(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185968
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ロール体の残量検出装置及びロール体の残量管理システム
(51)【国際特許分類】
B65H 43/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B65H43/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093932
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】合田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠人
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA00
3F048AB04
3F048AC04
3F048BA01
3F048CB08
3F048CB09
3F048DC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロール紙に巻かれた段ボール原紙の残量を、コルゲートマシンの改造を行う必要なく取得して、在庫管理に供するロール体の残量検出装置を提供する。
【解決手段】残量検出装置10は、長尺でシート状の段ボール原紙がロール状に巻かれたロール紙に付された、ロール紙を特定する識別符号が記憶されたRFIDラベルから、識別符号を非接触で読み取るRFIDリーダ20と、段ボール原紙の残量とを対応付けて、ロール紙ごとの段ボール原紙の残量が記憶されたサーバ150に出力する出力部40と、を備え、所定位置に配置されたロール紙から段ボール原紙を巻き解いて使用するコルゲートマシンにおける所定位置に近接して配置される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺でシート状の材料がロール状に巻かれたロール体に付された、前記ロール体を特定する識別符号が記憶されたRFIDタグから、前記識別符号を非接触で読み取るRFIDリーダと、
前記材料の残量又は使用量を検出するセンサと、
前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記材料の残量とを対応付けて、又は前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記使用量とを対応付けて、ロール体ごとの材料の残量が記憶された管理装置に出力する出力部と、を備えたロール体の残量検出装置。
【請求項2】
前記ロール体から前記材料を巻き解いて使用する処理装置における、前記ロール体が配置される所定の位置の近傍に配置される、請求項1に記載のロール体の残量検出装置。
【請求項3】
前記ロール体が、前記材料として段ボール原紙がロール状に巻かれたロール紙であり、
前記処理装置が、前記段ボール原紙を用いて段ボールシートを製造するコルゲートマシンである、請求項2に記載のロール体の残量検出装置。
【請求項4】
ロール体に付されたRFIDタグに記憶された、前記ロール体を特定する識別符号と前記ロール体における材料の残量とが対応付けられたデータベースを記憶した管理装置と、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載のロール体の残量検出装置と、を備え、
前記管理装置は、前記データベースにおける、前記識別符号のロール体に対応付けられた前記材料の残量を前記残量検出装置から入力された残量に書き換え、又は前記データベースに記憶されている前記材料の残量から前記残量検出装置から出力された使用量を差し引いて得られた残量に書き換える更新部を備えたロール体の残量管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体の残量検出装置及びロール体の残量管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートは、コルゲートマシンによって、段ボール原紙((表)ライナ(平ら)、中しん(波形)、(裏)ライナ(平ら))を貼り合わせることで製造される。段ボール原紙は、ロール状に巻かれたロール紙に形成されている。ロール紙は、段ボールシートを製造する際に、コルゲートマシンの所定の位置にセットされる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
コルゲートマシンによって、所定量の段ボールシートが製造された後に残ったロール紙は、コルゲートマシンから取り外され、在庫として倉庫等に保管される。このとき、ロール紙に残っている段ボール原紙の長さ(残量)は管理されていて、次回、コルゲートマシンにセットされる際に、段ボールシートの製造量に応じて考慮される。
【0004】
一方、コルゲートマシンは、所定位置にセットされたロール紙のロール径や、ロール紙から繰り出される段ボール原紙の繰り出し長さ又は繰り出し速度などを検出するセンサを備えていて、センサで検出された情報に基づいて、セットされたロール紙における段ボール原紙の残量を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、コルゲートマシンがセンサによってロール紙の残量を管理しているのは、コルゲートマシンによる段ボールシートの製造動作のためであり、コルゲートマシンの内部での必要性によるものである。
【0007】
したがって、コルゲートマシンで使用が終了した後のロール紙の残量を管理するためには、コルゲートマシンが検出していたロール紙の残量を外部(コルゲートマシン外)に出力させる必要がある。
【0008】
しかし、コルゲートマシンは、内部での必要性によりロール紙の残量を検出しているため、検出された情報を、在庫管理のために外部に出力するためには、コルゲートマシンのハードウェアやソフトウェアを改造する必要がある、という問題がある。
【0009】
なお、上述した問題は、コルゲートマシンに用いられる段ボール原紙のロール紙の在庫管理に限定された問題ではなく、シート状で長尺の材料(紙、布、樹脂、金属)がロール状に巻かれたロール体を用いて、製造等の処理を行う処理装置においても、同様に起こりうる問題である。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ロール体に巻かれた材料の残量を、処理装置の改造を行う必要なく取得して、在庫管理に供することができるロール体の残量検出装置及びロール体の残量管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1は、長尺でシート状の材料がロール状に巻かれたロール体に付された、前記ロール体を特定する識別符号が記憶されたRFIDタグから、前記識別符号を非接触で読み取るRFIDリーダと、前記材料の残量又は使用量を検出するセンサと、前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記材料の残量とを対応付けて、又は前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記使用量とを対応付けて、ロール体ごとの材料の残量が記憶された管理装置に出力する出力部と、を備えたロール体の残量検出装置である。
【0012】
本発明の第2は、ロール体に付されたRFIDタグに記憶された、前記ロール体を特定する識別符号と前記ロール体における材料の残量とが対応付けられたデータベースを記憶した管理装置と、本発明に係る残量検出装置と、を備え、前記管理装置は、前記データベースにおける、前記識別符号のロール体に対応付けられた前記材料の残量を前記残量検出装置から入力された残量に書き換え、又は前記データベースに記憶されている前記材料の残量から前記残量検出装置から出力された使用量を差し引いて得られた残量に書き換える更新部を備えたロール体の残量管理システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るロール体の残量検出装置及びロール体の残量管理システムによれば、ロール体に巻かれた材料の残量を、処理装置の改造を行う必要なく取得して、在庫管理に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロール紙の残量管理システム及びロール紙の判定装置を含むロール紙の管理システムを示す模式図である。
【
図2】
図1のロール紙の管理システムが管理の対象とするロール紙を示す図である。
【
図3】
図1に示したロール紙の管理システムの全般動作を示すフローチャートである。
【
図4】ロール紙へのRFIDラベルの貼付位置の態様を示す図であり、ロール紙の空洞に臨む非金属部分に貼付した態様を示す要部断面図である。
【
図5】ロール紙へのRFIDラベルの貼付位置の態様を示す図であり、ロール紙の空洞に臨む補強筒に貼付した態様を示す要部断面図である。
【
図6】ロール紙へのRFIDラベルの貼付位置の態様を示す図であり、ロール紙の空洞に臨む補強筒と非金属部分とに跨って貼付した態様を示す要部断面図である。
【
図7】具体的なデータベースの一例を示す図である。
【
図8】残量検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】所定位置にセットされたロール紙を用いて段ボールシートを製造するコルゲートマシン(処理装置の一例)も一部を示す模式図である。
【
図10】実施形態のロール紙の判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】判定装置がコルゲートマシンの所定位置にセットされたロール紙と同じ搬送経路上の待機位置に配置された予備のロール紙に近接して配置された状態を模式的に示した図である。
【
図12】各判定装置と無線又は有線で接続され、すべての待機位置に配置された予備のロール紙についての、「正」又は「誤」の判定を一覧でモニタに表示した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るロール体の残量検出装置及びロール体の残量管理システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るロール紙200の残量管理システム300及びロール紙200の判定装置60を含むロール紙200の管理システムを示す模式図である。
図2は、
図1のロール紙200の管理システムが管理の対象とするロール紙200を示す斜視図、
図3は
図1に示したロール紙200の管理システムの全般動作を示すフローチャートである。
【0016】
図示のロール紙200(ロール体の一例)の管理システムは、バーコードリーダ130と、RFIDラベル発行機140と、サーバ150(管理装置の一例)と、在庫管理用のRFIDリーダ180と、残量検出装置10と、判定装置60と、を備えている。
【0017】
ロール紙200は、一例として、段ボールシートの製造のためにコルゲートマシンにセットして使用される、長尺のシート状の段ボール原紙202(
図2参照)がロール状に巻かれたものである。
【0018】
ロール紙200は、
図2に示すように、直径方向の中心部に、軸方向に延びた中空の空洞201が形成されていて、この空洞201の軸方の両端には、円筒状の補強筒203がそれぞれ設けられている。補強筒203は、例えば金属材料で形成されていて、後述するコルゲートマシン400の支軸が挿入されたとき、空洞201の周囲の段ボール原紙202が変形するのを防止するために設けられている。
【0019】
バーコードリーダ130は、バーコードラベル110に記載されたバーコードを光学的に読み取って、そのバーコードに対応してバーコードリーダ130に記憶された段ボール原紙202の仕様(段ボール原紙202の厚さ、長さ、紙の種類等)に関する情報(仕様情報)を参照し、参照した仕様情報を外部に出力する。
【0020】
本実施形態においては、ロール紙200が新たに入庫(初回入庫)してきたとき(
図3のフローチャートのステップ1(S1)においてYES)は、ロール紙200に貼付されたバーコードラベル110のバーコードを読み取り(
図3においてS2)、そのバーコードに対応した仕様情報を、RFIDラベル発行機140に出力する。
【0021】
なお、バーコードに対応した段ボール原紙202の仕様情報は、バーコードリーダ130自体が記憶していなくてもよく、サーバ150等の外部から取得するものであってもよい。
【0022】
RFIDラベル発行機140は、バーコードリーダ130から入力されたバーコードに対応した識別符号(ID)を記憶したICチップを有するRFIDラベル120(RFIDタグ)を発行する(
図3においてS3)。RFIDラベル発行機140により発行されたRFIDラベル120は、作業者の手によって手動で、又はロボットにより自動で、入庫したロール紙200に貼付される。RFIDラベル120が貼付されたロール紙200は、所定の保管区域に移送されて保管される。
【0023】
図4~6は、ロール紙200へのRFIDラベル120の貼付位置の態様を示す図であり、
図4はロール紙200の空洞201に臨む非金属部分に貼付した態様を示す要部断面図、
図5はロール紙200の空洞201に臨む補強筒203に貼付した態様を示す要部断面図、
図6はロール紙200の空洞201に臨む補強筒203と非金属部分とに跨って貼付した態様を示す要部断面図である。
【0024】
ここで、RFIDラベル120は、例えば、
図4に示すように、ロール紙200の空洞201のうち、補強筒203に接しない部分、つまりロール紙200の非金属部分に貼付してもよいし、
図5に示すように、ロール紙200の空洞201のうち、補強筒203に貼付してもよいし、
図6に示すように、ロール紙200の空洞201のうち、補強筒203と非金属部分に跨るように貼付してもよい。
【0025】
RFIDラベル120は、一般的に、金属部分から離して配置するのが望ましいため、
図4に示した配置が好ましいが、金属部分に接していても十分な受信感度を発揮させるRFIDラベルも存在し、そのようなRFIDラベル120を適用した場合は、
図5,6に示した配置であってもよく、この場合、金属部分である補強筒203をアンテナとして機能させることができる。
【0026】
RFIDラベル発行機140は、発行したRFIDラベル120(のICチップ)に記憶されている識別符号と、バーコード又は外部から取得した段ボール原紙202の仕様情報をサーバ150に出力する。
【0027】
管理装置の一例であるサーバ150は、データベース160と、更新部170と、を備えている。データベース160は、RFIDラベル発行機140から入力された識別符号(ID)と、段ボール原紙202の仕様情報や在庫情報等の各種情報と、を対応付けて記憶していて、更新部170は、上述の入庫してきたロール紙200の識別符号と仕様情報とを対応付けてデータベース160に登録する(
図3におけるS4)。
【0028】
図7は具体的なデータベース160の一例を示す図である。具体的なデータベース160の一例は、
図7に示すように、仕様情報の一例としての紙種別、初回入庫日、最終使用日、残量(残っている長さ)及び在庫情報の一例としての保管区域が、識別符号に対応づけられたものである。なお、データベース160の具体的な内容は、
図7に示した例に限定されない。
【0029】
更新部170は、データベース160に記憶されている段ボール原紙202の仕様情報における長さを、後述する残量検出装置10から出力されたロール紙200における段ボール原紙202の残量に書き換えたり、在庫情報を書き換えたりして、情報を更新する。
【0030】
データベース160の在庫情報の更新は、後述の在庫管理用のRFIDリーダ180により、保管区域に在庫しているロール紙200のRFIDラベル120を読み取ってサーバ150に照会した際(
図3におけるS5)に更新され(
図3におけるS6)、初回入庫のロール紙200の保管区域の情報は、このときの更新によって登録される。
【0031】
在庫管理用のRFIDリーダ180は、入庫して倉庫等の保管区域に在庫している多数のロール紙200(例えば、ロール紙210,220,…,280)のそれぞれに付されたRFIDラベル120から識別符号を読み取って、サーバ150のデータベース160と照合等し、ロール紙200の有無等の在庫情報の管理(データベースにおける保管区域の登録、更新)に供される。
【0032】
RFIDリーダ180は、RFIDラベル120に非接触で、RFIDラベル120に記憶されている識別符号等の情報を読み取ることができるため、バーコードリーダのように、倉庫の中で保管されている個々のロール紙200に近接する必要がない。
【0033】
すなわち、ある程度の範囲の空間に存在している複数個のRFIDラベル120の識別符号をほぼ同時に一度で読み取ることができる。ある程度の範囲は、RFIDリーダ180とRFIDラベル120との間で交信することができる距離の範囲であり、ある程度の範囲においては、RFIDリーダ180がRFIDラベル120に記憶されている識別符号等の情報を非接触で読み取ることができる。
【0034】
なお、ある程度の範囲は、RFIDリーダ180とRFIDラベル120との仕様や空間の状況(壁で仕切られている空間であるか、又は壁で仕切られていない解放された空間であるか、並びに、RFIDラベル120が付されたロール紙200同士の配置の粗密状況等)によって変化する。したがって、RFIDラベル120を用いた在庫管理は、倉庫におけるロール紙200の在庫管理に要する手間を大幅に低減することができる。
【0035】
(残量検出装置、残量管理システム)
図8は残量検出装置10の構成を示すブロック図、
図9は所定位置410,420,430にセットされたロール紙200を用いて段ボールシートを製造するコルゲートマシン400(処理装置の一例)も一部を示す模式図である。
【0036】
残量検出装置10は、
図8に示すように、RFIDリーダ20と、センサ30と、出力部40と、を備えている。残量検出装置10は、例えば、
図9に示すように、ロール紙200から段ボール原紙202を巻き解いて段ボールシートを製造するコルゲートマシン400における、ロール紙200をセットする所定位置410,420,430の近傍に配置される。残量検出装置10は、コルゲートマシン400とは別体に構成されている。
【0037】
ロール紙200の、所定位置410へのセットは、後述する
図11に示すように、床に形成された、待機位置450を経由して所定位置410まで延びた搬送経路450に沿って進む板状の移送体470に、ロール紙200が載置され、ロール紙200を載置した移送体470が搬送路450に沿って所定位置410まで進むことにより、ロール紙200を所定位置410にセットする。他の所定位置420,430へのロール紙200のセットも同様である。
【0038】
所定位置410,420,430の近傍に配置される範囲は、上述したRFIDリーダ180の場合と同様に、RFIDリーダ20とRFIDラベル120との仕様や空間の状況によって変化するが、各所定位置410,420,430に配置されたそれぞれのロール紙200のRFIDラベル120を読み取ることができる範囲である。
【0039】
つまり、所定位置410の近傍に配置されたRFIDリーダ20は、送信される電波の向きや電場の強度が予め調整されて、所定位置410に配置されているロール紙200のRFIDラベル120と交信して、記憶されている識別符号等の情報を読み取り可能に設定されている。
【0040】
同様の設定により、所定位置420の近傍に配置されたRFIDリーダ20は、所定位置420に配置されているロール紙200のRFIDラベル120の識別符号等の情報を読み取り可能で、所定位置430の近傍に配置されたRFIDリーダ20は、所定位置430に配置されているロール紙200のRFIDラベル120の識別符号等の情報を読み取り可能である。
【0041】
センサ30は、所定位置410に配置されているロール紙200の段ボール原紙202の残量(残っている長さ)を非接触で検出する。センサ30は、例えば、レーザ光をロール紙200に照射してロール紙200の直径又は半径を検出する。センサ30は、検出した直径又は半径に基づいて、段ボール原紙202の残量を算出する演算部も備えている。
【0042】
センサ30の演算部は、具体的には、検出した直径又は半径と、段ボール原紙202の厚さと、に基づいて、残量を算出する。段ボール原紙202の厚さは、ロール紙200の仕様によって規定されているので、演算部が予め記憶していてもよいし、残量検出装置10が備えている出力部40によってサーバ150と交信し、サーバ150が備えているデータベース160に記憶されているロール紙200の仕様情報を取得してもよい。
【0043】
センサ30は、ロール紙200の段ボール原紙202に残量を検出するものであればよく、レーザ光を用いてロール紙200の直径や半径を検出するものに限定されない。したがって、レーザ光以外の方法で、ロール紙200の直径や半径を検出するものであってもよいし、ロール紙200の直径や半径とは異なる物理量を検出するものであってもよい。
【0044】
ロール紙200の直径や半径とは異なる物理量を検出するものとしては、例えば、コルゲートマシン400の稼働中におけるロール紙200からの段ボール原紙202の時間当たりの回転数(回転速度)である。コルゲートマシン400は、一定速度で段ボールシートを製造するため、ロール紙200を巻き解いて段ボール原紙202が繰り出される速度は一定である。
【0045】
段ボール原紙202の繰り出しにより回転するロール紙200の回転速度は、ロール紙200の直径又は半径によって規定される。つまり、ロール紙200は、直径又は半径が小さくなるにしたがって回転速度が速くなる。したがって、センサ30は、ロール紙200の回転速度を検出することにより、段ボールシートを製造する一定速度(段ボール原紙の繰り出し速度)との関係で、ロール紙200の段ボール原紙202に残量を検出することができる。
【0046】
なお、段ボールシートを製造する一定速度(段ボール原紙の繰り出し速度)は、コルゲートマシンを稼働させるときに予め取得可能であるため、センサ30の演算部が予め記憶しておけばよい。
【0047】
出力部40は、RFIDリーダ20により読み取られたロール紙200の識別符号とセンサ30により検出された段ボール原紙202の残量とを対応付けた情報として出力する。
【0048】
出力部40から出力されたロール紙200の識別符号と段ボール原紙202の残量とが対応付けられた情報は、サーバ150に入力される(
図3おけるS7)。サーバ150は、その更新部170が、対応付けられた情報に基づいて、データベース160に記憶された情報のうち入力されたロール紙200の識別符号に対応するロール紙200を特定し、そのロール紙200の識別符号に対応する仕様情報の残量を、入力された段ボール原紙202の残量に書き換える(更新する;
図3おけるS8)。
【0049】
以上、詳細に説明したように、本実施形態のロール紙200の残量検出装置10は以下のように構成されている。すなわち、本実施形態のロール体(ロール紙200)の残量検出装置(残量検出装置10)は、長尺でシート状の材料(段ボール原紙202)がロール状に巻かれたロール体(ロール紙200)に付された、前記ロール体を特定する識別符号が記憶されたRFIDタグ(RFIDラベル120)から、前記識別符号を非接触で読み取るRFIDリーダ(RFIDリーダ20)と、前記材料の残量又は使用量を非接触で検出するセンサ(センサ30)と、前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記材料の残量とを対応付けて、又は前記RFIDリーダにより読み取られた前記識別符号と前記センサにより検出された前記使用量とを対応付けて、ロール体ごとの材料の残量が記憶された管理装置(サーバ150)に出力する出力部(出力部40)と、を備えている。そして、残量検出装置10は、前記ロール体から前記材料を巻き解いて使用する処理装置(コルゲートマシン400)における、前記ロール体が配置される所定の位置(所定位置410,420,430)の近傍に配置される。
【0050】
この構成により本実施形態の残量検出装置10によれば、ロール紙200に巻かれた段ボール原紙202の残量を独自に取得することができるため、コルゲートマシン400を改造するなどしてコルゲートマシン400から残量を取得する必要がない。
【0051】
したがって、本実施形態の残量検出装置10は、コルゲートマシン400に依存せずに、ロール紙200における段ボール原紙の残量を自動的に取得して管理することができる。
【0052】
また、本実施形態の残量検出装置10におけるセンサ30は、ロール紙200に対して非接触で残量を検出するため、ロール紙200に接触して残量を検出するセンサのようにロール紙200に対する接触抵抗が無く、コルゲートマシン400の稼働に影響を与えることが無い。
【0053】
なお、センサ30は、ロール紙200に接触するものであってもよい。すなわち、センサ30が、例えば、段ボール原紙202に接触する従動ローラタイプの物であれば、従動ローラの周長と回転数とにより、段ボール原紙202の繰り出し長さ(=周長×回転数;使用量)を検出することができる。
【0054】
また、本実施形態の残量検出装置10とデータベース160を記憶したサーバ150とは、本発明の一実施形態であるロール紙200の残量管理システム300(
図8参照)を構成している。すなわち、本実施形態のロール体の残量管理システム(残量管理システム300)は、ロール体(ロール紙200)に付されたRFIDタグ(RFIDラベル120)に記憶された、前記ロール体を特定する識別符号と前記ロール体における前記材料(段ボール原紙202)の残量とが対応付けられたデータベース(データベース160)を記憶した管理装置(サーバ150)と、本発明の残量検出装置(残量検出装置10)と、を備え、前記管理装置は、前記データベースにおける、前記識別符号のロール体に対応付けられた前記材料の残量を前記残量検出装置から入力された残量に書き換え、又は前記データベースに記憶されている前記材料の残量から前記残量検出装置から出力された使用量を差し引いて得られた残量に書き換える更新部(更新部170)を備えている。
【0055】
この構成により、本実施形態の残量管理システム300によれば、ロール紙200に巻かれた段ボール原紙202の残量を独自に取得することができるため、コルゲートマシン400を改造するなどしてコルゲートマシン400から残量を取得する必要がない。
【0056】
したがって、本実施形態の残量管理システム300は、コルゲートマシン400に依存せずに、ロール紙200における段ボール原紙の残量を自動的に取得して管理することができ、ロール紙の在庫管理の労力やコストを低減することができる。
【0057】
なお、上述の説明は、ロール紙200がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされたときの残量検出装置10の説明であるが、他の所定位置420,430にセットされたロール紙200に対する、他の残量検出装置10についても同様の構成で、同様の作用を奏する。
【0058】
また、本実施形態の残量検出装置10は、コルゲートマシン400の所定位置410等の近傍に配置されたものであるが、本発明に係るロール体の残量検出装置及び残量管理システムの残量検出装置は、コルゲートマシン400の所定位置410等の近傍に配置されたものに限定されない。
【0059】
すなわち、本発明に係るロール紙の残量検出装置及び残量管理システムの残量検出装置は、コルゲートマシン400の所定位置410等の近傍にセンサ30及びRFIDリーダ20を配置し、所定位置410等から離れた位置に出力部40を配置し、センサ30及びRFIDリーダ20と出力部40とを、無線によって接続した構成としてもよい。
【0060】
また、本実施形態の残量検出装置10と、データベース160を記憶したサーバ150とを有する、本発明の一実施形態である残量管理システム300によれば、ロール紙200に巻かれた段ボール原紙202の残量を独自に取得することができるため、コルゲートマシン400を改造するなどしてコルゲートマシン400から取得する必要がない。
【0061】
本実施形態の残量検出装置10におけるセンサ30は、段ボール原紙202の残量を検出するものであるが、センサ30による検出する物理量としては、上述したロール紙200の半径又は直径やロール紙200の回転速度に限定されない。すなわち、センサ30は、ロール紙200から段ボール原紙202の、コルゲートマシン400により使用された長さ(使用量)を検出するものであってもよい。
【0062】
この場合、センサ30は、コルゲートマシン400によって繰り出される段ボール原紙202の繰り出し長さを検出すればよい。ロール紙200がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされる前の段階での段ボール原紙202の残量(初期値)は、データベース160に記憶されている。
【0063】
したがって、センサ30が、コルゲートマシン400による段ボール原紙202の使用量を検出することで、データベース160から取得した残量(初期値)から使用料を差し引く演算により、結果的に、センサ30は段ボール原紙202の残量を取得することができる。
【0064】
なお、コルゲートマシン400が、現在、所定位置410にセットされて使用しているロール紙200におけるダンボール紙202の残量又は使用量を表示するモニタを備えているものであるときは、そのモニタに表示されている残量又は使用量を撮影し、撮影して得られた残量又は使用量の画像を、画像認識処理することによって数値データとして取得するカメラ装置を、センサ30として適用することもできる。つまり、センサ30は、所定位置410,420,430にセットされているロール紙200の段ボール原紙202の残量を取得するものであれば、いかなるものであってもよい。
【0065】
(判定装置)
図10はロール紙の判定装置60の構成を示すブロック図、
図11は判定装置60がコルゲートマシンの所定位置410にセットされたロール紙210(200)と同じ搬送経路450上の待機位置411に配置された予備のロール紙220(200)の近傍に配置された状態を模式的に示した図である。
【0066】
判定装置60は、ロール体の判定装置の一実施形態であり、
図10に示すように、RFIDリーダ20と、照合部70と、判定出力部80と、を備えている。判定装置60は、例えば、
図11に示すように、コルゲートマシンの所定位置410にセットされて使用されるロール紙210と同じ搬送経路450の待機位置411に配置された予備のロール紙220の近傍に配置される。
【0067】
移送体460に載置され、待機位置411に配置されたロール紙220は、コルゲートマシン400で現在使用されているロール紙210における段ボール原紙202の残量が無くなったときに使用される予備のロール紙である。所定位置410にセットされたロール紙210の残量が無くなると、待機位置411にセットされたロール紙220は、移送体460に載置された状態で、搬送経路450に沿って所定位置410まで進み、ロール紙210に代わって所定位置410にセットされる。そして、所定位置410に設置されたロール紙220は、コルゲートマシン400により段ボールシートの製造に供される。
【0068】
RFIDリーダ20は、待機位置411に配置されているロール紙220のRFIDラベル120とのみ交信して、記憶されている識別符号等の情報を読み取るが、所定位置410に配置されているロール紙210のRFIDラベル120とは交信せず、ロール紙210のRFIDラベル120に記憶されている識別符号等の情報を読み取らない。
【0069】
照合部70は、サーバ150と交信して、所定位置410に配置されるべきロール紙200の正しい仕様(段ボール原紙202の紙の種類等)を、サーバ150が有する生産計画から取得する。
【0070】
なお、サーバ150が有する生産計画とは、コルゲートマシン400によって段ボールシートを製造する生産の管理を行う生産管理システムで策定された生産計画である。生産計画には、コルゲートマシン400によって段ボールシートを製造する生産計画に対応して必要とされるロール紙200の正しい仕様が含まれている。
【0071】
照合部70は、RFIDリーダ20が読み取った待機位置411のロール紙220のRFIDラベル120に記憶された識別符号を、サーバ150のデータベース160に照会する。そして、照合部70は、データベース160から取得した、ロール紙220の識別符号に対応した仕様情報と、サーバ150が有する生産計画から取得した正しい仕様とを照合して、ロール紙220の仕様がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされるべき正しい仕様に一致するか否かの照合結果を判定出力部80に出力する。
【0072】
判定出力部80は、例えば表示装置であり、照合部70から入力された、待機位置411にセットされたロール紙220の仕様がコルゲートマシン400の所定位置410にセットされるべき正しい仕様に一致するか否かの照合結果に応じて、判定を表示(出力)する。
【0073】
具体的には、ロール紙220の仕様が正しい仕様に一致するとの照合結果の入力を受けたときは、判定出力部80が判定「正」を表示する。一方、ロール紙220の仕様が正しい仕様に一致しないとの結果の入力を受けたときは、判定出力部80が判定「誤」を表示する。
【0074】
判定出力部80は、判定「誤」を表示したときは、周囲の作業者に、待機位置411にセットされているロール紙220が誤った仕様のものであることを知らせるために、判定「誤」の表示を目立たせる。具体的には、判定出力部80は、判定「誤」の表示を、作業者に対して目につきやすい色で表示したり、点滅させたりする。
【0075】
また、判定出力部80は、表示を目立たせるのに代えて、又は表示を目立たせるのと併用して、警報音を発生し、作業者に報知してもよい。
【0076】
そして、待機位置450で待機しているロール紙220の判定が「誤」であるときは、判定出力部は、移送体460を待機位置450から所定位置410に自動的に搬送されないように指示信号を移送体460に出力し、ロール紙220を待機位置450に停止した状態に維持する。
【0077】
一方、ロール紙220の判定が「正」であるときは、判定出力部80は、所定位置410のロール紙210」の残量が無くなったとき、待機位置411の予備のロール紙220が所定位置410に自動的に搬送されるのを許容する指示信号を移送体460に出力する。
【0078】
以上、詳細に説明したように、ロール紙の判定装置60は以下のように構成されている。すなわち、ロール体(ロール紙)の判定装置60は、所定の位置(所定位置410)に配置される前の待機位置(待機位置411)に配置されている、長尺でシート状の材料(段ボール原紙202)がロール状に巻かれたロール体(ロール紙220)のRFIDタグ(RFIDラベル120)から、前記RFIDタグに記憶されている識別符号を読み取るRFIDリーダ(RFIDリーダ20)と、前記所定の位置に配置されるべきロール体の正しい仕様を取得し、取得した前記正しい仕様と前記RFIDリーダにより読み取られた前記待機位置の前記ロール体の前記識別符号に対応した仕様とを照合して照合結果を出力する照合部(照合部70)と、前記照合結果に応じて、前記待機位置のロール体の仕様が正しいか否かの判定を出力する判定出力部(判定出力部80)と、を備えている。
【0079】
この構成により、ロール紙の判定装置60によれば、所定位置410に配置されてコルゲートマシン400に使用されているロール紙210の予備のロール紙として待機位置411に配置されているロール紙220が、予備のロール紙として正しい仕様であるか否かを、ロール紙220が所定位置410に実際にセットする前の段階で、自動的に判定することができる。
【0080】
そして、の照合結果により、ロール紙220が誤った仕様のものであるとの判定のときは、待機位置411に停止した状態のロール紙220を手動操作等で待機位置411から退避させて、正しい仕様のロール紙200を待機位置411に再配置すればよい。
【0081】
これにより、誤った仕様のロール紙220が実際に所定位置410に配置されて、そのタイミングで、仕様の誤りに気付いた場合に比べて、コルゲートマシン400の稼働効率を向上させることができる。
【0082】
すなわち、誤った仕様のロール紙220が所定位置410に配置されて、そのタイミングで仕様の誤りに気付いた場合は、ロール紙220を所定位置410から退避させて、正しい仕様のロール紙を所定位置410に再配置するための余計な段取りが発生する。このため、そのような余計な段取りが発生しない場合に比べて、コルゲートマシン400を停止している時間が長くなって、コルゲートマシン400の稼働効率を低下させることになる。
【0083】
しかし、判定装置60は、誤った仕様のロール紙220が、所定位置410に配置される前の待機位置411において、仕様の誤りを判定することができるため、所定位置410に配置されているロール紙210が使用されて、コルゲートマシン400が稼働している期間中に、誤った仕様のロール紙220を正しい仕様のロール紙に交換することができ、コルゲートマシン400を停止している時間を長くすることがなく、コルゲートマシン400の稼働効率を低下させることがない。
【0084】
また、判定装置60は、コルゲートマシン400による製造に使用する段ボール原紙202の仕様に関する情報を、コルゲートマシン400から取得するものではないため、コルゲートマシン400を改造する必要がない。
【0085】
つまり、判定装置60は、コルゲートマシン400に依存せずに、待機位置411に配置されたロール紙220における段ボール原紙202の仕様を自動的に判定することができる。
【0086】
判定装置60は、判定出力部80自体が判定の表示や音を出力するものであるが、本発明に係る判定装置は、判定出力部が、判定を、無線等で接続された外部のモニタ等に出力して、そのモニタに判定を表示させたり警報音を発生させたりしてもよい。
【0087】
図12は、各判定装置60と無線又は有線で接続され、すべての待機位置411,421,431に配置された予備のロール紙220についての、「正」又は「誤」の判定を一覧でモニタ90(表示装置)に表示した画面の表示の一例を示す図である。
【0088】
例えば
図9に示すように、所定位置410には使用中の2つのロール紙200,200が配置され、所定位置420にも使用中の2つのロール紙200,200が配置され、所定位置430にも使用中の2つのロール紙200,200が配置されているコルゲートマシン400においては、各所定位置410,420,430で使用中のロール紙200にそれぞれ対応して、待機位置411,421,431に2つずつの予備のロール紙220が配置されている。
【0089】
そこで、予備のロール紙のそれぞれに対応する判定装置60を配置して、各判定装置60の判定出力部80は、
図12に示すように、各判定装置60と無線又は有線で接続された外部のモニタ90に、これらすべての待機位置411,421,431に配置された予備のロール紙220(合計で6個)について、「正」又は「誤」の判定を一覧で表示してもよい。外部のモニタ90はサーバ150を介して、各判定装置60と接続されたものであってもよい。なお、外部のモニタ90は、判定装置60とは別体であるが、判定装置60を構成する構成要素の一部であってもよい。
【0090】
このように、1つのモニタ90に、複数の予備のロール紙220の判定を一覧的に出力することで、複数の予備のロール紙220の判定を、1つのモニタ90でまとめて確認することができ、個々の判定装置60の判定を確認して回るのに比べて、確認の労力を低減することができる。
【0091】
なお、上述の説明は、判定装置60が残量検出装置10とは別の構成であることを前提として説明したが、判定装置60を残量検出装置10に組み込んだ構成としてもよい。この場合、判定装置60のRFIDリーダ20と残量検出装置10のRFIDリーダ20とを1つのRFIDリーダ20で共用することができる。
【0092】
本実施形態のロール紙の残量検出装置10、残量管理システム300及び判定装置60は、ロール体として、長尺でシート状の段ボール原紙202がロール状に巻かれたロール紙200を適用し、処理装置として、ロール紙200から段ボール原紙202を巻き解いて使用するコルゲートマシン400を適用したものである。
【0093】
しかし、本発明に係るロール体の残量検出装置、残量管理システム及び判定装置は、段ボール原紙に限らず、シート状で長尺の材料(紙、布、樹脂、金属)がロール状に巻かれたロール体を用いて、コルゲートマシンに限らず製造等の処理を行う処理装置についても適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 残量検出装置
20 RFIDリーダ
40 出力部
120 RFIDラベル
150 サーバ
200 ロール紙
202 段ボール原紙
400 コルゲートマシン
410 所定位置