(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185895
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A63F5/04 661
A63F5/04 651
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093802
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 義一
(72)【発明者】
【氏名】駒井 信之介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 教
(72)【発明者】
【氏名】中内 翼
(72)【発明者】
【氏名】宮北 裕達
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518EA01
2C518EA12
2C518EB16
2C518EC22
(57)【要約】
【課題】識別情報の変動表示を停止させるときの操作の誤りを防止する。
【解決手段】ATにおいて補助演出が実行される場合に一部の複合演出の実行が制限されることがある。具体的には、補助演出が実行される場合には、シナリオ1の選択後にカテゴリAが選択された場合には複合演出a4~a5が実行されないように演出の実行が制限される。他のカテゴリにおいても同様である。例えば、バトル演出の説明やキャラクタのセリフなどの遊技者に文字を読ませるような複合演出は補助演出を実行するときに実行が制限される構成となっている。これにより、文字の表示により遊技者の注意力が散漫になって、補助演出で表示される打順を誤認し、リールの回転を停止(すなわち、図柄の変動表示を停止)させるときのリールの停止操作の誤りを防止できる。換言すると正解打順と異なる打順でリールの停止操作が行われることを防止できる。
【選択図】
図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報の変動表示を行うことが可能な遊技機であって、
前記識別情報の変動表示を停止させるために操作される操作手段と、
前記操作手段の操作態様を特定可能な特定情報を表示可能な第1表示部と、
前記特定情報と異なる内容の情報であるとともに1遊技間に表示される情報である特別情報を表示可能な第2表示部と、
前記第1表示部で前記特定情報を表示するときに前記特別情報の表示を制限することが可能である表示制限手段と、を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機として、遊技価値である遊技球を遊技領域に発射し、入賞口などの入賞領域に遊技球が入賞すると賞球が遊技者に払い出され、さらに、識別情報の変動表示の結果に応じて遊技状態を変更可能な遊技機(例えば、パチンコ機)が知られている。
【0003】
また、遊技価値を用いて1ゲームに対して賭数を設定した後に遊技開始操作を行うと識別情報の変動表示が開始され、変動表示の開始後に停止操作を行うと識別情報の変動表示が停止し、このときに導出された表示結果にもとづいて入賞が発生可能であり、入賞の種類に応じて遊技状態を変更可能な遊技機(例えば、スロットマシン)が知られている。
【0004】
そのような遊技機において、主要演出(特定情報)を選択するとともに付加演出(特別情報)を選択し、選択した主要演出と付加演出とを1回の遊技で複合して実行する遊技機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように複数種類の上方を表示可能に構成した場合、識別情報の変動表示を停止させるときの操作を特定可能な特定情報を表示するときに特定情報と異なる特別情報を表示すると、遊技者の注意力が散漫になって操作を誤るおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、識別情報の変動表示を停止させるときの操作の誤りを防止することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、識別情報の変動表示を行うことが可能な遊技機であって、前記識別情報の変動表示を停止させるために操作される操作手段と、前記操作手段の操作態様を特定可能な特定情報を表示可能な第1表示部と、前記特定情報と異なる内容の情報であるとともに1遊技間に表示される情報である特別情報を表示可能な第2表示部と、前記第1表示部で前記特定情報を表示するときに前記特別情報の表示を制限することが可能である表示制限手段と、を備えた。よって、特別情報の表示により注意力が散漫になって特定情報を誤認し、識別情報の変動表示を停止させるときの操作の誤りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態例に係るスロットマシンの外観斜視図である。
【
図4】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】遊技状態の遷移を説明するための図である。
【
図11】遊技区間の遷移を説明するための図である。
【
図12】演出状態の遷移を説明するための図である。
【
図13】スロットマシンの前扉の背面側を示す斜視図である。
【
図14】
図13に示す前扉の右側板に設けられた被支持部材を示す拡大図である。
【
図16】スロットマシンンの筐体の前面側を示す斜視図である。
【
図17】
図16に示す筐体の右側板に設けられた支持部材を示す拡大図である。
【
図19】前扉が第1状態にあるときの断面図である。
【
図20】前扉が第2状態にあるときの断面図である。
【
図21】前扉が第3状態にあるときの断面図である。
【
図22】(a)は遊技球の直径を示す図、(b)はメダルの厚みを示す図、(c)はメダルの直径を示す図である。
【
図23】遊技制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
【
図24】演出制御基板のサブ側割り込み処理を示したフローチャートである。
【
図25】サブ処理内の入賞時演出制御処理を示したフローチャートである。
【
図28】サブ処理内の複合演出制御処理を示したフローチャートである。
【
図29】複合演出抽選で用いる抽選テーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態例について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(スロットマシンの基本構成)
図1(a)に示すように、本発明の実施形態例に係るスロットマシンSは、筐体1、筐体1の前面上部に開閉自在に取り付けられた上扉2、筐体1の前面下部に開閉自在に取り付けられた下扉3を備えている。
【0012】
また、スロットマシンSは、透明な表示窓4、表示窓4に対応した筐体1の内部に配設されたリール5~7、メダル投入口8、各リール5~7の回転を開始させるためのスタートレバー9、各リール5~7の回転をそれぞれ停止させるためのストップボタン10~12、ストップボタン10~12の操作順序(打順)および操作タイミングを含む操作態様の指示機能に係る条件装置を識別可能とする情報(以下、指示情報という。)を表示するメインモニタ13、液晶表示器14、演出音やエラー音など各種の音を出力可能なスピーカ15、メダル払出口17、受け皿18を備えている。なお、以下、リール5を左リール5、リール6を中リール6、リール7を右リール7とも称することがある。
【0013】
液晶表示器14は、画像の表示領域14aを有しており、表示窓4に対応する透過領域14bが透過可能である。これにより、表示領域14aで所定の演出を実行可能とするとともに、表示領域14aのうち透過領域14bが透過することで表示窓4を介して筐体1a内部に並設されているリール5~7が視認可能となる。また、透過領域14bで画像を表示することにより、リール5~7に重畳するように画像を表示することも可能である。
【0014】
なお、表示領域14aは、表示窓4の上方で演出画像を表示することにより演出を実行する第1表示部14cと、表示窓4の下方で演出画像を表示することにより演出を実行する第2表示部14dとを含んでいる。本実施形態では、第1表示部14cのほうが第2表示部14よりも広い領域となっている。そして、第1表示部14cで主要演出が実行され、第2表示部14dで主要演出と組み合わせる複合演出が実行される。なお、第1表示部14cでは、ストップボタン10~12の操作態様を特定可能な補助演出画像が表示されることがある。
【0015】
さらに、スロットマシンSは、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数を設定する際に操作されるMAXBETボタン20a、1枚の賭数を設定する際に操作される1BETボタン20b、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算ボタン21、所定の演出を実行するときに遊技者の操作が受け付けられる演出用スイッチ22、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器23、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器24を備えている。なお、本実施形態では、リール5を左リール5、リール6を中リール6、リール7を右リール7と称することがある。
【0016】
なお、以下では、スタートレバー9に対する操作(たとえば、スタートレバー9を手で押下する操作)を「スタート操作」または「開始操作」、1番目のリールの回転を停止するためのストップボタンに対する操作(たとえば、ストップボタンを手で押下する操作)を「第1停止操作」、2番目のリールの回転を停止するためのストップボタンに対する操作(たとえば、ストップボタンを手で押下する操作)を「第2停止操作」、および3番目のリールの回転を停止するためのストップボタンに対する操作(たとえば、ストップボタンを手で押下する操作)を「第3停止操作」または「最終停止操作」とも称する。また、第1停止操作、第2停止操作、および第3停止操作を総称して「停止操作」とも称し、各停止操作に対応するリールの停止を第1停止、第2停止、第3停止と称する。さらに、1番目のストップボタンに対する押下(第1停止操作)が解除されること(たとえば、ストップボタンから手を離すこと)を「第1停止離し」、2番目のストップボタンに対する押下(第2停止操作)が解除されること(すなわち、ストップボタンから手を離すこと)を「第2停止離し」、および3番目のストップボタンに対する押下(第3停止操作)が解除されること(すなわち、ストップボタンから手を離すこと)を「第3停止離し」または「最終停止離し」とも称する。
【0017】
メインモニタ13は、
図1(b)に示すように、指示機能を作動可能とするAT(アシストタイム)に制御可能とする有利区間において、指示機能の作動時に指示情報を表示する指示情報表示器13aと、有利区間の滞在を遊技者に報知する有利区間表示器13bと、を備えている。なお、指示情報表示器13aからの指示情報の表示を指示報知又はナビ報知と称することがある。
【0018】
以下の説明において、左リール5、中リール6、右リール7の順にリールを停止させるストップボタン10~12の操作を「打順1」(左中右)とし、左リール5、右リール7、中リール6の順にリールを停止させるストップボタン10~12の操作を「打順2」(左右中)とし、中リール6、左リール5、右リール7の順にリールを停止させるストップボタン10~12の操作を「打順3」(中左右)とし、中リール6、右リール7、左リール5の順にリールを停止させるストップボタン10~12の操作を「打順4」(中右左)とし、右リール7、左リール5、中リール6の順にリールを停止させるストップボタン10~12の操作を「打順5」(右左中)とし、右リール7、中リール6、左リール5の順にリールを停止させるストップボタン10~12の操作を「打順6」(右中左)とする。
【0019】
そして、指示情報表示器13aは、7セグメント表示器が用いられており、例えば、打順1を指示する指示情報を数字の「1」、打順2の指示情報を数字の「2」、打順3の指示情報を数字の「3」、打順4の指示情報を数字の「4」、打順5の指示情報を数字の「5」、打順6の指示情報を数字の「6」で表示する。
【0020】
有利区間表示器13bは、その内部にLEDを有しており、ATに制御不可能とする非有利区間においてLEDを消灯させ、有利区間においてLEDを点灯させることにより有利区間の滞在を報知する。
【0021】
スロットマシンSは、筐体1の内部に図示しない電源ユニットを備えており、電源ユニットは、スロットマシンSの出玉率(メダルの投入総数に対する払出総数の割合)を示す設定値を変更するための設定キーおよび設定変更ボタンを有している。
【0022】
スロットマシンSには6段階の出玉率が設けられており、これら6段階の出玉率が設定値1~6にそれぞれ対応付けられている。遊技場の管理者は、設定値を変更可能な設定変更モードにおいて設定変更ボタン等を操作することにより設定値を変更することができる。なお、本実施形態では、設定値6が最も出玉率が高く、設定値1が最も出玉率が低い。
【0023】
リール5~7は、1つのリールユニット30として構成されており、対応するステッピングモータ(図示省略)の駆動によりそれぞれ回転する。
【0024】
図2に示すように、各リール5~7の外周面には、20に等分された各領域に複数種類の図柄が配列されている。
【0025】
リール5~7が停止している状態では、各リール5~7の外周面に配列されている連続する3つの図柄(以下、それぞれ上段図柄、中段図柄、下段図柄という。)が表示窓4にそれぞれ表示されて、遊技者は3行3列に配置された合計9個の図柄を目視することができる。
【0026】
そして、各リール5~7を回転させることで、各リール5~7の図柄が表示窓4に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール5~7の回転を停止させることで、表示窓4に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0027】
表示窓4には、各リール5~7の上段図柄、中段図柄および下段図柄がそれぞれ停止する上段停止位置、中段停止位置および下段停止位置が設けられている。
【0028】
本実施形態のスロットマシンSにおいてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入口8から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETボタン20aまたは1BETボタン20bを操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、有効ラインLが有効となり、スタートレバー9の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施形態では、いずれの遊技状態においても2枚あるいは3枚の賭数を選択してゲームを開始することができる。そして、賭数が設定されると有効ラインLが有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。なお、本実施形態において、賭数を2に設定することを2枚掛け、賭数を3に設定することを3枚掛けとも称することがある。
【0029】
ここで、スロットマシン1における一単位の遊技である“1遊技”とは、狭義には、スタートレバー9が操作されてからリール5~7が停止するまでをいうが、遊技を行う際には、スタートレバー9の操作前の賭数設定や、リール5~7の停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われることもあるので、これらの付随的な処理も広義には“1遊技”に含まれる。なお、本実施形態では、1遊技を1ゲーム又は単にゲームと称することもある。
【0030】
有効ラインとは、各リール5~7の表示窓4に表示された図柄の組み合わせが入賞図柄の組み合わせであるかを判定するために設定されるラインである。本実施形態では、左リールの中段・中リールの中段・右リールの下段に対応する位置を結んだラインが有効ラインLとして定められている。また、入賞を構成する図柄の組合せが有効ラインLに揃ったことを認識しやすくする無効ラインMが設けられている。無効ラインMは、入賞判定されるラインではなく、有効ラインLに特定の入賞図柄の組合せが揃った際に、無効ラインMのいずれかに所定の図柄の組合せ(たとえば、ベル-ベル-ベル)を揃えることで、有効ラインLに特定の入賞を構成する図柄の組合せが揃ったことを認識しやすくするものである。
【0031】
なお、本実施の形態では、1本の有効ラインのみを適用しているが、複数の有効ラインを適用しても良い。また、無効ラインも複数の無効ラインを適用してもよい。
【0032】
ゲームが開始可能な状態でスタートレバー9を操作すると、各リール5~7が回転し、各リール5~7の図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップボタン10~12を操作すると、対応するリール5~7の回転が停止し、表示窓4に表示結果が導出表示される。
【0033】
そして、全てのリール5~7が停止されることで1ゲームが終了し、有効ラインLに予め定められた図柄の組み合わせ(以下、役とも呼ぶ)が各リール5~7の表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口17(
図1参照)から払い出されるようになっている。また、有効ラインLに、遊技状態の移行を伴う図柄の組み合わせが各リール5~7の表示結果として停止した場合には図柄の組み合わせに応じた遊技状態に移行するようになっている。以下の説明において、当選役に対応する図柄組合せが有効ラインLに表示されたことを「入賞」と称する。
【0034】
また、本実施形態におけるスロットマシンSにあっては、ゲームが開始されて各リール5~7が回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップボタン10~12が操作されたときに、当該ストップボタン10~12に対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップボタン10~12の操作から対応するリール5~7の回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
【0035】
リール5~7は、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップボタン10~12が操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0036】
このため、例えば、ストップボタン10~12のいずれかが操作されたときに当該ストップボタンに対応するリールの上段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を上段に表示させることができるため、リール5~7各々において、ストップボタン10~12のうちいずれかが操作されたときに当該ストップボタンに対応するリールの中段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を有効ラインLに表示させることができる。
【0037】
(スロットマシンSの電気的構成)
図4は、スロットマシンSの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、スロットマシンSは、遊技の進行を制御する遊技制御基板100(主制御部)と、遊技の進行に応じた演出を制御する演出制御基板300(副制御部)とを含む制御基板が設けられている。また、遊技制御基板100と演出制御基板300との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、遊技制御基板100から演出制御基板300への一方向のみに制限される。
【0038】
(遊技制御基板100)
遊技制御基板100は、中央処理装置であるメインCPU100a、プログラム等が格納されたメインROM100b、ワークエリアとして機能するメインRAM100c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシンS全体を統括的に制御する。なお、メインRAM100cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
【0039】
メインCPU100aは、メインROM100bから読み出したプログラムを実行することにより、スロットマシンSにおけるゲームの進行を制御するための処理などを実行する。
【0040】
メインRAM100cは、ゲーム制御用のワークエリアを提供し、ワークRAMとして使用される。なお、この実施の形態では、メインCPU100aには、外部メモリとしてSRAMが接続されており、この外部メモリは、少なくとも一部が、バックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、スロットマシンへの電力供給が停止しても、所定期間は外部メモリの少なくとも一部の内容が保存される。なお、本実施形態では、外部メモリの全ての領域がバックアップRAMとされており、スロットマシンへの電力供給が停止しても、所定期間は外部メモリの全ての内容が保存される。なお、この実施の形態において、バックアップRAMとしての外部メモリには、例えば、電源断が発生したときに、後述する内部抽選に関する制御で用いるデータや、メダルの払出に関する制御で用いるデータ、リールの回転および停止に関する制御で用いるデータ、コマンドの入出力に関する制御で用いるデータなどが格納される。
【0041】
メインROM100bには、ゲームの進行を制御するために用いられる各種の選択用データ、テーブルデータなどが格納される。例えば、メインROM100bには、メインCPU100aが各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、設定テーブルなどを構成するデータが記憶されている。また、メインROM100bには、メインCPU100aが遊技制御基板100から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するテーブルデータなどが記憶されている。
【0042】
メインRAM100cには、スロットマシン1におけるゲームの進行などを制御するために用いられる各種のデータを保持する領域として、遊技制御用データ保持エリアが設けられている。メインRAM100cとしては、例えばDRAMが使用されており、記憶しているデータ内容を維持するためのリフレッシュ動作が必要になる。メインCPU100aには、このリフレッシュ動作を行うためのリフレッシュレジスタが内蔵されている。例えば、リフレッシュレジスタは8ビットからなり、そのうち下位7ビットはメインCPU100aがメインCPU100aから命令フェッチするごとに自動的にインクリメントされる。したがって、リフレッシュレジスタにおける格納値の更新は、メインCPU100aにおける1命令の実行時間ごとに行われることになる。
【0043】
メインCPU100aは、サブCPU300aに各種のコマンドを送信する。メインCPU100aからサブCPU300aへ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、サブCPU300aからメインCPU100aへ向けてコマンドが送られることはない。
【0044】
メインCPU100aは、遊技制御基板100に接続された各種スイッチ類の検出状態が入力ポートから入力される。そしてメインCPU100aは、これら入力ポートから入力される各種スイッチ類の検出状態に応じて段階的に移行する基本処理を実行する。
【0045】
また、メインCPU100aは、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっている。本実施の形態では、一定時間間隔(本実施の形態では、約1.49ms)毎に後述するメイン側タイマ割込処理を実行する。なお、タイマ割込処理の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0046】
また、メインCPU100aは、割込処理の実行中に他の割込を禁止するように設定されているとともに、複数の割込が同時に発生した場合には、予め定められた順位によって優先して実行する割込が設定されている。なお、割込処理の実行中に他の割込要因が発生し、割込処理が終了してもその割込要因が継続している状態であれば、その時点で新たな割込が発生することとなる。
【0047】
また、遊技制御基板100は、メインCPU100aが、メインROM100bに格納されたプログラムに基づきメインRAM100cと協働することで機能する、初期化手段110、ベット手段120、内部抽選手段130、リール制御手段140、判定手段150、払出制御手段160、遊技状態制御手段170、コマンド送信手段180等の機能部を有する。
【0048】
遊技制御基板100では、メダル投入口8へのメダルの投入を検出する投入メダルセンサ8a、MAXBETボタン20、スタートレバー9およびストップボタン10~12から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU100aが種々の処理を実行する。
【0049】
初期化手段110は、電源の投入時やリセット時に遊技制御基板100における初期化処理を実行する。
【0050】
ベット手段120は、遊技に使用するためのメダルをベットする。すなわち、賭数を設定する。
【0051】
内部抽選手段130は、スタートレバー9の遊技開始操作が行われたタイミングで内部抽選用の乱数を取得し、この取得された乱数と現在の遊技状態の種類とに基づいて、複数種類の当選エリアの中から1つの当選エリアを決定する内部抽選を実行する。具体的には、遊技状態に対応する内部抽選テーブルを参照して、取得した内部抽選用の乱数に基づいて1つの当選エリアを決定する。なお、スタートレバー9の操作を遊技開始操作と称することがあり、内部抽選で決定した当選エリアに対応付けられている役を当選役と称することがある。
【0052】
内部抽選の結果に基づいて設定した当選フラグが小役または再遊技役に係るものである場合には、これらの当選フラグを次回の遊技に持ち越さないように、次回の遊技の開始前までに解除する。また、RBBに係る当選フラグ(以下、RBBフラグと称することがある)を設定した場合には、RBB役が入賞するまでRBBフラグを持ち越し、RBB役が入賞するとRBBフラグを解除する。なお、内部抽選の結果に応じて設定される当選フラグのことを条件装置ともいう。
【0053】
リール制御手段140は、スタートレバー9の操作に応じて、左リール5、中リール6、右リール7を回転制御し、回転している左リール5、中リール6、右リール7にそれぞれ対応したストップボタン10~12の操作に応じて、対応する左リール5、中リール6、右リール7を停止制御する。
【0054】
また、遊技制御基板100には、ステッピングモータ200が接続されている。リール制御手段140は、スタートレバー9の操作信号に応じて送信される、左リール5、中リール6、右リール7の回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ200を駆動する。また、メインCPU100aは、ストップボタン10~12の操作信号に応じて左リール5、中リール6、右リール7それぞれの停止信号および回転位置検出回路の検出信号に基づいて、ステッピングモータ200の駆動を停止する。
【0055】
また、リール制御手段140は、各ストップボタン10~12の停止操作時から190ms以内に、押下操作された停止ボタンに対応するリールの回転を停止させる。なお、各リール5~7は、対応する停止ボタンの操作タイミングから最大で4コマ分だけ回転可能となる。つまり、リール制御手段140は、ストップボタンの操作タイミングで有効ラインLの位置に表示されている任意の図柄を基準として、当該図柄を含めて5個の範囲内に位置する図柄を有効ラインLに表示可能なように対応するリールを停止させる。
【0056】
なお、以下の説明において、停止ボタンの操作タイミングに拘わらず有効ラインLに表示させることができる図柄のみで構成された図柄組合せのことを「PB=1の図柄組合せ」といい、停止ボタンの操作タイミングに応じて有効ラインLに表示させることができる図柄を含んでいる図柄組合せのことを「PB≠1の図柄組合せ」という。
【0057】
また、リール制御手段140は、当選フラグに応じて、メダル払出枚数の最も多い役に対応する図柄組合せを優先的に有効ラインLに表示するようにリールを停止する枚数優先制御、図柄組合せの個数が最も多くなる役に対応する図柄組合せを優先的に有効ラインLに表示するようにリールを停止する個数優先制御、RBB役よりも再遊技役および小役を優先して入賞させる役付け優先制御の何れかの制御により、最も引き込み優先順位の高い図柄を検索するロジック演算、および/または、予めメインROMに記憶された停止制御テーブル(図示省略)の参照に基づいて、当選フラグに対応する役に係る図柄組合せのうち優先順位の最も高い図柄を有効ラインLに表示するように引き込み、かつ、当選フラグに対応する役以外の役に対応付けられた図柄組合せを有効ラインLに表示しないよう蹴飛ばし、各停止ボタンに対応するリールを停止させる。
【0058】
判定手段150は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に表示されることを単に入賞という場合がある。
【0059】
払出制御手段160は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、メダルの払い出しが発生する場合は当該当選役に対応する枚数のメダルを払い出す。また、遊技制御基板100には、メダル払い出し装置201が接続されており、払出制御手段160は、メダルの払出枚数を計数しながらメダルを排出する。
【0060】
遊技状態制御手段170は、内部抽選の結果や判定手段150の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。
【0061】
コマンド送信手段180は、ベット手段120、内部抽選手段130、リール制御手段140、判定手段150、払出制御手段160、遊技状態制御手段170等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを演出制御基板300に順次送信する。
【0062】
また、遊技制御基板100には乱数発生回路が設けられている。乱数発生回路は、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。遊技制御基板100の乱数発生回路によって生成される乱数(以下、内部抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、内部抽選手段130が当選エリアを決定するために用いられる。
【0063】
(演出制御基板300)
また、演出制御基板300は、遊技制御基板100と同様に、中央処理装置であるサブCPU300a、プログラム等が格納されたサブROM300b、ワークエリアとして機能するサブRAM300c等を含む各種半導体集積回路を有し、遊技制御基板100からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM300cにもメインRAM100c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。
【0064】
サブCPU300aは、メインCPU100aと同様に、割込機能を備えており、メインCPU100aからのコマンド受信時に割込を発生させて、メインCPU100aから送信されたコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU300aは、システムクロックの入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させてサブ側タイマ割込処理を実行する。
【0065】
また、サブCPU300aは、メインCPU100aとは異なり、コマンドの受信に基づいて割込が発生した場合には、タイマ割込処理の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を実行し、タイマ割込処理の契機となる割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を最優先で実行するようになっている。
【0066】
サブRAM300cは、液晶表示やランプ表示、音出力などの各種演出制御用のワークエリアを提供し、ワークRAMとして使用される。
【0067】
また、演出制御基板300では、サブCPU300aが、サブROM300bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM300cと協働することで機能する、初期化手段310、コマンド受信手段320、演出制御手段330等の機能部を有する。
【0068】
初期化手段310は、演出制御基板300における初期化処理を実行する。
【0069】
コマンド受信手段320は、遊技制御基板100等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。
【0070】
演出制御手段330は、遊技状態に応じた演出の制御を行う。また、演出制御手段330には演出用スイッチ22が接続されており、この演出用スイッチ22の検出信号が入力されるようになっている。さらに、演出制御手段330には、液晶表示器14、スピーカ15、その他、リールを裏側から照明するバックランプ25などの演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御手段330による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御手段330は、メインCPU100aから送信されるコマンドに従って、複数種類の演出状態(非AT演出状態,AT演出状態)の間で演出状態を移行させ、内部抽選の結果や遊技区間(非有利区間,有利区間)の設定・解除および演出状態の種別等に応じて演出を複数種類の中から決定し、該決定した演出を演出装置に実行させる。さらに、演出制御手段330は、遊技の状況に応じて演出態様の決定し、決定した遊技の演出を実行する。
【0071】
なお、演出には、補助演出も含まれる。補助演出は、内部抽選において、正解役(特定の役)と不正解役とが重複した当選エリアに当選したときに、その正解役の入賞条件となるストップボタン10~12の正解操作態様を報知する演出である。かかる補助演出により、遊技者は、正解役に対応する図柄組み合わせを、遊技者が有効ライン上に容易に表示させることができる。かかる補助演出を実行する演出状態をAT(アシストタイム)という。また、ATと再遊技役の当選確率が高いRT(リプレイタイム)が並行して進行される所謂ARTを用いることもある。なお、以下、補助演出をナビ演出と称することがある。
【0072】
なお、以下では、液晶表示器14、スピーカ15といった、演出制御基板300を含む、遊技制御基板100以外の基板で管理される報知手段を他報知手段という場合がある。これに対し、クレジット表示器23、遊技補助表示器24といった、遊技制御基板100で管理される報知手段を主報知手段(指示モニタ)という場合がある。また、補助演出を実行可能な主報知手段および他報知手段を合わせて補助演出報知手段という場合もある。演出状態制御手段は、AT演出状態において、補助演出を補助演出報知手段に実行させる。
【0073】
(当選役及び内部抽選テーブルの構成)
図5~
図8は、当選役を説明するための説明図であり、
図9は、内部抽選テーブルを説明するための説明図である。
【0074】
スロットマシンSにおいては、複数種類の遊技状態および演出状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態および演出状態が移行される。そして、主制御基板100では、遊技状態制御手段170により管理、制御される遊技状態に対応する複数の内部抽選テーブル等がメインROM100bに格納されている。内部抽選手段130は、メインRAM100cに記憶された現在の設定値(遊技利益を得る容易性を段階的に示したもの)と現在の遊技状態に応じて、対応する内部抽選テーブルをメインROM100bから抽出し、抽出した内部抽選テーブルに基づき、スタートレバー9の操作信号に応じて取得された内部抽選乱数が内部抽選テーブル内のいずれの当選エリアに対応するか判定する。
【0075】
ここで、当選エリアには当選種別(以下、単に役と称することもある)が対応付けられている。そして、当選種別は当選役から構成されている。当選種別を構成する当選役には、再遊技役、小役、ボーナス役が含まれる。再遊技役は、再遊技役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に表示されると、遊技者による賭数の設定を行わずして再度遊技を実行できる役である。小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に表示されることにより、遊技状態制御手段170により管理される遊技状態をボーナス遊技状態(本実施形態では、RBB作動中遊技状態)に移行させることができる役である。
【0076】
図5~
図8に示すように、本実施形態における当選役は、再遊技役として、当選役「REP1」~「REP12」が設けられている。再遊技が入賞すると再遊技(図中「REP」)が付与される。また、小役として、当選役「NML1」~「NML61」が設けられている。小役が入賞すると規定枚数(1枚、3枚、15枚)のメダルが付与される。また、ボーナス役として、当選役「RBB1」~「RBB4」が設けられている。
図5~
図8では、左リール5、中リール6、右リール7それぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。
【0077】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップボタン10~12が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインL上にある場合には、リール制御手段140によって、当該図柄が有効ラインL上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップボタン10~12が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインL上にはないが、リール5~7の回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段140によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインL上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、入賞可能な当選役に対応する図柄がリール5~7中に複数あり、いずれもリール5~7の引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインL上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインL上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップボタン10~12が押圧操作されたときに、入賞可能な当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインL上にある場合には、リール制御手段140によって、その図柄を有効ラインL上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別に含まれる当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段140は、遊技者の操作態様に応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインL上に表示可能に停止制御する。
【0078】
図9に示すように、内部抽選テーブルでは、複数の当選エリアが区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、不当選(ハズレ)の有無が異なったりする。
図9では、規定枚数(2枚又は3枚)及び各遊技状態(通常状態(一般)、RBB1又はRBB2のRBB内部中遊技状態(内12)、RBB3又はRBB4のRBB内部中遊技状態(内34)、RBB作動中遊技状態(RBB))毎に割り当てられた当選エリア(当選種別)を「◎」や「○」で表しているが、実際には、複数の遊技状態それぞれに対応する内部抽選テーブルがメインROM100bに記憶されている。なお、「◎」は有利区間に係る抽選(例えば、ATの制御に係る抽選)を行うことが可能な有利区間抽選可当選種別であることを示し、「○」は有利区間に係る抽選を行うことが不可な有利区間抽選不可当選種別であることを示している。
【0079】
内部抽選テーブルでは、区画化された各当選エリアにはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選エリアの置数を合計すると内部抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選種別それぞれが決定される確率は、当選エリアに対応付けられた置数を内部抽選乱数の総数で除算した値となる。内部抽選手段130は、その時点の遊技状態に基づいて、当該内部抽選テーブルにおける複数の当選エリアのうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を内部抽選乱数から減算して、減算後の値が0未満となると、その時点の当選エリアに対応付けられた当選種別を内部抽選の抽選結果としている。また、当選エリア1以上の全ての当選エリアの置数を内部抽選乱数から減算して、減算後の値が0以上となっていれば、当選エリア0の当選種別「ハズレ」が内部抽選の抽選結果となる。
【0080】
ここで、当選種別「RBB」を構成する当選役「RBB」について補足する。所定の第1種特別役物RBは、規定数ごとの入賞に係る図柄の組み合わせの数を増加させ、または規定数ごとの入賞に係る条件装置が作動する確率を上昇させる役物で、あらかじめ定められた場合に作動し、12回を超えない回数の遊技の結果が得られるまで作動を継続することができるものをいう。ここで、条件装置は、その作動が入賞、再遊技、役物または役物連続作動装置の作動に係る図柄の組み合わせが表示されるために必要な条件とされている装置で、内部抽選(遊技機内で行われる電子計算機によるくじ)に当選した場合に作動するもの、すなわち、当選フラグを意味する。そして、当選種別「RBB」を構成する第1種特別役物に係る役物連続作動装置(当選役「RBB」)は、第1種特別役物RBを連続して作動させることができる装置であり、特定の図柄の組み合わせが表示された場合に作動し、あらかじめ定められた場合に作動を終了するものをいう。
【0081】
図9の内部抽選テーブルによれば、例えば当選エリア0には、当選種別「不当選(ハズレ)」が対応付けられており、かかる当選種別に当選すると、
図5~
図8に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインL上に表示されることはなく、メダルの払い出し等が行われることはない。ただし、RBB内部当選フラグが次遊技に持ち越されている場合、当選種別「ハズレ」の当選により、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインL上に表示させることが可能となる。
【0082】
また、当選エリア1には、当選役「NML1」~「NML61」が重複して含まれる当選種別「JAC」が対応付けられている。
【0083】
また、当選エリア2~25には、払出枚数が15枚となる正解役(当選役「NML30」~「NML57)と、払出枚数が1枚の不正解役(当選役「NML1」~「NML29」)が重複して含まれる選択当選種別(当選種別「打順ベル123青A,B」、「打順ベル123赤A,B」、「打順ベル132青A,B」、「打順ベル132赤A,B」、「打順ベル213青A,B」、「打順ベル213赤A,B」、「打順ベル231青A,B」、「打順ベル231赤A,B」、「打順ベル312青A,B」、「打順ベル312赤A,B」、「打順ベル321青A,B」、「打順ベル321赤A,B」)が対応付けられている。
【0084】
当選エリア26には、当選役「NML23」、「NML24」、「NML30」が重複して含まれる当選種別「共通ベル」が対応付けられている。また、当選エリア27には、当選役「NML1」~「NML29」が重複して含まれる当選種別「共通1枚」が対応付けられている。また、当選エリア28には、当選役「NML58」~「NML61」が重複して含まれる当選種別「スイカ」が対応付けられている。また、当選エリア29には、当選役「NML25」~「NML29」、「NML56」、「NML57」が重複して含まれる当選種別「チャンス目A」が対応付けられている。また、当選エリア30には、当選役「NML11」、「NML12」、「NML14」、「NML16」、「NML19」~「NML24」「NML55」が重複して含まれる当選種別「チャンス目B」が対応付けられている。
【0085】
また、当選エリア31には、当選役「REP5」~「REP9」が重複して含まれる当選種別「通常リプA」が対応付けられている。また、当選エリア32には、当選役「REP1、」「REP5」~「REP9」が重複して含まれる当選種別「通常リプB」が対応付けられている。また、当選エリア33には、当選役「REP5」~「REP10」が重複して含まれる当選種別「フェイクリプ」が対応付けられている。また、当選エリア34には、当選役「REP5」~「REP9」、「REP12」が重複して含まれる当選種別「XD7揃いリプ」が対応付けられている。また、当選エリア35には、当選役「REP5」~「REP11」が重複して含まれる当選種別「C揃いリプ」が対応付けられている。また、当選エリア36には、当選役「REP1」、「REP2」が重複して含まれる当選種別「弱チェリーリプ」が対応付けられている。また、当選エリア37には、当選役「REP3」、「REP4」が重複して含まれる当選種別「強チェリーリプ」が対応付けられている。
【0086】
また、当選エリア38には、当選役「RBB1」が含まれる当選種別「RBB1」が対応付けられている。また、当選エリア39には、当選役「RBB2」が含まれる当選種別「RBB2」が対応付けられている。また、当選エリア40には、当選役「RBB3」が含まれる当選種別「RBB3」が対応付けられている。また、当選エリア41には、当選役「RBB4」が含まれる当選種別「RBB4」が対応付けられている。
【0087】
そして、複数の当選役が重複して含まれる当選種別に当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインL上に優先的に表示させるかについての入賞条件、例えば、ストップボタン10~12が操作される順番が設定されている。
【0088】
例えば、非内部遊技状態において、当選エリア1の当選種別「打順ベル123青A」に当選し、正解操作態様(打順1)かつ図柄「青7」が有効ラインL上に停止するタイミングによる操作が行われた場合、払出枚数が15枚の正解役である当選役「NML54」に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順1による操作が行われたが図柄「青7」が有効ラインL上に停止するタイミングによる操作が行われなかった場合、または打順2~4による操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に優先的に表示されるように停止制御がなされ、打順5,6による操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインL上に優先的に1/2の確率で表示されるように停止制御がなされる。
【0089】
なお、当選エリア2~25の各当選種別の当選確率(置数)は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選種別に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選エリア2~25を設けることにより、正解役を入賞させにくくしている。また、上記のように、正解役が優先的に表示される打順でストップボタン10~12が操作されても、赤7又は青7の選択が生ずるため、必ずしも正解役に対応する図柄組み合わせを有効ラインL上に表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、とりこぼしが発生することがある(PB≠1)。また、上記のように、不正解役が優先的に表示される打順でストップボタン10~12が操作されても、必ずしも不正解役に対応する図柄組み合わせを有効ラインL上に表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、とりこぼしが発生することがある(PB≠1)。
【0090】
(遊技状態について)
図10に示すように、遊技状態は、規定数を考慮すると、「規定数3枚一般中」、「規定数2枚一般中」、「規定数3枚RBB1内部中」、「規定数2枚RBB1内部中」、「規定数3枚RBB2内部中」、「規定数2枚RBB2内部中」、「規定数3枚RBB3内部中」、「規定数2枚RBB3内部中」、「規定数3枚RBB4内部中」、「規定数2枚RBB4内部中」、「規定数2枚RBB1作動中」、「規定数2枚RBB2作動中」、「規定数3枚RBB3作動中」、「規定数3枚RBB4作動中」の14となる。
【0091】
そして、RBB1内部中において、持ち越しに係るRBB1に対応する作動図柄の組合せは、賭数が3枚に設定されている場合に、規定数3枚一般中に抽選しないRBB1の当選フラグは成立し得ず無効となる。また、賭数が2枚に設定されているときも、不当選エリアがなくかつ取りこぼしてもRBB1作動図柄の組合せを表示できない所謂フルヒット仕様にしているため各々揃えられず、RBB1内部中からRBB1作動中には移行しない。そして、RBB2もRBB1と同様である。
【0092】
また、RBB3内部中において、持ち越しに係るRBB3に対応する作動図柄の組合せは、賭数が2枚に設定されている場合に、規定数2枚一般中に抽選しないRBB3の当選フラグは成立し得ず無効となり、かつ不当選エリアがなくかつ取りこぼしてもRBB3作動図柄の組合せを表示できないフルヒット仕様にしているため揃えられない。また、賭数が3枚に設定されているときも、不当選エリアがなく且つ取りこぼしてもRBB3作動図柄の組合せを表示できないフルヒット仕様にしているため各々揃えられず、RBB3内部中からRBB3作動中にも移行しない。そして、RBB3もRBB4と同様である。
【0093】
そして、スロットマシンSでは、例えば店舗係員等により遊技場の営業開始前に、「規定数2枚一般中」から当選確率が高く当選し易いRBB1,2の当選を得てRBB1,2内部中に予め移行させておく運用を推奨している。RBB1,2に当選したゲームでは、液晶表示器14の画面を暗くして「復帰待機中」のメッセージを表示させ、うっかりRBB1,2作動図柄の組合せを表示させてしまうのを回避できるようにしている。RBB1,2内部中に移行すると、「復帰待機中」のメッセージを消して、液晶表示装置70の画面を明るくして背景動画を表示し、準備完了を知らせる。
【0094】
そして、通常状態(一般中)では、RBBの当選時にストップボタンの操作タイミングに応じてRBB役が入賞しなかった場合にRBB内部に移行させ(a)、RBB役が入賞した場合にRBB作動に移行させる(b)。RBB内部では、RBBフラグが設定されているが、RBB役よりも小役および再遊技役の入賞を優先させる役付け優先制御によりリール制御が行われるため、不当選に当選した遊技(RBBフラグが単独で設定されている遊技)に限りRBB役の入賞を可能とし、RBB役が入賞するとRBBフラグを解除してRBB作動に移行させる。そして、RBB作動において、メダル払出総数が所定枚数(例えば24枚)を超過すると、RBB作動を終了させて通常状態に移行させる(c)。
【0095】
本実施形態では、遊技状態が通常状態では打順ベルに当選したときは正解役が入賞しないが、RBB内部に滞在しているときは正解役が入賞可能になっている。よって、RBB内部に滞在しているときにAT(アシストタイム)に制御可能な構成としている。
【0096】
また、
図9に示すように、RBB内部において、複数種類の正解役が互いに重複せずに当選するため(
図9中の「打順ベル」参照)、正解役を入賞させることができる機会を多くすることができ、その結果、例えば、RBB内部中のATにおいて補助演出が行われることで、メダルを獲得しやすくできる。一方、RBB作動では、複数種類の正解役が重複して当選するため(
図9中の「JAC」参照)、正解役を入賞させることができる機会が少ないので、ATよりも正解役を入賞させることができる機会が減り、遊技者が所有するメダルを増やしにくくしている。したがって、本実施形態では、RBB内部よりも入賞に係る当選役の当選確率が高いというRBB作動の機能を備えつつ、メダルの獲得性能の面ではRBB作動がRBB内部に劣るという仕様(所謂アクセルAT)を実現することができる。換言すると、RBBは減るボーナスである。
【0097】
(遊技区間について)
図11に示すように、本実施形態では、遊技区間として、非有利区間と有利区間とを設定可能としている。ここで、メダルの獲得性能が高い遊技状態が偏っているか否かを統括的かつ画一的に判定すべく、指示機能に係る性能を有する遊技区間、すなわち、補助演出(指示機能)を実行する遊技区間等を含む、遊技者にとって有利な遊技区間を有利区間として定義する。また、有利区間と異なる遊技区間を非有利区間とする。なお、
図11に示す遊技区間の遷移についてはメインCPU100aによって制御される。
【0098】
メインCPU100aは、非有利区間において、内部抽選で特定の当選エリアに当選したことに基づいて、有利区間を設定するか否かを決定する有利区間設定抽選を実行する。つまり、複数種類の当選エリアのうち何れの当選エリアに当選した場合であっても有利区間設定抽選を実行する。そして、有利区間設定抽選に当選した場合に、有利区間設定抽選に当選した次の遊技の開始時に有利区間(非AT)を設定し(a)、有利区間設定抽選に当選しなかった場合に、非有利区間の設定を維持する。
【0099】
なお、本実施形態では、有利区間設定抽選の当選確率は、内部抽選で決定された当選エリアの種別に拘わらず全て100%に設定されている。このため、非有利区間における1回の遊技で必ず有利区間設定抽選が実行されて有利区間設定抽選に当選し、次の遊技でATに制御していない有利区間(非AT)を設定する。つまり、非有利区間は1回の遊技に限り設定されることになり、遊技の全体で有利区間の占める割合が極めて高くなる。つまり、本実施形態では、一般的に、遊技区間は非AT区間に設定されていることになる。
【0100】
また、メインCPU100aは、有利区間において有利区間の強制終了条件が成立したことに基づいて、有利区間を解除するとともに非有利区間を設定する(b)。有利区間の強制終了条件は、有利区間におけるゲームの回数(以下、区間遊技数と称することある)が上限の「1500回」に到達し、あるいは、有利区間における純増枚数(換言すると、有利区間内で最もメダルが減少した最下点からの差枚数であり、いわゆるMYである。)が「2400枚」を超えると、メインCPU100aは有利区間を強制的に解除して、非有利区間を設定するように構成されている。
【0101】
有利区間は、ATに制御していない「非AT」と、ATに制御している「AT」とを含んでいる。
【0102】
ATでは、打順ベルの当選時に、メインCPU100aが正解打順の指示情報を指示情報表示器13aで表示し、サブCPU300aが正解打順の指示情報を示す演出(以下、補助演出という。)を液晶表示器14に実行させる。換言すると、ATでは遊技制御側のナビ報知と演出制御側のナビ演出が実行される。これに対し、非有利区間および非ATでは、打順ベルの当選時に、正解打順の指示情報を指示情報表示器13aで表示しないようにするとともに、この正解打順の指示情報を示す補助演出を液晶表示器14に実行させないようにする。これにより、ATでは、打順ベルの当選時に正解役を入賞させる正解打順を遊技者に示してメダルの獲得を容易とする。
【0103】
また、有利区間中の出玉状態においては、遊技の進行に基づき更新される有利区間中の消化ゲーム数の合計が所定のエンディング移行ゲーム数(例えば、1400ゲーム)に達したとき、又は有利区間中の純増枚数の合計値がエンディング移行枚数(たとえば、2200枚)に達したときにエンディング状態が制御される。なお、本実施形態では、賭数を2に設定した場合及び賭数を3に設定した場合のいずれの場合でも有利区間におけるゲームの回数及び純増枚数がカウントされるが、エンディング状態に移行するまでのゲーム数については、賭数を2に設定した場合はカウントされず、賭数を3に設定した場合にのみカウントされる。また、エンディング状態に移行するまでの純増枚数については、賭数を2に設定した場合及び賭数を3に設定した場合のいずれの場合でもカウントされる。エンディング移行ゲーム数及びエンディング移行枚数は有利区間中及び通常状態で更新され、RBBにおいては更新されない。通常状態においては、例えば、有利区間設定抽選が行われる特定の当選エリアでRBBが重複当選していないエリア(例えば、打順ベル)に当選し、次遊技で打順ベルの当選エリアに当選して正解打順で停止操作が行われてベルが入賞した場合にエンディング移行枚数がカウントされる。エンディング状態は、たとえば、純増枚数の合計値が上限枚数(たとえば、2400枚)を超えるまで、あるいは有利区間中の消化ゲーム数が上限ゲーム数(たとえば、1500G)に達するまでATが継続することが確定する状態である。エンディング移行ゲーム数は、通常状態からATに状態が移行したときにセットされる。
【0104】
上記したように、本実施形態では、賭数2の場合にはエンディング状態に移行するまでのゲーム数がカウントされないため、賭数を2に設定した場合には有利区間中の純増枚数の合計値がエンディング移行枚数に達したときにのみエンディング状態に移行する。賭数2でエンディング状態に移行するまでのゲーム数をカウントしてしまうと、賭数3でゲーム数を進めてエンディング状態に移行したときよりも少ない賭数でエンディング状態に到達させることが可能になるため、不公平になってしまう。よって、賭数3のときのみエンディング状態に移行するまでのゲーム数をカウントする構成としている。
【0105】
ATは、通常ATと、転落準備と、復帰チャンスゾーンと、擬似ボーナスを含んでいる。設定変更時やATから非ATに移行するときにATが開始するまでのゲーム数がAT開始ゲーム数抽選により決定される。なお、AT開始ゲーム数抽選は抽選モードによって決定されるゲーム数が異なる。抽選モードが通常モードの場合は最大666ゲーム(400~600ゲームが高確率)であり、抽選モードが天国モードの場合は最大350ゲーム(200ゲーム代でほとんど当選)になっている。なお、非ATにおいて内部抽選の結果に応じた抽選を実行し、AT開始ゲーム数抽選で決定したゲーム数が短縮されることがある。
【0106】
そして、AT開始ゲーム数抽選で決定されたゲーム数が消化されると非ATから通常ATに移行する(c)。通常ATでは、打順ベルに当選した場合に指示報知及び補助演出が実行される。そして、通常ATは規定のナビ回数(指示報知及び補助演出の回数)が消化されると転落準備に移行する(d)。通常ATでのナビ回数は抽選により決定される(例えば10回、15回、20回のいずれか)。また、内部抽選により当選種別「強チェリーリプ」、「弱チェリーリプ」、「スイカ」、「チャンス目A,B」(これらをまとめて当選種別「レア役」と称する場合がある)に当選した場合はナビ回数の上乗せ抽選が実行される。そして、上乗せがあったときは通常ATでのナビ回数は引き継がれる。
【0107】
転落準備では、内部抽選により当選種別「レア役」のいずれかに当選した場合に実行される復帰抽選に当選すると通常ATに再度移行する(e)。なお、当選種別「レア役」の種類によって通常ATに移行する期待度が異なっている。
【0108】
また、転落準備では内部抽選でハズレ(不当選)又はリプレイに当選した場合に転落抽選が実行される。そして、転落準備で転落抽選に当選すると復帰チャンスゾーンに移行する(f)。復帰チャンスゾーンは打順ベルに当選するまで継続する。そして、復帰チャンスゾーンで打順ベルに当選して正解役が入賞した場合は通常ATに復帰する(g)。しかし、復帰チャンスゾーンで打順ベルに当選したが正解役が入賞しなかった場合は非ATに移行する(h)。
【0109】
なお、本実施形態では、転落準備において、打順ベルのナビ回数が所定回数(例えば、10回)に達するたびにベルナビストックを記憶する。そして、転落抽選に当選して復帰チャンスゾーンに移行したときにベルナビストックを1つ消化し、打順ベルに当選したときに指示報知及び補助演出を発生させる。これにより、指示報知及び補助演出で示された打順に従えば確実に通常ATに復帰させることができる。また、ベルナビストックが記憶されていないときでも途中までの打順を報知するか、打順を報知しないかが選択される。
【0110】
また、転落準備では、初当たり時の初期保障として打順ベルのナビ回数が20回に達するまで復帰チャンスゾーンに移行しないことが保障されている。すなわち、ベルナビストックが2つ保障される。なお、復帰チャンスゾーンに移行しないとは、転落抽選に当選しても非当選として扱う、あるいは、転落抽選を行わないことなどにより実施可能である。
【0111】
また、復帰チャンスゾーンでは当選種別「レア役」当選時にベルナビストックの獲得抽選が実行される。ベルナビストックの獲得期待度は当選種別「レア役」の種類により異なっている。
【0112】
また、転落準備又は復帰チャンスゾーンで特定役に当選すると擬似ボーナスに移行する(i)(j)。そして、擬似ボーナスでは規定のナビ回数(例えば、30回)が消化されると転落準備に移行する(k)。また、擬似ボーナスでは、当選種別「レア役」当選時の抽選に当選するとベルナビストックを獲得できる。
【0113】
(演出状態の遷移について)
図12に示すように、サブCPU300aは、遊技状態や遊技区間の遷移に応じて演出状態の移行を制御する。演出状態は、非AT演出状態とAT演出状態に大別される。
【0114】
非AT(
図11参照)では通常演出状態に制御される。通常演出状態においてAT開始抽選で決定されたゲーム数が消化されるとバトル演出Aを経て通常AT演出状態に移行するか(a)、バトル演出Aを経ることなく通常AT演出状態に移行する(b)。通常AT演出状態は通常ATでの演出状態である(
図11参照)。
【0115】
バトル演出Aは、例えば、味方キャラクタと敵キャラクタのバトルの結果、敵キャラクタの体力が0になって味方キャラクタが勝利するとAT確定となる演出である。味方キャラクタの体力が0になった場合は敗北となり、通常演出状態の維持となる。バトル演出Aは、例えば、16ゲームにわたって実行され、味方キャラクタの攻撃のターンが3回である。なお、AT開始ゲーム数抽選で決定したゲーム数が短縮された場合に、敗北予定であった演出が勝利演出に変更されることがある。
【0116】
通常AT演出状態は、規定のナビ回数が消化されると転落準備演出状態に移行する(e)。転落準備演出状態は転落準備での演出状態である(
図11参照)。本実施形態では、転落準備演出状態では純増枚数が1ゲームあたり12枚となっている。
【0117】
転落準備演出状態では、内部抽選により当選種別「レア役」のいずれかに当選した場合に実行される復帰抽選に当選すると通常AT演出状態に再度移行する(f)。なお、当選種別「レア役」の種類によって通常ATに移行する期待度が異なっている。
【0118】
また、通常演出ATで転落抽選に当選するとジャッジ演出に移行する(g)。ジャッジ演出は復帰チャンスゾーンでの演出状態である(
図11参照)。ジャッジ演出は打順ベルに当選するまで継続する。そして、ジャッジ演出で打順ベルに当選して正解役が入賞した場合は通常AT演出状態に復帰する(h)。しかし、ジャッジ演出で打順ベルに当選したが正解役が入賞しなかった場合は通常演出状態に移行する(i)。
【0119】
ジャッジ演出で特定役に当選するか、又は打順ベルに当選したが正解役が入賞しなかった場合の一部ではバトル演出Bに移行する(j)。バトル演出Bは復帰チャンスゾーンでの演出状態である(
図11参照)。そして、バトル演出Bで敗北した場合(すなわち、正解役が非入賞であった場合)は通常演出状態に移行する(k)。
【0120】
バトル演出Bは、例えば、味方キャラクタと敵キャラクタのバトルの結果、味方キャラクタが勝利すると擬似ボーナス確定となる演出である。バトル演出Aは、例えば、6ゲームにわたって実行される。なお、バトル演出B中(すなわち、復帰チャンスゾーン中)に内部抽選の結果に応じた抽選を実行し、敗北予定であった演出を勝利演出に変更するように構成することも可能である。
【0121】
また、バトル演出Bで勝利した場合(すなわち、特定役に当選していた場合)、通常演出状態で特定役に当選した場合は擬似ボーナス演出状態に移行する(l,m)。擬似ボーナス演出状態は擬似ボーナスでの演出状態である(
図11参照)。そして、擬似ボーナス演出状態では規定のナビ回数(例えば、30回)が消化されると転落準備演出状態に移行する(n)。なお、擬似ボーナス演出状態では、ATに移行してから獲得したメダルの枚数に応じた動画が再生されるとともに楽曲が再生される。
【0122】
また、本実施形態では、非AT演出状態(バトル演出A以外の状態)においてゲーム毎に内部抽選の結果に応じたポイント付与抽選が行われ、ポイント付与抽選で決定されたポイントが加算されていく。付与されるポイントには0ポイントも含まれる。そして、通常演出状態で移行役に当選するとポイント特化ステージに移行する(o)。ポイント特化ステージは規定ゲーム数(例えば、15ゲーム)が消化されると通常演出状態に移行する(p)。ポイント特化ステージは、通常演出状態よりもポイントを得るうえで有利になる。具体的には、ポイント特化ステージ以外では付与ポイントが0ポイントとなることがあるが、ポイント特化ステージでは必ずポイントが付与される。
【0123】
なお、ポイント特化ステージに移行するときは、その旨を示唆する特化ステージ移行前兆演出が複数ゲームにわたって実行される。また、ポイント特化ステージでは、演出用スイッチ22の操作に応じてポイントが上昇する演出や終了後に再突入するような演出が実行される。
【0124】
非AT演出状態で加算されたポイント数が所定ポイント数(例えば、1000ポイント)になったときは体力加算抽選が実行される。そして、体力加算抽選で決定された体力値がバトル演出Aでの味方キャラクタの体力に加算される体力加算演出が実行される。体力加算演出として、例えばルーレット演出が実行される。そして、味方キャラクタの体力が高いとバトル演出Aでの勝利の確率が高くなる。この場合、99%表示なら勝利濃厚とするような構成とすることが好ましい。
【0125】
なお、通常演出状態には、低確率演出状態、高確率演出状態、本前兆演出状態、前兆演出状態が含まれている。
【0126】
高確率演出状態はポイント付与抽選でポイントが付与される確率が高くなっている場合の演出状態である。
【0127】
本前兆演出状態は、味方キャラクタの勝利が確定している(すなわち、AT演出状態に移行することが確定している)バトル演出Aの所定ゲーム数前からバトル演出Aの開始まで実行される演出状態である。
【0128】
前兆演出状態は、バトル演出Aに発展することなく終了する、あるいはバトル演出Aに発展するが勝利することなく終了する演出状態である。低確率演出状態や高確率演出状態から前兆演出状態や本前兆演出状態に移行するときは、該演出状態中の背景動画を含む画面全体をエフェクトで覆うような演出が実行される。前兆演出状態と本前兆演出状態は16ゲームにわたって実行される。
【0129】
そして、本実施形態では、ポイント数が所定ポイント数になったときはその次ゲームで体力加算抽選が実行されて体力加算演出が実行されるが、前兆演出状態や本前兆演出状態では体力加算演出が行われることなく、体力加算演出がストックされる。体力加算演出は最大3回までストック可能である。ストックされた権利は前兆演出状態の終了後やAT演出状態の終了後(前兆演出状態や本前兆演出状態にストックされた場合)に消化され、1ゲームあたり1回が消化される。なお、体力加算演出が最大ストック数の3回に達した場合はポイント特化ステージへの移行が制限される。
【0130】
そして、本実施形態では、ポイント数が所定ポイント数になったときはその次ゲームで体力加算抽選が実行されて体力加算演出が実行されるが、前兆演出状態や本前兆演出状態では体力加算抽選が行われることなく、抽選の権利がストックされる。体力加算抽選の権利は最大3個までストック可能である。ストックされた権利は前兆演出状態の終了後やAT演出状態の終了後(前兆演出状態や本前兆演出状態にストックされた場合)に消化され、1ゲームあたり1個の権利が消化される。
【0131】
なお、
図11におけるAT開始ゲーム数抽選やナビ回数の上乗せ抽選、ATまでのゲーム数を短縮する抽選は、賭数が3枚に設定されているときは実行されるが、賭数2に設定されているときは実行されない。これらの抽選は当選種別「レア役」に当選したときに実行される、あるいは当選種別「レア役」に当選したときに当選しやすくなるので賭数2のときに当選種別「レア役」に当選しても遊技者は恩恵を得られないこととなる。すなわち、賭数3のときは出玉状態に変化があるが賭数2のときは出玉状態に変化がないように構成されている。また、
図12における各抽選も賭数が3枚に設定されているときは実行されるが、賭数2に設定されているときは実行されない。これに伴い、
図12における演出状態の移行に伴う演出も賭数が3枚に設定されているときは実行されるが、賭数2に設定されているときは実行されないように構成されており、賭数2で遊技が行われると、その前に賭数3で遊技が行われたときの演出画像が表示されたままになる。上記のように、当選種別「レア役」はその他の当選種別(ベルやリプレイ)より有利度の高い役である。
【0132】
(筐体の支持部材と前扉の被支持部材について)
次に、
図13~
図18を参照して筐体1と前扉2の構成について説明する。なお、以下においては、前後左右の方向はスロットマシンSに正対する遊技者を基準として規定されるものとする。
【0133】
図13に示すように、前扉2の背面側の右下部には上下方向に延びる右側板2aが設けられ、右側板2aの内側に隣接するように被支持部材40が設けられる。被支持部材40は、後方(筐体1側)に突出しており、前扉2が閉まっているときに筐体1の後述する支持部材50(
図17,17参照)によって支持される。
【0134】
図14,14に示すように、前扉2の被支持部材40は、平板部41と、ローラ部42と、を有する。平板部41は、前扉2の右側板2aの内側から後方に突出するよう設けられる。また、平板部41は、右側板2aとの間に隙間が形成されるように内側に折り曲げられ、この隙間にローラ部42が配置される。ローラ部42は、軸部43を介して平板部41の先端に軸支され、軸部43を中心として回転可能になっている。また、ローラ部42は、前後方向において右側板2aよりも後方に突出しており、前扉2を閉じるときにローラ部42の方が右側板2aよりも先に筐体1側と接触するようになっている。
【0135】
図16に示すように、筐体1の右側板1aには、前扉2の被支持部材40と対向する位置に支持部材50が設けられる。支持部材50は、ベース板51を介して右側板1aに取り付けられる。
【0136】
図17,
図18に示すように、支持部材50は、案内部52と、支持部53と、阻止部54と、を有する。案内部52は前方傾斜するように形成され、その後端側が支持部53の前端側と接続する。案内部52は、前扉2を閉じるときに被支持部材40のローラ部42と当接可能になっている。ローラ部42が案内部52に当接した状態で、遊技場の管理者が前扉2を後方に押し込むことで、ローラ部42は案内部52上を移動して支持部53上に案内される。
【0137】
支持部53は、ローラ部42を下方から支持する。また、支持部53は後方傾斜するように形成され、その後端側が阻止部54と接続する。そのため、ローラ部42は、支持部53上において阻止部54に向かって容易に移動可能となっている。
【0138】
阻止部54は、支持部53に対して垂直に立設されており、ローラ部42の後方への移動を阻止するストッパとして機能する。
【0139】
前扉2は、その開閉状態に応じて、第1状態と、第2状態と、第3状態と、に回動可能になっている。以下、
図19~20を参照して、前扉2の第1~第3状態について説明する。なお、
図19~20に示す断面は
図1のS-S線断面であり、このS-S線断面は、筐体1または前扉2の右側辺から遊技メダル1~2枚程度内側の位置を筐体1の載置面Zに対して垂直に切断した断面である。また、この位置の後方近傍には、前扉2の被支持部材40および筐体1の支持部材50が設けられている。
【0140】
図19に示すように、前扉2の第1状態は、前扉2が閉じており、前扉2の被支持部材40のローラ部42が、筐体1の支持部材50の阻止部54と当接した状態で支持部53上に載置されている状態である。第1状態において、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間には、第1隙間G1が形成されている。第1隙間G1の上下方向の寸法は、第1寸法L1(約3mm~5mm)に設定される。第1寸法L1は、
図22(a)に示すような遊技球Bの直径(約11mm)よりも小さく、
図22(b)に示すようなメダルMの厚さ(約1.6mm~約1.7mm)よりも大きい。
【0141】
図20に示すように、前扉2の第2状態は、前扉2が開いており、前扉2の被支持部材40のローラ部42が、筐体1の支持部材(の案内部52)と当接していない状態である。第2状態において、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間には、第2隙間G2が形成されている。第2隙間G2の上下方向の寸法は、第2寸法L2(約2~3mm)に設定される。第2寸法L2は、第1寸法L1(
図19参照)と同様に、遊技球Bの直径(
図22(a)参照)よりも小さく、メダルMの厚さ(
図22(b)参照)よりも大きい。また、第2状態において、前扉2の開放角度(回動角度)は10度以下となっており、第2寸法はこの開放角度の範囲内において概ね一定の値となっている。
【0142】
図21に示すように、前扉2の第3状態は、前扉2が閉じており、前扉2の被支持部材40のローラ部42が、筐体1の支持部材50(の案内部52)と当接している状態である。第3状態において、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間には、第3隙間G3が形成されている。第3隙間G3の上下方向の寸法は、第3寸法L3(約2mm~3mm)に設定される。第3寸法L3は、第1寸法L1(
図19参照)および第2寸法L2(
図19参照)と同様に、遊技球Bの直径(
図22(a)参照)よりも小さく、メダルMの厚さ(
図22(b)参照)よりも大きい。
【0143】
また、図示は省略するが、前扉2が第3状態にあるとき、正面視において前扉2の右辺から筐体1の右辺までの寸法は、第4寸法L4(約33mm)に設定される。第4寸法L4は、
図22(c)に示すようなメダルMの直径(約25mmや約30mm)よりも大きい。また、第3状態において、前扉2の開放角度(回動角度)は第2状態における前扉2の開放角度未満となっている。
【0144】
このように、前扉2の開閉状態に応じて、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間に異なる大きさの隙間G1~G3が形成される。つまり、前扉2が第1状態にあるときには第1寸法L1の第1隙間G1が形成され、前扉2が第2状態にあるときには第2寸法L2の第2隙間G2が形成され、前扉2が第3状態にある場合には第3寸法L3の第3隙間G3が形成される。そして、第1~第3寸法L1,L2,L3の大小関係は、L3≒L2≦L1となっている。
【0145】
以上、本実施形態に係るスロットマシンSによれば、前扉2が第1状態および第2状態の何れの状態でも、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間に形成される隙間(第1隙間G1、第2隙間G2)の寸法(第1寸法L1、第2寸法L2)は、遊技メダルの厚みよりも大きくなっている。よって、前扉2を第2状態から第1状態または第1状態から第2状態に回動させる場合でも、その回動をメダルに阻止されることを防止できる。
【0146】
特に、前扉2には各種演出装置等の重量がある装置が取り付けられており、前扉2を開いたとき、前扉2はその自重により若干下方に下がってしまう。そのため、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間に形成される隙間の上下方向の寸法が、メダルの厚みよりも小さくなる場合がある。この場合、前扉2を開閉するときに、その隙間にメダルが食い込んでしまい、前扉2の開閉ができなくなったり、前扉2自体が破損してしまう虞があった。しかしながら、本実施形態では、前扉2が第1状態および第2状態にあるときに、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの隙間にメダルが食い込まないように設計されている。具体的には、その隙間にメダルが入り込んでも、そのメダルと前扉2の下辺部2bとが接触しないように隙間の大きさが設定されている。したがって、前扉2を第2状態から第1状態または第1状態から第2状態に回動するときに、その回動をメダルに阻止されることなくスムーズに行え、さらに前扉2自体が破損してしまうことも防止できる。
【0147】
また、前扉2が第3状態にある場合でも、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間に形成される隙間(第3隙間G3)の寸法(第3寸法L3)は、遊技メダルの厚みよりも大きくなっている。よって、前扉2を第3状態から第2状態または第2状態から第3状態に回動するときに、その回動をメダルに阻止されることなくスムーズに行え、さらに前扉2自体が破損してしまうことも防止できる。
【0148】
また、前扉2が第1~第3状態のいずれの状態でも、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの間に形成される隙間(第1~第3隙間G1~G3)の上下方向の寸法(第1~第3寸法L1~L3)が遊技球の直径よりも小さい。よって、仮にスロットマシンSの近くにパチンコ機が配置されており、そのパチンコ機で用いられる遊技球が転がってきても、その遊技球が前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの隙間に入り込めないように設計されている。したがって、前扉2の下辺部2bと筐体1の載置面Zとの隙間に遊技球が入り込むことに起因して、前扉2をスムーズに回動できなくなることを防止でき、さらに前扉2自体が破損してしまうことも防止できる。
【0149】
(遊技制御基板100のメイン処理)
図23は、メインCPU100aが実行するメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、メインCPU100aのメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(MAXBETボタン20a、1BETボタン20b、スタートレバー9、ストップボタン10~12)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
【0150】
メイン処理では、メインCPU100aは、初期化処理(S100)を実行した後は、ベット処理(S200)、抽選処理(S300)、リール回転処理(S400)、リール停止処理(S500)、判定処理(S600)、払出処理(S700)、ゲーム終了時処理(S800)を順に実行し、ゲーム終了時処理(S800)が終了すると、再びベット処理(S200)に戻る。
【0151】
(ステップS100)
ステップS100における初期化処理では、メインCPU100aは、電源スイッチを介してスロットマシンSの電源を投入し、通電状態になると、遊技開始に備え初期化処理を実行する。メインCPU100aは、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM100cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、リール5~7の回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール5~7が回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM100cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0152】
(ステップS200)
ステップS200におけるベット処理では、メインCPU100aは、遊技者によるMAXベットボタン20の操作、または、メダル投入口8へのメダルの投入を通じてメダルをベットすることにより、賭数を設定する。また、メインCPU100aは、賭数が設定されたことを示す投入コマンドを生成し、生成された投入コマンドを演出制御基板300に送信する。
【0153】
(ステップS300)
ステップS300における抽選処理では、メインCPU100aは、スタートレバー9に対する遊技開始操作を有効化し、スタートレバー9の操作待ち状態に移行する。ここで、メインCPU100aは、遊技者によるスタートレバー9の操作に応じて、スタートレバー9が操作された時点における1の内部抽選乱数を取得する。そして、メインCPU100aは、
図9に示した内部抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の内部抽選テーブルを決定するとともに、取得した内部抽選乱数が、決定した内部抽選テーブルにおけるいずれの当選エリアに対応するか判定し、判定された当選エリアの当選種別または不当選を抽選結果として決定する。
【0154】
また、メインCPU100aは、スタートレバー9の操作に応じて抽選結果が決定された後、内部抽選の抽選結果(当選種別または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む内部抽選コマンドを生成し、生成された内部抽選コマンドを演出制御基板300に送信する。
【0155】
(ステップS400)
ステップS400におけるリール回転処理では、メインCPU100aは、スタートレバー9が操作されると、ステッピングモータ200を駆動して左リール5、中リール6、右リール7を回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール5、中リール6、右リール7の回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール5、中リール6、右リール7の回転を開始し、左リール5、中リール6、右リール7の全てが定速回転となったところで、ステップS500に処理を移す。
【0156】
(ステップS500)
ステップS500におけるリール停止処理では、メインCPU100aは、ストップボタン10~12を有効化し、遊技者によるストップボタン10~12の操作を受け付けると、その操作に対応する左リール5、中リール6、右リール7のいずれかを停止制御する。
【0157】
また、メインCPU100aは、ストップボタン10~12いずれかの操作がなされると、操作がなされたストップボタン10~12の情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、生成された停止コマンドを順次、演出制御基板300に送信する。
【0158】
(ステップS600)
ステップS600における判定処理では、メインCPU100aは、有効ラインL上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。また、メインCPU100aは、有効ラインL上に表示された図柄組み合わせを示す入賞コマンドを生成し、生成された入賞コマンドを演出制御基板300に送信する。
【0159】
(ステップS700)
ステップS700における払出処理では、メインCPU100aは、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインL上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行する。また、メインCPU100aは、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、生成された払出コマンドを演出制御基板300に送信する。
【0160】
(ステップS800)
ステップS800におけるゲーム終了時処理では、メインCPU100aは、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。例えば、有効ラインL上に再遊技役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、メインCPU100aは、通常状態においてRBBに当選した場合は遊技状態を通常状態からRBB内部に移行させるための処理を実行する。また、メインCPU100aは、RBB内部においてRBBが入賞した場合は遊技状態をRBB内部からRBB作動に移行させるための処理を実行する。また、メインCPU100aは、RBB作動においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をRBB作動から通常状態に移行させるための処理を実行する。このように、メインCPU100aは、有効ラインL上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該遊技を終了する。なお、メインCPU100aは、ゲーム終了時処理において有利区間や非有利区間の設定を行う。
【0161】
(演出制御基板300のサブ処理)
図24は、演出制御基板300のサブ処理を示したフローチャートである。
【0162】
(ステップS1100)
電源スイッチを介してスロットマシンSの電源が投入され、通電状態になると、サブCPU300aは、遊技開始に備え初期化処理を実行する。サブCPU300aは、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM300cに保持している。
【0163】
(ステップS1200)
サブCPU300aは、メインCPU100aからのコマンドを受信したか否か判定する。その結果、コマンドを受信していれば、ステップS1300に処理を移し、コマンドを受信していなければ、ステップS1400に処理を移す。
【0164】
(ステップS1300)
上記ステップS1200においてコマンドを受信したと判定した場合は、サブCPU300aは、当該受信したコマンドの内容を解析し、受信したコマンドに基づいて種々の処理を実行する。
【0165】
(ステップS1400)
サブCPU300aは、演出用スイッチ22の検出信号を解析し、その解析結果に基づいて種々の処理を行う。
【0166】
(ステップS1500)
サブCPU300aは、補助演出制御処理を実行する。補助演出制御処理では、サブCPU300aは、メインCPU100aから受信したコマンドに基づいて、遊技状態や内部抽選で当選した当選エリアを識別し、遊技状態や当選エリアに応じて補助演出を実行するための演出データをセットする。そして、サブCPU300aは、セットしたデータに基づいて、ステップS2100において演出を実行するための処理を行う。これにより、例えば、AT中に補助演出が実行される。
【0167】
(ステップS1800)
サブCPU300aは、当選役が入賞したときの入賞演出を実行するための入賞演出実行処理を実行する。
【0168】
(ステップS1900)
サブCPU300aは、複合演出制御処理を実行する。複合演出制御処理では、サブCPU300aは、メインCPU100aから受信したコマンドに基づいて、主要演出の態様や、複合演出を実行するか否か及び実行する複合演出の態様を決定するための処理を行う。また、サブCPU300aは、主要演出の演出データや複合演出の演出データをセットする。そして、サブCPU300aは、セットした演出データに基づいて、ステップS2100において演出を実行するための処理を行う。
【0169】
(ステップS2100)
サブCPU300aは、実行が決定された各種演出の実行情報(タイムテーブル)を参照して、当該タイムテーブルに記憶された該当時間に対応する処理を実行するタイムスケジュール管理処理を行い、ステップS1200からの処理を繰り返す。この処理では、液晶表示器14の表示画像を挿入したり切り替えたりし、また、各種のコマンドを各デバイスに送信する。これにより各種演出が実行されることとなる。
【0170】
(入賞演出制御処理S1800)
図25は、上記ステップS1800の入賞演出制御処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0171】
(ステップS1801)
まず、サブCPU300aは、メインCPU100aからのコマンドに基づいてゲーム終了したか否かを判定する。ゲームが終了した場合はステップS1802に進む。また、ゲームが終了していない場合は処理を終了する。
【0172】
(ステップS1802)
サブCPU300aは、当選種別「レア役」が入賞したか否かを判定する。当選種別「レア役」が入賞した場合はステップS1802に進む。当選種別「レア役」が入賞していない場合はステップS1806に進む。
【0173】
(ステップS1803)
サブCPU300aは、メインCPU100aからのコマンドに基づいて賭数が2に設定されていたか否かを判定する。賭数が2に設定されていた場合はステップS1804に進み、賭数が2に設定されていない場合(すなわち、賭数が3に設定されている場合)はステップS1805に進む。
【0174】
(ステップS1804)
サブCPU300aは、レア役入賞演出AフラグをサブRAM300cにセットする。レア役入賞演出Aフラグがセットされた場合は、スピーカ15から演出音が出力されず、また、バックランプ25は動作せず、液晶表示器14の表示も変化しない(すなわち、前回ゲームの表示を維持する)。
【0175】
(ステップS1805)
サブCPU300aは、レア役入賞演出BフラグをサブRAM300cにセットする。この場合は、当該ゲームでレア役入賞演出が実行される。そして、レア役入賞演出は、スピーカ15から演出音が出力され、また、バックランプ25は点滅し、液晶表示器14から演出画像が表示される。すなわち、本実施形態では、賭数が2に設定されているときはレア役入賞演出が実行されないが、賭数が3に設定されているときはレア役入賞演出が実行される。
【0176】
(ステップS1806)
サブCPU300aは、ベルが入賞したか否かを判定する。ベルが入賞した場合はステップS1807に進む。ベルが入賞していない場合は処理を終了する。
【0177】
(ステップS1807)
サブCPU300aは、ベル入賞演出フラグをサブRAM300cにセットする。この場合は、賭数が2に設定されているとき及び賭数が3に設定されているときのいずれにおいても、当該ゲームでベル入賞演出が実行される。そして、ベル入賞演出は、スピーカ15から演出音が出力され、また、バックランプ25は点滅し、液晶表示器14から演出画像が表示される。
【0178】
なお、本実施形態では、賭数が2に設定されているときはレア役入賞演出が実行されず、賭数が3に設定されているときはレア役入賞演出が実行される構成したが、この構成と異なる構成としても本発明を実施することが可能である。
【0179】
例えば、レア役入賞演出を、第1レア役入賞演出と、第1レア役入賞演出よりも有利度の高い第2レア役入賞演出とを含む構成とする。そして、第2レア役入賞演出では、例えば、スピーカ15から演出音が出力され、また、バックランプ25は点滅し、液晶表示器14から演出画像が表示される構成とする。一方で、第1レア役入賞演出では、例えば、スピーカ15やバックランプ25は動作させないが液晶表示器14から有利度の低いことを示唆する画像を表示する、あるいは、スピーカ15やバックランプ25を動作させるが、有利度の低いことを示唆する態様で動作させる構成とする。
【0180】
そして、
図25の処理において、賭数2が設定されてレア役入賞演出Aフラグがセットされた場合は第1レア役入賞演出を実行し、賭数3が設定されてレア役入賞演出Bフラグがセットされた場合は第2レア役入賞演出を実行するように構成することが可能である。
【0181】
(入賞時演出の具体例)
入賞時演出の具体例について
図26を用いて説明する。
【0182】
図26(a)(a1)に示すように、当選種別「レア役」(例えば、スイカ)が入賞した場合に、賭数が3に設定されている場合は、スピーカ15から演出音が出力され、また、リール5~7のバックランプ25が点滅し、液晶表示器14から演出画像(図中「チャンス!」)が表示される。
【0183】
図26(a)(a2)に示すように、当選種別「レア役」(例えば、スイカ)が入賞した場合に、賭数が2に設定されている場合は、スピーカ15から演出音が出力されず、また、バックランプ25は動作せず、液晶表示器14の表示も変化しない(前回ゲームの表示を維持する)。
【0184】
図26(b)に示すように、ベルが入賞した場合は、賭数が2あるいは3いずれの場合でも、スピーカ15から演出音が出力され、また、リール5~7のバックランプ25が点滅し、液晶表示器14から演出画像(図中「ベルGET!」)が表示される。なお、リプレイに当選した場合も同様である。
【0185】
本実施形態では、
図11におけるAT開始ゲーム数抽選やナビ回数の上乗せ抽選、ATまでのゲーム数を短縮する抽選は、賭数が3枚に設定されているときは実行されるが、賭数2に設定されているときは実行されない。これらの抽選は当選種別「レア役」に当選したときに実行される、あるいは当選種別「レア役」に当選したときに当選しやすくなるので賭数2のときに当選種別「レア役」に当選しても遊技者は恩恵を得られないこととなる。よって、賭数2のときに入賞時演出を実行すると遊技者の感覚と剥離した演出表現となってしまう。このため、賭数2のときは入賞時演出を行わず、賭数3のときは入賞時演出を行うことにより、遊技者の感覚と剥離しない表現とすることができる。よって、状況に応じて最適な入賞演出を実行することができる。
【0186】
なお、ベルやリプレイに入賞した場合は賭数2あるいは3であっても遊技者が受ける恩恵は略同一であるため、いずれの場合も入賞時演出を実行している。
【0187】
なお、規定数2枚でゲームを開始した際に液晶表示器14において特殊画像を表示する場合に、特殊画像の表示について以下のように構成することが可能である。
【0188】
例えば、2枚掛け遊技して小役が入賞した場合に第3停止に係るストップボタンの押下を解除したときに特殊画像を消去するが、リプレイが入賞した場合には第3停止に係るストップボタンの押下を解除しても特殊画像の表示を継続し、デモ画像の表示開始時間(例えば、ゲーム終了から1分経過時)を経過してもデモ画像を表示させないように構成することが可能である。
【0189】
また、2枚掛け遊技によりリプレイが入賞したゲームの終了後に精算処理を行った場合は、精算処理の終了後も継続して特殊画像を表示する、あるいは精算処理時に精算清算画面を表示して精算処理の終了後に特殊画像の表示を再開するように構成することが可能である。
【0190】
また、AT中である場合において、リプレイが入賞して特殊画像を表示している最中に電断及び電断復帰をさせたときに、その時点でのATの状況に対応する演出画面に復帰させ、次ゲームの開始操作が行われたときに特殊画像を再度表示するように構成することが可能である。
【0191】
また、所謂スライドプッシュ搭載機において、2枚掛け遊技の特殊画像を消去する条件として、第3停止に係るストップボタンの押下を解除したことに加え、全てのリールが停止していることも条件とすることように構成することが可能である。なお、スライドプッシュ搭載機とは、ストップボタン押下に伴うリールの停止中に別のストップボタンを押下可能な機種である。具体的には、ストップボタンの操作が行われてからリールが停止するまでの期間でリールの停止制御が行われている期間に、未だ押下されていないストップボタンの操作を有効に受け付けることが可能な機種である。
【0192】
(演出の構成)
次に、本実施形態のスロットマシンSで実行される演出の構成について説明する。
【0193】
図27に示すように、本実施形態における演出は、複数のシナリオに区別されている。そして、シナリオに応じて演出のストーリーが異なる。例えば、キャラクタによるバトル演出を実行するストーリー、キャラクタによるセリフを発するストーリー、カットイン演出を実行するストーリーなどがある。また、シナリオに応じて演出が完結するまでのゲーム数が異なる。例えば、シナリオ1は5ゲーム、シナリオ2は3ゲームというように異なるゲーム数(換言すると遊技数)が設定されている。また、シナリオは遊技状態に応じて異なるシナリオが設定されている。
図27では、ATにおいて選択され得るシナリオ1~8を例に挙げている。
【0194】
そして、各シナリオには複数種類の演出カテゴリが属している。各演出カテゴリはシナリオのストーリーをより具体的に決定するものである。よって、シナリオを選択した後に演出カテゴリを選択することによりシナリオの具体的なストーリーが決定される。
【0195】
各演出カテゴリには、複数種類の主要演出と、主要演出に付随する(換言すると、関連する)複数種類の複合演出が属している。主要演出は液晶表示器14の表示領域14aにおける第1表示部14cで実行され、複合演出は液晶表示器14の表示領域14aにおける第2表示部14dで実行される演出である。また、複合演出は1遊技間に実行可能な演出である。そして、演出カテゴリを選択した後に演出カテゴリに属する主要演出と複合演出を選択することにより、具体的な演出の態様が決定される。
【0196】
例えば、本実施形態では、シナリオ1~8にそれぞれ3種類の演出カテゴリが属している。具体的には、シナリオ1には演出カテゴリA~C、シナリオ2には演出カテゴリD~F、シナリオ3には演出カテゴリG~I、シナリオ4には演出カテゴリJ~L、シナリオ5には演出カテゴリM~O、シナリオ6には演出カテゴリP~R、シナリオ7には演出カテゴリS~U、シナリオ8には演出カテゴリV~Xが属している。
【0197】
そして、演出カテゴリAには、主要演出A1~A5が属しており、複合演出a1~a5が属している。同様に、演出カテゴリBには、主要演出B1~B5が属しており、複合演出b1~b5が属している。同様に、演出カテゴリCには、主要演出C1~C5が属しており、複合演出c1~c5が属している。演出カテゴリD~Xについても同様である。
【0198】
そして、例えば、シナリオ1がバトル演出を実行するストーリーである場合に、演出カテゴリA~Cはバトル演出を行うキャラクタが異なる。そして、各演出カテゴリの主要演出は、演出カテゴリAの主要演出A1はパンチで決着、演出カテゴリAの主要演出A2はキックで決着というようにバトル演出の展開が異なる。また、複合演出はバトル演出に付随する表示が異なる。具体的には、バトル演出の説明やキャラクタのセリフなどである。
【0199】
また、他のシナリオでは、例えば、キャラクタがセリフを発するストーリーであり、演出カテゴリはセリフを発するキャラクタが異なり、主要演出ではキャラクタの動きが異なり、複合演出ではセリフの内容が異なる。
【0200】
そして、本実施形態では、ATにおいて補助演出が実行される場合に一部の複合演出の実行が制限されることがある。具体的には、補助演出が実行される場合には、シナリオ1の選択後にカテゴリAが選択された場合には複合演出a4~a5が実行されないように演出の実行が制限される。他のカテゴリにおいても同様である。
【0201】
これにより、例えば、本実施形態では、バトル演出の説明(すなわち、遊技の説明)やキャラクタのセリフなどの遊技者に文字を読ませるような1遊技間の演出画像は、補助演出を実行するときには表示されない構成となっている。
【0202】
これにより、1遊技間における文字の表示により遊技者の注意力が散漫になって、補助演出で表示される打順を誤認し、リールの回転を停止(すなわち、図柄の変動表示を停止)させるときのリールの停止操作の誤りを防止できる。換言すると正解打順と異なる打順でリールの停止操作が行われることを防止できる。
【0203】
(複合演出制御処理S1900)
図28は、上記ステップS1900の複合演出制御処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0204】
(ステップS1902)
まず、サブCPU300aは、ゲームが開始したときにメインCPU100aから送信されるコマンドに基づいて遊技状態を識別し、演出シナリオ抽選を実行する。例えば、AT中である場合は、演出シナリオ抽選を実行することにより、
図27に示すシナリオ1~8のいずれか選択する。そして、サブCPU300aは選択されたシナリオを示す演出データをサブRAM300cにセットする。なお、複数ゲームにわたるシナリオが選択され、このシナリオに基づく演出が完結していない場合は、サブCPU300aは本処理を省略する。
【0205】
(ステップS1904)
次に、サブCPU300aは演出カテゴリ抽選を実行する。具体的には、演出カテゴリ抽選では、ステップS1902で選択したシナリオに基づいて
図27に示す演出カテゴリを選択する。そして、サブCPU300aは選択された演出カテゴリを示す演出データをサブRAM300cにセットする。
【0206】
(ステップS1906)
次に、サブCPU300aは主要演出抽選を実行する。具体的には、ステップS1902で選択した演出カテゴリに属する主要演出のいずれかを選択する。そして、サブCPU300aは選択された主要演出を示す演出データをサブRAM300cにセットする。
【0207】
(ステップS1908)
次に、サブCPU300aは、遊技状態がATであることを識別している場合は、メインCPU100aから送信される内部抽選の結果を示すコマンドに基づいて、補助演出を実行するか否かを判定する。そして、補助演出を実行する場合はステップS1910に進む。一方で、補助演出を実行しない場合はステップS1912に進む。
【0208】
(ステップS1910)
次に、サブCPU300aは、ステップS1908で補助演出を実行すると判定した場合、複合演出を決定するための複合演出抽選で用いる抽選テーブルを選択する。このとき、サブCPU300aは、補助演出を実行する場合に実行しない複合演出を除いた抽選テーブルAを選択する、そして、抽選テーブルの選択後にステップS1914に進む。
【0209】
ここで、
図29に示すように、抽選テーブルAでは、例えば、カテゴリAが選択された場合は複合演出a1~a3のうちのいずれかが選択され、複合演出a4及びa5の実行が制限される。また、演出カテゴリBが選択された場合は複合演出b1~b3のうちのいずれかが選択され、複合演出b4及びb5の実行が制限される。他のカテゴリにおいても同様である。
【0210】
(ステップS1912)
一方、サブCPU300aは、ステップS1908で補助演出を実行しないと判定した場合、全ての複合演出を選択可能な抽選テーブルBを選択する、そして、抽選テーブルの選択後にステップS1914に進む。
【0211】
ここで、
図29に示すように、抽選テーブルBでは、例えば、カテゴリAが選択された場合は複合演出a1~a5のうちのいずれかが選択され、複合演出の実行が制限されることがない。また、演出カテゴリBが選択された場合は複合演出b1~b3のうちのいずれかが選択され、複合演出の実行が制限されることがない。他のカテゴリにおいても同様である。
【0212】
(ステップS1914)
そして、サブCPU300aは、ステップS1910又はステップS1912で選択した抽選テーブルA又は抽選テーブルBを用いて複合演出抽選を実行する。複合演出抽選では、複合演出を実行するか否かを決定する。また、複合演出抽選では、複合演出を実行すると決定したときは複合演出の種類も併せて決定する。そして、サブCPU300aは選択された複合演出を示す演出データをサブRAM300cにセットする。
【0213】
ここで、例えば、主要演出を5種類設け、それぞれの主要演出に5種類の複合演出を対応させて、主要演出の決定後に複合演出を決定する構成とした場合は25通りの組み合わせのいずれかを決定するプログラムが必要になる。しかし、本実施形態では、主要演出と複合演出を別個に決定している。このため、例えば、主要演出が5種類、複合演出が5種類である場合に、10通りの組み合わせを決めるプログラム演出を決定することができる。よって、プログラムの容量を減らすことができるので、コストダウンを図ることができる。
【0214】
(複合演出の具体例)
次に、複合演出の具体例について
図30を用いて説明する。なお、表示窓4内の矢印はリールが回転していることを示している。
【0215】
図30(a)に示すように、補助演出が実行されない場合は、液晶表示器14の第1表示部14cで演出画像が表示されて主要演出が実行され、液晶表示器14の第2表示部14dで演出画像が表示されて複合演出が実行される。
図30(a)では、例えば、第1表示部14cでバトル演出の演出画像が表示され、第2表示部14dでバトル演出に関する説明(すなわち、遊技の説明)を示す文字が表示されている。
【0216】
一方、
図30(b)に示すように、補助演出が実行される場合には、補助演出画像400~402が液晶表示器14の第1表示部14cで表示される。補助演出画像400は左リール5に対応し、補助演出画像401は中リール6に対応し、補助演出画像402は右リール7に対応している。そして、補助演出画像400~402は、数字「1」を示す画像が第1停止操作、数字「2」を示す画像が第2停止操作、数字「3」を示す画像が第3停止操作を示している。なお、図示は省略しているが第1表示部14cでは主要演出の演出画像も表示される。そして、液晶表示器14の第1表示部14cで補助演出が実行される場合は、液晶表示器14の第2表示部14dでは文字を表示するような一部の複合演出の実行が制限される。例えば、
図30(a)で示すような遊技の説明を表示する複合演出は実行されない。
【0217】
これにより、複合演出におけるスロットマシンSの遊技の説明の表示により遊技者の注意力が散漫になって、補助演出で表示される打順を誤認し、リールの回転を停止させるときのリールの停止操作の誤りを防止できる。
【0218】
なお、本実施形態では、スタートレバー9やストップボタン10~12を操作するたびに演出の内容が発展する、いわゆるステップアップ演出を実行可能である。具体的には、例えば、ストップボタン10~12を操作するたびにシャッターが開いてAT抽選の結果や内部抽選の結果を示唆することが可能である。そして、ステップアップ演出を実行する場合は複合演出の実行を制限しない構成としている。補助演出を誤認するとメダルの損失が生じるが、ステップアップ演出を誤認しても直接的にメダルの損失が生じるようなことはないため、そのような構成としている。
【0219】
(変形例)
上記実施形態では、抽選テーブルの選択によって、複合演出抽選で選択される複合演出の種類を制限することにより、補助演出が実行されるときに複合演出の実行を制限したが、例えば、全ての複合演出のうちからいずれかを選択するが、補助演出が実行されるときは、特定の複合演出を実行しない、あるいは、特定カテゴリの複合演出については補助演出が実行されるときは実行を制限するなど、上記実施形態と異なる態様により複合演出の実行を制限してもよい。
【0220】
上記実施形態では、特定情報を表示するときに特別情報の表示を制限する例として、特定情報として打順を表示するときに、特別情報として遊技の説明などの文字の表示を制限する例を挙げたが、上記実施形態と異なる態様の制限することも可能である。例えば、特定情報として打順を表示する場合に、特別情報として当該打順と矛盾する打順(補助演出で左第一停止を示しているが、複合演出で右第一停止を示すなど)が表示される場合に特別情報として表示される打順の表示を制限する、特定情報としてシャッターが開いて打順を表示する場合に、特別情報としてシャッターが閉じて打順を示唆する演出を行う例を挙げることができる。
【0221】
上記実施形態では、特定情報として打順を特定可能な情報とする例を挙げたが、打順に限らず、例えば、リールの停止タイミング、停止させる図柄の色や種類を特定可能な情報を特定情報としてもよい。
【0222】
上記実施形態では、第1表示部及び第2表示部を液晶表示器14の2つの領域とする例を挙げたが、例えば、第1表示部を液晶表示器の表示領域、第2表示部を演出用のリールとする、第1表示部を演出用のリール、第2表示部を液晶表示器の表示領域とする、第1表示部及び第2表示部を演出用のリールとするなど、第1表示部と第2表示部の構成を上記実施形態と異なる構成としてもよい。
【0223】
上記実施形態では、複合演出において液晶表示器14から画像の表示のみを行ったが、ランプの点灯、点滅、消灯や役物の可動なども行ってもよい。
【0224】
(本記実施形態の効果)
本実施形態では、識別情報(本例では、図柄)の変動表示を行うことが可能な遊技機(本例では、スロットマシンS)であって、
前記識別情報の変動表示を停止させるために操作される操作手段(本例では、ストップボタン10~12)と、
前記操作手段の操作態様を特定可能な特定情報(本例では、打順)を表示可能な第1表示部(本例では、第1表示部14c)と、
前記特定情報と異なる内容の情報であるとともに1遊技間に表示される情報である特別情報(本例では、複合演出で示す情報)を表示可能な第2表示部(本例では、第2表示部14d)と、
前記第1表示部で前記特定情報を表示するときに前記特別情報の表示を制限することが可能である表示制限手段(本例では、
図28のステップS1908でYESの場合にステップS1910を実行する部分)と、を備えている。
よって、複合演出で示す情報の表示により注意力が散漫になって打順を誤認し、図柄の変動表示を停止させるときの操作の誤りを防止できる。
【0225】
以上のように、本実施形態は、以下の発明を含んでいる。
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技が開始可能となるように遊技者の選択により第1賭数及び第2賭数を含む複数種類の賭数からいずれかの賭数を設定可能な賭数設定手段と、
第1役と第2役とを含む複数種類の役の当否を決定する当選役決定手段と、
演出を実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記第2役は前記第1役よりも有利度が高い役であり、
前記演出は、前記第1役が入賞したときに実行される特定入賞演出と、前記第2役が入賞したときに実行される特別入賞演出と、を含み、
前記演出実行手段は、
前記第1役が入賞した場合は、前記第1賭数が設定されているとき及び前記第2賭数が設定されているときのいずれにおいても前記特定入賞演出を実行可能であり、
前記第2役が入賞した場合は、前記第1賭数が設定されているときに前記特別入賞演出を実行せず、前記第2賭数が設定されているときに前記特別入賞演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。よって、状況に応じて最適な入賞演出を実行することができる。
【0226】
また、本実施形態は、以下の発明を含んでいる。
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技が開始可能となるように遊技者の選択により第1賭数及び第2賭数を含む複数種類の賭数からいずれかの賭数を設定可能な賭数設定手段と、
第1役と第2役とを含む複数種類の役の当否を決定する当選役決定手段と、
演出を実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記第2役は前記第1役よりも有利度が高い役であり、
前記演出は、前記第1役が入賞したときに実行される特定入賞演出と、前記第2役が入賞したときに実行される特別入賞演出と、を含み、
前記特別入賞演出は、第1特別入賞演出と、前記第1特別入賞演出よりもよりも有利度が高いことを示唆する第2特別入賞演出と、を含み、
前記演出実行手段は、
前記第1役が入賞した場合は、前記第1賭数が設定されているとき及び前記第2賭数が設定されているときのいずれにおいても前記特定入賞演出を実行可能であり、
前記第2役が入賞した場合は、前記第1賭数が設定されているときに前記第1特別入賞演出を実行可能であり、前記第2賭数が設定されているときに前記第2特別入賞演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。よって、状況に応じて最適な入賞演出を実行することができる。
【0227】
また、本実施形態は、以下の発明を含んでいる。
遊技を行うことが可能な遊技機において、
筐体と、
前記筐体の前面に回動可能に設けられた前扉と、を備え、
前記前扉は、第1状態と、第2状態とに回動可能であり、
前記第1状態は、前記前扉が閉じており、前記前扉の被支持部材が前記筐体の支持部材に支持されており、前記前扉の所定の下辺部から前記筐体の載置面までの隙間の寸法が第1寸法となっている状態であり、
前記第2状態は、前記前扉が開いており、前記前扉の前記被支持部材が前記筐体の前記支持部材に当接しておらず、前記前扉の所定の下辺部から前記筐体の載置面までの隙間の寸法が第1寸法よりも小さい第2寸法となっている状態であり、
前記第1寸法は、遊技球の直径よりは小さく、遊技メダルの厚さよりも大きく、
前記第2寸法も、遊技球の直径よりは小さく、遊技メダルの厚さよりも大きいことを特徴とする遊技機。
【0228】
上記実施形態では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを例に挙げて説明したが、これに限定されることなく、例えば、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンに上記実施形態で示した構成を適用して、各請求項に係る発明を実現することが可能である。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させた場合に、上記実施形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0229】
本発明の遊技機は、メダル及び遊技球などの複数種類の遊技用価値のうちのいずれか1種類のみを用いるものに限定されるものでなく、例えばメダル及び遊技球などの複数種類の遊技用価値を併用できるものであってもよい。すなわち、メダル及び遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダル及び遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るスロットマシンも本発明のスロットマシンに含まれるものである。
【0230】
上記実施形態では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを例に挙げて説明したが、例えば、遊技球を用いるパチンコ遊技機に上記実施形態で示した構成を適用して、各請求項に係る発明を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0231】
S スロットマシン
5~7 リール
10~12 ストップボタン
100 遊技制御基板
100a メインCPU
100b メインROM
100c メインRAM
300 演出制御基板
300a サブCPU
300b サブROM
300c サブRAM