(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185919
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】計測装置及び計測方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20221208BHJP
G01B 5/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B23Q17/00 C
G01B5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093850
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】開 純也
【テーマコード(参考)】
2F062
3C029
【Fターム(参考)】
2F062AA02
2F062EE01
2F062EE62
2F062GG09
2F062NN01
3C029EE09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を調整しやすい計測装置及び計測方法を提供する。
【解決手段】計測装置1は、カウンターシンクCSの刃TTと当接可能な第一当接部111を有する計測探子11を備える計測部10と、マイクロストッパーMSの当り面MCと当接可能な第二当接部201を有する基台20と、を備え、基台に対し、計測探子が、カウンターシンクの軸方向に移動可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンターシンクの刃と当接可能な第一当接部を有する計測探子を備える計測部と、
マイクロストッパーの当り面と当接可能な第二当接部を有する基台と、を備え、
前記基台に対し、前記計測探子が、前記カウンターシンクの軸方向に移動可能である計測装置。
【請求項2】
前記計測部が、マイクロメーターをさらに備える請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記計測探子が、前記基台の開口に対し前記軸方向に出没可能である請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記第一当接部が、皿形状で凹んでいる請求項1から3のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記計測探子が、前記第一当接部から前記軸方向に延びる逃がし孔を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項6】
基台に対しカウンターシンクの軸方向に移動可能である計測探子の第一当接部に、前記カウンターシンクの刃を当て、
マイクロストッパーの当り面が前記基台の第二当接部に当接するまで、前記計測探子を押し込む計測方法。
【請求項7】
基準突出量を予め設定し、
前記マイクロストッパーに対する前記刃の突出量を、前記基準突出量と比較する請求項6に記載の計測方法。
【請求項8】
前記比較において、前記基準突出量に対する前記突出量の差を計測する請求項7に記載の計測方法。
【請求項9】
前記差が許容値内になるように、前記突出量を調整する請求項8に記載の計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測装置及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造部品の加工には、切削工具が用いられることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、工作機械で使用される切削工具の先端部の突出量を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
構造部品には、皿形状の加工が必要となることがある。
このような皿形状の加工には、カウンターシンクと呼ばれる切削工具が用いられるが、適切な深さの皿形状を加工するため、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量の調整が必要となる。
しかし、カウンターシンクの刃は、カウンターシンクの軸方向に対し傾斜している。
このため、特許文献1に開示されるような技術では、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を調整しにくい。
【0006】
本開示は、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を調整しやすい計測装置及び計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る計測装置は、カウンターシンクの刃と当接可能な第一当接部を有する計測探子を備える計測部と、マイクロストッパーの当り面と当接可能な第二当接部を有する基台と、を備え、前記基台に対し、前記計測探子が、前記カウンターシンクの軸方向に移動可能である。
【0008】
本開示に係る計測方法は、基台に対しカウンターシンクの軸方向に移動可能である計測探子の第一当接部に、前記カウンターシンクの刃を当て、マイクロストッパーの当り面が前記基台の第二当接部に当接するまで、前記計測探子を押し込む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の計測装置及び計測方法によれば、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を調整しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のある実施形態に係る計測装置の斜視図である。
【
図3】本開示のある実施形態に係る計測方法のフローチャートである。
【
図4】本開示のある実施形態に係る仮調整されたカウンターシンクを準備するステップにおける計測装置の断面図である。
【
図5】本開示のある実施形態に係る刃を当接するステップにおける計測装置の断面図である。
【
図6】本開示のある実施形態に係るカウンターシンクを押すステップにおける計測装置の断面図である。
【
図7】本開示のある実施形態に係る当り面を当接するステップにおける計測装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の各実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0012】
<実施形態>
ある実施形態に係る計測装置について、
図1~
図7を参照しながら説明する。
【0013】
(計測装置の全体構成)
図1に示すように、計測装置1は、計測部10と、基台20と、を備える。
例えば、計測装置1は、航空機等の構造部品に対し皿形状の加工を施すための工具セットを調整するための設備であってもよい。
例えば、計測装置1は、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の位置を調整するための設備であってもよい。
例えば、計測装置1は、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を計測するための設備であってもよい。
【0014】
(工具セットの構成)
図2に示すように、工具セットTSは、カウンターシンクCSと、マイクロストッパーMSと、を備える。
カウンターシンクCSは、構造部品に皿形状の加工を施すための切削工具である。
マイクロストッパーMSは、カウンターシンクCSを支持するための支持構造であるとともに、皿形状の切削を所定の深さで停止させるための機構である。
例えば、マイクロストッパーMSは、一端に当り面MCを有する。
例えば、当り面MCは、マイクロストッパーMSが備える中空円柱形状の樹脂MPの下面であってもよい。
マイクロストッパーMSは、カウンターシンクCSの軸方向DAについて、当り面MCに対する刃TTの突出量APが所定値となる位置で、カウンターシンクCSを固定支持する。
このような工具セットTSで皿形状の切削を行うと、当り面MCが構造部品の一面に当たる位置まで切削を行うことができる。
このため、カウンターシンクCSにより加工される構造部品の皿形状の深さは、当り面MCに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APに一致する。
例えば、カウンターシンクCSは、切削方向を先導するためのパイロット部PTを有してもよい。
例えば、パイロット部PTは、カウンターシンクCSの軸方向DAに、刃TTの先端からさらに延びる棒形状を有してもよい。
【0015】
(計測部の構成)
計測部10は、計測探子11を備える。
計測探子11は、カウンターシンクCSの刃TTと当接可能な第一当接部111を有する。
計測探子11は、基台20に対し、カウンターシンクCSの軸方向DAに移動可能である。
例えば、計測探子11は、基台20に対し、カウンターシンクCSの軸方向DAについて進退可能であってもよい。
例えば、軸方向DAは、上下方向であってもよい。
【0016】
例えば、計測探子11は、基台20上方から、基台20の開口202に嵌め込み可能であってもよい。
例えば、計測探子11は、基台20の開口202に対し、軸方向DAに出没可能であってもよい。
例えば、計測探子11は、基台20の開口202と同軸な中心軸112を有してもよい。
例えば、計測探子11は、基台20の開口202と同軸な円柱形状を有してもよい。
例えば、計測探子11は、カウンターシンクCSの刃TTで軸方向DAに押されることにより、基台20の開口202内に沈む込みように構成されてもよい。
【0017】
例えば、第一当接部111は、皿形状で凹んでいてもよい。
例えば、第一当接部111は、軸方向DAに凹んでいてもよい。
例えば、第一当接部111は、カウンターシンクCSの刃TTに近い側から、計測探子11の内側に向かって窄んで凹む皿形状を有してもよい。
【0018】
例えば、計測探子11は、第一当接部111から軸方向DAに延びる逃がし孔113を有してもよい。
例えば、逃がし孔113は、第一当接部111の皿形状の凹みに連通して、第一当接部111から計測探子11の内側に向かってさらに延びてもよい。
例えば、逃がし孔113は、第一当接部111に、カウンターシンクCSの刃TTが当接した状態において、カウンターシンクCSのパイロット部PTから計測探子11を逃がすように、パイロット部PTより太く長い形状を有してもよい。
【0019】
例えば、計測部10は、マイクロメーター12と、延伸部13と、弾性機構14と、をさらに備えてもよい。
【0020】
マイクロメーター12は、軸方向DAにおける計測探子11の相対位置を計測するための変位計である。
マイクロメーター12は、計測面121と、表示部122と、基部123と、を備える。
マイクロメーター12において、計測面121は、基部123から軸方向DAに進退可能である。
例えば、計測面121は、中心が計測探子11の中心軸112上に位置する円形状を有してもよい。
例えば、マイクロメーター12は、軸方向DAにおける計測探子11の相対位置として、軸方向DAにおける計測面121の相対位置を計測してもよい。
例えば、マイクロメーター12は、計測面121を延伸部13の下端に当接させることにより、軸方向DAにおける計測探子11の相対位置を計測可能であってもよい。
例えば、マイクロメーター12は、予め記憶させた基準位置をゼロ値として、基準位置に対する軸方向DAにおける計測探子11の相対位置を計測してもよい。
例えば、マイクロメーター12は、計測された計測探子11の相対位置を表示部122に表示してもよい。
【0021】
延伸部13は、計測探子11から計測面121に向かって、軸方向DAに延びる円柱形状を有する。
例えば、延伸部13は、計測探子11の開口202に対する出没に連動して、軸方向DAに進退してもよい。
例えば、延伸部13の上端が、開口202内で計測探子11と結合されてもよい。
例えば、延伸部13の下端が、計測面121と対向していてもよい。
例えば、延伸部13は、計測探子11と同軸であってもよい。
【0022】
弾性機構14は、基台20に対し、軸方向DAについて、計測探子11に付勢を与える。
弾性機構14は、計測探子11が開口202内に沈む込み方向と反対方向に向かって、計測探子11に付勢を与える。
例えば、弾性機構14は、カウンターシンクCSの刃TTに向かって、計測探子11に付勢を与えてもよい。
例えば、弾性機構14の上端が、計測探子11の下面を押し上げるように、弾性機構14が計測探子11に付勢を与えてもよい。
例えば、弾性機構14は、延伸部13が貫通するように、計測探子11と同軸に設けられたコイルバネであってもよい。
例えば、弾性機構14は、計測探子11と同軸であってもよい。
【0023】
(基台の構成)
上記のとおり、基台20は、開口202を有する。
例えば、開口202には、弾性機構14が収容されてもよい。
例えば、開口202には、計測探子11が軸方向DAに出没可能に収容されてもよい。
例えば、開口202内に、延伸部13が軸方向DAに延びていてもよい。
例えば、開口202は、円柱形状を有してもよい。
【0024】
基台20は、マイクロストッパーMSの当り面MCと当接可能な第二当接部201をさらに有する。
例えば、第二当接部201は、当り面MCと対向する平面であってもよい。
例えば、第二当接部201は、中心が計測探子11の中心軸112上に位置する中空円であってもよい。
【0025】
例えば、基台20は、弾性機構14の下端を載置可能なように、開口202の下端において、開口202外周から開口202の中心に向かって突出する突出部203をさらに有してもよい。
例えば、基台20は、マイクロメーター12を収容可能な中空部204を有してもよい。
例えば、基台20は、マイクロメーター12の基部123を底205に固定している固定台206を有してもよい。
例えば、開口202は、第二当接部201を有する面から中空部204まで、基台20を軸方向DAに貫通する孔であってもよい。
【0026】
例えば、基台20は、パイロット部PTの外径をチェック可能なパイロットチェック孔207をさらに備えてもよい。
【0027】
(動作)
本実施形態の計測装置1の動作について説明する。
本動作は、計測方法の実施形態に相当する。
作業者は、
図3に示す各ステップを実施する。
【0028】
例えば、作業者は、まず、基準突出量AP0を予め設定してもよい(ST01:基準突出量を設定するステップ)。
例えば、いくつかの皿形状を実際に加工することにより、すでに適切な深さの皿形状を加工できる状態に調整された工具セット(マスター)について、作業者は、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を計測装置1で計測し、基準突出量AP0として設定してもよい。
例えば、作業者は、基準突出量AP0の設定として、基準突出量AP0をゼロ値として、マイクロメーター12に記憶させてもよい。
【0029】
ST01の実施に続いて、作業者は、
図4に示すように、仮調整されたカウンターシンクCSを準備する(ST02:仮調整されたカウンターシンクを準備するステップ)。
例えば、ST02において、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを仮調整してもよい。
例えば、ST02において、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APが仮調整された工具セットTSを準備してもよい。
【0030】
ST02の実施に続いて、作業者は、カウンターシンクCSを基台20に載せる(ST03:載せるステップ)。
例えば、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APが仮調整された工具セットTSを基台20に載せてもよい。
【0031】
ST03の実施に続いて、作業者は、
図5に示すように、基台20に対しカウンターシンクCSの軸方向DAに移動可能である計測探子11の第一当接部111に、カウンターシンクCSの刃TTを当てる(ST04:刃を当てるステップ)。
例えば、ST04において、作業者は、仮調整されたカウンターシンクCSの刃TTを、第一当接部111に当接してもよい。
【0032】
ST04の実施に続いて、作業者は、
図6に示すように、計測探子11を押し込む(ST05:計測探子を押し込むステップ)。
ST05において、作業者は、
図7に示すように、マイクロストッパーMSの当り面MCが、基台20の第二当接部201に当接するまで、計測探子11を押し込む。
例えば、ST05において、作業者は、刃TTを第一当接部111に当接させたまま、計測探子11を軸方向DAに押し込んでもよい。
【0033】
ST05の実施に続いて、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを、基準突出量AP0と比較する(ST06:比較するステップ)。
例えば、ST06において、作業者は、
図7に示す状態において、基準突出量AP0に対する突出量APの差を計測してもよい。
例えば、ST06において、作業者は、基準突出量AP0に対する突出量APの差として、基準突出量AP0がゼロ値として記憶されたマイクロメーター12の計測値を読み取ってもよい。
例えば、ST06において、作業者は、基準突出量AP0に対する突出量APの差が許容値内であるか否かを判定してもよい。その際、許容値は、機構部品に対し、加工すべき皿形状の深さに許容される値であってもよい。
例えば、ST06において、作業者は、許容値内であるか否かの判定として、基準突出量AP0に対する突出量APの差がゼロ値であるか否かを判定してもよい。
【0034】
基準突出量AP0に対する突出量APの差が許容値内である場合(ST06:Yes)、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整が完了したとして、計測方法を終了する。
基準突出量AP0に対する突出量APの差が許容値内でない場合(ST06:No)、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整し(ST07:突出量を調整するステップ)、ST03に戻る。
【0035】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、軸方向DAにおける計測探子11の相対位置が、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APに関連する。
このため、作業者は、軸方向DAにおける計測探子11の位置を計測することによって、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを計測することができる。
したがって、計測装置1によれば、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整しやすい。
【0036】
一般に構造部品の締結には、ボルトが用いられることがある。その際、構造部品には、ボルトの挿入するための加工が必要になる。
例えば、皿頭のボルトの挿入穴には、皿形状の加工が必要となる。
例えば、突出し頭のボルトの挿入穴には、フィレットリリーフと呼ばれる皿形状の逃がしを設ける必要がある。
構造部品に適切な深さの皿形状を加工するには、切削工具として、マイクロストッパーに固定されたカウンターシンクが用いられる。カウンターシンクは、カウンターシンクの軸方向に対し傾斜している刃を、軸方向周りに回転させて構造部品の表面を切削し、皿形状を加工する。皿形状が規定深さとなるまで構造部品の表面が切削されると、マイクロストッパーの当り面が構造部品の表面に当接する。このため、規定深さの形状を加工することができる。
したがって、規定深さの皿形状を加工するにはマイクロストッパーに対し、カウンターシンクの刃の突出量が適切に調整される必要がある。
【0037】
比較例1として、カウンターシンクの刃に直接マイクロメーターの計測面を当接させることで、作業者がマイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を調整したとする。
しかし、カウンターシンクの刃は、カウンターシンクの軸方向に対し傾斜しているため、比較例1では、作業者は、カウンターシンクの刃の位置を一意的に特定することが難しい。
これに対し、本実施形態によれば、計測探子11の位置を計測することで、カウンターシンクの刃の位置を特定できるため、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを計測しやすい。
【0038】
比較例2として、構造部品に対し実際に皿形状を加工し、加工された皿形状の深さを計測することで、作業者は、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を調整したとする。
しかし、比較例2では、実際の皿形状の加工には少なくとも切削加工が必要であるため、作業者は、マイクロストッパーに対するカウンターシンクの刃の突出量を調整するのに身体的負荷が掛る。
これに対し、本実施形態によれば、実際の皿形状の加工を行うことなく、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整できるため、作業者にとって、身体的負荷が低減される。
【0039】
本実施形態の一例によれば、マイクロメーター12により、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを数値で評価できる。
このため、作業者は、勘やコツに頼らず、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整できる。
【0040】
本実施形態の一例によれば、計測探子11が、基台20の開口202に対し軸方向DAに出没可能であるため、計測装置1は、計測探子11にカウンターシンクCSを軸方向DAに押し付けやすい構造を有する。
このため、計測装置1によれば、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを計測しやすい。
【0041】
本実施形態の一例によれば、第一当接部111は、皿形状で凹んでいるため、第一当接部111が、カウンターシンクCSの刃TTと広く当接可能な構造を有する。
このため、計測される突出量APが安定した値を示しやすい。
【0042】
本実施形態の一例によれば、第一当接部111から軸方向DAに延びる逃がし孔113を有するため、第一当接部111がカウンターシンクCSの刃TTと当接する際に、計測装置1は、カウンターシンクCSのパイロット部PTを逃がすことができる構造を有する。
このため、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APの計測において、パイロット部PTが干渉しにくい。
【0043】
本実施形態の一例によれば、基準突出量AP0を予め設定し、マイクロストッパーMSに対する刃TTの突出量APを、基準突出量AP0と比較するため、作業者は、予め設定された基準に近づけるように、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整しやすい。
【0044】
本実施形態の一例によれば、比較において、基準突出量AP0に対する突出量APの差を計測するため、作業者は、マイクロストッパーMSに対しカウンターシンクCSの突出量APを調整すべきか否か、どの程度調整すべきかを把握しやすい。
【0045】
本実施形態の一例によれば、差が許容値内になるように、突出量APを調整するため、作業者は、すでに適切な深さの皿形状を加工できる状態に調整された基準に倣い、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整できる。
【0046】
<変形例>
上述の実施形態の一例では、計測部10は、変位計としてマイクロメーター12を備えるが、軸方向DAにおける計測探子11の相対位置を計測できるなら、どのような変位計を備えてもよい。
変形例として、計測部10は、変位計として、レーザ変位計を備えてもよい。
【0047】
上述の実施形態の一例では、マイクロメーター12の基部123は、固定台206により、基台20の底205に固定されているが、マイクロメーター12の基部123が、基台20に固定されるなら、どのように構成されてもよい。
変形例として、マイクロメーター12の基部123は、基台20の上部から垂下する腕部に固定されることにより、基台20に固定されてもよい。
【0048】
上述の実施形態の一例では、ST07を実施した後、ST03に戻っているが、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整できるならどのように実施されてもよい。
変形例として、計測探子11を押し込んだ状態(例えば、
図7に示す状態)で刃TTの突出量APを調整できるなら、ST07を実施した後、ST06に戻ってもよい。
【0049】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれる。
【0050】
<付記>
上述の実施形態に記載の計測装置1及び計測方法は、例えば以下のように把握される。
【0051】
(1)第1の態様に係る計測装置1は、カウンターシンクCSの刃TTと当接可能な第一当接部111を有する計測探子11を備える計測部10と、マイクロストッパーMSの当り面MCと当接可能な第二当接部201を有する基台20と、を備え、前記基台20に対し、前記計測探子11が、前記カウンターシンクCSの軸方向DAに移動可能である。
【0052】
本態様によれば、軸方向DAにおける計測探子11の相対位置が、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APに関連する。
このため、作業者は、軸方向DAにおける計測探子11の位置を計測することによって、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを計測することができる。
したがって、計測装置1によれば、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整しやすい。
【0053】
(2)第2の態様に係る計測装置1は、前記計測部10が、マイクロメーター12をさらに備える(1)の計測装置1である。
【0054】
本態様によれば、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを数値で評価できる。
このため、作業者は、勘やコツに頼らず、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整できる。
【0055】
(3)第3の態様に係る計測装置1は、前記計測探子11が、前記基台20の開口202に対し前記軸方向DAに出没可能である(1)又は(2)の計測装置1である。
【0056】
本態様によれば、計測装置1は、計測探子11にカウンターシンクCSを軸方向DAに押し付けやすい構造を有する。
このため、計測装置1によれば、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを計測しやすい。
【0057】
(4)第4の態様に係る計測装置1は、前記第一当接部111が、皿形状で凹んでいる(1)又は(3)のいずれかの計測装置1である。
【0058】
本態様によれば、第一当接部111が、カウンターシンクCSの刃TTと広く当接可能な構造を有する。
このため、計測される突出量APが安定した値を示しやすい。
【0059】
(5)第5の態様に係る計測装置1は、前記計測探子11が、前記第一当接部111から前記軸方向DAに延びる逃がし孔113を有する(1)又は(4)のいずれかの計測装置1である。
【0060】
本態様によれば、第一当接部111がカウンターシンクCSの刃TTと当接する際に、計測装置1は、カウンターシンクCSのパイロット部PTを逃がすことができる構造を有する。
このため、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APの計測において、パイロット部PTが干渉しにくい。
【0061】
(6)第6の態様に係る計測方法は、基台20に対しカウンターシンクCSの軸方向DAに移動可能である計測探子11の第一当接部111に、前記カウンターシンクCSの刃TTを当て、マイクロストッパーMSの当り面MCが前記基台20の第二当接部201に当接するまで、前記計測探子11を押し込む。
【0062】
本態様によれば、軸方向DAにおける計測探子11の相対位置が、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APに関連する。
このため、作業者は、軸方向DAにおける計測探子11の位置を計測することによって、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを計測することができる。
したがって、計測方法によれば、作業者は、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整しやすい。
【0063】
(7)第7の態様に係る計測方法は、基準突出量AP0を予め設定し、前記マイクロストッパーMSに対する前記刃TTの突出量APを、前記基準突出量AP0と比較する(6)の計測方法である。
【0064】
本態様によれば、作業者は、予め設定された基準に近づけるように、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整しやすい。
【0065】
(8)第8の態様に係る計測方法は、前記比較において、前記基準突出量AP0に対する前記突出量APの差を計測する(7)の計測方法である。
【0066】
本態様によれば、作業者は、マイクロストッパーMSに対しカウンターシンクCSを調整すべきか否か、どの程度調整すべきかを把握しやすい。
【0067】
(9)第9の態様に係る計測方法は、前記差が許容値内になるように、前記突出量APを調整する(7)の計測方法である。
【0068】
本態様によれば、作業者は、すでに適切な深さの皿形状を加工できる状態に調整された基準に倣い、マイクロストッパーMSに対するカウンターシンクCSの刃TTの突出量APを調整できる。
【符号の説明】
【0069】
1 計測装置
10 計測部
11 計測探子
12 マイクロメーター
13 延伸部
14 弾性機構
20 基台
111 第一当接部
112 中心軸
113 逃がし孔
121 計測面
122 表示部
123 基部
201 第二当接部
202 開口
203 突出部
204 中空部
205 底
206 固定台
207 パイロットチェック孔
AP 突出量
CS カウンターシンク
DA 軸方向
MC 当り面
MP 樹脂
MS マイクロストッパー
PT パイロット部
TS 工具セット
TT 刃