(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186057
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20221208BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F25D23/06 K
F25D23/06 B
F25D23/00 306B
F25D23/00 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094082
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】早川 隆人
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102LB10
(57)【要約】
【課題】別部品を用いることなく部品を内箱に固定することが可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】実施形態の冷蔵庫は、内箱と外箱とからなり、貯蔵室を囲む壁体と、前記内箱の内面との間に冷却風路を形成する部品と、を備え、前記部品は、前記外箱側に向けて突出する掛止部を備え、前記内箱は、前記掛止部が内側から差し込まれて引っ掛かった状態で係合される開口部を有する。前記内箱に係合された前記掛止部を収容するとともに、前記開口部を外側から覆う収容部材が設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内箱と外箱とからなり、貯蔵室を囲む壁体と、
前記内箱の内面との間に冷却風路を形成する部品と、を備え、
前記部品は、前記外箱側に向けて突出する掛止部を備え、
前記内箱は、前記掛止部が内側から差し込まれて引っ掛かった状態で係合される開口部を有する冷蔵庫。
【請求項2】
前記内箱に係合された前記掛止部を収容するとともに、前記開口部を外側から覆う収容部材が設けられている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記内箱の前記外箱側に真空断熱板が設けられ、
前記収容部材の少なくとも一部が前記真空断熱板より横幅方向の外側に張り出している、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記内箱における前記掛止部が引っ掛かる部分の被掛止部には、前記被掛止部の剛性を増大する補強部が形成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記内箱における前記掛止部が引っ掛かる部分の被掛止部には、前記部品側に向けて傾斜し、前記開口部に差し込まれる前記掛止部を案内する案内部が形成されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫背面に対する庫内ダクトの固定方法として、内箱に対して爪部による固定の他に、内箱に別部品を取り付け、その別部品に対してネジやフックにより固定する冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫では、別部品を使用しない固定方法が求められる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、別部品を用いることなく部品を内箱に固定することが可能な冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、内箱と外箱とからなり、貯蔵室を囲む壁体と、前記内箱の内面との間に冷却風路を形成する部品と、を備え、前記部品は、前記外箱側に向けて突出する掛止部を備え、前記内箱は、前記掛止部が内側から差し込まれて引っ掛かった状態で係合される開口部を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1中に示された同冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
【
図3】
図2中に示された同冷蔵庫のF3-F3線に沿う背面図。
【
図5】流路形成部品の取り付け部を拡大した断面斜視図。
【
図6】
図5に示された流路形成部品の取り付け部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。また、冷蔵庫において、後述する壁体の厚さ方向で庫内(貯蔵室)側を「内側」、壁体を挟んで庫内側と反対側で冷蔵庫の外方を「外側」と定義している。
【0009】
[冷蔵庫の全体構成]
図1から
図9を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0010】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。
図2は、
図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。
図3は、冷蔵庫1を示す背面図である。
図4は、冷蔵庫1の上部を斜め後方から見た斜視図である。
図1および
図2に示すように、冷蔵庫1は、壁体10および扉11を有する壁体を備える。冷蔵庫1は、例えば、壁体10、複数の扉11、複数の棚12、複数の容器13、流路形成部品60(部品)、冷却ユニット15、および制御基板16を有する。本実施形態では、複数の扉11以外の上記構成によって冷蔵庫本体5が形成されている。
【0011】
壁体10は、例えば、内箱30と、外箱40と、発泡断熱材50とを含む。内箱30は、壁体10の内面を形成する部材であり、例えば合成樹脂製である。外箱40は、壁体10の外面を形成する部材であり、例えば鋼板等の金属製である。外箱40は、内箱30よりも一回り大きく形成されており、内箱30の外側に配置されている。発泡断熱材50は、例えば発泡ウレタンのような発泡状の断熱材であり、内箱30と外箱40との間に充填されている。これにより、壁体10は、断熱性を有する。また、
図3に示すように、内箱30と外箱40との間の断熱空間には、板状の真空断熱板51が設けられている。
【0012】
壁体10は、上壁21、下壁22、左右の側壁23,24、および後壁25を有する。上壁21および下壁22は、略水平に広がっている。左右の側壁23,24は、下壁22の左右の端部から上方に起立し、上壁21の左右の端部に繋がる。後壁25は、下壁22の後端部から上方に起立し、上壁21の後端部に繋がる。
【0013】
壁体10の内部には、複数の貯蔵室27が設けられている。複数の貯蔵室27は、例えば、冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室27Aが配置され、冷蔵室27Aの下方に野菜室27Bが配置され、野菜室27Bの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置され、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置されている。ただし、貯蔵室27の配置は、上記例に限定されることはない。壁体10は、各貯蔵室27の前面側に、各貯蔵室27に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0014】
複数の貯蔵室27の開口は、複数の扉11によって開閉可能に閉じられる。複数の扉11は、例えば、冷蔵室27Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉11Aa,11Ab、野菜室27Bの開口を閉じる野菜室扉11B、製氷室27Cの開口を閉じる製氷室扉11C、小冷凍室27Dの開口を閉じる小冷凍室扉11D、および主冷凍室27Eの開口を閉じる主冷凍室扉11Eを含む。
【0015】
左右の冷蔵室扉11Aa,11Abは、例えば、観音開き式の扉である。左右の冷蔵室扉11Aa,11Abは、ヒンジ10hによって壁体10に回動可能に支持されている。本実施形態では、右冷蔵室扉11Abの横幅方向の幅は、左冷蔵室扉11Aaの横幅方向の幅よりも大きい。
【0016】
一方で、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、例えば、引き出し式の扉である。野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、レールによって壁体10に対して引き出し可能に支持されている。
【0017】
図2に示すように、壁体10は、第1および第2の仕切部28,29を有する。第1および第2の仕切部28,29は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部28は、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間に位置し、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間を仕切っている。一方で、第2仕切部29は、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間に位置し、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間を仕切っている。なお、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dと、主冷凍室27Eとの間には、仕切壁は設けられていない。
【0018】
複数の棚12は、冷蔵室27Aに配置されている。複数の容器13は、冷蔵室27Aに配置された冷蔵室容器13A(例えばチルド室容器)、野菜室27Bに配置された第1および第2の野菜室容器13Ba,13Bb、製氷室27Cに配置された製氷室容器(不図示)、小冷凍室27Dに配置された小冷凍室容器13D、および主冷凍室27Eに配置された第1および第2の主冷凍室容器13Ea,13Ebを含む。
【0019】
流路形成部品60は、例えば、合成樹脂を射出成形した概略平板状の部材であり、壁体10内に配置され、内箱30の内面30aとの間に冷却された空気が流通する冷却風路60cを形成している。流路形成部品60の下端部60bは、例えば第2仕切部29の後側の上面に設けられた爪部材291と内箱30との間に嵌め込むことにより係止される。また、流路形成部品60の上部は、後述するフック61を内箱30に係合させることにより取り付けられる。流路形成部品60は、内箱30に取り付ける際に、流路形成部品60のフック61を後述する内箱30の開口部31に差し込みつつ、下部を弾性変形させながら前方から後方に押し込み爪部材291を乗り越えることで係止される。流路形成部品60は、フック61による固定により内箱30に対して外れ難い状態で固定される。
【0020】
流路形成部品60は、例えば、第1ダクト部品60Aと、第2ダクト部品60Bとを含む。第1ダクト部品60Aは、壁体10の内箱30に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品60Aは、冷却ユニット15から供給される冷気をそれぞれ冷蔵室27A、野菜室27Bに流す流路を形成する。第2ダクト部品60Bは、壁体10の内箱30に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品60Bは、冷却ユニット15から供給される冷気を製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eに流す流路を形成する。
【0021】
冷却ユニット15は、第1冷却ユニット15Aと、第2冷却ユニット15Bと、圧縮機45とを含む。第1冷却ユニット15Aは、例えば第1ダクト部品60Aが形成する冷却風路60cに配置された第1冷却器41および第1ファン42を含む。第2冷却ユニット15Bは、例えば第2ダクト部品60Bが形成する冷却風路60cに配置された第2冷却器43および第2ファン44を含む。
【0022】
圧縮機45は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室26に設けられている。圧縮機45は、貯蔵室27の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機45により圧縮された冷媒ガスは、サクションパイプなどを経由して、第1冷却器41および第2冷却器43に送られる。
【0023】
制御基板16は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御基板16は、冷蔵室27Aおよび主冷凍室27Eなどに設けられた温度センサの検出結果に基づき、第1ファン42、第2ファン44、および圧縮機45等の駆動を制御する。制御基板16は、壁体10の上壁21の上にケース17とともに取り付けられている。
【0024】
第1冷却ユニット15Aでは、第1冷却器41で冷却された冷気が第1ファン42の回転によって冷却風路60cに流れ込む。冷却風路60cに流れ込んだ冷気は、下方から上方へ向かって流れながら流路形成部品60に形成される吹出口(図示省略)より冷蔵室27A内、野菜室27B内へ吹き出す。
【0025】
左冷蔵室扉11Aaの後面側には、高さ位置を変更可能な扉容器18A,18Bと、下部に固定された扉容器19と、が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
ここで、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eの構成は、上述した左冷蔵室扉11Aaの構成と同様である。すなわち、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eの構成は、上述した左冷蔵室扉11Aaに関する説明において、「左冷蔵室扉11Aa」を「右冷蔵室扉11Ab」、「野菜室扉11B」、「製氷室扉11C」、「小冷凍室扉11D」、または「主冷凍室扉11E」と読み替えればよい。
【0027】
[流路形成部品の取付け構成]
次に、流路形成部品60を内箱30に取り付ける構造について、
図5から
図9を参照して説明する。
図5は、流路形成部品60の取り付け部を拡大した断面斜視図である。
図6は、
図5に示された流路形成部品60の取り付け部の縦断面図である。
図7は、
図6中に示された取り付け部の要部拡大図である。
【0028】
図5から
図7に示すように、流路形成部品60の後面60aの横幅方向の両側それぞれには、後方に位置する外箱40側に向けて延びて上向きに屈折した形状で突出する一対の上向きに突出する鉤型のフック61(掛止部)が設けられている。フック61は、横幅方向に所定の幅寸法をもって形成されている。フック61は、流路形成部品60の後面60aに支持されて後方に向けて突出する基部611と、基部611の突出先端から上向きの鉤状をなした爪部612と、を有する。基部611は、流路形成部品60から後方に向かうに従い漸次上向きに傾斜している。爪部612は、略鉛直方向に延び、内箱30の後述する開口部31に差し込まれて外面30bよりも後方の断熱空間に位置することにより内箱30の外面30bにおける被掛止部30cに係合される。
【0029】
爪部612と流路形成部品60の後面60aとの奥行方向の間隔は、上述した冷却風路60cの必要間隔および内箱30の厚みを確保できる寸法に設定されている。フック61は、フック61に形成される上向き開口となる凹部61a内に内箱30の開口部31の上縁部分(被掛止部30c)が挿入された状態となり、これにより爪部612が内箱30の外面30b側に位置することになる。
【0030】
内箱30は、フック61が内側から差し込まれて引っ掛かった状態で係合される開口部31を有する。開口部31は、流路形成部品60のフック61に対して奥行方向に対向する位置に設けられ、開口形状が後方から見て矩形をなしている。内箱30におけるフック61が引っ掛かる部分の被掛止部30cには、開口部31に差し込まれるフック61を案内する案内部32が形成されている。案内部32は、下方に向けて漸次、前側に傾斜する傾斜面を形成している。フック61の先端部61bは、案内部32の後面32aに沿って案内されることで開口部31に差し込まれる。なお、
図5から
図7では、内箱30に係合したフック61と内箱30の外面30bとの間に隙間が生じているが、隙間が無くフック61と内箱30の外面30bとが接触した状態、あるいはフック61が後方から内箱30に対して押し付けられた状態で係合されていてもよい。
【0031】
図8は、内箱30の被掛止部30cの水平断面図である。
図8に示すように、内箱30の被掛止部30cには、被掛止部30cの剛性を増大するための断面波状の湾曲部33(補強部)が形成されている(
図5参照)。湾曲部33は、上方から見て前凸部33Aと後凸部33Bとが横幅方向に沿って交互に配置されている。
【0032】
なお、被掛止部30cの補強部の構成としては、湾曲部33に限定されることはなく、他の構成による補強部を採用することができる。補強部として、例えば、上下方向或いは横幅方向に延びる棒状のビードや膨出部、あるいは被掛止部30cの厚さ寸法を大きくするための補強板を被掛止部30cに積層させるもの等を採用することができる。
【0033】
図4から
図7に示すように、内箱30には、内箱30に係合されたフック61の内箱30の外面30bよりも後方に位置する部分を収容し、開口部31を外側から覆うカバー部材34(収容部材)が設けられている。すなわち、フック61の断熱空間に位置する部分がカバー部材34によって覆われている。カバー部材34は、一対のフック61、61のそれぞれに設けられている。
【0034】
カバー部材34は、前側に向けて開口が形成されてフック61の断熱空間に位置する部分を後方から覆う有底筒状のカバー本体部341と、カバー本体部341の前縁から上下左右の全周にわたって張り出すフランジ部342と、を有している。フランジ部342の前面342aは、内箱30の外面30bのうち開口部31の周囲の部分に接触した状態で例えば両面の接着テープや接着剤などの固着手段(図示省略)を用いて固定されている。カバー部材34を設けることで、内箱30の外面30b側の断熱空間に充填される発泡断熱材50が開口部31を通じて内箱30の前方へ流入することが防止されている。
【0035】
図9は、
図3に示された冷蔵庫1の要部拡大図である。
図9に示すように、カバー部材34の少なくとも一部(張出部34a)が内箱30の外面30b側に配置される真空断熱板51より横幅方向の外側に張り出している。カバー部材34における張出部34aには真空断熱板51が重なっていないので、真空断熱板51が重なる部分に比べて発泡断熱材50が厚く充填されている。
【0036】
次に、冷蔵庫1の動作および作用について説明する。
【0037】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、内箱30と外箱40とからなり、貯蔵室27を囲む壁体10と、内箱30の内面30aとの間に冷却風路60cを形成する流路形成部品60と、を備え、流路形成部品60は、外箱40側に向けて突出するフック61を備え、内箱30は、フック61が内側から差し込まれて引っ掛かった状態で係合される開口部31を有することにより、流路形成部品60のフック61を内箱30の開口部31に奥行方向で内側から外側に差し込んで内箱30に引っ掛けた状態で係合させることができる。すなわち、フック61が内箱30に係合することで、内箱30の内面30aに対して前方に間隔(冷却風路60c)を保持した状態で流路形成部品60を固定することができる。
【0038】
このように本実施形態では、流路形成部品60を内箱30に対して直接固定することができ、従来のように部品取付け用の別部品を流路形成部品60と内箱30との間に介在させる必要がなくなり、横にしても外れ難い取付け構造となる。そのため、冷蔵庫1を輸送、搬入する際に冷蔵庫1を横に倒してしまった場合であっても流路形成部品60が内箱30から外れてしまうことを防止できる。
【0039】
また、本実施形態では、フック61を内箱30の開口部31に引っ掛ける取り付け構造であり、内箱30に対して開口部31を設けるといった簡単な加工のみとなる。そのため、厚さが薄く剛性の低いシート状の部材からなる内箱30に対してボルトやねじ等を使用して固定する構造ではなく、さらに内箱30に対して複雑な取り付け加工が不要となる。
【0040】
さらに、本実施形態では、従来のように内箱に取り付けた別部品に対してねじやフックを用いて流路形成部品を取り付ける必要がなく、上述したように別部品を省略でき、流路形成部品60の着脱にかかる作業効率を向上させることができる。しかも、別部品や加工にかかる費用を低減することが可能となる。
【0041】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、内箱30に係合されたフック61を収容するとともに、開口部31を外側から覆うカバー部材34が設けられている。これにより、内箱30と外箱40との間に充填される発泡ウレタンからなる発泡断熱材50が開口部31を通じて内箱30の内側の庫内に流入することを防止できる。また、カバー部材34の内側に内箱30に係合されるフック61が収容されているので、フック61が発泡断熱材50に埋まって固定されてしまうことを抑制することができる。
【0042】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、内箱30の外面30b側に真空断熱板51が設けられ、カバー部材34の少なくとも一部が真空断熱板51より横幅方向の外側に張り出している。これにより、カバー部材34における張出部34aには真空断熱板51が重なっていないので、真空断熱板51が重なる部分に比べて発泡断熱材50を厚く充填することができ、カバー部材34が後方から内箱30に対して押さえ付ける押圧力を増大させることができる。そのため、カバー部材34を内箱30に確実に固定することができ、例えばフック61に押されてカバー部材34が外れることを防止できる。
【0043】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、内箱30におけるフック61が引っ掛かる部分の被掛止部30cには、被掛止部30cの剛性を増大する湾曲部33などの補強部が形成されている。これにより、内箱30におけるフック61が固定される箇所である被掛止部30cを本実施形態のような湾曲部33からなる補強部によって補強して剛性を大きくすることができる。シート状の内箱30の肉厚が薄い場合であっても、フック61の係合状態を維持することができる。
【0044】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、内箱30の被掛止部30cには、流路形成部品60側に向けて傾斜し、開口部31に差し込まれるフック61を案内する案内部32が形成されている。これにより、フック61を開口部31に差し込む際に、被掛止部30cに形成される案内部32にフック61が案内されるので開口部31への差し込みが行い易くなる。
【0045】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、別部品を用いることなく流路形成部品60を内箱30に固定することが可能な冷蔵庫を提供することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0047】
本実施形態では、内箱30の内面30aとの間に冷却風路60cを形成する部品として、平板形状の流路形成部品60を一例としているが、これに限定されることはない。例えば、内部に冷却風路が形成された板状の中空部材を使用する場合、この中空板状部品の前側に位置する前壁が本発明の部品に相当する。
【0048】
また、本実施形態では、掛止部としてフック61を一例として示しているが、鉤状のフック61であることに限定されることはなく、またフック61の形状や凹部61aの開口の向き等の構成についても任意に設定することが可能である。すなわち、本実施形態では、フック61は爪部612が上向きであるが、爪部612が下向き(凹部61aが下に開口)となるフック61を用いることも可能である。
【0049】
また、内箱30に設けられる開口部31の開口形状も上述した実施形態のように矩形であることに限定されることはなく、例えば円形、楕円形等であってもよい。要は、フック61が差し込みやすく、かつ開口部31に差し込まれたフック61の爪部612が内箱30の外面30bに接触するように設けられていればよいのである。
【0050】
さらに、本実施形態では、開口部31を外側から覆うカバー部材34が設けられているが、このようなカバー部材34を省略することも可能である。また、カバー部材34の形状、大きさ等の構成についても例えば断熱空間のスペースに応じて適宜設定することができる。
【0051】
さらにまた、本実施形態では、カバー部材34の少なくとも一部が真空断熱板51より横幅方向の外側に張り出した構成としているが、これに限定されることはない。後方から見てカバー部材34全体が真空断熱板51によって覆われた状態で設けられていてもかまわない。
【0052】
また、本実施形態では、内箱30の被掛止部30cに補強部(湾曲部33)や案内部32を設けた構成としているが、これら補強部や案内部を省略することも可能である。例えば、内箱30の被掛止部30cの強度がフック61を支持するために十分な強度を有する場合には、補強部は不要である。
【符号の説明】
【0053】
1…冷蔵庫、5…冷蔵庫本体、10…壁体、27…貯蔵室、30…内箱、30a…内面、30b…外面、30c…被掛止部、31…開口部、32…案内部、33…湾曲部(補強部)、34…カバー部材(収容部材)、40…外箱、50…発泡断熱材、51…真空断熱板、60…流路形成部品(部品)、60c…冷却風路、61…フック(掛止部)