(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185972
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】車両運搬車
(51)【国際特許分類】
B60P 1/64 20060101AFI20221208BHJP
B60P 1/00 20060101ALI20221208BHJP
B60P 1/32 20060101ALI20221208BHJP
B60P 1/48 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B60P1/64 B
B60P1/00 H
B60P1/32
B60P1/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093937
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 翔平
(57)【要約】
【課題】車両運搬車において、ボデーのチルトフレームに対する前後スライド中、従来構造のように複数の動作切替え位置を複数のリミットスイッチでピンポイント的に検知する場合と比べ、ボデーのスライド途中でチルトフレームが受ける振動・衝撃に起因した検知見逃しのリスクを大幅に軽減可能とする。
【解決手段】ボデーBをチルトフレームT上で強制スライドさせるチェーン伝動式の前後駆動装置Dが、チェーン26を駆動するための回転軸23fを有すると共に、ボデーBのスライド位置を検知するセンサ装置Sが、回転軸23fの回転量を検知する回転量センサRSを有しており、制御装置Cは、回転量センサで検知した回転量に基づいてボデーBの前進限からの移動距離を演算し、且つその移動距離が所定距離となるのに応じて前後駆動装置D及びリフト装置Lの動作切替えを行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(F)後部にダンプ可能且つ前後動可能に支持されたチルトフレーム(T)と、このチルトフレーム(T)を強制的にダンプさせるリフト装置(L)と、他車両(V′)を載置可能な車両載置部を有して前記チルトフレーム(T)上を前後方向にスライド可能なボデー(B)と、そのボデー(B)に固定されるチェーン(26)を有して該ボデー(B)を前記チルトフレーム(T)上で強制的にスライドさせるチェーン伝動式の前後駆動装置(D)と、前記ボデー(B)の前記チルトフレーム(T)に対するスライド位置を検出するセンサ装置(S)と、前記前後駆動装置(D)および前記リフト装置(L)を制御可能な制御装置(C)とを備えた車両運搬車において、
前記前後駆動装置(D)が、前記チェーン(26)と連動回転する回転軸(23)を有すると共に、前記センサ装置(S)が、前記回転軸(23)の回転量を検知する回転量センサ(RS)を有しており、
前記制御装置(C)は、前記回転量センサ(RS)で検知した前記回転量に基づいて前記ボデー(B)の前進限からの移動距離を演算し、且つその移動距離が所定距離となるのに応じて前記前後駆動装置(D)および前記リフト装置(L)の動作切替えを行うことを特徴とする車両運搬車。
【請求項2】
前記センサ装置(S)は、前記ボデー(B)の前記スライド位置を直接、検知可能であって前記回転量センサ(RS)から独立した、第1~第4センサ(LSf,LSm,LSr)のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1センサ(LSf)は、前記ボデー(B)の前記チルトフレーム(T)に対する前進限を検知可能であり、また前記第2センサ(LSm)は、前記ボデー(B)を前記チルトフレーム(T)上から地上に降ろすべく後方へスライドさせる途中で、前記チルトフレーム(T)を上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能であり、また前記第3センサ(LSm)は、前記ボデー(B)を地上から前記チルトフレーム(T)上に積み込むべく前方へスライドさせる途中で、前記チルトフレーム(T)を下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能であり、また前記第4センサ(LSr)は、前記ボデー(B)の前記チルトフレーム(T)に対する後退限を検知可能であり、
前記第1~第4センサ(LSf,LSm,LSr)のうちの前記少なくとも1つのセンサ(LSf,LSm,LSr)で検知すべき検知位置が、前記回転量センサ(RS)では検知されないのに該少なくとも1つのセンサ(LSf,LSm,LSr)では検知された場合に、前記制御装置(C)が報知手段(80)を報知作動させることを特徴とする、請求項1に記載の車両運搬車。
【請求項3】
前記センサ装置(S)は、前記ボデー(B)の前記スライド位置を直接、検知可能であって前記回転量センサ(RS)から独立した、第1~第4センサ(LSf,LSm,LSr)のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1センサ(LSf)は、前記ボデー(B)の前記チルトフレーム(T)に対する前進限を検知可能であり、また前記第2センサ(LSm)は、前記ボデー(B)を前記チルトフレーム(T)上から地上に降ろすべく後方へスライドさせる途中で、前記チルトフレーム(T)を上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能であり、また前記第3センサ(LSm)は、前記ボデー(B)を地上から前記チルトフレーム(T)上に積み込むべく前方へスライドさせる途中で、前記チルトフレーム(T)を下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能であり、また前記第4センサ(LSr)は、前記ボデー(B)の前記チルトフレーム(T)に対する後退限を検知可能であり、
前記第1~第4センサ(LSf,LSm,LSr)のうちの前記少なくとも1つのセンサ(LSf,LSm,LSr)で検知すべき検知位置が、前記回転量センサ(RS)では検知されるのに該少なくとも1つのセンサ(LSf,LSm,LSr)では検知されない場合に、前記制御装置(C)が報知手段(80)を報知作動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両運搬車。
【請求項4】
前記センサ装置(S)は、前記ボデー(B)の前記スライド位置を直接、検知可能であって前記回転量センサ(RS)から独立した、第1~第4センサ(LSf,LSm,LSr)のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1センサ(LSf)は、前記ボデー(B)の前記チルトフレーム(T)に対する前進限を検知可能であり、また前記第2センサ(LSm)は、前記ボデー(B)を前記チルトフレーム(T)上から地上に降ろすべく後方へスライドさせる途中で、前記チルトフレーム(T)を上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能であり、また前記第3センサ(LSm)は、前記ボデー(B)を地上から前記チルトフレーム(T)上に積み込むべく前方へスライドさせる途中で、前記チルトフレーム(T)を下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能であり、また前記第4センサ(LSr)は、前記ボデー(B)の前記チルトフレーム(T)に対する後退限を検知可能であり、
前記第1~第4センサ(LSf,LSm,LSr)のうちの前記少なくとも1つのセンサ(LSf,LSm,LSr)で検知すべき検知位置が、該少なくとも1つのセンサ(LSf,LSm,LSr)では検知されないのに、前記ボデー(B)が該検知位置から所定距離行き過ぎた所定限界位置を前記回転量センサ(RS)が検知した場合には、前記制御装置(C)が前記前後駆動装置(D)および前記リフト装置(L)を全停止させることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の車両運搬車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運搬車、特に車体後部にダンプ可能且つ前後動可能に支持されたチルトフレームと、このチルトフレームを強制的にダンプさせるリフト装置と、他車両を載置可能な車両載置部を有してチルトフレーム上を前後方向にスライド可能なボデーと、そのボデーに固定されるチェーンを有して該ボデーをチルトフレーム上で強制的にスライドさせるチェーン伝動式の前後駆動装置と、ボデーのチルトフレームに対するスライド位置を検出するセンサ装置と、前後駆動装置およびリフト装置を制御可能な制御装置とを備えた車両運搬車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した車両運搬車は、例えば特許文献1に開示されるように従来公知であり、この公知のものでは、ボデーのチルトフレームに対する複数の所定スライド位置を、ボデーとチルトフレームとの間に設けた複数のリミットスイッチ(即ちドグと、ドグ接近を検知するセンサ本体とよりなる近接センサ)を用いて検知し、その検知結果に応じて前後駆動装置の動作及びリフト装置の動作切り替えを行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両運搬車では、ボデーが所定スライド位置にきたことを、その位置に対応して配置されるリミットスイッチ、即ち近接スイッチによりピンポイント的に検知するため、この検知が何らかの原因で適正に行われないままボデーが所定スライド位置を通り過ぎた場合には、前後駆動装置の動作が、当該所定スライド位置で予定されていた本来の切替えを行い得ないまま継続されてしまう不都合が生じる虞れがある。
【0005】
例えば、操作ミスでボデーのスライド動作の中断再開をしてチルトフレームに大きな振動・衝撃が生じたことに因り、リミットスイッチが所定スライド位置を検知できなければ、スライド動作が所定スライド位置で切替えられることなく継続してしまうが、特にボデーの降ろし動作の場合には、ボデーが車体に対しダンプしないで平行状態のまま車両後部までスライドし続けると、重心の偏りによって車両運搬車の前輪が浮き上がって、車両全体が後方に傾く虞れがある。またボデーの積み込み動作の場合に、チルトフレームがダンプ状態のままボデーが前進限までスライドし続けると、リフト装置がこれに過大な負荷が作用することで破損する虞れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の問題を解決可能とした車両運搬車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、車体後部にダンプ可能且つ前後動可能に支持されたチルトフレームと、このチルトフレームを強制的にダンプさせるリフト装置と、他車両を載置可能な車両載置部を有して前記チルトフレーム上を前後方向にスライド可能なボデーと、そのボデーに固定されるチェーンを有して該ボデーを前記チルトフレーム上で強制的にスライドさせるチェーン伝動式の前後駆動装置と、前記ボデーの前記チルトフレームに対するスライド位置を検出するセンサ装置と、前記前後駆動装置及び前記リフト装置を制御可能な制御装置とを備えた車両運搬車において、前記前後駆動装置が、前記チェーンを駆動するための回転軸を有すると共に、前記センサ装置が、前記回転軸の回転量を検知する回転量センサを有しており、前記制御装置は、前記回転量センサで検知した前記回転量に基づいて前記ボデーの前進限からの移動距離を演算し、且つその移動距離が所定距離となるのに応じて前記前後駆動装置及び前記リフト装置の動作切替えを行うことを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記センサ装置は、前記ボデーの前記スライド位置を直接、検知可能であって前記回転量センサから独立した、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサを含み、前記第1センサは、前記ボデーの前記チルトフレームに対する前進限を検知可能であり、また前記第2センサは、前記ボデーを前記チルトフレーム上から地上に降ろすべく後方へスライドさせる途中で、前記チルトフレームを上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能であり、また前記第3センサは、前記ボデーを地上から前記チルトフレーム上に積み込むべく前方へスライドさせる途中で、前記チルトフレームを下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能であり、また前記第4センサは、前記ボデーの前記チルトフレームに対する後退限を検知可能であり、前記第1~第4センサのうちの前記少なくとも1つのセンサで検知すべき検知位置が、前記回転量センサでは検知されないのに該少なくとも1つのセンサでは検知された場合に、前記制御装置が報知手段を報知作動させることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記センサ装置は、前記ボデーの前記スライド位置を直接、検知可能であって前記回転量センサから独立した、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサを含み、前記第1センサは、前記ボデーの前記チルトフレームに対する前進限を検知可能であり、また前記第2センサは、前記ボデーを前記チルトフレーム上から地上に降ろすべく後方へスライドさせる途中で、前記チルトフレームを上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能であり、また前記第3センサは、前記ボデーを地上から前記チルトフレーム上に積み込むべく前方へスライドさせる途中で、前記チルトフレームを下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能であり、また前記第4センサは、前記ボデーの前記チルトフレームに対する後退限を検知可能であり、前記第1~第4センサのうちの前記少なくとも1つのセンサで検知すべき検知位置が、前記回転量センサでは検知されるのに該少なくとも1つのセンサでは検知されない場合に、前記制御装置が報知手段を報知作動させることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記センサ装置は、前記ボデーの前記スライド位置を直接、検知可能であって前記回転量センサから独立した、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサを含み、前記第1センサは、前記ボデーの前記チルトフレームに対する前進限を検知可能であり、また前記第2センサは、前記ボデーを前記チルトフレーム上から地上に降ろすべく後方へスライドさせる途中で、前記チルトフレームを上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能であり、また前記第3センサは、前記ボデーを地上から前記チルトフレーム上に積み込むべく前方へスライドさせる途中で、前記チルトフレームを下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能であり、また前記第4センサは、前記ボデーの前記チルトフレームに対する後退限を検知可能であり、前記第1~第4センサのうちの前記少なくとも1つのセンサで検知すべき検知位置が、該少なくとも1つのセンサでは検知されないのに、前記ボデーが該検知位置から所定距離行き過ぎた所定限界位置を前記回転量センサが検知した場合には、前記制御装置が前記前後駆動装置および前記リフト装置を全停止させることを第4の特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
第1の特徴によれば、ボデーをチルトフレームに対し強制スライドさせる前後駆動装置が、チェーンを駆動するための回転軸を有すると共に、その回転軸の回転量を回転量センサで検知し、この検知した回転量に基づいてボデーの前進限からの移動距離を演算し、且つその移動距離が所定距離となるのに応じて前後駆動装置及びリフト装置の動作切替えを行うので、ボデーの前進限からの移動距離を回転量センサできめ細かく検知可能となり、その検知結果に基づいて上記動作切替えが的確に行われる。その結果、従来構造のように動作切替え位置を複数のリミットスイッチでピンポイント的に検知する場合と比べ、ボデーのスライド途中でチルトフレームが受ける振動・衝撃に起因した検知見逃しのリスク(延いては上記動作切替えが実行されないリスク)を効果的に軽減可能となり、例えば、ボデーの降ろし動作中の検知見逃しでボデーがダンプせずに後退限まで後方スライドしてしまう不都合や、ボデーの積み込み動作中の検知見逃しでボデーがダンプ状態のまま前進限まで前方スライドしてしまう不都合の抑制に効果的である。
【0012】
また第2の特徴によれば、センサ装置は、ボデーの前進限を検知する第1センサと、ボデーを降ろすべく後方へスライドさせる途中でのダンプ上げ開始位置を検知する第2センサと、ボデーを地上から積み込むべく前方へスライドさせる途中でのダンプ下げ開始位置を検知する第3センサと、ボデーの後退限を検知する第4センサのうちの、少なくとも1つのセンサを含み、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサで検知すべき検知位置が、回転量センサでは検知されないのに該少なくとも1つのセンサでは検知された場合に、制御装置が報知手段を報知作動させる。これにより、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサと回転量センサとの検知結果が不一致となる状況、特に上記検知位置が回転量センサでは非検知なのに、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサでは検知となる状況では報知がなされるため、回転量センサの不調を見つけ易くなる。
【0013】
また第3の特徴によれば、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサで検知すべき検知位置が、回転量センサでは検知されるのに該少なくとも1つのセンサでは検知されない場合に、制御装置が報知手段を報知作動させるので、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサと回転量センサとの検知結果が不一致となる状況、特に上記検知位置が回転量センサでは検知されるのに、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサでは非検知となる状況では報知がなされるため、該少なくとも1つのセンサの不調を見つけ易くなる。
【0014】
また第4の特徴によれば、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサで検知すべき検知位置が、該少なくとも1つのセンサでは検知されないのに、ボデーが該検知位置から所定距離行き過ぎた所定限界位置を回転量センサが検知した場合には、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサと回転量センサとの一方に不具合が発生したものとして、前後駆動装置及びリフト装置を自動的に全停止させることができる。これにより、例えば、第1~第4センサのうちの少なくとも1つのセンサが検知位置を見逃してボデーが過剰にスライドした状況でも、ボデーの前後スライド動作やチルトフレームの傾動動作を自動停止させることができ、作業の安全性がより高められる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両運搬車の全体側面図
【
図2】前後駆動装置及びリフト装置を装備した、チルトフレーム及びサブフレームの組立体を示す斜視図
【
図10】(A)は
図5の10A-10A線拡大断面図、(B)は
図5の10B-10B線拡大断面図、(C)は
図5の10C-10C線拡大断面図
【
図11】リフト装置のサブフレームへの枢支連結部の縦断面図であって、(A)はリフト角が0の状態を、また(B)はリフト角が最大角の状態をそれぞれ示す
【
図12】ホイストアームの要部横断面図(
図11(A)の12-12線断面図)
【
図13】車両運搬車の降ろし行程を概略的に示す説明図
【
図14】(A)は
図13(e)の14A矢視部の拡大断面図、(B)は
図13(f)の14B矢視部の拡大断面図
【
図15】車両運搬車に搭載される車両積載装置の制御ブロック図
【
図16】車両運搬車の降ろし行程(第1制御例)のフローチャート
【
図17】車両運搬車の積込み行程(第1制御例)のフローチャート
【
図18】車両運搬車の降ろし行程(第2制御例)のフローチャート
【
図19】車両運搬車の積込み行程(第2制御例)のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0017】
先ず、
図1~
図15を参照して、実施形態の構造例について説明すると、車両運搬車Vの車体Fは、車両の骨格となって前後方向に延び且つ前部及び後部に前輪及び後輪を懸架したシャーシフレームFmと、そのシャーシフレームFm上に固定(例えば溶接、ボルト止め等)されて前後方向に延びるサブフレームFsとを備えている。シャーシフレームFm及びサブフレームFsは、前後方向に延びる左右一対の縦フレームと、その両縦フレーム間を前後に間隔をおいて結合する複数の横フレームとを各々有して、概ね梯子枠状に形成される。
【0018】
サブフレームFsの最後端の横フレームには、左右一対のローラ支持ブラケット11が突設されており、そのローラ支持ブラケット11には、
図7で明らかなように、後述するチルトフレームTの左右一対の縦枠21下面をそれぞれ前後スライド可能に支持する左右一対のローラ12が回転自在に軸支される。
【0019】
上記車体Fには、車両運搬車Vで運搬される他車両を積込み・降ろし可能に積載するための車両積載装置Aが搭載される。この車両積載装置Aは、車体F後部にダンプ可能且つ前後動可能に支持されたチルトフレームTと、このチルトフレームTを強制的にダンプさせるリフト装置Lと、他車両V′を載置可能な車両載置部を有してチルトフレームT上を前後方向にスライド可能なボデーBと、そのボデーBに固定されるチェーン26を有してボデーBをチルトフレームT上で強制的にスライドさせるチェーン伝動式の前後駆動装置Dと、ボデーBのチルトフレームTに対するスライド位置を検出するセンサ装置Sと、そのセンサ装置Sの検出結果に基づいて前後駆動装置Dおよびリフト装置Lを制御可能な制御装置Cとを備える。
【0020】
次に
図2~
図14を主として参照して、車両積載装置Aの具体例を順に説明する。
【0021】
先ず、チルトフレームTは、
図4で明らかなように、左右に間隔をおいて並ぶ一対の縦枠21と、その両縦枠21の相互間を前後に間隔をおいて結合する複数の横枠22とを有して梯子状に形成される。各々の縦枠21は、開口部を外側方に向けた横断面コ字状のチャンネル材で構成され、その縦枠21内には、ボデーBの前部をチルトフレームTにスムーズに前後スライドさせるのに用いる後述するローラ33(
図6,
図10参照)が転動可能に受容される。
【0022】
また最後端の横枠22の両端は、縦枠21よりも外側方に長く延出しており、その延出部に左右一対のローラ支持ブラケット28が突設される。そして、ローラ支持ブラケット28には、ボデーBをチルトフレームTにスムーズに前後スライドさせるのに用いる後述するガイドローラ29(
図4,
図7参照)が回転自在に軸支される。
【0023】
更に最後端の横枠22の中間部には、ガイドローラ29よりも内方側で接地用ブラケット51が下向きに突設される。この接地用ブラケット51には、チルトフレームTの傾斜角度が最大となってボデーBが地上に降ろされた状態(
図13,
図14(B)参照)で、チルトフレームTの後端下部を地面に対しスムーズに前後動させるための接地ローラ52が回転自在に軸支される。
【0024】
チルトフレームTの前端部には、前後駆動装置Dの、チェーン26駆動用の回転駆動軸23fが回転自在に支持されると共に、その回転駆動軸23fを駆動するモータMが、回転駆動軸23fと同一軸線上で固定される。
【0025】
前後駆動装置Dは、回転駆動軸23fの中間部に間隔をおいて固定した左右一対の前部スプロケット24と、その左右の前部スプロケット24に対応してチルトフレームTの後端部に回転従動軸23r(
図7参照)を介して回転自在に支持された左右一対の後部スプロケット25と、前、後部スプロケット24,25間に巻き掛けられたチェーン26と、各チェーン26の上方側をボデーBに連結する連結装置Jとを備える。
【0026】
而して、モータMの回転時に、これに連動したチェーン26の上方側の移動にボデーBが連結装置Jを介して同調し、これにより、モータMの回転に応じてボデーBを前後動させることができる。この場合、回転駆動軸23fの回転量(即ち回転数、回転角)は、ボデーBのチルトフレームTに対する前後方向のスライド量と比例関係にある。従って、後述する回転量センサRSにより、回転軸としての回転駆動軸23fの回転量を検出すれば、ボデーBのチルトフレームTに対する前進限からのスライド距離を検出可能となる。
【0027】
回転駆動軸23fは、チルトフレームTの各縦枠21の前端に固定の軸受ブラケット21bに回転自在に支持される。各々の軸受ブラケット21bは、
図8で明らかなように、各縦枠21の前端に固定(例えば溶接)された前部端壁板21aにブラケット基部が結合(例えばボルト止め)される。また左右の縦枠21の後端には、その相互間を結合する後部端壁板21cが固定(例えば溶接)される。
【0028】
而して、前部端壁板21aは、ローラ33に接離可能に係合してボデーBのチルトフレームTに対する前進限を規定する前部ストッパとして機能し、また後部端壁板21cは、ローラ33に接離可能に係合してボデーBのチルトフレームTに対する後退限を規定する後部ストッパとして機能する。
【0029】
また回転駆動軸23fの右方の端部には、周方向に一定ピッチの複数のドグ歯を有するセンサ歯車71が同心状に固定される。そして、特に右側の縦枠21の端壁板21aには、
図8で明らかなように、センサ歯車71のドグ歯の接近を検出可能な近接センサ本体70が固定される。この近接センサ本体70は、ドグ歯が接近する度毎にオン・オフを交互に繰り返す検出信号を制御装置Cに出力し、制御装置Cは、例えばオンの検出信号をカウントすると共に、そのカウント数とドグ歯間の距離(ピッチ間隔)とに基づいて回転駆動軸23fの回転量、延いてはボデーBのチルトフレームTに対する前進限からのスライド距離を演算する。
【0030】
尚、実施形態のセンサ歯車71は、ドグ歯の歯幅と歯溝の周方向間隔が異なっているが、近接センサ本体70がドグ歯の接近を検出してオン信号を出力する際のデューティ比が50(即ちオンオフの間隔が同じ)となるように、近接センサ本体70の感度も踏まえてドグ歯の歯形形状(歯幅と歯溝)が設定される。
【0031】
而して、制御装置Cは、回転量センサRSで検知した回転量に基づいてボデーBの前進限からの移動距離を演算し、且つその移動距離が所定距離となるのに応じて後述するような制御態様で前後駆動装置Dおよびリフト装置Lの動作切替えを行う。そして、その動作切替えには、後述するように傾斜角センサStの検出結果も加味される。
【0032】
次にボデーBの一例を説明する。ボデーBは、上面が他車両V′(
図1参照)を載置させる車両載置部となる矩形平板状のボデー本体31と、ボデー本体31の前端上部に立設される門型のガードフレーム36と、ボデー本体31の下端に起伏回動可能に軸支されるゲートヒンジ37とを備える。ボデー本体31とゲートヒンジ37間には、ゲートヒンジ37を起立位置と伏倒位置間で任意に回動操作可能であり且つ起立位置に保持可能なクランプ機構が介装されるが、従来周知であるので、機能説明は省略する。
【0033】
またボデー本体31の下面には、下端が前記ガイドローラ29上に前後スライド可能にされる係合する受け枠33が下向きに突設される。その受け枠33は、ガイドローラ29に対応する位置に左右一対が配置されて、前後方向に長く直線状に延びている。
【0034】
また特にボデー本体31の前部下面には、
図6,
図10で明らかなように、左右各一対のローラ支持ブラケット32が下向きに突設され、このローラ支持ブラケット32に三角状の可動支持板34の上部が相対回動可能に枢支連結される。そして、この可動支持板34の下部には、縦枠21内に転動可能に収納され且つ前後に並列した前記ローラ33が回転自在に軸支されると共に、その前後のローラ33の枢軸間において接触式の近接センサ本体36が下向きに突設される。
【0035】
更にローラ支持ブラケット32よりも左右中央側でボデー本体31の前部下面には、
図6,
図8で明らかなように、チェーン連結用の左右各一対の連結ブラケット35が下向きに突設される。そして、各一対の連結ブラケット35間に連結ピン38pを介して連結された連結ブロック38bの前後両端部にチェーン26の一端部と他端部とがそれぞれピン連結される。かくして、実施形態では、前記した連結ブラケット35、連結ブロック38b及び連結ピン38pにより、前記連結装置Jが構成される。
【0036】
またボデー本体31の後端部には、ボデーBが後下がりの傾斜姿勢で接地したときに接地部となる接地ローラ39が回転自在に軸支され、これにより、この傾斜姿勢でボデーBの後端部が地面をスムーズに後方移動できるようになっている。
【0037】
更にセンサ装置Sは、ボデーBのスライド位置を直接、検知可能な、回転量センサRSから独立した第1~第4センサLSf,LSm,LSrを含む。
【0038】
第1センサとしての前進限センサLSfは、ボデーBのチルトフレームTに対する前進限を検知可能であり、それは、前記近接センサ本体36と、その近接センサ本体36の検知部と摺動可能に係合可能な前部ドグdfとで構成される。即ち、ボデーBが前進限に達するのと同時に、近接センサ本体36の検知部が前部ドグdfと摺接して、ボデーBの前進限への到達が近接センサ本体36で検知され、それと共に検知信号が制御装置Cに出力される。
【0039】
また中間位置センサLSmは、ボデーBをチルトフレームT上から地上に降ろすべく後方へスライドさせる途中で、チルトフレームTを上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能な第2センサとして機能するものであって、それは、近接センサ本体36と、近接センサ本体36の検知部と摺動可能に係合可能な中間ドグdmとで構成される。即ち、ボデーBがダンプ上げ開始位置に達するのと同時に、近接センサ本体36の検知部が中間ドグdmにそれの前端から摺接して、ボデーBのダンプ上げ開始位置への到達が近接センサ本体36で検知され、それと共に検知信号が制御装置Cに出力される。
【0040】
また中間位置センサLSmは、ボデーBを地上からチルトフレームT上に積み込むべく前方へスライドさせる途中で、チルトフレームTを下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能な第3センサとしても機能するものであって、それは、第2センサと同じく、近接センサ本体36と中間ドグdmとで構成される。但し、ボデーBがダンプ下げ開始位置に達するのと同時に、近接センサ本体36の検知部が中間ドグdmにそれの後端から摺接して、ボデーBのダンプ下げ開始位置への到達が近接センサ本体36で検知され、それと共に検知信号が制御装置Cに出力される。
【0041】
また第4センサとしての後退限センサLSrは、ボデーBのチルトフレームTに対する後退限を検知可能であり、それは、近接センサ本体36と、その近接センサ本体36の検知部と摺動可能に係合可能な後部ドグdrとで構成される。即ち、ボデーBが後退限に達するのと同時に、近接センサ本体36の検知部が後部ドグdrと摺接して、ボデーBの後退限への到達が近接センサ本体36で検知され、それと共に検知信号が制御装置Cに出力される。
【0042】
前部ドグdfはチルトフレームTの前端部(実施形態では軸受ブラケット21b)に、また中間ドグdmはチルトフレームTの前端寄りの中間部(実施形態では縦枠21の中間部下面に固定のブラケット21b′)に、また後部ドグdrはチルトフレームTの後端部(実施形態では縦枠21の後部下面に固定のブラケット21b″)にそれぞれ位置調節可能にボルト止めされる。
【0043】
而して、制御装置Cは、第1~第4センサLSf,LSm,LSrのうち何れかのセンサLSf,LSm,LSrで検知すべき検知位置が回転量センサRSでは検知されないのに該何れかのセンサLSf,LSm,LSrでは検知された場合には、後述するように報知手段80を報知作動させ、また、何れかのセンサLSf,LSm,LSrで検知すべき検知位置が回転量センサRSでは検知されるのに該何れかのセンサLSf,LSm,LSrでは検知されない場合にも、後述するように報知手段80を報知作動させる。
【0044】
さらに制御装置Cは、何れかのセンサLSf,LSm,LSrで検知すべき検知位置を該何れかのセンサLSf,LSm,LSrでは検知されないのに、ボデーBが該検知位置から所定距離行き過ぎた所定限界位置を回転量センサRSが検知した場合に、後述するように前後駆動装置Dおよびリフト装置Lを全停止させる。
【0045】
ところでリフト装置Lは、サブフレームFsに固定のシリンダ支持ブラケット14に一端部を相対回動可能に枢支連結p1されたリフトシリンダLcと、このリフトシリンダLcの他端部に中間部が相対回動可能に枢支連結p2されたホイストアーム40とを備える。そして、ホイストアーム40の一端部は、サブフレームFsに固定の第1アーム支持ブラケット15に相対回動可能に枢支連結p3され、またその他端部は、チルトフレームTに固定の第2アーム支持ブラケット27に相対回動可能に枢支連結p4される。
【0046】
ホイストアーム40は、リフト装置Lの作動時にチルトフレームTの角度変化よりも大きく角度変化する可動部として機能する。そして、その可動部としてのホイストアーム40の傾斜角をセンサ単体で(即ち近接センサのようなドグを必要としないで)検出可能な傾斜角センサStがホイストアーム40に固定される。この傾斜角センサStは、ホイストアーム40の傾動時に、鉛直線(即ち重力の作用方向)に対し姿勢変化するが、その姿勢変化に伴う重力加速度の変化を検出することでホイストアーム40の傾斜角を検出できるように構成される。
【0047】
実施形態のホイストアーム40は、リフトシリンダLcを左右より挟む一対の側板41と、それら側板41で挟まれた空間43をホイストアーム40の走行姿勢で上方より覆う天板42とを備える。そして、上記空間43に臨むホイストアーム40の内面に傾斜角センサStが設置され、その傾斜角センサStの検出信号は制御装置Cに出力される。
【0048】
またホイストアーム40は、これの走行姿勢(
図11(A)及び
図12を参照)で、傾斜角センサSt及びその周囲の空間43を下方より覆い且つ左右の側板41間を接続する底板45を備えている。この底板45は、車両走行時に下からの撥ね上げ物(例えば小石、水等)が傾斜角センサStに接触するのを抑制可能であり、またホイストアーム40の補強材としても機能する。
【0049】
制御装置Cは、チルトフレームT、従ってホイストアーム40が走行姿勢にあるとき(後述する
図13(a)(b)を参照)の傾斜角センサStの検出値を基準値として記憶しており、更にチルトフレームTが所定中間角度、例えば12度にあるとき(後述する
図13(c)~(e)を参照)のホイストアーム40の傾斜角度に対応した傾斜角センサStの検出値と、チルトフレームTが最大傾斜したとき(後述する
図13(f)を参照)のホイストアーム40の傾斜角度に対応した傾斜角センサStの検出値とを記憶している。そして、それら基準値と検出値とを比較することでホイストアーム40の傾斜角を算出し、その算出した傾斜角から、チルトフレームTが所定中間角度(例えば12度)或いは最大傾斜角となったことを検知できるため、この検知結果も加味して前後駆動装置Dおよびリフト装置Lの動作切替えを後述する制御態様で実行する。
【0050】
またサブフレームFs上の第1アーム支持ブラケット15には、ホイストアーム40が最大傾斜したことを検知するための近接センサ本体46が固定され、この近接センサ本体46は、ホイストアーム40の天板42に固定のドグ42dとホイストアーム40の最大傾斜時に係合することで上記検知となり、その検知信号を制御装置Cに出力する。而して、近接センサ本体46及びドグ42dにより最大傾斜検知センサLStが構成される。
【0051】
車両運搬車Vの運転室には、前後駆動装置Dおよびリフト装置Lを作動制御可能なマイクロコンピュータを含む制御装置Cを内蔵した不図示の制御盤が設置される。そして、この制御盤には、例えば、電源オンオフ用のメインスイッチSWmと、前後駆動装置Dおよびリフト装置Lを一時停止させる停止スイッチSWeと、ボデーBをチルトフレームT上から地上に降ろす降ろし行程を指令する降ろしスイッチSWoと、ボデーBを地上からチルトフレームT上に積込む積込み行程を指令する積込スイッチSWoとが、任意に操作入力可能に設けられる。これらスイッチSWm,SWe,SWo,SWoは、
図15で明らかなように、制御装置Cに各々接続される。
【0052】
制御装置Cには、前述の各種センサRS,LSf,LSm,LSr,Stが接続されて各々の検出信号を受けるようになっている。また制御装置Cには、前述のモータMや、リフトシリンダLcを伸縮作動させる車載の油圧制御回路(図示せず)に設けられる伸縮作動切換え用の電磁制御弁VL、更にはセンサ類の不調を報知するための報知手段としての報知ランプ80(
図15参照)等が接続される。
【0053】
ところでセンサ類の不調態様としては、次のような態様がある。例えば、回転量センサRSでは、センサ歯車71のドグ歯が一部欠けたり、チルトフレームTの振動衝撃等に因り一部のドグ歯を近接センサ本体70が検知ミス(即ち歯飛び)することが考えられる。また近接センサ本体70自体の故障の他、近接センサ本体70の取付位置のずれでドグ歯が検知不能となり又は検知し放しとなる事態も考えられる。
【0054】
一方、前進限センサLSf、中間位置センサLSm及び後退限センサLSrの不調態様としては、例えば、近接センサ本体36自体の故障の他、近接センサ本体36の取付位置のずれ或いはドグdf,dm,drの変形や位置ずれに因り、近接センサ本体36がドグdf,dm,drを検知不能となったり、正規位置とは異なる位置で検知してしまう事態が考えられる。
【0055】
尚、報知手段としては、報知ランプ80に代えて/又は加えて、報知ブザー、スピーカ等の報知音発生器を用いてもよい。また報知手段は、制御盤に設けてもよいし、或いは制御盤の外に設けてもよい。
【0056】
尚また、制御盤は、運転室に加えて/又は、運転室外の車両外板の適所あるいはボデーBに設けてもよい。また制御盤の少なくともスイッチ類や報知手段(報知ランプ80)は、有線式又は無線式のリモコンに設けてもよい。
【0057】
次に前記実施形態の作用を説明する。
【0058】
車両運搬車Vの車両積載装置Aにおいては、その走行姿勢では
図1,
図13(a)に例示したように、サブフレームFs上に伏倒状態のチルトフレームTが搭載され、更にそのチルトフレームT上に、前進限に在って伏倒状態のボデーBが搭載される。そして、ボデーB上に載せた他車両V′を車両運搬車Vにより運搬可能である。
【0059】
この走行姿勢からボデーB(従って、その上の他車両V′)を地上に降ろす行程が、
図13に時系列的に示される。
【0060】
その行程の概要を簡単に説明すると、先ず、前後駆動装置Dの正転によりボデーBをチルトフレームTに対し前進限より後方にスライドさせる。このスライドにより、
図13(b)に示すようにボデーBの前進限からの移動距離が所定距離に達すると、これを回転量センサRSが検知し、その検知結果に基づいて制御装置Cが前後駆動装置Dを停止させると共に、リフト装置LでチルトフレームTをボデーBと一緒に上方にダンプさせる。
【0061】
尚、ボデーBを所定距離後退させてからチルトフレームTをダンプ上げする理由は、ボデーBの重心位置を後方に偏位させることで、チルトフレームTをガイドローラ12回りにダンプ上げする際のリフト装置Lの負荷を軽減するためである。
【0062】
そして、
図13(c)に示すように、チルトフレームTの傾斜角が所定中間角度に達するのを傾斜角センサStが検知すると、その検知結果に基づいて制御装置Cがリフト装置Lを停止させると共に前後駆動装置Dの正転を再開させてボデーBを再び後方スライドさせる。
【0063】
そのボデーBの後方スライドに伴い、
図13(d)に示すようにボデーBの後端部(より具体的には接地ローラ39)が接地すると、それ以後はボデーBが地面とチルトフレームTの両方で支持された支持形態となり、その支持形態でボデーBが更に後方にスライドする。
【0064】
そして、
図13(e)に示すようにボデーBがチルトフレームTに対する後退限に達すると、これを後退限センサLSrが検知し、その検知結果に基づいて制御装置Cは、前後駆動装置Dを停止させると共に、リフト装置LによりチルトフレームTを再び上方にダンプさせる。その後、
図13(f)に示すようにチルトフレームTが最大傾斜角に達したことを傾斜角センサStが検知すると、その検知結果に基づいて制御装置Cは、リフト装置Lを停止させる。尚、このとき、チルトフレームT後端の接地ローラ52が、
図14(B)で明らかなように、接地状態に置かれる。
【0065】
尚、上記した
図13(d)~(f)の何れの段階でも、他車両V′をボデーBに積み込んだり或いはボデーBから降ろしたりすることが可能であり、その積み降ろしの場合には、ボデーB後端のゲートヒンジ37を開いておき、この場合は、ゲートヒンジ37が、他車両V′の乗り入れをスムーズにする渡り板として機能する。これに対し、他車両V′の積み降ろしを行わないで
図13(d)~(f)の行程を実行する場合には、ゲートヒンジ37は、これが開いたままだと地面と擦れて損傷する虞れがあるため、閉じ位置に保持しておく。
【0066】
また特に
図13(f)の状態では、チルトフレームTに対し後退限にあるボデーBが略水平な接地状態となるため、ボデーBへの他車両V′の乗り入れが無理なく行われる。
【0067】
尚、
図13(f)の状態から
図13(a)の状態となるまでの積込行程については、前記した降ろし行程と逆の手順を行えばよい。
【0068】
以上概要を説明した降ろし行程及び積込行程のより具体的な制御態様を、
図16~
図19のフローチャートで説明する。ここで
図16及び
図17のフローチャートは、チルトフレームTに対するボデーBの前後スライド位置の検知に回転量センサRSに加えて、近接センサ(即ち前進限センサLSf,中間位置センサLSm,後退限センサLSr)を併用した第1制御例に相当し、また
図18及び
図19のフローチャートは、チルトフレームTに対するボデーBの前後スライド位置の検知に回転量センサRSのみを用い、近接センサ(即ち前進限センサLSf,中間位置センサLSm,後退限センサLSr)を併用しない第2制御例に相当する。
【0069】
尚、回転量センサRSが検出する回転量は、ボデーBの前進限からの移動距離と換算可能であり、この移動距離は、以下の制御態様の説明において、単に「回転量センサRSの検出距離」と呼び、このときの数字の単位はミリメートルである。
【0070】
また、第2制御例に特化する実施形態の場合は、
図15に示す制御ブロック図において、近接センサ(即ち前進限センサLSf,中間位置センサLSm,後退限センサLSr)が省略される。
[第1制御例による降ろし行程]
制御盤でメインスイッチSWmが押された後、降ろしスイッチSWoが押されると、ステップS1で前後駆動装置DのモータMが正転開始して、ボデーBを後方スライドさせる。次いで、ステップS2で回転量センサRSの検出距離が1100以上か?を判断し、そこでイエスならばステップS3に進んで中間位置センサLSm(第2センサ)がオンか?を判断する。
【0071】
ステップS3でイエスならば、ステップS4に進んで回転量センサRSの検出距離が正規距離1300に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS5に進んで報知作動を解除した後、ステップS6に進んでモータMを停止させると共にリフトシリンダLcを伸長させる。次いで、ステップS7に進んで、傾斜角センサStの検出角度が所定中間角度(例えばボデーBの傾動角が12度)に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS8に進んでリフトシリンダLcを停止させると共にモータMを再度正転させてボデーBを再び後方スライドさせる。次いで、ステップS9に進んで、回転量センサRSの検出距離が4200以上か?を判断し、そこでイエスならばステップS10に進んで、後退限センサLSr(第4センサ)がオンか?を判断する。
【0072】
ステップS10でイエスならば、ステップS11に進んで回転量センサRSの検出距離が正規距離4400に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS12に進んで報知作動を解除した後、ステップS13に進んでモータMを停止させると共にリフトシリンダLcを再度伸長させる。次いで、ステップS14に進んで、傾斜角センサStの検出角度が最大傾斜角に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS15に進んでリフトシリンダLcを停止させてエンドとなる。
【0073】
ところでステップS4でノーならば、ステップS21に進んで、報知手段80を報知作動させると共に回転量センサRSの検出距離を正規距離1300に補正した後、ステップS6に戻る。
【0074】
またステップS11でノーならば、ステップS22に進んで、報知手段80を報知作動させると共に回転量センサRSの検出距離を正規距離である4400に補正した後、ステップS13に戻る。
【0075】
またステップS14でノーならば、ステップS23に進んで最大傾斜検知用近接センサLStがオンか?を判断される。ステップS23でイエスならばステップS15に進み、またノーならばステップS14に戻る。
【0076】
またステップS3でノーならば、ステップS31に進んで、回転量センサRSの検出距離が正規距離1300に達したか?を判断し、そこでイエスならばステップS32に進んで報知手段80を報知作動させた後、ステップS33に進む。ステップS33では、回転量センサRSの検出距離が限界距離1500に達したか?を判断し、そこでイエスならばステップS34に進んで、モータM及びリフトシリンダLcを全停止させる。尚、ステップS31及びステップS33でノーならば、何れもステップS3に戻る。
【0077】
またステップS10でノーならば、ステップS36に進んで、回転量センサRSの検出距離が正規距離4400に達したか?を判断し、そこでイエスならばステップS32に進んで報知手段80を報知作動させた後、ステップS37に進んで報知手段80を報知作動させてから、ステップS13に戻る。またステップS36でノーならば、ステップS10に戻る。
【0078】
以上のような降ろし行程の第1制御例では、ステップS32の後で、全停止の要否を判断するステップS33に進むが、図示しない別の制御例として、ステップS32から、ステップS33に進まないでステップS6に進む制御態様も実施可能である。この別の制御例では、ステップS3で中間位置センサLSmが非検知と判断されても、ステップS31で回転量センサRSが正規距離1300を検知するのに応じてステップS32で報知手段80を報知作動させた後、直ちにステップS6に進めることで、以後の処理手順が継続される。またステップS2及び/又はS9は、省略してもよい。
[第1制御例による積込行程]
制御盤でメインスイッチSWmが押された後、積込スイッチSWiが押されると、ステップS101でリフトシリンダLcが収縮を開始して、チルトフレームTを下方にダンプさせる。次いで、ステップS102で傾斜角センサStが中間開度(例えばボデーBの傾動角が12度)に達したか?を判断し、そこでイエスならばステップS103に進んで、リフトシリンダLcを停止させると共に、前後駆動装置DのモータMを逆転させてボデーBをチルトフレームTに対し前方へスライドさせる。
【0079】
次いでステップS104に進んで、回転量センサRSの検出距離が1500以下か?を判断し、そこでイエスならばステップS105に進んで中間位置センサLSm(第2センサ)がオンか?を判断する。ステップS105でイエスならば、ステップS106に進んで回転量センサRSの検出距離が正規距離1300に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS107に進んで報知作動を解除した後、ステップS108に進んで、モータMを停止させると共にリフトシリンダLcを再び収縮させる。
【0080】
次いで、ステップS109に進んで、傾斜角センサStの検出角度が最小角度(例えば0度)に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS110に進んで、リフトシリンダLcを停止させると共にモータMを再度逆転させてボデーBを再び前方スライドさせる。しかる後、ステップS111に進んで、回転量センサRSの検出距離が前進限手前の200以下になったか?を判断し、そこでイエスならばステップS112に進んで、前進限センサLSf(第1センサ)がオンか?を判断する。
【0081】
そして、ステップS112でイエスならば、ステップS113に進んで、リフトシリンダLcを停止させ、エンドとなる。
【0082】
ところでステップS106でノーならば、ステップS121に進んで、報知手段80を報知作動させると共に回転量センサRSの検出距離を正規距離1300に補正した後、ステップS108に戻る。
【0083】
またステップS105でノーならば、ステップS131に進んで、回転量センサRSの検出距離が正規距離1300以下となったか?を判断し、そこでイエスならばステップS132に進んで報知手段80を報知作動させた後、ステップS133に進む。ステップS133では、回転量センサRSの検出距離が限界距離1000以下となったか?を判断し、そこでイエスならばステップS134に進んで、モータM及びリフトシリンダLcを全停止させる。尚、ステップS131及びステップS133でノーならば、何れもステップS105に戻る。
【0084】
以上の積込み処理行程では、ステップS132の後で、全停止の要否を判断するステップS133に進むが、図示しない別の制御例として、ステップS132から、ステップS133に進まないでステップS108に進む制御態様も実施可能である。この別の制御例では、ステップS105で中間位置センサLSmが非検知と判断されても、ステップS131で回転量センサRSが正規距離1300を検知するのに応じてステップS132で報知手段80を報知作動させた後、直ちにステップS108に進めることで、以後の処理手順が継続される。またステップS104及び/又はS111は、省略してもよい。
[第2制御例による降ろし行程]
制御盤でメインスイッチSWmが押された後、降ろしスイッチSWoが押されると、ステップS201で前後駆動装置DのモータMが正転開始して、ボデーBを後方スライドさせる。次いで、ステップS202に進んで、回転量センサRSの検出距離が正規距離1300に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS203に進んで、モータMを停止させると共にリフトシリンダLcを伸長させる。
【0085】
次いで、ステップS204に進んで、傾斜角センサStの検出角度が所定中間角度(例えばボデーBの傾動角が12度)に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS205に進んでリフトシリンダLcを停止させると共にモータMを再度正転させてボデーBを再び後方スライドさせる。その後、ステップS206に進んで、回転量センサRSの検出距離が正規距離4400に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS207に進んで、モータMを停止させると共にリフトシリンダLcを再度伸長させる。
【0086】
しかる後、ステップS208に進んで、傾斜角センサStの検出角度が最大傾斜角に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS209に進んでリフトシリンダLcを停止させてエンドとなる。
[第2制御例による積込行程]
制御盤でメインスイッチSWmが押された後、積込スイッチSWiが押されると、ステップS211でリフトシリンダLcが収縮を開始して、チルトフレームTを下方にダンプさせる。次いで、ステップS212で傾斜角センサStが中間開度(例えばボデーBの傾動角が12度)に達したか?を判断し、そこでイエスならばステップS213に進んでリフトシリンダLcを停止させると共に、前後駆動装置DのモータMを逆転させてボデーBをチルトフレームTに対し前方へスライドさせる。
【0087】
次いでステップS214に進んで、回転量センサRSの検出距離が正規距離1300に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS215に進んで、モータMを停止させると共にリフトシリンダLcを再び伸長させる。
【0088】
次いで、ステップS216に進んで、傾斜角センサStの検出角度が最小角度(例えば0度)に達したか?を判断し、そこでイエスならば、ステップS217に進んで、リフトシリンダLcを停止させると共にモータMを再度逆転させてボデーBを再び前方スライドさせる。しかる後、ステップS218に進んで、回転量センサRSの検出距離が0になったか?を判断し、そこでイエスならばステップS219に進んでリフトシリンダLcを停止させ、エンドとなる。
【0089】
以上説明した実施形態によれば、ボデーBをチルトフレームTに対し強制スライドさせる前後駆動装置Dが、チェーン26を駆動するための回転軸としての回転駆動軸23fを有すると共に、その回転駆動軸23fの回転量を回転量センサRSで検知し、この検知した回転量に基づいてボデーBの前進限からの移動距離を演算し、且つその移動距離が所定距離となるのに応じて前後駆動装置D及びリフト装置の動作切替えを行うため、ボデーBの前進限からの移動距離を回転量センサRSできめ細かく検知可能となり、その検知結果に基づいて動作切替えが的確に行われる。
【0090】
これにより、従来構造のように複数の動作切替え位置を複数のリミットスイッチ(近接スイッチ)でピンポイント的に検知する場合と比べ、ボデーBのスライド途中でチルトフレームTが受ける振動・衝撃等に因る検知見逃しのリスク(従って上記動作切替えが実行されないリスク)を効果的に軽減可能となるため、例えば、ボデーBの降ろし動作中の検知見逃しでボデーBがダンプせずに後退限まで後方スライドしてしまう不都合や、ボデーBの積み込み動作中の検知見逃しでボデーBがダンプ状態のまま前進限まで前方スライドしてしまう不都合の抑制に効果的である。
【0091】
また実施形態のセンサ装置Sは、回転量センサRSに加えて、ボデーBの前進限を検知する第1センサとしての前進限センサLSfと、ボデーBを降ろすべく後方へスライドさせる途中でのダンプ上げ開始位置を検知する第2センサとしての中間位置センサLSmと、ボデーBを地上から積み込むべく前方へスライドさせる途中でのダンプ下げ開始位置を検知する第3センサとしての中間位置センサLSmと、ボデーBの後退限を検知する第4センサとしての後退限センサLSrとを含む。
【0092】
そして、第1~第4センサLSf,LSm,LSrのうち何れかのセンサLSf,LSm,LSrで検知すべき検知位置が回転量センサRSでは検知されないのに該何れかのセンサLSf,LSm,LSrでは検知された場合には、第1制御例(
図16のステップS21,
図17のステップS121)で明らかなように、制御装置Cが報知手段80を報知作動させる。これにより、第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかと回転量センサRSとの検知結果が不一致となる状況、特に上記検知位置が回転量センサRSでは非検知なのに第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかでは検知となる状況では報知がなされるため、回転量センサRSの不調を見つけ易くなる。
【0093】
また上記した検知位置が、回転量センサRSでは検知されるのに上記何れかのセンサLSf,LSm,LSrでは検知されない場合にも、第1制御例(
図16のステップS32,
図17のステップS132)で明らかなように、制御装置Cが報知手段80を報知作動させる。これにより、第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかと回転量センサRSとの検知結果が不一致となる状況、特に上記検知位置が回転量センサRSでは検知されるのに第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかでは非検知となる状況では報知がなされるため、第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかの不調を見つけ易くなる。
【0094】
また特に上記検知位置を、第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかでは検知されないのに、ボデーBが該検知位置から所定距離行き過ぎた所定限界位置を回転量センサRSが検知した場合には、第1制御例(
図16のステップS33及びS34,
図17のステップS133及びS134)で明らかなように、第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかと回転量センサRSとの一方に不具合が発生したものとして、前後駆動装置D及びリフト装置を自動的に全停止させる。これにより、例えば、第1~第4センサLSf,LSm,LSrの何れかが検知位置を見逃してボデーBが過剰にスライドした状況でもボデーBの前後スライド動作やチルトフレームTの傾動動作を自動停止させることができ、作業の安全性がより高められる。
【0095】
ところで実施形態のリフト装置Lは、これの作動時にチルトフレームTの角度変化よりも大きく角度変化する可動部としてのホイストアーム40を有すると共に、そのホイストアーム40に、これの傾斜角を重力加速度変化で検出する傾斜角センサStが設置され、制御装置Cは、傾斜角センサStの検出角からチルトフレームTの傾斜角が所定角度であることを検知すると、前後駆動装置Dおよびリフト装置の動作切替えを行う。
【0096】
これにより、チルトフレームTがリフト装置Lでダンプする際に、傾斜角センサStは、チルトフレームTの角度変化よりも大きく角度変化するホイストアーム40の傾斜角を重力加速度変化に基づき検出可能となるため、その検出角から、チルトフレームTの傾斜角が上記動作切替えを行うべき所定角度であることを精度よく検知可能となる。しかも傾斜角センサStは、これ単体をホイストアーム40に単に取付けるだけでよいから、ドグおよびセンサ本体の2部品を有する近接センサを用いた従来構造と比べ、取付作業が頗る簡素化され、2部品相互の微調整作業も不要となる。以上の結果、重力加速度変化を利用した傾斜角センサStの利点を生かしながら、その欠点も克服できて、チルトフレームTの傾斜角を十分な精度で検知可能となる。
【0097】
さらに実施形態のホイストアーム40は、リフトシリンダを左右より挟む一対の側板41と、それら側板41で挟まれた空間43をホイストアーム40の走行姿勢で上方より覆う天板42とを備えていて、その空間43に臨むホイストアーム40の内面に傾斜角センサStが設置されるため、ホイストアーム40の強度を得るための天板42および両側板41が傾斜角センサStの雨除けカバーに兼用できる。これにより、傾斜角センサStを覆う専用の雨除けカバーが不要となり、それだけコスト節減が図られる。
【0098】
ところでチルトフレームTは、これの縦枠21が、
図6及び
図7で明らかなようにサブフレームFs後部に軸支したガイドローラ29上と、サブフレームFs前部の横フレーム上とにそれぞれ接離可能に載置されるため、振動・衝撃によりチルトフレームTが振れ易い傾向があり、従ってその傾斜角度も振れ易くなっている。これに対し、リフト装置LのリフトシリンダLcやホイストアーム40は、各々の基端がサブフレームFsに枢支連結p1,p3されるため、各々の傾斜角度が振れにくい。そのため、ホイストアーム40に固定の傾斜角センサStは、チルトフレームTに近接センサ本体を設けた傾斜角センサよりも、より正確に傾斜角度を検出可能である。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0100】
例えば、前記実施形態では、第1~第4センサLSf,LSm,LSrのうち何れかのセンサLSf,LSm,LSrで検知すべき検知位置が、回転量センサRSでは検知されないのに該何れかのセンサLSf,LSm,LSrでは検知された第1の場合、並びに回転量センサRSでは検知されるのに該何れかのセンサLSf,LSm,LSrでは検知されない第2の場合の何れの場合でも、制御装置Cが報知手段80を報知作動させるものを示したが、本発明では、第1の場合には報知作動させるが、第2の場合には報知作動させないようにしてもよく、或いはその逆に、第2の場合には報知作動させるが、第1の場合には報知作動させないようにしてもよい。
【0101】
また前記実施形態では、中間位置センサLSmが、第2センサ(即ち降ろし過程のスライド途中で、チルトフレームTを上方にダンプさせるダンプ上げ開始位置を検知可能なセンサ)と、第3センサ(即ち積込み過程のスライド途中で、チルトフレームTを下方にダンプさせるダンプ下げ開始位置を検知可能なセンサ)とに兼用されるものを示したが、第2,第3センサを別々のセンサとして実施してもよい。
【0102】
また前記実施形態では、第1センサとしての前進限センサLSfと、第2・第3センサとしての中間位置センサLSmと、第4センサとしての後退限センサLSrとを何れも用いたものを示したが、これらセンサLSf,LSm,LSrを全て省略した別の実施形態(即ち
図18,
図19に示す第2制御例)も実施可能であり、或いはまた、これらセンサLSf,LSm,LSrの少なくとも1つだけを用いた更に別の実施形態も実施可能である。
【0103】
また前記実施形態では、回転量センサRSが回転量を検出する回転軸として、モータMに同軸配置されて直結駆動される回転駆動軸23fを例示したが、本発明の回転軸としては、モータMと同軸配置されない回転駆動軸23f(即ちモータに連動機構を介して連動回転する回転駆動軸)であってもよく、或いは、少なくともチェーン26と連動回転する他の回転軸、例えばチルトフレームTの後端部に位置する回転従動軸23rや、チルトフレームTの前後中間に位置してチェーン26と連動回転する中間スプロケット付き中間軸であってもよい。
【0104】
また前記実施形態では、回転量センサRSを、センサ歯車71と、これのドグ歯の接近を検知するセンサ本体70とで構成したものを示したが、回転量センサRSとしてロータリエンコーダを使用してもよく、その場合はドグ歯(センサ歯車)は不要となる。
【符号の説明】
【0105】
B・・・・・ボデー
C・・・・・制御装置
D・・・・・前後駆動装置
F・・・・・車体
L・・・・・リフト装置
LSf・・・第1センサとしての前進限センサ
LSm・・・第2,第3センサとしての中間センサ
LSr・・・第4センサとしての後退限センサ
RS・・・・回転量センサ
S・・・・・センサ装置
St・・・・傾斜角センサ
T・・・・・チルトフレーム
V・・・・・車両運搬車
V′・・・・他車両
23f・・・回転軸としての回転駆動軸
26・・・・チェーン
80・・・・報知手段としての報知ランプ