(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185897
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】開閉体用枠構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
E06B9/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093804
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】井部 弘美
(72)【発明者】
【氏名】神田 淑佳
(57)【要約】
【課題】戸当り枠を短時間で高精度に取付施工できる開閉体用枠構造を提供する。
【解決手段】開閉体と、開閉体の開閉方向に沿う両側縁の表裏をレール底27から起立する一対の離間した平行なレール側壁29により挟んでガイドする第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19と、開閉体の移動方向端縁に設けられる枠材と、建物躯体37に取り付けられ開閉体の閉鎖時に枠材が当接する戸当り枠41と、を備える開閉体用枠構造であって、戸当り枠41は、レール側壁29との干渉を回避する切欠65を有し、この切欠65にレール側壁29を配置することにより、切欠65が形成される長手方向枠端67を第1のガイドレール17と第2のガイドレール19のいずれか一方のガイドレール19のレール底27に載置して、一方のガイドレール19に対して位置決めされる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体と、
前記開閉体の開閉方向に沿う両側縁の表裏をレール底から起立する一対の離間した平行なレール側壁により挟んでガイドする第1のガイドレール及び第2のガイドレールと、
前記開閉体の移動方向端縁に設けられる枠材と、
建物躯体に取り付けられ前記開閉体の閉鎖時に前記枠材が当接する戸当り枠と、を備える開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠は、前記レール側壁との干渉を回避する切欠を有し、この切欠に前記レール側壁を配置することにより、該切欠が形成される長手方向枠端を前記第1のガイドレールと第2のガイドレールのいずれか一方のガイドレールの前記レール底に載置して、該一方のガイドレールに対して位置決めされることを特徴とする開閉体用枠構造。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠は、長手方向両端に、前記切欠が設けられていることを特徴とする開閉体用枠構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠は、前記開閉体の移動方向で前記建物躯体から戸当り面を離間させる中空部を有することを特徴とする開閉体用枠構造。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠は、前記戸当り面から前記中空部に通じるストライク穴が、前記長手方向枠端から所定の距離に配置されていることを特徴とする開閉体用枠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体用枠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部などに配設される開閉体として、例えばシャッターカーテンが左右横方向に移動して開口部の開閉を行う横引きシャッターが知られている(特許文献1、2等参照)。横引きシャッターは、各スラットが垂直方向を長手方向とした可撓可能な面状のシャッターカーテンとしており、シャッターカーテンの上下縁部が、建物側の上下縁部に対向して設けられているガイドレールに案内され移動する。シャッターカーテンの上下縁部には凹溝状のガイドレール内に沿って転動する複数のローラが設けられている。ローラは、シャッターカーテン自体を支持するための軸線を水平とした支持ローラと、シャッターカーテンの上下縁部を上下ガイドレール内で幅方向中央に配置するための軸線を垂直とした水平ローラとで構成される。横引きシャッターは、開口部を閉鎖した際に施錠装置により施錠される。施錠装置は、シャッターカーテンの移動方向端縁となる枠材に設けられ、この枠材に対向して建物躯体に設けられる戸当り枠に対し、デッドボルトを突出させて係止状態とすることで施錠となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-2894号公報
【特許文献2】特開2002-357063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の開閉体用枠構造における戸当り枠は、現場での取付施工に際し、建物躯体の固定面に位置を出し、例えば、固定済みのガイドレール等を基準に墨だしを行い、その位置出しした線に合わせて手で押さえながら固定を行っていた。このため、位置出しの手間がかかること、固定時に位置がずれやすいことなどの課題があった。
そして、この戸当り枠の位置がずれてしまうことで、上記した施錠装置との取り合いが合わず、すなわち突出するデッドボルトと戸当り枠側のストライク穴との位置ずれが大きくなり、施錠不良などを起こす原因となるおそれがある。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、戸当り枠を短時間で高精度に取付施工できる開閉体用枠構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉体用枠構造は、開閉体13と、
前記開閉体13の開閉方向に沿う両側縁の表裏をレール底27から起立する一対の離間した平行なレール側壁29により挟んでガイドする第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19と、
前記開閉体13の移動方向端縁に設けられる枠材45と、
建物躯体37に取り付けられ前記開閉体13の閉鎖時に前記枠材45が当接する戸当り枠41と、を備える開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠41は、前記レール側壁29との干渉を回避する切欠65を有し、この切欠65に前記レール側壁29を配置することにより、該切欠65が形成される長手方向枠端67を前記第1のガイドレール17と第2のガイドレール19のいずれか一方のガイドレール19の前記レール底27に載置して、該一方のガイドレール19に対して位置決めされることを特徴とする。
【0007】
この開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19の少なくとも一方のレール側壁29との干渉を回避できる切欠65を有している。戸当り枠41は、切欠65を備えていることにより、一方のレール側壁29にこの切欠65を配置する。切欠65をレール側壁29に配置した戸当り枠41は、戸当り面69を有する戸当り枠正面板部49の長手方向枠端67が、レール底27に載置されることになる。つまり、戸当り枠41は、レール底27を基準として垂直方向が位置決めされる。また、戸当り枠41は、戸当り枠正面板部49の正面板側端面77が、レール内壁面75に干渉せず、レール側壁29の厚みに影響なく位置決め可能となる。さらに、戸当り枠41は、レール末端面79が、枠側板部47の切欠縦端面81に当接することにより、開閉体13の移動方向の終端が設定される。このようにして位置決めされた戸当り枠41は、ガイドレールに載置した状態で保持しながら、枠側板部47を貫通する固定部材51により、建物躯体37に容易に固定が可能となる。つまり、開閉体用枠構造は、戸当り枠41に備えられる切欠65を利用し、既に固定されているガイドレール17、19を基準として、三次元方向に位置決めが可能となる。また、戸当り枠41は、ガイドレール17、19に対して三次元方向での干渉を回避した位置で、建物躯体37側に当接することが可能となり、手を添える程度の僅かな保持力で位置決め状態を維持することができる。
【0008】
本発明の請求項2記載の開閉体用枠構造は、請求項1に記載の開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠41は、長手方向両端に、前記切欠65が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、長手方向両端に切欠65を備える。戸当り枠41は、長手方向両端に、切欠65を備えることにより、開閉体13をガイドする第1のガイドレール17、第2のガイドレール19の双方に対して位置決めが可能となり、より高精度の位置出しが可能となる。また、戸当り枠41は、一方のガイドレールのレール底27に載置した状態で、2箇所のレール内壁面75との干渉を回避でき、2箇所のレール末端面79とに当接させることができるので、僅かな保持力で位置ずれを抑制することができ、固定作業をより容易に行うことができるようになる。
【0010】
本発明の請求項3記載の開閉体用枠構造は、請求項1または2に記載の開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠41は、前記開閉体13の移動方向で前記建物躯体37から戸当り面69を離間させる中空部73を有することを特徴とする。
【0011】
この開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、開閉体13の移動方向で、建物躯体37から戸当り面69を離間させる方向の中空部73を有している。中空部73を有する戸当り枠41は、建物躯体37に固定するだけで、戸当り枠正面板部49に奥行のあるストライク穴63が配置可能となる。戸当り枠正面板部49の戸当り面69には、開閉体13の戸先となる移動方向端縁に設けられている枠材45が当接する。開閉体13は、閉鎖時に、戸当り面69に当接した枠材45から、カマデッド55が揺動しながら進出することにより、ストライク穴63から中空部73に入り込み、ストライク穴63の背面に係止が可能となる。
【0012】
本発明の請求項4記載の開閉体用枠構造は、請求項3に記載の開閉体用枠構造であって、
前記戸当り枠41は、前記戸当り面69から前記中空部73に通じるストライク穴63が、前記長手方向枠端67から所定の距離に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、中空部73に通じるストライク穴63を備える。ストライク穴63は、戸当り枠41の長手方向枠端67から所定の距離で予め配置されている。戸当り枠41の長手方向枠端67は、上述したように、ガイドレールのレール底27に載置されること等により、既に固定されているガイドレールを基準に、三次元方向に位置決めされる。従って、ストライク穴63は、戸当り枠41の長手方向枠端67がレール底27に位置決めされれば、ガイドレールに対して所定の位置に配置される。一方、開閉体13は、レール底27をローラが転動するため、ガイドレールのレール底27を基準に施錠装置35の位置が定まる。つまり、ストライク穴63と、このストライク穴63に係合する例えばカマデッド55を備えた施錠装置35とは、ガイドレールのレール底27を基準に戸当り枠41を直接位置決めできるので、ストライク穴63とカマデッド55とを高精度に位置合わせできる。このことから施錠不良を抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る請求項1記載の開閉体用枠構造によれば、戸当り枠を短時間で高精度に取付施工できる。
これにより、例えば、施錠装置との取り合い、すなわち突出するデッドボルトと戸当り枠側のストライク穴との位置ずれが解消でき、施錠不良を抑制できる。
【0015】
本発明に係る請求項2記載の開閉体用枠構造によれば、戸当り枠が第1のガイドレール及び第2のガイドレールの双方に干渉しなくなり、施工性をさらに向上させることができる。
【0016】
本発明に係る請求項3記載の開閉体用枠構造によれば、建物躯体が第1のガイドレール及び第2のガイドレールからセットバックしておらず、枠材の戸先が建物躯体に突き当たるような納まりの場合であっても施錠装置にカマ錠を採用することができる。
【0017】
本発明に係る請求項4記載の開閉体用枠構造によれば、開閉体に設けられる施錠装置と、戸当り枠に設けられるストライク穴とを共通の基準位置であるレール底から定めることができ、施錠不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は本発明に係る開閉体用枠構造を備える横引きシャッターの概略正面図、(b)は同横引きシャッターの平断面図である。
【
図3】(a)は戸当り枠をガイドレール側より見た正面図、(b)は(a)の側面図である。
【
図4】戸当り枠とストライク板とガイドレールの分解斜視図である。
【
図6】ストライク板取付構造の変形例を表す要部分解斜視図である。
【
図7】開閉体用枠構造の変形例1を表す平断面図である。
【
図8】
図7に示した変形例1に係る開閉体用枠構造の分解斜視図である。
【
図9】開閉体用枠構造の変形例2を表す平断面図である。
【
図10】
図9に示した変形例2に係る開閉体用枠構造の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明に係る開閉体用枠構造を備える横引きシャッター11の概略正面図、(b)は同横引きシャッターの平断面図である。
本実施形態に係る開閉体用枠構造は、開閉体が2枚で構成される例とされ、開閉体としての第1のシャッターカーテン13と、同等構造とされる第2のシャッターカーテン15とで構成され、この第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15が上下一対の第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19により左右横方向にスライド移動し開口部21の開閉を行う横引きシャッター11を例として説明する。
【0020】
この横引きシャッター11は、例えば小型店舗などの建物に用いられており、
図1に示すように、店舗23の半部を開口部21とした構成とされ、この開口部21に対し本実施形態では、2枚の第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15にて閉鎖を行い、また、これら第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15を重ねた状態で、開口部21の側方の残る半部に位置する収納部25に収納し、開口部21を開放させるようになっている。
【0021】
一対の第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19は、建物の開口部21の上縁と下縁とに略水平とされ、互いに平行となって対向して配設される。これら第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19は、
図1(a)に示すように、略C字状に中途が湾曲形成されている。
【0022】
上側となる第1のガイドレール17及び下側となる第2のガイドレール19は、それぞれが断面略コ字状に形成される。すなわち、第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19は、それぞれが第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15の開閉方向に沿う両側縁の表裏を、レール底27(
図3参照)から起立する一対の離間した平行なレール側壁29(
図3参照)により挟んで、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15の上縁及び下縁を案内する。
【0023】
第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15は、それぞれが略短冊板状に形成される金属製、例えば鋼板やアルミニウム型材などよりなる複数のスラット部材31より構成され、各スラット部材31の左右縁部となる長辺部同士を互いに連結して構成される。第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15は、連結部分を介して各スラット部材同士が相対可動することにより、屈曲可能な面状となる。
【0024】
第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15は、ガイドローラ33と支持ローラ(不図示)とを備える。ガイドローラ33は、垂直軸回りに回転自在となり、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15を第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19の溝幅方向中央(一対のレール側壁29間の中央)に寄せて移動をガイドする。支持ローラは、水平軸回りに回転自在となり、第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19の荷重を支持して下側に配置される第2のガイドレール19のレール底27を転動する。
【0025】
第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15は、開口部21を閉鎖した状態で、移動方向で隣り合う。また、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15は、互いに隣り合うスラット部材同士を、施錠装置などにて連結状態とし、1枚状に構成させることで、開口部21の閉鎖が行われる。
【0026】
収納部25は、建物躯体37の外側に付設され、建物の外壁39に沿って設けられる戸袋よりなり、開口部21の一側に位置して、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15を内部に収納する。収納部25は、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15の出入口となるスリット状開口を備える。本実施形態において、収納部25は、
図1(b)に示すように、中途が折曲した略L字状の戸袋とされる。
【0027】
収納部25は、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15が2枚で構成されることから、2つの収納支持部としての2つの収納レール(不図示)を備えて構成される。これら2つの収納レールは、第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19と略同形状であり、断面略コ字状に形成される。2枚の第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15は、不図示の切替片により移動経路が切り替えられることにより、2つの収納レールのそれぞれに収納されるよう構成されている。
【0028】
第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15は、開口部21を閉鎖する際に、閉鎖方向の先頭側となる第1のシャッターカーテン13が、建物躯体37に固定されている戸当り枠41(
図3参照)に当接する。戸当り枠41の店舗23の外側には、化粧板43が配置される。
【0029】
図2は、
図1に示したA部拡大図である。
第1のシャッターカーテン13の移動方向端縁には、枠材45が設けられる。枠材45は、所謂、開閉体の構造としての縦框である。戸当り枠41は、第1のシャッターカーテン13の閉鎖時に、この枠材45が当接する。戸当り枠41は、一対の平行な枠側板部47が、戸当り枠正面板部49の幅方向両側に接続された平面視略コ字状に形成される。一対の平行な枠側板部47は、建物躯体側に固定される一方が戸当り枠正面板部49から長く延出している。この一方の枠側板部47は、建物躯体37の外面に沿い、この外面に当接して、固定ビス51等の固定部材により上下方向の複数箇所が建物躯体37に固定される。戸当り枠41は、下側に配置される第2のガイドレール19の内側に組み入れられて配置される。第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19のレール末端53は、外側のレール側壁29が化粧板43により覆われる。
【0030】
第1のシャッターカーテン13の枠材45の近傍、すなわち、戸先には、施錠装置35が設けられている。本実施形態において、施錠装置35は、カマデッド55を枠材45から円弧を描いて進退させるカマ錠となる。施錠装置35は、第1のシャッターカーテン13の室外側に配置されるシリンダー錠57または屋内側に配置されるサムターン59が回転操作されることにより、カマデッド55を枠材45から進退させ、戸当り枠41に固定されたストライク板61のストライク穴63に係止・係止解除する。
【0031】
図3(a)は戸当り枠41をガイドレール側より見た正面図、(b)は(a)の側面図である。
戸当り枠41は、レール側壁29との干渉を回避する切欠65を有する。戸当り枠41は、この切欠65にレール側壁29を配置することにより下側の長手方向枠端67を第2のガイドレール19のレール底27に載置して第2のガイドレール19に対して位置決めされる。なお、開閉体用枠構造において、上下一対のガイドレール17、19は、予め位置決め固定されていることが前提となる。また、これらガイドレール17、19は建物躯体37の外面の外側に位置し、この建物躯体37外面とガイドレールのレール側壁29外面とが対向し略当接状態とされる。本実施形態において、戸当り枠41は、長手方向両端に、切欠65が設けられている。戸当り枠41の戸当り面69には、ストライク穴63を有したストライク板61が固定ねじ71により取り付けられる。ストライク板61のストライク穴63は、戸当り面69から中空部73(
図2参照)に通じる戸当り枠正面板部49を貫通した穴となる。このストライク穴63は、戸当り枠41の下側の長手方向枠端67から所定の距離で予め配置されている。
【0032】
図4は、戸当り枠41とストライク板61とガイドレールの分解斜視図である。
戸当り枠41は、第1のシャッターカーテン13の戸先が当接する戸当り面69が形成された戸当り枠正面板部49を有する。戸当り枠正面板部49は、上下に長い長方形となる。戸当り枠正面板部49の左右の長辺部には、戸先と反対方向に直角に折り曲げられた一対の平行な枠側板部47が接続される。戸当り枠41は、戸当り枠正面板部49と一対の枠側板部47とにより平面視コ字状となる。一対の平行な枠側板部47は、上述したように、一方が戸当り枠正面板部49からの延出長が長く形成され、建物躯体37に固定される固定板となっている。
【0033】
戸当り枠41は、固定板となる一方の枠側板部47の長手方向両端、すなわち、上下端に、切欠65が形成される。切欠65は、枠側板部47と戸当り枠正面板部49との直交する隅部を含んで主に枠側板部47に矩形状で切り欠かれる。戸当り枠41は、この切欠65が形成されることにより、戸当り枠正面板部49の端に、レール内壁面75に対向する正面板側端面77が表出する。また、枠側板部47には、ガイドレール19のレール末端面79に対向する切欠縦端面81が表出する。また、枠側板部47には、ガイドレール19のレール側壁起立先端面83に対向する切欠横端面85が表出する。
【0034】
戸当り面69には、戸当り枠正面板部49を貫通して中空部73に通じる上下に長い長方形の取付穴87が形成される。この取付穴87は、戸当り面69に取り付けられるストライク板61に、ストライク穴63と通じた状態で覆われる。取付穴87は、ストライク穴63よりも高さ方向に余裕を持たせた寸法で形成される。つまり、取付穴87は、ストライク穴63よりも少なくとも上下に大きい。具体的には、取付穴87は、ストライク穴63よりも高さ方向に5mm程度の余裕を持たせた寸法で形成される。戸当り面69には、取付穴87の上下の短辺部に接続する上下に長い長穴89が形成される。この長穴89には、ストライク板61を貫通した固定ねじ71が挿通される。
【0035】
図5は、ストライク板近傍の側面図である。
ストライク板61及び長穴89を貫通した固定ねじ71の先端側には、ワッシャ91、ナット93が装着される。これにより、戸当り面69には、ストライク穴63が所定位置となるようにして、ストライク板61が固定される。ストライク穴63の背面には、ストライク穴63の上側直近に突出部95が形成される。ストライク穴63には、第1のシャッターカーテン13の施錠装置35から進出したカマデッド55が入り込み、この突出部95の上に下方から上方に向けて円弧を描くように回転して係止する。
【0036】
この突出部95とカマデッド55との相対位置は、高精度に設定される必要がある。このため、ストライク穴63は、レール底27を基準とした所定位置には設定されるが、固定ねじ71が長穴89に沿って僅かに上下方向に移動されて固定できることにより、突出部95にカマデッド55が一致するよう微調整が可能となっている。すなわち、開閉体用枠構造は、施錠装置35のカマデッド55の掛かるストライク穴63が設けられているストライク板61を調整することができるように構成されている。
【0037】
図6は、ストライク板取付構造の変形例を表す要部分解斜視図である。
なお、長穴89は、取付穴87と離間して戸当り枠正面板部49に穿設されていてもよい。この場合においても固定ねじ71が長穴89に沿って僅かに上下方向に移動されて固定できることにより、突出部95にカマデッド55が一致するよう微調整が可能となる。
【0038】
図7は、開閉体用枠構造の変形例1を表す平断面図である。
上述の戸当り枠41は、固定板となる枠側板部47が、建物躯体37の側面に固定される。このため、戸当り枠正面板部49の背面には、カマデッド55の進入する中空部73が確保しやすい。一方、開閉体用枠構造は、第1のシャッターカーテン13の戸先である枠材45が当接する位置に建物躯体37が配置される場合がある。このように建物躯体37がガイドレールからセットバックして後退位置とならず、戸先が建物躯体37に突き当たるような納まりとなる場合、開閉体がカマデッド55を採用していると、上述の形状のような戸当り枠41を取り付けることができない。従来では、ストライクを建物躯体37に直接取付けたい場合には、カマデッド55の挿入寸法分、建物躯体37側をはつる、或いは欠き込み、凹部などを成形する必要があった。
【0039】
これに対し、変形例1に係る開閉体用枠構造は、戸当り枠97が、第1のシャッターカーテン13の移動方向で建物躯体37から戸当り面69を離間させる中空部73を有している。また、この戸当り枠97も上述と同様の切欠65を備えている。
【0040】
図8は、
図7に示した変形例1に係る開閉体用枠構造の分解斜視図である。
変形例1に係る開閉体用枠構造の戸当り枠97は、平面視がコ字形状で戸当り枠97が外側から嵌合する固定枠部99を備える。固定枠部99は、第1のシャッターカーテン13の戸先である枠材45が対向する建物躯体37の面に、固定ねじ71(
図7参照)により固定される。この固定枠部99には、コ字形状の開口側同士を対向させた向きで戸当り枠97が外側から嵌合される。固定枠部99に嵌合した戸当り枠97は、一対の枠側板部47におけるそれぞれの外側から皿頭のタッピングねじ101等により固定枠部99の一対の側板部103に螺着される。これにより、変形例1に係る開閉体用枠構造によれば、固定枠部99と戸当り枠97との間に、カマデッド55を係合させるための中空部73が確保される。そのため、変形例1に係る開閉体用枠構造は、多様な納まりに対応することができるようになる。
【0041】
図9は、開閉体用枠構造の変形例2を表す平断面図である。
変形例2に係る開閉体用枠構造は、戸当り枠105が、所謂ハット形に形成される。この戸当り枠105も、上記戸当り枠97と同様に、切欠65を有するとともに、第1のシャッターカーテン13の移動方向で建物躯体37から戸当り面69を離間させる中空部73を確保することができる。
【0042】
図10は、
図9に示した変形例2に係る開閉体用枠構造の要部拡大斜視図である。
戸当り枠105は、平面視コ字状の戸当り枠本体部107の一対の枠側板部47から直角に曲がって外側に張り出す一対の固定片部109を有する。それぞれの固定片部109は、建物躯体37の戸先である枠材45と対向する面に、固定ビス51(
図9参照)により固定される。これにより、変形例2に係る開閉体用枠構造によれば、建物躯体37と戸当り枠105との間に、カマデッド55を係合させるための中空部73が確保される。そのため、変形例2に係る開閉体用枠構造は、変形例1に係る開閉体用枠構造よりも少ない部品点数で、多様な納まりに対応することができる。
【0043】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0044】
本実施形態に係る開閉体用枠構造では、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15の開閉方向に沿う両側縁の表裏が、レール底27から起立する一対の離間した平行なレール側壁29を有する第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19におけるそれぞれのレール側壁29に挟まれてガイドされる。ガイドされる第1のシャッターカーテン13は、移動方向端縁に枠材45が設けられている。枠材45は、所謂戸先となる。第1のシャッターカーテン13は、閉鎖時に、この枠材45が戸当り枠41に当接して閉鎖される。
【0045】
戸当り枠41は、建物躯体37に固定される。戸当り枠41は、第1のシャッターカーテン13の正規の閉鎖位置において、枠材45に当接するよう高精度に取付施工される必要がある。これは、戸当り枠41と第1のシャッターカーテン13の枠材45とにずれが生じていると、枠材45に設けられた施錠装置35と、戸当り枠41に設けられたストライク穴63とが一致せず、鍵がかからない不具合、所謂、施錠不良が発生するためである。
【0046】
従来、戸当り枠41は、現場での取付施工に際し、固定済みのガイドレール等を基準に墨だし作業等により、建物躯体37の固定面に位置を出し、その位置出しした線に合わせて手で押さえながら固定を行っていた。このため、位置出しの手間があること、固定時に位置がずれやすいことなどの課題があった。
【0047】
これに対し、開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19の少なくとも一方のレール側壁29との干渉を回避できる切欠65を有している。戸当り枠41は、切欠65を備えていることにより、一方のレール側壁29にこの切欠65を配置する。切欠65をレール側壁29に配置した戸当り枠41は、戸当り面69を有する戸当り枠正面板部49の長手方向枠端67が、レール底27に載置されることになる。つまり、戸当り枠41は、レール底27を基準として垂直方向(
図4中矢線X方向)が位置決めされる。また、戸当り枠41は、切欠65により表出した戸当り枠正面板部49の正面板側端面77が、レール内壁面75と干渉しない対向配置となる(
図4中矢線Z方向)。これにより、戸当り枠41は、一対のレール側壁29から離間される。さらに、戸当り枠41は、切欠65に配置されたレール側壁29のレール末端面79が、切欠65により表出した枠側板部47の切欠縦端面81に当接する(
図4中矢線Y方向)。これにより、戸当り枠41は、開閉体13の移動方向の終端が位置決めされる。なお、切欠65により表出した戸当り枠41の切欠横端面85は、第2のガイドレール19のレール側壁起立先端面83との間に、クリアランスC(
図3参照)を有し、干渉しない。
【0048】
このようにして位置決めされた戸当り枠41は、ガイドレール19に載置した状態で保持しながら、枠側板部47を貫通する固定部材51により、建物躯体37に容易に固定が可能となる。つまり、開閉体用枠構造は、戸当り枠41に備えられる切欠65を利用し、既に正規の位置で固定されているガイドレール19を基準として、三次元方向に位置決めが可能となる。また、戸当り枠41は、ガイドレール19に対して重力を利用して三次元方向に当接しているため、すなわち、長手方向枠端67とレール底27(X方向)、切欠縦端面81とレール末端面79(Y方向)、及び枠側板部47と建物躯体37(Z方向)がそれぞれ当接して、戸当り枠41を建物躯体37に押さえつけるように手を添える程度の僅かな保持力で位置決めを完了し、その位置決め状態を維持することができる。
【0049】
また、この開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、長手方向両端に切欠65を備える。戸当り枠41は、長手方向両端に、切欠65を備えることにより、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15をガイドする第1のガイドレール17、第2のガイドレール19の双方に対して干渉の回避と位置決めが可能となり、より高精度の位置出しが可能となる。また、戸当り枠41は、一方のガイドレール19のレール底27に載置した状態で、上下2箇所のレール内壁面75と、上下2箇所のレール末端面79とに当接させることができるので、僅かな保持力で上下両ガイドレール17、19に対する位置ずれを抑制することができ、固定作業をより容易に行うことができるようになる。その結果、戸当り枠41が第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19の双方に干渉しなくなり、施工性をさらに向上させることができる。
【0050】
また、この開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、第1のシャッターカーテン13及び第2のシャッターカーテン15の移動方向で、建物躯体37から戸当り面69を離間させる方向の中空部73を有している。すなわち、戸当り枠41は、建物躯体37との間に、カマデッド55の挿入が可能となる中空部73を有する。中空部73を有する戸当り枠41は、建物躯体37に固定するだけで、戸当り枠正面板部49にストライク穴63が配置される。戸当り枠正面板部49の戸当り面69には、第1のシャッターカーテン13の戸先に設けられている枠材45が当接する。第1のシャッターカーテン13は、閉鎖時に、戸当り面69に当接した枠材45から、カマデッド55が揺動しながら進出することにより、ストライク穴63から中空部73に入り込み、ストライク穴63の背面に係止が可能となる。その結果、建物躯体37が第1のガイドレール17及び第2のガイドレール19からセットバックしておらず、枠材45の戸先が建物躯体37に突き当たるような納まりの場合であってもカマ錠を採用することができるようになる。
【0051】
さらに、この開閉体用枠構造では、戸当り枠41が、中空部73に通じるストライク穴63を備える。ストライク穴63は、枠材45の長手方向枠端67から所定の距離で予め配置されている。枠材45の長手方向枠端67は、上述したように、ガイドレール19のレール底27に載置されること等により、既に固定されているガイドレール19を基準に、三次元方向に位置決めされる。従って、ストライク穴63は、枠材45の長手方向枠端67がレール底27に位置決めされれば、ガイドレール19に対して所定の位置に配置される。一方、第1のシャッターカーテン13は、レール底27を支持ローラが転動するため、ガイドレール19のレール底27を基準に施錠装置35の位置が定まる。つまり、ストライク穴63と、このストライク穴63に係合する例えばカマデッド55を備えた施錠装置35とは、ガイドレール19のレール底27を基準に戸当り枠41を直接位置決めできるので、ストライク穴63とカマデッド55とを容易かつ高精度に位置合わせできる。その結果、第1のシャッターカーテン13に設けられる施錠装置35と、戸当り枠41に設けられるストライク穴63とを共通の基準位置であるレール底27から定めることができ、施錠不良を抑制することができる。
【0052】
従って、本実施形態に係る開閉体用枠構造によれば、戸当り枠41を短時間で高精度に取付施工できる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、戸当り枠41がガイドレール17、19の内側、すなわちガイドレール17、19の一対のレール側壁29の間に配置される幅長で構成されることから、切欠65を、一方のレール側壁29との干渉を回避するように幅方向の一方のみとして構成、すなわち一方の枠側板部47側に形成される例を示したが、戸当り枠41の幅長がレール側壁29、29間の間隔幅長以上の幅長であれば、一対の各レール側壁29との干渉を回避するように、切欠65を戸当り枠41の幅方向の両側となる両枠側板部47にそれぞれ設けることとしてもよい。また、両枠側板部47のそれぞれに切欠65を設ける構成とすれば、戸当り枠41の幅長が両レール側壁29間の間隔幅長よりも狭い場合でも、このガイドレールのいずれかのレール側壁29に対する干渉の回避が可能となり、戸当り枠41の固定向きがどちら側でも、つまり両枠側板部47のどちら側を固定側としても固定が可能となる。なお、この切欠65は、建物躯体37の構造、建物躯体37に対するガイドレール17、19の配置向きである左右勝手など、上述した本実施形態で述べたように、建物躯体37への固定は一方の枠側板部47側で行われることから、一方の枠側板部47に切欠65が設けられる、つまり、戸当り枠41の幅方向における一方側にのみ構成がよりよい。
【0054】
さらには、切欠65は戸当り枠41の長手方向両端ではなく、一方にのみ設けられる構成としてもよく、レール底27に載置される長手方向枠端67側に切欠65が配設されればよい。この場合、レール底27に載置される一方の端部(長手方向枠端67)とは反対の他方の端部側においては、ガイドレールの内側へ配置されなくてもよい構成となる。
【0055】
なお、上述した実施形態では、開閉体として、スラットで構成されたシャッターカーテンとして説明したが、パネルで構成されるパネルカーテンでもよく、また、パイプ材で構成されるグリルカーテンでもよく、さらにはシート材で構成されるシートカーテンでもよい。また、開閉方向を横方向とした横引きシャッターとしての構成について説明したが、上下方向に開閉体が移動し開閉する昇降型のシャッター装置、水平方向に移動する水平引きシャッター装置などでも同様の効果を得ることができる。さらに、シャッター以外の開閉体、例えば、引戸や門扉などでも上記と同様の構成を採用することで、閉鎖時の状態が正しく行われることを可能とする。
【符号の説明】
【0056】
13…開閉体(第1のシャッターカーテン)
17…ガイドレール(第1のガイドレール)
19…ガイドレール(第2のガイドレール)
27…レール底
29…レール側壁
37…建物躯体
41…戸当り枠
45…枠材
63…ストライク穴
65…切欠
67…長手方向枠端
69…戸当り面
73…中空部