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特開2022-186024シュー装置、アクセサリ、アクセサリシュー装置および電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186024
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】シュー装置、アクセサリ、アクセサリシュー装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20221208BHJP
【FI】
G03B17/56 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094031
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】岡野 好伸
(72)【発明者】
【氏名】石井 賢治
(72)【発明者】
【氏名】坂本 弘道
(72)【発明者】
【氏名】周 隆之
(72)【発明者】
【氏名】林崎 ひろみ
(72)【発明者】
【氏名】池田 宏治
(72)【発明者】
【氏名】服部 裕平
(72)【発明者】
【氏名】遠山 圭
【テーマコード(参考)】
2H105
【Fターム(参考)】
2H105EE22
(57)【要約】
【課題】シュー装置における端子保護部の破損のおそれを低減する。
【解決手段】シュー装2206置は、電子機器が備えるアクセサリシュー装置に対して第1の方向Zに着脱される。シュー装置は、第1の方向に直交する第2の方向Xに並んだ複数の接続端子257と、アクセサリシュー装置に係合するシュー係合部500aと、該シュー係合部よりも第1の方向での先端側に突出して複数の接続端子を保護する端子保護部500bとを有する。アクセサリシュー装置に係合したシュー係合部は、第1および第2の方向に直交する第3の方向+Yにてアクセサリシュー装置に当接する。端子保護部における第2の方向での両側に、それぞれ第2の方向での内側から外側に向かって第3の方向とは反対方向に傾いた斜面500cが設けられている。
【選択図】図34
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が備えるアクセサリシュー装置に対して第1の方向に着脱されるシュー装置であって、
前記第1の方向に直交する第2の方向に並んだ複数の接続端子と、
前記アクセサリシュー装置に係合するシュー係合部と、
該シュー係合部よりも前記第1の方向での先端側に突出して前記複数の接続端子を保護する端子保護部とを有し、
前記アクセサリシュー装置に係合した前記シュー係合部は、前記第1および第2の方向に直交する第3の方向にて前記アクセサリシュー装置に当接し、
前記端子保護部における前記第2の方向での両側に、それぞれ前記第2の方向での内側から外側に向かって前記第3の方向とは反対方向に傾いた斜面が設けられていることを特徴とするシュー装置。
【請求項2】
前記斜面は、平斜面または曲斜面であることを特徴とする請求項1に記載のシュー装置。
【請求項3】
前記シュー装置が前記アクセサリシュー装置に対して前記第2の方向における一方に偏った状態において、前記アクセサリシュー装置に前記第3の方向にて当接した前記斜面は、前記端子保護部を前記アクセサリシュー装置に対して前記第2の方向における他方にガイドすることを特徴とする請求項1に記載のシュー装置。
【請求項4】
前記端子保護部における前記第1の方向での先端側かつ前記第2の方向での両側にそれぞれ、前記第1の方向での先端に向かって前記第2の方向での内側に傾いた第1の斜め部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシュー装置。
【請求項5】
前記アクセサリシュー装置のうち前記シュー係合部が係合する係合部材における前記第2の方向での両側にそれぞれ前記第1の方向での先端に向かって前記第2の方向での外側に傾いた第2の斜め部を有する場合において、
前記第1の斜め部の前記第1の方向に対する傾き角度である第1の角度が、前記第2の斜め部の前記第1の方向に対する傾き角度である第2の角度以上であることを特徴とする請求項4に記載のシュー装置。
【請求項6】
前記第1の角度が前記第2の角度より大きいことを特徴とする請求項5に記載のシュー装置。
【請求項7】
前記第1の斜め部は、前記アクセサリシュー装置に対して前記第1の方向から傾いた前記シュー装置の前記シュー係合部が前記アクセサリシュー装置に係合する前に前記端子保護部が単独で前記係合部材に前記第3の方向にて当接しないように設けられていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のシュー装置。
【請求項8】
前記斜面の起点である傾斜開始位置は、前記第2の方向において前記複数の接続端子の両端に配置されている接続端子よりも外側に位置していることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のシュー装置。
【請求項9】
前記第2の方向において、前記斜面の幅は前記複数の接続端子に含まれる隣接する端子間の幅よりも広いことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のシュー装置。
【請求項10】
前記斜面は、前記第1の方向の先端にかけて連続的に形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のシュー装置。
【請求項11】
前記斜面のうち前記第1の先端に形成された部分の起点となる傾斜開始位置は、前記第1の方向において前記複数の接続端子の先端よりも内側に位置していることを特徴とする請求項10に記載のシュー装置。
【請求項12】
前記シュー係合部と前記端子保護部が樹脂材料により形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のシュー装置。
【請求項13】
前記シュー係合部は金属材料により形成され、前記端子保護部は樹脂材料により形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のシュー装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のシュー装置を有することを特徴するアクセサリ。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載のシュー装置が着脱可能であることを特徴とするアクセサリシュー装置。
【請求項16】
請求項15に記載のアクセサリシュー装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に対してアクセサリを着脱可能とするために該アクセサリに設けられるシュー装置や電子機器に設けられるアクセサリシュー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置(電子機器)には、照明装置(フラッシュユニット)等のアクセサリのシュー装置が着脱可能に装着されるアクセサリシュー装置が設けられる。アクセサリシュー装置には、シュー装置と係合してこれを保持する係合部材が設けられ、アクセサリシュー装置とシュー装置のそれぞれには、撮像装置とアクセサリ間での双方向通信を可能とするための接続端子が設けられている。従来において、接続端子の数は5つであることが多い。
【0003】
これに対して、特許文献1には、撮像装置のアクセサリシュー装置に着脱可能なシュー装置を有する電子ビューファインダが開示されており、アクセサリシュー装置とシュー装置は従来の5つの接続端子(通信ピン)との互換性を維持しながら、係合部材の形状内で接続端子の数を増やしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-084681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にて開示されているような多数の接続端子を有するシュー装置において、それら接続端子の配置に必要な領域の確保を優先すると、それら接続端子を保護するための形状を設ける領域や部品間の位置決めを行うための領域が制限される。また、シュー装置にアクセサリシュー装置の係合部材に係合する部分とは別に接続端子を保護するための端子保護部を設けた場合において、該端子保護部が単独でアクセサリシュー装置の係合部材に当接した状態でアクセサリに外力がかかると、端子保護部が破損するおそれがある。
【0006】
本発明は、多数の接続端子とそれらを保護するための形状を設ける領域や、部品間の位置決めを行うための領域を確保でき、かつ端子保護部の破損のおそれを低減することが可能な小型のシュー装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのシュー装置は、電子機器が備えるアクセサリシュー装置に対して第1の方向に着脱される。シュー装置は、第1の方向に直交する第2の方向に並んだ複数の接続端子と、アクセサリシュー装置に係合するシュー係合部と、該シュー係合部よりも第1の方向での先端側に突出して複数の接続端子を保護する端子保護部とを有する。アクセサリシュー装置に係合したシュー係合部は、第1および第2の方向に直交する第3の方向にてアクセサリシュー装置に当接する。端子保護部における第2の方向での両側に、それぞれ第2の方向での内側から外側に向かって第3の方向とは反対方向に傾いた斜面が設けられていることを特徴とする。なお、上記シュー装置を備えたアクセサリも、本発明の他の一側面を構成する。また、上記シュー装置に係合するアクセサリシュー装置や該アクセサリシュー装置を備えた電子機器も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多数の接続端子とそれらを保護するための形状を設ける領域や部品間の位置決めを行うための領域を確保することができ、かつ端子保護部の破損のおそれを低減することも可能な小型のシュー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1におけるカメラおよびアクセサリの構成を示す図。
図2】実施例1においてアクセサリが装着されたカメラと、それらの接点の配置例を示す図。
図3】実施例1においてカメラに装着されたアクセサリに外力が加わる様子を示す図。
図4A】実施例1においてグラウンド接点の接続状態を判別するための構成を示す図。
図4B】実施例1においてカメラにより実行される処理を示すフローチャート。
図5】実施例1のカメラにより実行される処理を示すフローチャート。
図6】実施例1における電源接点と隣り合う接点がショートしたときの信号変化を示すタイミングチャート。
図7】実施例1におけるアクセサリの種類に対する機能信号の割り当て例を示す図。
図8】実施例1における機能信号の接続先の構成を示す図。
図9】実施例1におけるカメラとアクセサリの構成例を示す図。
図10】実施例1におけるカメラとアクセサリの他の構成例を示す図。
図11】実施例1におけるカメラとアクセサリのさらに別の構成例を示す図。
図12】実施例1におけるアクセサリの構成例を示す図。
図13】実施例1におけるカメラ、アクセサリおよび中間アクセサリの構成例を示す図。
図14】実施例1におけるカメラ、アクセサリおよび中間アクセサリの他の構成例を示す図。
図15】実施例1においてアクセサリがストロボ機器である場合のタイミングチャート。
図16】実施例1におけるカメラおよびアクセサリである外部フラッシュユニットの斜視図。
図17】実施例1におけるアクセサリシューの分解図および斜視図。
図18】実施例1におけるアクセサリシューの係合部材と接続端子コネクタの構造を示す図。
図19】実施例1における外部フラッシュユニットの斜視図と断面図。
図20】実施例1におけるカメラ接続部の内部構造を示す斜視図と正面図。
図21】実施例1におけるカメラ接続部の上面図と断面図。
図22】変形例としての外部フラッシュユニットの斜視図と断面図。
図23】変形例における接続部の内部構造を示す斜視図と正面図。
図24】実施例1におけるアクセサリシューの正面図。
図25】実施例1における接続プラグの一部の拡大図。
図26】実施例1においてアクセサリシューにカメラ接続部が装着された状態を示す正面断面図。
図27】実施例1である外部フラッシュユニットの斜視図と断面図。
図28】実施例1におけるカメラ接続部の内部構造を示す斜視図と正面図。
図29】実施例1におけるデジタルカメラと外部フラッシュユニットの斜視図と断面図。
図30】実施例1におけるトップカバーアクセサリシューを示す図。
図31】実施例1における防滴構造を示す図。
図32】実施例2におけるアクセサリシューにカメラ接続部を装着する途中の状態を示す正面図。
図33】実施例2におけるアクセサリシューの斜視図を示す図。
図34】実施例2におけるカメラ接続部の内部構造を示す斜視図と正面図。
図35】実施例2におけるアクセサリシューにカメラ接続部を装着する途中の状態を示す正面図。
図36】実施例2におけるアクセサリシューとカメラ接続部の上面図。
図37】実施例2におけるアクセサリシューにカメラ接続部を装着する途中の状態を示す正面図。
図38】実施例2におけるカメラ接続部の斜面と接続端子との位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例0011】
図1は、本発明の実施例1である電子機器としてのカメラ100とこれに着脱可能に装着されるアクセサリ200の電気的構成を示している。カメラ100とアクセサリ200は、カメラ100に設けられたカメラ接続部141の複数の接点(端子)TC01~TC21とアクセサリ200に設けられたアクセサリ接続部211の複数の接点TA01~TA21とがそれぞれ一対一で接触することで電気的に接続される。
【0012】
カメラ100は、電池111から電力を供給される。電池111はカメラ100に対して着脱が可能である。カメラ100の制御手段としてのカメラ制御回路101は、カメラ100全体を制御する回路であり、CPU等を内蔵したマイクロコンピュータにより構成される。
【0013】
システム電源回路112は、カメラ100の各回路に供給するための電源を生成する回路であり、DCDCコンバータ回路、LDO(Low Drop Out)およびチャージポンプ回路等により構成される。電池111からカメラ制御回路101には、システム電源回路112で生成された電圧1.8Vがカメラマイコン電源VMCU_Cとして常時供給される。カメラ制御回路101は、システム電源回路112を制御することで、カメラ100の各回路への電源供給のオン・オフ制御を行う。
【0014】
光学レンズ121は、カメラ100に着脱可能である。光学レンズ121を介して入射した被写体からの光は、CMOSセンサやCCDセンサ等からなる撮像センサ122上に結像される。撮像センサ122上に結像された被写体像は、デジタル撮像信号に符号化される。画像処理回路123は、デジタル撮像信号に対して、ノイズリダクション処理やホワイトバランス処理等の画像処理を行って画像データを生成し、該画像データを記録用メモリ126に記録するために、JPEG形式等の画像ファイルに変換する。また画像処理回路123は、画像データから表示回路127に表示するためのVRAM画像データを生成する。
【0015】
メモリ制御回路124は、画像処理回路123等で生成される画像データや他のデータの送受を制御する。揮発性メモリ125は、DDR3SDRAM等の高速な読み出しと書き込みが可能なメモリであり、画像処理回路123で行われる画像処理のワークスペース等に使用される。記録用メモリ126は、不図示の接続部を介してカメラ100に着脱可能なSDカードやCFexpressカード等の読み書き可能な記録メディアである。表示回路127は、カメラ100の背面に配置されたディスプレイであり、LCDパネルや有機ELディスプレイパネル等により構成される。バックライト回路128は、表示回路127のバックライトの光量を変更することで表示回路127の明るさを調整する。
【0016】
電源供給手段としてのアクセサリ用電源回路A131とアクセサリ用電源回路B132はそれぞれ、システム電源回路112より供給された電圧を所定の電圧に変換する電圧変換回路であり、本実施例ではアクセサリ電源VACCとして3.3Vを生成する。
【0017】
アクセサリ用電源回路A131は、LDO等で構成される自己消費電力が小さい電源回路である。アクセサリ用電源回路B132は、DC/DCコンバータ回路等で構成され、アクセサリ用電源回路A131よりも大きな電流を流すことができる回路である。なお、アクセサリ用電源回路B132の自己消費電力は、アクセサリ用電源回路A131よりも大きい。このため、負荷電流が小さいときにはアクセサリ用電源回路A131の方がアクセサリ用電源回路B132よりも効率が良く、負荷電流が大きいときにはアクセサリ用電源回路B132の方がアクセサリ用電源回路A131よりも効率が良くなる。カメラ制御回路101は、アクセサリ200の動作状態に応じてアクセサリ用電源回路A131とアクセサリ用電源回路B132の電圧出力のオン・オフを制御する。
【0018】
保護手段としての保護回路133は、電流ヒューズ素子、ポリスイッチ素子、または抵抗とアンプとスイッチ素子を組み合わせた電子ヒューズ回路等により構成され、アクセサリ用電源回路A131とアクセサリ用電源回路B132からアクセサリ200に供給される電源電流値が所定値を超えて過大(異常)になったときに過電流検出信号DET_OVCを出力する。本実施例では、保護回路133は電子ヒューズ回路とし、1A以上の電流が流れた場合にカメラ制御回路101に対して過電流検出信号DET_OVCにて通知を行う。過電流検出信号DET_OVCは、Hiレベルによって過電流であることを示す。
【0019】
カメラ接続部141は、一列に配列された21個の接点TC01~TC21を介してアクセサリ200と電気的な接続を行うためのコネクタである。接点TC01~TC21は、これらの配列方向の一端から他端にこの順で配置されている。
【0020】
TC01はグラウンド(GND)に接続されており、基準電位(GND電位)の接点としてだけではなく、次に説明する差動信号D1Nと差動信号D1Pの配線インピーダンスをコントロールする接点としての用途も兼ねている。TC01は第3のグラウンド接点に相当する。
【0021】
TC02に接続された差動信号D1NとTC03に接続された差動信号D1Pは、ペアとなってデータ通信を行う差動データ通信信号であり、カメラ制御回路101に接続されている。TC02、TC03、後述するTC07~TC17、TC19およびTC20は通信接点である。
【0022】
第1のグラウンド接点としてのTC04はGNDに接続されており、カメラ100とアクセサリ200の基準電位の接点となる。TC04は、次に説明するTC05よりも接点の配列方向における外側に配置されている。
【0023】
電源接点としてのTC05には保護回路133を介してアクセサリ用電源回路A131,B132で生成されたアクセサリ電源VACCが接続されている。
【0024】
装着検出接点としてのTC06にはアクセサリ装着検出信号/ACC_DETが接続されている。アクセサリ装着検出信号/ACC_DETは、抵抗素子Rp134(10kΩ)を介してカメラマイコン電源VMCU_Cにプルアップされている。カメラ制御回路101は、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETの信号レベルを読み出すことでアクセサリ200の装着有無を検出することが可能である。アクセサリ装着検出信号/ACC_DETの信号レベル(電位)がHiレベル(所定電位)であればアクセサリ200が未装着と検出され、Loレベル(後述するようにGND電位)であればアクセサリ200が装着状態と検出される。
【0025】
カメラ100の電源ON時にアクセサリ装着検出信号/ACC_DETの信号レベル(電位)がHiレベルからLoレベルになることがトリガーとなり、カメラ100とアクセサリ200との間で接点を介した各種伝達が行われる。
【0026】
カメラ制御回路101は、アクセサリ200が装着状態になったことを検出することに応じて、電源接点としてのTC05を介してアクセサリ200に対して電源供給を行う。
【0027】
TC07に接続されたSCLK、TC08に接続されたMOSI、TC09に接続されたMISOおよびTC10に接続されたCSは、カメラ制御回路101が通信マスターとなってSPI(Serial Peripheral Interface)通信を行うための信号である。本実施例では、SPI通信の通信クロック周波数は1MHzとする。
【0028】
TC11には、アクセサリ200からカメラ制御回路101に対して通信を要求するための通信要求信号/WAKEが接続されている。通信要求信号/WAKEは、抵抗を介してカメラマイコン電源VMCU_Cにプルアップされている。カメラ制御回路101は、通信要求信号/WAKEの立下りエッジを検出することでアクセサリ200からの通信要求を受信することができる。
【0029】
TC12に接続されたSDAおよびTC13に接続されたSCLは、カメラ制御回路101が通信マスターとなってI2C(Inter-Integrated Circuit)通信を行うための信号である。SDAとSCLは、カメラマイコン電源VMCU_Cにプルアップされたオープンドレイン方式での通信(以下、オープンドレイン通信という)用の信号であり、本実施例では通信周波数は100kbpsとする。I2C通信では、SDAを介してカメラ100からのデータ送信、アクセサリ200からのデータ送信の双方が行われる。SPI通信とI2C通信を比較すると、I2C通信は、SPI通信に比べて通信速度が低速であり、低消費電力での通信が可能である。また、SPI通信のほうがI2C通信よりも通信速度が高速であるためデータ量の多い情報の通信に適している。そのため、本実施例のカメラ100とアクセサリ200との通信においては、データ量の多い情報はSPI通信を用いて通信し、データ量の少ない情報はI2C通信を用いて通信する。例えばまずはI2C通信を用いてデータを通信し、このデータに基づいてSPI通信が実行可能である場合やSPI通信を実行する必要がある場合には、更にSPI通信を実行するように制御することができる。
【0030】
TC14(同期接点)に接続されたFNC1信号、TC15に接続されたFNC2信号、TC16に接続されたFNC3信号およびTC17に接続されたFNC4信号は、装着されたアクセサリ200の種類に応じて機能を変更可能な信号である。例えば、アクセサリ200がマイク機器である場合はTC15を介して通信される信号は音声データ信号となる。またアクセサリ200が照明(ストロボまたはフラッシュ)機器である場合はTC14を介して通信される信号は発光のタイミングを制御する信号となる。なお、装着されたアクセサリの種別によって、同じ接点を介して異なる機能を実現する信号が通信されるようにしても良い。例えばアクセサリ200が照明以外のアクセサリである場合に、TC14を介して発光タイミングとは異なるタイミングを制御するための同期信号が通信されるようにしても良い。TC14~TC17は機能信号接点に相当する。機能信号接点の少なくともいずれかを用いた通信を機能信号通信とも称する。
【0031】
機能信号通信は、I2C通信・SPI通信と並行して、I2C通信・SPI通信に依存しないタイミングで通信を実行することができる。
【0032】
ここでいうアクセサリ種別とは、上述のマイク機器、照明機器等である。性能が異なる照明同士のように、同じ目的の機能を実現するアクセサリは同じ種別のアクセサリである。マイク機器と照明機器のように、異なる目的の機能を実現するアクセサリは異なる種別のアクセサリである。
【0033】
機能信号通信は、I2C通信またはSPI通信によって取得された情報に基づいて実行される。
【0034】
第2のグラウンド接点(基準電位接点)としてのTC18もGNDに接続されており、TC04と同様に、カメラ100とアクセサリ200の基準電位となる接点である。
【0035】
TC19(第1の差動信号接点)に接続された差動信号D2NとTC20(第2の差動信号接点)に接続された差動信号D2Pは、それらがペアとなってデータ通信を行うデータ通信信号であり、カメラ制御回路101と接続されている。TC19とTC20とを介して、例えばUSB通信を行うことが可能である。
【0036】
TC21はGNDに接続されており、基準電位の接点としてだけではなく、差動信号D2Nと差動信号D2Pの配線インピーダンスをコントロールする接点としての用途も兼ねる。TC21は第4のグラウンド接点に相当する。接点TC01、TC04、TC06、TC18、TC21は、例えば、後述する図17に示すフレキシブル基板158のGND部に接続されていて、フレキシブル基板158のGND部がカメラ100のGNDレベルとなる金属性の部材とビス157などで固定される。GNDレベルとなる金属性の部材は例えば、係合部材151、カメラ100内部の不図示のベースプレートなどがある。
【0037】
本実施例では、クロック信号であるSCLK(第1のクロック信号)を伝達する接点(第1のクロック接点)TC07の隣に、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETが接続されている装着検出接点TC06を配置している。一般に、クロック信号の接点に隣接した接点には、クロック信号の電位変動に伴うノイズ(クロックノイズ)が伝わり、これが誤動作の要因となり得る。特に、本実施例のように接点数が多く、接点間の距離が短い構成においては、その影響がより大きくなる。そこで、SCLK接点TC07の隣に、装着検出接点TC06を配置することで、クロックノイズの影響を抑えることができる。
【0038】
アクセサリ装着検出信号/ACC_DETは、アクセサリ装着前はプルアップされているが、アクセサリ装着後はGND電位に設定される。一方、クロック信号を伝達するSCLK接点TC07は、アクセサリ装着前はクロック信号を伝達しないので、電位の変動がなく、アクセサリ装着後にのみクロック信号を伝達するために電位が変動する。
【0039】
SCLK接点TC07がクロック信号を伝達する際に、装着検出接点TC06はGND電位になっている。このため、装着検出接点TC06がクロックノイズを受けても、カメラ100やアクセサリ200の制御回路の電位は変動しにくいため、誤動作を防ぐことができる。また、装着検出接点TC06よりも離れた位置へクロックノイズが伝わるのを抑制することができる。その結果、GND端子を配置せずに済むので、接点数を増やさずにクロックノイズの影響を抑制することができる。
【0040】
また、接点(第2のクロック接点)TC13にもクロック信号としてのSCL(第2のクロック信号)が伝達される。しかし、SCLK接点TC07に伝達されるSCLKの方がSCLよりも周波数が高く、SCLK接点TC07からの方がSCL接点TC13からに比べてクロックノイズをより多く発生する。このため、装着検出接点TC06を、SCL接点TC13の隣ではなく、SCLK接点TC07の隣に配置する方が、クロックノイズによる誤動作を防ぐ効果が大きい。
【0041】
さらに、周波数の違いだけでなく、SCL接点TC13で伝達されるSCLは、I2C通信規格のクロック信号であり、信号線の電圧の変動はオープンドレイン接続で駆動される。一方、SCLK接点TC07で伝達されるSCLKは、SPI通信規格のクロック信号であり、信号線の電圧の変動はCMOS出力で駆動される。このため、SCL接点TC13の方がSCLK接点TC07に比べて電圧の変動のエッジが緩やかになりやすく、クロックノイズが発生しにくい。したがって、装着検出接点TC06を、SCL接点TC13の隣ではなくSCLK接点TC07の隣に配置する方がクロックノイズによる誤動作を防ぐ効果が大きい。
【0042】
また、第1および第2の差動信号接点TC19、TC20にもペアで差動信号D1N、D1Pを伝達して、クロック信号を伝達する場合がある。その際、SCLK接点TC07やSCL接点TC13よりも周波数が高いクロック信号(第3のクロック信号)を伝達することがある。しかし、差動信号D1N、D1Pはペア信号であるために、シングルエンド信号を伝達するSCLK接点TC07やSCL接点TC13よりもクロックノイズの放射は少ない。このため、装着検出接点TC06を、第1および第2の差動信号接点TC19、TC20の隣ではなく、SCLK接点TC07の隣に配置する方が、クロックノイズによる誤動作を防ぐ効果が大きい。
【0043】
なお、SCLK接点TC07の装着検出接点TC06とは反対側の隣に配置された接点(第1のデータ接点)TC08は、MOSI(第1のデータ信号)を伝達する。MOSIはデータ信号であるので、クロックノイズの影響を受けやすいように見える。しかし、MOSIは、SCLK接点TC07で伝達されるクロック信号と同一のSPI通信規格のデータ信号であるため、電位の変動タイミングがクロック信号と同期しており、クロックノイズの影響を受けにくい。このため、接点TC08をGND電位に固定しなくてよく、MOSI接点として用いることができる。
【0044】
アクセサリ200は、電池205を有し、該電池205からの電力供給を受けるとともに、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211を介してカメラ100からの電力供給も受ける。アクセサリ200の制御手段としてのアクセサリ制御回路201は、アクセサリ200全体を制御する回路であり、CPU等を内蔵したマイクロコンピュータである。
【0045】
アクセサリ電源回路202は、アクセサリ200の各回路に供給するための電源を生成する回路であり、DCDCコンバータ回路やLDOやチャージポンプ回路等で構成されている。アクセサリ制御回路201には、アクセサリ電源回路202で生成された電圧1.8Vがアクセサリマイコン電源VMCU_Aとして常時供給される。アクセサリ電源回路202を制御することで、アクセサリ200の各回路への電源供給のオン・オフ制御が行われる。
【0046】
充電回路204は、カメラ100から供給された電力を用いて電池205を充電するための回路である。アクセサリ制御回路201は充電動作を行うのに十分な電力をカメラ100から供給されていると判断できる場合には、充電回路204を制御して電池205への充電を行う。なお、本実施例ではアクセサリ200に電池205が装着される場合について説明しているが、電池205が装着されずにカメラ100からの給電のみでアクセサリ200が動作してもよい。この場合、充電回路204は不要となる。
【0047】
差動通信回路207は、カメラ100と差動通信を行うための回路であり、カメラ100との間でデータの送受信を行うことができる。外部通信IF回路208は、不図示の外部機器とデータ通信を行うためのIF回路であり、Ethernet通信IF、無線LAN通信IFおよび公衆ネットワーク通信IF等である。
【0048】
アクセサリ制御回路201は、差動通信回路207および外部通信IF回路208を制御することで、カメラ100から受信したデータを外部機器に送信したり外部機器から受信したデータをカメラ100に送信したりすることができる。機能回路206は、アクセサリ200の種類に応じて異なる機能を有する回路である。機能回路206の構成例についは後述する。
【0049】
外部接続端子209は、外部機器と接続するためのコネクタ端子であり、本実施例ではUSB TYPE-Cコネクタである。接続検出回路210は、外部接続端子209に外部機器が接続されたことを検出するための回路であり、アクセサリ制御回路201は接続検出回路210の出力信号を受信することで外部接続端子209への外部機器接続を検出することができる。
【0050】
電源スイッチ203は、アクセサリ200の動作をオン・オフするためのスイッチであり、アクセサリ制御回路201は電源スイッチ203が接続された端子の信号レベルを読み出すことでオンポジション、オフポジションを検出できる。
【0051】
アクセサリ接続部211は、一列に配列された21個の接点TA01~TA21を介してカメラ100と電気的な接続を行うためのコネクタである。接点TA01~TA21は、これらの配列方向の一端から他端にこの順で配置されている。
【0052】
TA01はGNDに接続されており、基準電位の接点としてだけではなく、差動信号D1Nと差動信号D1Pの配線インピーダンスをコントロールする接点としての用途も兼ねる。TA01は第3のグラウンド接点に相当する。
【0053】
TA02に接続された差動信号D1NとTA03に接続された差動信号D1Pは、それらがペアとなってデータ通信を行うデータ通信信号であり、差動通信回路207と接続されている。TA02、TA03、後述するTA07~TA17、TA19およびTA20は通信接点である。
【0054】
第1のグラウンド接点としてのTA04はGNDに接続されており、カメラ100とアクセサリ200の基準電位の接点となる。TA04は、次に説明するTA05よりも接点の配列方向における外側に配置されている。
【0055】
電源接点としてのTA05にはアクセサリ電源回路202と充電回路204が接続されており、カメラ100から供給されるアクセサリ電源VACCが接続される。
【0056】
装着検出接点としてのTA06はGNDに直接接続されており、アクセサリ200がカメラ100に装着されたときに前述したアクセサリ装着検出信号/ACC_DETをLoレベルとしてのGNDレベルにする。これにより、カメラ100にアクセサリ200の装着を検出させるための接点となる。
【0057】
TA07に接続されたSCLK、TA08に接続されたMOSI、TA09に接続されたMISOおよびTA10に接続されたCSは、アクセサリ制御回路201が通信スレーブとなってSPI通信を行うための信号である。
【0058】
TA11にはアクセサリ制御回路201からカメラ100に対して通信を要求するための通信要求信号/WAKEが接続されている。アクセサリ制御回路201は、カメラ100との通信が必要と判断した場合に、通信要求信号/WAKEをLo出力することでカメラ100に対して通信要求を行う。
【0059】
アクセサリ200が装着状態であることを検出することに応じてカメラ制御回路101からアクセサリ200に対してTC5を介した電源供給がなされると、アクセサリ制御回路201は通信要求信号/WAKEの信号レベル(電位)をHiレベルからLoレベルに変化させることで、電源供給を受けた旨をカメラ制御回路101に通知する。
【0060】
アクセサリ制御回路201は、カメラからの要求がなくとも通信要求信号/WAKEの信号レベル(電位)をHiレベルからLoレベルに変化させることで、アクセサリ200がカメラ100と通信すべき要因が発生したことを通知することができる。この構成により、カメラ制御回路101はアクセサリ200に通信すべき要因が発生したか否かを、ポーリングすることよって周期的に確認する動作を省略することができる。また、アクセサリ200は通信すべき要因が発生した場合にその旨をリアルタイムにカメラ100に通信することが可能である。
【0061】
TA12に接続されたSDAおよびTA13に接続されたSCLは、アクセサリ制御回路201は通信スレーブとなってI2C通信を行うための信号である。
【0062】
TA14(同期接点)に接続されたFNC1信号、TA15に接続されたFNC2信号、TA16に接続されたFNC3信号およびTA17に接続されたFNC4信号は、アクセサリ200の種類に応じて機能を変更可能な信号である。例えば、アクセサリ200がマイク機器である場合は音声データ信号として、またアクセサリ200がストロボ機器である場合は発光のタイミングを制御する信号となる。TA14~TA17は機能信号接点に相当する。
【0063】
第2のグラウンド接点(基準電位接点)としてのTA18もGNDに接続されており、TA04と同様に、カメラ100とアクセサリ200の基準電位の接点となる。
【0064】
TA19(第1の差動信号接点)に接続された差動信号D2NとTA20(第2の差動信号接点)に接続された差動信号D2Pは、それらがペアとなってデータ通信を行うデータ通信信号であり、外部接続端子209と接続されている。
【0065】
TA21はGNDに接続されており、基準電位の接点としてだけではなく、差動信号D2Nと差動信号D2Pの配線インピーダンスをコントロールする端子としての用途も兼ねる。TA21は第4のグラウンド接点に相当する。接点TA01、TA04、TA06、TA18、TA21は、例えば、後述する図19に示すフレキシブル基板259のGND部に接続されていて、フレキシブル基板259のGND部がアクセサリ200のGNDレベルとなる金属性の部材と不図示のビスなどで固定される。GNDレベルとなる金属性の部材は例えば、シュー取付脚251やアクセサリ200内部の不図示のベースプレートなどがある。
【0066】
図2(a)は、カメラ100の上部に設けられたアクセサリシューに配置されたカメラ接続部141に、アクセサリ(ストロボ機器)200の下部に設けられたシューに配置されたアクセサリ接続部211が接続された状態を示している。図2(b)は、カメラ接続部141における21個の接点TC01~TC21の配置例を示している。被写体側から見て右端にTC01が配置され、TC21までの21個の接点が一列に配列されている。このカメラ接続部141を有するアクセサリシューに対して、アクセサリのシューは図2(b)の上側から下側にスライドして装着される。
【0067】
図2(c)は、アクセサリ接続部211における21個の接点TA01~TA21の配置例を示している。カメラ接続部141と同様に、被写体側から見て右端にTA01が配置され、TA21までの21個の接点が一列に配列されている。通常であれば、接点TA01~TA21とそれぞれに対応する接点TC01~TC21は互いに接触する。しかし、アクセサリ200に過度の静圧や衝撃が加わると、接点間の接触が離れるおそれがある。特に、アクセサリ200において接点が並ぶ方向に対して回転方向の力が作用すると、端の接点において接触離れが生じやすい。
【0068】
図3(a)は、被写体側から見て左側からアクセサリ200に過度の静圧が加わった様子を誇張して示している。このとき、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211の接点TC21,TA21およびその近傍の接点に対してそれらの接触が離れる方向に力が働き、接触不良が生じ易くなる。一方、接点TC01,TA01およびその近傍の接点に対しては通常状態に比べてより接触する方向に力が働く。
【0069】
図3(b)は、被写体側から見て右側からアクセサリ200に過度の静圧が加わった様子を誇張して示している。このとき、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211の接点TC01,TA01およびその近傍の接点に対してそれらの接触が離れる方向に力が働き、接触不良が生じ易くなる。一方、接点TC21,TA21およびその近傍の接点に対しては通常状態に比べてより接触する方向に力が働く。
【0070】
本実施例では、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211の両端の接点であるTC01,TA01およびTC21,TA21をGNDに接続している。これにより、過度の静圧により一時的に一方の端の接点で接触不良が生じた場合においても、他方の端の接点でGND接続を確保することができる。このため、GND接続不良によってアクセサリ200の基準電位が不安定になり、その結果、各回路や電気素子がダメージを受けるおそれを低減することができる。
【0071】
また、アクセサリ接続部211の欠損故障等より、一部のGND接点がないアクセサリ200が装着された場合にはカメラ制御回路101はGND接点の一部がないことを検出することができない。このような場合には、残っているGND接点に動作電流が集中することになり、場合によってはアクセサリ200の動作不良を起こす懸念がある。
【0072】
図4Aは、アクセサリ200のGND接点の接続状態をカメラ100が検出できるようにするための構成の一例であり、図1に示した構成からグラウンド接点に関する部分を抜粋して示している。
【0073】
TC01、TC04、TC18およびTC21はそれぞれ、カメラ制御回路101の入力端子P1、P2、P3、P4に接続されており、抵抗1011Rp_g1、抵抗1021Rp_g2、抵抗1031Rp_g3および抵抗1041Rp_g4を介してカメラマイコン電源VMCU_Cにプルアップされている。また、TC01、TC04、TC18およびTC21には、SW回路1、SW回路2、SW回路3およびSW回路4がそれぞれ接続されている。
【0074】
SW回路1は、カメラ制御回路101の制御信号により駆動するスイッチ回路であり、制御信号によってオンされるとTC01がGNDと接続される。SW回路1は、例えばFETで構成され、動作オン時のインピーダンスが極力小さく、動作オフ時のインピーダンスが極力大きくなる回路が望ましい。SW回路2、SW回路3、SW回路4も、図4Aに示す通り、SW回路1と同様の構成を有する。
【0075】
図4Bのフローチャートは、図4Aに示した構成におけるグラウンド端子の接続状態を判別するシーケンスを示している。カメラ制御回路101は、コンピュータプログラムに従って本処理および後述する他の処理を実行する。Sはステップを意味する。
【0076】
S1001において、カメラ制御回路101は、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETの信号レベルをモニタし、アクセサリ200が装着されているか否かを判定する。カメラ制御回路101は、信号レベルがHiであればアクセサリ200は未装着であるとしてS1001に戻って再び検出を行い、信号レベルがLoであればアクセサリ200が装着されたとしてS1002に進む。
【0077】
S1002では、カメラ制御回路101は、SW回路1をオン、SW回路2、SW回路3およびSW回路4をそれぞれオフにする制御を行う。
【0078】
S1003では、カメラ制御回路101は、入力端子P1の電圧レベルを確認し、LoレベルであればTC01はグラウンド接点と接続していると判定し、Hiレベルであればグラウンド接点と接続していないと判定する。
【0079】
次にS1004では、カメラ制御回路101は、SW回路2をオン、SW回路1、SW回路3およびSW回路4をそれぞれオフにする制御を行う。
【0080】
S1005では、カメラ制御回路101は、入力端子P2の電圧レベルを確認し、LoレベルであればTC04はグラウンド接点と接続していると判定し、Hiレベルであればグラウンド接点と接続していないと判定する。
【0081】
次にS1006でカメラ制御回路101は、SW回路3をオン、SW回路1、SW回路2、SW回路4をそれぞれオフにする制御を行う。
【0082】
S1007でカメラ制御回路101は入力端子P3の電圧レベルを確認し、LoレベルであればTC18はグラウンド接点と接続していると判定し、Hiレベルであればグラウンド接点と接続していないと判定する。
【0083】
次にS1008では、カメラ制御回路101は、SW回路4をオン、SW回路1、SW回路2およびSW回路3をそれぞれオフにする制御を行う。
【0084】
S1009では、カメラ制御回路101は、入力端子P4の電圧レベルを確認し、LoレベルであればTC18はグラウンド接点と接続していると判定し、Hiレベルであればグラウンド接点と接続していないと判定する。
【0085】
S1010では、カメラ制御回路101は、SW回路1、SW回路2、SW回路3およびSW回路4をそれぞれオンにする制御を行う。
【0086】
このような制御を行うことで、カメラ制御回路101が装着されたアクセサリ200とのグラウンド接点の装着状態を確認することが可能となり、グラウンド接続状態に基づいてアクセサリ電源回路202への供給可否判断等を行うことができる。
【0087】
ところで、カメラ100にアクセサリ200が装着されるときにカメラ100に対してアクセサリ200が傾く等していると、複数の接点TC01~TC21、TA01~TA21のうち一部の接点のみが接触する状態となり得る。図16に示すようにカメラ100に対するアクセサリ200の装着方向をZ方向、複数の接点TC01~TC21、TA01~TA21が並ぶ方向をX方向、X方向とZ方向に直交する方向をY方向とするとき、次のような場合に一部の接点のみが接触する状況が発生するおそれがある。
【0088】
まず、図3(a)、(b)に示すように、カメラ100に対してZ方向に平行な軸回りでアクセサリ200が傾くと、複数の接点のうちカメラ100とアクセサリ200が接近している側の接点同士は接触するが、カメラ100とアクセサリ200が離れている側の接点同士が接触しない状態となる。また、図示はしていないが、カメラ100に対してY方向に平行な軸回りでアクセサリ200が傾く(捻れる)と、複数の接点のうち接触した接点側とは反対側の接点同士が離れた状態となる。
【0089】
後に図5を用いて詳しく説明するが、本実施例のカメラ100とアクセサリ200は、カメラ100にアクセサリ200が装着された状態において種々の通信に先立って装着検出処理が実行される。この際、装着検出接点TC06、TA06が接触した状態であれば装着検出処理が実行可能となる。接点TC06、TA06を介した装着検出処理が実行された後、接点(以下、通信要求接点ともいう)TC11、TA11を介してアクセサリ200からカメラ100に通信要求信号/WAKEが出力される。カメラ100は、この通信要求信号/WAKEを検出することでアクセサリ200が通信可能状態であると判断して種々の通信を行う。しかし、カメラ100へのアクセサリ200の装着が検出されたにもかかわらずカメラ100が通信要求信号/WAKEを検出できない場合には、カメラ100はアクセサリ200との通信エラーが生じていると判断する。カメラ100へのアクセサリ200の装着途中にアクセサリ200が傾いたり捻れたりすることで一時的に複数の接点のうち一部の接点のみが接触する状態となって通信エラーの発生が判断され、警告等のエラー処理が行われると、ユーザがアクセサリ200が故障していると誤解するおそれがある。
【0090】
このため本実施例では、カメラ100へのアクセサリ200の装着が検出されたにもかかわらずカメラ100が通信要求信号/WAKEを検出できない状況の発生を低減できるような接点の配置を採用している。
【0091】
前述したように、カメラ100に対してZ方向に平行な軸回りでアクセサリ200が傾くと、図3(a)に示すように接点TC01、TA01およびその近傍の接点が接触して接点TC21、TA21およびその近傍の接点が接触しない状態か、図3(b)に示すように接点TC21、TA21およびその近傍の接点が接触して接点TC01、TA01およびその近傍の接点が接触しない状態のいずれかとなる。
【0092】
本実施例では、接点TC06、TA06をアクセサリ200のカメラ100への装着検出に用いている。図3(a)に示すように接点TC01、TA01が接触している状態では、その近傍に配置された接点TC06、TA06も接触する場合が多い。このとき、通信要求接点TC11、TA11が離れている接点TC21、TA21の近傍に配置されていると、カメラ100へのアクセサリ200の装着が検出されたにもかかわらずカメラ100が通信要求信号/WAKEを検出できない状態になりやすい。
【0093】
一方、図3(b)に示すように接点TC21、TA21が接触している状態において接点TC06、TA06も接触している場合がある。この場合に、接点TC11、TA11が接点TC06、TA06よりも離れている接点TC01、TA01側に配置されていると、カメラ100へのアクセサリ200の装着が検出されたにもかかわらずカメラ100が通信要求信号/WAKEを検出できない状態になりやすい。
【0094】
これらに対して、本実施例では、以下のような接点配置を採用している。図1に示すように、装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11を、複数の接点TC01~TC21、TA01~TA21が配列された方向(以下、接点配列方向という)における最も一端側の接点TC01、TA01と最も他端側の接点TC21、TA21との間に配置している。この配置関係を第1の配置関係とする。また、装着検出接点TC06、TA06を、通信要求接点TC11、TA11と接点TC01、TA01との間に配置している。この配置関係を第2の配置関係とする。そして接点配列方向において、装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11との間の距離を、通信要求接点TC11、TA11と接点TC21、TA21との間の距離よりも短くしている。この配置関係を第3の配置関係とする。なお、本実施例では、接点TC01~TC21、TA01~TA21は等ピッチで配列されているため、ここにいう接点間の距離は、該接点間に配置された他の接点の数と言い換えてもよく、距離が短い(長い)とは他の接点の数が少ない(多い)と言い換えることができる。
【0095】
さらに本実施例では、接点配列方向において、通信要求接点TC11、TA11と接点TC01、TA01との間の距離を、通信要求接点TC11、TA11と接点TC21、TA21との間の距離以下としている。この配置関係を第4の配置関係とする。特に本実施例では、通信要求接点TC11、TA11を接点TC01~TC21、TC01~TC21の中央に配置して、通信要求接点TC11、TA11と接点TC01、TA01との間の距離と、通信要求接点TC11、TA11と接点TC21、TA21との間の距離を互いに等しくしている。なお、通信要求接点TC11、TA11を必ずしも接点TC01~TC21、TC01~TC21の中央に配置しなくてもよいが、中央付近に配置することが好ましい。
【0096】
加えて、本実施例では、接点配列方向において、装着検出接点TC06、TA06と接点TC01、TA01との間の距離を、装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11との間の距離以上としている。この配置関係を第5の配置関係とする。特に本実施例では、装着検出接点TC06、TA06を通信要求接点TC11、TA11と接点TC01、TA01との間の中央に配置して、装着検出接点TC06、TA06と接点TC01、TA01との間の距離と、装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11との間の距離とを互いに等しくしている。なお、装着検出接点TC06、TA06を必ずしも通信要求接点TC11、TA11と接点TC01、TA01間の中央に配置しなくてもよいが、中央付近に配置することが好ましい。
【0097】
以上のような接点配置により、図3(a)に示す傾き状態で装着検出接点TC06、TA06が接触すれば通信要求接点TC11、TA11も接触する可能性が高くなり、図3(b)に示す傾き状態では通信要求接点TC11、TA11が接触しても装着検出接点TC06、TA06は接触しない可能性が高くなる。この結果、どちらの状態に傾いても、カメラ100へのアクセサリ200の装着検出が行われたにもかかわらずカメラ100が通信要求信号/WAKEを検出できないという状況の発生を低減することができる。
【0098】
ここで、比較例として、接点TC06、TA06と接点TC11、TA11の位置が入れ替わった場合について説明する。すなわち、接点TC11、TA11を装着検出に用い、接点TC06,TA06を通信要求信号/WAKEの検出に用いる場合について説明する。この構成では、アクセサリ200がカメラ100に対して傾いて接点TC01、TA01およびその近傍の接点が接触しない状態になると、装着検出用の接点TC11、TA11は接触するが通信要求信号/WAKE用の接点TC06、TA06は接触せず通信エラーとなる場合がある。
【0099】
このため、通信エラーを回避するためには、本実施例のように、通信要求信号/WAKE用の接点よりも装着検出用の接点を接点配列方向の一端側に配置することが好ましい。
【0100】
なお、後述する図20(a)~(c)および図23に示すようにアクセサリ200が複数の接点を、樹脂材料等の非導電性材料で形成される保持部材としての接続プラグ256で保持する構成において、該接続プラグ256が図中の下側(カメラ接続部141への接触方向)に向かって凸形状を有する場合がある。このような場合、複数の接点のうち接点配列方向の一端側の接点は接触するが、他端側の接点が接触しない状態がより発生しやすい。しかし、本実施例のような接点配置を採用することで、カメラ100へのアクセサリ200の装着時に一部の接点が非接触となっても、通信エラーの発生を低減することができる。
【0101】
さらに前述したように、カメラ100に対してY方向に平行な軸回りでアクセサリ200が捻れると、複数の接点のうち接点配列方向の一端側の接点は接触するが、他端側の接点が接触しない状態となり得る。このような状態がカメラ100へのアクセサリ200の装着過程において生じると、複数の接点の接触タイミングにずれが生じる。接触タイミングのずれが大きいと、カメラ100へのアクセサリ200の装着検出からWAKE検出までのタイムラグが長くなり、この結果、通信エラーと判断されるおそれがある。このとき、アクセサリ200の捻れの方向に応じて、接点TC01、TA01側が先に接触し始める状態になるか、接点TC21、TA21側が先に接触し始める状態になる。
【0102】
接点TC01、TA01側から接触し始める場合において通信要求接点TC11、TA11が接点TC21,TA21に近いほど、アクセサリ200の装着検出から通信要求信号/WAKEの検出までのタイムラグが長くなる。タイムラグが長いほど、通信エラーと判断されやすくなる。一方、接点TC21,TA21側から接触し始める場合において装着検出接点TC06、TA06よりも接点TC01、TA01側に通信要求接点TC11、TA11が配置されていると、アクセサリ200の装着検出から通信要求信号/WAKEの検出までのタイムラグが生じる。
【0103】
これらに対して、本実施例では、前述した接点配置を採用することで、どちらの端側の接点から接触し始める場合でも、アクセサリ200の装着検出から通信要求信号/WAKEの検出までのタイムラグを短くすることができる。
【0104】
さらに本実施例では、装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11との間の位置に、カメラ100とアクセサリ200間のSPI通信(第2の通信方式での通信)に用いられる接点TC07、TA07~TC10、TA10を配置している。また、通信要求接点TC11、TA11に対して装着検出接点TC06、TA06とは反対側にて近接する位置に、カメラ100とアクセサリ200間のI2C通信(第1の通信方式での通信)に用いられる接点TC12、TA12、TC13、TA13を配置している。
【0105】
カメラ100とアクセサリ200との間の通信は、カメラ100が通信要求信号/WAKEを検出した後で実行される。このため、カメラ100とアクセサリ200間で通信が実行されるまでは、該通信に用いられる接点の接触が確認されない。これに対して本実施例では、装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11がそれぞれ接触していれば、それらの間および近傍に配置された通信用の接点TC07、TA07~TC10、TA10、TC12、TA12、TC13、TA13も接触しているとみなすことができる。
【0106】
なお、装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11の間の位置の方がより確実に接触しているとみなすことができる。このため、I2C通信よりも後に実行されるSPI通信に用いる接点を装着検出接点TC06、TA06と通信要求接点TC11、TA11の間の位置に配置することが好ましい。
【0107】
なお、図4や詳細な説明は後述する図12、20に示すように、アクセサリ200の構成としてカメラ100よりも接点数が少ない構成も考えられる。このような構成であっても装着検出接点と通信要求接点は必要な接点であり、カメラ100と接点数が等しい構成と同様の思想で装着検出接点と通信要求接点を配置することが好ましいが、前述した第1~5の配置関係の一部を満たしていなくてもよい。例えば、図4に示すように接点TA21を有していない構成を考える。この構成の場合、接点配列方向において、通信要求接点TA11と接点TA01との間の距離は、通信要求接点TA11と接点TA20との間の距離よりも長くなる。すなわち、前述した第4の配置関係を満たさない。また、例えば、図12に示すように接点TA01~TA03、TA19~21を有していない構成を考える。この構成の場合、接点配列方向において、装着検出接点TA06と接点TA04との間の距離は、装着検出接点TA06と通信要求接点TA11との間の距離よりも短くなる。すなわち、前述した第5の配置関係を満たさない。以上のように、アクセサリ200の端となる接点の位置がカメラ100の端となる接点の位置と異なる構成では、前述した第1~5の配置関係の一部を満たさない場合がある。そのような場合、装着状態にてカメラ100の端となる接点と対向する位置をアクセサリ200の端となる接点の位置と仮定して前述した第1~5の配置関係を満たすように装着検出接点と通信要求接点を配置すればよい。あるいは、図20に示す突起部256aのように端となる接点からの距離の代わりに、突起部256aからの距離を考慮して前述した第1~5の配置関係を満たすように装着検出接点と通信要求接点を配置すればよい。 図5(a)のフローチャートは、アクセサリ200がカメラ100に装着されたときにカメラ制御回路101が実行する処理を示している。
【0108】
S401において、装着検出手段としてのカメラ制御回路101は、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETの信号レベルをモニタし、アクセサリ200が装着されているか否かを判定する。カメラ制御回路101は、信号レベルがHiであればアクセサリ200は未装着であるとしてS401に戻って再び検出を行い、信号レベルがLoであればアクセサリ200が装着されたとしてS402に進む。
【0109】
S402では、カメラ制御回路101は、アクセサリ用電源回路A131の出力をオンするために電源制御信号CNT_VACC1をHiレベルにしてS403に進む。アクセサリ用電源回路A131は、電源制御信号CNT_VACC1がHiになることに応じてアクセサリ電源VACCを出力する。
【0110】
S403では、カメラ制御回路101は、過電流検出信号DET_OVCの信号レベルをモニタし、過電流が流れているか否かを判定する。カメラ制御回路101は、信号レベルがLoであれば過電流は流れていないとしてS404に進み、信号レベルがHiであれば過電流が流れたとしてS405に進んでエラー処理を行う。
【0111】
図6(a)は、図5(a)の処理においてS404まで進んだ場合の上記信号の変化を模式的に示している。IACCはアクセサリ電源VACCの電流である。S402において電源制御信号CNT_VACC1がHiにされた後にアクセサリ電源VACCが正常に立ち上がっているため、過電流検出信号DET_OVCはLoレベルのままとなっている。
【0112】
図6(b)は、図5(a)の処理においてS405まで進んだ場合の上記信号の変化を模式的に示している。S402において電源制御信号CNT_VACC1がHiにされた後にIACCに過電流が流れたために、過電流検出信号DET_OVCがHiレベルに変化してカメラ制御回路101に通知する。カメラ制御回路101は、過電流検出信号DET_OVCの通知を受けると、エラー処理としてアクセサリ用電源回路A131,B132の出力をオフにしてアクセサリ200への電源供給を停止させる。このように、アクセサリ電源VACCに過電流が流れた場合でも、カメラ制御回路101が過電流を検出して安全にシステムを停止させることが可能となっている。
【0113】
通常ではアクセサリ電源VACCに異常電流が流れるようなケースは、カメラ100とアクセサリ200の故障が想定されるが、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211は外部に露出しているために、金属片等の異物が付着して隣り合う接点同士がショートする可能性もある。
【0114】
本実施例では、アクセサリ電源VACCは電圧3.3Vであるのに対して、カメラマイコン電源VMCU_Cとアクセサリマイコン電源VMCU_Aは電圧1.8Vである。このため、仮に電圧1.8Vで動作している電気素子に電圧3.3Vが印加されると、該電気素子がダメージを受ける懸念がある。また、ショート後の挙動は該電気素子の特性によるため、カメラ制御回路101は端子間のショートを必ずしも検出できない可能性がある。例えば、I2C通信信号は通信待機状態には信号がHiレベルであるため、信号電圧1.8V以上の3.3V電圧とショートをしたとしても、接続先の電気素子の特性によっては異常を検出できない場合がある。
【0115】
これに対し、本実施例では、アクセサリ電源VACCの接点TC05,TA05の両隣のうち一方にGND接点TC04,TA04を配置し、他方にはアクセサリ装着検出信号/ACC_DETの接点TC06,TA06を配置している。先に説明したようにアクセサリ装着検出信号/ACC_DETはアクセサリ200内でGNDに接続されている。このため、接点間のショートが発生した場合でも、1.8Vで動作している素子に3.3Vが印加されることなく、過電流を検出して安全にシステムを停止することができる。
【0116】
また、先に述べたように、GND接点が接続していない状態でアクセサリ電源VACCを供給すると、アクセサリ200の基準電位が不安定になり、その結果、各回路や電気素子がダメージを受けるおそれがある。機器操作上、コネクタ端子の接触が不安定になるほどの外力が加わる場合がある。これに対して、本実施例のようにアクセサリ電源VACC接点とGND接点を隣接させることで、アクセサリ電源VACC接点とGND接点を離れた端子に配置するよりも、相対的にアクセサリ電源VACC接点だけが接続している状態になりにくくすることができる。
【0117】
なお、本実施例ではアクセサリ装着検出信号/ACC_DETをアクセサリ200内でGND接続しているが、図9に示すアクセサリ200のように、抵抗素子Rd231を介してGND接続する構成としてもよい。抵抗Rd231を介したGND接続とすることで、ショート電流を小さくすることができる。
【0118】
この場合は、カメラマイコン電源VMCU_Cの電圧1.8Vを抵抗素子Rp134と抵抗素子Rd231で分圧した電圧(Rd/(Rp+Rd))×1.8Vが、カメラ制御回路101のLoレベル閾値(Vil)を満足する抵抗値の抵抗素子Rd231を選定する必要がある。例えば、カメラ制御回路101のLowレベル検出閾値(Vil)が電源電圧の0.33倍である場合は、抵抗素子Rd231の抵抗値は抵抗素子Rp134(10kΩ)の1/2以下とする必要がある。図9の例では、抵抗素子Rd231の抵抗値を5kΩとしている。
【0119】
図5(b)は、図9に示した構成を有するアクセサリ200がカメラ100に装着されたときにカメラ制御回路101が実行する処理を示している。S411~S413はそれぞれ、図5(a)に示したS401~S403と同じであるため説明を省略する。
【0120】
S413の後のS414では、カメラ制御回路101は、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETの信号レベルをモニタし、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETの接点TC06,TA06がアクセサリ電源VACCの接点TC05,TA05とショートしているか否かを判定する。カメラ制御回路101は、信号レベルがLoであればショートしていないとしてS415に進み、信号レベルがHiであればショートしているとしてS416に進んでエラー処理を行う。
【0121】
図6(c)は、抵抗素子Rd231(5kΩ)を追加した図9の構成を有するアクセサリ200において、アクセサリ電源VACCとアクセサリ装着検出信号/ACC_DETがショートした場合の上記信号の状態を模式的に示している。S402において電源制御信号CNT_VACC1がHiにされた後、抵抗素子Rd231により電流が制限されるためにIACCには過電流が流れない。
【0122】
一方、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETにはアクセサリ電源VACCの電圧が印加されることになる。カメラ制御回路101は、割り込み処理等によりアクセサリ装着検出信号/ACC_DETの信号レベルがHiになり次第、エラー処理として電源制御信号CNT_VACC1をLoにしてアクセサリ電源VACCの出力(アクセサリ200への電源供給)を停止させる。これにより1.8Vで動作している素子の端子に3.3Vを印加し続けることなく、安全にシステムを停止することができる。
【0123】
また、図10に示すように、アクセサリ200を、アクセサリ装着検出信号/ACC_DETがスイッチ手段としてのNPN型トランジスタ212を介してアクセサリ制御回路201によりLoレベル(GND電位)となるように制御される構成としてもよい。図1に示す構成では、アクセサリ200をカメラ100に装着すればカメラ制御回路101はアクセサリ200を常に検出できるが、図10の構成にすればアクセサリ制御回路201が任意のタイミングでアクセサリ200のカメラ100への装着を通知することができる。
【0124】
さらに、図11に示すように、アクセサリ200を、NPN型トランジスタ212に直列に抵抗素子Rd231を接続した構成としてもよい。この場合は、図1の構成と同様に、抵抗値は抵抗素子Rp134(10kΩ)の1/2以下とする必要がある。
【0125】
以上説明したように、本実施例によれば、電源接点とこれに隣接する接点とがショートしても、カメラ100とアクセサリ200からなるシステムの安全性を保ち、それらに対するダメージを抑えることができる。
【0126】
図7は、アクセサリ200の種類(ここでは、マイク機器とストロボ機器)ごとに接点TC14~TC17と接点TA14~TA17に接続される機能信号としてのFNC1信号~FNC4信号の機能の例を示している。
【0127】
マイク機器においては、FNC2信号~FNC4信号をデジタル音声(I2S: Inter-IC Sound規格)データバスとして使用して音声データの転送を行う。図8(a)は、アクセサリ200がマイク機器である場合における機能回路206の構成例を示している。
【0128】
機能回路206内の音声処理回路206A1は、マイク206A2から入力された音声信号をデジタル音声(I2S)データ形式に変換するコーデック回路であり、アクセサリ制御回路201によって制御される。アクセサリ制御回路201は、音声処理回路206A1を制御することでサンプリング周波数および分解能を設定可能である。本実施例では、サンプリング周波数は48kHz、分解能は32bitとする。マイク206A2は、例えば、MEMS-ICマイクやエレクトレットコンデンサマイクである。
【0129】
TA14は、FNC1信号でI2Sデータバスとして非使用であり、GNDに接続されている。本実施例では非使用の機能信号をGND接続にしているが、これに限らず、電源電位や信号のLレベル(ロー電位)またはHレベル(ハイ電位)のようにGND電位(0V)以外の安定した電位である基準電位への接続としてもよい。
【0130】
TA15(DATA接点)に接続されたFNC2信号は、音声データ信号(DATA)であり、アクセサリ200からカメラ100に対して出力される信号である。
【0131】
TA16(LRCLK接点)に接続されたFNC3信号は、音声チャンネルクロック信号(LRCLK)であり、アクセサリ200からカメラ100に対して出力される信号である。
【0132】
TA17(BCLK接点)に接続されたFNC4信号は、音声ビットクロック信号(BCLK)であり、カメラ100からアクセサリ200に対して出力される信号である。
【0133】
本実施例では、上述したようにサンプリング周波数は48kHz、分解能は32bitであるため、LRCLKの周波数は48kHz、BCLKの周波数は3.072MHzとなる。DATAはCLKの1/2周期である、1.536MHzが最大周波数となる。
【0134】
本実施例の接点配置においては、機能信号が接続される機能信号接点のうち周波数が最も高くなるFNC4信号(BCLK)が接続される接点TA17,TC17の隣に、基準電位であるGND電位に接続される基準電位接点TA18,TC18が配置されている。アクシューインターフェースへの信号配線はフレキシブル基板を用いた構成が一般的である。また、製品コストを抑えるために、フレキシブル基板が片面仕様の場合もあり、接点配置と同じ並びで基板配線がされる。本実施例においては、機能信号のうち周波数が最も高くなる信号が接続された機能信号接点の隣に基準電位接点であるGND接点が配置されている。これにより、機能信号接点からの放射ノイズ(EMI)及び、他の接点に接続される信号への干渉やI2Sデータバス以外の信号とのクロストークを抑制することができる。
【0135】
なお、本実施例では周波数が最も高くなるFNC4信号(BCLK)が接続する接点TA17,TC17の隣の接点TA18,TC18を基準電位であるGND電位に接続にしているが、これに限らず、GND電位以外の安定した基準電位への接続であっても同様な効果が得られる。
【0136】
図8(b)は、図8(a)に対して音声データを増やす場合の構成を示す例である。音声データを増やすのは、チャンネル数や分解能を増やすことを目的としている。
【0137】
TA17に接続されたFNC4信号は、音声ビットクロック信号(BCLK)であり、図8(a)と同様としている。
【0138】
一方、TA14に接続されたFNC3信号は、音声チャンネルクロック信号(LRCLK)であり、アクセサリ200からカメラ100に対して出力される信号である。
【0139】
TA15に接続されたFNC2信号は、音声データ信号(DATA2)であり、アクセサリ200からカメラ100に対して出力される信号である。
TA16に接続されたFNC1信号は、音声データ信号(DATA2)として、アクセサリ200からカメラ100に対して出力する信号として動作する。
【0140】
このように、音声データ量を増やすために音声データ信号を追加して、2つの信号を使う構成とする場合に、周波数が高い信号から順番にGND端子の近くに配置することで、相対的にクロストークを防ぐ効果が高い構成とすることができる。
【0141】
図8(c)は、アクセサリ200がストロボ機器である場合における機能回路206の構成例を示している。機能回路206内の発光回路206B1は、IGBTやトリガコイル等によって構成されるストロボ発光回路であり、発光部206B2の発光制御を行う。発光部206B2は、キセノン管等で構成され、被写体に照射される照明光を発する。充電回路206B3は、トランス、スイッチングFETおよびコンデンサ等で構成され、発光部206B2を発光させるための電荷を蓄積する。
【0142】
TA14に接続されたFNC1信号は、発光部206B2の発光タイミングを制御するための発光同期信号(STARTX)であり、カメラ100からアクセサリ200に対して出力される信号である。FNC2信号~FNC4信号は、ストロボ機器では非使用であり、これらの接点には信号が接続されていない。
【0143】
本実施例では非使用の機能信号接点を非接続(OPEN)にしているが、これに限らず、接点TA15~TA17の接続先である接点TC15~TC17に合わせて、電源電位や信号のLレベルまたはHレベルのような安定した基準電位への接続としてもよい。
【0144】
ストロボ機器においては、機能信号のうち使用するのはFNC1信号のみである。また、発光同期信号(STARTX)は周期的に発生する信号ではないが、マイク機器の接続時にはカメラ100がFNC1信号にGNDを割り当てることで、カメラ制御回路101の構成が複雑にならないようにすることができる。
【0145】
以下、本実施例の接点配置のさらなる特徴について説明する。第1の信号接点としての接点TC12,TA12に接続されるSDA(第1の信号)と、第2の信号接点としての接点TC13,TA13に接続されるSCL(第2の信号)はともにI2C通信用の信号である。これら信号はオープンドレイン通信によって伝達される。SDAもSCLも共にカメラマイコン電源VMCU_Cにプルアップされているため、通信待機時においては比較的インピーダンスが高い信号であり、クロストークの影響を受けやすい。
【0146】
このため、本実施例では、SDA接点TC12,TA12の隣の第4の信号接点としての接点TC11,TA11に通信要求信号(第4の信号)/WAKEが割り当てられている。前述したように通信要求信号/WAKEは、アクセサリ200からカメラ100に対して通信要求を行う信号である。
【0147】
図15(a)は、アクセサリ200からカメラ100に対して通信要求を行い、I2C通信を実施するタイミングを示す。図15(a)に示すように、通信要求信号/WAKEは、SCLおよびSDAによるI2C通信の前に、信号レベルがHiレベルからLoレベルへと変化する。この変化に応じてI2C通信が行われるためである。そこで、通信要求信号/WAKEの接点TC11、TA11を、I2C通信のためのSDA接点およびSDA接点と隣接して配置させることで、通信要求信号/WAKEのSDAに対するクロストークが生じないようにすることができる。
【0148】
また、図15(a)に示すように、I2C通信の後に通信要求信号/WAKEの信号レベルをLoレベルからHiレベルへと変化させるように制御することにより、通信要求信号/WAKEのSDAに対するクロストークが生じないようにすることができる。
【0149】
また、SCL接点TC13,TA13の隣の第3の信号接点としての接点TC14,TA14にはFNC1信号が割り当てられている。前述したようにマイク機器においてはFNC1信号にGNDが割り当てられているため、SCLに対するクロストークも生じないようにすることができる。
【0150】
さらにストロボ機器においては、SCL接点TC13,TA13の隣の接点TC14,TA14にFNC1信号としての発光同期信号(STARTX:第3の信号)が割り当てられる。図15(b)は、アクセサリ200からカメラ100に対して通信要求を行い、I2C通信とストロボ発光を行うタイミングを示している。図15(b)に示すように、発光同期信号が出力されるタイミング(期間)では、ストロボ発光の制御を最優先に処理するためにカメラ100とアクセサリ200間でI2C通信を行わない。言い換えれば、発光同期信号は、I2C通信中の前(または後)に信号レベルが変化するが、I2C通信中は信号レベルが変化しない信号である。これにより、発光同期信号のSCLに対するクロストークが生じないようにすることができる。
【0151】
このように、本実施例では、SDA接点とSCL接点の両隣のうち一方にSTARTX接点を配置し、他方に/WAKE接点を配置することで、良好なI2C通信を可能としている。
【0152】
また、本実施例では、SDA接点TC12,TA12の隣の接点TC11,TA11に接続される通信要求信号/WAKEを、SDAと同様にオープンドレイン方式の信号としている。通信要求信号/WAKEをプッシュプル方式にした場合と比較して、通信要求信号/WAKEの信号レベルが変化したときのSDAに対するクロストークを抑えることができる。
【0153】
SCLK接点TC07,TA07に接続されたSCLKは、SPI通信のクロック信号であり、本実施例では1MHzの駆動周波数で動作する。本実施例においては、SCLK接点TC07,TA07の隣の装着検出接点TC06,TA06をアクセサリ装着検出信号/ACC_DETの伝達に用いる。先にも述べたようにアクセサリ装着検出信号/ACC_DETはカメラ100にアクセサリ200が装着されるとGND相当の電位となる信号である。このため、このような接点配置にすることで、SCLKとSPIバス以外の信号とのクロストークを防ぐことができる。
【0154】
SCLK接点TC07,TA07のもう一方の隣の接点TC08、TA08に接続されたMOSIは、SPI通信によってカメラ制御回路101からアクセサリ制御回路201へ送信されるデータ信号である。一般にSPI通信におけるMOSIの出力レベルが変化するタイミングは、SCLKの出力レベルが変化するタイミングに同期している。このため、SCLK接点TC07,TA07の隣にMOSI接点TC08、TA08を配置することで、SCLKとMOSIの相互間でのクロストークを抑制することができる。
【0155】
MOSI接点TC08、TA08のもう一方の隣の接点TC09、TA09に接続されたMISOは、SPI通信においてアクセサリ制御回路201からカメラ制御回路101に送信されるデータ信号である。一般にSPI通信におけるMISOの出力レベルが変化するタイミングは、MOSIと同様にSCLKの出力レベルが変化するタイミングに同期している。このため、MOSI接点TC08、TA08の隣にMISO接点TC09、TA09を配置することで、MOSIとMISOの相互間でのクロストークを抑制することができる。
【0156】
MISO接点TC09、TA09のもう一方の隣の接点TC10、TA10に接続されたCSは、SPI通信においてカメラ制御回路101からアクセサリ制御回路201へ送信される通信要求信号である。一般にSPI通信におけるCSは、通信要求を行ってから通信が完了するまでは一定の出力レベルを保持する。このため、MISO接点TC09、TA09の隣にCS接点TC10、TA10を配置することで、MISOに対するクロストークを抑制することができる。
【0157】
CS接点TC10、TA10のもう一方の隣の接点TC11、TA11に接続された通信要求信号/WAKEは、アクセサリ制御回路201からカメラ制御回路101に対して通信要求を行う信号である。先に説明したように通信要求信号/WAKEはオープンドレイン方式の信号であるため、比較的クロストークの影響を受けやすい信号である。このため、本実施例では、相対的に信号レベルの変化の頻度が低いCSの接点TC10、TA10を通信要求信号/WAKEの接点TC11、TA11に隣接させることで、通信要求信号/WAKEに対するクロストークを抑制することができる。
【0158】
また、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211の両端およびその近傍(以下、これらをまとめて両端側という)に位置する接点TC01~TC03,TA01~TA03と接点TC19~TC21,TA19~TA21には、インピーダンスコントロールが必要な差動信号を接続している。アクシューインターフェースへの信号配線はフレキシブル基板を用いた構成が一般的である。フレキシブル基板で所望の配線インピーダンスを実現するためには、差動信号のライン間や並走する配線するGNDとの間隔を一定に保つ必要がある、また、両面使用の基板においては差動信号の裏側にメッシュ状のGND配線を形成することが一般的である。このようにインピーダンスコントロールが必要な信号配線は、シングルエンドの一般的な信号と比べて相対的に配線設計上の制約が大きくなる。
【0159】
これに対して本実施例では、インピーダンスコントロールが必要な差動信号を、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211の両端側に位置する接点に接続することで、他の信号との関わり相対的に低くして、配線設計の自由度を高めている。
【0160】
また、差動信号は、USBやPCIeのような数100Mpbs~数Gbps程度の高速転送が可能であり、大容量のデータを機器間での転送に適している。一方、アクセサリ200の種類によっては差動信号を用いない場合もある。このように差動信号を用いないアクセサリでは、差動信号に割り当てられる接点は不要であるため、接点を削除したほうがアクセサリのコストを下げることができる。
【0161】
図12は、図1に示したアクセサリ200の構成を変更した例を示している。具体的には、接点TA01~TA03,TA19~TA21とそれらに接続される信号および回路を省いた構成を有する。すなわち、図12のアクセサリ200は15個の接点を有する。図12の構成では、カメラ接続部141の両端側に位置する接点TC01~TC03とTC19~TC21に差動信号を割り当てる。一方、差動信号が不要なアクセサリ200ではアクセサリ接続部211における差動信号用の接点をなくして、該アクセサリ200に必要な接点のみを含む接点配置を採用している。
【0162】
また図12のアクセサリ200では、カメラ接続部141とアクセサリ接続部211における両端に近い接点TC04,TA04および接点TC18,TA18をGND接点としている。このような接点配置にすることで、カメラ接続部141の一部の接点と接続されるアクセサリ200においても、アクセサリ接続部211の両端接点をGND接点にすることができる。これにより、アクセサリ200に過度の静圧や衝撃が加わった場合にもGND接点の接触が離れることを防ぐことができる。
【0163】
ここまでは、アクセサリ200をカメラ100に直接装着する場合について説明したが、次に図13を用いて、カメラ100とアクセサリ200との間に中間アクセサリ300を装着する場合ついて説明する。カメラ100とアクセサリ200の構成には前述した通りである。中間アクセサリ300としては、カメラ100とアクセサリ200の距離を延ばすための延長ケーブルや、カメラ100に対して複数のアクセサリを同時装着するためのアダプタ等がある。本実施例では、中間アクセサリ300が延長ケーブルである場合について説明する。図13の構成では、中間アクセサリ300がアクセサリに相当し、アクセサリ200が他のアクセサリに相当する。
【0164】
中間アクセサリ300は、カメラ100とアクセサリ200のそれぞれに装着可能なカメラ用シューとアクセサリ用シューとを有し、それぞれにカメラ側中間接続部311とアクセサリ側中間接続部312が設けられている。カメラ側中間接続部311は、一列に配列された21個の接点TM01~TM21を有し、カメラ100と電気的な接続を行うためのコネクタである。接点TM01~TM21はそれぞれ、カメラ接続部141における接点TC01~TC21と一対一に接触する。
【0165】
一方、アクセサリ側中間接続部312は、一列に配列された21個の接点TN01~TN21を有し、アクセサリ200と電気的な接続を行うためのコネクタである。接点TN01~TN21はそれぞれ、アクセサリ接続部211における接点TA01~TA21と一対一に接触する。
【0166】
このような接点配置を中間アクセサリ300にて行うことで、アクセサリ200をカメラ100に直接装着した場合と同様の電源供給や通信を行うことができる。このとき、中間アクセサリ300はカメラ100から電源供給を受けてもよいし、カメラ100からの電源供給をそのままアクセサリ200に伝達させるようにしてもよい。本実施例における電源供給は、カメラ100からの電源供給をそのままアクセサリ200に伝達させるような、アクセサリ300には電源供給されていない場合も含む。
【0167】
なお、図13ではカメラ側中間接続部311の接点数をカメラ接続部141の接点数と同じとし、またアクセサリ側中間接続部312の接点数をアクセサリ接続部211の接点数と同じとしているが、必ずしもそれぞれを同数にする必要はない。
【0168】
図14は、アクセサリ200と中間アクセサリ300の構成を図13の構成から変更した例を示す。カメラ接続部141の両端側の接点TC01~TC03,TC19~TC21には差動信号が接続されているが、アクセサリ200の機能によっては差動信号が不要な場合もある。図14の構成では、カメラ側中間接続部311およびアクセサリ側中間接続部312とアクセサリ接続部211から差動信号が接続される接点をなくしている。すなわち、図14の中間アクセサリ300とアクセサリ200はそれぞれ15個の接点を有する。これにより、中間アクセサリ300とアクセサリ200に必要な接点のみを含む接点配置を採用している。
【0169】
続いて、カメラ100とアクセサリ200の一例である外部フラッシュユニット120との接続構造を詳細に説明する。
【0170】
図16(a)は、斜め背面側から見たカメラ100を示す。図16(b)は、カメラ100のアクセサリシュー1123への外部フラッシュユニット120の装着方法を示している。図16(c)は、カメラ100に外部フラッシュユニット120が装着された状態を斜め背面側から見て示している。
【0171】
撮像光学系はカメラ100の正面側(被写界側)に設けられ、画像表示部107はカメラ100の背面側に設けられている。カメラ100の上面部には外装部材としてのトップカバー150が設けられており、トップカバー150に対してアクセサリシュー1123が配設されている。一方、外部フラッシュユニット120において、カメラ接続部1206は外部フラッシュユニット120の底部に設けられている。
図16(b)に示すように、カメラ100に対して外部フラッシュユニット120をZ方向前側(第1の方向における装着側、装着方向前側に相当)に平行にスライドさせてカメラ接続部1206とアクセサリシュー1123とを係合させる。これにより、外部フラッシュユニット120をカメラ100に装着することができる。Z方向前側は、カメラ100の背面側から正面側に向かう方向、つまりは画像表示部107側から撮像光学系122側へ向かう方向である。なお、図16以降の図面に示すX方向(第2の方向)、Y方向(第3の方向)およびZ方向(前後方向)は共通している。X方向は、Z方向が水平方向と平行であるときに水平面内でZ方向と直交する方向であり、カメラ100の幅方向である。Y方向は、Z方向とX方向に直交する方向であり、カメラ100の高さ方向である。
【0172】
次に、カメラ100のアクセサリシュー1123について詳細に説明する。図17(a)は、トップカバー150と分解したアクセサリシュー1123を示している。図17(b)は、組み立てられたアクセサリシュー1123を示している。トップカバー150に対するアクセサリシュー1123の組付け方向はY方向である。
【0173】
アクセサリシュー1123は、係合部材151、接続端子コネクタ152、シューステージ153およびアクセサリシュースプリング154を有する。係合部材151は、外部フラッシュユニット120との係合により該外部フラッシュユニット120を保持するための部材である。接続端子コネクタ152は、樹脂材料等で形成された保持部材としてのコネクタベース部材152e上にX方向に等ピッチで並べられて該コネクタベース部材152eにより保持された複数の接続端子152aを備えている。なお、接続端子152aは、図1に示すカメラ接続部141の接点TC01~TC21に該当する。
【0174】
接続端子コネクタ152において、接続端子152aは、図17(b)に示すように外部フラッシュユニット120の装着方向であるZ方向前方(カメラ100の正面側)に配置されている。接続端子コネクタ152のZ方向後方(デジタルカメラ100の背面側)には、図19(a)に示す外部フラッシュユニット120のロックピン252と係合する係合孔部156が設けられている。
【0175】
アクセサリシュー1123に外部フラッシュユニット120が装着された状態において、接続端子152aは、外部フラッシュユニット120と電気的に接続される。また、複数の接続端子152aはそれぞれ、トップカバー150のY方向下側に配置されたフレキシブル基板158と電気的に接続されている。フレキシブル基板158は、カメラ100の不図示のメイン基板に接続されている。このため、アクセサリシュー1123に外部フラッシュユニット120が装着されると、外部フラッシュユニット120とカメラ100との間での通信が可能となる。
【0176】
シューステージ153は、係合部材151と接続端子コネクタ152を囲うハウジング部材である。アクセサリシュー保持部材155は、係合部材151を保持する構造躯体である。図17(a)に示すように、アクセサリシュー保持部材155、フレキシブル基板158、トップカバー150、シューステージ153および接続端子コネクタ152は、これらを挿通する4本のビス157によって係合部材151に締結される。これにより、これらの部材が互いに位置決めされて固定される。4本のビス157を、X方向とZ方向で等分割した4つの領域に1本ずつ配置することにより、バランスよく上記部材を結合させることができる。
【0177】
図18(a)は係合部材151の上面側の構造を示し、図18(b)は係合部材151の下面側の構造を示す。図18(c)は接続端子コネクタ152の上面側の構造を示す。図24は外部フラッシュユニット120の挿入方向(装着方向)から見たアクセサリシュー1123を示している。
【0178】
係合部材151は、金属板をループ状に折り曲げて、折り曲げられた両端部の端面同士が継ぎ目151aにおいて互いに対向して当接するように形成されている。係合部材151は、一対の係合部151bと、該一対の係合部151bを相互に連結する連結部151cとを有する。係合部材151には、ビス157の締結に用いられる一対の第1のビス孔部151dと、一対の第2のビス孔部151eとが形成されている。また係合部材151には、外部フラッシュユニット120のロックピン252と係合する係合孔部156が形成されている。
【0179】
図18(a)および図12に示すように、一対の係合部151bは、X方向において第1の幅(以下、係合部間隔という)151aaだけ離間している。係合部間隔151aa内に、図19(b)に示す後述の外部フラッシュユニット120の保持部材254が挿入される。一対の第1のビス孔部151dは、X方向に所定の間隔をあけて設けられており、Z方向後方(背面側)において、X方向に互いに離間して設けられた一対の第1の締結孔部として機能する。一対の第2のビス孔部151eは、X方向に所定の間隔をあけて設けられており、Z方向前方において、X方向に互いに離間して設けられた一対の第2の締結孔部として機能する。係合孔部156は、一対の第1のビス孔部151dに挟まれた領域において、外部フラッシュユニット120が有するロックピン252と係合可能な位置に形成されている。
【0180】
接続端子コネクタ152では、図17(b)と図18(c)に示すように、複数の接続端子152aが露出している。複数の接続端子152aが並ぶピッチ方向(X方向)では、係合部材151の係合部間隔151aaによってカメラ接続部1206の位置が決められる。このため、外部フラッシュユニット120の保持部材254は、係合部材151によって接続端子コネクタ152に対して位置決めされる。
【0181】
さらに、図1に示したカメラ接続部141の一例である接続端子コネクタ152(コネクタベース部材152e)のZ方向前側におけるX方向にて複数の接続端子152aを挟んだ両側には、図24に示す当接面と溝部が形成されている。すなわち、外部フラッシュユニット120の装着時にZ方向にてアクセサリシュー1123と当接してこれを位置決めする当接面152bと、アクセサリシュー1123が挿入される溝部152cとが形成されている。各溝部152cは、当接面152bからZ方向前側(装着側)に延びるように形成されており、内側および斜め上側を向くように(X方向に対して傾きを有するように)形成された斜面部152dが設けられている。なお、溝部152cにおける斜面部152dより上側の部分は、斜面部152dの上端の位置からX方向外側に延びている。これは、溝部152cの上端まで斜面部152dを形成すると樹脂成型時に斜面部152dに窪み(ひけ)が発生するので、これを防止するためである。
【0182】
図24に示すように、X方向においてアクセサリシュー1123のコネクタベース部材152eにおける溝部152cの最も外側の内面152cccは、係合部材151の一対の係合部151bの内端面(係合部間隔151aa)よりも外側、かつ係合部材151の最も外側の内面151bbより内側に設けられている。
【0183】
溝部152cの底面側における斜面部152dの端(下端)である斜面開始位置152ccは、係合部間隔151aaの内側に設けられている。これにより、カメラ接続部1206の後述する当接部251bに当接してZ方向での位置決めを行う当接面152bを設ける領域を確保することができる。さらに斜面開始位置152ccから始まる斜面形状を設けることで、外部フラッシュユニット120のシュー装置(後述するカメラ接続部1206)が挿入される空間を広げることができ、シュー装置の形状の自由度も確保することが可能となる。この結果、外部フラッシュユニット120のシュー装置にその接続端子を保護する形状を十分に形成することができる。
【0184】
次に、外部フラッシュユニット120について説明する。図19(a)は、カメラ接続部1206側(Y方向下側)から見た外部フラッシュユニット120を示している。図19(b)は、図19(a)中のA-A線での切断面を示し、カメラ接続部1206の内部構造を示す。図20(a)は、カメラ接続部1206を示している。ただし、後述する基台部250とロックレバー253の図示は省略されている。図20(b)は、Z方向前方から見たカメラ接続部1206を示している。
【0185】
カメラ接続部1206は、カメラ100のアクセサリシュー1123に装着された状態において、図19(b)に示すように外部フラッシュユニット120の基台部250のY方向下側(図19(a)では上側)に設けられている。カメラ接続部1206は、シューシュー取付脚(係合部材、シュープレート)251、ロックピン252、ロックレバー253、保持部材254、接続プラグ256およびY方向保持部材258を有する。
【0186】
シュー係合部としてのシュー取付脚251は、カメラ100のアクセサリシュー1123に係合して保持される係合部材である。すなわち、シュー取付脚251は、アクセサリシュー1123の係合部材151に対して着脱可能な外部フラッシュユニット120側の係合部材である。
【0187】
アクセサリシュー1123とカメラ接続部1206には、装着状態を維持するための圧力や外部フラッシュユニット120に作用する外力(衝撃等)に起因する大きな応力が加わる。シュー取付脚251は、このような大きな応力に対する高い機械的強度を確保するために、金属板(板金)を加工することにより製作されている。
【0188】
ロックピン252は、カメラ接続部1206(シュー取付脚251)がアクセサリシュー1123に装着された状態で外部フラッシュユニット120の脱落を防止するための部材であり、Y方向に移動可能にシュー取付脚251に保持されている。具体的には、ロックピン252は、Y方向保持部材258によりY方向に摺動可能に保持されている。ロックレバー253とY方向保持部材258は、保持部材254により保持されている。
【0189】
外部フラッシュユニット120がアクセサリシュー1123に装着され、ロックレバー253が回転操作されると、不図示のカム部によってY方向保持部材258が図19(b)におけるY方向下側に移動する。その際、Y方向保持部材258と共にロックピン252も図19(b)におけるY方向下側に移動する。これにより、ロックピン252は、シュー取付脚251から突出し、アクセサリシュー1123の係合部材151に設けられた係合孔部156に係合する。ロックピン252と係合孔部156は、外部フラッシュユニット120とカメラ100との電気的接続を保証するためのZ方向での位置決め部材として機能する。
【0190】
図1に示したアクセサリ接続部211の一例である接続プラグ256は、カメラ接続部1206におけるZ方向前側に設けられており、樹脂材料等の非導電性材料(誘電材料)により形成され、保持部材254と一体化されている。接続プラグ256のX方向での最外幅Tは、シュー取付脚251のX方向の幅Wよりも狭い。これにより、シュー取付脚251に当接部251bを設ける領域を確保している。接続プラグ256は、図18(c)に示すアクセサリシュー1123の複数の接続端子152aに当接して通信を行うための複数の接続端子257を有する。なお、接続端子257は、図1に示したアクセサリ接続部211の接点TA01~TA21に該当する。
【0191】
複数の接続端子257は、複数の接続端子152aと一対一に対応するように設けられ、それぞれZ方向に延びるように、かつX方向に並ぶように保持部材254により保持されている。各接続端子257は、対応する接続端子152aと接触する先端部257aを有する。また各接続端子257は、先端部257aからZ方向後方に延びる形状を有し、先端部257aが接続端子152aに当接した際に弾性変形によって先端部257aを図19(b)におけるY方向上側に変位させる伸延部257bを有する。伸延部257bのZ方向後端には、Y方向上側に延びる延直部257cが形成されている。延直部257cの上端には、外部フラッシュユニット120の不図示のメイン基板に接続されてY方向上側から保持部材254内に挿入されたフレキシブル基板259に接続されるフレキシブル基板接続部257dが設けられている。
【0192】
なお、伸延部257bにはZ方向の途中にはY方向に段差を有する段差部257eが形成されている。前述したように伸延部257bはY方向に弾性変形が可能である。しかし、伸延部257bのZ方向の距離Lが短い場合には十分な変形量を得ることができないことで耐久性が低下し、その結果、接続端子152aと先端部257aとの着脱が繰り返されると伸延部257bが破損しやすくなるおそれがある。そこで、伸延部257bに段差部257eを設けることで、伸延部257bをシュー取付脚251に干渉させることなく、十分な距離Lを確保している。
【0193】
図20(a),(b)に示すように、接続プラグ256のX方向両端には、複数の接続端子257を間に挟むようにY方向下側(第3の方向)に突出する一対の突起部256aが設けられている。すなわち、複数の接続端子257の両外側に一対の突起部256aが設けられている。図20(b)に示すように、各突起部256aの下先端部256dは、接続端子257を圧力や衝撃等の外力から保護するために、接続端子257の先端部257aの下端を結んだラインよりも下側まで突出している。つまり、接続端子257の先端部257aは、一対の突起部256aの下先端部256dを結んだラインよりも上側(内側)に設けられている。
【0194】
さらに各突起部256aのX方向外側(外面)には、下先端部256dから斜め上側に延びて斜め下側を向いた、すなわちX方向に対して傾きを有する外側面としての斜面部256bが設けられている。言い換えれば、各突起部256aは、Y方向における先端の位置のほうが先端から離れた位置よりもX方向における幅が小さくなるように、複数の接続端子257と対向しない側に斜面部256bが設けられている。各突起部256aがこのような形状を有することで、接続プラグ256を接続端子コネクタ152において斜面部152dを有する溝部152c内に挿入することが可能である。
【0195】
斜面部256bは、接続プラグ256に対する圧力や衝撃等の外力を逃がして接続プラグが破損しないようにする役割を有する。例えば、図20(c)は、接続プラグ256に対してX方向から外力が加わった場合を示す。図20(c)は、Z方向前方から見た接続プラグ256を示している。
【0196】
X方向からの外力をFとし、ベクトルとして定義する。ベクトル空間における加法の規則に従って斜面部256bに作用した外力Fを分解すると、斜面部256bに沿う方向の分力Fと、斜面部256bに垂直な方向の分力Fとに分解される。外力Fと斜面部256bとがなす角度をθとすると、下記の式(1)により分力Fと分力Fを求めることができる。
=Fcosθ
=Fsinθ (1)
斜面部256bを設ける場合は、θは0°<θ<90°となる。この範囲において、
<F
<F (2)
となる。分力Fは斜面部256bに沿う方向に逃げるため、接続プラグ256に対して影響を及ぼす力は分力Fのみとなる。前述したように、分力Fは分力Fより小さくいため、ある程度大きな外力が加わっても接続プラグ256が破損しないようにすることができる。
【0197】
X方向両側の斜面部256bをY方向下側ほどX方向の幅が狭くなるように形成することで、X方向からの外力だけでなく、Y方向下側からの外力に対しても同様に該外力の一部を逃がすことが可能である。
【0198】
図25は、Z方向から見た接続プラグ256の一部を拡大して示している。Y方向において、突起部256aの下先端部256dから接続プラグ256の上面までの高さ(突起部を含む接続プラグの高さ)をBとし、下先端部256d(斜面開始位置256c)から斜面部256bの上端までの斜面部256bの高さをAとする。このとき、AはBの1/5以上であることが好ましく、さらには1/4以上、1/3以上または図13に示すように半分以上であることがより好ましい。すなわち、斜面部256bはX方向からの外力を逃がす機能のために有意な寸法を有するように形成されており、一般的に突起部の角に設けられる面取り形状とは異なる。また、X方向に対する斜面部256bの傾き角度θは、上述した外力を逃がす機能のためには、45°±20°の範囲に設定することが好ましい。
【0199】
Z方向の位置決め部であるアクセサリシュー1123の当接面152bに対するシュー取付脚251において当接部251bの領域を十分に確保するために、両側の斜面部256bのうち下先端部256dにおける斜面開始位置256c間のX方向での幅をできるだけ短く設けることが望ましい。本実施例では、斜面開始位置256c間のX方向での幅を、保持部材254のX方向での幅Vより内側に設けている。言い換えると、本実施例では、X方向におけるシュー嵌合部251aと突起部256aとの間の位置に設けられた、アクセサリシュー1123の当接面152bと当接する部分である当接部は、当接面152bと当接する領域のX方向における幅がY方向の位置に応じて異なる。本実施例では、Y方向において突起部256aの先端に近い位置ほど、当接面152bと当接する領域のX方向における幅が大きい。また、言い換えると、本実施例では、Z方向における先端部分のうちY方向における下側の端である下先端部256dが、Y方向において複数の接続端子257よりも下側の位置、かつ、X方向においてシュー嵌合部251aの複数の接続端子257側の端より外側の位置に設けられていない。本実施例では、下先端部256dが、Y方向において複数の接続端子257よりも下側の位置に設けられている。本実施例では、下先端部256dが、X方向においてシュー嵌合部251aの複数の接続端子257側の端より内側の位置に設けられている。以上のような構成によって、当接部251bの領域を十分に確保している。
【0200】
カメラ接続部1206は、シュー取付脚251と保持部材254とが締結された構造を有する。この締結構造の詳細については後述する。
【0201】
保持部材254は、図18(a)に示したアクセサリシュー1123の係合部材151の係合部間隔151aaに挿入可能であってX方向においてシュー取付脚251の幅Wよりも短い幅Vの連結部254aを有する。幅Wと幅Vは、日本工業規格(JIS)のB7101-1975「カメラの付属品取付座及び取付足」で寸法が規定されている。連結部254aが係合部材151と嵌合することによって、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するX方向での位置が決まる。また、シュー取付脚251は、図17(a),(b)に示した付勢部材としてのアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aに当接することによってY方向上側に付勢される。これにより、シュー嵌合部251aの上面が係合部材151の下面と当接(圧接)し、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するY方向での位置が決まる。
【0202】
さらに、接続端子コネクタ152のZ方向前側の当接面152bに対してシュー取付脚251の当接部251bが当接することによって、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するZ方向での位置が決まる。
【0203】
なお、保持部材254は、シュー取付脚251と基台部250とを連結するための構造体でもあり、ロックピン252と接続端子257は連結部254aの内部に配置されている。
【0204】
次に、保持部材254とシュー取付脚251との締結構造について説明する。図21(a)はY方向上側から見たカメラ接続部1206を示し、図21(b)は図21(a)中のB‐B線での切断面を示す。
【0205】
保持部材254にシュー取付脚251を締結するための締結部材である一対の第1のビス260aと一対の第2のビス260bは、保持部材254を貫通してシュー取付脚251に締結される。このとき、X方向とZ方向にほぼ等分割された4つの領域にビスを1本ずつバランス良く配置することで、シュー取付脚251が安定的に保持部材254に保持される構造となる。また、前述したように、シュー取付脚251は大きな応力が作用する部品である。このため、バランス良く配置された一対の第1のビス260aと一対の第2のビス260bで金属製のシュー取付脚251を保持部材254に締結することにより、必要な機械的強度を確保するが可能となる。
【0206】
なお、図21(b)に示すように、一対の第1のビス260aと一対の第2のビス260bとの間に挟まれた領域Sに、複数の接続端子257が配置されている。また、一対の第1のビス260aと一対の第2のビス260bとの間の幅は、接続プラグ256の突起部256aの下先端部256dの間の幅、保持部材254の幅V、接続プラグ256の最外幅T、シュー取付脚251の幅Wよりも狭い。
【0207】
図26は、アクセサリシュー1123にカメラ接続部1206が装着された状態をZ方向から見た断面を示している。この図には、前述したカメラ接続部1206の寸法T、Vやカメラ接続部1206の各部とアクセサリシュー1123の各部との位置関係を示している。
【0208】
図26において、前述したようにカメラ接続部1206のシュー嵌合部251aの上面は、Y方向での位置決めのためにアクセサリシュー1123の係合部材151の下面(天井面)に当接している。
【0209】
一方、カメラ接続部1206における接続プラグ256の突起部256aの下先端部256dおよび斜面部256bはそれぞれ、アクセサリシュー1123の溝部152cの底面および斜面部152dには当接していない。突起部256aの下先端部256dとアクセサリシュー1123の溝部152cの底面との間の隙間は極力小さく設定されている。これにより、外部フラッシュユニット120にX方向の外力が加わった際に突起部256aの下先端部256dがアクセサリシュー1123の溝部152cの底面に当接することができ、接続プラグ256の浮き(アクセサリシュー1123に対する傾き)を小さくすることができる。
【0210】
また、斜面部256b,152d間の隙間と、溝部152cの内端面152cccと接続プラグ256の外端面との間の隙間はそれぞれある程度大きく設定されている。これにより、外部フラッシュユニット120にX方向の外力が加わった際に接続端子257,152aに負荷がかからないようにすることができる。
【0211】
なお、アクセサリシュー1123の溝部152cにおいて、溝部152cのY方向での高さ(溝部152cの底面から係合部材151の天井面までの高さ)と斜面部152dのY方向での高さとの関係は、カメラ接続部1206における接続プラグ256の高さBと斜面部256bの高さAとの関係と同様である。また、X方向に対する斜面部256bの傾き角度も、カメラ接続部1206における斜面部256bの傾き角度θと同様に、45°±20°の範囲に設定することが好ましい。
【0212】
なお、上記各実施例では、突起部256aに設けられた斜面部256bの面形状が平面である場合について説明したが、斜面部256bが曲率を有する曲面であってもよい。すなわち、斜面部256bは、X方向に対して傾きを有する面であればよい。
【0213】
上記実施例によれば、小型のカメラ接続部1206およびアクセサリシュー1123において、従来より多数の接続端子とそれらを保護するための形状を設ける領域や、部品間の位置決めを行うための領域を確保することができる。
【0214】
次に、外部フラッシュユニット120の変形例について説明する。図22(a)は、カメラ接続部1206側(Y方向下側)から見た外部フラッシュユニット120を示している。図22(b)は、図22(a)中のA-A線での切断面を示し、カメラ接続部1206の内部構造を示す。図23(a)は、カメラ接続部1206を示している。ただし、基台部250とロックレバー253の図示は省略されている。図23(b)は、Z方向前方から見たカメラ接続部1206を示している。
【0215】
カメラ接続部1206は、カメラ100のアクセサリシュー1123に装着された状態において、図22(b)に示すように外部フラッシュユニット120の基台部250のY方向下側(図22(a)では上側)に設けられている。カメラ接続部1206は、シュー取付脚300a、ロックピン252、ロックレバー253、保持部材300、接続プラグ300b、Y方向保持部材258およびシューカバー301を有する。
【0216】
シュー取付脚300aは、先に説明した実施例のシュー取付脚251と同様に、外部フラッシュユニット120をカメラ100のアクセサリシュー1123に係合させるための係合部材である。すなわち、シュー取付脚300aは、アクセサリシュー1123の係合部材151に対して着脱可能な外部フラッシュユニット120側の係合部材である。
【0217】
先に説明した実施例では、機械的強度を優先して金属製のシュープレートであるシュー取付脚251と樹脂製の保持部材254とを別部材により形成した。これに対して変形例では、シュー取付脚300aと保持部材300とを樹脂材料(非導電性材料)により一体部材として形成されている。これにより、先の実施例における一対の第1のビス260aと一対の第2のビス260bが不要になって接続端子257を配置するスペースが広くなるため、より多くの数の接続端子257を配置することができる。この結果、外部フラッシュユニット120は、カメラ接続部1206とアクセサリシュー1123を介してより多くの情報をカメラ100と通信することができる。
【0218】
接続プラグ300bは、カメラ接続部1206におけるZ方向前側に設けられており、本実施例では非導電性の樹脂材料により形成された保持部材300と一体の部材として形成されている。先に説明した実施例と同様に、接続プラグ300bのX方向での最外幅Tをシュー取付脚300aのX方向での幅Wより狭くすることで、シュー取付脚300aにおいて当接部300eを設ける領域を確保している。接続プラグ300bは、図18(c)に示したアクセサリシュー1123の複数の接続端子152aに接触して通信を行うための複数の接続端子257を有する。
【0219】
シューカバー301は、保持部材300に対して取り付けるエンクロージャーであり、複数の接続端子257を保護する部材である。接続端子257の形状は先の実施例と同じであり、段差部257eを設けてシューカバー301と干渉することなく十分な伸延部257bのZ方向の距離Lを確保している。
【0220】
接続プラグ300bの形状も、先の実施例の接続プラグ256と同様であり、接続プラグ300bのX方向両端には、複数の接続端子257を挟み込むようにY方向下側に突出する一対の突起部300cが設けられている。図23(b)に示すように、各突起部300cの下先端部300kは、接続端子257を圧力や衝撃等の外力から保護するために、接続端子257の先端部257aの下端を結んだラインよりも下側まで突出している。つまり、接続端子257の先端部257aは、一対の突起部300bの下先端部300kを結んだラインよりも上側(内側)に設けられている。
【0221】
また本実施例でも、各突起部300cのX方向外側には、下先端部300kから斜め上側に延びて斜め下側を向いた斜面部300fが設けられている。各突起部300cがこのような形状を有することで、接続プラグ300bを、先の実施例で説明した接続端子コネクタ152において斜面部152dを有する溝部152c内に挿入することが可能である。先の実施例でも説明したように、斜面部300cは、接続プラグ300bに対する圧力や衝撃等の外力を逃がして接続プラグが破損しないようにする役割を有する。
【0222】
さらに先の実施例と同様に、両側の斜面部300cのうち下先端部300kにおける斜面開始位置300g間のX方向での距離をできるだけ短く設けることが望ましい。このため、両側の斜面開始位置300gをX方向での保持部材254の幅Vより内側に設けて、シュー取付脚300aの当接部300eの領域を十分に確保している。
【0223】
保持部材300は、図18(a)に示した係合部材151の係合部間隔151aaに挿入および係合可能に形成され、かつX方向においてシュー取付脚300aの幅Wよりも短い幅Vを有する連結部300hを有する。幅Wと幅Vは、先の実施例と同様に日本工業規格(JIS)のB7101-1975「カメラの付属品取付座及び取付足」で寸法が規定されている。連結部300hが係合部材151と嵌合することによって、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するX方向での位置が決まる。また、シュー取付脚300aは、図17(a),(b)に示したアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aに当接することによってY方向上側に付勢され、これにより、シュー嵌合部300dの上面が係合部材151の下面(天井面)と当接する。これにより、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するY方向での位置が決まる。
【0224】
さらに、接続端子コネクタ152のZ方向前側の当接面152bに対してシュー取付脚300aの当接部300eが当接することによって、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するZ方向での位置が決まる。
【0225】
なお、保持部材300は、シュー取付脚300aと基台部250とを連結するための構造体でもあり、ロックピン252と接続端子257は連結部300hの内部に配置されている。
【0226】
次に、外部フラッシュユニット120の別の実施例について説明する。
【0227】
図27(a)は、カメラ接続部1206側(Y方向下側)から見た外部フラッシュユニット120を示している。図27(b)は、図27(a)中のA-A線での切断面を示し、カメラ接続部1206の内部構造を示す。図28(a)は、カメラ接続部1206を示している。ただし、基台部250とロックレバー253の図示は省略されている。図28(b)は、Z方向前方から見たカメラ接続部1206を示している。
【0228】
図29(a)は、カメラ100に外部フラッシュユニット120が装着された状態を斜め背面側から見て示している。図29(b)は、図29のB-B線での切断面を示し、外部フラッシュユニット120のカメラ接続部1206(シュー取付脚400a)がカメラ100のアクセサリシュー123(係合部材151)に挿入されている途中の状態を示す。図29(c)は、図29(b)と同断面を示し、シュー取付脚400aのアクセサリシュー123への挿入が完了してシュー取付脚400aがアクセサリシュー123により保持された状態を示している。
【0229】
シュー取付脚400aは、外部フラッシュユニット120をカメラ100のアクセサリシュー123に係合させるための係合部材である。すなわち、シュー取付脚400aは、アクセサリシュー123の係合部材151に対して着脱可能な外部フラッシュユニット120側の係合部材である。
【0230】
シュー取付脚400aと保持部材400は、樹脂材料(非導電性材料)により一体部材として形成されている。これにより、一対の第1のビス260aと一対の第2のビス260bが不要になって接続端子257を配置するスペースが広くなるため、多くの数の接続端子257を配置することができる。この結果、外部フラッシュユニット120は、カメラ接続部1206とアクセサリシュー123を介してより多くの情報をカメラ100と通信することができる。
【0231】
接続プラグ400bは、カメラ接続部1206におけるZ方向前側に設けられており、非導電性の樹脂材料により形成された保持部材400と一体の部材として形成されている。接続プラグ400bのX方向での最外幅Tをシュー取付脚400aのX方向での幅Wより狭くすることで、シュー取付脚400aにおいて当接部400eを設ける領域を確保している。接続プラグ400bは、図17に示したアクセサリシュー1123の複数の接続端子152aに接触して通信を行うための複数の接続端子257を有する。シューカバー301は、保持部材400に対して取り付けるエンクロージャーであり、複数の接続端子257を保護する部材である。接続端子257の形状は他の実施例と同じであり、段差部257eを設けてシューカバー301と干渉することなく十分な伸延部257bのZ方向の距離Lを確保している。
【0232】
接続プラグ400bの形状も、他の実施例の接続プラグ256と同様であり、接続プラグ400bのX方向両端には、複数の接続端子257を挟み込むようにY方向下側に突出する一対の突起部400cが設けられている。図28(b)に示すように、各突起部400cの下先端部400kは、接続端子257を圧力や衝撃等の外力から保護するために、接続端子257の先端部257aの下端を結んだラインよりも下側まで突出している。つまり、接続端子257の先端部257aは、一対の突起部400bの下先端部400kを結んだラインよりも上側(内側)に設けられている。
【0233】
また本実施例でも、各突起部400cのX方向外側には、下先端部400kから斜め上側に延びて斜め下側を向いた斜面部400fが設けられている。各突起部400cがこのような形状を有することで、接続プラグ400bを、実施例1で説明した接続端子コネクタ152において斜面部152dを有する溝部152c内に挿入することが可能である。他の実施例でも説明したように、斜面部400fは、接続プラグ400bに対する圧力や衝撃等の外力を逃がして接続プラグが破損しないようにする役割を有する。
【0234】
さらに、両側の斜面部400fのうち下先端部400kにおける斜面開始位置400g間のX方向での距離をできるだけ短く設けることが望ましい。このため、両側の斜面開始位置400gをX方向での保持部材254の幅Vより内側に設けて、シュー取付脚400aの当接部400eの領域を十分に確保している。
【0235】
保持部材400は、図18(a)に示した係合部材151の係合部間隔151aaに挿入可能および係合部材151に係合可能に形成され、かつX方向においてシュー取付脚400aの幅Wよりも短い幅Vを有する連結部400hを有する。幅Wと幅Vは、日本工業規格(JIS)のB7101-1975「カメラの付属品取付座及び取付足」で寸法が規定されている。連結部400hが係合部材151と嵌合することによって、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するX方向での位置が決まる。
【0236】
なお、保持部材400は、シュー取付脚400aと基台部250とを連結するための構造体でもあり、ロックピン252と接続端子257は連結部400hの内部に配置されている。
【0237】
シュー取付脚400aは、図29に示すように、図17に示したアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aに当接する当接範囲(第1の範囲)400jを有する。当接範囲400jがアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aと当接することによって、シュー取付脚400aはY方向上側に付勢され、シュー嵌合部400dの上面が係合部材151の下面と当接する。図29中の矢印Fは、アクセサリシュースプリング154による付勢力を表している。これにより、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するY方向での位置が決まる。当接範囲400jは、外部フラッシュユニット120のアクセサリシュー123への装着途中状態および装着完了状態にてアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aにより付勢される付勢範囲に相当する。当接範囲400jは、装着方向であるZ方向前方(カメラ100の正面側)側の複数の接続端子152aの両側に配置されている。
【0238】
また、シュー取付脚400aは、アクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aが当接しない非当接範囲(第2の範囲)400iを有する。この非当接範囲400iは、外部フラッシュユニット120のアクセサリシュー123への装着途中状態および装着完了状態にてアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aにより付勢されない非付勢範囲に相当する。図16Cでは、アクセサリシュースプリング154と非当接範囲400iとの間に隙間が生じているため、非当接範囲400iに対するアクセサリシュースプリング154による付勢力は0である。
【0239】
本実施例では、非当接範囲400iのY方向での厚みを、当接範囲400jの同方向の厚みよりも大きく設定している。当接範囲400jの厚みは、実施例1および実施例2と同じに設定されている。非当接範囲400iのY方向の厚みを当接範囲400jよりも大きくするのは以下の理由による。
【0240】
本実施例の樹脂製シューは、金属シューに対して、同一形状で比較した場合に強度面で劣る。このため、シュー取付脚400aの非当接範囲400iのY方向の厚みを大きくすることで強度を確保することができる。断面2次モーメントにより計算される強度は厚みの2乗に比例して増加するので、Y方向の厚みを増やすことで効率的に強度を上げることが可能となる。また、非当接範囲400iのZ方向の長さを当接範囲400jのZ方向の長さよりも長くすることで、より強度を確保することができる。
【0241】
また、当接範囲400jの厚みを他の実施例と同じとすることで、シュー取付脚400aにJIS規格に準じた汎用性を持たせ、かつアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aが降伏点を超えて塑性変形を起こさないようにすることができる。また、アクセサリシュー123に外部フラッシュユニット120を装着するときに、他の実施例の構成と装着荷重を同じにするために、当接範囲400jのY方向の厚みを他の実施例と同じにしている。
【0242】
さらに、非当接範囲400iが当接範囲400jよりもZ方向の装着側に設けられていることで、アクセサリシュー123に外部フラッシュユニット120を装着する途中であっても弾性変形部154aが降伏点を超えて塑性変形を起こさないようにすることができる。
【0243】
また、本実施例では、非当接範囲400iは、外部フラッシュユニット120のアクセサリシュー123への装着途中状態および装着完了状態にてアクセサリシュースプリング154の弾性変形部154aにより付勢されない非付勢範囲とした。しかし、非当接範囲400iが外部フラッシュユニット120のアクセサリシュー123への装着途中状態および装着完了状態にてアクセサリシュースプリング154により付勢される構成であってもよい。その場合、外部フラッシュユニット120がアクセサリシュー123により保持された状態にて、アクセサリシュースプリング154による付勢力が当接範囲400jよりも小さい範囲を非当接範囲400iに相当する範囲とすればよい。すなわち、シュー取付脚400aの第2の範囲は第1の範囲よりも厚さが大きく、第2の範囲は第1の範囲よりもアクセサリシュースプリング154による付勢力が小さい(付勢力0も含む)構成であればよい。
【0244】
さらに、接続端子コネクタ152のZ方向前側の当接面152bに対してシュー取付脚400aの当接部400eが当接することによって、外部フラッシュユニット120のカメラ100に対するZ方向での位置が決まる。
【0245】
次に、アクセサリシュー423の別の実施例について説明する。図30は、カメラ100から分離されたトップカバー450と、分解されたアクセサリシュー423を示している。
【0246】
アクセサリシュー423は、係合部材451、接続端子コネクタ452、シューステージ453およびアクセサリシュースプリング154を有する。係合部材451は、外部フラッシュユニット120との係合により該外部フラッシュユニット120を保持するための部材である。接続端子コネクタ452は、複数の接続端子452aを備えている。シューステージ453は、係合部材451と接続端子コネクタ452を囲うハウジング部材である。アクセサリシュー保持部材155は、係合部材451を保持する構造躯体である。
【0247】
アクセサリシュー保持部材155、フレキシブル基板458、トップカバー450、シューステージ453および接続端子コネクタ452は、これらに形成された孔部に挿入される4本のビス157によって係合部材451に締結される。これにより、これらの部材が互いに位置決めされて固定される。
【0248】
アクセサリシュー423に外部フラッシュユニット120が装着された状態において、接続端子452aは、外部フラッシュユニット120と電気的に接続される。また、複数の接続端子452aはそれぞれ、トップカバー450のY方向下側に配置されたフレキシブル基板458と電気的に接続されている。
【0249】
フレキシブル基板458は、カメラ100の不図示のメイン基板に接続されている。このため、アクセサリシュー423に外部フラッシュユニット120が装着されると、外部フラッシュユニット120とカメラ100との間での通信が可能となる。フレキシブル基板458をカメラ100の内部に接続するため、シューステージ453には開口部453aが、トップカバー450には開口部450aがそれぞれ設けられている。
【0250】
次に、図31を用いて防滴構造について説明する。図31(a)は、シューステージ453に組み込まれたアクセサリシュー423を下方(-Y方向)から見て示す。図31(b)は、シューステージ453のみを-Y方向から見て示している。図31(c)は、図31(a)中のA-A線での断面を示す。
【0251】
接続端子コネクタ452のZ方向後方(カメラ100の背面側)には、図19(a)に示した外部フラッシュユニット120のロックピン252と係合する係合孔部452bが設けられている。係合部材451には、前述したビス157が締結されるビス孔部451aが設けられている。シューステージ453には、ビス157が貫通する貫通孔部453cが設けられている。
【0252】
シューステージ453に設けられた開口部453aの周囲には、矩形枠形状の防滴部材453bが設けられている。防滴部材453bは、エラストマ等の弾性部材であり、シューステージ453と一体に形成されている。本実施例では、防滴部材453bは射出成型の2色成型によってシューステージ453と一体に形成されている。
【0253】
図31(c)に示すように、防滴部材453bは、接続端子コネクタ452と干渉(当接)して圧縮されることにより、水がシューステージ453の開口部453aとトップカバー450の開口部450aからカメラ100の内部へ侵入することを防ぐ。防滴部材453bは、シューステージ453とは別部材として、スポンジやシリコン等の弾性部材で形成されてもよい。
【0254】
防滴部材453bは、接続端子コネクタ452の+Y方向からの投影面内(XZ投影面内)に配置されている。また、前述したビス孔部451aと貫通孔部453cは、防滴部材453bの内側に配置されている。これにより、ビス孔部451aと貫通孔部453からの水の侵入も防ぐことができる。
【0255】
このようにシューステージ453の開口部453aの周囲に設けられた防滴部材453bと接続端子コネクタ452とが干渉することにより、カメラ100の内部への水の侵入を防ぐことができる。
上記実施例によれば、小型のシュー装置およびアクセサリシュー装置において、従来よりも多数の接続端子とそれらを保護するための形状を設ける領域や、部品間の位置決めを行うための領域を確保することができる。
【実施例0256】
次に、本発明の実施例2におけるカメラ100のアクセサリシューと外部フラッシュユニット120のシュー装置について説明する。図20に示したカメラ接続部1206を図17に示したアクセサリシュー1123に装着する場合、以下のような問題が生じるおそれがある。
【0257】
図32は、アクセサリシュー1123に対してX方向に偏ったカメラ接続部1206を装着しようとしている状態を+Y方向から見て示している。この状態では、カメラ接続部1206のシュー取付脚251の当接部251bがアクセサリシュー1123の先端に当接し、カメラ接続部1206をこれ以上アクセサリシュー1123に対してZ方向に挿入することができない。またこの状態では、シュー取付脚251は係合部材151に係合していないが、接続プラグ256の一部が係合部材151に係合している。この状態では、カメラ接続部1206にあおり方向(X軸回りの反時計方向に相当する+Y方向)に外力がかかったときに接続プラグ256の一部に負荷が集中しやすい。このため、この状態でカメラ接続部1206にあおり方向の外力がかかると、係合部材151に一部が係合している接続プラグ256が破損するおそれがある。そこで、本実施例では、以下に説明する形状によって上記のような問題を軽減する。
【0258】
図33は、本実施例におけるカメラ100のアクセサリシュー523を示している。アクセサリシュー523は、係合部材551、接続端子コネクタ152、シューステージ153およびアクセサリシュースプリング154を有する。係合部材551は、外部フラッシュユニット120との係合により該外部フラッシュユニット120を保持するための部材であり、そのX方向の両側に斜め部(第2の斜め部)551aを有する。斜め部551aは、-Z方向での先端に向かってX方向での外側に傾いた部分である。
【0259】
接続端子コネクタ152は、複数の接続端子152aを備えている。シューステージ153は、係合部材551と接続端子コネクタ152を囲うハウジング部材である。
【0260】
図34(a)は、本実施例における外部フラッシュユニット120に設けられたカメラ接続部2206を示している。ただし、基台部250とロックレバー253の図示は省略されている。図34(b)は、Z方向前側から見たカメラ接続部2206を示している。
【0261】
カメラ接続部2206の保持部材500は、アクセサリシュー523の係合部材551に係合する係合部材(シュー係合部)であるシュー取付脚500aと、該シュー取付脚500aよりもZ方向先端側に突出した接続プラグ500bとを有する。接続プラグ500bは、複数の接続端子257を保護する端子保護部に相当する。係合部材551に係合したシュー取付脚500aは、その上面が係合部材551の天井面に+Y方向(第3の方向)に当接することでY方向の位置決めがなされる。
【0262】
接続プラグ500bの根元側の上面におけるX方向両側には側斜面500cが設けられ、接続プラグ500bの先端側におけるX方向両側には第1の斜め部としての先端斜め部500dが設けられている。なお、本実施例ではシュー取付脚500aと接続プラグ500bは非導電性の樹脂材料で一部品として形成されている。ただし、シュー取付脚500aのみを金属材料で形成してもよい。
【0263】
図35は、本実施例において、アクセサリシュー523に対してX方向の一方(-X方向)に偏ったカメラ接続部2206を装着しようとしている状態を+Y方向から見て示している。この状態では、カメラ接続部2206のシュー取付脚500aがアクセサリシュー523の係合部材551に当接し、カメラ接続部2206をこれ以上アクセサリシュー523に対してZ方向に挿入することができない。またこの状態では、シュー取付脚500aは係合部材551に係合していないが、接続プラグ500bの一部が係合部材551に係合している。
【0264】
このときに接続プラグ500bにおいて係合部材551に係合する部分に側斜面500cが設けられている。側斜面500cは、X方向における接続プラグ500bの内側から外側に向かって-Y方向(第3の方向とは反対方向)に下るように傾いた斜面である。このため、カメラ接続部2206にあおり方向に外力がかかると、側斜面500cが係合部材551に当接して滑り、接続プラグ500bをX方向の他方(+X方向)に移動させるようにガイドする。これにより、接続プラグ500bの破損を回避することができる。なお、側斜面500cは平面としての平斜面であってもよいし、曲面としての曲斜面であってもよい。また、本実施例では、側斜面500cに連なる斜面が、先端斜め部500dと接続プラグ500bの最先端部にも形成されている。
【0265】
すなわち、接続プラグ500bには、X方向の先端部からZ方向の先端部にかけて連続的に傾斜している斜面が形成されている。ここでいう連続的に傾斜しているとは、傾斜している部分がつながっていることを表し、X方向を向いた斜面とZ方向を向いた斜面とで傾斜角度が異なっているものも含む。また、X方向を向いた斜面とZ方向を向いた斜面との間で屈曲しているものも含む。
【0266】
図36(a)、(b)および図37は、+Y方向から見た接続プラグ500bにおける先端斜め部500dと係合部材551に設けられた斜め部551aを示している。図36(a)に示すように、先端斜め部500dは、カメラ接続部2206のアクセサリシュー523への挿入方向(装着方向)である+Z方向の先端に向かってX方向内側に第1の角度θ1だけ傾いた形状を有する。一方、図36(b)に示すように、斜め部551aは、-Z方向の先端に向かってX方向外側に第2の角度θ2だけ傾いた形状を有する。
【0267】
本実施例では、第1の角度θ1を第2の角度θ2以上(θ1≧θ2)に設定している。なお、第1の角度θ1を第2の角度θ2より大きく(θ1>θ2)設定するとより好ましい。
【0268】
図37は、アクセサリシュー523に対して、Z方向に対してY軸回りで角度θだけ傾いたカメラ接続部2206が挿入されようとする状態を示している。θはθ2以上の角度である。
【0269】
上記のθ1とθ2の関係により、このような状態において、接続プラグ500bはシュー取付脚500aがアクセサリシュー523の係合部材551に係合する前に単独では係合部材551に+Y方向にて当接しない。これにより、この状態でカメラ接続部2206にあおり方向に外力がかかっても、接続プラグ500bが破損することを回避することができる。
【0270】
その後、接続プラグ500bおよびシュー取付脚500aがZ方向に対する傾き角度θを小さくしつつ係合部材551に対して+Z方向に進むと、シュー取付脚500aが単独で又はシュー取付脚500aと接続プラグ500bが同時に係合部材551に+Y方向にて当接する。
【0271】
図38(a)、(b)は、接続プラグ500bの先端に設けられた斜面の起点となる位置(傾斜開始位置)と複数の接続端子257との位置関係を示している。図38(a)は+Y方向から見たカメラ接続部2206であって、接続プラグ500bと重なっていて見えない複数の接続端子257の位置が分かるように示している。図38(b)は、図38(a)のA-A線での断面を示している。
【0272】
図38(a)に示すように、側斜面500cのX方向の幅は、複数の接続端子257に含まれる隣接する端子間の幅よりも広い。側斜面500cのX方向の幅をL、複数の接続端子257に含まれる隣接する端子間の幅をlとすると、例えば、L>3lの関係となっている。さらに、図38(a)に示すように、X方向において、側斜面500cの起点となる位置(傾斜開始位置)は複数の接続端子257の両端に配置されている接続端子よりも保持部材500の中心から離れた位置となっている。このような構成とすることで、接続プラグ500bにX方向の外力がかかっても接続プラグ500bが破損しないように接続プラグ500bの強度を保ちつつ、側斜面500cを形成することができる。
【0273】
また、図38(b)に示すように、接続プラグ500bの最先端部の斜面の起点となる位置(傾斜開始位置)よりも、複数の接続端子257の先端のほうが+Z方向側に位置している。斜面の+Z方向の幅が広いほうが、カメラ接続部2206にあおり方向に外力がかかったときに接続プラグ500bが移動しやすいため接続プラグ500bの破損を回避しやすくなる。一方、斜面の+Z方向の幅を広くしようとすると接続プラグ500bがZ方向に大型化するおそれがある。そこで上記の構成とすることで、接続プラグ500bがZ方向に大型化することを抑えつつ、最先端部に所定以上の幅を持った斜面を形成することができる。
【0274】
以上のように、カメラ接続部2206に対してあおり方向に外力がかかったときに接続プラグ500bが破損しにくいように、接続プラグ500bの先端を傾斜させた構成を説明した。なお、接続プラグ500bの両側に設けられたシュー取付脚500aが係合部材551に係合している状態であっても、カメラ接続部2206に対してあおり方向に強い外力がかかったときにシュー取付脚500aが破損するおそれがある。このため、シュー取付脚500aの先端を傾斜させた構成にしてもよい。シュー取付脚500aの先端を傾斜させた構成にすると、シュー取付脚500aが破損しにくくなるだけでなく、傾斜させた部分がカメラ接続部2206をアクセサリシュー523に対して挿抜するときのガイドとなり挿抜しやすくなる。
一方、係合部材551に係合したシュー取付脚500aは、その上面が係合部材551の天井面に+Y方向に当接することでY方向の位置決めがなされるため、Y方向の位置決め精度を考慮してシュー取付脚500aの先端を傾斜させないようにしてもよい。また、Y方向の位置決めとシュー取付脚500aの破損防止の両方を考慮して、傾斜させた構成としながら傾斜させる部分の面積を制限する(接続プラグ500bの傾斜させた部分の面積より小さくする)ようにしてもよい。 なお、本実施例では、カメラ100、アクセサリ200および中間アクセサリ300が21個または15個の接点を有する場合について説明したが、接点の数はこれら以外の数であってもよい。
【0275】
また本実施例では、アクセサリ200として、マイク機器やストロボ機器について説明したが、本発明にいうアクセサリには、電子ビューファインダユニット等のマイク機器やストロボ機器以外の様々な機器が含まれる。また、本実施例では、電子機器としてカメラについて説明したが、本発明にいう電子機器にはカメラ以外の様々な電子機器も含まれる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0276】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0277】
100 カメラ
523 アクセサリシュー
152a 接続端子
551 係合部材
551a 斜め部
200 アクセサリ
2206 カメラ接続部
257 接続端子
500a シュー取付脚
500b 接続プラグ
500c 側斜面
500d 先端斜め部
図1
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