IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 五洋建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-床・土間コンクリートの施工方法 図1
  • 特開-床・土間コンクリートの施工方法 図2
  • 特開-床・土間コンクリートの施工方法 図3
  • 特開-床・土間コンクリートの施工方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186037
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】床・土間コンクリートの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
E04G21/02 103A
E04G21/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094054
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107272
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 敬二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109140
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 研一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 博幸
(72)【発明者】
【氏名】李 暁赫
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172AA11
2E172BA03
2E172BA05
2E172DB07
2E172DD00
(57)【要約】
【課題】床・土間コンクリートにおいて繊維混合による表層におけるひび割れ制御を確実にし得る床・土間コンクリートの施工方法を提供する。
【解決手段】この床・土間コンクリートの施工方法は、床・土間コンクリートの第1層11を繊維混入無しのコンクリートにより打設するステップと、第1層が硬化する前に、合成繊維を予め混入したコンクリートにより第2層12を第1層に直接重ねて打設するステップと、を含み、第2層が床・土間コンクリート10の表層を全面的に構成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床・土間コンクリートの第1層を繊維混入無しのコンクリートにより打設するステップと、
前記第1層が硬化する前に、合成繊維を予め混入したコンクリートにより第2層を前記第1層に直接重ねて打設するステップと、を含み、
前記第2層が前記床・土間コンクリートの表層を全面的に構成する床・土間コンクリートの施工方法。
【請求項2】
前記第1層および前記第2層は同一調合のコンクリートからなり、
前記第2層は前記同一調合のコンクリートに前記合成繊維を混入したものである請求項1に記載の床・土間コンクリートの施工方法。
【請求項3】
前記繊維混入無しのコンクリートを混練後に前記第1層の打設のためにアジテータ車に移し、
前記混練後の繊維混入無しのコンクリートを前記第2層の打設のためにアジテータ車に移し、前記アジテータ車内のコンクリートに前記合成繊維を混入し攪拌する請求項1または2に記載の床・土間コンクリートの施工方法。
【請求項4】
前記合成繊維の混入量のほぼ1/2を混入し攪拌した後に、残りの前記合成繊維を混入し攪拌する請求項3に記載の床・土間コンクリートの施工方法。
【請求項5】
前記第1層を、前記床・土間コンクリートの上端最外鉄筋の高さ近傍まで打設する請求項1乃至4のいずれかに記載の床・土間コンクリートの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維を混合した床・土間コンクリートを施工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート床に鋼繊維や合成繊維などの繊維材を混合することにより、表層のひび割れを制御する工法が公知である。かかる従来の床表層補強工法(1)~(5)について説明する。
【0003】
(1)鋼繊維散布・押さえ工法
本工法は、床・土間コンクリートを打設し、粗均し後、鋼繊維を面積当たり均等に散布し、1度目の床押さえのタイミングで表層からコンクリート内部に押さえ込み、2度目以降の床押さえで、土間・床の表層を仕上げて行く。本工法における床押さえ時の表層には、鋼繊維や粗骨材が表出しないように、振動式のタンピング・タンパーなどを用いて、床上面の品質・精度向上を図る。
【0004】
(2)鋼繊維混入・均等分散直押さえ工法
本工法は、練り上がったコンクリートをアジテータ車に投入し、その後、所定量の鋼繊維をホッパー上部から混入し、ドラムの高速回転により、コンクリート内に均一に混入させる。打込み現場では、打設対象の床・土間に、鋼繊維混入コンクリートを1層で打設し、粗均しでは、表層の乾き具合を確認しながら、鋼繊維や粗骨材を沈め、状態によっては、工法(1)と同様に、振動式のタンピング・ダンパーを有効に用いて、床上面の品質と精度向上を図る。
【0005】
(3)合成繊維混入・均等分散直押さえ工法
工法(1)(2)は、床・土間コンクリートに対する力学的効果を狙い、いずれも鋼繊維をコンクリートに混入しているが、本工法は、鋼繊維に比較すると力学的に劣る合成繊維の中でも比較的力学的性状が優れているとされるポリプロピレン繊維(PP繊維)を混入し、部材表層におけるひび割れ制御に効果を期待する工法であり、また、鋼繊維のような発錆などの不具合が表面化しない。
【0006】
(4)合成繊維ばら撒き工法
合成繊維ばら撒き工法は、打ち込んだコンクリートを粗均しした後、コンクリート表面にPP繊維を所定量ばら撒き、鏝やタンパーなどを使用し、押さえ作業と同時にPP繊維をコンクリート表層に混入させる工法である。PP繊維の散布(ばら撒き)は、事前に面積当たりの必要繊維量を計量し、作業員の手作業による散布や、散布機を用いて機械的に散布する方法があり、いずれも事前に作成した目標散布量の写真などと照らし合わせ散布を行う。本工法によれば、コンクリート表層に水平方向のPP繊維を多数配置させることができ、工法(3)よりもひび割れに対して、架橋する繊維量を効率よく配置できる。
【0007】
(5)セルフレベリング材
長尺シート、カーペットや貼り床材などの下地材として、スラリー状のセルフレベリング材が市販されており、現地でミキサ製造して、モルタル用ポンプで圧送し、所定量を下地スラブに流し込むことにより、自重でレベリングする。標準的な厚みは10~15mmで、ひび割れ制御として繊維材が混入される製品もあるが、近年は、練混ぜ、運搬、圧送を1台で賄える専用車にて、セルフレベリング材を供給する体制も整えられている。
【0008】
特許文献1は、土間、スラブ等に略水平にコンクリートを打設し、その上にガラス繊維やポリプロピレン(PP)繊維等のチョップドストランドを散布した後、コンクリートの表層部にチョップドストランドを含浸させて表層部に埋設し、鏝均しを行った後、コンクリートを乾燥硬化させるコンクリートの施工方法を開示する。
【0009】
特許文献2は、床版に接する部分に、合成繊維や鋼繊維の短繊維混入コンクリートを打設することによって短繊維混入コンクリート部を施工し、次に、短繊維混入コンクリートの硬化前に、短繊維混入コンクリート部上に通常のコンクリートを連続して打設しコンクリート壁本体を施工することで短繊維混入コンクリート部に発生するひび割れの幅を小さく抑制するコンクリートひび割れ進展抑制方法を開示する。
【0010】
特許文献3は、表層のひび割れの発生を抑える補強用繊維を効率的に配置するため、セメント系固化体の表面となる位置までコンクリートを打ち込む工程と、硬化前のコンクリートの表面に対して、合成短繊維が散在するように配置する工程と、合成短繊維が配置された表面を押さえつける工程とを備えるセメント系固化体の構築方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003-213932号公報
【特許文献2】特開2009-133083号公報
【特許文献3】特開2020-93457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記鋼繊維散布・押さえ工法(1)では、床押さえのタイミングを捉え損ねると、三次元立体波形の鋼繊維が沈降しきれずに、繊維端が表出したり、さらにはそれらが発錆し、床表層を汚すおそれがある。鋼繊維混入・均等分散直押さえ工法(2)の場合、床・土間の立断面方向に均等に鋼繊維が分散しているため、表層における繊維材の力学的効果は、工法(1)と比較して、低く評価せざるを得ない。また、工法全体に対する繊維材のコスト効率も低くなってしまう。さらには、鋼繊維が表出して、床・土間表層を発錆物質で汚す可能性がある。
【0013】
合成繊維混入・均等分散直押さえ工法(3)の場合、工法(2)と同様に、床・土間の立断面方向に均等にPP繊維が分散し、コンクリート表面に生じるひび割れに対して、架橋するように配置されるPP繊維もあれば、ひび割れに対して並行するように配置され、ひび割れ抑制効果に寄与しないPP繊維も多数存在することから、表層における繊維材の力学的効果は、工法(1)などと比較して、低く評価せざるを得ない。また、特許文献1の工法も同様の課題があるが、他の工法に対する繊維材のコスト効率が低い。セルフレベリング材(5)を用いる工法は、適用対象となる仕上げ材の耐荷重が人荷重+α程度であり、自動車やフォークリフトなどの輪荷重は、適用外となるため、その適用範囲が限定される。
【0014】
特許文献2の方法は、床版と通常のコンクリートの打設による壁本体との間に設けた短繊維混入コンクリート部に発生するひび割れの幅を小さく抑制するもので、床コンクリートの表層全面におけるひび割れ対策とは言えない。
【0015】
工法(4)および特許文献3の方法は、繊維の均等分散が必ずしも統計的に担保されている訳ではなく、また、床押さえ作業に伴う、繊維の押さえ込みが床表層のでき映えと併せて、瑕疵なく達成できるかどうか疑問がある。すなわち、床表層部におけるひび割れ制御の程度が施工による蓋然性に大きく左右される可能性が高いと言う課題がある。
【0016】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、床・土間コンクリートにおいて繊維混合による表層におけるひび割れ制御を確実にし得る床・土間コンクリートの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するための床・土間コンクリートの施工方法は、床・土間コンクリートの第1層を繊維混入無しのコンクリートにより打設するステップと、前記第1層が硬化する前に、合成繊維を予め混入したコンクリートにより第2層を前記第1層に直接重ねて打設するステップと、を含み、前記第2層が前記床・土間コンクリートの表層を全面的に構成する。
【0018】
この床・土間コンクリートの施工方法によれば、床・土間コンクリートの表層ひび割れに関係しない第1層を繊維混入無しのコンクリートとして打設し、次に、合成繊維を予め混入することで合成繊維が均等に分散したコンクリートを第2層として、第1層のコンクリート打設後、第1層のコンクリート硬化前に第1層の上面に直接重ねて打設し、かかる合成繊維混入の第2層が床・土間コンクリートの表層を全面的に構成するので、床・土間コンクリートの表層において合成繊維混合によるひび割れ制御を確実に実施でき、表層ひび割れを効果的に抑制できる。また、第1層のコンクリートの硬化前の付着力があるときに第2層目のコンクリートを打設するので、第1層と第2層とを確実に一体化できる。また、床・土間コンクリートの第1層には合成繊維を混入せず、第2層にだけ合成繊維を混入することで、表層に繊維混合によるひび割れ制御効果を集中させることができ、また、床・土間コンクリート全体に合成繊維を混入する場合に比べて、混入される合成繊維量が少なくて済み、コスト効率がよい。
【0019】
前記第1層および前記第2層は同一調合のコンクリートからなり、前記第2層は前記同一調合のコンクリートに前記合成繊維を混入したものであることが好ましい。
【0020】
前記繊維混入無しのコンクリートを混練後に前記第1層の打設のためにアジテータ車に移し、前記混練後の繊維混入無しのコンクリートを前記第2層の打設のためにアジテータ車に移し、前記アジテータ車内のコンクリートに前記合成繊維を混入し攪拌することが好ましい。この場合、前記合成繊維の混入量のほぼ1/2を混入し攪拌した後に、残りの前記合成繊維を混入し攪拌することが好ましい。
【0021】
前記第1層を、前記床・土間コンクリートの上端最外鉄筋の高さ近傍まで打設することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の床・土間コンクリートの施工方法によれば、床・土間コンクリートにおいて繊維混合による表層におけるひび割れ制御を確実にでき、表層ひび割れを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態による床・土間コンクリートの施工工程を示す図である。
図2図1の床・土間コンクリートの施工に用いるコンクリートの調合例を示す図である。
図3図2のコンクリートに混入する合成繊維としてPP繊維の概要を示す図である。
図4】本実施形態による床・土間コンクリートの打設工程(a)(b)を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による床・土間コンクリートの施工工程を示す図である。図2は、図1の床・土間コンクリートの施工に用いるコンクリートの調合例を示す図である。図3は、図2のコンクリートに混入する合成繊維としてPP繊維の概要を示す図である。図4は、本実施形態による床・土間コンクリートの打設工程(a)(b)を示す要部縦断面図である。
【0025】
図1のように、バッチャープラントにおいて、計量された細骨材・セメント・粗骨材を空練りし、次に、計量された水道水・化学混和剤を加えて混練し、静置する。その後、混練したコンクリートをアジテータ車内のドラムに移し、調合によって30~60秒程度の高速攪拌後、排出し、スランプ値ないしスランプフロー値等の所定の試験を行い、試験結果が規定値を満たすことを確認した後、バッチャープラントからアジテータ車で施工現場に運搬し、繊維混入無しのコンクリートを床・土間コンクリートの第1層として打設する。
【0026】
一方、上述の静置後の混練したコンクリートを別のアジテータ車のドラムに移し、合成繊維としてポリプロピレン(PP)からなる短繊維(PP繊維)を混合量の約1/2だけアジテータ車のドラムに投入し、高速攪拌してから、残りのPP繊維を投入し、高速攪拌後、排出し、スランプ値ないしスランプフロー値等の所定の試験を行い、試験結果が規定値を満たすことを確認した後、バッチャープラントからアジテータ車で施工現場に運搬し、PP繊維混入コンクリートを第1層のコンクリート上に直接第2層として打設する。なお、かかるPP繊維混入コンクリートの打設時期が第1層のコンクリートの硬化前に十分間に合うように、合成繊維混入コンクリートの製造、試験、出荷、運搬を順次行うようにする。
【0027】
図2図1の細骨材・セメント・粗骨材・水道水・化学混和剤(高性能AE減水剤)の調合例を示す。図2の調合例1が第1層用の繊維混入無しの普通のコンクリートであり、調合例2が図3のPP繊維を混入した第2層用の繊維混入コンクリートである。調合例2は、調合例1にPP繊維を混入したもので、調合例1,2は、調合例2のPP繊維を除いて、同一調合である。
【0028】
なお、図2の調合例2ではPP繊維混入量を外割で0.3vol%としたが、0.2~0.4vol%の範囲内であってよい。PP繊維は、鋼繊維(比重:7.85)と比べかなり軽量(比重:0.91)であるため、投入・練混ぜが容易である。
【0029】
また、図1の施工工程によれば、各材料を計量し混練したコンクリートは、まず、床・土間コンクリートの第1層として打設するために出荷され、次に、繊維が混入された第2層として打設するために出荷されるので、両者は、後者の繊維を除けば、同一調合のコンクリートになっている。このように、第1層用コンクリートと第2層用コンクリート(繊維を除く)とを、同一調合とすることができるので、バッチャープラントにおいて別調合とするための特別な管理工程が不要となる。
【0030】
図1のコンクリート打設工程について図4(a)(b)を参照して説明する。図4(a)のように、床・土間コンクリート(床コンクリートまたは土間コンクリート)の表面に対し略平行な互いに直交するように配筋された下端主筋13a,下端配力筋13bと、同じく互いに直交するように配筋された上端主筋13d,上端配力筋13cとから組み立てられた鉄筋組立体13が床・土間コンクリートの施工位置に設置された状態で、図1のようにして製造された繊維混入無しのコンクリート(調合例1)を床・土間コンクリートの第1層11として鉄筋組立体13内に打設する。第1層11の打ち込み高さは、鉄筋組立体13の上端主筋13dの近傍位置とし、後工程で打設される第2層12の打ち込み高さとして30~50mmを確保する。なお、上端主筋13dの近傍位置とは、第2層の繊維混入コンクリートと付着するように少なくとも上端主筋13dの表面の一部が露出している位置で、この位置で上端最外鉄筋である上端主筋13dの垂直方向断面の略半分程度が露出していることが望ましい。
【0031】
次に、図4(b)のように、第1層11のコンクリートの凝結(始発)から硬化前に、図1のようにして製造された繊維混入コンクリート(調合例2)を第1層11の上に直接重ねて第2層12として打設する。第2層12は、30~50mmの打ち込み高さで打設され、鉄筋かぶり厚として充分である。すなわち、第2層12の打ち込み高さ30~50mmは、上端主筋13dの上端から床・土間コンクリートの上面10aまで、粗骨材の最大径20mmを上回るので、かぶり厚として充分と考えられる。
【0032】
第2層12の繊維混入コンクリートは、第1層11の凝結(始発)から硬化に達する前に、順次重ね打ちするので、特に第1層と第2層の界面に特別な処理を施すことなく、上端主筋13dを含む第1層11の上面の付着力(硬化前)を充分に発揮させて部材としての一体化を図ることができる。なお、第2層12の打設開始時期は、第1層11のコンクリート打設から凝結(始期)までに要する時間に関係するが、打設するコンクリートの配合によりJIS A 1147(コンクリートの凝結時間試験方法)に沿って凝結試験などにより、同じ打設条件(気温、湿度、日射など)で最適条件を事前に確認し決定しておくことが望ましいが、時間がない場合には、標準示方書もしくはJASS5に記載された外気温による時間の目安を用いるようにしてもよい。
【0033】
以上のようにして、第1層11と第2層12とから構成される床・土間コンクリート10を施工できるが、第2層12が、PP繊維を予め混入し十分に攪拌することでPP繊維が均等に分散された繊維混入コンクリートとなり、このPP繊維混入の第2層12が床・土間コンクリート10の表層を全面的に構成する。これにより、床・土間コンクリート10の表層においてPP繊維混入によるひび割れ制御を確実にでき、表層ひび割れを効果的に抑制できる。
【0034】
また、床・土間コンクリート10の第1層11にはPP繊維を混入せず、第2層12にだけPP繊維を混入することで、表層に繊維混合によるひび割れ制御効果を集中させることができる。また、床・土間コンクリート全体にPP繊維を混入する場合に比べて、混入されるPP繊維量が少なくて済み、コスト効率がよい。
【0035】
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、図2のコンクリート調合例1,2は、一例であって、他の調合例であってもよいことはもちろんである。また、調合例2における合成繊維としてポリプロピレン繊維(PP繊維)を用いたが、これに限定されず、たとえば、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維、ポリ塩化ビニル繊維を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の床・土間コンクリートの施工方法によれば、床・土間コンクリートにおいて繊維混合による表層におけるひび割れ制御を確実に実施でき、表層ひび割れを効果的に抑制でき、また、コスト効率もよいので、表層品質の向上した床・土間コンクリートをコストがさほど嵩むことなく施工できる。
【符号の説明】
【0037】
10 床・土間コンクリート
10a 上面
11 第1層
12 第2層
13 鉄筋組立体
13d 上端主筋
図1
図2
図3
図4