(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186008
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】袋製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20221208BHJP
B65D 25/52 20060101ALN20221208BHJP
【FI】
B65D83/08 F
B65D25/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093996
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】521137582
【氏名又は名称】石川 一志
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】石川 一志
【テーマコード(参考)】
3E014
3E062
【Fターム(参考)】
3E014MA03
3E014MA06
3E062AA20
3E062AB10
3E062AC02
3E062LA04
(57)【要約】
【課題】片手で、袋を1枚ずつ取り出し、且つ、袋の口を開くことができる袋製品を提供する。
【解決手段】閉じられた状態において略矩形状の外形をなす袋111が複数枚積層されてなる略直方体形状の積層体11を備え、袋111の各々は、袋の口111aを含む第一折片111fと、袋の口111aを含まない第二折片111gとを有し、積層体11の最上部に積層された袋111は、第一折片111fの積層体11の上面側に使用者に使い方を指示するマーク111iを有し、積層体11は、奇数番目の袋111と、偶数番目の袋111とが、左右対称となるように配され、各袋111の谷部111hの内側に、1つ下に位置する袋111の第一折片111fと、1つ上に位置する袋111の第二折片111gとが配されるよう構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じられた状態において、袋の口が配される第一辺と、前記第一辺と対向する辺である第二辺と、前記第一辺及び前記第二辺と隣接する辺である2つの第三辺とにより略矩形状の外形をなす袋が複数枚積層されてなる略直方体形状の積層体を備える袋製品であって、
前記袋の各々は、
前記第三辺と略直交するよう設けられる折り線である折線と、
前記第一辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第一折片と、
前記第二辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第二折片と、
を有し、
前記積層体の最上部に積層された袋は、前記第一折片の前記積層体の上面側に、且つ、一方の前記第三辺の近傍に配され、使用者に該袋製品の使い方を指示するシンボルを有し、
前記積層体は、
前記折線で折り畳まれた前記袋が、前記折線同士が略平行となるよう、複数枚積層され、
前記積層体の最上部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片が配され、
前記積層体の最上部及び最下部に積層された前記袋を除く、前記各袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片と、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片とが配され、
前記積層体の最下部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片が配される
ことを特徴とする袋製品。
【請求項2】
請求項1に記載の袋製品であって、さらに、
前記積層体の上面の近傍、又は、前記シンボルに近い方の第三辺を含む前記積層体の側面の近傍の少なくとも一方に前記袋を取り出すための第一取出口を形成するミシン目を有し、前記シンボルが外部から視認できる状態で前記積層体を内包する第一包装体を備える袋製品。
【請求項3】
請求項2に記載の袋製品であって、
前記第一包装体の、少なくとも前記シンボルの近傍が透明色又は半透明色であることを特徴とする袋製品。
【請求項4】
閉じられた状態において、袋の口が配される第一辺と、前記第一辺と対向する辺である第二辺と、前記第一辺及び前記第二辺と隣接する辺である2つの第三辺とにより略矩形状の外形をなす袋が複数枚積層されてなる略直方体形状の積層体を備える袋製品であって、さらに、
前記袋の各々は、
前記第三辺と略直交するよう設けられる折り線である折線と、
前記第一辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第一折片と、
前記第二辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第二折片と、
を有し、
前記積層体は、
前記折線で折り畳まれた前記袋が、前記折線同士が略平行となるよう、複数枚積層され、
前記積層体の最上部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片が配され、
前記積層体の最上部及び最下部に積層された前記袋を除く、前記各袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片と、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片とが配され、
前記積層体の最下部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片が配され、
前記積層体の最上部に積層された袋の、前記第一折片の前記積層体の上面側に、且つ、一方の前記第三辺の近傍に、使用者に該袋製品の使い方を指示するシンボルを有し、前記積層体の上面の近傍、又は、前記シンボルに近い方の第三辺を含む前記積層体の側面の近傍の少なくとも一方に前記袋を取り出すための第二取出口を形成するミシン目を有する第二包装体を備える
ことを特徴とする袋製品。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一に記載の袋製品であって、さらに、
前記積層体の底面が側面に相当し、且つ、前記積層体の前記シンボルに近い方の第三辺を含む側面が上面に相当するよう円柱状に丸めた前記積層体を内包し、上面に前記袋を取り出すための第三取出口を有する略筒形状の第三包装体を備える袋製品。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一に記載の袋製品であって、
前記袋が、防臭機能又は消臭機能の少なくとも一方を有することを特徴とする袋製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の袋からなる袋製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ゴミの処理等に用いられるポリ袋等の袋の多くは、非特許文献1に示すように、複数枚積層され、又は、それがさらに折り畳まれ、略矩形状の包装体(いわゆる外袋)に内包され、販売されている。包装体には、ミシン目が設けられており、切り離すことで袋を取り出すための取出口を形成することができる。
【0003】
このような袋製品は、購入後、包装体に袋を入れたまま保管され、袋を使用したいときは、包装体の取出口から必要な分だけ袋を取り出して使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本技研工業株式会社,"ストレッチゴミ袋 半透明 乳白 45L 50枚入",[online],amazon,[令和3年4月23日検索],インターネット<https://www.amazon.co.jp/dp/B00LX1C46I/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_TV8BQCF48V6VB6XP9KJM?th=1>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような袋製品は、取出口から袋を1枚取り出そうとしても、2枚以上の袋が重なって取り出されてしまうという問題がある。また、例えば、育児や介護の現場では、片手でごみ袋を取り出し、片手でごみ袋の口を開きたいというニーズがある。
【0006】
本発明は、従来のこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、片手で、袋を1枚ずつ取り出し、且つ、袋の口を開くことができる袋製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係る袋製品は、閉じられた状態において、袋の口が配される第一辺と、前記第一辺と対向する辺である第二辺と、前記第一辺及び前記第二辺と隣接する辺である2つの第三辺とにより略矩形状の外形をなす袋が複数枚積層されてなる略直方体形状の積層体を備える袋製品であって、前記袋の各々は、前記第三辺と略直交するよう設けられる折り線である折線と、前記第一辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第一折片と、前記第二辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第二折片とを有し、前記積層体の最上部に積層された袋は、前記第一折片の前記積層体の上面側に、且つ、一方の前記第三辺の近傍に配され、使用者に該袋製品の使い方を指示するシンボルを有し、前記積層体は、前記折線で折り畳まれた前記袋が、前記折線同士が略平行となるよう、複数枚積層され、前記積層体の最上部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片が配され、前記積層体の最上部及び最下部に積層された前記袋を除く、前記各袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片と、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片とが配され、前記積層体の最下部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片が配されるよう構成できる。
【0008】
また、本発明の第2の側面に係る袋製品は、前記積層体の上面の近傍、又は、前記積層体の前記シンボルに近い方の第三辺を含む側面の近傍の少なくとも一方に前記袋を取り出すための第一取出口を形成するミシン目を有し、前記シンボルが外部から視認できる状態で前記積層体を内包する第一包装体を備えることができる。
【0009】
前記構成によれば、例えば、シンボルが、使用者に該シンボルが付された袋(積層体の最上部に積層された袋)から使用するよう指示することができる。この指示により、使用者が、包装体に内包された新品の積層体から、最初に、シンボルが付された袋を取り出すと、摩擦力により、1つ下の袋の一部が取出口から飛び出した状態となる。つまり、シンボルが付された袋を最初に取り出すことで、2枚目以降の袋は取出口から飛び出した部分を引っ張るのみで取り出すことができる。また、取出口から飛び出した部分には、袋の口(第一辺)が含まれるので、袋を積層体から引っ張って取り出す前に、該袋の口の周辺を指で擦ることで、該袋の口を開くことができる。このように、袋製品は、袋を1枚ずつ取り出し、且つ、袋の口を開くことができ、また、これらの操作を片手で行う事が可能である。さらにまた、シンボルは、積層体を、装置を用いて連続的に製造する際に、連続的に排出された積層体群の中から1つの積層体を取り出すための目印として利用できる。
【0010】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る袋製品は、前記第一包装体の、少なくとも前記シンボルの近傍を透明色又は半透明色にできる。
【0011】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る袋製品は、閉じられた状態において、袋の口が配される第一辺と、前記第一辺と対向する辺である第二辺と、前記第一辺及び前記第二辺と隣接する辺である2つの第三辺とにより略矩形状の外形をなす袋が複数枚積層されてなる略直方体形状の積層体を備える袋製品であって、さらに、前記袋の各々は、前記第三辺と略直交するよう設けられる折り線である折線と、前記第一辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第一折片と、前記第二辺、前記第三辺及び前記折線によって区画されてなる第二折片とを有し、前記積層体は、前記折線で折り畳まれた前記袋が、前記折線同士が略平行となるよう、複数枚積層され、前記積層体の最上部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片が配され、前記積層体の最上部及び最下部に積層された前記袋を除く、前記各袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ下に位置する前記袋の第一折片と、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片とが配され、前記積層体の最下部に積層された前記袋の前記第一折片及び前記第二折片によってできる谷部の内側に、該袋の1つ上に位置する前記袋の第二折片が配され、前記積層体の最上部に積層された袋の、前記第一折片の前記積層体の上面側に、且つ、一方の前記第三辺の近傍に、使用者に該袋製品の使い方を指示するシンボルを有し、前記積層体の上面の近傍、又は、前記積層体の前記シンボルに近い方の第三辺を含む側面の近傍の少なくとも一方に前記袋を取り出すための第二取出口を形成するミシン目を有する第二包装体を備えることができる。
【0012】
前記構成によれば、例えば、シンボルが、使用者に積層体の最上部に積層された袋から使用するよう指示することができる。この指示により、使用者が、包装体に内包された新品の積層体から、最初に、積層体の最上部に積層された袋を取り出すと、摩擦力により、1つ下の袋の一部が取出口から飛び出した状態となる。つまり、積層体の最上部に積層された袋を最初に取り出すことで、2枚目以降の袋は取出口から飛び出した部分を引っ張るのみで取り出すことができる。また、取出口から飛び出した部分には、袋の口(第一辺)が含まれるので、袋を積層体から引っ張って取り出す前に、該袋の口の周辺を指で擦ることで、該袋の口を開くことができる。このように、袋製品は、袋を1枚ずつ取り出し、且つ、袋の口を開くことができ、また、これらの操作を片手で行う事が可能である。
【0013】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る袋製品は、前記積層体の底面が側面に相当し、且つ、前記積層体の前記シンボルに近い方の第三辺を含む側面が上面に相当するよう円柱状に丸めた前記積層体を内包し、上面に前記袋を取り出すための第三取出口を有する略筒形状の第三包装体を備えることができる。前記構成によれば、積層体をコンパクトに収納することができる。
【0014】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る袋製品は、前記袋が、防臭機能又は消臭機能の少なくとも一方を有するよう構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る袋製品の模式図である。
【
図2】積層体と積層体を内包する外袋の模式図である。
【
図5】袋製品の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図7】積層体製造工程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[袋製品1]
【0017】
本発明の一実施の形態に係る袋製品1について、
図1~
図7に基づいて説明する。
【0018】
図1に示す袋製品1は、積層体11(
図2、
図3参照)、積層体11を内包する外袋12(特許請求の範囲における「第一包装体」及び「第二包装体」の一例に対応する。
図2参照)、及び、これらを収納するケース13(特許請求の範囲における「第三包装体」の一例に対応する。
図1参照)からなる。各部材について以下で説明する。
[積層体11]
【0019】
積層体11は、袋111を複数積層してなる部材である。
〈袋111〉
【0020】
袋111は、
図4に示すように、矩形状の部材であり、一方の短辺に袋の口111aを有する(以下、袋の口が配される辺を「第一辺111b」、第一辺と対向する辺を「第二辺111c」、第一辺及び第二辺と隣接する2つの辺を「第三辺111d」という。)。
【0021】
また、袋111は、表層、バリア層及び吸着層の三層からなるシート部材から作られる。バリア層は袋111内から臭いが漏れるのを防ぐ防臭機能を有し、吸着層は袋111内の臭い成分を吸着する消臭機能を有する。これにより、袋111は、育児や介護における使用済おむつの処理に好適に使用できる。なお、袋111の態様は前述のものに限定されず、大きさや形状、機能等は適宜変更してもよい。
【0022】
積層体11は、
図3に示すように、第三辺111dと略直交するよう設けられる折り線である折線111eによって2つ折りにされた袋111(以下、第一辺111b、第三辺111d及び折線111eによって区画されてなる折片を「第一折片111f」、第二辺111c、第三辺111d及び折線111eによって区画されてなる折片を「第二折片111g」という。)を、奇数番目と、偶数番目とで左右対称となるように積層される。各袋111の第一折片111f及び第二折片111gによってできる谷部111hの内側に、該袋111の1つ下に位置する袋111の第一折片111fと、該袋111の1つ上に位置する袋111の第二折片111gとが配される。なお、最上部の袋111には1つ上に位置する袋111が存在しないので、谷部111hの内側には1つ下に位置する袋111の第一折片111fのみが配される。同様に、最下部の袋111には1つ下に位置する袋111が存在しないので、谷部111hの内側には1つ上に位置する袋111の第二折片111gのみが配される。これにより、隣接する袋111間に適度な摩擦力が発生するようになる。
【0023】
また、積層体11の最上部に積層された袋111は、
図2に示すように、第一折片111fの積層体11の上面側に、且つ、一方の第三辺111dの近傍に矢印のマーク111i(特許請求の範囲における「シンボル」の一例に対応する。)を有する。これにより、例えば、外袋12に、マーク111iを目印とした袋製品1の使い方の説明文を表記しておくことで、使用者に該袋製品の使い方を指示することができる。
【0024】
以上の構成により、積層体11は、使用者が、シンボルが付された袋(積層体の最上部に積層された袋)から使用するよう指示することができる。この指示により、使用者が、外袋12(詳細は後述する。)やケース13(詳細は後述する。)等の包装体に内包された新品の積層体11から、最初に、マーク111iが付された袋111を取り出すと、摩擦力により、1つ下の袋111の一部が取出口から飛び出した状態となる。つまり、マーク111iが付された袋111を最初に取り出すことで、2枚目以降の袋111は取出口から飛び出した部分を引っ張るのみで取り出すことができる。また、取出口から飛び出した部分には、袋の口111a(第一辺111b)が含まれるので、袋111を積層体11から引っ張って取り出す前に、袋の口111aの周辺を指で擦ることで、袋の口111aを開くことができる。このように、積層体11は、袋を1枚ずつ取り出し、且つ、袋の口を開くことができ、また、これらの操作を片手で行う事が可能である。
【0025】
なお、積層体11の態様は前述のものに限定されず、袋111の取出口から飛び出す部分に袋の口111a(第一辺111b)が含まれる態様であれば、袋111の折り方(折線の本数を増やしたり、折り線の角度を変更したり等)や、積層方法等は適宜変更可能である。また、特許請求の範囲における「シンボル」は矢印のマーク111iに限定されず、矢印以外のマークや、袋製品1の使い方の説明文(この場合、外袋12に説明文を表記しなくてもよい。)、直感的に使用方法が分かるイラスト等であってもよい。また、特許請求の範囲における「袋製品の使い方を指示する」の指示の程度は特に限定されず、少なくとも、積層体11の最上部に積層された袋111から使用することを指示するものであればよい。
[外袋12]
【0026】
外袋12は、ポリエチレン製の透明の袋であり、
図2に示すように、積層体11を内包する部材であり、積層体11の上面側、及び、積層体11のマーク111iに近い方の第三辺111dを含む側面側に取出口12a(特許請求の範囲における「第一取出口」及び「第一取出口」の一例に対応する。)を形成するミシン目12bを有している。
【0027】
つまり、使用者は、積層体11及び外袋12を収納するケース(例えば、後述するケース13)の態様や要否に応じて、2つのミシン目12bのうち、いずれか一方を選択して切取り、取出口12aを形成して使用することができる。具体的には、後述するケース13に収納して使用する場合には、側面側のミシン目12bを切り取って使用する。また、一般的なボックスティッシュのケースに収納して使用する場合や、ケースに収納せずに使用する場合には、上面側のミシン目12bを切り取って使用する。
【0028】
なお、外袋12の態様は前述のものに限定されず、ポリプロピレン製の袋であってもよい。また、例えば、外袋12にシンボルを付して、袋製品の使い方を指示するようにしてもよい。この場合、積層体11の最上部に積層された袋111のシンボルは不要である。さらにまた、外袋12及びケース13は必ずしも設ける必要はない(詳細は後述する。)。
[ケース13]
【0029】
ケース13は、
図1に示すように、積層体11及び積層体11を内包する外袋12を収納する部材である。ケース13は、略円筒形状であり、上面に蓋部13aと取出口13b(特許請求の範囲における「第三取出口」の一例に対応する。)を有する。また、ケース13には、積層体11を、積層体11の底面がケース13の側面に相当し、且つ、積層体11のマーク111iに近い方の第三辺111dを含む側面がケース13の上面に相当するよう円柱状に丸めて収納することができる。これにより、蓋部13aを開けた際に、取出口13bの略中央にマーク111iが付された袋が配されるようになり、これを最初に取り出すことで、2枚目以降の袋111は取出口から飛び出した部分を引っ張るのみで取り出すことができる。また、ケース13により、積層体11をコンパクトに収納することができる。
【0030】
なお、外袋12の態様は前述のものに限定されず、角筒形状であってもよい。また、袋製品1において、外袋12及びケース13は必ずしも設ける必要はなく、(1)積層体11のみの態様や(2)積層体11と外袋12とからなる態様、(3)積層体11とケース13とからなる態様であってもよい。例えば、(1)や(2)を詰め替え用として販売することもできる。
[袋製品の製造方法]
【0031】
以下、本発明の一実施の形態に係る袋製品1の製造方法について、
図5~
図7に基づいて説明する。
【0032】
図5のフローチャートに示すように、袋製品1は、積層体11を作る積層体製造工程ST101と、積層体製造工程ST101で製造された積層体11を、外袋12で包装する包装工程ST102と、包装工程ST101で製造された外袋12で包装された積層体11をケース13に収納する収納工程ST103を経て製造される。
〈積層体製造工程ST101〉
【0033】
積層体製造工程ST101では、
図6に示す積層体製造装置2を用いて100枚の袋111からなる積層体11が製造される。積層体製造装置2は、巻戻部21、熱溶着部22、印刷部23及び折畳部24を備えており、2つの原反ロールGR1、GR2から積層体11を製造する。
【0034】
原反ロールGR1、GR2は、袋111の材料であるシート部材を長い円筒状に形成し、部材の曲面の対向する位置に2つの折線(第三辺111dに相当する。)を設けて折り畳んでなる円筒状シート部材ES1、ES2(2枚重ねの矩形状シートのような態様になる。)を巻き取ってロール状にしたものであり、積層体製造工程ST101では、巻戻部21によって、2つの原反ロールGR1、GR2を円筒状シート部材ES1、ES2に巻き戻しながら、
図7のフローチャートに示すように、溶着工程ST101-1、印刷工程ST101-2及び積層工程ST101-3を行う。これらの工程により、原反ロールGR1は、積層体11の上面側から数えて奇数番目の袋111(矢印のマーク111iを有する袋111を含む。)となり、原反ロールGR2は、積層体11の上面側から数えて偶数番目の袋111となる。
《熱溶着工程ST101-1》
【0035】
溶着工程ST101-1は、熱溶着部22を用いて円筒状シート部材ES1、ES2を一定間隔毎に熱溶着する工程である。熱溶着部22は、円筒状シート部材ES1、ES2を、円筒状シート部材ES1、ES2の2つの折り線間を、該円筒状シート部材ES1、ES2の延伸方向と直交する直線形状で熱溶着し、袋の底(第二辺111c側)を形成する。すなわち、溶着工程ST101-1で熱溶着する間隔を大きくすれば、袋111の第一辺111bと第二辺111cとの間隔が大きくなり、袋111の容量を大きくすることができる。逆に、溶着工程ST101-1で熱溶着する間隔を小さくすれば、袋111の第一辺111bと第二辺111cとの間隔が小さくなり、袋111の容量を小さくすることができる。
《印刷工程ST101-2》
【0036】
印刷工程ST101-2は、印刷部23を用いて積層体製造装置2の上部側に取り付けられた原反ロールGR1から巻き戻されてなる円筒状シート部材ES1に一定間隔毎に矢印のマーク111iを印刷する工程である。印刷部23の印刷のタイミングは巻戻部21が有するセンサーからの情報を用いて制御され、熱溶着工程ST101-1における熱溶着50回につき1回のペースで印刷される。
《積層工程ST101-3》
【0037】
積層工程ST101-3は、折畳部24を用いて、円筒状シート部材ES1、ES2を切断して袋111を形成し、形成された袋111を折り畳みながら積層して積層体11を製造する工程である。
【0038】
折畳部24は、
図6に示すように、切断ローラ241a、242aと、折畳ローラ241b、242bと、押下部241c、242cを備えている。円筒状シート部材ES1、ES2は、矢印で示す方向に回転する切断ローラ241a、242aの切断刃により、袋111の長さ(溶着工程ST101-1で熱溶着した間隔)に応じた長さに切断され袋111となる。この袋111は、互いに接触しながら矢印で示す方向に回転する折畳ローラ241b、242bにより、折線111eが形成される。その後、この袋111は、押下部241c、242cにより、折畳ローラ241b、242bから剥がされることで、自重により落下し、折線111eに沿って折り畳まれ、前記[積層体11]で説明した態様の積層体11となる。
〈包装工程ST102〉
【0039】
包装工程ST102では、積層体製造工程ST101で製造された積層体11を外袋12で包装する。積層体製造工程ST101では、
図6に示すように、100枚の袋111からなる積層体11が連続的に製造されるため、この中から、矢印のマーク111iを目印に1つの積層体11を取り出し、外袋12に包装する。
【0040】
なお、外袋12への包装方法は特に限定されず、手作業による包装方法、装置を用いて自動化又は半自動化した包装方法のいずれであってもよい。ただし、袋111の素材によっては、摩擦力が低く、すべりやすいため、装置を用いて自動化又は半自動化した包装方法が適さない場合がある。この場合は、手作業による包装方法が好ましい。また、包装工程ST102の態様は前述のものに限定されず、例えば、積層体11の検品を行うようにしてもよい。この場合、積層体11から数枚の袋111を抽出することになるため、積層体製造工程ST101で予め袋111の枚数を増やして積層体11を製造するとよい。
〈収納工程ST103〉
【0041】
収納工程ST103では、包装工程ST102で製造された外袋12で包装された積層体11を前記[ケース13]で説明したような態様でケース13に収納する。
【0042】
なお、ケース13への収納方法は特に限定されず、手作業による包装方法、装置を用いて自動化又は半自動化した包装方法のいずれであってもよい。
【0043】
以上説明したように、本発明に係る袋製品1は、その積層方法と矢印のマーク111iにより、片手で、袋を1枚ずつ取り出し、且つ、袋の口を開くことができる。また、矢印のマーク111iは、積層体11を、装置を用いて連続的に製造する際に、連続的に排出された積層体群の中から1つの積層体11を取り出すための目印として利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1…袋製品
11…積層体
111…袋
111a…袋の口;111b…第一辺;111c…第二辺;111d…第三辺;111e…折線;111f…第一折片;111g…第二折片;111h…谷部;111i…マーク
12…外袋
12a…取出口;12b…ミシン目
13…ケース
13a…蓋部;13b…取出口
2…積層体製造装置
21…巻戻部
22…熱溶着部
23…印刷部
24…折畳部
241a、242a…切断ローラ;241b、242b…折畳ローラ;241c、242c…押下部
GR1、GR2…原反ロール
ES1、ES2…円筒状シート部材