(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186009
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】記録装置および搬送装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20221208BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20221208BHJP
B41J 13/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B41J29/00 S
B65H5/00 A
B41J13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093997
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】佃 将一
(72)【発明者】
【氏名】木田 朗
(72)【発明者】
【氏名】石田 隆晃
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正明
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康喜
(72)【発明者】
【氏名】新井 篤
(72)【発明者】
【氏名】林 雅
【テーマコード(参考)】
2C059
2C061
3F101
【Fターム(参考)】
2C059AA26
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB28
2C061BB35
2C061CP03
3F101AA04
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】 記録媒体を効率的に除電することが出来る。
【解決手段】 記録手段により記録が行われる記録領域へ記録媒体を第1の方向に搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送される記録媒体を支持する支持手段であって、記録媒体を支持する際に記録媒体と当接する当接面を有する支持手段と、除電部において記録媒体の除電を行う除電手段であって、除電部は支持手段における当接面と対向しない位置に設けられる除電手段と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録手段により記録が行われる記録領域へ記録媒体を第1の方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記記録媒体を支持する支持手段であって、前記記録媒体を支持する際に前記記録媒体と当接する当接面を有する支持手段と、
除電部において前記記録媒体の除電を行う除電手段であって、前記除電部は前記支持手段における前記当接面と対向しない位置に設けられる除電手段と、
を有する記録装置。
【請求項2】
前記支持手段は、前記記録媒体を支持する際に前記記録媒体と当接しない非当接面を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記除電部は、前記非当接面と対向する位置に設けられることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記除電部は、毛束状の形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記支持手段は、複数の前記当接面を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記第1の方向に複数の前記除電手段が設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記除電手段は、導通部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記除電手段は、単一の前記導通部に対して複数の前記除電部を有する構成であることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記除電手段は、前記第1の方向において前記記録領域より上流の位置に設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録媒体を前記搬送手段へ給送する給送手段を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記除電手段は、前記第1の方向において、前記給送手段より下流の位置に設けられることを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録手段は、前記記録媒体に記録を行う際に記録位置に移動することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項13】
媒体を第1の方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記媒体を支持する支持手段であって、前記媒体を支持する際に前記媒体と当接する当接面を有する支持手段と、
除電部において前記媒体の除電を行う除電手段であって、前記除電部は前記支持手段における前記当接面と対向しない位置に設けられる除電手段と、
を有する搬送装置。
【請求項14】
前記支持手段は、前記媒体を支持する際に前記媒体と当接しない非当接面を有することを特徴とする請求項13に記載の搬送装置。
【請求項15】
前記除電部は、前記非当接面と対向する位置に設けられることを特徴とする請求項14に記載の搬送装置。
【請求項16】
前記除電部は、毛束状の形状であることを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項17】
前記支持手段は、複数の前記当接面を有することを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項18】
前記第1の方向に複数の前記除電手段が設けられることを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項19】
前記除電手段は、導通部を有することを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項20】
前記除電手段は、単一の前記導通部に対して複数の前記除電部を有する構成であることを特徴とする請求項19に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を除電する除電手段を備えた記録装置および搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置には、搬送される記録媒体を除電するために除電手段を設けたものが知られている。例えば、特許文献1には、
図14に示すような記録装置が開示されている。この記録装置は記録媒体と当接する給紙手段を駆動して記録媒体を搬送手段に供給し、搬送手段によって記録媒体を搬送する。この搬送手段と対向した位置に除電手段を備え、除電手段と記録媒体が弾性的に当接することで記録媒体の除電を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、記録媒体と搬送手段の双方の帯電量を合わせた帯電量に応じた除電を記録媒体に対して行ってしまう。搬送手段の帯電量は記録媒体を搬送するほど増加する。そのため、記録媒体と搬送手段の帯電量の合計に対して除電が行われると、除電手段を通過した後の記録媒体の帯電量が逆に増加する現象が発生することがある。これにより、効率的に除電が行われない課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体を効率的に除電することが出来る記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置は、記録手段により記録が行われる記録領域へ記録媒体を第1の方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録媒体を支持する支持手段であって、前記記録媒体を支持する際に前記記録媒体と当接する当接面を有する支持手段と、除電部において前記記録媒体の除電を行う除電手段であって、前記除電部は前記支持手段における前記当接面と対向しない位置に設けられる除電手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体を効率的に除電することが出来る記録装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】記録装置が待機状態にあるときの正面図である。
【
図4】(a)~(c)は、第1カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。
【
図5】(a)~(c)は、第2カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。
【
図6】(a)~(d)は、記録媒体の裏面に記録動作を行う場合の搬送経路図である。
【
図7】記録装置がメンテナンス状態にあるときの図である。
【
図8】搬送ローラと、モータとの対応関係を示す図である。
【
図10】比較例における記録媒体の除電メカニズムを示す図である。
【
図11】当接面と対向した位置に除電部を配置した場合の記録媒体の除電メカニズムを示す図である。
【
図12】第2実施形態における当接面と除電部の配置を示す図である。
【
図13】第3実施形態における当接面と除電部の配置を示す図である。
【
図14】従来の記録装置における給送装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置1(以下、記録装置1)の内部構成図である。
図1において、x方向は水平方向、y方向(紙面と直交する方向)は後述する記録ヘッド8(記録手段)において吐出口が配列される方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
【0010】
本明細書において「記録媒体」とは、液体を吐出されるものであって、紙、布、プラスチックフィルム、木材、皮革等の非金属素材の媒体の総称として用いる。
【0011】
記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3とで個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFで自動給送される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。
図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
【0012】
プリント部2において、筐体の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを積載可能な第1カセット5Aと第2カセット5B(第1の供給源)とが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体Sが、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体Sが、それぞれ積載された状態で収容されている。各カセットの近傍にはそれぞれ、カセットに積載された記録媒体Sを1枚ずつ分離して給送するためのカセット給送ユニット(第1の給送部)が設けられている。以下の説明では、第1カセット5Aから記録媒体Sを給送するためのカセット給送ユニットを第1給送ユニット6Aと称し、第2カセット5Bから記録媒体Sを給送するカセット給送ユニットを第2給送ユニット6Bと称す。
【0013】
プリント部2における筐体の側部には、ユーザが記録媒体Sを比較的少数の記録媒体Sを供給する際に使用する手差しトレイ(第2の供給源)129が設けられている。手差しトレイ129には上記カセットのような定型の記録媒体Sのみならず、不定形のサイズの記録媒体Sを載置することが可能である。手差しトレイ129の所定位置に記録媒体Sを載置することにより、手差し給送ユニット6C(第2の給送部)が動作し、記録媒体Sを後述の搬送経路へと給送することができる。プリント部2は、給送手段である第1の給送ユニット6A、第2の給送ユニット6B、および手差し給送ユニット6Cのうち、いずれか1つの給送ユニットを選択的に動作させる。これにより、記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域(被供給部)Pに1枚ずつ記録媒体Sの供給が行われる。
【0014】
搬送ローラ7、第1の中間ローラ71、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド部材18、インナーガイド19およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に搬送するための搬送機構(搬送手段)である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8(プラテン9)の上流側および下流側に配され、搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、排出モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8(プラテン9)の下流側に配される搬送ローラ7および排出ローラ12と共に記録媒体Sを挟持して搬送する。
【0015】
記録装置1には、上記駆動ローラを駆動するための複数のモータが設けられており、上記駆動ローラのそれぞれは、複数のモータのうちの1つに接続されている。モータと駆動ローラの対応関係については後に詳しく説明する。
【0016】
ガイド部材18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材であって湾曲した側面を有し、その側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、記録媒体Sの一面に記録を行う片面記録動作と両面記録動作とに応じて、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載・保持するためのトレイである。
【0017】
本実施形態の記録ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット記録ヘッドであり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、
図1におけるy方向に沿って、適用可能な記録媒体Sの最大幅に相当する分だけ複数配列されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、
図1のように鉛直下方を向きキャップユニット10によってキャップされている。記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sの表面(第1面)とは反対側の面(裏面(第2面))を支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。
【0018】
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
【0019】
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
【0020】
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括的に制御するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括的に制御するコントローラユニット(制御手段)100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
【0021】
コントローラユニット100において、CPU等により構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとして使用ながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。
【0022】
なお、記録装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してそのコマンドをスキャナ部3に送信する。
【0023】
操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための部分である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
【0024】
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202はROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従ってRAM204をワークエリアとして使用しながらプリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。記録ヘッド8による記録動作(インク吐出動作)を実行可能とするために、プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させる。記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して
図1に示す、第1、第2給送ユニット6A、6B、手差し給送ユニット6C、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を適宜駆動して、記録媒体Sの給送および搬送を行う。
【0025】
搬送制御部207は、記録媒体Sの搬送状態を検知する検知部212と、複数の駆動ローラを駆動する駆動部211とに接続されており、検知部212から得られる検知結果に基づいて駆動部211を用いて記録媒体Sの給送および搬送を制御する。検知部212は、記録媒体Sの有無を検知する検知部材20と駆動ローラの回転量を検出するエンコーダ21を有している。
【0026】
搬送制御部207によって記録媒体Sの搬送が行われる過程で、プリントコントローラ202の指示に従って、記録ヘッド8による記録動作が実行される。
【0027】
ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
【0028】
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとして使用しながらスキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えばコントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
【0029】
図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。
図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。本実施形態において、プラテン9の記録媒体Sを支持する支持面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。
【0030】
記録ヘッド8を
図1に示す待機位置から
図3に示す記録位置に移動させる際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を
図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、キャップユニット10は、記録ヘッド8の吐出口面8aから離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを調整しながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。この状態で記録動作が行われる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。
【0031】
次に、プリント部2における記録媒体Sの搬送経路について説明する。記録コマンドが入力されると、プリントコントローラ202は、まず、メンテナンス制御部210およびヘッドキャリッジ制御部208を用いて、記録ヘッド8を
図3に示す記録位置に移動させる。その後、プリントコントローラ202は搬送制御部207を用い、記録コマンドに従って第1給送ユニット6A、第2給送ユニット6B、および手差し給送ユニット6Cの中のいずれか1つを駆動し、記録媒体Sを給送する。
【0032】
図4(a)~(c)は、第1カセット5Aに収容されているA4サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第1カセット5A内の1番上に積載された記録媒体Sは、第1給送ユニット6Aによって2枚目以降の記録媒体Sから分離される。そして搬送ローラ7とピンチローラ7aとにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域(被供給位置)Pに向けて搬送される。
図4(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、第1給送ユニット6Aに給送されて記録領域Pに到達する間に、水平方向(x方向)から、水平方向に対して約45度傾いた方向に変更される。
【0033】
記録領域Pでは、記録ヘッド8に設けられた複数の吐出口から記録媒体Sに向けてインクが吐出される。記録領域に到達した記録媒体Sは、プラテン9によってその記録ヘッドと対向しない一面(裏面(第2面))が支持されており、吐出口面8aと記録媒体Sの距離が一定に保たれている。インクが付与された後の記録媒体Sは、搬送ローラ7と拍車7bに案内されながら、先端が右に傾いているフラッパ11の左側を通り、ガイド部材18に沿って記録装置1の鉛直方向上方へ搬送される。
図4(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、水平方向に対し約45度傾いた記録領域Pの位置から、搬送ローラ7と拍車7bによって鉛直方向上方に変更されている。
【0034】
記録媒体Sは、鉛直方向上方に搬送された後、排出ローラ12と拍車7bによって排出トレイ13に排出される。
図4(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。排出された記録媒体Sは、記録ヘッド8によって画像が記録された面を下にした状態で、排出トレイ13上に保持される。
【0035】
図5(a)~(c)は、第2カセット(第1の供給源)5Bに収容されているA3サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第2カセット5B内の1番上に積載された記録媒体Sは、第2給送ユニット6Bによって2枚目以降の記録媒体Sから分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aとにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。
【0036】
図5(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。第2給送ユニット6Bによって給送された記録媒体Sが記録領域Pに到達するまでの搬送経路には、複数の搬送ローラ7とピンチローラ7aおよびインナーガイド19が配されることで、記録媒体SはS字状に湾曲されてプラテン9まで搬送される。
【0037】
その後の搬送経路は、
図4(b)および(c)で示したA4サイズの記録媒体Sの場合と同様である。
図5(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。
図5(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
【0038】
図6(a)~(d)は、A4サイズの記録媒体Sの裏面(第2面)に対して記録動作(両面記録)を行う場合の搬送経路を示す。両面記録を行う場合、第1面(表面)を記録した後に第2面(裏面)に記録動作を行う。第1面を記録する際の搬送工程は
図4(a)~(c)と同様であるので、ここでは説明を省略する。以下、
図4(c)以後の搬送工程について説明する。
【0039】
記録ヘッド8による第1面への記録動作が完了し、記録媒体Sの後端がフラッパ11を通過すると、プリントコントローラ202は、搬送ローラ7を逆回転させて記録媒体Sを記録装置1の内部へ搬送する。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータによってその先端が左側に傾くように制御されるため、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)はフラッパ11の右側を通過して鉛直方向下方へ搬送される。
図6(a)は、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)が、フラッパ11の右側を通過する状態を示す。
【0040】
その後記録媒体Sは、インナーガイド19の湾曲した外面に沿って搬送され、再び記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域Pに搬送される。この際、記録ヘッド8の吐出口面8aに、記録媒体Sの第2面が対向する。
図6(b)は、第2面の記録動作のために、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。
【0041】
その後の搬送経路は、
図4(b)および(c)で示した第1面を記録する場合と同様である。
図6(c)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータにより先端が右側に傾いた位置に移動するように制御される。
図6(d)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
【0042】
図6ないし
図12に示すように、本実施形態における記録装置1には、以上説明した搬送経路の他、手差し給送トレイ129に載置された記録媒体を給送する手差し給送ユニット(第2の給送部)6Cに接続される搬送経路C2が設けられている。手差し給送ユニット6Cは、記録装置1の一側部(図中、右側部)から突出する手差しトレイ(第2の供給源)129に載置された比較的少量の記録媒体Sを内部の搬送経路へと給送するものである。手差し給送ユニット6Cによって給送された記録媒体Sの搬送経路C2は、第2カセット5Bに収容されている記録媒体Sが給送されるときのS字状の搬送経路C1と合流位置Paで合流している。給送ユニット6Cは合流位置Paの下流側に位置している搬送ローラ7まで記録媒体Sを給送する。その後、記録媒体は、搬送ローラ7とピンチローラ7aによって搬送され、第2のカセットから給送された記録媒体Sの搬送経路C1と同一の搬送経路を経て記録領域Pに達する。
【0043】
次に、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作について説明する。
図1でも説明したように、本実施形態のメンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17とを備え、所定のタイミングでこれらを作動させてメンテナンス動作を行う。
【0044】
図7は、記録装置1がメンテナンス状態のときの図である。記録ヘッド8を
図1に示す待機位置から
図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向において上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から
図7における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
【0045】
一方、記録ヘッド8を
図3に示す記録位置から
図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
【0046】
図8は、記録装置1における複数のモータと駆動ローラの対応関係を示す図である。第1給送モータ22は、第1カセット5Aから記録媒体Sを給送するための第1給送ユニット6Aに設けられた後述の第2給送ローラ42を回転させる。第2給送モータ23は、第2カセット5Bから記録媒体Sを給送するための第2給送ユニット6Bに設けられた第2給送ローラ42を回転させる。第3給送モータ136は、手差し給紙トレイ81から記録媒体Sを給送するための手差し給送ユニット6Cに設けられた第2手差しローラ132を駆動する。
【0047】
第1搬送モータ24は、第1給送ユニット6Aにより給送された記録媒体Sを最初に搬送する第1中間ローラ71Aを駆動する。第2搬送モータ25は、第2給送ユニット6Bにより給送された記録媒体Sを最初に搬送する第2中間ローラ71Bを駆動する。
【0048】
主搬送モータ26は、プラテン9の上流側に配され主に記録中の記録媒体Sを搬送する主搬送ローラ70を駆動する。また主搬送モータ26は、プラテン9下流側に配され主搬送ローラ70により搬送される記録媒体Sを更に下流側に搬送する2つの搬送ローラ7を駆動する。
【0049】
第3搬送モータ27は、第1面に記録が行われた記録媒体Sを下方に搬送する2つの搬送ローラ7を駆動する。また第3搬送モータ27は、インナーガイド19に沿って配された2つの搬送ローラ7の駆動も行う。この2つの搬送ローラ7は、第2カセット5Bから給送され第2中間ローラ71Bによって搬送された記録媒体S、または第1面に記録が行われ表裏が反転された記録媒体Sを記録ヘッド8に向けて搬送する。
【0050】
第4搬送モータ28は、記録動作が行われた後の記録媒体Sを上方または下方に搬送する2つの搬送ローラ7を駆動する。排出モータ29は、記録が行われた記録媒体Sを排出トレイ13へ排出する排出ローラ12を駆動する。このように、3つの給送モータ22、23、139、5つの搬送モータ24~28、および排出モータ29のそれぞれは、1つ以上の駆動ローラに対応づけられている。
【0051】
一方、搬送経路に沿った8箇所には、記録媒体Sの有無を検知するための検知部材20が配されている。個々の検知部材20は搬送経路を挟んで配置されたセンサとミラーによって構成され、搬送経路の一方側に発光部と受光部を有するセンサが配置され、搬送経路の他方側であってセンサと対向する位置にミラーが配置される。センサの発光部から発せられた光がミラーで反射し受光部がこれを検知したか否かによって、記録媒体Sの有無すなわち先端または後端の通過を判別する。
【0052】
搬送制御部207は、複数の検知部材20それぞれの検知結果および各駆動ローラの回転量を検知するエンコーダの出力値に基づいて、第1、第2、第3給送モータ22、23、136、搬送モータ24~28、および排出モータ29を個別に駆動する。これによって装置全体の搬送が制御される。
【0053】
(第1実施形態)
図4や
図5に示したように、記録媒体Sは第1カセット5Aや第2カセット5Bから記録領域Pまで搬送される。記録媒体Sの搬送時には、記録媒体Sと搬送経路を形成する部品との摺擦や、記録媒体Sと駆動ローラとの剥離といった動作が行われる。このとき、摺擦や剥離といった動作によって、記録媒体Sに正、もしくは負の電荷が帯電する。
【0054】
帯電した記録媒体Sが記録領域Pに搬送されると、記録媒体Sと記録ヘッド8との電位差によるクーロン力が発生する。このクーロン力によって記録媒体Sの表面上の粉塵が記録ヘッド8の吐出口面8aに付着することがある。この粉塵によって記録ヘッド8の吐出口面8aに形成されている吐出口が閉塞されると、インク滴が吐出されない不吐状態となり、画像形成が阻害される可能性がある。
【0055】
図9は、本発明の第1実施形態に係る、支持部材4と除電ユニット90の配置の模式図である。前述のように記録ヘッド8の吐出口面8aに粉塵が付着することを防ぐため、除電手段である除電ユニット90によって記録媒体Sの除電が行われる。除電ユニット90は、
図1に示した第1給送ユニット6Aから記録領域Pまでの搬送路、もしくは第2給送ユニット6Bから記録領域Pまでの搬送路のいずれか、もしくは両方に配置される。
【0056】
図9において、記録媒体Sは搬送方向Aに搬送される。記録媒体Sが第1給送ユニット6A、もしくは第2給送ユニット6Bから記録領域Pまで搬送される際に、記録媒体Sの裏面は支持手段である支持部材4によって支持される。支持部材4は、
図4~6で示したような記録媒体Sの搬送経路上において、搬送方向Aに延伸する形状で設けられ、記録媒体Sを支持する。支持部材4の表面は凹凸の形状を成しており、記録媒体Sと接触しない非当接面41と、記録媒体Sの幅方向Bに複数設けられ、記録媒体Sと接触する当接面43とを有する。当接面43と記録媒体Sとの摺動抵抗を少なくするため、当接面43の幅方向Bにおける幅(長さ)は1mm程度で構成されることが望ましい。また、当接面43は搬送方向Aに奥行を持つ構造を有している。なお、非当接面41は、支持部材4が凹凸形状を有する面において、支持部材4と記録媒体Sが接触しない箇所の総称である。
【0057】
除電ユニット90は、導通部91と除電部92からなる。導通部91は、記録装置1内の不図示の記録媒体搬送部またはアース部に接続され、電気的に導通している。除電部92は、例えば導電性のステンレス繊維等からなる毛束状のブラシで構成されている。
【0058】
除電ユニット90は、支持部材4の非当接面41と対向する位置であって、当接面43と対向しない位置に配置される。また、記録媒体Sの裏面が支持部材4の当接面43と当接しているときに、除電ユニット90は記録媒体Sの表面と対向する。記録媒体の裏面が支持部材4によって支持されているとき、除電部92は記録媒体Sの表面に対して接触するか、1mm以下の離間量において離間するように構成することが望ましい。
【0059】
図10(a)は、比較例として、除電ユニット90が支持部材4の当接面43と対向する位置に設置されている場合の除電メカニズムの模式図である。また、
図10(b)は、
図10(a)の構成において記録媒体Sが除電ユニット90を通過した後の記録媒体Sの帯電量の模式図である。
【0060】
支持部材4は、記録装置1が記録動作を行うたびに記録媒体Sと接触する。この接触により電荷が支持部材4に蓄積されるため、支持部材4の帯電量は記録媒体Sの帯電量よりも大きくなる。除電ユニット90が支持部材4の当接面43と対向する位置にも配置された場合、当接面43の帯電量と記録媒体Sの帯電量を合わせた分の帯電量が、除電ユニットによって除電される。
【0061】
この時、記録媒体Sのみの帯電量に対して、除電ユニット90によって、当接面43の帯電量分が過剰に除電される。この際、過剰に除電された電荷は、
図10(b)に示したように、記録媒体Sの表面上にとどまる。前述のように、支持部材4の帯電量は、記録媒体Sの帯電量よりも相対的に大きい。そのため除電ユニット90による除電後に記録媒体S上にとどまる電荷は、記録媒体Sが除電ユニット90を通過する前より多くなる場合がある。つまり、除電ユニット90を通過した後の記録媒体Sの帯電量が、除電ユニット90を通過する前の帯電量よりも増加する可能性がある。
【0062】
図11(a)は本実施形態において除電ユニット90が記録媒体Sを除電するメカニズムの模式図である。除電ユニット90は支持部材4の非当接面41と対向する位置であって、当接面43と対向しない位置に配置される。このとき、除電ユニット90が記録媒体Sに対して除電する領域411には、当接面43と面する部分が含まれない。そのため、除電ユニット90は、記録媒体Sが非当接面41と対向している領域411において、記録媒体Sが帯電している帯電量に応じた除電を行う。
【0063】
図11(b)は、本実施形態において記録媒体Sが除電ユニット90を通過した後の記録媒体Sの帯電量の模式図である。
図11(a)に示したように除電ユニット90を配置することによって、除電ユニット90は領域411において、記録媒体Sの帯電量のみに応じた除電を行うことができる。これによって、
図10の除電ユニット90の配置状態の場合よりも、効率的に記録媒体Sの除電を行うことができる。
【0064】
その結果、除電ユニット90を通過した後の記録媒体Sは
図10(b)の場合と比較して、より適切に除電される。そのため、記録媒体Sが記録領域Pに搬送されても、記録媒体Sと記録ヘッド8との電位差はほとんどないためにクーロン力もほとんど発生しない。したがって、記録媒体S表面上の粉塵が記録ヘッド8の吐出口面8aに付着することを抑制できる。また、記録ヘッド8の吐出口面8a付着した粉塵を取り除くメンテナンス動作の頻度も下げられるため、生産性の高い記録装置を提供することが可能となる。
【0065】
以上のように、記録媒体Sと接触する当接面43と対向しない位置に除電部92を配置することで、除電ユニット90は、記録媒体Sの除電を効率的に行うことが出来る。
【0066】
(第2実施形態)
以下に第2実施形態についての説明を行うが、前述した第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0067】
第2実施形態では、除電ユニット90を複数配置する。
図12は、除電ユニット90a、90b、90cと当接面43の配置の模式図である。記録媒体Sは幅方向B全域にわたって帯電している場合がある。そこで、本実施形態においては、除電ユニット90a、90b、90cを幅方向Bに並べて配置する。このとき、除電ユニット90a、90b、90cはそれぞれ、支持部材4の非当接面41と対向する位置であって、当接面43と対向しない位置に配置される。
【0068】
当接面43と対向する位置に除電ユニット90が配置されないため、除電ユニット90a、90b、90cは、対向する記録媒体Sの領域411a、411b、411cの帯電量に応じて除電を行う。なお、
図12においては、除電ユニット90a、90b、90cが幅方向Bに同じ幅を有しているが、隣接する当接面43の間隔(距離)が異なる場合もある。そのため、当接面43の間隔に応じて異なる幅の除電ユニット90a、90b、90cを幅方向Bにわたって配置してもよい。また、除電ユニット90の配置個数は、3個の場合に限られず、2個、もしくは4個以上設けてもよい。
【0069】
(第3実施形態)
以下に第3実施形態についての説明を行うが、前述した第1実施形態、第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図13は、1つの除電ユニット90を記録媒体全域にわたって配置した場合における、除電ユニット90と支持部材4の配置の模式図である。除電ユニット90は、単一の導通部91dが幅方向Bに複数の除電部921d、922d、923dを有する構成となっている。除電部921d、922d、923dはそれぞれ、支持部材4の非当接面41と対向する位置であって、当接面43と対向しない位置に配置される。
【0070】
このとき、除電部921d、922d、923dは、対向する記録媒体Sの領域411d、411e、411fの帯電量に応じて除電を行う。したがって、当接面43の帯電量の影響を受けずに、除電ユニット90は効率的に記録媒体Sの除電を行うことが出来る。前述のように単一の導通部に対して除電部を複数設けた除電ユニット90を、記録媒体Sの幅方向Bに複数設けてもよい。その場合には、幅方向Bに設けられた複数の除電ユニット90に配置された除電部のそれぞれが、効率的に記録媒体Sの除電を行うことができる。
【0071】
なお、いずれの実施形態においても、記録媒体Sを支持部材4に向けて付勢する付勢手段を設けてもよい。例えば、付勢手段は
図1に示す搬送ローラ7とピンチローラ7aの搬送ローラ対である。支持部材4に対して記録媒体Sの搬送方向上流側に付勢手段を配置することで、記録媒体Sを当接面43に確実に当接させることが出来る。これにより、記録媒体Sと除電ユニット90の除電部92との距離を常に同じに規定することが可能となる。
【0072】
また、前述のように付勢手段を設ける場合においては、付勢手段と記録媒体Sとの摺擦によって記録媒体Sが帯電する。そのため、付勢手段に対して記録媒体Sの搬送方向下流側に除電ユニット90を配置することが望ましい。除電ユニット90より記録媒体Sの搬送方向下流側に付勢手段を設けないことにより、記録媒体Sは除電された状態を保ったまま記録領域Pに搬送される。
【0073】
本発明はインクジェット記録方式以外の記録方式を用いた記録装置にも適用可能である。例えば、電子写真方式により記録を行う記録装置、あるいは熱転写型の記録装置など、種々の記録装置における記録媒体の給送、搬送に本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
8 記録ヘッド
4 支持部材
7 搬送ローラ
9 除電ユニット
41 非当接面
43 当接面