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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186065
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】センサネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/22 20090101AFI20221208BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20221208BHJP
【FI】
H04W40/22
H04W84/18 110
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094094
(22)【出願日】2021-06-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 順一
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA41
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067JJ41
(57)【要約】
【課題】中継機を適切なタイミングで交換する。
【解決手段】センサネットワークシステム100は、複数のメータ110それぞれに対応付けられたセンサノード112と、センサノードに接続され、センサノードを通じてメータの情報を収集する中継機114と、中継機を通じて収集したメータの情報を受信するセンター装置116と、複数のメータのうち、中継機を対応付けるメータを設定する中継機設定部142と、を備え、所定のメータに所定の中継機が対応付けられている状態で、中継機設定部は、所定のメータの交換時における他のメータの検満交換時期に基づいて、所定のメータに対応付けられていた所定の中継機を、交換後の新たなメータに対応付けるか否か決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、
前記センサノードに接続され、前記センサノードを通じて前記メータの情報を収集する中継機と、
前記中継機を通じて収集した前記メータの情報を受信するセンター装置と、
複数の前記メータのうち、前記中継機を対応付ける前記メータを設定する中継機設定部と、
を備え、
所定の前記メータに所定の前記中継機が対応付けられている状態で、
前記中継機設定部は、前記所定のメータの交換時における他の前記メータの検満交換時期に基づいて、前記所定のメータに対応付けられていた前記所定の中継機を、交換後の新たな前記メータに対応付けるか否か決定するセンサネットワークシステム。
【請求項2】
前記中継機設定部は、
前記所定のメータの交換時における前記他のメータの検満交換時期が、前記所定の中継機の電池寿命以前であれば、前記所定の中継機を、交換後の新たな前記メータに対応付け、前記他のメータの交換に伴い、新たな前記中継機を、交換後の新たな前記他のメータに対応付け、
前記所定のメータの交換時における前記他のメータの検満交換時期が、前記所定の中継機の電池寿命より遅ければ、新たな前記中継機を、交換後の新たな前記メータに対応付ける請求項1に記載のセンサネットワークシステム。
【請求項3】
複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、
前記センサノードに接続され、前記センサノードを通じて前記メータの情報を収集する中継機と、
前記中継機を通じて収集した前記メータの情報を受信するセンター装置と、
複数の前記メータのうち、前記中継機を対応付ける前記メータを設定する中継機設定部と、
を備え、
所定の前記メータに所定の前記中継機が対応付けられている状態で、
前記中継機設定部は、前記所定の中継機を、交換後の新たな前記メータに対応付け、他の前記メータの交換に伴い、新たな前記中継機を、交換後の新たな前記他のメータに対応付けるセンサネットワークシステム。
【請求項4】
複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、
前記センサノードに接続され、前記センサノードを通じて前記メータの情報を収集する中継機と、
前記中継機を通じて収集した前記メータの情報を受信するセンター装置と、
複数の前記メータのうち、前記中継機を対応付ける前記メータを設定する中継機設定部と、
を備え、
所定の前記メータに所定の前記中継機が対応付けられている状態で、
前記中継機設定部は、前記所定のメータの交換時における他の前記メータの検満交換時期に基づいて、前記所定のメータに対応付けられていた前記所定の中継機の交換時期を設定するセンサネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のメータの情報を収集するセンサネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス事業者や電力事業者は、需要者が消費したガスや電力の使用量を積算するため、需要箇所にガスメータや電力メータを配置している。また、近年では、通信機能を備え、ガス事業者や電力事業者との間で双方向にデータ通信を行い、ガスや電力の使用量を自動的に遠隔検針可能なスマートメータの設置が促進されている。かかるスマートメータは、ガスや電力といったインフラ網の安全性や利用効率を高めるための情報源としても利用できる。
【0003】
また、上述したスマートメータとガス事業者や電力事業者とのデータ通信を実現すべく様々な手段が提案されている。例えば、スマートメータに近距離の無線機を設け、メッシュ型のネットワークを形成したり、LTE(Long Term Evolution)といった携帯電話網によってスター型のネットワークを形成したり、電力線通信によるスター型のネットワークを形成することが考えられる。
【0004】
また、メッシュ型のネットワークの応用として、基幹ネットワークと無線LANによるアドホック通信とを併設し、基幹ネットワークの障害時においてアドホック通信に切り替えることでスマートメータを安定して運用する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、ネットワークのルーティングに関する技術も公開されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-065422号公報
【特許文献2】特開2012-105258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサネットワークシステムでは、複数のメータそれぞれにセンサノードが対応付けられ、センサノードは中継機を通じてセンター装置と通信を確立する。中継機は、複数のセンサノードからメータの情報を取得し、センター装置に送信する。メータ、センサノード、および、中継機は、経年劣化による不具合を解消するため、所定期間、例えば、10年毎に交換することとしている。
【0007】
しかし、中継機の電池容量が残っているにも拘わらず、メータの交換に伴い中継機も必ず交換することとすると、交換した中継機は、残った電池容量を利用することなく廃棄されることとなる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、中継機を適切なタイミングで交換することが可能なセンサネットワークシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のセンサネットワークシステムは、複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、センサノードに接続され、センサノードを通じてメータの情報を収集する中継機と、中継機を通じて収集したメータの情報を受信するセンター装置と、複数のメータのうち、中継機を対応付けるメータを設定する中継機設定部と、を備え、所定のメータに所定の中継機が対応付けられている状態で、中継機設定部は、所定のメータの交換時における他のメータの検満交換時期に基づいて、所定のメータに対応付けられていた所定の中継機を、交換後の新たなメータに対応付けるか否か決定する。
【0010】
中継機設定部は、所定のメータの交換時における他のメータの検満交換時期が、所定の中継機の電池寿命以前であれば、所定の中継機を、交換後の新たなメータに対応付け、他のメータの交換に伴い、新たな中継機を、交換後の新たな他のメータに対応付け、所定のメータの交換時における他のメータの検満交換時期が、所定の中継機の電池寿命より遅ければ、新たな中継機を、交換後の新たなメータに対応付けるとしてもよい。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の他のセンサネットワークシステムは、複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、センサノードに接続され、センサノードを通じてメータの情報を収集する中継機と、中継機を通じて収集したメータの情報を受信するセンター装置と、複数のメータのうち、中継機を対応付けるメータを設定する中継機設定部と、を備え、所定のメータに所定の中継機が対応付けられている状態で、中継機設定部は、所定の中継機を、交換後の新たなメータに対応付け、他のメータの交換に伴い、新たな中継機を、交換後の新たな他のメータに対応付ける。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の他のセンサネットワークシステムは、複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、センサノードに接続され、センサノードを通じてメータの情報を収集する中継機と、中継機を通じて収集したメータの情報を受信するセンター装置と、複数のメータのうち、中継機を対応付けるメータを設定する中継機設定部と、を備え、所定のメータに所定の中継機が対応付けられている状態で、中継機設定部は、所定のメータの交換時における他のメータの検満交換時期に基づいて、所定のメータに対応付けられていた所定の中継機の交換時期を設定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中継機を適切なタイミングで交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】センサネットワークシステムの概略的な構成を示した説明図である。
図2】センター装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
図3】中継機交換方法の流れを示すフローチャートである。
図4】通信確立データベースの構成を説明するための説明図である。
図5】中継機設定処理の流れを示すフローチャートである。
図6】中継機設定処理における中継機の交換態様を示した説明図である。
図7】中継機設定処理における中継機の交換態様を示した説明図である。
図8】中継機設定処理における中継機の交換態様を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
(センサネットワークシステム100)
図1は、センサネットワークシステム100の概略的な構成を示した説明図である。図1に示すように、センサネットワークシステム100は、複数のメータ110と、複数のセンサノード112と、複数の中継機114と、センター装置116と、基地局118とを含んで構成される。
【0017】
メータ110は、例えば、スマートメータであり、需要者、すなわち、個別住宅や集合住宅の各住戸単位で設置される。メータ110は、ガス事業者から需要者にガスを供給したり、電力事業者から需要者に電力を供給したりする場合に、少なくともガスや電力の使用量を自動的に検針する装置である。本実施形態では、説明の便宜上、ガス事業者によるガスのメータ110について例示するが、電力(電気)にも適用できることは言うまでもない。
【0018】
センサノード112は、メータ110それぞれに対し1対1に対応付けられて設置され、少なくともメータ110で利用される情報(データ)の送受信を行う。
【0019】
中継機114は、異なるネットワーク同士を接続するゲートウェイ機器として機能し、複数のセンサノード112のいずれかに対応付けて設置される。中継機114は、その中継機114に対応付けられたセンサノード112と有線で通信を確立するとともに、センター装置116との通信を確立する。そして、中継機114は、対応付けられたセンサノード112を通じて、周囲の1または複数のセンサノード112と無線通信を確立する。
【0020】
ただし、センサノード112同士の通信は、近距離無線で実現されているため、全てのセンサノード112が、中継機114に対応付けられたセンサノード112と、無線通信を直接確立できるとは限らない。この場合、センサノード112は、無線通信可能な他のセンサノード112を1または複数回ホップ(経由)して中継機114に接続される。こうして、中継機114は、対応付けられたセンサノード112および周囲の他のセンサノード112を通じて、各センサノード112の情報をセンター装置116に送信するとともに、センター装置116の情報を周囲のセンサノード112に送信することができる。なお、このとき、伝達される情報には、情報が伝達される際に経由した中継機114および基地局118を特定する識別子も含まれるので、センター装置116は、その情報の発信元と経路を特定することができる。
【0021】
センター装置116は、コンピュータ等で構成され、ガス事業者や電力事業者といったセンサネットワークシステム100の管理者側に属する機器である。センター装置116は、1または複数の中継機114と通信を確立して、情報を収集または送信する。なお、メータ110が設置されている位置(座標情報)は、センター装置116において導管マッピング(GISシステム)を通じて管理されている。したがって、メータ110に設置されるセンサノード112の位置や、センサノード112と併設される中継機114の位置も導管マッピングによって特定できる。
【0022】
基地局118は、中継機114およびセンター装置116のいずれとも通信を確立でき、中継機114とセンター装置116との通信を中継する。
【0023】
ここで、各装置間の通信について説明する。例えば、中継機114と基地局118との無線通信、および、基地局118とセンター装置116との通信は、携帯電話網やPHS(Personal Handyphone System)網等の、例えば、LTEといった、通信量に応じて通信料が生じる既存の有料通信網が用いられる。かかる有料通信網は、ガス事業者や電力事業者と異なる、例えば、通信事業者が管理している。
【0024】
センサノード112同士は、例えば、920MHz帯を利用するスマートメータ用無線システム(U-Bus Air)を通じた無線通信を確立する。かかるセンサノード112同士の無線通信は無料であることを想定しているが、有料か無料かは問わず、少なくとも中継機114とセンター装置116との間の通信より通信コストが低ければよい。このような無線通信により、中継機114は、有料通信網を通じて、センター装置116と接続されると共に、スマートメータ用無線システムを通じて各センサノード112と接続される。
【0025】
センサネットワークシステム100では、需要者単位で、メータ110およびセンサノード112が配置されている。また、上述したように、メータ110およびセンサノード112に対し、中継機114が併設される場合もある。センター装置116は、センサノード112や中継機114を通じてメータ110の情報を収集、または、メータ110を制御する。したがって、センサノード112や中継機114は、需要者が存在するあらゆる位置に配置されることとなる。
【0026】
ここでは、センサノード112から中継機114までのスマートメータ用無線システムと、中継機114からセンター装置116までの既存の有料通信網とを併用することで、センサノード112とセンター装置116との通信を低コストで実現する。すなわち、中継機114は、別途の通信料が不要なアドホック通信を通じて複数のセンサノード112から情報を収集する。そして、中継機114は、通信料を費やすものの、1日に1回の短時間で、収集した情報を一度にセンター装置116に送信する。こうして、中継機114の有料通信網の利用を最小限に留めることができ、センサネットワークシステム100全体の通信コストを削減することが可能となる。
【0027】
また、上記スマートメータ用無線システムは、近距離無線を想定しているため、無線通信に費やす電力は比較的少ない。したがって、センサノード112の電源は、電池等で賄うことができ、センサネットワークシステム100の消費電力を削減することが可能となる。有料通信網は、スマートメータ用無線システムと比べると相対的に電力を消費し易いので、大容量の電池もしくは別途の電源を要する。しかし、センサノード112に対して中継機114の絶対数が少なく、かつ、1台当たりの通信頻度および通信時間が少ないので、全てのセンサノード112から携帯電話網を常時利用する場合に比べ、消費電力を極めて低く抑えることができる。
【0028】
(中継機114の交換)
上述したように、センサノード112とセンター装置116とで情報を伝達するセンサネットワークシステム100を構築することで、ガス事業者の検針員がメータ110を直接検針しなくても、検針情報を収集(自動検針)することが可能となり、業務の効率化を図ることができる。
【0029】
なお、メータ110は、検定有効期間が、例えば、10年といったように決まっており、その検定有効期間の満了に伴って交換しなければならない。また、メータ110の交換に伴い、経年劣化による不具合を解消するため、メータ110に対応するセンサノード112や、センサノード112に接続される中継機114も交換される。ただし、全てのメータ110を一度に交換するのではなく、例えば、1年毎に全量の1/10を交換することで少なくとも10年後に全量の交換を完了させる。
【0030】
このように、センサネットワークシステム100では、メータ110の交換時期を時間方向に分散させている。そして、メータ110の交換のタイミングが到来すると、中継機114を含む、センサネットワークシステム100の構成を見直し、センサネットワークシステム100を再構築する。このように交換時期を分散することで、途中で住戸が増減した場合であっても、メータ110の情報を、センター装置116で適切に収集することが可能となる。
【0031】
しかし、メータ110が交換される際に、中継機114の電池容量が残っている(電池寿命に到達していない)場合がある。中継機114の電池寿命は、通常の利用では安全をみて12~13年程度は定格を維持できるように計算されている。具体的に、通信による処理負荷、1台の中継機114の配下に接続されるメータ台数(最大値:47台)が規定され、中継機114の待機電力および送受信に要する電力が計算され、少なくとも10年間稼働するために必要な電池本数が算出される。ただし、中継機114の配下に接続されたメータ台数が47台(最大値)より少ない場合、中継機114の送受信に要する消費電力が低減し、電池寿命が長くなる。なお、電池本数を増やすことで電池寿命を延ばすこともできる。
【0032】
このように、中継機114の電池容量が残っているにも拘わらず、メータ110の交換に伴い中継機114も必ず交換することとすると、交換した中継機114は、残った電池容量を利用することなく廃棄されることとなる。そこで、本実施形態では、中継機114の電池容量を考慮して、中継機114を適切なタイミングで交換する。
【0033】
なお、ここでは、中継機114の電池寿命として、設置前の推定値を用いる例を挙げて説明するが、かかる場合に限らず、中継機114の電池容量を実測し、その値を用いてもよいし、中継機114の通信負荷から電池の消費量および残量を推定し、その値を用いてもよい。
【0034】
また、検定有効期間が満了となるメータ110を「検満メータ」と呼ぶ場合があり、検満メータの交換時期(検定有効期間の所定期間前)を「検満交換時期」と呼ぶ場合があり、検満メータに対応付けられて配置されるセンサノード112を「検満ノード」と呼ぶ場合がある。
【0035】
図2は、センター装置116の概略的な構成を示した機能ブロック図である。センター装置116は、センター通信部130と、センター保持部132と、センター制御部134とを含んで構成される。
【0036】
センター通信部130は、基地局118を通じて中継機114と通信を確立する。センター保持部132は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、センター装置116に用いられる導管マッピングや、後述する通信確立データベース等、各種情報を保持する。センター制御部134は、プロセッサ、プログラムを格納するメモリで構成される。センター制御部134は、プロセッサがプログラムを実行することで、データ取得部140、中継機設定部142といった機能モジュールとして機能する。
【0037】
ここで、中継機設定部142は、複数のメータ110のうち、中継機114を対応付けるメータを設定する。例えば、中継機設定部142は、所定数(例えば、30台)のメータ110に対応付けられたセンサノード112のうち、その所定数のセンサノード112と1または複数回のホップを介して通信できる位置に配されたセンサノード112に中継機114を接続する。かかる中継機114の設定手法については、既に公開されている様々な技術を適用できるので、ここでは、その具体的な説明を省略する。
【0038】
以下、本実施形態の中継機交換方法について、センター制御部134の各機能モジュールの動作も踏まえて詳述する。なお、以下では、センター装置116がセンサネットワークシステム100の中継機交換方法を実現する例を挙げて説明するが、かかる場合に限らず、プロセッサを有する任意のコンピュータを用いてセンサネットワークシステム100の中継機交換方法を実現することができる。
【0039】
(中継機交換方法)
図3は、中継機交換方法の流れを示すフローチャートである。センサネットワークシステム100では、所定の割込時間毎に当該中継機交換方法を実行する。中継機交換方法では、まず、データ取得部140がデータを取得する(S100)。中継機設定部142が取得されたデータに基づいて検満メータ、すなわち、検満交換時期が到来したメータ110が有るか否か判定する(S102)。その結果、検満メータが有れば(S102におけるYES)、中継機設定部142が中継機114の交換態様を決定する(S104)。一方、検満メータが無ければ(S102におけるNO)、当該中継機交換方法を終了する。以下、中継機交換方法の各処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係な処理については説明を省略する。
【0040】
(データ取得処理S100)
データ取得部140は、通信確立データベースからメータ110の検満交換時期を参照し、検満交換時期が到来したメータ110を抽出する。
【0041】
図4は、通信確立データベースの構成を説明するための説明図である。通信確立データベースでは、センサネットワークシステム100に用いられる全てのメータ110に対し、そのメータ110の検満交換時期と、そのメータ110に対応付けられたセンサノード112のネットワークIDと、そのメータ110に中継機114が対応付けられているか否かの情報が対応付けられている。
【0042】
ここで、ネットワークIDは、所定の中継機114を経由してセンター装置116と通信を確立することが想定された複数のセンサノード112を特定するための識別子である。したがって、ネットワークIDが等しいセンサノード112は、同一の中継機114と通信を確立することが想定される。また、メータ110に中継機114が対応付けられているとは、厳密には、メータ110に対応付けられているセンサノード112に中継機114が接続されていることを示し、通信確立データベース中、中継機114が対応付けられていれば「○」で示され、中継機114が対応付けられていなければ「×」で示される。
【0043】
(中継機設定処理S104)
中継機設定部142は、所定のメータ110の交換時における他のメータ110の検満交換時期に基づいて、所定のメータ110に対応付けられていた所定の中継機114を、交換後の新たなメータ110に対応付けるか否か決定する。以下、その動作を詳述する。
【0044】
図5は、中継機設定処理S104の流れを示すフローチャートであり、図6図8は、中継機設定処理S104における中継機114の交換態様を示した説明図である。かかる中継機設定処理S104は、ステップS102において特定された全ての検満メータに対して順次実行される。
【0045】
図5に示すように、中継機設定部142は、通信確立データベースを参照し、任意の検満メータが中継機114に対応付けられているか否か判定する(S200)。その結果、中継機114が対応付けられていなければ(S200におけるNO)、中継機設定部142は、当該中継機設定処理S104を終了する。この場合、作業者は、検満交換時期が到来した検満メータとそれに対応した検満ノードの組み合わせを新たなメータ110および新たなセンサノード112に交換することとなる。
【0046】
検満メータに中継機114が対応付けられていれば(S200におけるYES)、中継機設定部142は、他のメータ110の検満交換時期が、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命より遅いか否か判定する(S202)。ここで、他のメータ110は、中継機114が対応付けられているメータ110(検満メータ)とネットワークIDが等しいメータ110である。したがって、他のメータ110は、対象となる中継機114の配下に位置し、原則、他の中継機114に対応付けられていない。
【0047】
判定の結果、他のメータ110の検満交換時期が、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命より遅ければ(S202におけるYES)、中継機設定部142は、新たな中継機114を、交換後の新たなメータ110に対応付ける(S204)。
【0048】
例えば、図6(a)において、検満交換時期が到来するメータ110a(検満メータ)に、センサノード112aおよび中継機114aが対応付けられている。また、他のメータ110bに、センサノード112bが対応付けられている。かかるメータ110aの検満交換時期において、中継機114aの電池寿命が残り1年であり、他のメータ110bの検満交換時期が残り3年であったとする。そうすると、検満メータに対応付けられた中継機114aの電池寿命より他のメータ110bの検満交換時期の方が遅くなる。したがって、中継機設定部142は、新たな中継機114cを、交換後の新たなメータ110cに対応付ける。
【0049】
作業者は、図6(b)のように、検満交換時期が到来したメータ110a(検満メータ)とそれに対応したセンサノード112a(検満ノード)の組み合わせを、新たなメータ110cおよび新たなセンサノード112cに交換する。そして、検満交換時期が到来したメータ110aに対応付けられた中継機114aを廃棄して、新たな中継機114cを新たなメータ110cに対応付ける。
【0050】
図5に戻り、他のメータ110の検満交換時期が、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命以前であれば(S202におけるNO)、中継機設定部142は、検満交換時期が到来したメータ110に対応付けられた現行の中継機114を、交換後の新たなメータ110に対応付け(S206)、他のメータ110の交換に伴い、新たな中継機114を、交換後の新たな他のメータ110に対応付ける(S208)。
【0051】
例えば、図7(a)において、検満交換時期が到来するメータ110a(検満メータ)に、センサノード112aおよび中継機114aが対応付けられている。また、他のメータ110bに、センサノード112bが対応付けられている。かかるメータ110aの検満交換時期において、中継機114aの電池寿命が残り4年であり、他のメータ110bの検満交換時期が残り3年であったとする。そうすると、検満メータに対応付けられた中継機114aの電池寿命の方が他のメータ110bの検満交換時期より遅くなる。したがって、中継機設定部142は、検満交換時期が到来したメータ110aに対応付けられた中継機114aを、そのまま交換後の新たなメータ110cに対応付け、他のメータ110bの交換に伴い、新たな中継機114dを、交換後の新たな他のメータ110dに対応付ける。
【0052】
作業者は、図7(b)のように、検満交換時期が到来したメータ110a(検満メータ)とそれに対応したセンサノード112a(検満ノード)の組み合わせを新たなメータ110cおよび新たなセンサノード112cに交換する。しかし、検満交換時期が到来したメータ110aに対応付けられた中継機114aを廃棄せず、新たなセンサノード112cに接続し、新たなメータ110cに対応付ける。そして、他のメータ110bの検満交換時期が到来すると、作業者は、図7(c)のように、検満交換時期が到来したメータ110b(検満メータ)とそれに対応したセンサノード112b(検満ノード)の組み合わせを新たなメータ110dおよび新たなセンサノード112dに交換する。そして、新たな中継機114dを、新たなセンサノード112dに接続し、新たなメータ110dに対応付ける。こうして、センサノード112c、112dを含む、ネットワークIDが等しいセンサノード112は、中継機114dと通信を確立することが可能となる。これに伴い、メータ110cに対応付けられていた中継機114aは役割を終え、作業者は、メータ110cに対応付けられていた中継機114aを廃棄することができる。しかし、電池寿命が残っている中継機114aを撤去することなく、センサ110cの位置に、センサノード112cと接続したまま放置したとしても特段問題は生じない。そこで、作業者は、中継機114aを即座に廃棄せず(撤去に行かず)、センサ110cの位置に放置し、その後、センサ110cの検満交換時期が到来した際に、センサ110cの交換に伴って中継機114aを廃棄するとしてもよい。こうすることで、作業者が、中継機114aを廃棄するためだけに需要者宅に訪問する必要がなくなり、作業工数を削減することが可能となる。こうして、中継機114aは、メータ110aの検満交換時期より長く利用されたことになる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、他のメータ110が1つである例を挙げて説明したが、他のメータ110が複数あってもよい。この場合、中継機設定部142は、ステップS208において、検満交換時期が、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命以前となる複数の他のメータ110のうち、最も検満交換時期が遅い他のメータ110の交換に伴い、新たな中継機114を、交換後の新たな他のメータ110に対応付ける。
【0054】
例えば、図8(a)において、検満交換時期が到来するメータ110a(検満メータ)に、センサノード112aおよび中継機114aが対応付けられている。また、他のメータ110b、110e、110fそれぞれに、センサノード112b、112e、112fが対応付けられている。かかるメータ110aの検満交換時期において、中継機114aの電池寿命が残り4年であり、他のメータ110b、110e、110fの検満交換時期が、それぞれ残り3年、残り2年、残り1年であったとする。そうすると、検満メータに対応付けられた中継機114aの電池寿命の方が、他の3つのメータ110b、110e、110fの検満交換時期より遅くなる。したがって、中継機設定部142は、検満交換時期が到来したメータ110aに対応付けられた中継機114aを、そのまま交換後の新たなメータ110cに対応付け、他のメータ110b、110e、110fのうち、最も検満交換時期が遅いメータ110bの交換に伴い、新たな中継機114dを、交換後の新たな他のメータ110dに対応付ける。
【0055】
作業者は、図8(b)のように、検満交換時期が到来したメータ110a(検満メータ)とそれに対応したセンサノード112a(検満ノード)の組み合わせを新たなメータ110cおよび新たなセンサノード112cに交換する。しかし、検満交換時期が到来したメータ110aに対応付けられた中継機114aを廃棄せず、新たなセンサノード112cに接続し、新たなメータ110cに対応付ける。その後、他のメータ110f、110eの検満交換時期には中継機114を新たに対応付けない。そして、他のメータ110bの検満交換時期が到来すると、作業者は、図8(c)のように、検満交換時期が到来したメータ110b(検満メータ)とそれに対応したセンサノード112b(検満ノード)の組み合わせを新たなメータ110dおよび新たなセンサノード112dに交換する。そして、新たな中継機114dを、新たなセンサノード112dに接続し、新たなメータ110dに対応付ける。これに伴い、作業者は、メータ110cに対応付けられていた中継機114aを廃棄するか、または、中継機114aを即座に廃棄せず、センサ110cの位置に放置し、その後、センサ110cの検満交換時期が到来した際に、センサ110cの交換に伴って中継機114aを廃棄する。こうして、中継機114aは、メータ110aの検満交換時期より長く利用されたことになる。
【0056】
また、ここで、中継機設定部142は、所定のメータ110の交換時における他のメータ110の検満交換時期が、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命以前であるか否か判定していた。しかし、ネットワークIDが等しいグループ内には、最大47台となる複数のメータ110が存在し、毎年、いずれかのメータ110が交換される可能性が高い。例えば、ネットワークIDが等しいグループに30台のメータ110がある場合、毎年、平均3台のメータ110が交換されることとなる。したがって、所定のメータ110の交換時において、他のいずれかのメータ110の検満交換時期が、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命以前である可能性は極めて高くなる。
【0057】
そこで、中継機設定部142は、他のメータ110の検満交換時期と、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命とを比較することなく、所定のメータ110の交換時に、検満メータに対応付けられた所定の中継機114を、交換後の新たなメータ110に対応付け、他のいずれかのメータ110の交換に伴い、新たな中継機114を、交換後の新たな他のメータ110に対応付けるとしてもよい。かかる構成により、他のメータ110の検満交換時期と、検満メータに対応付けられた中継機114の電池寿命とを比較する処理負荷を軽減することができる。
【0058】
以上、説明したように、本実施形態によれば、中継機114に電池容量が残っている場合に、その電池容量を有効活用することができ、ひいては、中継機114の交換個数を削減することが可能となる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
例えば、上述した実施形態においては、中継機設定部142が、中継機114を対応付けるメータ110を設定する例を挙げて説明したが、中継機設定部142が、中継機114の交換時期を設定するとしてもよい。具体的に、所定のメータ110に所定の中継機114が対応付けられている状態で、中継機設定部142は、所定のメータ110の交換時における他のメータ110の検満交換時期に基づいて、所定のメータ110に対応付けられていた所定の中継機114の交換時期を設定する。
【0061】
例えば、中継機設定部142は、所定のメータ110の交換時における他のメータの検満交換時期が、所定の中継機114の電池寿命以前であれば、所定の中継機114を即座に交換せず、他のメータの交換時を、所定の中継機114の交換時期とする。一方、所定のメータ110の交換時における他のメータ110の検満交換時期が、所定の中継機114の電池寿命より遅ければ、所定の中継機114を新たな中継機114に即座に交換する。この場合も、中継機114は、メータ110の検満交換時期より長く利用されたことになる。
【0062】
また、コンピュータを、上記センサネットワークシステム100を設計する装置、メータ110、センサノード112、または、センター装置116として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0063】
なお、本明細書に示した各処理は、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0064】
100 センサネットワークシステム
110 メータ
112 センサノード
114 中継機
140 データ取得部
142 中継機設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、
前記センサノードに接続され、前記センサノードを通じて前記メータの情報を収集する中継機と、
前記中継機を通じて収集した前記メータの情報を受信するセンター装置と、
複数の前記メータのうち、前記中継機を対応付ける前記メータを設定する中継機設定部と、
を備え、
所定の前記メータに所定の前記中継機が対応付けられている状態で、
前記中継機設定部は、前記所定のメータの交換時における他の前記メータの検満交換時期に基づいて、前記所定のメータに対応付けられていた前記所定の中継機を、交換後の新たな前記メータに対応付けるか否か決定するセンサネットワークシステム。
【請求項2】
前記中継機設定部は、
前記所定のメータの交換時における前記他のメータの検満交換時期が、前記所定の中継機の電池寿命以前であれば、前記所定の中継機を、交換後の新たな前記メータに対応付け、前記他のメータの交換に伴い、新たな前記中継機を、交換後の新たな前記他のメータに対応付け、
前記所定のメータの交換時における前記他のメータの検満交換時期が、前記所定の中継機の電池寿命より遅ければ、新たな前記中継機を、交換後の新たな前記メータに対応付ける請求項1に記載のセンサネットワークシステム。
【請求項3】
複数のメータそれぞれに対応付けられたセンサノードと、
前記センサノードに接続され、前記センサノードを通じて前記メータの情報を収集する中継機と、
前記中継機を通じて収集した前記メータの情報を受信するセンター装置と、
複数の前記メータのうち、前記中継機を対応付ける前記メータを設定する中継機設定部と、
を備え、
所定の前記メータに所定の前記中継機が対応付けられている状態で、
前記中継機設定部は、前記所定のメータの交換時における他の前記メータの検満交換時期に基づいて、前記所定のメータに対応付けられていた前記所定の中継機の交換時期を設定するセンサネットワークシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】