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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185907
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20221208BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093822
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 純
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真滋
(72)【発明者】
【氏名】和氣 範明
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC23
3K107CC25
3K107DD04
3K107DD11
3K107DD22
3K107DD27
3K107EE21
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF06
(57)【要約】
【課題】有機材料含有層を覆う無機材料含有封止層の不良の発生を抑制する。
【解決手段】有機材料含有層210のうち第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆う部分は、光学干渉層となっている。第2無機材料含有層230は、発光部140を封止する無機材料含有封止層となっている。第1無機材料含有層220の少なくとも一部分は、第3方向Zにおいて有機材料含有層210と第2無機材料含有層230との間に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板と、
前記基板上に位置し、透光性を有する第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機層と、
前記有機層上に位置する第2電極と、
前記第2電極を覆う有機材料含有層と、
前記有機材料含有層を覆う無機材料含有封止層と、
少なくとも一部分が前記有機材料含有層と前記無機材料含有封止層との間に位置する無機材料含有層と、
を備える発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記有機材料含有層が光学干渉層である、発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記無機材料含有層の屈折率が前記有機材料含有層の屈折率の80%以上120%以下である、発光装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記有機材料含有層が隣り合う前記第2電極の間で連続している、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(OLED)を有する発光装置として、ボトムエミッション型の発光装置やトップエミッション型の発光装置に加えて、透過型両面発光装置が開発されている。透過型両面発光装置は、透光性を有する陽極と、発光層(EML)を有する有機層と、透光性を有する陰極と、を備えている。有機エレクトロルミネッセンス(EL)によってEMLから発せられた光は、陽極及び陰極の双方を透過して発光装置の両面から出射される。
【0003】
特許文献1には、ボトムエミッション型の発光装置について記載されている。この発光装置は、陰極を覆う絶縁性保護膜を備えている。特許文献1には、絶縁性保護膜を加熱して絶縁性保護膜を流動化させることが記載されている。絶縁性保護膜を流動化させた場合、絶縁性保護膜を流動化させていない場合と比較して、陰極の側面を絶縁性保護膜によって覆うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-34682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透過型両面発光装置では、陰極上に有機材料含有層が設けられることがある。また、有機材料含有層を無機材料含有封止層によって覆うことがある。しかしながら、有機材料含有層の表面エネルギーと無機材料含有封止層の表面エネルギーとの差や、有機材料含有層の熱膨張係数と無機材料含有封止層の熱膨張係数との差等の一定の要因によって、有機材料含有層と無機材料含有封止層との密着性が比較的良くない場合がある。この場合、無機材料含有封止層を有機材料含有層上に直接堆積すると、無機材料含有封止層が有機材料含有層から部分的に剥離する、無機材料含有封止層に割れが生じる等、無機材料含有層の不良を引き起こし得る。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、有機材料含有層を覆う無機材料含有封止層の不良の発生を抑制することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
透光性を有する基板と、
前記基板上に位置し、透光性を有する第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機層と、
前記有機層上に位置する第2電極と、
前記第2電極を覆う有機材料含有層と、
前記有機材料含有層を覆う無機材料含有封止層と、
少なくとも一部分が前記有機材料含有層と前記無機材料含有封止層との間に位置する無機材料含有層と、
を備える発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る発光装置の一部分の平面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】発光装置の製造方法の一例の一工程を説明するための図である。
図4】変形例1に係る発光装置の断面図である。
図5】変形例2に係る発光装置の断面図である。
図6】変形例3に係る発光装置の断面図である。
図7】変形例4に係る発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
本明細書において「AがB上に位置する」という表現は、例えば、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがB上に直接位置することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。さらに、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後ろ」等の向きを示す表現は、基本的に図面の向きと合わせて用いるものであって、例えば本明細書に記載された発明品の使用する向きに限定して解釈されるものではない。
【0011】
本明細書において「A及びBが重なる」という表現は、特に断らない限り、ある方向からの投影像において、Aの少なくとも一部がBの少なくとも一部と同じ場所にあることを意味する。このとき複数の要素同士は直接接していてもよいし、又は離間していてもよい。
【0012】
本明細書中における陽極とは、発光材料を含む層(例えば有機層)に正孔を注入する電極のことを示し、陰極とは、発光材料を含む層に電子を注入する電極のことを示す。また、「陽極」及び「陰極」という表現は、「正孔注入電極」及び「電子注入電極」又は「正極」及び「負極」等の他の文言を意味することもある。
【0013】
本明細書において「Aの端」という表現は、一方向から見たときのAとその他の要素との境界を意味し、「Aの端部」という表現は、当該境界を含むAの一部の領域を意味し、「Aの端点」という表現は、当該境界のある一点を意味する。
【0014】
本明細書における「発光装置」とは、ディスプレイや照明等の発光素子を有するデバイスを含む。また、発光素子と直接的、間接的又は電気的に接続された配線、IC(集積回路)又は筐体等も「発光装置」に含む場合もある。
【0015】
本明細書において、特に断らない限り、「膜」という表現と「層」という表現とは、状況及び場合に応じて適宜置換することが可能である。例えば、「絶縁膜」という文言は、「絶縁層」という文言に置換することが可能である。
【0016】
本明細書において「接続」とは、複数の要素が直接的又は間接的を問わずに接続している状態を表す。例えば、複数の要素の間に接着剤又は接合部材が介して接続している場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。また、複数の要素の間に、電流、電圧又は電位を供給可能又は伝送可能な部材が存在しており、「複数の要素が電気的に接続している」場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。
【0017】
本明細書において、特に断りがない限り「第1、第2、A、B、(a)、(b)」等の表現は要素を区別するためのものであり、その表現により該当要素の本質、順番、順序又は個数等が限定されるものではない。
【0018】
本明細書において、各部材及び各要素は単数であってもよいし、又は複数であってもよい。ただし、文脈上、「単数」又は「複数」が明確になっている場合はこれに限らない。
【0019】
本明細書において、「AがBを含む」という表現は、特に断らない限り、AがBのみによって構成されていることに限定されず、AがB以外の要素によって構成され得ることを意味する。
【0020】
本明細書において「断面」とは、特に断らない限り、発光装置を画素や発光材料等が積層した方向に切断したときに現れる面を意味する。
【0021】
本明細書において「有さない」、「含まない」、「位置しない」等の表現は、ある要素が完全に排除されていることを意味してもよいし、又はある要素が技術的な効果を有さない程度に存在していることを意味してもよい。
【0022】
本明細書において、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」等の時間的前後関係を説明する表現は、相対的な時間関係を表しているものであり、時間的前後関係が用いられた各要素が必ずしも連続しているとは限らない。各要素が連続していることを表現する場合、「直ちに」又は「直接」等の表現を用いることがある。
【0023】
本明細書において「Aを加熱する」という表現は、Aに熱が加わることを意味しており、Aのみを加熱することに限定されない。当該表現は、例えば、Aを含む要素が加熱されることを意味してもよい。また、「加熱する」とは故意的又は人為的に熱を加えることを意味し、Aの周囲の雰囲気の単なる温度変化は含まない。
【0024】
本明細書において「AがBを覆う」という表現は、特に断らない限り、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがBに接触することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。
【0025】
本明細書において、「Aがaを主成分として含む」とは、特に断らない限り、Aに含まれるaの量がAの全質量100質量部に対して75質量部以上であることを意味する。
【0026】
図1は、実施形態に係る発光装置10の一部分の平面図である。図2は、図1のA-A断面図である。
【0027】
図1及び図2において、第1方向X、第2方向又は第3方向Zを示す矢印は、矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。図1において、第3方向Zを示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が第3方向Zの正方向であり、紙面の手前から奥に向かう方向が第3方向Zの負方向であることを示している。図2において、第1方向Xを示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第1方向Xの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第1方向Xの負方向であることを示している。
【0028】
第1方向Xは、発光装置10の厚さ方向に直交する一方向である。第1方向Xの正方向は、後述する複数の第1電極110のうちの一端側の第1電極110から他端側の第1電極110に向かう方向であり、第1方向Xの負方向は、複数の第1電極110のうちの他端側の第1電極110から他端側の第1電極110に向かう方向である。第2方向Yは、第1方向Xと、発光装置10の厚さ方向と、の双方に直交する一方向である。第2方向Yの正方向は、後述する複数の第2電極130のうちの一端側の第2電極130から他端側の第2電極130に向かう方向であり、第2方向Yの負方向は、複数の第2電極130のうちの他端側の第2電極130から他端側の第2電極130に向かう方向である。第3方向Zは、発光装置10の厚さ方向に平行な方向である。第3方向Zの正方向は、後述する基板100が位置する側から後述する保護層300が位置する側に向かう方向である。第3方向Zの負方向は、保護層300が位置する側から基板100が位置する側に向かう方向である。
【0029】
発光装置10は、基板100、複数の第1電極110、複数の金属酸化物含有層112、複数の有機層120、複数の第2電極130、絶縁層150、複数の隔壁160、有機材料含有層210、第1無機材料含有層220、第2無機材料含有層230及び保護層300を備えている。
【0030】
基板100は、透光性を有している。基板100は、単層であってもよいし、又は複数層であってもよい。基板100の第3方向Zの厚さは、例えば、10μm以上1000μm以下である。基板100は、例えば、ガラス基板である。基板100は、有機材料(例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)又はポリイミド)を含む樹脂基板であってもよい。基板100が樹脂基板である場合、基板100のZ方向の正方向側の面及び基板100のZ方向の負方向側の面の少なくとも一方には、無機バリア層(例えば、SiN又はSiON)が設けられていてもよい。
【0031】
図1に示すように、第3方向Zの正方向から見て、複数の第1電極110は、第1方向Xに並んでいる。第3方向Zの正方向から見て、複数の第1電極110は、第2方向Yに延伸している。図2に示すように、各第1電極110は、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。
【0032】
第1電極110は、透光性を有している。第1電極110は、陽極として機能している。一例において、第1電極110は、酸化物半導体を含んでいる。酸化物半導体は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)又はIGZO(Indium Galium Zinc Oxide)である。或いは、第1電極110は、金属又は合金を含んでいてもよい。金属又は合金は、例えば、銀又は銀合金である。この場合、第1電極110の厚さは、第1電極110が透光性を有する程度に薄くなっている。
【0033】
図1に示すように、第3方向Zの正方向から見て、複数の金属酸化物含有層112は、第2方向Yに並んでいる。第3方向Zの正方向から見て、複数の金属酸化物含有層112は、第1方向Xに延伸している。図2に示すように、各金属酸化物含有層112のうち第3方向Zに第1電極110と重なる部分は、第1電極110の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。各金属酸化物含有層112のうち第1方向Xに隣り合う第1電極110の間に位置する部分は、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。
【0034】
金属酸化物含有層112は、金属酸化物を主成分として含んでいる。金属酸化物含有層112に含まれる金属酸化物としては、MoO、MoO等の酸化モリブデン、WO等の酸化タングステン、V等の酸化バナジウム、ReO等の酸化レニウムが例示される。
【0035】
金属酸化物含有層112が第1電極110と有機層120との間に設けられている場合、金属酸化物含有層112が第1電極110と有機層120との間に設けられていない場合と比較して、第1電極110から有機層120への正孔の注入を促進することができる。したがって、金属酸化物含有層112が第1電極110と有機層120との間に設けられている場合における発光装置10の一定の輝度を得るための駆動電圧は、金属酸化物含有層112が第1電極110と有機層120との間に設けられていない場合における発光装置10の一定の輝度を得るための駆動電圧より低くすることができる。また、金属酸化物含有層112が第1電極110と有機層120との間に設けられている場合における発光装置10の発光効率は、金属酸化物含有層112が第1電極110と有機層120との間に設けられていない場合における発光装置10の発光効率より高くすることができる。
【0036】
図1に示すように、第3方向Zの正方向から見て、複数の有機層120は、第2方向Yに並んでいる。第3方向Zの正方向から見て、複数の有機層120は、第1方向Xに延伸している。図2に示すように、各有機層120は、各金属酸化物含有層112の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。
【0037】
有機層120は、透光性を有している。有機層120は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)によって、光を発する。有機層120は、例えば、第1電極110から第2電極130にかけて、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を順に含んでいる。有機層120に含まれる層の例は、ここで説明した例に限定されない。
【0038】
図1に示すように、第3方向Zの正方向から見て、複数の第2電極130は、第2方向Yに並んでいる。第3方向Zの正方向から見て、複数の第2電極130は、第1方向Xに延伸している。図2に示すように、各第2電極130は、各有機層120の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。
【0039】
第2電極130は、透光性を有している。第2電極130は、陰極として機能している。一例において、第2電極130は、金属又は合金を含んでいる。第2電極130に含まれる金属又は合金は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn及びInからなる群の中から選択される少なくとも1つの金属又はこの群から選択される金属の合金である。第2電極130の第3方向Zの厚さは、第2電極130が透光性を有する程度に薄くなっている。或いは、第2電極130は、酸化物半導体を含んでいてもよい。第2電極130に含まれる酸化物半導体としては、第1電極110に含まれる酸化物半導体で例示した酸化物半導体が例示される。
【0040】
図1に示すように、絶縁層150のうち第3方向Zから見て各第1電極110及び各第2電極130の交差部には、開口152が設けられている。図2に示す例において、開口152の第3方向Zに直交する方向の幅は、第3方向Zの負方向から正方向に向かうにつれて広がっている。開口152は、第1電極110の第3方向Zの正方向側の面の一部分を露出している。図2に示すように、絶縁層150のうち第3方向Zに第1電極110と重なる部分は、第1電極110の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。絶縁層150のうち第1方向Xに隣り合う第1電極110の間に位置する部分は、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。
【0041】
絶縁層150は、複数の開口152によって複数の発光部140を画定している。具体的には、各発光部140は、第1電極110、金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130のうち第3方向Zの正方向又は負方向から見て開口152と重なる領域に位置する積層体を有している。
【0042】
絶縁層150は、透光性を有している。絶縁層150は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物等の無機材料を含んでいる。絶縁層150は、発光装置10の第3方向Zの正方向側又は負方向側から絶縁層150の形状が肉眼で観測されない一定の透光性を有している。絶縁層150がポリイミド等の有機材料を含む場合に上記一定の透光性を得るための絶縁層150の第3方向Zの厚さは、一定の厚さより薄くする必要がある。しかしながら、絶縁層150が有機材料を含む場合に絶縁層150の第3方向Zの厚さを上記一定の厚さより薄くしたとき、開口152のうち第3方向Zに直交する方向側の側面の形状を設計どおりの形状にすることが比較的難しくなり、絶縁層150の十分な絶縁性を確保することができないことがある。これに対して、絶縁層150が無機材料を含む場合、絶縁層150の第3方向Zの厚さを、開口152のうち第3方向Zに直交する方向側の側面の形状を設計どおりの形状にすることが比較的難しくなる厚さまで薄くすることなく、上記一定の透光性を得ることができる。絶縁層150に含まれる材料は上述した例に限定されない。例えば、絶縁層150は、ポリイミド等の有機材料を含んでいてもよい。
【0043】
絶縁層150が無機材料を含む場合における発光装置10の一定の輝度を得るための駆動電圧は、絶縁層150が有機材料を含む場合における発光装置10の一定の輝度を得るための駆動電圧より高くなることがある。また、絶縁層150が無機材料を含む場合における発光装置10の発光効率は、発光装置10が有機材料を含む場合における発光装置10の発光効率より低くなることがある。これらの理由は、次のとおりである、すなわち、絶縁層150が有機材料を含む場合、絶縁層150に含まれる高分子材料から発生するアウトガスによって、第1電極110から有機層120への正孔注入を促進させる不純物準位が第1電極110に形成されることがある。これに対して、絶縁層150が無機材料を含む場合、絶縁層150が有機材料を含む場合と比較して、絶縁層150からアウトガスが発生しにくい。本実施形態では、第3方向Zにおいて第1電極110と有機層120との間に金属酸化物含有層112を設けている。したがって、絶縁層150が無機材料を含んでいても、発光装置10の一定の輝度を得るための駆動電圧は比較的低くすることができ、発光装置10の一定の発光効率は比較的高くすることができる。
【0044】
図1に示すように、第3方向Zの正方向から見て、複数の隔壁160は、第2方向Yに並んでいる。第3方向Zの正方向から見て、複数の隔壁160は、第1方向Xに延伸している。第3方向Zの正方向から見て、各金属酸化物含有層112、各有機層120及び各第2電極130は、第2方向Yに隣り合う隔壁160の間に位置している。図2に示すように、複数の隔壁160は、絶縁層150の第3方向Zの正方向側の面上に位置している。各隔壁160の第2方向Yの幅は、第3方向Zの負方向から正方向に向かうにつれて広がっている。
【0045】
図2に示すように、隔壁160の第3方向Zの正方向側の面上には、第1層112a、第2層120a及び第3層130aがこの順に第3方向Zの負方向から正方向に向けて積層されている。第1層112a、第2層120a及び第3層130aは、それぞれ、金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130に含まれる材料と同一の材料を含んでいる。第1層112a、第2層120a及び第3層130aは、それぞれ、金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130から物理的及び電気的に離間されている。
【0046】
次に、有機材料含有層210、第1無機材料含有層220、第2無機材料含有層230及び保護層300について説明する。
【0047】
有機材料含有層210は、有機材料を主成分として含んでいる。有機材料含有層210に含まれる有機材料としては、4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニル-アミノ]-ビフェニル(α-NPD)、4,4'-ビス[N-(9-フェナントリル)-N-フェニル-アミノ]-ビフェニル(PPD)等の芳香族アミンが例示される。有機材料含有層210は、MoO等の金属酸化物をさらに含んでいてもよい。有機材料含有層210のうち第3方向Zに発光部140の少なくとも一部分と重なる部分は、第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆っている。有機材料含有層210のうち第2方向Yに隣り合う発光部140の間に位置する部分は、隔壁160、第1層112a、第2層120a及び第3層130aの第3方向Zの積層体を覆っている。
【0048】
第1無機材料含有層220は、無機材料を主成分として含んでいる。第1無機材料含有層220に含まれる無機材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タングステン(WO)等の金属酸化物が挙げられる。第1無機材料含有層220は、有機材料含有層210の第3方向Zの正方向側の面を覆っている。
【0049】
第2無機材料含有層230は、無機材料を主成分として含んでいる。第2無機材料含有層230に含まれる無機材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)等の金属酸化物が挙げられる。例えば、第2無機材料含有層230は、第3方向Zに交互に積層された酸化アルミニウム層及び酸化チタン層を含んでいる。第2無機材料含有層230は、発光部140を封止する無機材料含有封止層となっている。第2無機材料含有層230は、第1無機材料含有層220の第3方向Zの正方向側の面を覆っている。第2無機材料含有層230について酸化アルミニウム層、酸化チタン層等の異なる種類の金属酸化物層が交互に積層されている例において、各金属酸化物層の厚さは、第2無機材料含有層230の封止性の観点から、例えば、2.5nm以上、好ましくは5nm以上とすることができる。また、当該例において、各金属酸化物層の厚さは、各金属酸化物層の膜応力を抑制する観点から、例えば、15nm以下、好ましくは10nm以下とすることができる。
【0050】
保護層300は、例えば樹脂を含んでいる。保護層300は、第2無機材料含有層230の第3方向Zの正方向側の面を覆っている。
【0051】
以下、必要に応じて、金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130のうち第2方向Yの正方向側の側面と、隔壁160、第1層112a、第2層120a及び第3層130aのうち金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130の上記側面に対向する第2方向Yの負方向側の側面と、の間に位置する領域を第1側方領域142という。また、必要に応じて、金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130のうち第2方向Yの負方向側の側面と、隔壁160、第1層112a、第2層120a及び第3層130aのうち金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130の上記側面に対向する第2方向Yの正方向側の側面と、の間に位置する領域を第2側方領域144という。
【0052】
第2無機材料含有層230は、第2無機材料含有層230に光が照射されたり、第2無機材料含有層230が比較的薄かったりする等、一定の場合において、第2無機材料含有層230に含まれる酸化チタン(TiO)等の材料によって導電性を有することがある。したがって、第2無機材料含有層230が金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面に直接接し、又は金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面の比較的近傍に位置する場合、金属酸化物含有層112と第2無機材料含有層230とが電気的に接続されることがある。図2に示す例において、金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面は、有機層120から露出されている。或いは、後述するように、金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面が有機層120の第2方向Yの正方向側又は負方向側の端部によって覆われても、有機層120のうち金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面を覆う部分の厚さは比較的薄くなり得る。したがって、第2無機材料含有層230の少なくとも一部分が第1側方領域142又は第2側方領域144に入り込んだ場合、金属酸化物含有層112と第2無機材料含有層230とが電気的に接続されることがある。
【0053】
図2に示すように、有機材料含有層210のうち第1側方領域142に位置する部分は、金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分と、隔壁160、第1層112a、第2層120a及び第3層130aの第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分と、絶縁層150の第3方向Zの正方向側の面のうち金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側の側面と隔壁160の第2方向Yの負方向側の側面との間に位置する部分と、を覆っている。
【0054】
本実施形態によれば、金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面と、を、有機材料含有層210のうち第1側方領域142に位置する部分によって電気的に絶縁することができる。したがって、本実施形態によれば、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面のいずれの部分も第2無機材料含有層230に接している場合と比較して、金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面と、の間において、第2無機材料含有層230を介して電流が流れることを抑制することができる。
【0055】
図2に示すように、有機材料含有層210のうち第2側方領域144に位置する部分は、金属酸化物含有層112、有機層120及び第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分と、隔壁160、第1層112a、第2層120a及び第3層130aの第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分と、絶縁層150の第3方向Zの正方向側の面のうち金属酸化物含有層112の第2方向Yの負方向側の側面と隔壁160の第2方向Yの正方向側の側面との間に位置する部分と、を覆っている。
【0056】
本実施形態によれば、金属酸化物含有層112の第2方向Yの負方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面と、を、有機材料含有層210のうち第2側方領域144に位置する部分によって電気的に絶縁することができる。したがって、本実施形態によれば、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面のいずれの部分も第2無機材料含有層230に接している場合と比較して、金属酸化物含有層112の第2方向Yの負方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面と、の間において、第2無機材料含有層230を介して電流が流れることを抑制することができる。
【0057】
本実施形態において、有機材料含有層210のうち第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆う部分は、光学干渉層となっている。具体的には、有機材料含有層210のうち第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆う部分の第3方向Zの厚さは、有機材料含有層210の第3方向Zの負方向側から有機材料含有層210の第3方向Zの負方向側の面に達して有機材料含有層210の第3方向Zの負方向側の面によって反射される波長550nmの光と、有機材料含有層210の第3方向Zの負方向側から有機材料含有層210を透過して有機材料含有層210の第3方向Zの正方向側の面によって反射される波長550nmの光と、の間で弱め合いの干渉が生じるように調整されている。また、有機材料含有層210のうち第3方向Zの正方向側の面を覆う部分の第3方向Zの厚さは、有機材料含有層210の第3方向Zの正方向側から有機材料含有層210の第3方向Zの正方向側の面に達して有機材料含有層210の第3方向Zの正方向側の面によって反射される波長550nmの光と、有機材料含有層210の第3方向Zの正方向側から有機材料含有層210を透過して有機材料含有層210の第3方向Zの負方向側の面によって反射される波長550nmの光と、の間で弱め合いの干渉が生じるように調整されている。したがって、有機材料含有層210が設けられている発光装置10の透過率は、有機材料含有層210が設けられていない発光装置10の透過率より高くすることができる。有機材料含有層210は、光学干渉層でなくてもよい。
【0058】
本実施形態において、有機材料含有層210は、第2方向Yに隣り合う第2電極130の間で連続している。したがって、第2無機材料含有層230に由来する導電性異物が第2方向Yに隣り合う第2電極130に跨って設けられることを抑制することができる。
【0059】
第1無機材料含有層220の少なくとも一部分は、第3方向Zにおいて有機材料含有層210と第2無機材料含有層230との間に位置している。この場合、有機材料含有層210と第2無機材料含有層230との間に第1無機材料含有層220が設けられていない場合と比較して、第1無機材料含有層220に含まれる金属酸化物等の成分に起因して、有機材料含有層210と第2無機材料含有層230との密着性を高くすることができる。したがって、有機材料含有層210と第2無機材料含有層230との間に第1無機材料含有層220が設けられていない場合と比較して、第2無機材料含有層230が有機材料含有層210から部分的に剥離する、第2無機材料含有層230に割れが生じる等の第2無機材料含有層230の不良の発生を抑制することができる。第1無機材料含有層220によって有機材料含有層210と第2無機材料含有層230との密着性を向上させる観点からすると、第1無機材料含有層220の厚さは、例えば、10nmより大きく、又は15nmより大きくすることができる。また、第1無機材料含有層220によって有機材料含有層210と第2無機材料含有層230との密着性を向上させる観点からすると、第1無機材料含有層220は、例えば、単層膜とすることができる。また、第1無機材料含有層220の厚さは、以下に限定されるものではないが、例えば、30nm以下にすることができる。
【0060】
第1無機材料含有層220に含まれる無機材料の屈折率は、有機材料含有層210に含まれる有機材料の屈折率と等しく、又は近似している。例えば、第1無機材料含有層220に含まれる無機材料の屈折率は、有機材料含有層210に含まれる有機材料の屈折率の80%以上120%以下となっている。有機材料含有層210に含まれる有機材料の屈折率と第1無機材料含有層220に含まれる無機材料の屈折率とが等しく、又は近似している場合、有機材料含有層210に含まれる有機材料の屈折率と第1無機材料含有層220に含まれる無機材料の屈折率とが異なる場合と比較して、有機材料含有層210の第3方向Zの正方向側の面と第1無機材料含有層220の第3方向Zの負方向側の面との間の界面における光の反射を抑制することができ、発光装置10の透過率を高くすることができる。
【0061】
一例において、有機材料含有層210のうち第3方向Zの正方向側の面を覆う部分と、第1無機材料含有層220のうち第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆う部分と、が一緒になって光学干渉層となっていてもよい。この例において、有機材料含有層210のうち第3方向Zの正方向側の面を覆う部分の厚さと、第1無機材料含有層220のうち第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆う部分の厚さと、合計は、以下に限定されるものでないが、例えば、25nm以上80nm未満にすることができる。
【0062】
図3は、発光装置10の製造方法の一例の一工程を説明するための図である。図2及び図3を参照して、発光装置10の製造方法の一例について説明する。
【0063】
まず、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に、第1電極110となる導電層を形成する。次いで、この導電層を例えばリソグラフィによってパターニングして、複数の第1電極110を形成する。
【0064】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に、絶縁層150となる絶縁層を形成する。次いで、この絶縁層を例えばリソグラフィによってパターニングして、複数の開口152が設けられた絶縁層150を形成する。
【0065】
次いで、絶縁層150の第3方向Zの正方向側の面上に、隔壁160となる絶縁層を形成する。この絶縁層は、感光性樹脂を含んでいる。次いで、この絶縁層を露光及び現像によってパターニングして複数の隔壁160を形成する。
【0066】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に、金属酸化物含有層112及び第1層112aとなる金属酸化物含有層を蒸着によって形成する。この金属酸化物含有層は、隔壁160によって分断される。これによって、第2方向Yに隣り合う隔壁160の間に複数の金属酸化物含有層112が形成される。また、隔壁160の第3方向Zの正方向側の面上に第1層112aが形成される。
【0067】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に、有機層120及び第2層120aとなる有機層を蒸着によって形成する。この有機層は、隔壁160によって分断される。これによって、第2方向Yに隣り合う隔壁160の間において金属酸化物含有層112の第3方向Zの正方向側の面上に有機層120が形成される。また、第1層112aの第3方向Zの正方向側の面上に第2層120aが形成される。
【0068】
本実施形態では、有機層120及び第2層120aは、隔壁160によって分断されている。したがって、各金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側及び負方向側の側面は、それぞれ、各有機層120の第2方向Yの正方向側及び負方向側の側面から露出されている。或いは、各金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面が各有機層120の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面によって覆われたとしても、各有機層120のうち金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側又は負方向側の側面を覆う部分の厚さは比較的薄くなり得る。
【0069】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に、第2電極130及び第3層130aとなる導電層を蒸着によって形成する。この導電層は、隔壁160によって分断される。これによって、第2方向Yに隣り合う隔壁160の間において有機層120の第3方向Zの正方向側の面上に第2電極130が形成される。また、第2層120aの第3方向Zの正方向側の面上に第3層130aが形成される。
【0070】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に、有機材料含有層210を蒸着によって形成する。図3に示すように、有機材料含有層210は、隔壁160によって第1部分212及び第2部分214に分断される。第1部分212の少なくとも一部分は、発光部140の少なくとも一部分と第3方向Zに重なっている。第2部分214の少なくとも一部分は、隔壁160の少なくとも一部分と第3方向Zに重なっている。
【0071】
次いで、第1部分212及び第2部分214を、有機材料含有層210に含まれる有機材料のガラス転移点以上の所定温度に加熱する。これによって、第1部分212及び第2部分214は、流動性を呈するようになる。この場合、第1部分212の第2方向Yの正方向側の端部は第1側方領域142に向けて移動し、第1部分212の第2方向Yの負方向側の端部は第2側方領域144に向けて移動する。また、第2部分214の第2方向Yの負方向側の端部は第1側方領域142に向けて移動し、第2部分214の第2方向Yの正方向側の端部は第2側方領域144に向けて移動する。したがって、第1側方領域142において、第1部分212の第2方向Yの正方向側の端部と第2部分214の第2方向Yの負方向側の端部とが互いに繋がる。また、第2側方領域144において、第1部分212の第2方向Yの負方向側の端部と第2部分214の第2方向Yの正方向側の端部とが互いに繋がる。このため、有機材料含有層210が第2方向Yに隣り合う第2電極130の間で連続するようにすることができる。
【0072】
上記所定温度は、有機層120に含まれる有機材料のガラス転移点未満となっている。したがって、第1部分212及び第2部分214の加熱において有機層120が流動性を呈しないようにすることができる。
【0073】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に第1無機材料含有層220を形成する。
【0074】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に第2無機材料含有層230を形成する。第2無機材料含有層230は、例えば、原子層堆積(ALD)によって形成される。
【0075】
次いで、基板100の第3方向Zの正方向側の面上に保護層300を形成する。
【0076】
以上のようにして、発光装置10が製造される。
【0077】
図4は、変形例1に係る発光装置10Aの断面図である。本変形例に係る発光装置10Aは、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様である。
【0078】
有機材料含有層210Aは、第1部分212A及び第2部分214Aを有している。第1部分212Aの少なくとも一部分は、第3方向Zに発光部140の少なくとも一部分と重なっており、第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆っている。第2部分214Aの少なくとも一部分は、第3方向Zに隔壁160の少なくとも一部分と重なっており、第3層130aの第3方向Zの正方向側の面を覆っている。第1部分212Aの第2方向Yの正方向側の端と、第2部分214Aの第2方向Yの負方向側の端と、は第1側方領域142を介して互いに離間している。第1部分212Aの第2方向Yの負方向側の端と、第2部分214Aの第2方向Yの正方向側の端と、は第2側方領域144を介して互いに離間している。
【0079】
本変形例においても、実施形態の図3を用いて説明した工程と同様にして、第1部分212A及び第2部分214Aが所定温度に加熱されている。本変形例では、第1部分212A及び第2部分214Aの加熱において、第1部分212Aの第2方向Yの正方向側の端部のうち第1側方領域142に向けて移動させる量と、第2部分214Aの第2方向Yの負方向側の端部のうち第1側方領域142に向けて移動させる量と、を調整することで、第1部分212Aの第2方向Yの正方向側の端と、第2部分214Aの第2方向Yの負方向側の端と、が第1側方領域142を介して互いに離間している。同様にして、第1部分212A及び第2部分214Aの加熱において、第1部分212Aの第2方向Yの負方向側の端部のうち第2側方領域144に向けて移動させる量と、第2部分214Aの第2方向Yの正方向側の端部のうち第2側方領域144に向けて移動させる量と、を調整することで、第1部分212Aの第2方向Yの負方向側の端と、第2部分214の第2方向Yの正方向側の端と、が第2側方領域144を介して互いに離間している。
【0080】
第1無機材料含有層220Aは、第3部分222A及び第4部分224Aを有している。第3部分222Aの少なくとも一部分は、第3方向Zに発光部140の少なくとも一部分と重なっており、第1部分212Aの第3方向Zの正方向側の面を覆っている。第4部分224Aの少なくとも一部分は、第3方向Zに隔壁160の少なくとも一部分と重なっており、第2部分214Aの第3方向Zの正方向側の面を覆っている。第3部分222Aの第2方向Yの正方向側の端と、第4部分224Aの第2方向Yの負方向側の端と、は第1側方領域142を介して互いに離間している。第3部分222Aの第2方向Yの負方向側の端と、第4部分224Aの第2方向Yの正方向側の端と、は第2側方領域144を介して互いに離間している。
【0081】
本変形例においては、有機材料含有層210Aが第1部分212A及び第2部分214Aに分離された状態で、第1無機材料含有層220Aが第3方向Zの正方向側の面上に形成されている。この場合、第1無機材料含有層220Aは、隔壁160によって第3部分222A及び第4部分224Aに分離される。
【0082】
第2無機材料含有層230Aのうち第1側方領域142に位置する部分は、金属酸化物含有層112、有機層120、第2電極130、有機材料含有層210A及び第1無機材料含有層220Aの第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分と、隔壁160、第1層112a、第2層120a、第3層130a、第2部分214A及び第4部分224Aの第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分と、絶縁層150の第3方向Zの正方向側の面のうち金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側の側面と隔壁160の第2方向Yの負方向側の側面との間に位置する部分と、を覆っている。
【0083】
第2無機材料含有層230Aのうち第2側方領域144に位置する部分は、金属酸化物含有層112、有機層120、第2電極130、有機材料含有層210A及び第1無機材料含有層220Aの第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分と、隔壁160、第1層112a、第2層120a、第3層130a、第2部分214A及び第4部分224Aの第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分と、絶縁層150の第3方向Zの正方向側の面のうち金属酸化物含有層112の第2方向Yの負方向側の側面と隔壁160の第2方向Yの正方向側の側面との間に位置する部分と、を覆っている。
【0084】
第1部分212Aのうち第2方向Yの正方向側の端部の少なくとも一部分は、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分を覆っている。図4に示す例では、第1部分212Aのうち第2方向Yの正方向側の端部の第3方向Zの負方向側の部分が、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の第3方向Zの正方向側の部分を覆っている。これは、第1部分212Aの加熱によって第1部分212Aの第2方向Yの正方向側の端部が第1側方領域142に向けて移動したことによる。第1部分212Aのうち第2方向Yの正方向側の端部の少なくとも一部分は、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の第3方向Zの負方向側の部分を覆っていてもよい。
【0085】
本変形例によれば、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面のいずれの部分も第2無機材料含有層230Aに接している場合と比較して、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面と、第2無機材料含有層230Aのうち第1側方領域142に位置する部分と、の接触面積を小さくすることができる。したがって、本変形例によれば、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面のいずれの部分も第2無機材料含有層230Aに接している場合と比較して、金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面と、の間で第2無機材料含有層230Aを介して電流が流れることを抑制することができる。
【0086】
図4に示す例では、第1部分212Aのうち第2方向Yの正方向側の端部の少なくとも一部分と、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分と、について上述した事項は、第1部分212Aのうち第2方向Yの負方向側の端部の少なくとも一部分と、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分と、についても同様となっている。
【0087】
図5は、変形例2に係る発光装置10Bの断面図である。本変形例に係る発光装置10Bは、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様である。
【0088】
本変形例に係る発光装置10Bは、実施形態に係る発光装置10の第1無機材料含有層220を備えていない。本変形例に係る有機材料含有層210Bは、実施形態に係る有機材料含有層210と同様にして、第2方向Yに隣り合う第2電極130の間で連続している。
【0089】
本変形例においても、実施形態と同様にして、有機材料含有層210Bのうち第1側方領域142に位置する部分は、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分を覆っている。したがって、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面のいずれの部分も第2無機材料含有層230Bに接している場合と比較して、金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面と、の間において、第2無機材料含有層230Bを介して電流が流れることを抑制することができる。また、有機材料含有層210Bのうち第2側方領域144に位置する部分は、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分を覆っている。したがって、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面のいずれの部分も第2無機材料含有層230Bに接している場合と比較して、金属酸化物含有層112の第2方向Yの負方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面と、の間において、第2無機材料含有層230Bを介して電流が流れることを抑制することができる。
【0090】
図6は、変形例3に係る発光装置10Cの断面図である。本変形例に係る発光装置10Cは、以下の点を除いて、変形例1に係る発光装置10Aと同様である。
【0091】
本変形例に係る発光装置10Cは、変形例1に係る発光装置10Aの第1無機材料含有層220Aを備えていない。本変形例に係る有機材料含有層210Cは、変形例1に係る有機材料含有層210Aと同様にして、第1部分212C及び第2部分214Cを有している。
【0092】
変形例1と同様にして、第1部分212Cの第2方向Yの正方向側の端部の少なくとも一部分は、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分を覆っている。したがって、変形例1と同様にして、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面のいずれの部分も第2無機材料含有層230Cに接している場合と比較して、金属酸化物含有層112の第2方向Yの正方向側の側面と、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面と、の間で第2無機材料含有層230Cを介して電流が流れることを抑制することができる。図4に示す例では、第1部分212Cのうち第2方向Yの正方向側の端部の少なくとも一部分と、第2電極130の第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分と、について上述した事項は、第1部分212Cのうち第2方向Yの負方向側の端部の少なくとも一部分と、第2電極130の第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分と、についても同様となっている。
【0093】
図7は、変形例4に係る発光装置10Dの断面図である。本変形例に係る発光装置10Dは、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様である。
【0094】
本変形例に係る発光装置10Dは、実施形態に係る発光装置10の絶縁層150及び複数の隔壁160を備えていない。
【0095】
複数の金属酸化物含有層112D、複数の有機層120D及び複数の第2電極130Dは、開口が設けられたマスクを用いた蒸着によって形成されている。この場合、マスクに設けられた開口の形状に応じて、複数の金属酸化物含有層112D、複数の有機層120D及び複数の第2電極130Dの第3方向Zの正方向から見たときの形状を調整することができる。
【0096】
金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの幅は、有機層120Dの第2方向Yの幅及び第2電極130Dの第2方向Yの幅のいずれよりも広くなっている。図7に示す例において、金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの正方向側の端部の少なくとも一部分は、有機層120D及び第2電極130Dの第2方向Yの正方向側の端に対して第2方向Yの正方向側に位置している。金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの負方向側の端部の少なくとも一部分は、有機層120D及び第2電極130Dの第2方向Yの負方向側の端に対して第2方向Yの負方向側に位置している。金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの幅が有機層120Dの第2方向Yの幅より広い場合、金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの幅が有機層120Dの第2方向Yの幅以下である場合と比較して、有機層120D及び第2電極130Dが設けられる第2方向Yの位置が設計位置からずれたときに有機層120Dの第3方向Zの負方向側の面が第1電極110の第3方向Zの正方向側の面に直接接触しにくくすることができる。一方、金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの幅が有機層120Dの第2方向Yの幅より広い場合、金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの幅が有機層120Dの第2方向Yの幅以下である場合と比較して、第2方向Yに隣り合う発光部140の間に第2無機材料含有層230Dの少なくとも一部分が入り込んだときに金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの正方向側又は負方向側の端部が第2無機材料含有層230Dに接しやすくなる。
【0097】
有機材料含有層210Dのうち第3方向Zに発光部140Dの少なくとも一部分と重なる部分は、第2電極130Dの第3方向Zの正方向側の面を覆っている。実施形態に係る有機材料含有層210と同様にして、有機材料含有層210Dのうち第2電極130Dの第3方向Zの正方向側の面を覆う部分は、光学干渉層としてもよい。
【0098】
有機材料含有層210Dのうち第2方向Yに隣り合う発光部140Dの間に位置する部分は、隣り合う発光部140Dのうちの第2方向Yの正方向側に位置する発光部140Dの金属酸化物含有層112D、有機層120D及び第2電極130Dの第2方向Yの負方向側の側面の少なくとも一部分を覆っている。有機材料含有層210Dのうち第2方向Yに隣り合う発光部140Dの間に位置する部分は、隣り合う発光部140Dのうちの第2方向Yの負方向側に位置する発光部140Dの金属酸化物含有層112D、有機層120D及び第2電極130Dの第2方向Yの正方向側の側面の少なくとも一部分を覆っている。したがって、実施形態と同様にして、金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの正方向側の側面と、第2電極130Dの第2方向Yの正方向側の側面と、の間で第2無機材料含有層230Dを介して電流が流れることを抑制することができる。同様にして、金属酸化物含有層112Dの第2方向Yの負方向側の側面と、第2電極130Dの第2方向Yの負方向側の側面と、の間で第2無機材料含有層230Dを介して電流が流れることを抑制することができる。
【0099】
実施形態と同様にして、第1無機材料含有層220Dの少なくとも一部分は、第3方向Zにおいて有機材料含有層210Dと第2無機材料含有層230Dとの間に位置している。したがって、有機材料含有層210Dと第2無機材料含有層230Dとの間に第1無機材料含有層220Dが設けられていない場合と比較して、有機材料含有層210Dと第2無機材料含有層230Dとの密着性を高くすることができる。
【0100】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0101】
例えば、実施形態において、有機材料含有層210は、第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆っている。しかしながら、有機材料含有層210は、第2電極130の第3方向Zの正方向側の面を覆っていなくてもよい。
【0102】
また、実施形態において、発光装置10は、金属酸化物含有層112を備えている。しかしながら、発光装置10は、金属酸化物含有層112を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 発光装置
10A 発光装置
10B 発光装置
10C 発光装置
10D 発光装置
100 基板
110 第1電極
112 金属酸化物含有層
112D 金属酸化物含有層
112a 第1層
120 有機層
120D 有機層
120a 第2層
130 第2電極
130D 第2電極
130a 第3層
140 発光部
140D 発光部
142 第1側方領域
144 第2側方領域
150 絶縁層
152 開口
160 隔壁
210 有機材料含有層
210A 有機材料含有層
210B 有機材料含有層
210C 有機材料含有層
210D 有機材料含有層
212 第1部分
212A 第1部分
212C 第1部分
214 第2部分
214A 第2部分
214C 第2部分
220 第1無機材料含有層
220A 第1無機材料含有層
220D 第1無機材料含有層
222A 第3部分
224A 第4部分
230 第2無機材料含有層
230A 第2無機材料含有層
230B 第2無機材料含有層
230C 第2無機材料含有層
230D 第2無機材料含有層
300 保護層
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7