性を向上させるための各種中継機能と、現行のペイメントゲートウェイ企業、クレジットカード運営会社、銀行などが担っている機能とを備えた情報処理装置により構成されている。これにより、資金管理装置10は、以下のような処理を可能にしている。
【0046】
例えば、ユーザがユーザ端末装置50を介して所望の金額を資金管理装置10のユーザ口座に送金すると、資金管理装置10は、ユーザ口座の送金額をユーザの預り金(デポジット)とし、預り金をメモリに記憶し、メモリに最低ベット額以上の金額が存在する限りにおいて、スポーツブック管理センター460やオンラインゲーム管理センター470におけるベットを可能にする。
【0047】
即ち、最初は預り金の範囲でベットが可能であり、ベットが行われると、ベット額をメモリから減算し、ベット結果に応じて賞金が発生すれば、その賞金をメモリに加算するという処理を行う。メモリの預り金の金種及び金額データは、資金管理装置10からユーザ端末装置50に送信されており、ユーザは、ユーザ端末装置50に表示された預り金の金種及び金額を確認しながらベットを行ったり、ユーザ端末装置50が預り金の金額以下となるようにベット可能金額を制限しながらユーザによるベットを可能にする。
【0048】
また、資金管理装置10は、図1及び図3のステップA1・A2を実行するサーバ及び記憶ユニットを備えていることが好ましい。これにより、ユーザは、資金管理装置10に対して直接的にアクセスし、メモリに記憶されたベット額の一部又は全部を出金することができる。即ち、ユーザ端末装置50から資金管理装置10に出金額を指定して出金指示すると、資金管理装置10のユーザ口座から金融機関70の現金自動預払機(ATM)701を介して出金額の払い出しが行われる。
【0049】
店舗端末装置40は、ユーザがスポーツブックにベット(投票)可能なカジノ内のブース、店舗(コンビニエンスストアなどの小売店、スポーツくじ販売所、飲食店などのように、商品又はサービスを提供する施設、設備)に設置されている。店舗端末装置40は、資金管理装置10とインターネット網400を介してデータ通信可能な情報処理装置であって、例えば通信機能を有するPC、キオスク端末、レジスタ(金銭登録機)、専用端末機などである。尚、店舗端末装置40は、ユーザ端末装置50とインターネット網400を介さずにデータの受け渡しを行うための近距離通信装置(例えば、非接触式ICカード機能を有するICチップを読み取るためのリーダ/ライタ)を有していてもよい。
【0050】
現金自動預払機701(ATM)は、紙幣(及び硬貨)、通帳、磁気カード等の受入口、支払口を備え、金融機関や貸金業者、現金出納を行う業者の提供するサービスが、顧客自身の操作によって取引できる機械である。尚、現金自動預払機701は、ユーザ端末装置50とインターネット網400を介さずにデータの受け渡しを行うための近距離通信装置(例えば、非接触式ICカード機能を有するICチップを読み取るためのリーダ/ライタ)を有していてもよい。
【0051】
オンラインゲーム管理センター470は、オンラインゲーム装置471とゲーム管理サーバ472と記憶ユニット473とを有している。記憶ユニット473は、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報毎に処理項目情報と処理制限情報とを記憶する。オンラインゲーム装置471は、スロットマシンやテーブルゲームを外部から視聴しながら操作可能にすることによって、ユーザにスロットゲームやバカラゲーム、ルーレットゲーム等のオンラインゲームを提供するように構成されている。
【0052】
図5に示すように、オンラインゲーム装置471は、スロットゲームやテーブルゲームを実行するゲーム装置4711と、ゲーム装置4711を制御する制御装置4712と、制御装置4712をゲーム管理サーバ472に対してデータ通信可能にする通信部4713と、ゲーム装置4711の一部や全部を撮影するカメラ装置474とを有している。カメラ装置474は、ブロードキャストサーバ475を介してユーザ端末装置50及びゲーム管理サーバ472にデータ通信可能にされている。また、ゲーム管理サーバ472は、オンラインテーブルプレーSMSサーバ476を介してユーザ端末装置50に対してデータ通信可能にされている。
【0053】
これにより、ゲーム管理サーバ472は、オンラインゲーム装置471に対するユーザの遠隔操作を可能にすると共に、ゲーム管理サーバ680と同様に、図1図3のステップA1・A2を実行する。即ち、ゲーム管理サーバ472は、記憶ユニット473にアクセスすることによって、ユーザ識別情報とユーザ識別情報毎に処理項目情報及び処理制限情報とを記憶ユニット473に記憶する機能(A1)と、記憶ユニット473の処理項目情報及び処理制限情報に基づいて、各種の処理のうち一部の処理の実行を制限する制限部(ステップA2)の機能とを備えている。
【0054】
本実施形態において、スポーツブック管理センター460(オンラインゲーム管理センター470)がゲーム管理サーバ680(472)と記憶ユニット640(473)とを個別に備えた場合について説明したが、スポーツブック管理センター460(オンラインゲーム管理センター470)のメモリに記憶ユニット640(473)の機能を持たせてもよい。この場合は、スポーツブック管理センター460(オンラインゲーム管理センター470)の制御部がメモリにアクセスすることによって、図1図3のステップA1・A2を実行することになる。
【0055】
また、本実施形態におけるゲーム制御方法は、スポーツブック管理センター460(オンラインゲーム管理センター470)のゲーム管理サーバ680(472)により実行されるゲーム制御プログラムにより実現されていてもよい。ゲーム制御プログラムは、ゲーム管理サーバ680(472)のコンピュータに、ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報毎に各種の処理を示す処理項目情報と、処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶ユニット640(473)等のメモリに記憶するステップA1と、複数のユーザ端末装置50からユーザ識別情報が送信されると、受信したユーザ識別情報と、メモリに記憶された処理項目情報及び処理制限情報とに基づいて、各種処理のうちの一部の処理の実行を制限するステップA2とを実行させるためのプログラムである。尚、ゲーム制御プログラムは、ステップA1に含まれたステップS11・S12をコンピュータに実行させるためのプログラムでもある。また、ゲーム制御プログラムは、ステップA2に含まれたステップS22~S28をコンピュータに実行させるためのプログラムでもある。
【0056】
また、上記のゲーム制御プログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に格納されていてもよい。具体的には、コンピュータで実行される命令を格納した非一時的なコンピュータ可読記録媒体であって、前記命令は、コンピュータに以下のステップを実行させる。即ち、ステップは、(a)ユーザ識別情報と、ユーザ識別情報毎に各種の処理を示す処理項目情報と、処理項目情報毎に処理の実行を禁止するか否かを示す処理制限情報とを記憶ユニット640(473)等のメモリに記憶するステップA1、(b)複数のユーザ端末装置50からユーザ識別情報が送信されると、受信したユーザ識別情報と、メモリに記憶された処理項目情報及び処理制限情報とに基づいて、各種処理のうちの一部の処理の実行を制限するステップA2である。
【符号の説明】
【0057】
1 ブックメーカシステム
10 資金管理装置
50 ユーザ端末装置
80 認証センター
640 記憶ユニット
680 ゲーム管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5