(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185959
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】杭基礎及び杭基礎の周面摩擦力の評価方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/50 20060101AFI20221208BHJP
E02D 5/44 20060101ALI20221208BHJP
E02D 7/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
E02D5/50
E02D5/44
E02D7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093909
(22)【出願日】2021-06-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (リーフレット) 発行者:ジャパンパイル株式会社、 刊行物名:Smart-MAGNUM工法 リーフレット 発行年月日:2021年1月22日 (論文雑誌1) 発行所:一般社団法人コンクリートパイル・ポール協会 刊行物名:COPITA2021.4.No54 発行年月日:2021年4月1日 (自社ウェブサイト) 掲載アドレス: http://www.japanpile.co.jp/method/buildingtech/smart-magnum/ 掲載年月日:2021年1月22日 (パンフレット) 発行者:ジャパンパイル株式会社 刊行物名:パンフレット「Smart-MAGNUM工法」 発行年月日:2021年2月15日 (講習会) 集会名:MAGNUM工法講習会 開催場所:第一セントラルビル1号館(岡山県岡山市北区本町6番30号)、 開催日:2021年2月21日 その他13回(計14回) (新聞1) 発行者:株式会社 日刊建設工業新聞社 刊行物名:日刊建設工業新聞 発行年月日:2021年1月22日 (論文雑誌2) 発行者:ジャパンパイル株式会社 刊行物名:Smart-MAGNUM工法 施工指針・同解説 発行年月日:2021年2月1日 (論文雑誌3) 発行所:株式会社 建築技術 発行人:橋戸 幹彦 刊行物名:建築技術,三月号,第八五四号 発行年月日:2021年2月17日 (論文雑誌4) 発行所:株式会社 総合土木研究所 刊行物名:基礎工,2021 Vol.49,No.4 発行年月日:2021年4月15日 (新聞2) 発行者:株式会社 セメント新聞社 刊行物名:セメント新聞 発行年月日:2021年1月25日 (論文雑誌5) 発行所:株式会社 近代建築社 刊行物名:近代建築,2021 2月号 発行年月日:2021年2月5日(2021年2月9日発売) その他:3回(計4回)
(71)【出願人】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193286
【弁理士】
【氏名又は名称】圷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】本間 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小梅 慎平
【テーマコード(参考)】
2D041
2D050
【Fターム(参考)】
2D041AA03
2D041BA12
2D041BA21
2D041CA03
2D041DA12
2D041DB02
2D041DB03
2D041EB05
2D041FA02
2D041FA07
2D050AA01
2D050CA05
2D050CB09
(57)【要約】
【課題】杭穴の上端側まで周面摩擦力が大きい杭基礎、及び、当該杭基礎における杭周面部の周面摩擦力を正確に評価可能な杭基礎の周面摩擦力の評価方法を提供する。
【解決手段】下端側に第1掘削部を有するとともに第1掘削部よりも上方に第2掘削部を有する杭穴に埋設された既製杭と、硬化性材料によって構成される根固め部と、硬化性材料によって構成される杭周面部と、を備える杭基礎において、第1掘削部の直径は、第1掘削部に配置される既製杭の部分の外径に基づいて定まる第1基準掘削径の1.1倍以上2.0倍以下であり、第2掘削部の直径は、第2掘削部に配置される既製杭の部分の外径に基づいて定まる第2基準掘削径の1.1倍以上2.0倍以下であって、第1掘削部の直径よりも小さく一定であり、第2掘削部は、第1掘削部の上端から既製杭の杭頭部まで延在している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端側に第1掘削部を有するとともに前記第1掘削部よりも上方に第2掘削部を有する杭穴に埋設された既製杭と、
前記第1掘削部の壁面と前記既製杭との間に設けられ、硬化性材料によって構成される根固め部と、
少なくとも前記第2掘削部の壁面と前記既製杭との間に設けられ、硬化性材料によって構成される杭周面部と、を備える杭基礎において、
前記第1掘削部の直径は、前記第1掘削部に配置される前記既製杭の部分の外径に基づいて定まる第1基準掘削径の1.1倍以上2.0倍以下であり、
前記第2掘削部の直径は、前記第2掘削部に配置される前記既製杭の部分の外径に基づいて定まる第2基準掘削径の1.1倍以上2.0倍以下であって、前記第1掘削部の直径よりも小さく一定であり、
前記第2掘削部は、前記第1掘削部の上端から前記既製杭の杭頭部まで延在している
ことを特徴とする杭基礎。
【請求項2】
前記第1掘削部の直径は、前記第2掘削部の直径の1.4倍以内である
ことを特徴とする請求項1に記載の杭基礎。
【請求項3】
前記第1掘削部の下側部分の内部に前記根固め部が配置され、
前記第1掘削部の上側部分及び前記第2掘削部の内部に前記杭周面部が配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の杭基礎。
【請求項4】
前記既製杭は、前記根固め部によって囲まれる部分及び前記杭周面部によって囲まれる部分に、軸部及び軸部と一体の突部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の杭基礎。
【請求項5】
請求項4に記載の杭基礎の周面摩擦力の評価方法であって、
前記第1掘削部の上側部分に配置された前記杭周面部の部分の周面摩擦力と、前記第2掘削部に配置された前記杭周面部の部分の周面摩擦力を別々に求める
ことを特徴とする杭基礎の周面摩擦力の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は杭基礎及び杭基礎の周面摩擦力の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、杭穴に既製杭が埋設された杭基礎において、杭穴の下端側を、根固め部が設けられる範囲のみならず杭周面部が設けられる範囲まで拡大掘削するものを開示している。
特許文献2は、杭穴に既製杭が埋設された杭基礎において、杭穴の下端側の拡大掘削されている範囲において、掘削径を異ならせたものを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-204516号公報
【特許文献2】特開2011-117192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2が開示する杭基礎では、杭穴の下端側が上端側に比べて拡大掘削されているが、杭穴の上端側の掘削径は、既製杭の外径に基づいて定まる基準掘削径のままである。このため、特許文献1及び特許文献2が開示する杭基礎は、杭穴の上端側において摩擦力を十分に発揮できていない。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、杭穴の上端側まで周面摩擦力が大きい杭基礎、及び、当該杭基礎における杭周面部の周面摩擦力を正確に評価可能な杭基礎の周面摩擦力の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭基礎は、
下端側に第1掘削部を有するとともに前記第1掘削部よりも上方に第2掘削部を有する杭穴に埋設された既製杭と、
前記第1掘削部の壁面と前記既製杭との間に設けられ、硬化性材料によって構成される根固め部と、
少なくとも前記第2掘削部の壁面と前記既製杭との間に設けられ、硬化性材料によって構成される杭周面部と、を備える杭基礎において、
前記第1掘削部の直径は、前記第1掘削部に配置される前記既製杭の部分の外径に基づいて定まる第1基準掘削径の1.1倍以上2.0倍以下であり、
前記第2掘削部の直径は、前記第2掘削部に配置される前記既製杭の部分の外径に基づいて定まる第2基準掘削径の1.1倍以上2.0倍以下であって、前記第1掘削部の直径よりも小さく一定であり、
前記第2掘削部は、前記第1掘削部の上端から前記既製杭の杭頭部まで延在している。
【0006】
上記構成(1)によれば、第2掘削部が既製杭の杭頭部まで延在しており、従来よりも第2掘削部の存在範囲が上方に拡大されている。これにより、上記構成(1)の杭基礎は、より大きな周面摩擦力を発揮することができる。
【0007】
(2)上記構成(1)において、
前記第1掘削部の直径は、前記第2掘削部の直径の1.4倍以内である。
上記構成(2)によれば、一つの機械式の拡翼掘削ドリルによって、第1掘削部及び第2掘削部を連続して掘削することが確実に可能になる。
【0008】
(3)上記構成(1)又は(2)において、
前記第1掘削部の下側部分の内部に前記根固め部が配置され、
前記第1掘削部の上側部分及び前記第2掘削部の内部に前記杭周面部が配置されている。
上記構成(3)によれば、杭周面部の下側を第1掘削部の内部に配置し、杭周面部の上側を第2掘削部分の内部に配置することにより、所望の摩擦支持力を得ることができる。
【0009】
(4)上記構成(3)において、
前記既製杭は、前記根固め部によって囲まれる部分及び前記杭周面部によって囲まれる部分に、軸部及び軸部と一体の突部を有する。
上記構成(4)によれば、既製杭が、杭周面部に囲まれる部分に突部を有することで、杭周面部と既製杭の一体性が高くなり、周面摩擦力を高めることができる。
【0010】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭基礎の周面摩擦力の評価方法は、
上記構成(4)に記載の杭基礎の周面摩擦力の評価方法であって、
前記第1掘削部の上側部分に配置された前記杭周面部の部分の周面摩擦力と、前記第2掘削部に配置された前記杭周面部の部分の周面摩擦力を別々に求める。
【0011】
上記構成(5)によれば、第1掘削部の上側部分に配置された杭周面部の部分の周面摩擦力と、第2掘削部に配置された杭周面部の部分の周面摩擦力を別々に求めることで、杭基礎の周面摩擦力を正確に評価することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、杭穴の上端側まで周面摩擦力が大きい杭基礎、及び、当該杭基礎における杭周面部の周面摩擦力を正確に評価可能な杭基礎の周面摩擦力の評価方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る杭基礎を概略的に示す断面図である。
【
図2】他の実施形態に係る杭基礎の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る杭基礎を概略的に示す断面図である。
図1に示したように、杭基礎は、プレボーリング工法や中堀工法といった埋込工法によって築造されるものであり、杭穴2内に埋設された既製杭4を備えている。既製杭4は、例えば、PC杭(プレストレストコンクリート杭)、PRC杭(プレストレスト鉄筋コンクリート杭)、PHC杭(高強度プレストレストコンクリート杭)、SC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)等のコンクリート杭、又は、鋼管杭等によって構成され、単杭であっても継ぎ杭であってもよい。
【0016】
また、既製杭4は、外径が一定のストレート杭、下端部が拡大された拡底杭、上端部が拡大された拡頭杭であってもよい。更に、既製杭4は、軸部及び軸部から径方向外側に突出する節部を有する節杭であってもよい。なお、節部は、軸部から径方向外側に突出する突部の一態様であって、環形状を有し、軸部を全周に渡って囲んでいるが、突部の形状はこれに限定されることはない。突部は、既製杭4と周囲の一体性を高めるものであればよい。例えば、突部は、軸部の周方向に断続的に設けられていてもよい。また、軸部に凹部を設けたことで、実質的に軸部が縮径され、突部が設けられていてもよい。
【0017】
杭穴2は、下端側に第1掘削部6を有するとともに、第1掘削部6よりも上方に第2掘削部8を有する。
第1掘削部6の壁面と既製杭4の間には、硬化性材料によって構成される根固め部(拡大根固め部)10が設けられている。根固め部10を構成する硬化性材料は、例えば、掘削土とセメントミルクを混合したソイルセメントである。
【0018】
第2掘削部8の壁面と既製杭4の間には、硬化性材料によって構成される杭周面部12が設けられている。杭周面部12を構成する硬化性材料は、例えば、掘削土とセメントミルクを混合したソイルセメントである。杭周面部12の硬化性材料のセメント濃度は、根固め部10の硬化性材料よりも低い。また、杭周面部12の硬化性材料は、摩擦力を高めるための強化材(無水石膏、二水石膏等)を含んでいてもよい。杭周面部12が強化材を含む場合、周面強化型若しくは膨張型と称し、強化材を含まない場合には標準型と称する。
【0019】
ここで、第1掘削部6の内部に配置される既製杭4の部分の最大の外径Donに基づいて定まる第1基準掘削径Dsnに対する、杭穴2の第1掘削部6の直径(掘削径)Denの比(根固め部の拡大比)ωpは、1.1倍以上2.0倍以下である。
【0020】
第1基準掘削径Dsnは、既製杭4を埋設するために必要となる直径であり、以下に示すように、第1掘削部6に配置される既製杭4の部分の外径Donに所定の余裕代として0.05mを加算した値である。ただし、余裕代は0.05mに限定されることはなく、0.1m等であってもよい。
Dsn=Don+0.05
【0021】
なお外径Donは、第1掘削部6に配置される既製杭4の部分の最大径であり、当該既製杭4の部分が、軸部及び軸部から径方向外側に一体に突出する突部を有している場合には突部の外径である。外径Donは、通常、300mm以上1300mm以下である。
【0022】
ここで、第2掘削部8の内部に配置される既製杭4の部分の外径Dosに基づいて定まる第2基準掘削径Dssに対する、杭穴2の第2掘削部8の直径(掘削径)Desの比(杭周面部拡大比)ωsは、1.1倍以上2.0倍以下である。
【0023】
第2基準掘削径Dssは、既製杭4を埋設するために必要となる直径であり、以下に示すように、第2掘削部8に配置される既製杭4の部分の外径Dosに所定の余裕代として0.05mを加算した値である。ただし、余裕代は0.05mに限定されることはなく、0.1m等であってもよい。
Dss=Dos+0.05
【0024】
なお外径Dosは、第2掘削部8に配置される既製杭4の部分の最大径であり、当該既製杭4の部分が、軸部及び軸部から径方向外側に一体に突出する突部(節部)を有している場合には突部の外径である。外径Dosは、通常、300mm以上1300mm以下である。
また、
図1に示したように、第2掘削部8に配置される既製杭4の部分が節杭とストレート杭によって構成されている場合、外径Dos及び杭周面部の拡大比ωsを個々の範囲I,IIの外径Dos1,Dos2、杭周面部の拡大比ωs1、ωs2として別々に取り扱う。
【0025】
第2掘削部8の直径(掘削径)Desは、第1掘削部6の直径Denよりも小さく(Des<Den)、上下方向全域に渡って一定である。
そして、第2掘削部8は、第1掘削部6の上端から既製杭4の杭頭部まで延在している。なお通常、杭頭部とは、パイルキャップやフーチング等のコンクリートブロックに埋設される部分であるが、既製杭4の杭頭部の直径が拡大されている場合には、杭頭部とは、拡大されている部分の下端までとする。
【0026】
上記構成によれば、第2掘削部8が既製杭4の杭頭部まで延在しており、従来よりも第2掘削部8の存在範囲が上方に拡大されている。これにより、上記構成の杭基礎は、より大きな周面摩擦力を発揮することができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、第1掘削部6の直径Denは、第2掘削部8の直径の1.4倍以内である。
上記構成によれば、一つの機械式の拡翼掘削ドリルによって、第1掘削部6及び第2掘削部8を連続して掘削することが確実に可能になる。
【0028】
図2は、他の実施形態に係る杭基礎の構成を概略的に示す断面図である。なお、上述した実施形態と同一又は類似の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
幾つかの実施形態では、
図2に示したように、第1掘削部6の下側部分の内部に根固め部10が配置され、第1掘削部6の上側部分及び第2掘削部8の内部に杭周面部12が配置されている。
図2に示したように、第1掘削部6の下側部分の内部に根固め部10が配置され、第1掘削部6の上側部分及び第2掘削部8の内部に杭周面部12が配置されている場合、外径Dos及び杭周面部の拡大比ωsを、個々の範囲I,II,IIIの外径Dos1,Dos2,Dos3、杭周面部の拡大比ωs1、ωs2,ωs3として別々に取り扱う。
上記構成によれば、杭周面部12の下側を第1掘削部6の内部に配置し、杭周面部12の上側を第2掘削部分8の内部に配置することにより、所望の摩擦支持力を得ることができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、
図1及び
図2に示したように、既製杭4は、根固め部10によって囲まれる部分及び杭周面部12によって囲まれる部分に、軸部及び軸部と一体の突部(節部)を有する。
上記構成によれば、既製杭4が、杭周面部12に囲まれる部分に突部を有することで、杭周面部12と既製杭4の一体性が高くなり、周面摩擦力を高めることができる。
【0030】
以下、本発明の少なくとも一実施形態に係る杭基礎の周面摩擦力の評価方法(以下、単に評価方法とも称する)について説明する。
評価方法は、
図2の杭基礎のように、杭周面部12によって囲まれる部分に、既製杭4軸部及び軸部と一体の突部(節部)を有し、第1掘削部6の上側部分に杭周面部12の下側部分が配置されている杭基礎の周面摩擦力の評価方法である。
当該評価方法にあっては、杭周面部12の周面摩擦力を、第1掘削部6の上側部分に配置された杭周面部12の部分の周面摩擦力と、第2掘削部8に配置された杭周面部12の部分の周面摩擦力として別々に求める。
【0031】
上記構成によれば、第1掘削部6の上側部分に配置された杭周面部12の部分の周面摩擦力と、第2掘削部8に配置された杭周面部12の部分の周面摩擦力を別々に求めることで、杭基礎の周面摩擦力を正確に評価することができる。
【0032】
具体的は、以下のように、杭基礎の許容支持力を評価する際に、周面摩擦力を別々に求める。
まず、長期に生ずる力に対する地盤の許容支持力Ra(単位:kN)、及び、短期に生ずる力に対する地盤の許容支持力Ra’は、それぞれ以下の式(1)、(1’)によって表される。右辺の中括弧内の2項目が周面摩擦力である。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
そして、
図1の杭基礎の摩擦支持力を評価する際には、周囲の地盤が砂質・礫質地盤又は粘土質地盤であるかを考慮しながら、範囲I、範囲II、範囲IIIの周面摩擦力の和として、上記式(1),(1’)の右辺の中括弧内の第2項目を求める。以下の式は、周囲の地盤が砂質・礫質地盤のみであるとした場合の2項目を表している。
【0043】
【0044】
【0045】
最後に、本発明は上述した幾つかの実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態やこれら形態を組み合わせた形態を含む。
【符号の説明】
【0046】
2 杭穴
4 既製杭
6 第1掘削部
8 第2掘削部
10 根固め部
12 杭周面部