(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186035
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、およびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B66B1/46 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094052
(22)【出願日】2021-06-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥北 和哉
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HB10
3F502MA26
3F502MA29
(57)【要約】
【課題】行先階ボタンの操作タイミングによらず、行先階ボタンの殺菌に必要な殺菌ランプからの光の照射時間を確保することを可能とする。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御装置は、エレベータのかご内の操作盤に設けられる行先階ボタンによる行先階の呼び登録に応じて、かごを昇降させるエレベータ制御装置であって、点灯制御部を備える。点灯制御部は、呼び登録された行先階の行先階ボタンである対象行先階ボタンが有する殺菌ランプを点灯させ、行先階への呼び応答によりかごのドアを戸開した際に対象行先階ボタンの殺菌ランプを消灯し、ドアを戸閉後、対象行先階ボタンの殺菌ランプを点灯させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかご内の操作盤に設けられる行先階ボタンによる行先階の呼び登録に応じて、前記かごを昇降させるエレベータ制御装置であって、
呼び登録された行先階の前記行先階ボタンである対象行先階ボタンが有する殺菌ランプを点灯させ、行先階への呼び応答により前記かごのドアを戸開した際に前記対象行先階ボタンの殺菌ランプを消灯し、前記ドアを戸閉後、前記対象行先階ボタンの殺菌ランプを点灯させる点灯制御部、
を備えるエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記点灯制御部は、前記対象行先階ボタンの殺菌ランプの点灯に合わせて、前記対象行先階ボタンの枠光源を点灯または点滅させる、請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記点灯制御部は、行先階への呼び応答時における前記かごの第1移動方向とは反対の第2移動方向へ前記かごの移動方向が切り替わった場合に、前記対象行先階ボタンの殺菌ランプを消灯させる、請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記点灯制御部は、行先階において前記ドアを戸閉した後、前記かごの移動方向が切り替わる前に、前記対象行先階ボタンの殺菌ランプの点灯時間が所定時間を経過した場合、当該殺菌ランプを消灯させる、請求項3に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記点灯制御部は、行先階への呼び応答時における前記かごの第1移動方向とは反対の第2移動方向へ前記かごの移動方向が切り替わった際に、前記対象行先階ボタンの殺菌ランプの点灯時間が所定時間を経過していない場合、前記対象行先階ボタンにより呼び登録された行先階を前記かごが通過した後、前記対象行先階ボタンの殺菌ランプを再点灯させる、請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記点灯制御部は、前記エレベータの管制運転が動作した場合、前記操作盤が有する全ての前記行先階ボタンの殺菌ランプを点灯させる、請求項1から5のいずれか一に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記点灯制御部は、前記殺菌ランプを点灯中、前記対象行先階ボタンによる行先階の呼び登録を不可とし、当該対象行先階ボタンが押下された場合、行先階の呼び登録ができないことを通知する、請求項1から6のいずれか一に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
エレベータのかご内の操作盤に設けられる行先階ボタンによる行先階の呼び登録に応じて、前記かごを昇降させるエレベータ制御装置で実行されるエレベータ制御方法であって、
点灯制御部が、
呼び登録された行先階の前記行先階ボタンである対象行先階ボタンが有する殺菌ランプを点灯させる工程と、
行先階への呼び応答により前記かごのドアを戸開した際に前記対象行先階ボタンの殺菌ランプを消灯する工程と、
前記ドアを戸閉後、前記対象行先階ボタンの殺菌ランプを点灯させる工程と、
を含むエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置、およびエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルス等の影響により、各種ウィルスの感染拡大を防ぐため、人が触れたもの対しては、殺菌および除菌を行う必要があり、人が触れるものに対して殺菌ランプ等の光により殺菌する技術が開発されている。エレベータにおいても例外ではなく、エレベータでは、かご内に多数のボタンが設置されているため、これらのボタンを殺菌する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-163231号公報
【特許文献2】特開2011-143994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エレベータのかご内のボタンを殺菌ランプ等の光によって殺菌する場合、当該ボタンに対して、一定時間、光を照射する必要があり、当該ボタンの操作のタイミングによっては、当該ボタンに対する光の照射時間が足りない場合が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ制御装置は、エレベータのかご内の操作盤に設けられる行先階ボタンによる行先階の呼び登録に応じて、かごを昇降させるエレベータ制御装置であって、点灯制御部を備える。点灯制御部は、呼び登録された行先階の行先階ボタンである対象行先階ボタンが有する殺菌ランプを点灯させ、行先階への呼び応答によりかごのドアを戸開した際に対象行先階ボタンの殺菌ランプを消灯し、ドアを戸閉後、対象行先階ボタンの殺菌ランプを点灯させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるエレベータ制御装置を適用したエレベータシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかるエレベータシステムが有する操作盤の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかるエレベータシステムが有する操作盤の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかるエレベータシステムにおける行先階ボタンの殺菌ランプの点灯処理の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、変形例2にかかるエレベータシステムにおける行先階ボタンの殺菌ランプの点灯処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかるエレベータ制御装置、およびエレベータ制御方法の一例について説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるエレベータ制御装置を適用したエレベータシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2および
図3は、第1実施形態にかかるエレベータシステムが有する操作盤の一例を示す図である。まず、
図1~3を用いて、本実施形態にかかるエレベータシステム100の構成の一例について説明する。
【0009】
本実施形態にかかるエレベータシステム100は、
図1に示すように、制御装置10、乗りかご30、および操作盤310,320を備える。また、制御装置10は、
図1に示すように、監視盤40と接続されている。
【0010】
乗りかご30は、建物内を昇降して建物の各階に設けられる乗場において乗車した利用者を、他の階に輸送するかごの一例である。乗りかご30は、その内部に操作盤320が設置されている。
【0011】
操作盤310は、エレベータの乗場に設けられ、利用者が操作可能な複数のボタンを備える。具体的には、操作盤310は、
図2に示すように、乗場に乗りかご30を配車させるための呼び登録(以下、乗場呼び登録と言う)を受け付け可能な上下ボタン312を有する。上下ボタン312は、例えば、上ボタン312uと下ボタン312dとを含む。これらのいずれかのボタンを押下することで、利用者は、上層階行きの乗りかご30の配車を指示する乗場呼び登録(UP呼び登録)または下層階行きの乗りかご30の配車を指示する乗場呼び登録(DN呼び登録)をすることができる。
【0012】
また、上ボタン312uおよび下ボタン312dは、当該上ボタン312uおよび下ボタン312dに光を照射して、当該上ボタン312uおよび下ボタン312dを殺菌する殺菌ランプ313u,313dを有する。また、上ボタン312uおよび下ボタン312dは、当該上ボタン312uおよび下ボタン312dの枠を点灯または点滅させる枠光源314u,314dを有していても良い。
【0013】
操作盤320は、利用者が操作可能な複数のボタンを備える。具体的には、操作盤320は、
図3に示すように、行先階毎に設けられかつ殺菌ランプ325a,325b,325c,325d,325e,325fを搭載する行先階ボタン323a,323b,323c,323d,323e,323fを有する。以下の説明では、行先階ボタン323a,323b,323c,323d,323e,323fを区別しない場合には、行先階ボタン323と記載する。以下の説明では、殺菌ランプ325a,325b,325c,325d,325e,325fを区別しない場合には、殺菌ランプ325と記載する。
【0014】
そして、操作盤320は、利用者が行先階ボタン323を操作(押下)すると、当該操作された行先階ボタン323に対応する行先階の呼び登録(以下、かご呼び登録と言う)を受け付ける。ここで、殺菌ランプ325は、行先階ボタン323に光を照射して、当該行先階ボタン323を殺菌する殺菌ランプの一例である。また、行先階ボタン323は、当該行先階ボタン323の枠を点灯または点滅させる枠光源326a,326b,326c,326d,326e,326fを有していても良い。以下の説明では、枠光源326a,326b,326c,326d,326e,326fを区別しない場合には、枠光源326と記載する。
【0015】
また、操作盤320は、かご内戸開閉ボタン322c,322d、および戸開延長ボタン324を有する。ここで、かご内戸開閉ボタン322c,322dは、乗りかご30のドアの戸開および戸閉を指示可能なボタンであり、殺菌ランプ327c,327dを有する。また、戸開延長ボタン324は、乗りかご30のドアの戸開状態の延長を指示可能なボタンであり、殺菌ランプ328を有する。
【0016】
制御装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されている。制御装置10は、例えば、CPUが、ROM等に記憶されるプログラムを読み出して、RAMに展開して、実行することにより、かご昇降制御部11、および点灯制御部12の機能を実現するエレベータ制御装置の一例である。
【0017】
かご昇降制御部11は、操作盤320により受け付けた行先階のかご呼び登録に応じて、乗りかご30を昇降させて、かご呼び登録を受け付けた行先階への呼び応答(以下、かご呼び応答と言う)により乗りかご30を当該行先階に着床させる。また、かご昇降制御部11は、操作盤310により受け付けた乗場呼び登録に応じて、乗りかご30を昇降させて、乗場呼び登録された乗場への呼び応答(以下、乗場呼び応答と言う)により、当該乗場に乗りかご30を着床させる。
【0018】
点灯制御部12は、操作盤320の行先階ボタン323によりかご呼び登録された行先階の行先階ボタン(以下、対象行先階ボタンと言う)323の殺菌ランプ325を点灯させる。また、点灯制御部12は、かご呼び登録された行先階へのかご呼び応答により乗りかご30が行先階に着床し、乗りかご30のドアが戸開された後、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を消灯させる。その後、点灯制御部12は、乗りかご30のドアの戸閉後、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を点灯させる点灯制御部の一例として機能する。
【0019】
これにより、行先階ボタン323の操作タイミングによらず、当該行先階ボタン323に対する殺菌ランプ325からの光の照射時間を維持することが可能となるで、行先階ボタン323の殺菌に必要な殺菌ランプ325からの光の照射時間を確保することができる。
【0020】
例えば、点灯制御部12は、乗りかご30が行先階に着床して、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を消灯させた後、当該対象行先階ボタン323を殺菌に必要な予め設定された時間(所定時間の一例)、殺菌ランプ325から光を照射できたか否かを判断する。そして、対象行先階ボタン323に対して、所定時間、殺菌ランプ325から光を照射できていない場合、点灯制御部12は、対象行先階ボタン323の殺菌に不足している光の照射時間である不足時間を算出する。次いで、点灯制御部12は、乗りかご30のドアの戸閉後、算出した不足時間、殺菌ランプ325を再点灯させる。
【0021】
その際、対象行先階ボタン323を、当該対象行先階ボタン323が操作された際と同様に、点灯させると、エレベータの利用者に対して、行先階のかご呼び登録が誤って行われたと誤解を与えてしまう可能性がある。そこで、点灯制御部12は、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325の点灯に合わせて、当該対象行先階ボタン323の枠光源326を点灯または点滅させても良い。これにより、対象行先階ボタン323が殺菌中であることを、エレベータの利用者が認識可能となるので、利用者に対して、行先階のかご呼び登録が誤って行われたと誤解を与えることを防止できる。
【0022】
また、点灯制御部12は、対象行先階ボタン323によるかご呼び登録に応じて当該行先階へのかご呼び応答時における乗りかご30の移動方向(第1移動方向)とは反対の移動方向(第2移動方向)へ当該乗りかご30の移動方向が切り替わった場合に、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を消灯させても良い。
【0023】
また、点灯制御部12は、行先階ボタン323によるかご呼び登録が行われていない場合(操作盤310の上下ボタン312によって乗場呼び登録が行われて乗りかご30が走行している場合を含む)、操作盤320が有するかご内戸開閉ボタン322c,322dおよび戸開延長ボタン324のそれぞれの殺菌ランプ327c,327d,328を点灯させる。その際、乗りかご30内に利用者がいないため、点灯制御部12は、かご内戸開閉ボタン322c,322dおよび戸開延長ボタン324の枠光源を点灯させる必要はない。
【0024】
また、点灯制御部12は、上下ボタン312が操作されて乗場呼び登録が受け付けられると、当該上下ボタン312の殺菌ランプ313u,313dを点灯させる。操作盤310の上下ボタン312も利用者が頻繁に操作するが、操作盤320の行先階ボタン323のように乗りかご30の行先階へのかご呼び応答後に殺菌ランプ325を再点灯させてしまうと、エレベータの利用者に対して、乗場呼び登録が既に行われていると誤解を与える可能性がある。
【0025】
そこで、点灯制御部12は、乗場に設置されたカメラ等を用いて乗り場に利用者がいないと判断した場合に、上下ボタン312の殺菌ランプ313u,313dを点灯させても良い。若しくは、監視盤40等の外部装置から、殺菌を指示する殺菌指令を受信した場合に、点灯制御部12は、上下ボタン312の殺菌ランプ313u,313dを一時的に点灯させても良い。
【0026】
監視盤40は、例えば、CPU、ROM、およびRAM等を備えるコンピュータとして構成される。監視盤40は、例えば、CPUが、ROM等に記憶されるプログラムを読み出して、RAMに展開して、実行することにより、監視部41、および指令部42の機能を実現する。
【0027】
監視部41は、エレベータシステム100の運行状況に関する種々の情報をエレベータシステム100から取得して、それらの情報に基づいてエレベータシステム100を監視する。また、監視部41は、エレベータシステム100から取得した情報に基づいて、エレベータシステム100の火災管制運転等の管制運転の要否を判定する。
【0028】
指令部42は、監視部41の監視に基づいて、エレベータシステム100の制御装置10に対して種々の指令を発行する。例えば、指令部42は、監視部41によってエレベータシステム100の管制運転が必要と判定された場合、制御装置10に対して管制運転の実行を指示する。また、例えば、指令部42は、予め設定された期間毎に、操作盤310の上下ボタン312の殺菌を指示する殺菌指令を送信する。
【0029】
図4は、第1実施形態にかかるエレベータシステムにおける行先階ボタンの殺菌ランプの点灯処理の一例を説明するための図である。次に、
図4を用いて、本実施形態にかかるエレベータシステム100における行先階ボタン323の殺菌ランプ325の点灯処理の一例について説明する。
【0030】
例えば、乗りかご30が1階で停止している時刻t1において、2階の乗場の操作盤310によって乗場呼び登録(UP呼び登録)が受け付けられるか、若しくは乗りかご30内に設けられる操作盤320の2階の行先階ボタン323bが押下されてかご呼び登録が受け付けられると、かご昇降制御部11は、乗りかご30を1階から2階へ上昇させる。次いで、乗りかご30が2階に着床したかご呼び応答(2階かご呼び応答)した時刻t2において、かご昇降制御部11は、乗りかご30のドアを戸開する。その際、点灯制御部12は、操作盤320が有する2階の行先階ボタン323bの殺菌ランプ325bを消灯させる。
【0031】
そして、乗りかご30に利用者が乗車後、かご昇降制御部11は、乗りかご30のドアを戸閉する。乗りかご30のドアが戸閉した時刻t3において、点灯制御部12は、操作盤320が有する2階の行先階ボタン323bの殺菌ランプ325bを再点灯させる。
【0032】
さらに、操作盤320が有する5階の行先階ボタン323eが押下されてかご呼び登録が受け付けられると、かご昇降制御部11は、乗りかご30を2階から5階へ上昇させ、5階に着床させる。そして、乗りかご30が5階に着床したかご呼び応答(5階かご呼び応答)した時刻t4において、かご昇降制御部11は、乗りかご30のドアを戸開し、その後、当該ドアを戸閉する。乗りかご30のドアが戸閉した時刻t5において、点灯制御部12は、操作盤320が有する5階の行先階ボタン323eの殺菌ランプ325eを点灯させる。
【0033】
乗りかご30が5階で待機している時刻t6において、5階にて上階方向への乗場呼び登録がなされたものの、利用者が乗りかご30に乗車しなかった場合、点灯制御部12は、操作盤320が有する5階の行先階ボタン323eの殺菌ランプ325eの点灯を継続しても良い。時刻t6から後述の時刻t7への遷移は、乗りかご30が待機している5階にて乗場呼び登録が発生したものの、乗客が乗りかご30の乗車しなかった場合を示している。
【0034】
時刻t5または時刻t6において、2階よりも上方の階(例えば、6階)の乗場の操作盤310によって乗場呼び登録(DN呼び登録)が受け付けられると、かご昇降制御部11は、乗りかご30を5階から6階へ上昇させる。乗りかご30が5階から6階に移動する時刻t7において、点灯制御部12は、操作盤320が有する2階および5階の行先階ボタン323b,323eの殺菌ランプ325b,325eの点灯を継続する。この場合において、
図4の時刻t7は、時刻t6から遷移した場合を想定した図であり、乗りかご30は戸開状態である。時刻t5から時刻t7に遷移した場合は、乗りかご30の待機階において乗場呼び登録が発生していないため、乗りかご30は戸閉状態となる。
【0035】
その後、乗りかご30が6階に着床して乗場呼び応答(6階DN呼び応答)した時刻t8において、かご昇降制御部11は、乗りかご30のドアを戸開する。そして、利用者が乗りかご30に乗車後、かご昇降制御部11は、乗りかご30のドアを戸閉し、乗りかご30を6階より下の階へと下降させる。その際、6階DN呼び応答に応じて、乗りかご30の移動方向が上方向から下方向へと反転するため、点灯制御部12は、操作盤320が有する2階および5階の行先階ボタン323b,323eの殺菌ランプ325b,325eを消灯させる。
【0036】
このように、第1実施形態にかかるエレベータシステム100は、行先階ボタン323の操作タイミングによらず、当該行先階ボタン323に対する殺菌ランプ325からの光の照射時間を維持することが可能となるで、行先階ボタン323の殺菌に必要な殺菌ランプ325からの光の照射時間を確保することができる。
【0037】
(変形例1)
本変形例は、行先階において乗りかごのドアを戸閉した後、乗りかごの移動方向から切り替わる前に、対象行先階ボタンの殺菌ランプの点灯時間が所定時間を経過した場合、当該殺菌ランプを消灯させる例である。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0038】
本変形例では、乗りかご30を行先階に着床させるかご呼び応答により、乗りかご30のドアが戸開し、その後、当該乗りかご30のドアの戸閉した際に、点灯制御部12は、操作盤320の対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を再点灯させる。その際、点灯制御部12は、対象行先階ボタン323の枠光源326を点灯または点滅させても良い。
【0039】
そして、乗りかご30の移動方向が切り替わる前に、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325の点灯時間が所定時間を経過した場合、点灯制御部12は、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を消灯させる。これにより、対象行先階ボタン323の殺菌が完了しているにも関わらず、乗りかご30の移動方向が反転するまで、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325が点灯し続けることを防止できる。
【0040】
(変形例2)
本変形例は、行先階へのかご呼び応答または乗場呼び応答時における乗りかごの移動方向とは反対の移動方向へ乗りかごの移動方向が切り替わった際に、対象行先階ボタンの殺菌ランプの点灯時間が所定時間を経過していない場合、対象行先階ボタンによりかご呼び登録された行先階を乗りかごが通過した後、対象行先階ボタンの殺菌ランプを再点灯させる例である。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0041】
図5は、変形例2にかかるエレベータシステムにおける行先階ボタンの殺菌ランプの点灯処理の一例を説明するための図である。例えば、
図2に示す時刻t8において、乗りかご30の移動方向が反転して、操作盤320が有する2階および5階の行先階ボタン323b,323eの殺菌ランプ325b,325eを消灯させた際、点灯制御部12は、殺菌ランプ325b,325eの点灯時間が所定時間を経過しているか否かを判断する。
【0042】
そして、殺菌ランプ325b,325eの点灯時間が所定時間を経過していない場合、時刻t9において、操作盤320の1階の行先階ボタン323aが押下されてかご呼び登録(1階かご呼び登録)が受け付けられると、かご昇降制御部11は、乗りかご30の下方向への移動を開始する。そして、乗りかご30が5階を通過した時刻t10において、点灯制御部12は、5階の行先階ボタン323eの殺菌ランプ325eを再点灯させる。さらに、乗りかご30が2階を通過した時刻t11において、点灯制御部12は、2階の行先階ボタン323bの殺菌ランプ325bを再点灯させる。これにより、乗りかご30の移動方向が反転して対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325が消灯した場合に、対象行先階ボタン323の殺菌が完了していない場合には、殺菌ランプ325を再点灯させて対象行先階ボタン323を殺菌することができる。
【0043】
その際、点灯制御部12は、操作盤320の2階および5階の行先階ボタン323b,323eの枠光源326b,326eを点灯または点滅させても良い。これにより、乗りかご30の移動方向が反転した後、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を再点灯させた場合に、対象行先階ボタン323の殺菌が行われていることを利用者が容易に認識可能とすることができる。
【0044】
(変形例3)
本変形例は、エレベータの管制運転が動作した場合、操作盤が有する全ての行先階ボタンの殺菌ランプを点灯させる例である。以下の説明では、上述の実施形態および変形例と同様の構成については説明を省略する。
【0045】
本変形例では、監視盤40の指令部42から、エレベータシステム100の管制運転の実行が指示されると、点灯制御部12は、操作盤320が有する全ての行先階ボタン323の殺菌ランプ325を点灯させる。これにより、エレベータシステム100が管制運転を行っており、利用者がいない時に、行先階ボタン323の殺菌を行うことができる。
【0046】
その際、点灯制御部12は、当該行先階ボタン323の枠光源326を点灯または点滅させても良い。その後、監視盤40の指令部42からのエレベータシステム100の管制運転の実行の指示が解除されるまで、言い換えると、エレベータシステム100が管制運転から通常運転に復帰するまで、点灯制御部12は、操作盤320が有する全ての行先階ボタン323の殺菌ランプ325の点灯または点滅を継続させる。
【0047】
また、エレベータシステム100の管制運転によって乗りかご30が最寄階または非難階に着床して休止して、乗りかご30のドアが戸閉している間、点灯制御部12は、乗りかご30の操作盤320が有するかご内戸開閉ボタン322c,322dおよび戸開延長ボタン324のそれぞれの殺菌ランプ327c,327d,328を点灯させても良い。
【0048】
(変形例4)
本変形例は、対象行先階ボタンの殺菌ランプを点灯中、当該対象行先階ボタンによる行先階の呼び登録を不可とし、当該対象行先階ボタンが押下された場合、行先階の呼び登録ができないことを通知する例である。以下の説明では、上述の実施形態および変形例と同様の構成については説明を省略する。
【0049】
本変形例では、点灯制御部12は、操作盤320の対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325が点灯中、当該対象行先階ボタン323による行先階のかご呼び登録を禁止(不可)する。ここで、殺菌ランプ325を含む対象行先階ボタン323のランプは、現在の乗りかご30の移動方向では応答できない場合に点灯させているため、対象行先階ボタン323による行先階のかご登録を禁止しても、特に問題は生じない。
【0050】
さらに、対象行先階ボタン323の殺菌ランプ325を点灯中に当該対象行先階ボタン323が押下された場合、点灯制御部12は、操作盤320の行先階ボタン323を殺菌中であることを通知する。これにより、エレベータシステム100の利用者は、対象行先階ボタン323が殺菌中のために行先階のかご呼び登録が行えないことを容易に認識することができる。例えば、点灯制御部12は、乗りかご30内に設けられるスピーカから、操作盤320の行先階ボタン323を殺菌中であることを通知する音声(例えば、「殺菌中です。」)を出力する。
【0051】
以上説明したとおり、第1実施形態および変形例1~4によれば、行先階ボタン323の操作タイミングによらず、行先階ボタン323の殺菌に必要な殺菌ランプ325からの光の照射時間を確保することができる。
【0052】
なお、本実施形態の制御装置10で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の制御装置10で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0053】
さらに、本実施形態の制御装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の制御装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0054】
本実施形態の制御装置10で実行されるプログラムは、上述した各部(かご昇降制御部11、点灯制御部12)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、かご昇降制御部11、点灯制御部12等が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10…制御装置(エレベータ制御装置)、11…かご昇降制御部、12…点灯制御部、30…乗りかご(かご)、40…監視盤、41…監視部、42…指令部、100…エレベータシステム、310,320…操作盤。