(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185960
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】切削加工機械及び切削加工機械の清掃方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20221208BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B23Q11/00 K
B23Q11/00 Q
B23Q11/00 P
B25J9/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093910
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】391051474
【氏名又は名称】三立精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】酒井 泰久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和樹
【テーマコード(参考)】
3C011
3C707
【Fターム(参考)】
3C011BB11
3C011BB15
3C011BB18
3C707AS12
3C707AS15
3C707BS09
(57)【要約】
【課題】ロボット等の構成要素を筐体の天井下面または側方内面に配置すること、及びワークを加工する加工位置の下に切粉を回収する切粉回収箱を備えることで、これら構成要素の切粉による汚れ及び汚れに起因する機械の故障を防止する。
【解決手段】フレーム11、及びパネル17を備える筐体10と、前記筐体の天井16下面又は側方内面に設けられるロボット30と、前記ロボットに設けられて、ワーク70を把持するワーク把持部33と、前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられて前記ワークを加工する加工工具40a,40bと、前記ワークを加工する加工位置の下に配置されて、落下する切粉を回収する切粉回収箱24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム、及びパネルを備える筐体と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられるロボットと、
前記ロボットに設けられて、ワークを把持するワーク把持部と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられて前記ワークを加工する加工工具と、
前記ワークを加工する加工位置の下に配置されて、落下する切粉を回収する切粉回収箱と、
を備えることを特徴とする切削加工機械。
【請求項2】
フレーム、及びパネルを備える筐体と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられるロボットと、
前記ロボットに設けられて、加工工具を把持する工具把持部と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられてワークを把持するワーク把持部と、
前記ワークを加工する加工位置の下に配置されて落下する切粉を回収する切粉回収箱と、
を備えることを特徴とする切削加工機械。
【請求項3】
前記ロボットの可動範囲に置かれる切粉除去具を備え、
前記ワーク把持部が、前記ワークと前記切粉除去具のいずれかを選択して把持し、
前記ロボットが前記ワーク把持部に前記切粉除去具を把持した状態で前記筐体の内側を清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる請求項1に記載の切削加工機械。
【請求項4】
前記ロボットの可動範囲に置かれる切粉除去具を備え、
前記工具把持部が、前記加工工具と前記切粉除去具のいずれかを選択して把持し、
前記ロボットが前記工具把持部に前記切粉除去具を把持した状態で前記筐体の内側を清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる請求項2に記載の切削加工機械。
【請求項5】
前記加工位置の下方かつ前記切粉回収箱の上方に、落下する切粉を集めるための傾斜板を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の切削加工機械。
【請求項6】
前記ロボットに空気吹出部を備え、前記切粉除去具で除去できない切粉を前記空気吹出部で清掃する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の切削加工機械。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれか1項に記載の切削加工機械を用いてなされる切削加工機械の清掃方法であって、
前記ワークを前記加工工具で加工する加工工程と、
前記ロボットに前記切粉除去具を把持させて、前記筐体の内側を前記切粉除去具で清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる清掃工程と、
前記切粉回収箱に切粉が溜まったとき、前記切粉回収箱を取外して中の切粉を廃棄する切粉廃棄工程と、
を含むことを特徴とする切削加工機械の清掃方法。
【請求項8】
請求項6に記載の切削加工機械を用いてなされる切削加工機械の清掃方法であって、
前記ワークを前記加工工具で加工する加工工程と、
前記ロボットに前記切粉除去具を把持させて、前記筐体の内側を前記切粉除去具で清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる清掃工程と、
前記清掃工程で除去できなかった切粉を前記空気吹出部から吹き出される空気で除去して切粉を前記切粉回収箱に落下させる空気吹出工程と、
前記切粉回収箱に切粉が溜まったとき、前記切粉回収箱を取外して中の切粉を廃棄する切粉廃棄工程と、
を含むことを特徴とする切削加工機械の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して主にバリ取り及び面取りを行なう切削加工機械及び切削加工機械の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに対しバリ取り又は面取り等の加工をする切削加工機械では、ワークを加工したときに発生する切粉により、切削加工機械の各部が汚れやすく掃除が大変であるとともに、切粉の付着によって機械の故障を招くというという課題があった。
【0003】
一方、ガイドレールの変形を的確に補正することができる工作機械を提供することを目的として、特開2002-137129号公報(特許文献1)に、テーブルの上に設けられた砥石車と対向するように配置された梁状フレーム部材と、前記梁状フレーム部材と平行をなすとともに、移動体を移動可能に支持するガイドレールと、梁状フレーム部材とガイドレールとの間に介在した伸縮部材とを備える工作機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている工作機械では、移動体等は汚れにくいと考えられるものの、加工する場所から下側に砥石車やテーブル等があり、汚れやすく掃除が大変であるとともに、テーブル上の設備が切粉によって故障する恐れがあることに変わりはない。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、ロボット等の構成要素を筐体の天井下面または側方内面に配置すること、及びワークを加工する加工位置の下に切粉を回収する切粉回収箱を備えることで、これら構成要素の切粉による汚れ及び汚れに起因する機械の故障を防止することができる切削加工機械及び切削加工機械の清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の切削加工機械は、
フレーム、及びパネルを備える筐体と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられるロボットと、
前記ロボットに設けられて、ワークを把持するワーク把持部と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられて前記ワークを加工する加工工具と、
前記ワークを加工する加工位置の下に配置されて、落下する切粉を回収する切粉回収箱と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の切削加工機械は、
フレーム、及びパネルを備える筐体と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられるロボットと、
前記ロボットに設けられて、加工工具を把持する工具把持部と、
前記筐体の天井下面又は側方内面に設けられてワークを把持するワーク把持部と、
前記ワークを加工する加工位置の下に配置されて落下する切粉を回収する切粉回収箱と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の切削加工機械によれば、ロボットと加工工具が筐体の天井下面又は側方内面に設けられており、ワークが加工工具で加工される加工位置の下側には、実質的に切粉回収箱が存在するだけである。このため、加工時の切粉の殆どはそのまま切粉回収箱に落下する。また、ロボット等の構成要素が切粉で汚れることも防止できる。さらに、通常の機械ではロボット等が据え付けられたテーブルの上の清掃が必要であるが、本発明の切削加工機械では不要である。これらにより、切削加工機械の掃除が容易になり時間短縮が可能になるだけでなく、切粉の付着による機械の故障も防止することができる。
【0010】
本発明の切削加工機械の好ましい例は、
前記ロボットの可動範囲に置かれる切粉除去具を備え、
前記ワーク把持部が、前記ワークと前記切粉除去具のいずれかを選択して把持し、
前記ロボットが前記ワーク把持部に前記切粉除去具を把持した状態で前記筐体の内側を清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる。
【0011】
本発明の切削加工機械の好ましい例は、
前記ロボットの可動範囲に置かれる切粉除去具を備え、
前記工具把持部が、前記加工工具と前記切粉除去具のいずれかを選択して把持し、
前記ロボットが前記工具把持部に前記切粉除去具を把持した状態で前記筐体の内側を清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる。
【0012】
これらの本発明の切削加工機械の好ましい例によれば、ロボットと切粉除去具とで筐体の内側を清掃することができる。これにより、人手を介することなく、切削加工機械の中を綺麗に保つことができる。
【0013】
本発明の切削加工機械の好ましい例は、
前記加工位置の下方かつ前記切粉回収箱の上方に、落下する切粉を集めるための傾斜板を備える。
【0014】
本発明の切削加工機械の好ましい例によれば、傾斜板によって筐体の水平方向の内寸が小さくなる。これにより、切粉が落下する場所も狭くなり、切粉回収箱を小さくすることができる。また、傾斜板は傾斜しているため、切粉除去具で表面をなぞるだけで切粉を落下させることができる。
【0015】
本発明の切削加工機械の好ましい例は、
前記ロボットに空気吹出部を備え、前記切粉除去具で除去できない切粉を前記空気吹出部で清掃する。
【0016】
本発明の切削加工機械の好ましい例によれば、空気の吹き付けによっても切粉の清掃が可能なため、切粉除去具で取り切れない細かな切粉も除去することができる。
【0017】
本発明の切削加工機械の清掃方法は、
上記の切削加工機械を用いてなされる切削加工機械の清掃方法であって、
前記ワークを前記加工工具で加工する加工工程と、
前記ロボットに前記切粉除去具を把持させて、前記筐体の内側を前記切粉除去具で清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる清掃工程と、
前記切粉回収箱に切粉が溜まったとき、前記切粉回収箱を取外して中の切粉を廃棄する切粉廃棄工程と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の切削加工機械の清掃方法は、
上記の切削加工機械を用いてなされる切削加工機械の清掃方法であって、
前記ワークを前記加工工具で加工する加工工程と、
前記ロボットに前記切粉除去具を把持させて、前記筐体の内側を前記切粉除去具で清掃して切粉を前記切粉回収箱に落下させる清掃工程と、
前記清掃工程で除去できなかった切粉を前記空気吹出部から吹き出される空気で除去して切粉を前記切粉回収箱に落下させる空気吹出工程と、
前記切粉回収箱に切粉が溜まったとき、前記切粉回収箱を取外して中の切粉を廃棄する切粉廃棄工程と、
を含むことを特徴とする。
【0019】
これらの本発明の切削加工機械の清掃方法によれば、上記の切削加工機械と同様の作用効果を奏することができる。なお、ここで切粉除去具をロボットに把持させるとは、ロボットに設けられるワーク把持部又は工具把持部に把持させることを意図する。
【発明の効果】
【0020】
上述したように本発明の切削加工機械及び切削加工機械の清掃方法によれば、ロボット等の構成要素を筐体の天井下面または側方内面に配置すること、及びワークを加工する加工位置の下に切粉を回収する切粉回収箱を備えることで、これら構成要素の切粉による汚れ及び汚れに起因する機械の故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る切削加工機械の正面図である。
【
図5】切削加工機械においてワークの受け渡しを説明する図である。
【
図6】切粉除去具で筐体の内側を清掃する状態を説明する図である。
【
図7】ロボットと加工後部を筐体の側方内面に配置した切削加工機械を説明する図である。
【
図8】ロボット側に加工工具を配置した切削加工機械を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の切削加工機械1及び切削加工機械の清掃方法の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、
図1及び
図2では図を見やすくするために、奥側に見える加工工具40a,40b及び加工工具周辺の構成を破線で表わしている。また、
図3及び
図4ではロボット30の記載を省略している。また、
図1、
図2、及び
図5~
図8は、手前側の上梁14とパネル17の記載を省略している。
【0023】
先に、切削加工機械1について説明する。
図1から
図4に示すように、本実施形態の切削加工機械1は、筐体10と、切粉回収箱24と、ロボット30と、ワーク把持部33と、加工工具40a,40bと、切粉除去具50と、空気吹出部57と、搬入搬出部60とを備える。この切削加工機械の用途としては、主にワークのバリ取り及び面取りがある。
【0024】
筐体10は、フレーム11、天井16、パネル17、切粉収集部20、及び底板23を備える。フレーム11は、ロボット30等の構成要素を支持するものであり、柱部12,13及び梁部14,15を備える。柱部は筐体10の略四隅に立設されるものであり上柱12と下柱13を備える。梁部は、4本の柱部12,13を連結するもので、上柱12の上端近傍に上梁14が配置され、下端近傍に下梁15が配置される。天井16は、上柱12の上端又は上端近傍に設けられ、その下面にロボット30等が取付けられるものである。本実施形態では、天井16に金属製の板状部材を採用しているが、形鋼等を梁や桁のように組み合わせて天井16を構成してもよい。パネル17は、隣接する柱部同士の隙間を塞ぐ板状部材である。このパネル17で切粉の飛散やロボット30の可動範囲に人が入り込むことを防止する。パネル17の一部には、ワーク70を搬入搬出するための搬送口18が設けられる。
【0025】
切粉収集部20は、落下する切粉を集めるためのもので、傾斜板21と筒部22とを備える。傾斜板21は、加工位置の下方かつ切粉回収箱24の上方に設けられるもので、切粉を切粉回収箱24に誘導するものである。本実施形態では、傾斜板21が逆四角錐状をなしており、傾斜板21の上端がパネル17に接するとともに下梁15を覆っている。この傾斜板21は、ロボット30が切粉除去具50を把持した状態で、切粉除去具50が届く範囲にあること、すなわちロボット30の可動範囲にあることが好ましい。筒部22は、上記傾斜板21の下端から下方に延伸されるもので、傾斜板21で集められた切粉を切粉回収箱24まで落下させるものである。本実施形態では、筒部22が四角筒をなしている。底板23は、下柱13の下端近傍を連結するように渡された板状部材であり、その上に切粉回収箱24が載置される。
【0026】
切粉回収箱24は、ワーク70を加工工具40a,40bで加工する加工位置の下に配置されて、落下する切粉を回収するものある。本実施形態では、切粉回収箱24に上面が開口された箱状部材を採用して、切粉収集部20の下に配置している。この切粉回収箱24には図示しない取っ手を設けてもよい。
【0027】
ロボット30は、筐体10の天井16の下面に設けられるもので、本実施形態では多関節型ロボット30を採用している。また、
図7に示す切削加工機械100のように、ロボット130を筐体10の側方内面に設けることもできる。係る場合、フレーム11の隣接する柱部12同士の間に、ロボット130を取付けるためのロボットベース部134を設けることになる。このロボットベース部134は板状部材でも良いし、形鋼等を組み合わせたものでもよい。
図1から
図4に戻り、ワーク把持部33は、ロボット30の先端である手首32に設けられてワーク70を把持するものであり、例えば公知のロボットハンド等が用いられる。
【0028】
加工工具40a,40bは、筐体10の天井16の下面に設けられて、ワーク70に対して切削や研磨等の加工を行なうものである。この加工工具40a,40bは、工具支持部41a,41bを介して天井16の下面に取付けられる。本実施形態では、軸を垂直方向にして配置される第1加工工具40aと、軸を水平方向にして配置される第2加工工具40bとを備える。また、加工工具40a,40bは、所定の力でワーク70の押し付けられるように、例えば押圧装置42a,42b(特開平8-118126号公報、特開2019-188543号公報等参照)を介して工具支持部41a,41bに取付ることができる。また、
図7に示す切削加工機械100のように、加工工具140及び工具支持部141を筐体10の側方内面に設けることもできる。係る場合、フレーム11の隣接する柱部12同士の間に工具支持部141を取付けるための工具支持ベース部143を設けることになる。この工具支持ベース部143は板状部材でも良いし、形鋼等を組み合わせたものでもよい。また、押圧装置142も工具支持部141と加工工具140との間に設けられる。
【0029】
切粉除去具50は、
図9(A)(B)に示すように、柄51と被係止部52と刷子部53とを備える。そして、切粉除去具50の使用時以外では、切粉除去具50は、ロボット30の可動範囲にある上梁14に設けられる係止板54に係止される。具体的には係止板54の係止棒55に、切粉除去具50の被係止部52の孔56が係止される。また、
図6に示すように、筐体10の内側を清掃するときは、ワーク把持部33が切粉除去具50の柄51を把持して、筐体10の内側を刷子部53で清掃して切粉を切粉回収箱24に落下させるのである。この切粉除去具50及び係止板54の設置場所はロボット30の可動範囲内であればよく、上梁14以外にも天井16の一部に取付けたり、
図7に示すように上柱12に横向きに取付けたりもできる。本実施形態の切粉除去具50は、刷子部53に鋼線の束を採用しているが、これに限られず弾性を有するへら状のものを採用したり、熊手状のものを採用したりすることも可能である。
【0030】
図1から
図4に戻り、空気吹出部57は、ロボット30の先端近傍に設けられるもので、切粉除去具50で除去できない切粉を空気吹出部57から吹き出される圧縮空気で清掃し除去する。そして、清掃した切粉は切粉回収箱24に落とされる。本実施形態では、この空気吹出部57をロボット30の前腕31に設けているが、手首32に設けてもよい。
【0031】
搬入搬出部60は、
図5にも示すように、ロボット30にワーク70を受け渡しするもので、サブフレーム61と扉62と中間板63と中間受台64とを備える。サブフレーム61は、搬入搬出部60の各構成要素を支えるもので、正面視で略逆L字形をなしており、一方が上柱12に連結され他方が床面に載置される。扉62は、搬送口18に設けられるもので、ロボット30にワーク70を受け渡すときは開かれ、ワーク70を加工工具40a,40bで加工するときは閉じられて切り粉の飛散を防止する。中間板63は、搬入搬出部60側の上柱12の下端近傍から延長されるもので、その上に中間受台64が配置される。中間受台64は、図示しない搬送装置から搬送された加工前のワーク70を一旦受け取り、その後ロボット30に受け渡す台であり、必要に応じて適宜昇降動作やワーク70の方向転換等をさせることができる。また、中間受台64は、ロボット30から加工後のワーク70を受け取り、図示しない搬送装置に受け渡して次の工程に搬送するときにも使用される。
【0032】
また、他の実施形態に係る切削加工機械200として
図8に示すように、ロボット230に加工工具240a,240bを把持する工具把持部235を設け、筐体10にワーク支持部245を介してワーク70を把持するワーク把持部233を設けることができる。そして、ロボット230側の工具把持部235に把持(装着)される加工工具240aでワーク70を加工するのである。係る場合、工具把持部235は加工工具240aと切粉除去具50とを選択して把持する必要がある。このため、切粉除去具50を把持するときに、加工工具240a,240bを保持しておくためのツールチェンジャー244を備える。このツールチェンジャー244に、他の加工工具240bとともに切粉除去具50をも保持させる構成とすることもできる(図示せず)。また、ワーク70は搬送口218から図示しない搬送装置によって搬入搬出される。本図では、ロボット230及びワーク把持部233を筐体10の天井16の下面に配置しているが、
図7に示すように筐体10の側方内面に配置してもよい。
【0033】
次に、上述した切削加工機械1の各構成要素を踏まえて、切削加工機械の清掃方法を説明する。ここでは、
図1から
図6に示す切削加工機械1を用いた実施形態を説明する。
【0034】
本実施形態の切削加工機械の清掃方法は、加工工程と、清掃工程と、空気吹出工程と、切粉廃棄工程とを含む。加工工程は、搬入搬出部60によって搬入されたワーク70を、加工工具40a,40bによって加工し、その後に搬出するものである。このとき、加工によって生じる切粉は、主に傾斜板21と切粉回収箱24に落下する。この加工工程は、切粉が傾斜板21を含む筐体10の内側に、ある程度の量が付着するまで繰り返し行なってもよい。
【0035】
次に、清掃工程として、ロボット30に設けられるワーク把持部33で切粉除去具50の柄51を把持して、係止棒55から切粉除去具50を外す。そして、
図6に示すように、傾斜板21を含む筐体10の内側を切粉除去具50の刷子部53で清掃して、切粉を切粉回収箱24に落下させる。
【0036】
次に、空気吹出工程として、上記の清掃工程で除去できなかった切粉を、空気吹出部57から吹き出される圧縮空気で除去して切粉回収箱24に落下させる。このとき、ロボット30の手首32を前腕31に対して90度程度曲げることで、空気吹出部57を傾斜板21を含む筐体10の内側に近づけることができる。そして、清掃工程と空気吹出工程が終わったら、切粉除去具50を係止板54の係止棒55に係止させる。なお、この空気吹出工程は必須ではなく、清掃工程で切粉の除去ができるようなら行なわなくてもよい。また、空気吹出工程を行なう頻度は、清掃工程を複数回に対して空気吹出工程を1回としてもよい。さらに、清掃工程と空気吹出工程では、傾斜板21を清掃すれば殆どの切粉を除去することができる。このため、傾斜板21のみを清掃してもよい。
【0037】
上記の加工工程、清掃工程、空気吹出工程を複数回繰り返すと、切粉回収箱24に切粉が溜まってくる。そうなれば次に切粉廃棄工程として、切粉回収箱24を水平方向に引き出す等して取外し、中の切粉を廃棄する。そして、空になった切粉回収箱24を元の位置である切粉収集部20の下に戻せばよい。
【0038】
なお、
図8に示す切削加工機械200を用いる切削加工機械の清掃方法は、上記の切削加工機械の清掃方法のうちワーク把持部33を工具把持部235に読み替える等すれば理解できるため、説明を省略する。
【0039】
以上、説明したように、本実施形態の切削加工機械及び切削加工機械の清掃方法によれば、ワーク70を加工する加工位置の下には、一般的な切削加工機械にあるようなテーブルやベッドがなく、実質的に切粉回収箱24があるだけである。これにより、ロボット30や加工工具40a,40b周辺に切粉が付着することがなく、切削加工機械の清掃が容易になるとともに、機械の故障も防止することができる。
【0040】
また、切粉回収箱24に落下しなかった切粉は、パネル17と筒部22が垂直に立てられていることもあって、その殆どが傾斜板21に付着する。仮に、傾斜板21がなく、パネル17を下柱13の周囲にも取付ける構成とした場合、切粉回収箱に落下しなかった切粉はパネルの広範囲に付着することになる。すると、ロボット30の動作範囲の外にも切粉が付着して、清掃が行き渡らない箇所が出てきて、当該箇所には切粉が堆積されることになる。さらに、切粉回収箱24も大きくする必要があり、人手で切粉回収箱24の操作をすることが困難になる。ここで、傾斜板21を備えることで、上述したように切粉回収箱24に落下しなかった切粉は、その殆どが傾斜板21に付着する。すなわち、傾斜板21は飛散する切粉を受け止めて、切粉が広範囲に付着することを防止する作用も有するのである。これにより、切粉除去具50で筐体10の内側を清掃するときに、傾斜板21を清掃すれば殆どの切粉を除去することができ、清掃時間の短縮が可能となり掃除も容易になる。さらに、傾斜板21によって、切粉を切削加工機械の中央に集めることができるため、切粉回収箱24を小さくすることができ、切粉の廃棄が容易になる。
【0041】
また、ロボット30と切粉除去具50とで、筐体10の内側の清掃を自動化できるため、作業工数の低減を図ることができる。
【0042】
なお、上述した切削加工機械及び切削加工機械の清掃方法は、本発明の例示であり発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0043】
1,100,200・・切削加工機械、
10・・筐体、11・・フレーム、12・・上柱、13・・下柱、14・・上梁、15・・下梁、16・・天井、17・・パネル、18,118,218・・搬送口、
20・・切粉収集部、21・・傾斜板、22・・筒部、23・・底板、24・・切粉回収箱、
30,130,230・・ロボット、31・・前腕、32・・手首、33,233・・ワーク把持部、134・・ロボットベース部、235・・工具把持部、
40a,40b,140,240a,240b・・加工工具、41a,41b,141・・工具支持部、42a,42b,142,242・・押圧装置、143・・工具支持ベース部、244・・ツールチェンジャー、245・・ワーク支持部
50・・切粉除去具、51・・柄、52・・被係止部、53・・刷子部、54・・係止板、55・・係止棒、56・・孔、57・・空気吹出部、
60・・搬入搬出部、61・・サブフレーム、62・・扉、63・・中間板、64・・中間受台、
70・・ワーク、