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特開2022-18600マイクロホン装置、マイクロホン装置に取り付けられる部品、及び方法
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  • 特開-マイクロホン装置、マイクロホン装置に取り付けられる部品、及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018600
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】マイクロホン装置、マイクロホン装置に取り付けられる部品、及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20220120BHJP
   H04R 1/34 20060101ALI20220120BHJP
   G10K 11/28 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H04R1/00 321
H04R1/34 320
G10K11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121818
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000204608
【氏名又は名称】大下産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】益田 栄壮
【テーマコード(参考)】
5D018
【Fターム(参考)】
5D018BB01
(57)【要約】
【課題】マイクロホン装置に向けて声が発せられた場合に出た飛沫などの唾の類が前方側に居る他人の側に飛んで行くのが抑制されて前記他人がコロナウイルス等に感染し難くなるマイクロホン装置を提供する。
【解決手段】板体を具備するマイクロホン装置であって、前記板体は前記マイクロホン装置に対して発音者が発した音を自身の側に反射するマイクロホン装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板体を具備するマイクロホン装置であって、
前記板体は前記マイクロホン装置に対して発音者が発した音を自身の側に反射する
マイクロホン装置。
【請求項2】
板体を具備してなるマイクロホン装置であって、
前記板体は前記マイクロホン装置の長手方向に対して交差する方向に面を有する
マイクロホン装置。
【請求項3】
板体を具備してなるマイクロホン装置であって、
前記板体は前記マイクロホン装置の長手方向に略平行な方向に面を有する
マイクロホン装置。
【請求項4】
前記板体は前記マイクロホン装置のマイクロホンユニットを内蔵しているケースに取り付けられてなる
請求項1~請求項3いずれかのマイクロホン装置。
【請求項5】
前記板体は前記マイクロホン装置のグリップに取り付けられてなる
請求項1~請求項3いずれかのマイクロホン装置。
【請求項6】
前記板体は貫通孔を有してなり、
前記マイクロホン装置の前記貫通孔への挿入により前記マイクロホン装置と前記板体との接合で両者が結合されてなる
請求項1~請求項5いずれかのマイクロホン装置。
【請求項7】
前記貫通孔の周辺の前記板体にはスリットが設けられてなる
請求項6のマイクロホン装置。
【請求項8】
前記スリットが渦巻放射状である
請求項7のマイクロホン装置。
【請求項9】
前記板体が湾曲面を有する板体である
請求項1~請求項8いずれかのマイクロホン装置。
【請求項10】
前記板体は主面と交差面とを具備し、
前記交差面が前記主面に対して交差している
請求項1~請求項9いずれかのマイクロホン装置。
【請求項11】
前記板体は、
略矩形状面部と、
前記矩形状面部に近い側の縁部に略円弧形状が構成されてなる略円弧形状面部と、
爪と、
前記爪が掛止する孔
とを具備してなり、
前記略矩形状面部と前記略円弧形状面部とは一部において繋がっており、
前記爪は前記略円弧形状面部(又は前記略矩形状面部)に設けられており、
前記孔は前記略矩形状面部(又は前記略円弧形状面部)に設けられており、
前記略矩形状面部と略円弧形状面部との境界で折り曲げられて前記爪が前記孔に挿入・掛止される事によって、前記略矩形状面部が湾曲面になると共に前記略円弧形状面部が庇となる
請求項1~請求項10いずれかのマイクロホン装置。
【請求項12】
前記板体が略ドーム形状体である
請求項1~請求項9いずれかのマイクロホン装置。
【請求項13】
マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、
前記部品は板体であり、
前記板体は前記マイクロホン装置が挿入・配置される貫通孔を具備する
マイクロホン装置に取り付けられる部品。
【請求項14】
前記貫通孔の周辺の前記板体にはスリットが設けられてなる
請求項13のマイクロホン装置に取り付けられる部品。
【請求項15】
前記スリットが渦巻放射状である
請求項14のマイクロホン装置に取り付けられる部品。
【請求項16】
前記板体は主面と交差面とを具備し、
前記交差面が前記主面に対して交差している
請求項13~請求項15いずれかのマイクロホン装置に取り付けられる部品。
【請求項17】
前記板体が略ドーム形状体である
請求項13~請求項15いずれかのマイクロホン装置に取り付けられる部品。
【請求項18】
マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に口から出た少なくとも一部の飛沫の前方への飛散が抑制される方法であって、
請求項1~請求項12いずれかのマイクロホン装置が用いられる
方法。
【請求項19】
マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に口から出た少なくとも一部の飛沫の前方への飛散が抑制されて他人への病原菌の感染が抑制される方法であって、
請求項1~請求項12いずれかのマイクロホン装置が用いられる
方法。
【請求項20】
上手に歌えるようになる方法であって、
請求項1~請求項12いずれかのマイクロホン装置が用いられる
方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音響信号が電気信号に変換される装置が、一般的には、マイクロホン(マイクロホン装置)と謂われている。前記装置を更に細かく見ると、音響信号が機械的信号に変換される部分(例えば、振動板(diaphragm)や是を支える支持体)と、機械的信号が電気信号に変換される部分とに分けられる。前記装置(マイクロホン)には音響-電気変換方式の違いから各種のマイクロホンが有る。例えば、炭素マイクロホン、コンデンサ(静電型)マイクロホン、クリスタルマイクロホン、セラミックマイクロホン、動電型マイクロホン、電磁型マイクロホンと言った圧力マイクロホンが知られている。前記音響-電気変換方式の違いが有るものの、前記マイクロホン装置の概略図が図5に示される。図5中、1はマイクロホン(マイクロホン装置)である。2は上部ケース、3はヘッドリング、4は下部ケース、5はネックリング、6はグリップ、7はケーブルである。ワイヤレス型マイクロホンの場合にはケーブル7が無い。上部ケース2及び下部ケース4は、例えば網で構成されている。上部ケース2とヘッドリング3と下部ケース4とによって外形が卵形のヘッドケースが構成されている。このヘッドケース内にマイクロホンユニット(図示せず)が内蔵されている。口から発せられた音(音波)は、ヘッドケース(上部ケース2や下部ケース4)を構成している前記網(例えば、金属製網)の網間(網を構成する線材と線材との間)から内部に入る。ヘッドケース内に入った音波は前記マイクロホンユニットの振動板(膜)を作動させて電気信号に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2016-134878A
【特許文献2】JP2020-72386A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
数人の友人と一緒にカラオケ店に行き、マイクロホン(マイクロホン装置:拾音機:収音機)を手にして歌う事が行われている。カラオケ店に数人が集まって歌う事は楽しみの一つである
【0005】
コロナウイルスが蔓延している今日、カラオケ店に行く事の自粛が求められている。理由はコロナウイルス患者がカラオケ店で発生しているからである。カラオケ店でコロナウイルス患者が発生するのは、カラオケ店で歌っていると、当然、口から唾などの飛沫が前方に居る他人の側に飛散する。歌っている者がコロナウイルスに感染していると、他人に向かって撒き散らされたコロナウイルスによって前記他人は感染する。
【0006】
本発明が解決しようとする第1の課題は、マイクロホン装置に向けて声が発せられた場合に出た飛沫などの唾の類が前方側に居る他人に飛んで行くのが抑制される技術を提供する事である。唾の類が飛んで行くのが抑制される事はコロナウイルスに感染し難くなる事に繋がる事は容易に理解されるであろう。
【0007】
カラオケ店で歌う事は楽しいものの、歌が下手な者には、友人と一緒にカラオケ店に行くのが苦痛であるとも言える。従って、歌が下手な者は上手に歌える事が出来るようになればと常に思っている。
【0008】
本発明が解決しようとする第2の課題は、上手に歌えるようになる技術を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
板体を具備するマイクロホン装置であって、
前記板体は前記マイクロホン装置を持っている者が発した声を自身の側に反射する
マイクロホン装置を提案する。
【0010】
本発明は、
板体を具備するマイクロホン装置であって、
前記板体の板面が前記マイクロホン装置に対して交差している
マイクロホン装置を提案する。
【0011】
本発明は、
マイクロホン装置の長手方向(主軸)に対して交差する方向に面を有する板体を具備する
マイクロホン装置を提案する。
【0012】
本発明は、
板体を具備してなるマイクロホン装置であって、
前記板体は前記マイクロホン装置の長手方向(主軸)に対して交差する方向に面を有する
マイクロホン装置を提案する。
【0013】
本発明は、
マイクロホンユニットとケースとを具備して前記マイクロホンユニットが前記ケースに内蔵されているマイクロホン装置であって、
前記マイクロホン装置は該マイクロホン装置の長手方向(主軸)に対して交差する方向に面を有する板体を具備する
マイクロホン装置を提案する。
【0014】
本発明は、
板体を具備してなるマイクロホン装置であって、
前記板体は前記マイクロホン装置の長手方向(主軸)に略平行な方向に面を有する
マイクロホン装置を提案する。
【0015】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は前記マイクロホン装置のマイクロホンユニットを内蔵しているケースに取り付けられてなるマイクロホン装置を提案する。
【0016】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は前記ケースに取り付けられてなるマイクロホン装置を提案する。
【0017】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は前記マイクロホン装置のグリップに取り付けられてなるマイクロホン装置を提案する。
【0018】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は貫通孔を有してなり、前記マイクロホン装置の前記貫通孔への挿入により前記マイクロホン装置と前記板体との接合で両者が結合されてなるマイクロホン装置を提案する。
【0019】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は貫通孔を有してなり、前記マイクロホン装置の前記貫通孔への挿入により前記マイクロホン装置と前記板体との摩擦接合で両者が結合されてなるマイクロホン装置を提案する。
【0020】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記貫通孔の周辺の前記板体にはスリットが設けられてなるマイクロホン装置を提案する。
【0021】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記スリットが放射状であるマイクロホン装置を提案する。
【0022】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記スリットが渦巻放射状であるマイクロホン装置を提案する。
【0023】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体が湾曲面を有する板体であるマイクロホン装置を提案する。
【0024】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は主面と交差面とを具備し、前記交差面が前記主面に対して交差しているマイクロホン装置を提案する。
【0025】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記主面が湾曲面を有するマイクロホン装置を提案する。
【0026】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は、略矩形状面部と、前記矩形状面部に近い側の縁部に略円弧形状が構成されてなる略円弧形状面部と、爪と、前記爪が掛止する孔とを具備してなり、前記略矩形状面部と前記略円弧形状面部とは一部において繋がっており、前記爪は前記略円弧形状面部(又は前記略矩形状面部)に設けられており、前記孔は前記略矩形状面部(又は前記略円弧形状面部)に設けられており、前記略矩形状面部と略円弧形状面部との境界で折り曲げられて前記爪が前記孔に挿入・掛止される事によって前記略矩形状面部が湾曲面になると共に前記略円弧形状面部が庇となるマイクロホン装置を提案する。
【0027】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体が略ドーム形状体であるマイクロホン装置を提案する。
【0028】
本発明は、前記マイクロホン装置であって、前記板体は透明材で構成されてなるマイクロホン装置を提案する。
【0029】
本発明は、
マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、
前記部品は板体であり、
前記板体は前記マイクロホン装置が挿入・配置される貫通孔を具備する
マイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0030】
本発明は、
マイクロホンユニットとケースとを具備して前記マイクロホンユニットが前記ケースに内蔵されているマイクロホン装置に取り付けられる部品であって、
前記部品は板体であり、
前記板体は前記マイクロホン装置が挿入・配置される貫通孔を具備する
マイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0031】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記マイクロホン装置の前記貫通孔への挿入により前記マイクロホン装置と前記板体との接合で両者が結合されるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0032】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記マイクロホン装置の前記貫通孔への挿入により前記マイクロホン装置と前記板体との摩擦接合で両者が結合されるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0033】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記貫通孔の周辺の前記板体にはスリットが設けられてなるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0034】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記スリットが放射状であるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0035】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記スリットが渦巻放射状であるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0036】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記板体が湾曲面を有する板体であるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0037】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記板体は前記マイクロホン装置のマイクロホンユニットに向けて発せられる声を自身の側に反射させる板体であるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0038】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記板体は主面と交差面とを具備し、前記交差面が前記主面に対して交差しているマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0039】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記主面が湾曲面を有するマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0040】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記板体は、略矩形状面部と、前記矩形状面部に近い側の縁部に略円弧形状が構成されてなる略円弧形状面部と、爪と、前記爪が掛止する孔とを具備してなり、前記略矩形状面部と前記略円弧形状面部とは一部において繋がっており、前記爪は前記略円弧形状面部(又は前記略矩形状面部)に設けられており、前記孔は前記略矩形状面部(又は前記略円弧形状面部)に設けられており、前記略矩形状面部と略円弧形状面部との境界で折り曲げられて前記爪が前記孔に挿入・掛止される事によって前記略矩形状面部が湾曲面になると共に前記略円弧形状面部が庇となるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0041】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記板体が略ドーム形状体であるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0042】
本発明は、前記マイクロホン装置に取り付けられる部品であって、前記板体は透明材で構成されてなるマイクロホン装置に取り付けられる部品を提案する。
【0043】
本発明は、
マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に口から出た少なくとも一部の飛沫の前方への飛散が抑制される方法であって、
前記マイクロホン装置が用いられる
方法を提案する。
【0044】
本発明は、
マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に口から出た少なくとも一部の飛沫の前方への飛散が抑制されて他人への病原菌の感染が抑制される方法であって、
前記マイクロホン装置が用いられる
方法を提案する。
【0045】
上手に歌えるようになる方法であって、
前記マイクロホン装置が用いられる
方法を提案する。
【発明の効果】
【0046】
マイクロホン装置に板体が設けられている。例えば、マイクロホン装置の長手方向(主軸)に対して交差する方向に面を有する板体を具備する。或いは、マイクロホン装置の長手方向(主軸)に略平行な方向に面を有する板体を具備する。従って、発声者(話者:歌者)自身の口から発せられた声(音波)は、前記板体によって、直ちに、反射される。尚、前記板体が、前記長手方向(主軸)に対して交差する方向に面を有する板体であるマイクロホン装置であるか、長手方向(主軸)に略平行な方向に面を有する板体であるかによって、発声者(話者:歌者)がマイクロホン装置の持ち方を違えれば、マイクロホン装置のマイクロホンユニットに向けて発せられた声(音波)は前記板体によって発声者(話者:歌者)自身の側に反射される。この直ちに反射した声(音波)が遅滞なく自身の耳に到達する。
例えば、マイクロホン装置を持って歌っている室の壁と前記板体とを比較すると、[(前記板体と自身の耳との間の距離)<(前記壁と自身の耳との間の距離)]が成立している。従って、前記壁で反射して発声者(話者:歌者)自身の耳に到達する音よりも、前記板体で反射して発声者(話者:歌者)自身の耳に到達する音の方が早く聞こえる。かつ、前記壁から反射して発声者(話者:歌者)自身の耳に到達する音は、距離が長い分だけ、減衰が大きい。前記板体から反射して発声者(話者:歌者)自身の耳に到達する音は、距離が短い分、減衰が少ない。よって、前記板体から反射して発声者(話者:歌者)自身の耳に到達する音は、大きく、かつ、早く認識できる。
ところで、発声者(話者:歌者)自身は、自身の体内を伝わって来る自身が発した声(音)信号も認識している。歌が余り上手でない者は、通常、発声者(話者:歌者)自身の体内を伝わって来る声(音)信号を、前記壁で反射して自身の耳に到達する声(音)信号よりも大きく認識している。
周囲の者は、発声者(話者:歌者)が発した直接音や壁で反射された反射音を聞いている。周囲の者は、発声者の体内を伝わって来る声(音)信号を聴く事は無い。当然であろう。すなわち、周囲に居る聴音者は前記反射音を聴いている。この反射音が正しい音程・メロディであれば、上手に歌われていると言う事である。
歌が上手と謂われている者は、発声者(話者:歌者)自身の体内を伝わって来る自身が発した声(音)信号よりも前記反射音を聴き取って歌(歌い方)を制御している。これに対して、所謂、音痴と謂われる者は、自身の体内を伝わって来た声(音)信号を聴いて制御している。つまり、音痴と謂われる者は、周囲の者が聴いている音とは違った音を聴き取って歌(歌い方)を制御している。
よって、正しく歌おうとすると、前記反射音を聴き取る訓練がなされなければならない。
さて、本発明のマイクロホン装置が用いられたならば、発声者(話者:歌者)自身が発した音(声)は自身に近い存在である前記板体で反射される為、前記反射音(声)を、スピーディ、かつ、大きく聴き取る事が可能になる。従って、発声者(話者:歌者)は自身の体内を伝わって来た自身が発した声(音)信号に負けないで前記反射音を認識できる。周囲の者が聴いている音(声)と同様な音(声)を発声者(話者:歌者)は認識する事になるので、歌を歌う制御が正しく行われるようになり、歌が上達する。
【0047】
本発明のマイクロホン装置が用いられた場合、マイクロホン装置に向けて声が発せられた場合に出た飛沫などの唾の類は前記板体で前方に飛ぶのが抑制(例えば、防止)される。つまり、発声者(話者:歌者)の口から出た唾の類は前方側に居る他人に到達するのが効果的に抑制される。他人の唾などが顔に飛んで来た場合は非常に嫌なものである。前記マイクロホン装置が用いられた場合、このような嫌悪感を感じさせ難い事は理解されるであろう。
【0048】
最近のコロナウイルス騒動にあっては、飛沫感染が心配されている。これはコロナウイルスに限られない、インフルエンザや風邪の場合も同じである。従って、カラオケ店で歌う事の自粛が求められている。特にコロナウイルス感染が心配されている今日では、カラオケ店の営業自粛が求められている。
さて、本発明のマイクロホン装置が用いられた場合、マイクロホン装置に向けて声が発せられた場合に出た飛沫などの唾の類は前記板体で前方に飛ぶのが抑制(例えば、防止)される。発声者(話者:歌者)の口から出た唾の類は前方側に居る他人に到達するのが抑制(例えば、防止)される。従って、発声者の唾液中に存在しているコロナウイルスやインフルエンザウイルス等のウイルスやその他の病原菌に感染する事が効果的に抑制(例えば、防止)される。
【0049】
前記板体はマイクロホン装置に設けられている。発声者(話者:歌者)はマイクロホン装置(例えば、グリップ)を手にしている。しかも、発声者(話者:歌者)はマイクロホンユニットが内蔵されている部分を口に近づけて歌う。マイクロホン装置に前記板体が設けられていると、前記板体の面積が小さくても、前記板体によってマイクロホン装置に向けて声が発せられた場合に出た飛沫などの唾の類が前方に飛ぶのは抑制される。口から出た飛沫は拡散して行くから、口から遠くなればなる程、それを遮る板体は大きくならざるを得ない。この意味からも、板体がマイクロホン装置に取り付けられていると、板体の面積が小さくて済むから、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明になるマイクロホン装置の側面図
図2】本発明になる部品(板体)の展開図
図3】本発明になる部品(板体)の斜視図
図4】本発明になる他の例のマイクロホン装置の側面図
図5】従来のマイクロホン装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0051】
第1の本発明はマイクロホン装置である。前記マイクロホン装置はマイクロホンユニットを具備する。前記マイクロホンユニットは音響信号が機械的信号に変換される装置である。前記マイクロホンユニットは、一般的には、振動板(diaphragm)を具備する。前記マイクロホンユニットは、一般的には、前記振動板(diaphragm)を支える支持体を具備する。前記マイクロホンユニットは、音響信号を機械的信号に変換する装置のみでなく、機械的信号を電気信号に変換する装置を具備していても良い。勿論、前記各々の装置が近傍に配置されていても遠く離れて配置されていても良い。前記マイクロホン装置はケースを具備する。音響信号を機械的信号に変換する装置(前記マイクロホンユニット)は前記ケースに内蔵されている。機械的信号を電気信号に変換する装置は前記ケースには内蔵されておらず、別部位に配置されていても差し支えない。前記ケース内に内蔵されている前記マイクロホンユニットによって、音響信号が機械的信号に変換される。従って、声(音波)が前記ケース内に入って行く事が出来るように、前記ケースは貫通孔を有してなければならない。前記ケースが網(例えば、金網または樹脂製網)で構成されていた場合には、網を構成する線材と線材との間の間隙が前記貫通孔になる。網であるから、声(音波)は前記ケース内に入って行く事が出来る。所望の形状に樹脂その他の素材で成形されたケースに多数の貫通孔が設けられたタイプであっても良い事は勿論である。前記ケースは内外が連通している構造で有れば良い。前記ケースの形状には格別な限定は無い。ハンド型マイクロホンにあっては、前記ケースは、例えば卵形状、或いは円筒形状、又は中央部分が膨らんだ円筒形状などが多い。角筒状体のものもある。前記ケースは、一般的には、先端側ケース体(上部ケース:ケース半体:ケース一部体:使用者(発声者とか歌者)の口に近い側のケース体)と基端側ケース体(下部ケース:ケース半体:ケース残部体:使用者(発声者とか歌者)の口から遠い側のケース体)とがリング体(例えば、中央リング体)で連結されたタイプが多い。勿論、ケースは半体同士が連結されるタイプでは無く一体タイプであっても良い。本発明のマイクロホン装置は板体を具備する。前記板体は前記マイクロホン装置の長手方向に対して交差する方向に延びた板体である。又は、前記板体は前記マイクロホン装置の長手方向に略平行な方向に延びた板体である。前記板体が前記長手方向に対して交差する方向に在るか略平行な方向の面を有するかの違いによつて、前記マイクロホン装置の持ち方(向き)が変えられる。前記板体は、例えば前記ケースに取り付けられている。前記板体の取付位置は前記ケース位置でなくても良い。例えば、前記マイクロホン装置のグリップでも良い。前記板体は前記ケースに取り付けられるのが好ましい。前記グリップに取り付けられるよりも前記ケースに取り付けられた方が使用者(発声者とか歌者)の口に近いからである。前記板体は使用者(発声者とか歌者)の口から発せられた音(声)を反射させる。この意味で、前記板体は反射体(反射板)である。板体は二次元平面的なものに限られない。三次元立体構造体のものも含んでいる。前記板体は使用者(発声者とか歌者)の口から出た飛沫が前方側に飛ぶのを阻止する。この意味で、前記板体は遮蔽体(遮蔽板)である。前記遮蔽体(遮蔽板)は飛沫が前方側に広く拡散する前に前記飛沫を反射する。飛沫の前方側への拡散が抑制される。前記板体は着脱可能(自在)型でも固定型でも良い。しかし、前記板体を後からマイクロホン装置に取り付ける事が出来る着脱構造であるのが好ましい。
【0052】
前記板体は、好ましくは、樹脂製である。勿論、樹脂に限られず、Al,Mg等の軽量金属素材で構成されていても良い。しかし、ハンド型マイクロホン装置の場合には、軽量性の観点から、樹脂製が好ましいであろう。かつ、樹脂であれば、透明樹脂を用いる事が出来る。マイクロホンに向かって声を発している時、マイクロホンの前方側(マイクロホンユニットを境にして使用者(発声者とか歌者)の口から遠い側)が見えない場合、やはり、違和感を感じる。従って、透明材で出来ている事が好ましい。透明材としては無機ガラスも有るが、是は破損し易い。よって、透明有機樹脂製である事が好ましいであろう。
【0053】
前記マイクロホン装置に前記板体が設けられている。前記板体を前記ケースや前記グリップに取り付ける為には、特に、前記板体を前記マイクロホンに後付けで取り付ける為には、前記板体が孔(貫通孔)を具備している事が好ましい。前記ケース(又はグリップ)の外形に殆ど同じ内形の孔が前記板体に設けられておれば、前記板体の孔に前記ケース(又はグリップ)を嵌めるのみで、前記板体は前記マイクロホン装置に取り付けられる。前記マイクロホン装置の前記貫通孔への挿入により、前記マイクロホン装置と前記板体との接合で両者が結合される。前記マイクロホン装置と前記板体との間での摩擦接合で両者がしっかり結合(一体化)される。
【0054】
前記貫通孔の周辺の前記板体にはスリットが設けられている。特に、複数本(2本以上。例えば、4本)のスリットが略等間隔で設けられている。前記スリットの方向は、前記孔が円形であるとした場合、動径(放射)方向でも良いが、好ましくは渦巻放射状である。複数本の渦巻放射状スリットが形成されていた場合、かつ、前記貫通孔の径が前記ケース(又はグリップ)の径より僅かに小さいと、格別な治具が無くても、前記板体が前記マイクロホン装置にしっかりと固定される。
【0055】
前記板体によって発せられた声(音波)が自身の側に効率良く反射されるようにする為、又、自身の口から飛び出した飛沫がマイクロホンの前方側に飛散するのを効果良く阻止できるようにする為、前記板体の面(特に、前記板体の主面)は湾曲面である事が好ましい。例えば、左右方向において湾曲している事が好ましい。例えば、前記板体が装着されたマイクロホン装置の前記ケース(前記マイクロホンユニット)を自身の顔(口)に近付けた場合、前記板体の面(特に、前記板体の主面)は自身の顔に沿った湾曲面である事が好ましい。勿論、前記顔の形状は人によって相違するから、前記湾曲面は概略湾曲しておれば良いと言った程度である。湾曲が顔に沿った湾曲であれば良いと言った程度である。つまり、前記マイクロホン装置に取り付けられている板体の湾曲は、板体の中央部側が前方側に突出した湾曲である。前記湾曲は円弧形状でも楕円弧形状でも良い。
【0056】
前記板体の大きさは適宜決められる。しかし、小さ過ぎた場合には、例えば飛沫飛散を抑制する効果が小さいであろう。逆に、大き過ぎた場合には、マイクロホンを扱い難くなるであろう。斯かる観点から、前記板体が平面に投影された場合の平面視での大きさが次のような寸法であろう。例えば、左右方向の長さが10~40cm(より好ましくは15cm以上。より好ましくは、30cm以下。)程度、上下方向の長さが5~40cm(より好ましくは10cm以上。より好ましくは、20cm以下。)程度であろう。
【0057】
前記板体は交差面を有する事が好ましい。前記交差面とは、前記板体の主面に対して、交差する面である。前記主面は使用者(発声者とか歌者)の口から発せられた音(声)を反射させる面である。前記交差面は、恰も、庇の如き存在である。例えば、前記板体主面の上端縁に沿って庇の如きの交差面が有ると、使用者(発声者とか歌者)の口から出た飛沫が前記板体を乗り越えて前方に飛散して行くのが抑制される。前記板体の主面が湾曲していると、使用者(発声者とか歌者)の口から出た飛沫は前記湾曲に沿ってガイドされるであろうから、前方側への飛散が抑制される。
【0058】
前記板体は、前述した通り、二次元平面的なものでも、三次元立体的な物でも良い。平板が湾曲状に曲げられた形状は、厳密には、三次元形状である。しかし、ここで三次元立体的な形状とは、例えばドーム形状のような形状である。本明細書において、略ドーム形には、ドーム形、略半球形、略1/4球形、略半楕円体形、略1/4楕円体形が含まれる。前記略ドーム形状の大口開口部の大きさは、半径が5~20cm程度、前記略ドーム形状の大口開口面に対して垂直方向の長さが2~10cm程度である。前記略ドーム形状体の前記マイクロホン装置への取付方は、前記略ドーム形状体の大口開口面が使用者(発声者とか歌者)の口に対向する向きである。斯かる略ドーム形状体がマイクロホン装置に取り付けられていると、使用者(発声者とか歌者)の口から出た飛沫は、前記略ドーム形状体の内部に入り、他人が居る前方に飛散して行くのが抑制される。
【0059】
前記板体は、前述した通り、一般的には、前記マイクロホン装置の長手方向に対して交差する方向に面を有する。しかし、マイクロホン装置の持ち方によっては、前記マイクロホン装置の側方に板体が設けられたタイプでも良い。例えば、マイクロホン装置のグリップを上下方向に立てて持った場合、マイクロホン装置のマイクロホンユニットを挟んでマイクロホン装置の使用者(話者:歌者)とは反対側の位置に面(反射面:誘導面)が有れば、前記面で以って前記使用者(話者:歌者)が口から発した声(音)や飛沫は自身の側に反射(誘導)される。例えば、折り曲げ前が凸状板であって、是が折り曲げられて水平面部と垂直面部とを具備する断面略L形状の板体であって、前記水平面部には前記マイクロホン装置のグリップ(又はマイクロホンユニットを内蔵しているケース)が挿入掛止される貫通孔が形成されてなる板体が用いられても良い。この場合には、前記垂直面部が反射面となる。前記垂直面部がマイクロホン装置を囲うように湾曲していても良い。
【0060】
第2の本発明はマイクロホン装置に取り付けられる部品である。前記部品は前記板体である。前記板体は貫通孔を具備する。前記貫通孔の存在によって、前記板体を前記マイクロホン装置に取り付ける事が出来る。前記板体の形状や材質などは上述されている。ここでの詳細は省略される。
【0061】
第3の本発明は方法である。前記方法は飛沫感染抑制方法である。前記方法は前記マイクロホン装置が用いられる方法である。前記方法は、マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に、口から出た少なくとも一部の飛沫の前方への飛散が抑制されて他人への感染が抑制される方法である。前記方法にあっては、前記マイクロホン装置のマイクロホンユニットの近傍(又は、マイクロホンユニットより前方側(向こう側:マイクロホンユニットを境にして、マイクロホン装置の使用者(話者:歌者)とは反対側(遠い側))に板体が設けられたマイクロホン装置が用いられる。前記板体は前述の板体でも良い。前記マイクロホン装置が用いられた場合、前記マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に口から飛び散った飛沫の少なくとも一部はマイクロホン装置の前方側(マイクロホン装置を境にしてマイクロホン装置の使用者(話者:歌者)とは反対側:他人側)に飛んで行くのが抑制(例えば、阻止)される。前記使用者(話者:歌者)がコロナウイルスやインフルエンザ等のウイルス保菌者の場合、前記飛沫中に前記ウイルスが含まれている確率は高い。そのようなウイルスが含まれている飛沫が飛んで来ると、そのウイルスに感染するおそれが高いであろう。前記飛沫が飛んで来なければ、前記前方側に居る他人を飛沫感染させるのが抑制されるであろう。前記板体がマイクロホン装置に取り付けられていない場合には、マイクロホン装置を使用して声を発するに先立って前記板体を前記マイクロホン装置の前記位置に取り付ける。この後で前記マイクロホン装置が用いられる。
【0062】
第4の本発明は方法である。前記方法は飛沫飛散抑制方法である。前記方法は前記マイクロホン装置が用いられる方法である。前記方法は、マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に、口から出た少なくとも一部の飛沫の前方への飛散が抑制される方法である。前記方法にあっては、前記マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に口から出た少なくとも一部の飛沫が前記マイクロホン装置のマイクロホンユニットの近傍あるいはマイクロホンユニットより前方側(向こう側:マイクロホンユニットを境にして、マイクロホン装置に向かって声を発している者とは反対側(遠い側))に板体が設けられたマイクロホン装置が用いられる。前記板体は前述の板体でも良い。このマイクロホン装置が用いられた場合、前記マイクロホン装置に向かって声が発せられた際に口から飛び散った飛沫の少なくとも一部はマイクロホン装置の前方側(マイクロホン装置を境にしてマイクロホン装置の使用者(話者:歌者)とは反対側:他人側)に飛んで行くのが抑制(例えば、阻止)される。前記前方側に居る他人に唾が飛んで行き難くなる。前記板体がマイクロホン装置に取り付けられていない場合には、マイクロホン装置を使用して声を発するに先立って前記板体を前記マイクロホン装置の前記位置に取り付ける。この後で前記マイクロホン装置が用いられる。
【0063】
第5の本発明は方法である。前記方法は上手に歌えるようになる方法である。前記方法は前記マイクロホン装置が用いられる方法である。前記板体がマイクロホン装置に取り付けられていない場合には、前記板体を前記マイクロホン装置の前記位置に取り付ける。この後で前記マイクロホン装置が用いられる。そして、歌われる。
【0064】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明が説明される。本発明は下記の実施例に限定されるものでは無い。
【0065】
図1は本発明の一例になるマイクロホン装置の側面図(本発明になる部品(板体)の部分は垂直面で切断された端面が図示)、図2は本発明になる部品(板体)の一例になる展開図、図3は本発明の一例になる部品(板体)の斜視図である。
【0066】
図1中、1はマイクロホン(マイクロホン装置)である。2は上部ケース(使用者(話者:歌者)の口に近い側のケース半体:マイクロホンのグリップを上下方向にして手にした場合の上側)、3はヘッドリング(中央リング)、4は下部ケース(使用者(話者:歌者)の口から遠い側のケース半体:マイクロホンのグリップを上下方向にして手にした場合の下側)、5はネックリング、6はグリップである。グリップ6の長手方向(主軸方向)が、一般的には、マイクロホン(マイクロホン装置)1の長手方向であろう。上部ケース2及び下部ケース4は、図1から判る通り、網で構成されている。上部ケース2と下部ケース4とはヘッドリング3によって連結されている。ヘッドリング3によって上部ケース2と下部ケース4とが一体に連結されたヘッドケースは外形が卵形(中側が膨らんだ略円筒形)、或いは略球形である。前記ヘッドケース内にマイクロホンユニット(図示せず)が内蔵されている。口から発せられた音(音波)は、ヘッドケース(上部ケース2)を構成している前記網の線材と線材との間から内部に入る。ヘッドケース内に入った音波は前記マイクロホンユニットの振動板(膜)を作動させて電気信号に変換される。マイクロホンの構造は周知であるから、これ以上の詳細は省略される。
【0067】
8は透明な合成樹脂製の板体である。板体8は、展開状態(図2参照)にあっては、略矩形状(図2中、左右方向の辺(一辺)の長さが22cmで上下方向の辺(前記一辺に直交する辺)の長さが14cmの長方形)面部9と、略円弧形状(図2中、左右方向の辺の長さが20cmで上下方向の長さが2cmの略円弧形状)面部10とを具備する。略円弧形状面部10は、図2からも判る通り、略矩形状面部9に近い側の縁部に略円弧形状が構成されている。略矩形状面部9と略円弧形状面部10とは、一部において、繋がっている。略矩形状面部9の中央位置には孔(円形孔)11が設けられている。円形孔11の内径はヘッドリング3の外径よりも僅かに小さな径である。円形孔11の周辺部には複数本(例えば、4本)のスリット12が形成されている。4本のスリット12は等間隔で設けられている。4本のスリット12は渦巻放射状である。渦巻放射状のスリット12が形成されている事から、かつ、円形孔11の内径がヘッドリング3の外径よりも僅かに小さい事から、ヘッドリング3を円形孔11内に挿入した場合、板体8(略矩形状面部9)はヘッドリング3にしっかり取り付けられる。ヘッドリング3には貫通孔が元々無い。従って、板体8がヘッドケース(上部ケース2や下部ケース4)に有る貫通孔(連通孔)を塞ぐ事がない。前記板体8をヘッドリング3に取り付けた場合には、音波がヘッドケース内に入って行くのが邪魔されない。板体8の略矩形状面部9がグリップ6の中心軸線に対して略垂直となるように保持される。略矩形状面部9には長方形状の開口部13が設けられている。略円弧形状面部10(略円弧形状の縁)には凸部14が設けられている。凸部14は、折り曲げられると、掛止用の爪となる。上記形状、即ち、図2に示される形状に、所定厚さで比較的硬質の樹脂シートがプレス成型によって、打ち抜かれる。略矩形状面部9と略円弧形状面部10との境界で折り曲げられる。凸部14が開口部13に挿入されて折り曲げられる事によって、図1,3に示される形状になる。すなわち、平坦な略矩形状面部9が湾曲面(水平面で切断された場合の端面が湾曲面)になると共に略円弧形状面部10が庇となる。
【0068】
図3に示される如くに折り曲げられた板体8の円形孔11内にマイクロホン(マイクロホン装置)のヘッドリング3が差し込まれると、図1に示される示される如きのマイクロホン装置1が簡単に出来上がる。この形状(構造)のマイクロホン装置が用いられると、前記板体8によって、前記マイクロホン装置の使用者(話者:歌者)からの飛沫(唾の類)が前方に飛ぶのが抑制(阻止)される。自身の口から飛び散った飛沫は自身の側に効率良く跳ね返される。自身の口から飛び散った飛沫が前方側(マイクロホン1のグリップ6側)に居る他人に飛んで行き難い。マイクロホン装置1の使用者(話者:歌者)の声(音)は自身の側に効率よく反射される。
【0069】
図4は本発明の他の例になるマイクロホン装置の側面図である。
本例にあっては、板体18が垂直面方向(マイクロホン装置のグリップ軸心方向)での断面が略L形状の板体である。断面略L形状板体18の垂直面部19が反射板としての機能を奏する。断面略L形状板体の水平面部20にはマイクロホン装置のグリップ6(ネックリング5)の外形よりも僅かに小さな貫通孔が形成されている。この孔にマイクロホン装置1が挿入されて掛止される事によって、板体18がマイクロホン装置1に取り付けられる事になる。垂直面部19はマイクロホン装置(ケース2,4)を囲うように略円弧状に湾曲(前記グリップ軸心方向に直交する水平面方向での断面が略円弧状に湾曲)している。垂直面部19は水平面部20に対して、例えば85°と言った角度で傾斜していても良い。図4中の符号と図1中の符号とが同じ符号のものは同じものである。
【符号の説明】
【0070】
1 マイクロホン(マイクロホン装置)
2 上部ケース(ケース半体)
3 ヘッドリング(中央リング)
4 下部ケース(ケース半体)
6 グリップ
8 板体
9 略矩形状面部(主面)
10 略円弧形状面部
11 円形孔(貫通孔)
12 スリット
13 開口部(孔)
14 凸部(爪)
18 板体
19 垂直面部
20 水平面部

図1
図2
図3
図4
図5