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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185953
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】スライドレールのストッパー装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/473 20170101AFI20221208BHJP
   A47B 88/49 20170101ALI20221208BHJP
【FI】
A47B88/473
A47B88/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093899
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】390002255
【氏名又は名称】日本アキュライド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福谷 剛
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AA11
3B160AA12
3B160AB42
3B160EA03
3B160EA14
3B160EB75
3B160EB82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作性が優れ、スムーズにスライド可能なスライドレールのストッパー装置を提供することを課題とする。
【解決手段】スライドレールのスライドを一時停止させるストッパー装置を、操作部と係止片85aを有した操作レバー8と、操作レバーを作動させる作動部を有した作動部材9と、係止片と係合する係止部91bで構成し、操作レバーを、アウターレールにインナーレールの基板に対向するように設置し、インナーレールに作動部材、係止部をアウターレールの基板に対向するように設置し、操作レバーをスライド方向と直行する水平方向に回動するように設置するとともに、操作部が回動すると、連動して係止片が操作部の反対側に回動するように操作レバーを形成し、スライドレールのスライドに伴って作動部材の作動部をによって、操作レバーが回動し、係止部と係止片が係合し、スライドレールのスライドを一時停止させるように構成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアウターレールとアウターレールに対してスライドするインナーレールを備えたスライドレールに装備されるスライドレールのスライドを一時停止させるストッパー装置であって、ストッパー装置を、少なくとも操作部と操作レバーと作動部材と係止部で構成し、操作レバーに係止片を設け、作動部材に、操作レバーを作動させる作動部を設け、係止部を、係止片と係合するようにし、該操作レバーを、アウターレール、あるいは、インナーレールに他方のレールの基板に対向するように設置し、操作レバーが設置された該レールに対する他方側のレールに、作動部材、係止部を、操作レバーが設置されたレールの基板に対向するように設置し、かつ、操作レバーをスライド方向と直行する水平方向に回動するように設置するとともに、スライドレールのスライドに伴い作動部材の作動部によって、操作レバーが強制的に回動し、該回動によって係止部と係止片が係合してスライドレールのスライドを一時停止させ、操作部を操作することにより、操作レバーを回動させ該係止部と係止片の係合を解除させ、操作部は、操作レバーと別体であることを特徴とするスライドレールのストッパー装置。
【請求項2】
係止部と係止片の係合状態で、操作部を押すことにより操作レバーが押圧され、操作レバーの被作動部側が押圧され操作レバーが回動し、該操作レバーの回動によって係止片が係止部から外れ、前記係合状態が解除することを特徴とする請求項1に記載のスライドレールのストッパー装置。
【請求項3】
係止部と係止片の係合を解除するまでの操作待機時において、操作部が、操作レバーが設置されるレールの基板を挟み操作レバーと対向する側に突出していることを特徴とする請求項1、あるいは、請求項2に記載のスライドレールのストッパー装置。
【請求項4】
操作部を、操作レバーを回動可能に保持する保持部材に設けたことを特徴とする請求項1、あるいは、請求項2、あるいは、請求項3に記載のスライドレールのストッパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に引き出しやグリル調理器等の物品を直線移動させるスライドレールに用いられるストッパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スライドレールのストッパー装置として数々のものが提供されており、その代表的なものとして、先行技術文献1(特許文献1)に示されるように、スライドレールの高さ方向に回動するストッパー部材5をインナーメンバー2の基板側に設けて、スライドレールを引き出すとストッパー部材5がアウターメンバー1の端部側に突出しスライドレールが引き出された状態で一時固定されるもので、この状態で、指で、突出したストッパー部材5を操作することによりインナーメンバー2の引き出し状態を解除、あるいは、インナーメンバー2をアウターメンバー1より抜き出すものがある。
しかしながらこのようなストッパー装置は、ストッパー部材5が高さ方向に回動するため、インナーメンバーの高さが低いものでは、ストッパー部材5の回動範囲が十分に確保できないことや、インナーメンバー2の屈折縁21、21間で操作するため操作性が悪くなることで採用が難しかった。
また、通常、屈折縁21、21のボールが転動する面に潤滑用のグリスが塗布されるので、ストッパー部材5を操作する際インナーメンバー2の屈折縁21、21に指が触れることがあり、その時に、指にグリスが付着するといったことがある。
さらに、引き出しのようにスライドレールを一対で使用する場合、ストッパー部材5の回動方向に違い出るため、スライドレールを右用、左用に2種類用意する必要がある。
【0003】
他の方法として、先行技術文献2(特許文献2)に示されるように、移動側メンバー2の基板部に設置された板ばね状のストッパー部材6を設け、スライドレールを引き出すとストッパー部材6が固定側メンバー1の端部側に突出しスライドレールが引き出された状態で固定されるもので、この状態で、指で突出したストッパー部材6を操作することにより移動側メンバー2の引き出し状態を解除、あるいは、移動側メンバー2を固定側メンバー1より抜き出すものがある。
そして、ストッパー部材6は、移動側メンバー2の基板部に設置されるため、ストッパー部材6は基本的に基板部高さ範囲内の高さに設定される。そのため、移動側メンバー2の高さが低い小さいスライドレールに設置しようとした場合、ストッパー部材6の高さも低くなり、かつ、移動側メンバー2の折曲縁21、21間に埋没することから、指で押すことが困難で操作性が悪いばかりか、ストッパー部材6の強度の確保が難しいといった問題がある。
【0004】
また、高さが低い小さいスライドレールは、通常、厚みも薄いため、板ばね状のストッパー部材6では、厚み方向のストロークが十分に取れず、ストッパー装置の機能を安定して動作させることが難しかった。
さらに、通常、折曲縁21、21のボールが転動する面に潤滑用のグリスが塗布されるので、ストッパー部材6を操作する際、移動側メンバー2の折曲縁21、21に指が触れることがあり、その時に、指にグリスが付着するといったことがある。
他方、このようなストッパー部材6は、対向する固定側メンバー側にばね作用により付勢力を加えていることになるため、スライドレールの伸縮時に常にストッパー部材6で対向するメンバーを押していることとなるため抵抗が生じ、スライドレールをスムーズに伸縮させることが難しいといった問題がある。
特に、ストッパー部材6で対向するメンバーを押しているため、スライドレールの伸縮を繰り返すと、ストッパー部材6や対向するメンバーが擦れにより摩耗し、削れたものが汚れとなって付着するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平03-17528号公報
【特許文献2】特開2003-325256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、操作性が優れ、スムーズにスライド可能なスライドレールのストッパー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくともアウターレールとアウターレールに対してスライドするインナーレールを備えたスライドレールに装備されるスライドレールのスライドを一時停止させるストッパー装置であって、ストッパー装置を、少なくとも操作部と操作レバーと作動部材と係止部で構成し、操作レバーに係止片を設け、作動部材に、操作レバーを作動させる作動部を設け、係止部を、係止片と係合するようにし、該操作レバーを、アウターレール、あるいは、インナーレールに他方のレールの基板に対向するように設置し、操作レバーが設置された該レールに対する他方側のレールに、作動部材、係止部を、操作レバーが設置されたレールの基板に対向するように設置し、かつ、操作レバーをスライド方向と直行する水平方向に回動するように設置するとともに、スライドレールのスライドに伴い作動部材の作動部によって、操作レバーが強制的に回動し、該回動によって係止部と係止片が係合してスライドレールのスライドを一時停止させ、操作部を操作することにより、操作レバーを回動させ該係止部と係止片の係合を解除させ、操作部は、操作レバーと別体の構成とする。
【0008】
係止部と係止片の係合状態で、操作部を押すことにより操作レバーが押圧され、操作レバーの被作動部側が押圧され操作レバーが回動し、該操作レバーの回動によって係止片が係止部から外れ、前記係合状態が解除されるように構成する。
【0009】
係止部と係止片の係合を解除するまでの操作待機時において、操作部が、操作レバーが設置されるレールの基板を挟み操作レバーと対向する側に突出している構成にする。
【0010】
操作部を、操作レバーを回動可能に保持する保持部材に設ける構成とする。
【発明の効果】
【0011】
操作レバーをスライド方向と直行する水平方向に回動するように設置して、該回動により、スライドレールの係止、係止解除を行うことができるから、高さ方向の動きがないため高さの低いスライドレールであっても採用が可能となる。
また、操作レバーが他方のレールに基板に対向するように設置され、他方側のレールに該作動部材が他方のレールに基板に対向するように設置されており、作動部材で操作レバーを作動させるから、作動部材と操作レバーが協働することによってスライドレールを一時停止させることが可能で、一時停止機能が働いていない状態では、操作レバー、あるいは、作動部材が、他方側のレールに過度に接触させる必要がない。そのため、スライドレールの伸縮(スライド)動作に影響がでにくい。
【0012】
また、操作レバーは係合部材であるから強度を保つ必要があり、操作部は、人が手で触れて操作する部分で特段強度は必要ではないことから、操作部が操作レバーと別体とすることにより、操作部、操作レバーの形状や素材といったものを機能毎に設定することが容易である。そのため、各部材の形状を簡単にすることも可能となるので、コストを抑えるといったことが容易である。
【0013】
操作レバーをスライド方向と直行する水平方向に回動、かつ、操作レバーの被作動部と係止部が互いに反対方向に回動するから、操作部を押して被作動部側を作動させるだけで、係止片と係止部の係合状態を解除させることができる。
【0014】
そして、操作部が、操作待機位置で操作レバーが設置されたレールに対向する側レールの基板方向と反対側に突出することになるから、操作部を指で操作する際、レールの折曲縁間に埋没することがないので、操作がしやすい。また、折曲縁に触れることなく操作可能なので、指にグリスなどの汚れが付着することを防止することができる。
【0015】
操作部は、保持部材に設けているため、部品点数が増えることなく操作部を設定することが可能であるばかりか、保持部材は操作レバーを回動可能に保持するものであるから、操作部を保持部材に設けることにより、操作部と操作レバーの位置関係の設定が確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ストッパー装置が装着されたスライドレールの伸長状態の斜視図1
図2】ストッパー装置が装着されたスライドレールの伸長状態の斜視図2
図3】ストッパー装置が装着されたスライドレールの最収縮状態の斜視図
図4】ストッパー装置が装着されたスライドレールの分解斜視図
図5】ストッパー装置が装着されたスライドレールの第2インナーレールの伸長端側から見た正面図
図6】スライドレールの基本断面図
図7】ストッパー装置の分解斜視図1
図8】ストッパー装置の分解斜視図2
図9】保持部材と操作レバーを第2アウターレールに装着した状態の要部斜視図
図10】作動部材を第2インナーレールに装着した状態の要部斜視図
図11】スライドレールの伸長過程を示す要部水平断面図
図12】スライドレールの伸長過程で作動部材と操作レバーが接触した状態を示す要部水平断面図
図13】スライドレールの伸長過程で作動部材で操作レバーを回動させた状態を示す要部水平断面図
図14】作動部材と操作レバーの係合状態を示す概略平面図
図15】作動部材と操作レバーの係合状態を示す概略斜視図
図16】作動部材と操作レバーの係合状態で操作部を押した状態を示す要部水平断面図
図17】ストッパー装置のストッパーを解除した状態を示す要部水平断面図
図18】伸長状態で一時固定するストッパー装置の伸長過程を示す要部水平断面図
図19】伸長状態で一時固定するストッパー装置の伸長途中を示す要部水平断面図
図20】伸長状態で一時固定するストッパー装置のストッパーの作動状態を示す要部水平断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
操作性に優れ、スムーズにスライド可能なスライドレールのストッパー装置を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0018】
スライドレールの基本的構成を図1~6に基づいて説明する。
尚、便宜的に、図5における上下方向を上下方向と云い、左右方向を左右方向と云い、図1における左下側を引き出し側または伸長側、右上側を引き込み側または収縮側と云う。
スライドレール100は、第1アウターレール1と、第1アウターレール1に対し、第1ボール保持板3に回転自在に保持された複数個のボール30・・・を介して摺動自在に設けられた第1インナーレール2と、第1インナーレール2と連結固定される第2アウターレール5と、第2アウターレール5に対し、第2ボール保持板7に回転自在に保持された複数個のボール70・・・を介して摺動自在に設けられた第2インナーレール6より構成される。
そして、スライドレール100の第2アウターレール5に操作レバー8が保持部材80を介して取り付けられ、第2インナーレール6に作動部材9が取り付けられている。
【0019】
第1アウターレール1は、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げて形成された内面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する上下折曲縁11、11と、基板12より断面略C字形を成している。
【0020】
第1インナーレール2は、第1アウターレール1の長さより5分の4程度のやや短い長さで、金属製の細長条板の基板22の短手両端部を内面側に膨出するように外向き円弧状に折り曲げて形成された外面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有し、上下折曲縁21、21と、基板22より第1アウターレール1に対向する断面略コ字形に形成されている。
【0021】
第1ボール保持板3は帯条金属板にて第1インナーレール2より所定寸法短くした、第1アウターレール1と第1インナーレール2間に挿入可能な大きさの基板31と、第1アウターレール1と第1インナーレール2の各上下折曲縁11、11、21、21間に位置する上下突出縁32、32より断面略コ字形に形成され、上下突出縁32、32の長手方向(摺動方向)数個所でボール30・・・を回転自在に保持している。
【0022】
第2アウターレール5は、第1アウターレール1の長さと同等の長さで金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げて形成された内面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有する上下折曲縁51、51と、基板52より断面略C字形を成している。
【0023】
第2インナーレール6は、第2アウターレール5とほぼ同等の長さで、金属製の細長条板の基板62の短手両端部を内面側に膨出するように外向き円弧状に折り曲げて形成された外面長手方向(摺動方向)にボール案内溝を有し、上下折曲縁61、61と、基板62より第2アウターレール5に対向する断面略コ字形に形成されている。
【0024】
第2ボール保持板7は帯条金属板にて第2インナーレール6より所定寸法短くした、第2アウターレール5と第2インナーレール6間に挿入可能な大きさの基板71と、第2アウターレール5と第2インナーレール6の各上下折曲縁51、51、61、61間に位置する上下突出縁72、72より断面略コ字形に形成され、上下突出縁72、72の長手方向(摺動方向)数個所でボール70・・・を回転自在に保持している。
【0025】
そして、第2アウターレール5と第1インナーレール2は、互いの折曲縁51、51と折曲縁21、21の折り曲げ方向が反対方向に向くように、互いの基板52と基板22が密着するように背中合わせに連結されて、断面略I字形となるように形成され、第2アウターレール5と第1インナーレール2が一体的に摺動(以下スライドと云う)する中間レール4を形成している。
【0026】
スライドレール100は上記のように構成され、スライドレール100は通常、第1アウターレール1を固定側、第2インナーレール6を移動側として使用される。
尚、スライドレール100は、基板12、基板22、基板52、基板62が垂直方向に配置され、基板12、基板21間でボール30・・・、基板52、基板62間でボール70・・・がそれぞれ、縦方向に対向配置される状態(図6の状態)をスライドレール100の縦使いと云い、基板12、基板22、基板52、基板62が水平方向に配置され、ボール30・・・、ボール70・・・がそれぞれ、水平方向に対向配置される状態をスライドレール100の横使いと云い、実施例では縦使い方法として説明する。
スライドレール100は、最収縮状態で第1アウターレール1の折曲縁11、11間に、第1ボール保持板3、ボール30・・・、第1インナーレール2の折曲縁21、21が収容された状態となり、第2アウターレール5の折曲縁51、51間に、第2ボール保持板7、ボール70・・・、第2インナーレール6の折曲縁61、61が収容された状態となる。
【0027】
この時、第1アウターレール1に対して、第1インナーレール2が最収縮状態で停止させるストッパーとして、第1アウターレール1の基板12の後端部に、第1インナーレール2の基板22側に折り曲げられ形成される収縮ストッパー121が設けられ、収縮ストッパー121が第1インナーレール2の後端面に当接することにより、第1インナーレール2の収縮方向のスライドが停止できる。
また、第2インナーレール6も同様に、第2アウターレール5に対して最収縮状態で停止するように、第2アウターレール5の基板52の後端部に、第2インナーレール6の基板62側に折り曲げられ形成される収縮ストッパー521が設けられ、収縮ストッパー521が第2インナーレール6の後端面に当接することにより第2インナーレール6の収縮方向のスライドが停止できる。
【0028】
そして、最収縮状態のスライドレール100の第2インナーレール6を引き出すと、ボール70が第2ボール保持板7とともに転動し、第2アウターレール5が引き出される。
第2アウターレール5は第1インナーレール2と連結され中間レール4とされているから、第1インナーレール2もボール30・・・、第1ボール保持板3とともに引き出される。
【0029】
第2インナーレール6が最伸長すると後述するストッパー装置800が働き、第2インナーレール6の伸長が停止する。そして、中間レール4は、最伸長すると第1アウターレール1の伸長側に設けられたストッパー片に、第1ボール保持板3の伸長側端面が当接し、第1ボール保持板3のスライドが停止し、第1インナーレール2の後端(収縮側端)に設けられたストッパー片が第1ボール保持板3の後端に当接し、中間レール4のスライドが停止する。
【0030】
このようにスライドレール100の第2インナーレール6を最伸長時に停止させるストッパー装置800について説明する。
ストッパー装置800は、主に第2アウターレール5に設けられる保持部材80と、保持部材80に取り付けられる操作レバー8と、操作レバー8を作動させる操作部804と、第2インナーレール6に設けられる作動部材9で構成される。
【0031】
保持部材80は、第2アウターレール5のコ字状の内面側に沿うように勘合取付されるもので、図7、8に示すように、スライド方向に長尺の長方形の板状の基板部801と、基板部801の上下端面から水平方向に突出する一対の上下嵌合凸部802、802と、基板部801の中央部で、上下嵌合凸部802と同方向に突出する上下一対の軸受け片803、803と、基板部801に設けられ、上下嵌合凸部802と反対方向に突出する操作部804が合成樹脂にて一体的に形成されたものである。
軸受け片803、803には上下方向に貫通する軸孔803a、803aが設けられ、また、基板部801には、軸孔803aの伸長側には、後述する操作レバー8との接触を避けるため、軸孔803aと連接した側面視でT字型の逃がし孔801aが設けられる。
【0032】
基板部801は、板状の平面部が、第2アウターレール5の基板52の折曲縁51、51側の面に沿うように基板52の高さとほぼ同じ高さに形成され、上下嵌合凸部802、802は、折曲縁51、51の対向している内面側に沿うように上下方向に半円状に膨出する勘合片802aが形成されている。
また、勘合片802aの下面(上面)側も対称に同形状に膨出して案内片802bが形成されている。
軸孔803a、803aは、基板部801の基板52と接する側から上下方向に貫通するU字断面の凹状溝部803bを形成させて形成されている。
【0033】
操作部804は、軸孔803aより伸長側に形成されるもので、側面視で縦長小判型の形状で、前記のとおり、上下嵌合凸部802と反対方向、すなわち、第2アウターレール5の基板52側であって、かつ、基板52から飛び出すように形成されている。
操作部804の周囲の基板部801には、収納側辺を除き細溝状の貫通孔で切り欠かれており、操作部804と基板部801の縁が切られている。
そして、操作部804の収納側辺は基板部801と連結された状態となっており、収納側辺の上下端から収納側に向かって、軸孔803aには届かない長さの細溝状の貫通孔が形成され、該貫通孔は伸長側端で前記の細溝状の貫通孔と連接され、側面視でT字型の切り欠き貫通孔804aを形成している。
このように操作部804の周囲には、T字型の切り欠き貫通孔804aが設けれているから、操作部804は、基板部801と連結している部分が弾性変形をしながら水平方向(左右方向)に移動可能である。
【0034】
操作レバー8は、鋼板のプレス成型にて製作されるもので、図7、8に示すように、平面視への字状に屈曲して形成されるアーム部81と、アーム部81のへの字状の頂点部に形成された上下方向に突出する軸部82、82と、アーム部81の内、軸部82、82から収縮側に形成される側を作動アーム811、伸長側を係止片支持アーム812とし、作動アーム811の先端で上下方向かつ水平方向に突出して形成される被作動部83と、係止片支持アーム812の先端に形成される係止凸部85が形成されるものである。
尚、実施例においてへの字状に連結される作動アーム811と係止片支持アーム812の角度は約158度に設定されている。この角度は、ストッパー装置を装着するスライドレールの厚み、高さなどに合わせて適宜設定される。
【0035】
そして、被作動部83は、水平方向の突出端側のスライド方向の前後角部が曲面に形成され、平面視において半円状を成し、被作動部83、83の上下間にはスライド方向に貫通する作動アーム811とほぼ同じ高さの凹部である逃がし溝831が設けられ、作動アーム811の先端で上下一対に被作動部83、83が形成される態様を成している。
尚、逃がし溝831は、第2インナーレール6を引き出しなどの物品に取り付ける際のネジの頭が当たらないようにするための逃がしである。
【0036】
係止凸部85は、平面視において、係止片支持アーム812の先端から、被作動部83と同方向に一旦屈曲し、側面視において、該屈曲部の上下端部から上下方向にそれぞれに突出する係止片85a、85aが形成され、さらに平面視で前記屈曲部の係止片支持アーム812の延長線上からさらに延伸し被作動部83と同方向に屈曲形成される傾斜面85bで構成される。
【0037】
作動部材9は、図7、8で示すように、厚みのある板状の基材91と、基材91の収縮側に延伸する押し出し部92と、押し出し部92の収縮側端に形成される案内部93で形成される。
基材91は、板状平面部が第2インナーレール6の基板62のコ字状の内面側に沿うように勘合取付されるもので、基板62側が裏面とされ、その対向面が表面であって、折曲縁61、61間に入る高さに設定されている。
【0038】
そして、基材91の上端面と下端面には、それぞれ上下方向に突出する上勘合凸片911と下勘合凸片912が形成されている。
上勘合凸片911は、上面が基板62側に向かって下がるように傾斜するように形成され、下勘合凸片912は、下面が基板62側に向かって勘合凸片911と並行に上がるように傾斜するように形成されている。
また、基材91の裏面の中心部付近には、円柱状の位置決め突起913が形成されている。
さらに、基材91の伸長側端面は、裏面から表面にかけて伸長側に張り出すようにやや鈍角に形成され、さらに、基材91の表面の伸長側の中央部には、裏面に向かって伸長側に傾斜する凹部91aが設けられ、凹部91aを挟んで上下部分の伸長側端面が係止部91b、91bとされる。
【0039】
押し出し部92は、基材91の収縮側端面の基板62から水平方向に離れた位置から縦長扁平断面で収縮側に延伸するもので、基材91から一旦、基板62から水平方向に離れた方向に向かって延伸し、該延伸端からさらに基板62と並行に収縮側に延伸している。
そして、押し出し部92の延伸端からやや高さを低くした同じく縦長扁平断面で基板62に近づくように傾斜した案内部93が延伸形成されている。
【0040】
このように形成されたストッパー装置800の各部材は次のようにスライドレール100に取り付けられる。
まず、操作レバー8の被作動部83側を、保持部材80の逃がし孔801aのT字型の縦長孔部に基板部801の上下嵌合凸部802の突出方向と反対側の裏面から差し込み、作動アーム811部が逃がし孔801a内の位置で、操作レバー8を収縮側に移動させる。
そして、軸部82、82が、軸孔803a、803aに到達した位置で、軸部82、軸孔803aを回転軸として操作レバー8を回転させ、係止片85a、被作動部83の突出側が上下嵌合凸部802の突出方向と同じ側の表面に向け、さらに裏側から軸部82、82を、保持部材80の軸受け片803、803の軸孔803a、803aに挿入する。
【0041】
この状態で、操作レバー8の係止凸部85の傾斜面85bの伸長側端部が、逃がし孔801aの伸長側に接する基板部801の抜け止め片805に接触するので、抜け止め片805を伸長側に弾性変形させながら、傾斜面85bを逃がし孔801aを通過させる。
傾斜面85bが逃がし孔801aを通過すると、抜け止め片805は復元する。
復元すると、軸部82、82を回転軸として操作レバー8が回転しても、傾斜面85bが抜け止め片805の表面に接触し回転が止まる。
そして、この状態で、操作レバー8の被作動部83の突出方向と反対側の面が、操作部804の裏面の位置となり、軸部82、82を回転軸として操作レバー8が回転すると、被作動部83と操作部804の裏面が接触し回転が止まる。
したがって、操作レバー8の係止凸部85が伸長側、被作動部83が収縮側で、保持部材80に対して、軸部82、82を垂直軸として、シーソーのように水平方向に回動する。
すなわち、被作動部83が基板部801に近づくと係止凸部85が基板部801から水平方向に離れ、係止凸部85が基板部801に近づくとが被作動部83基板部801から水平方向に離れる。
【0042】
操作レバー8は、軸部82、82が裏面が開口している軸孔803a、803aに挿入しているだけなので、通常、裏面側に抜け落ちるが、このように傾斜面85bが抜け止め片805の表面に接触するようにしていることと、操作部804の裏面に被作動部83接触することを合わせることで、操作レバー8は保持部材80から裏面に脱落しないようにすることが可能である。
そのため、保持部材80をスライドレールに組み付ける際、操作レバー8が脱落することがないので、組み立て作業性が良くなる。
尚、抜け止め片805は、基板部801の逃がし孔801aの伸長側に設定され、抜け止め片805の伸長側に縦長長方形の貫通穴を設けることにより、抜け止め片805が弾性変形しやすいようにしているが、縦長長方形の貫通穴を無くしてもよく、抜け止め片805を薄肉形状にする方法でもよい。
【0043】
次に、このように組み合わされた保持部材80、操作レバー8を第2アウターレール5に取り付ける方法を説明する。
まず、スライドレール100の第1アウターレール1に第1ボール保持板3、ボール30・・・を装着し、第1インナーレール2(中間レール4)をボール30(第1ボール保持板3)間に装着する。
そして、中間レール4の第2アウターレール5に第2ボール保持板7、ボール70・・・をセットしておき、第2インナーレール6は、第2アウターレール5に装着しない状態にしておく。
【0044】
そして、第2アウターレール5の伸長側端部近傍の所定の位置で、第2アウターレール5の基板52に折曲縁51、51側から、操作レバー8が装着された保持部材80を、被作動部83が収縮側、係止凸部85が伸長側となるように基板部801の裏面から押し込む。
押し込むと、保持部材80全体が弾性変形し、上下嵌合凸部802、802が折曲縁51、51の対向面に沿うように勘合する(図9の状態)。
そして、第2アウターレール5の基板52には、凹状溝部803bに嵌るように凸状の突起部52aが形成されているので、保持部材80は、第2アウターレール5に対して、水平方向は上下嵌合凸部802、802で支持され、スライド方向は凹状溝部803bで支持されているので第2アウターレール5から容易には外れない。
【0045】
この状態で、操作レバー8は、保持部材80に軸支され、水平方向に回動する。また、第2アウターレール5の基板52には、操作部804の逃がし孔として、操作部孔52bが設けられており、保持部材80が、第2アウターレール5に装着された時点で、操作部804が操作部孔52bから突出した状態となる。
【0046】
次に、第2インナーレール6のスライド方向中央部より収縮側端部寄りの所定の位置で、基板62に折曲縁61、61側から、作動部材9、押し出し部92を収縮側に向けて基材91の裏面から、上勘合凸片911を、上側の折曲縁61と基板62で形成される角部に挿入するように押し込む。
このように押し込むと、下勘合凸片912が弾性変形しながら、下側の折曲縁61と基板62で形成される角部に勘合する(図10の状態)。
【0047】
そして、第2インナーレール6の基板62には、作動部材9の位置決め突起913に対応して位置決め孔62aが形成されており、位置決め突起913が位置決め孔62aに嵌り込むことにより、第2インナーレール6に対して作動部材9がスライド方向にずれることを防止している。
さらに、第2インナーレール6の基板62には、案内部93の先端に対応して、縦長小判型の逃がし孔62bが設けられている。
【0048】
このように、作動部材9は第2インナーレール6に取り付けられ、作動部材9の押し出し部92は、基材62より水平方向に離れた位置で、基材62と略平行に配置することとなり、押し出し部92を基材62方向に押すと、押し出し部92は弾性変形しながら基材62に寄り、押し出し部92を離すと、基材62と略平行な状態に復帰する。
第2インナーレール6の逃がし孔62bは、押し出し部92が弾性変形した際、案内部93と基材62が接触することを避けるための逃がし孔である。
【0049】
このようにして、ストッパー装置800はスライドレール100の各部材に取り付けられるが、次に、ストッパー装置800が装着されたスライドレール100の最終組み立て方法を説明する。
作動部材9が取り付けられた第2インナーレール6を、作動部材9側(収縮側)から、第2アウターレール5の伸長側から第2ボール保持板7の上下のボール70、70間に差し込む。
この時、第2アウターレール5を中間レール4を第1アウターレール1に対して最収縮側に移動しておく。
そして、第2インナーレール6を収縮方向にスライドさせていくと、作動部材9の案内部93が、操作レバー8の係止凸部85の先端の傾斜面85bに到達する。
さらにスライドさせると、傾斜している案内部93と傾斜面85bによって、係止凸部85は、基板52側に回動移動し、被作動部83が作動部材9のスライド軌道上に回動移動してくる。
【0050】
次に、案内部93が、被作動部83に到達し、さらに第2インナーレール6を収縮方向にスライドさせていくと、案内部93が被作動部83を水平方向に押していくが、被作動部83が押されると係止凸部85側が、作動部材9側に押し出されてくる。
係止凸部85側が、作動部材9側に押し出されてくると、係止凸部85が作動部材9の基材91に接触して操作レバー8が回動できなくなる。
この状態からさらに第2インナーレール6を収縮方向にスライドさせていくと、押し出し部92が被作動部83に押されるように基板62側に弾性変形し、作動部材9が被作動部83を通過可能となり第2インナーレール6が収縮方向にスライド可能となる。
そして、押し出し部92が操作レバー8を通過すると、第2インナーレール6は最収縮位置までスライド可能となり、ストッパー装置800が取り付けられたスライドレール100は組み立てられる。
【0051】
次のストッパー装置800のストッパー機能の説明を、第1アウターレール1を筐体などに固定される固定側、第2インナーレール6を引き出しなどに取り付けられる移動側として説明する。
最収縮状態のスライドレール100の第2インナーレール6を引き出すと、前述のとおりスライドレールは引き出される。この時、通常、ボールベアリング式のスライドレールは、第2インナーレール6のスライドに連動して中間レール4も連動してスライド移動する。
【0052】
しかしながら、特許文献2に記載されるような板ばね状のストッパー装置のものは、板ばね状のストッパーが装着されたレールの対向側のレールに接触しているため、ストッパーが抵抗になって、ストッパーが装着された側のレールは連動してスライドしない。
まず、ストッパーが装着されていない抵抗が少ない側の第1インナーレールがスライドする。そして、第1インナーレールが最伸長すると、第2アウターレールに対して第2インナーレールが、ストッパーが対向するレールを擦りながらスライドする。
このため、スライドレールは全体が連動してスライドせず段階的に、かつ、スライド抵抗が変化しスライドすることとなる。
【0053】
本件実施例においては、図11に示すように、スライド中に操作レバー8、作動部材9ともに対向するレールに接触することがない。
操作レバー8については、回動可能であるため、回動度合いによっては、多少、第2インナーレール6に触れることがあるが、操作レバー8は、ばねなどの外力よって付勢されておらず、抵抗が少ない状態で回動可能な状態なので、例え第2インナーレール6に触れたとしてもスライドレールのスライドに支障が出るほどの接触抵抗は生まれない。
【0054】
そして、第2インナーレール6をさらに引き出すと、図12に示すように、操作レバー8の被作動部83に作動部材9の係止部91bが接触する。そして、被作動部83の端面は円形であるから、係止部91bは被作動部83に引っかかることなく、被作動部83は係止部91bによって、操作レバー8が回動し基材51側に押し避けられ、該回動により操作レバー8のシーソー作用で係止片85aが、係止部91bの伸長側の軌道上に移動する(図13の状態)。
さらに第2インナーレール6を引き出すと、被作動部83に押し出し部92が到達する。
押し出し部92は、基材91より基材52側に張り出しているから、被作動部83を基材52側に押しながら、かつ、基材62側に弾性変形しながら、第2インナーレール6が引き出される。
この時、作動アーム811が、保持部材80の操作部804の裏面(押し出し部92に対面する面)に当接し、操作部804を押すと、操作部804の裏面で作動アーム811が押される状態となる。
【0055】
そして、係止片85aが作動部材9の係止部91bの軌道上に移動しているから、作動部材9の係止部91bが、操作レバー8の係止片85aに接触する(図14図15に示す状態)。
係止部91bは、基板52側に、かつ、伸長側にやや鈍角が角度で形成されているから、係止部91bと係止片85aが接触した状態で第2インナーレール6を引き出すと、係止部91bの先端が、係止片85aの回動側(基板52側)に突出しているから、係止片85aの回動側は容易に回動出来ずに係止部91bと係止片85aは互いに掛り合った状態となった係止状態で接触する。
係止片85aが容易に回動できないから、操作レバー8も回動しない。また、被作動部83が押し出し部92の弾性力によって、基板52に押圧されているから、操作レバー8は、なおさら回動できないため、この状態で、第2インナーレール6のスライドに対して一旦ストッパーが効くこととなり、第2インナーレール6は最伸長状態となる。
【0056】
そして、そのまま引き出されていくとスライドレール100の各レールが最大伸長し、スライドレールは図1に示す設定された最大伸長状態となる。
尚、該ストッパーが効いた状態で、作動部材9の凹部91aに係止片支持アーム812の一部が挿入された状態となっており、凹部91aは、係止片支持アーム812が基材91に接触することを避けるの逃がし部として設けてある。
尚、本実施例においては、係止部91bは、作動部材9と一体的に形成しているが、別部材としてもよく、基材6を切り起こすことにより形成してもよい。
しかしながら作動部材9と一体的に形成したほうが、部品点数が少なることから組立が容易となることや、作動部材と操作レバーを取り付けた位置で係止位置を決めることができるため、操作レバーの回動に合わせた係止開始、解除が確実に行える。また、スライドレールの一時停止位置の設定が容易となる。
【0057】
そして、最大伸長の第2インナーレール6を収縮側に押し込むと、係止部91bの係止片85aの係止状態は解かれ、スライドレール100は収縮していく。
反対に、最大伸長の第2インナーレール6を引くと、係止部91bと係止片85aは互いに掛り合うように係止状態となっているから、第2インナーレール6は伸長側に移動しない。
そして、係止部91bと係止片85aの係止状態では、第2インナーレール6の伸長方向のスライドを一旦止めているだけの操作待機状態となっている。
【0058】
該操作待機状態で操作部804を基材62側に指で押すと、前述のとおり作動アーム811が、保持部材80の操作部804の裏面(押し出し部92に対面する面)に当接した状態となっているから、作動アーム811が操作部804の裏面に押され基板62側に回動移動する。
作動アーム811の回動移動によって、図16に示すように、被作動部83で押し出し部92が押され、押し出し部92が基材62側に弾性変形する。当然ながら操作部804を押すことを止めると、押し出し部92の弾性力によって、操作部804は基材52から突出している状態に戻される。
そして、操作部804を指で押した状態では、操作レバー8のシーソー作用で係止片85aが基材51側に回動移動するから、係止部91bと係止片85aの係止状態が解かれ、ストッパー装置800のストッパーが解除された状態となる。
操作部804を指で押した状態のまま、第2インナーレール6を伸長側に引くと、第2インナーレール6を第2アウターレール(第2ボール保持板7、ボール70・・・)から引き抜くことが可能となる(図17の状態)。
【0059】
このように、作動部材9は、基材91、押し出し部92、案内部93で操作レバー8を作動させる作動部を形成している。
特に、操作レバー8に、操作レバー8の回動軸82を挟んだ係止片85aの対向側に被作動部83を設け、作動部材9に、押し出し部92を設け、スライドレールのスライドに伴って、該押し出し部92で、被作動部83を押圧することにより操作レバー8が回動し、該回動により係止片85aが、作動部材9側に設けられた係止部91bに係合するように移動することによって係止片85aと係止部91bが係合しスライドレールのスライドが一時停止するもので、操作レバー8は、主に押し出し部92によって作動するから、ストッパー装置800が作動していない状態では、操作レバー8、作動部材9は、スライドレールに過度に接触しないため、スライドレールの伸縮(スライド)動作の繰り返しで擦れ汚れなどが発生しにくく、ストッパー装置800の耐久性を上げることができる。
そして、係止部91bが作動部材9に一体的に形成されているから、作動部材9と操作レバー8を取り付けた位置で係止位置を決めることができるため、操作レバー8の回動に合わせた係止開始、解除が確実に行える。また、スライドレールの一時停止位置の設定が容易となる。
また、操作部804は、第2アウターレール5の基材52のボール70の転動の反対側に突出しているので、操作がしやすく、グリスなどに触れることがない。
【0060】
さらに、操作レバー8を操作しストッパー装置800を解除する操作部804が、操作レバー8と別体であることから、係合によるストッパー機能のためある程度の剛性が必要な操作レバー8を、実施例のように鋼板のプレス成型で製作することが容易となり、鋳造や鍛造といった高価な生産方法を用いる必要がない。
【0061】
以上のようにストッパー装置800は、スライドレールを伸長状態で一旦スライドを停止するストッパー機能を有しているものである。
そして、本発明品は、一方側のレールに取り付けられた操作部と係止片がシーソー作用で互いに反対方向に回動する操作レバー8を、対向する他方側のレールに取り付けられた作動部材9で押圧し作動させる構成で、操作レバー8と作動部材9が協働で作用することによりストッパー機能が働くものであるから、スライドレールのスライド過程における、操作レバー8と作動部材9が離れた位置関係にあるときは、操作レバー8と作動部材9は、スライドレールのスライド力に対して特段影響を及ぼさない。
【0062】
本発明品は、前記の操作レバー8と作動部材9をスライド方向で反対向きに取り付けるように設定することでスライドレールを伸長状態で一時固定するストッパー装置としても利用することができる。
具体的には、操作レバー8の作動アーム811を伸長側、係止片支持アーム812を収縮側に向けるように取り付ける。そして、作動部材9は、係止部91bが収縮側、押し出し部92が伸長側となるように取り付ける。
このように取り付けると、次のように動作する。
【0063】
作動部材9が取り付けられた収縮状態の第2インナーレール6を引き出すと、図18に示すように、案内部93が第2アウターレール5に取り付けられた操作レバー8の係止凸部85の傾斜面85bの先端に接触する。案内部93と傾斜面85bの先端は互いに傾斜面を形成しているので、係止凸部85が案内部93によって基板52側に回動させられ、作動部材9は伸長側にスライド移動可能になる。
【0064】
そして、次に被作動部83に押し出し部92が達すると、図19に示すように押し出し部92が、被作動部83を基材52側に押しながら、かつ、押し出し部92が基材62側に多少弾性変形しながら、操作レバー8のシーソー作用で、係止片85aが作動部材9の基材91の表面を押圧し滑りながら第2インナーレール6が引き出される。
【0065】
作動部材9の係止部91bが操作レバー8の係止片85aを通過すると、押し出し部92の弾性力によって係止片85aが基板62側に押し付けられ、係止部91bのスライド軌道上に係止片85aが移動する。
そして、第2インナーレール6は、最伸長状態でスライドレール100側に設けられたストッパーにてスライドを停止する。
尚、前記実施例では、ストッパー装置800によって第2インナーレール6が伸長状態で一旦停止させていたが、本実施例では、第2インナーレール6が最伸長状態での停止はスライドレール100側に設けられたストッパーにて行われる。
【0066】
そして、本実施例のストッパー装置800は次のように作用する。
前記の伸長状態の第2インナーレール6を収縮側に押すと、係止片85aが係止部91bのスライド軌道上にあるから、係止部91bが係止片85aに接触するが、前記実施例と同様に係止部91bと係止片85aは互いに掛り合うように係止状態で接触する(図20の状態)。
そのため操作レバー8が回動せず、また、被作動部83が押し出し部92の弾性力によって、基板52に押圧されているから、操作レバー8は、なおさら回動できないため、この状態で、第2インナーレール6の収縮方向へのスライドに対して一旦ストッパーが効くこととなり、第2インナーレール6は伸長状態で維持された状態となる。
【0067】
そして、この状態で操作部804は基材62から突出した操作待機状態となっている。
操作待機状態の操作部804を基材62側に指で押すと、前記実施例と同様に係止部91bと係止片85aの係止状態が解かれ、第2インナーレール6は第2インナーレール6を収縮側にスライド移動可能となる。
このように、前記実施例と同様に、作動部材9は、基材91、押し出し部92、案内部93で操作レバー8を作動させる作動部を形成している。
また、操作部804は、第2アウターレール5の基材52のボール70の転動の反対側に突出しているので、操作がしやすく、グリスなどに触れることがない。
以上がスライドレールを伸長状態で一時固定するストッパー装置800の動作、作用である。
【0068】
実施例においては、操作部804の操作待機状態で維持する方法として、押し出し部92の弾性力を利用しているが、押し出し部92を固定して、操作レバー8側に操作部804を操作待機状態とするための付勢力を持つばね状のものを設けてもよい。その場合、スライドレールのスライド力に影響を及ぼさない程度の付勢力が望ましい。
該付勢力が弱いと、操作部804の操作待機状態で維持しにくく、強いと、必要以上に操作レバーに回動力が加わるため、対向側のスライドレールに強く接触する可能性がある。
そのため、本実施例のように、非回動側の押し出し部92の弾性力を持たせた方が、弾性力を強くしても、対向するスライドレールに接触することがなくスライドレールのスライド力に影響を及ぼさないようにすることが容易である。
【0069】
本件実施例のストッパー装置800は、第1アウターレールと中間レールと第2アウターレールからなる多段式のスライドレールに装着されているが、本実施例のストッパー装置800は、第2アウターレールと第2インナーレール間での作用であるから、アウターレールとインナーレールで構成させるシングルタイプのスライドレールに使用することも可能である。
また、ストッパー装置800の、操作レバーをインナーレール側に設置し、作動部材をアウターレール側に設置する構成でもよい。
さらに、本ストッパー装置は、アウターレールとインナーレール間での作用であるから、ボールベアリング式のスライドレールに限らず、ローラー式のレール部材のように二つのレールが相対的にスライド移動するレールに採用してもよい。
【0070】
以上のように、本発明のスライドレールのストッパー装置は、引き出し式の収納家具に限らず、調理台におけるグリル器や、複写機の用紙トレーや、自動車用コンソール、サーバーラックなど、物品を直線移動させるものに広範囲に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
100 スライドレール
1 第1アウターレール
2 第1インナーレール
3 第1ボール保持板
4 中間レール
5 第2アウターレール
51 折曲縁
52 基板
52a 突起部
52b 操作部孔
521 収縮ストッパー
6 第2インナーレール
61 折曲縁
62 基板
62a 位置決め孔
62b 逃がし孔
7 第2ボール保持板
800 ストッパー装置
8 操作レバー
81 アーム部
811 作動アーム
812 係止片支持アーム
82 軸部
83 被作動部
831 逃がし溝
85 係止凸部
85a 係止片
85b 傾斜面
80 保持部材
801 基板部
801a 逃がし孔
802 上下嵌合凸部
802a 勘合片
802b 案内片
803 軸受け片
803a 軸孔
803b 凹状溝部
804 操作部
804a 切り欠き貫通孔
805 抜け止め片
9 作動部材
91 基材
91a 凹部
91b 係止部
911 上勘合凸片
912 下勘合凸片
913 位置決め突起
92 押し出し部
93 案内部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20