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  • 特開-指定エリア外走行防止警告装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186000
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】指定エリア外走行防止警告装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0962 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
G08G1/0962
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093984
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】509055437
【氏名又は名称】西日本高速道路ファシリティーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】下垣 健治
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 博之
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA07
5H181BB08
5H181CC12
5H181FF05
5H181FF25
5H181MB04
(57)【要約】
【課題】エリアが特定されたETCカードの指定エリア外の走行を防止すること。
【解決手段】自己の位置情報を取得するGPS部11と、制御部12と、音声スピーカーを備えた音声出力部13と、内部又は外部電源部とから成る。GPS部11によって検知された現在位置情報が予め設定された高速道路等の有料道路の指定エリアの周辺部に設定した1又は2以上の検知エリアの何れか一つに一致したときに、前記制御部12が前記音声出力部13に音声出力指令を出し、当該音声出力指令に基づき前記音声出力部13の音声スピーカーから指示音声又は警告音声が発出される。検知エリアは2点の緯度・経度により特定される。電源部は内部電池又は走行車両からの外部電源を利用できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の位置情報を取得するGPS部と、制御部と、音声スピーカーを備えた音声出力部と、内部又は外部電源部とから成り、
前記GPS部によって検知された現在位置情報が、予め設定された高速道路等の有料道路の指定エリアの周辺部に設定した1又は2以上の検知エリアの何れか一つに一致したときに、前記制御部が前記音声出力部に音声出力指令を出し、当該音声出力指令に基づき前記音声出力部の音声スピーカーから指示音声又は警告音声が発出されることを特徴とする指定エリア外走行防止警告装置。
【請求項2】
前記検知エリアが、2点の緯度・経度によって特定されるエリアであることを特徴とする請求項1に記載の指定エリア外走行防止警告装置。
【請求項3】
前記音声スピーカーから発出される指示音声又は警告音声が、「指定エリア外に近づいたので、最寄りのIC又はJCTから一般道に移動しなさい」という趣旨の音声案内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の指定エリア外走行防止警告装置。
【請求項4】
前記内部又は外部電源部が、乾電池、充電可能電池、又は、自動車に備わるUSB接続部等の電源部であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の指定エリア外走行防止警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用可能エリアが指定されたETCカードを利用して高速道路等の有料道路を走行中に、当該使用可能エリアの境界線の近傍の境界エリアに達した際に音声による警告を行うことができる指定エリア外走行防止警告装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既によく知られている通り、ETCカードは、高速道路等の有料道路において、その入口部及び出口部にて人手を介せずに料金の課金及び収受を行うことができ、当該利用料金はETCカードに登録された金融機関から自動的に引き落とされるシステムにおいて利用されているものである。
【0003】
このETCカードにおいて、使用エリアが指定された「エリア限定ETCカード」というものが存在する。
例えば、西日本高速道路株式会社にあっては、関西支社、中国支社、四国支社、及び九州支社等が存在し、それぞれが管理・管轄する管轄路線(管轄エリア)が区分されている。
【0004】
このように各支社においては、それぞれの管轄エリアが異なり、それぞれのエリアの管理を行い、各種サービスを提供している。
そして、上記した通り、各支社では、その管轄エリアを管理し、サービスの提供を図るために、西日本高速道路株式会社の支社ごとに及び阪神高速道路公団などの別会社ごとに、使用エリアが指定されたETCカードを使用しているのである。
【0005】
このように使用エリアが指定されたETCカードを用いて当該支社の作業車が管轄するエリアから他の支社又は別会社が管轄するエリアに接続する場合に、前者の管轄エリアに限定されたETCカードを使用して業務を行う作業員が、後者の他の支社又は別会社が管轄するエリアに近づいた際には、後者の管轄エリアに入る前のIC又はJCTから外に出なければならない。
ここで、ICはインターチェンジを、JCTはジャンクションを意味している(以下同じである。)。
【0006】
しかしながら、このエリア限定ETCカードというのは、ETCカード自体に使用エリアが限定され、使用が制限されるものではなく、単に利用者側が当該使用エリア内で使用するように制約したものであり、あくまでも利用者側がその制限に従って使用するように指定されているだけである。
【0007】
従って、当該使用エリア限定ETCカードを利用して、指定された制限エリア以外のエリアを走行することも出来てしまうのである。
この指定エリア外の使用に関しては、経理的な修正が煩雑で支社間又は他の道路管理会社との修正業務に多大な労力を必要とする。
【0008】
そこで、このような指定エリア外の使用を未然に防止するために本発明に係る装置が開発されたのである。
この装置は、上記作業員が運転中の作業車の車内に持ち込んで簡単に利用できる小型のユニット装置として開発したものである。
また、この種のユニット装置はこれまでには市場に存在していなかったものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題としては、まず持ち運びし易い小型のものであること。運転作業者が携帯して車内に容易に設置し、搭載できること、予め作業車両に設置しておくことも可能なものであることが要請される。
また、分かりやすさを考慮して音声による注意喚起又は警告が行えること。
更には、使用不可エリア(使用指定エリア外)に近づいた際に、例えば、使用制限エリアに近づいたことを示す検知エリアを設定し、この検知エリアに入った際に警告が行われるような装置の提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自己の位置情報を取得するGPS部と、制御部と、音声スピーカーを備えた音声出力部と、内部又は外部電源部とから成り、前記GPS部によって検知された現在位置情報が、予め設定された高速道路等の有料道路の指定エリアの周辺部に設定した1又は2以上の検知エリアの何れか一つに一致したときに、前記制御部が前記音声出力部に音声出力指令を出し、当該音声出力指令に基づき前記音声出力部の音声スピーカーから指示音声又は警告音声が発出されることを特徴とする指定エリア外走行防止警告装置である。
【0011】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記検知エリアが、2点の緯度・経度によって特定されるエリアであることを特徴とする指定エリア外走行防止警告装置である。
【0012】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記音声スピーカーから発出される指示音声又は警告音声が、「指定エリア外に近づいたので、最寄りのIC又はJCTから一般道に移動しなさい」という趣旨の音声案内であることを特徴とする指定エリア外走行防止警告装置である。
【0013】
本発明の第4のものは、上記いずれかの発明において、前記内部又は外部電源部が、乾電池、充電可能電池、又は、自動車に備わるUSB接続部等の電源部であることを特徴とする指定エリア外走行防止警告装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1のものにおいては、自己の位置情報を取得するGPS部と、制御部と、音声スピーカーを備えた音声出力部と、内部又は外部電源部とから成り、前記GPS部によって検知された位置情報が予め設定された高速道路等の有料道路の指定エリアの周辺部に設定した1又は2以上の検知エリアの何れか一つに一致したときに、前記制御部が前記音声出力部に音声出力指示を出し、当該音声出力指示に基づき前記音声出力部の音声スピーカーから指示音声又は警告音声が発出されるようにしたため、本件発明に係る装置を作業車に設置した作業員は、指示音声又は警告音声によって自車両が限定された指定エリア外に近づいたことを想起されることとなる。
この音声を聞いた作業員は、次のIC又はJCTで一般道路に出ることを促され、指定エリア内での作業を遂行することができることとなるのである。
【0015】
本発明の第2のものにおいては、前記検知エリアをより特定したものであり、即ち、前記検知エリアが、2点の緯度・経度によって特定されるエリアであることを限定したものである。
これにより、装置を搭載した作業車が指定エリア外への走行をしてしまう前に作業運転者に注意喚起することができる。
【0016】
本発明の第3のものにおいては、上記指示音声又は警告音声の具体的な内容を特定したものであり、即ち、前記音声スピーカーから発出される指示音声又は警告音声が、「指定エリア外に近づいたので、最寄りのIC又はJCTから一般道に移動しなさい」という趣旨の音声案内であることを限定したものである。
【0017】
本発明の第4のものにおいては、本願発明に係る装置の電源部を特定したものであり、即ち、前記内部又は外部電源部が、乾電池、充電可能電池、又は、自動車に備わるUSB接続部等の電源部であることを限定したものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る指定エリア外走行防止警告装置の一実施形態の機能ブロック図である。
図2】上記実施形態に係る警告装置の動作を示すフローチャートである。
図3】上記実施形態に係る警告装置に関し、検知エリア設定から検知エリアの検知迄の流れを示すブロック図である。
図4】上記実施形態に係る警告装置に関し、仁保JCT(広島市)手前の検知エリア内に作業車の現在位置が属した状態を図示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面と共に本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る指定エリア外走行防止警告装置(以下単に「警告装置」という。)の一実施形態の機能ブロック図である。
図2は、上記実施形態に係る警告装置の動作を示すフローチャートである。
【0020】
本発明に係る警告装置10は、自己の位置情報を取得するGPS部11と、制御部12と、音声出力部13と、電源部15とからなり、音声出力部13にはスピーカー14が接続され、音声を発出することができる。
【0021】
電源部15は、警告装置10の内部に乾電池や充電可能な二次電池を内蔵するものであってもよいし、本警告装置10が搭載される車両のUSB接続口等に接続して外部電源を利用することも可能である。
【0022】
上記警告装置10の動作フローを図2に示しているが、電源部15に電源が投入されることにより警告装置10が稼働し、GPS部11により当該警告装置10が搭載された車両の現在位置情報が取得される(ステップ1)。
【0023】
制御部12の記憶部には、予め1又は2以上の検知エリアの位置情報(緯度・経度)が記憶されており、この検知エリアの位置情報と上記GPS部11によって取得された現在位置情報とが合致しているか否か、当該制御部12が判断する(ステップ2)。
上記検知エリアは、指定エリアの周縁部に位置する有料道路のエリアとなる。
【0024】
現在位置情報が検知エリアの位置情報と合致しない場合(図中NOの場合)には、引き続きGPS部11は、現在位置情報を継続して取得する。
現在位置情報が検知エリアの位置情報と合致した場合(図中YESの場合)には、制御部12が音声出力部13に音声を発出する指令を出し、音声出力部13はスピーカー14から、例えば「指定エリア外に近づいたので、最寄りのIC(又はJCT)から一般道に移動しなさい。」という趣旨の音声案内を発出する(ステップ3)。
【0025】
図3は、検知エリア設定から検知エリアの検知迄の流れを示すブロック図である。
この図を用いて本発明に係る警告装置に関し、検知エリアの設定から検知エリアの検知までの流れを説明する。
【0026】
(1)グーグルマップから検知エリアとして指定したいエリアの緯度・経度情報を取得する。ここで指定したいエリアというのは、管轄エリアである指定エリアの周縁部に位置する高速道路のエリアとなる。
(2)プログラム上に上記(1)で得た緯度・経度情報を書き込み、パソコンを用いてプログラムをFlash ROMに読み込ませる。
(以上でエリア設定が完了する。)
(3)本発明に係る警告装置を車両に搭載して電源を投入し、車両の走行を開始し、プログラムをFlash ROMから読み込む。
(4)GPS部からUART通信でNMEAフォーマットの緯度・経度の情報を1秒間に10回CPUに送る。
(5)送られてきた緯度・経度をCPUからRAMに一時保存する。
(6)RAMに保存された緯度・経度で最新の緯度・経度が検知エリアに属するかCPUにて判定する。
(7)判定結果に応じて音声出力部に音声出力を開始する指令をCPUから出す。
(8)上記(5)に戻り、以降繰り返し動作を行う。
【0027】
図4は、本発明に係る警告装置に関し、仁保JCT(広島市)手前の検知エリア20内に作業車の現在位置が属した状態を図示した説明図である。
この図を用いて検知エリアに属するか否かの判定ロジックについて説明する。
尚、この図において、仁保JCTの北側及び西側は、広島高速道路公社の管轄エリアであり、西日本高速道路中国支社の作業車が上記仁保JCTに南側から近づいた際に指示音声又は警告音声が発出されるように設定されている。
【0028】
点1と点2は、プログラム上に事前に入力した緯度・経度情報である。
これらの2点の緯度・経度情報により検知エリアは事前に設定される。
作業車の現在位置の緯度が点2よりも大きく、かつ、点1よりも小さく、且つ、現在位置の経度が点1よりも大きく、かつ、点2よりも小さい、という4つの条件を満たしたときに検知エリア20に属したものと判定する。大きい、小さいは数字の絶対値の大小である。
【0029】
図4では、作業車の現在位置情報が、北緯34度・東経134度、点1が北緯35度・東経133度、点2が北緯33度・東経135度であり、点2<現在地緯度<点1かつ点1<現在地経度<点2となって、検知エリアに属したものと判定される。
【0030】
このようにして、指定エリア外の手前に設定された検知エリアに作業車が属したものと判定されると、制御部は音声出力部に音声発出指令を出し、スピーカーから指示音声又は警告音声を発出することとなる。
作業車の運転者は、この警告を聞いて、次のICから一般道に移動することが出来ることとなるのである。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り設計変更することができる。
まず、本発明に係る警告装置は、コンパクトな箱型のものであり、その外観形状は全く自由に設計することができ、要は、図1に示した機能を有するものであればよい。
【0032】
検知エリアは、指定エリアの周縁部であって指定エリア外に通じるIC又はJCTの手前のエリアであって、2点の緯度・経度によって規定されるエリアであればよい。
また、この検知エリアは、少なくとも1箇所或いは複数個所に設定することができる。
即ち、この検知エリアは、指定されたETCの使用可能エリアの周縁部で他の高速道路事務所が管轄するエリアに接続する高速道路の手前側に複数設ければよいことになる。
【0033】
指示音声又は警告音声の具体的な内容は、適宜変更することができるが、要は「指定エリア外に近づいたので、最寄りの又は次のIC/JCTから一般道に移動せよ」という趣旨の音声案内であれば、どのようなものであってもよい。
【0034】
以上、本発明にあっては、使用範囲が特定されたETCカードにおいて、指定エリア外の使用を禁ずる音声による警告装置を提供することができた。
【符号の説明】
【0035】
10 指定エリア外走行防止警告装置
11 GPS部
12 制御部
13 音声出力部
14 スピーカー
15 電源部
20 検知エリア
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
このように各支社においては、それぞれの管轄エリアが異なり、それぞれのエリアの管理を行い、各種サービスを提供している。
そして、上記した通り、各支社では、その管轄エリアを管理し、サービスの提供を図るために、西日本高速道路株式会社の支社ごとに及び阪神高速道路公などの別会社ごとに、使用エリアが指定されたETCカードを使用しているのである。