(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186083
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】車載装置及び車載用発光制御方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094126
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 伸隆
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 哲也
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE02
2F129EE08
2F129EE29
2F129EE35
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE88
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129GG17
2F129GG28
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH40
(57)【要約】
【課題】車両の運転操作を支援する。
【解決手段】車両の目的地までの走行案内ルートを含むナビゲーション画像を表示可能な表示画面(30)と、表示画面の外縁部に設けられた発光可能な発光構造体(60)と、ナビゲーション画像を表示画面に表示させる走行案内を実行する主制御部と、を備える。主制御部は走行案内に連動して発光構造体の発光態様を制御する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の目的地までの走行案内ルートを含む画像を表示可能な表示画面と、
前記表示画面の外縁部に設けられた発光可能な発光構造体と、
前記画像を前記表示画面に表示させる走行案内を実行する主制御部と、を備え、
前記主制御部は、前記走行案内に連動して前記発光構造体の発光態様を制御する
、車載装置。
【請求項2】
前記主制御部は、前記走行案内にて前記車両の右折を案内するときと前記車両の左折を案内するときとで、前記発光構造体を互いに異なる発光態様で発光させる
、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記走行案内にて前記車両の右折又は左折を案内する際、非発光状態から発光状態に変化する対象領域を前記発光構造体に設定して前記対象領域を時間経過とともに順次移動させるシーケンシャル発光制御を実行し、
前記主制御部は、前記シーケンシャル発光制御における前記対象領域の移動の向きを、前記走行案内にて前記車両の右折を案内するときと前記車両の左折を案内するときとで互いに異ならせる
、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記主制御部は、前記シーケンシャル発光制御において、前記車両の現在位置から右折又は左折の予定地点までの残り距離に応じ前記対象領域の移動速度を変化させる
、請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記発光構造体は、所定方向に沿った長さを有する所定構造体を有し、
前記主制御部は、前記走行案内において前記車両の右折又は左折を案内する際、前記車両の現在位置から右折又は左折の予定地点までの残り距離に応じ、前記所定構造体の内、発光状態となる前記所定構造体における発光領域の長さを制御する
、請求項1~4の何れかに記載の車載装置。
【請求項6】
前記発光構造体は複数の色の何れかにて発光することが可能に構成され、
前記主制御部は、前記表示画面における前記走行案内ルートの設定色に応じて前記発光構造体における発光色を設定する
、請求項1~5の何れかに記載の車載装置。
【請求項7】
前記発光構造体において、前記車両の複数のドアそれぞれに対応した通知領域が設定され、
前記主制御部は、前記車両の動力源の始動の際において何れかのドアが開状態であるとき、開状態のドアに対応する通知領域を発光させる
、請求項1~6の何れかに記載の車載装置。
【請求項8】
前記発光構造体において、前記車両の複数の窓それぞれに対応した通知領域が設定され、
前記主制御部は、前記車両の乗員が降車する際において、何れかの窓が開状態にあるとき、開状態にある窓に対応する通知領域を発光させる
、請求項1~6の何れかに記載の車載装置。
【請求項9】
前記発光構造体において、前記車両の複数のドアそれぞれに対応した通知領域が設定され、
前記主制御部は、前記車両の外部において前記ドアごとに設定された検出領域内の三次元物体に関する信号を受信し、前記車両の乗員が降車する際に前記信号に基づき前記検出領域ごとに前記三次元物体の存否又は接近の有無を検出し、
前記主制御部は、前記車両の乗員が降車する際において、前記三次元物体の存在又は接近を検出したとき、前記三次元物体の存在又は接近が検出された検出領域に対応する通知領域を発光させる
、請求項1~6の何れかに記載の車載装置。
【請求項10】
前記発光構造体において、前記車両の前記複数の座席それぞれに対応した通知領域が設定され、
前記主制御部は、前記車両の車室内を撮影するカメラの撮影結果、及び、各座席上の物体の重量測定結果の内の少なくとも一方に基づき、前記車両の乗員が降車する際に前記座席上の忘れ物の存否を前記座席ごとに検出し、
前記主制御部は、前記車両の乗員が降車する際において、座席上に前記忘れ物が存在すると検出したとき、前記忘れ物のある座席に対応する通知領域を発光させる
、請求項1~6の何れかに記載の車載装置。
【請求項11】
表示画面を備えた車載装置に用いられる車載用発光制御方法であって、
走行案内を行うナビゲーションステップと、
前記表示画面の外縁部に設けられた発光構造体を制御する発光制御ステップと、を備え、
前記走行案内では、車両の目的地までの走行案内ルートを含む画像を前記表示画面に表示させ、
前記発光制御ステップでは、前記走行案内に連動して前記発光構造体の発光態様を制御する
、車載用発光制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置及び車載用発光制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においてナビゲーション装置が広く普及している。ナビゲーション装置は、車両の目的地までの走行案内ルートを運転手に示すことで目的地までの運転操作を支援する。ナビゲーション装置の表示画面に走行案内ルートが重畳された地図画像が表示され、運転手は表示画面を見ることで車両を進行させるべき方向を認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、車両を走行させているときに表示画面を見続けることとは難しいことも多く、また安全運転の観点からも好ましくない。運転操作の支援に寄与する更なる技術の開発が望まれる。
【0005】
本発明は、運転操作の支援に寄与する車載装置及び車載用発光制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載装置は、車両の目的地までの走行案内ルートを含む画像を表示可能な表示画面と、前記表示画面の外縁部に設けられた発光可能な発光構造体と、前記画像を前記表示画面に表示させる走行案内を実行する主制御部と、を備え、前記主制御部は、前記走行案内に連動して前記発光構造体の発光態様を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転操作の支援に寄与する車載装置及び車載用発光制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る車載システムの全体構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両の概略上面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両の車室内の様子を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係り、走行案内における表示画面の表示例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係り、右折に関わる時間関係を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係り、走行案内における表示画面の表示例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係り、左折に関わる時間関係を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る発光構造体の構成図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る発光構造体の構成を示す分解図である。
【
図10】本発明の実施形態に属する実施例EX1_Aに係り、発光制御(シーケンシャル発光制御)の説明図である。
【
図11】本発明の実施形態に属する実施例EX1_Bに係り、発光制御(シーケンシャル発光制御)の説明図である。
【
図12】本発明の実施形態に属する実施例EX2_Aに係り、発光制御の説明図である。
【
図13】本発明の実施形態に属する実施例EX2_Bに係り、発光制御の説明図である。
【
図14】本発明の実施形態に属する実施例EX4に係り、車室内に4つの座席が設けられる様子を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に属する実施例EX4に係り、車両に4つのドアが設けられる様子を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に属する実施例EX4に係り、ドアに窓が設けられる様子を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態に属する実施例EX4に係り、車載センサ部の内部構成図である。
【
図18】本発明の実施形態に属する実施例EX4に係り、発光構造体に設定される複数の通知領域を示す図である。
【
図19】本発明の実施形態に属する実施例EX4に係り、発光構造体を用いた通知に関わる動作フローチャートである。
【
図20】本発明の実施形態に属する実施例EX4に係り、ドア開通知処理の内容を示す図である。
【
図21】本発明の実施形態に属する実施例EX5に係り、発光構造体を用いた通知に関わる動作フローチャートである。
【
図22】本発明の実施形態に属する実施例EX5に係り、窓開通知処理の内容を示す図である。
【
図23】本発明の実施形態に属する実施例EX6に係り、発光構造体を用いた通知に関わる動作フローチャートである。
【
図24】本発明の実施形態に属する実施例EX6に係り、障害物の検出に関わる領域の説明図である。
【
図25】本発明の実施形態に属する実施例EX6に係り、障害物通知処理の内容を示す図である。
【
図26】本発明の実施形態に属する実施例EX7に係り、発光構造体を用いた通知に関わる動作フローチャートである。
【
図27】本発明の実施形態に属する実施例EX7に係り、忘れ物通知処理の内容を示す図である。
【
図28】本発明の実施形態に属する実施例EX7に係り、忘れ物通知処理の内容を示す図である。
【
図29】本発明の実施形態に属する実施例EX7に係り、忘れ物検出処理に関連する複数の期間の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“1”によって参照されるマルチメディア装置は(
図1参照)、マルチメディア装置1と表記されることもあるし、装置1と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
図1に本発明の実施形態に係る車載システムSYSの全体構成を示す。車載システムSYSは、マルチメディア装置1、カメラ部2、GPS処理部3、車載センサ部4及び車内ネットワーク5を備える。
図2は車載システムSYSを搭載した車両CRの概略的な上面図である。
図3に車両CRの車室内の一部を示す。車両CRの車室内において、運転席近傍には、運転手が操作する部品としてステアリングホイールCC1、シフトレバーCC2及びイグニッションスイッチCC3が設けられると共に、マルチメディア装置1が設置される。
【0011】
ステアリングホイールCC1は、運転手による回転操作を受け当該回転操作に応じて車両CRの進行方向を調整するための輪状の部品である。シフトレバーCC2は、運転手の操作に基づき、車両CRの進行可否及び車両CRの進行方向を設定したり、車両CRの変速を行ったりする。イグニッションスイッチCC3は、運転手の操作に基づき、車両CRの各電装機器に対する電源の供給又は非供給を指定すると共に、車両CRの動力源(エンジン等)の始動又は停止を指定する。
【0012】
マルチメディア装置1と、カメラ部2、GPS処理部3及び車載センサ部4とは、車両CRの内部に形成された車内ネットワーク5に接続され、車内ネットワーク5を介し、任意の情報及び信号を相互に双方向通信可能である、又は、任意の情報及び信号の一方向通信が可能である。車内ネットワーク5としてCAN(Controller Area Network)などを利用可能である。尚、
図1では、車内ネットワーク5に接続される構成要素として、マルチメディア装置1、カメラ部2、GPS処理部3及び車載センサ部4のみが示されているが、それら以外にも図示されない様々な装置(例えば、パワーステアリングシステム、ブレーキシステム、ドライブレコーダ)が車内ネットワーク5に接続されていて良い。
【0013】
車両CRは路面上を走行可能な車両(自動車等)である。但し、車両CRは任意の種類の車両であって良い。車両CRにおいて、運転席からステアリングホイールCC1に向かう向きを「前方」と定義し、ステアリングホイールCC1から運転席に向かう向きを「後方」と定義する。前後方向に直交し且つ路面に平行な方向を左右方向と定義する。左右方向における左、右は、車両CRの運転席に座り且つ前方を向いている、車両CRの運転手から見た左、右であるとする。
【0014】
カメラ部2は車両CRに設置された1以上のカメラから成り、カメラ部2に設けられる個々のカメラを単位カメラと称する。単位カメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子及び光学系を備え、自身の視野(換言すれば撮影領域)内の撮影を行って、撮影により得られた画像(即ち視野内の像)を示す画像情報を生成する。単位カメラにより生成された画像情報を、以下、カメラ画像情報と称し、カメラ画像情報にて表される二次元画像をカメラ画像と称する。単位カメラは所定の撮影フレームレートにて自身の視野内の撮影を周期的に繰り返し行う。単位カメラにて生成されたカメラ画像情報は順次マルチメディア装置1に送られる。
【0015】
GPS処理部3は、GPS(Global Positioning System)を形成する複数のGPS衛星からの信号を受信することで車両CRの位置(現在地)を検出し、検出位置を示す車両位置情報を生成する。車両CRの位置とは車両CRの存在位置を意味する。車両位置情報では、車両CRの位置(現在地)が、地球上における経度及び緯度によって表現される。車両位置情報は所定周期で順次生成され、生成された車両位置情報は順次マルチメディア装置1に送られる。
【0016】
車載センサ部4は、車両CRに設置された複数の車載センサから成り、各車載センサを用いて車載センサ情報を生成する。車載センサ情報は所定周期で順次生成され、生成された車載センサ情報は順次マルチメディア装置1に送られる。
【0017】
マルチメディア装置1の構成を説明する。マルチメディア装置1は、主制御部10、記憶部20、表示画面30、操作部40、マイクロホン50、発光構造体60、通信モジュール70及びオーディオ装置80を備える。但し、オーディオ装置80はマルチメディア装置1の外部に設けられる装置であっても良い。
【0018】
主制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含んで構成され、マルチメディア装置1内の全体動作を統括的に制御する。
【0019】
記憶部20は、磁気ディスク又は半導体メモリ等から成り、或いは、それらの組み合わせから成り、各種プログラム及びデータを格納及び記憶する。記憶部20内のプログラムを主制御部10のCPUが実行することで各種機能が実現される。
【0020】
表示画面30は、液晶ディスプレイパネル又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等から成り、主制御部10の制御の下、任意の画像を表示する。
【0021】
操作部40は、マルチメディア装置1のユーザからの各種操作を受け付ける。操作部40へ入力された操作の内容は主制御部10に伝達される。マルチメディア装置1のユーザ(以下、単にユーザと称する)は車両CRの乗員である。車両CRの運転手以外の乗員もユーザとなり得るが、以下では、車両CRの運転手がユーザであることを想定する。表示画面30にてタッチパネルが構成されていても良く、この場合、タッチパネルが操作部40の構成要素に含まれる。
【0022】
マイクロホン50は、マイクロホン50の周辺音を収音し、収音した音を電気信号である音声信号に変換して出力する。マイクロホン50の収音の対象は、主としてユーザの発話による音声である。ユーザ(ここでは運転手)の発話による音声を収音しやすい位置(例えばステアリングホイールCC1上の所定位置又は運転席近傍の所定位置)にマイクロホン50が設置される。
【0023】
発光構造体60は主制御部10の制御の下で発光可能な構造体である。発光構造体60は表示画面30の外縁部に設けられるが、発光構造体60の詳細な構成については後述される。
【0024】
通信モジュール70は、マルチメディア装置1に対する外部装置と無線による双方向通信を実現する。ユーザが所有するスマートホン等の端末装置は上記外部装置に含まれ得る。この際、通信モジュール70は、端末装置とBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信回線を通じて双方向通信が可能である。また、通信モジュール70は、移動体通信回線及びインターネットを含む所定の通信網(不図示)を通じて当該通信網に接続された任意の外部装置と双方向通信が可能である。
【0025】
オーディオ装置80は、スピーカ81を有し、各種の音響信号を音としてスピーカ81から出力する。オーディオ装置80は、主制御部10の制御の下、楽曲等の音響信号又はラジオ番組等の音響信号をスピーカ81にて再生出力できる他、各種の言語及び効果音をスピーカ81から出力することもできる。
【0026】
主制御部10のCPUが記憶部20内のプログラムを実行することで実現される機能ブロックとして、主制御部10は、ナビゲーション部11及び発光制御部12を備える。
【0027】
ナビゲーション部11は、車両位置情報に基づき所定の走行案内を実行する。走行案内は、表示画面30にナビゲーション画像を表示する処理を含む。ナビゲーション部11は、走行案内において、ターンバイターンナビゲーションを行う。ターンバイターンナビゲーションでは、車両CRの目的地までの走行案内ルートを設定し、走行案内ルートに沿って車両CRを走行させるために車両CRが進むべき方向を画像の表示及び音声の出力によってユーザ(運転手)に逐次通知する。画像の表示は表示画面30における画像の表示を指し、音声の出力はスピーカ81からの音声の出力を指す。
【0028】
ユーザは操作部40を操作することで車両CRの目的地を指定(設定)することができる。マイクロホン50を用いた音声操作により車両CRの目的地が指定(設定)される場合もある。走行案内ルートは、車両CRの現在地から車両CRの目的地に至るまでに車両CRが走行すべき経路の予定又は目標を表す。ナビゲーション部11は、車両位置情報により示される車両CRの現在地、車両CRの目的地及び所定の地図情報に基づき、走行案内ルートを設定できる。地図情報は記憶部20に保存されていても良いし、通信モジュール70を通じて外部装置から取得されても良い。
【0029】
車両CRは右折又は左折により進行方向を変更する。走行案内ルートに沿って車両CRが進んだと仮定した場合において、車両CRが次に右折によって進行方向を変更すべきケースを右折予定ケースと称し、車両CRが次に左折によって進行方向を変更すべきケースを左折予定ケースと称する。右折予定ケースにおいて車両CRが右折すべき地点を右折予定地点と称し、左折ケースにおいて車両CRが左折すべき地点を左折予定地点と称する。本実施形態では、説明の明確化及び具体化のため、1つの右折予定地点と1つの左折予定地点にのみ注目し、注目された右折予定地点、左折予定地点を、右折予定地点P_R及び左折予定地点P_Lと称する。
【0030】
図4に右折予定ケースにおける時刻t
R1での表示画面30の例を示す。右折予定ケースに関し、走行案内ルートに沿った車両CRの走行の過程において、時刻t
R1は車両CRが未だ右折予定地点P_Rに到達する前の時刻であり、時刻t
R2は車両CRがちょうど右折予定地点P_Rに到達した時刻であるとする(
図5参照)。ナビゲーション部11は、右折予定ケースにおいて、ユーザに対し車両CRの右折を案内する(即ち車両CRを右折させるべきことを案内する)。右折予定ケースにおける当該案内を右折案内と称する。時刻t
R1から時刻t
R2の直前まで右折案内が実施される。或いは、時刻t
R1から右折予定地点P_Rにて右折が完了するまで右折案内が実施される。右折案内が実施される期間を右折案内期間と称する。
【0031】
右折案内期間において、表示画面30にナビゲーション画像600Rが表示される(
図4参照)。ナビゲーション画像600Rはガイド画像610R~630Rを有する。ガイド画像610Rは、車両CRの現在位置及び車両CRの現在位置周辺の地図を表す平面上の地図画像を含む。ガイド画像610Rにおいて、地図画像上には、車両CRの現在地(現在位置)を示す自車両アイコン612R、及び、車両CRの目的地までの走行案内ルート614Rが重畳される。ガイド画像620Rも、車両CRの現在位置及び車両CRの現在位置周辺の地図を表す地図画像を含む。但し、ガイド画像620Rにおける地図画像は、車両CRの運転手の視点から車両CRの前方を観測したような画像である。ガイド画像620Rにおいて、地図画像上に車両CRの目的地までの走行案内ルート624Rが重畳される。ガイド画像630Rは車両CRの現在地から右折予定地点P_Rまでの残り距離を表す。
【0032】
ナビゲーション画像600Rの表示により右折案内が実現される。但し、ナビゲーション画像600Rからガイド画像610R及び620Rの何れか一方が省略されることもあるし、ガイド画像630Rが省略されることもある。また、右折案内において、所定の右折アナウンス音(車両CRを右折させるべきことをユーザに通知する文章)をスピーカ81から出力しても良い。
【0033】
図6に左折予定ケースにおける時刻t
L1での表示画面30の例を示す。左折予定ケースに関し、走行案内ルートに沿った車両CRの走行の過程において、時刻t
L1は車両CRが未だ左折予定地点P_Lに到達する前の時刻であり、時刻t
L2は車両CRがちょうど左折予定地点P_Lに到達した時刻であるとする(
図7参照)。ナビゲーション部11は、左折予定ケースにおいて、ユーザに対し車両CRの左折を案内する(即ち車両CRを左折させるべきことを案内する)。左折予定ケースにおける当該案内を左折案内と称する。時刻t
L1から時刻t
L2の直前まで左折案内が実施される。或いは、時刻t
L1から左折予定地点P_Lでの左折が完了するまで左折案内が実施される。左折案内が実施される期間を左折案内期間と称する。
【0034】
左折案内期間において、表示画面30にナビゲーション画像600Lが表示される(
図6参照)。ナビゲーション画像600Lはガイド画像610L~630Lを有する。ガイド画像610L及び620Lは夫々に地図画像を含む。ガイド画像610L及び620Lにおける地図画像は、ガイド画像610R及び620Rにおける地図画像と同様のものである。ガイド画像610Lにおいて、地図画像上には、車両CRの現在地(現在位置)を示す自車両アイコン612L、及び、車両CRの目的地までの走行案内ルート614Lが重畳される。ガイド画像620Lにおいて、地図画像上に車両CRの目的地までの走行案内ルート624Lが重畳される。ガイド画像630Lは車両CRの現在地から左折予定地点P_Lまでの残り距離を表す。
【0035】
ナビゲーション画像600Lの表示により左折案内が実現される。但し、ナビゲーション画像600Lからガイド画像610L及び620Lの何れか一方が削除されることもあるし、ガイド画像630Lが削除されることもある。また、左折案内において、所定の左折アナウンス音(車両CRを左折させるべきことをユーザに通知する文章)をスピーカ81から出力しても良い。
【0036】
発光制御部12(
図1参照)は発光構造体60の発光を制御する。発光の制御は、発光構造体60の発光の有無の制御を含む他、発光構造体60の発光態様の制御を含む。
【0037】
図8に発光構造体60と表示画面30との位置関係を示す。
図8においてドット領域が発光構造体60を表す。表示画面30は矩形形状を有し、例えば、マルチメディア装置1の筐体の中央付近に配置される。但し、表示画面30がユーザから見易い位置に配置されるのであれば、表示画面30の配置位置はマルチメディア装置1の筐体の中央付近に限らない。発光構造体60は表示画面30の外縁部に配置される。即ち、発光構造体60は、表示画面30の外側であって且つ表示画面30に隣接して配置される。但し、発光構造体60と表示画面30との間に若干量の他の物体が介在していても良い。
図8において、発光構造体60は表示画面30の全周囲を取り囲む中空四角形の構造体である。本実施形態において、左右方向及び上下方向は夫々表示画面30の水平方向及び垂直方向に平行であって(従って表示画面30は左右方向及び上下方向の夫々に平行であって)、上下方向は左右方向に直交し、且つ、上側から下側に向かう向きは重力が働く向きに一致するものとする。表示画面30の垂直方向(上下方向)は重力が働く方向から若干傾いている場合もあるが、ここでは、その傾きを無視する。
【0038】
発光構造体60は、表示画面30の上端の上側に配置された上方構造体60Uと、表示画面30の右端の右側に配置された右方構造体60Rと、表示画面30の左端の左側に配置された左方構造体60Lと、表示画面30の下端の下側に配置された下方構造体60Dと、を備える。発光構造体60に構造体60U、60R、60L及び60Dが全て含まれることは必須では無い。例えば、発光構造体60から、構造体60R、60L及び60Dが削除される場合もある、或いは、構造体60Dが削除される場合もある。
図8では、構造体60U、60R、60L及び60Dが一体に構成されているように示されているが、構造体60U、60R、60L及び60Dは互いに分離した複数の物体にて構成されていても良い。構造体60U、60R、60L及び60Dが一体に構成される場合、構造体60U及び60R間の結合部、構造体60U及び60L間の結合部、構造体60D及び60R間の結合部、並びに、構造体60D及び60L間の結合部も発光構造体60に含まれる。
【0039】
構造体60U、60R、60L及び60Dは、夫々に、発光制御部12の制御の下、自身の一部のみから光を発することができるし、自身の全体から光を発することもできる。
【0040】
図9を参照し、ここでは、説明の具体化のため、構造体60U、60R、60L及び60Dが夫々に複数の要素領域に分割され、発光制御部12は各要素領域を個別に発光状態又は非発光状態に制御することが可能であるとする。発光状態とはユーザに向けて光を発している状態を指し、非発光状態とはユーザに向けて光を発していない状態を指す。発光構造体60内の領域の内、発光状態となっている領域を発光領域と称し、非発光状態となっている領域を非発光領域と称する。
【0041】
上方構造体60Uは左右方向に沿って並ぶ計NU個の要素領域61[1]~61[NU]から成る。右方構造体60Rは上下方向に沿って並ぶ計NR個の要素領域62[1]~62[NR]から成る。左方構造体60Lは上下方向に沿って並ぶ計NL個の要素領域63[1]~63[NL]から成る。下方構造体60Dは左右方向に沿って並ぶ計ND個の要素領域64[1]~64[ND]から成る。NU、NR、NL及びNDは、夫々に、2以上の任意の整数値を持つ。任意の整数iについて、要素領域61[i+1]は要素領域61[i]の右側に隣接し、要素領域62[i+1]は要素領域62[i]の下側に隣接し、要素領域63[i+1]は要素領域63[i]の下側に隣接し、要素領域64[i+1]は要素領域64[i]の右側に隣接するものとする。
【0042】
発光制御部12から供給される電気信号を光信号に変換することで発光する発光素子により発光構造体60を構成することができる。各要素領域に発光素子を設けておけば、各発光素子を発光又は非発光とすることで各要素領域を個別に発光状態又は非発光状態に制御することができる。発光素子は例えば発光ダイオードである。但し、発光素子は光を発する素子であれば任意である。発光構造体60の発光は有機エレクトロルミネッセンスによる発光であっても良い。液晶とバックライトとの組み合わせで発光構造体60が形成されても良い。
【0043】
特徴的な機能として、発光制御部12は走行案内に連動して発光構造体60の発光態様を制御する機能を持つ。
【0044】
これにより、走行案内ルートに沿った運転操作の支援が強化され、運転手は表示画面30を注視せずとも走行案内ルートに沿った運転操作が容易となる。表示画面30を注視せずに済むことで運転操作の安全性が向上し、また運転操作による疲労の軽減も期待される。
【0045】
以下、複数の実施例の中で、発光制御に関する幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0046】
<<実施例EX1_A>>
実施例EX1_Aを説明する。実施例EX1_Aでは、右折案内又は左折案内が行われるときの発光制御について説明する。
【0047】
発光制御部12は、走行案内により車両CRの右折が案内される右折案内期間(
図5参照)において発光構造体60を所定の右折発光態様で発光させる一方、走行案内により車両CRの左折が案内される左折案内期間(
図7参照)において発光構造体60を所定の左折発光態様で発光させる。ここで右折発光態様と左折発光態様は互いに異なる。つまり、発光制御部12は、走行案内において車両CRの右折を案内するときと車両CRの左折を案内するときとで、発光構造体60を互いに異なる発光態様で発光させる。
【0048】
これにより、運転手は表示画面30を注視せずとも、発光構造体60の発光態様を周辺視野で確認することで、どちらに曲がるべきか認識することが可能となる。
【0049】
実施例EX1_Aでは、発光構造体60の内、上方構造体60Uにのみ注目し、右折案内又は左折案内時における上方構造体60Uの発光制御を説明する。
【0050】
発光制御部12は、右折案内期間において
図10(a)に示すシーケンシャル発光制御CNT
S_Rにより上方構造体60Uの発光態様を制御し、左折案内期間において
図10(b)に示すシーケンシャル発光制御CNT
S_Lにより上方構造体60Uの発光態様を制御する。シーケンシャル発光制御CNT
S_Rによる上方構造体60Uの発光態様が上記の右折発光態様に相当し、シーケンシャル発光制御CNT
S_Lによる上方構造体60Uの発光態様が上記の左折発光態様に相当する。
【0051】
シーケンシャル発光制御CNTS_R及びCNTS_Lでは、上方構造体60Uの或る領域を対象領域に設定して対象領域を非発光状態から発光状態に変化させ、且つ、対象領域を時間経過とともに順次移動させる。この移動の向きを、発光制御CNTS_Rでは右向きに設定する一方、発光制御CNTS_Lでは左向きに設定する。
【0052】
説明の具体化のため、“N
U=4”であると仮定して(
図9参照)、シーケンシャル発光制御CNT
S_R及びCNT
S_Lを説明する。
図10(a)及び(b)において斜線領域が発光領域を表す(発光構造体60の発光/非発光状態を示す後述の他の図面においても同様)。
【0053】
シーケンシャル発光制御CNT
S_Rでは、上方構造体60Uの状態が状態ST
R0~ST
R4間で順次切り替わる。この際、上方構造体60Uの状態は、状態ST
R0を起点に、所定の状態遷移時間T
Sが経過するごとに、状態ST
R1、ST
R2、ST
R3、ST
R4へと、この順番で変化し、上方構造体60Uの状態が状態ST
R4に至ってから所定の状態遷移時間T
Sが経過すると、上方構造体60Uの状態が状態ST
R0に戻る。以後は、状態ST
R0を起点に、同様の状態遷移が繰り返される。シーケンシャル発光制御CNT
S_Rが行われる期間(従って右折案内期間)においてナビゲーション画像600R(
図4参照)が表示画面30に表示される。尚、
図10(a)及び後述の幾つかの図面では、図面の煩雑化防止のため、ナビゲーション画像600Rの内容の詳細な図示は省略される。
【0054】
状態STR0では要素領域61[1]~61[4]が全て非発光状態(発光していない状態)にある。要素領域61[1]~61[4]の内、状態STR1では要素領域61[1]のみが発光状態(発光している状態)にあり、状態STR2では要素領域61[1]及び61[2]のみが発光状態にあり、状態STR3では要素領域61[1]~61[3]のみが発光状態にある。状態STR4では要素領域61[1]~61[4]が全て発光状態にある。
【0055】
シーケンシャル発光制御CNT
S_Lでは、上方構造体60Uの状態が状態ST
L0~ST
L4間で順次切り替わる。この際、上方構造体60Uの状態は、状態ST
L0を起点に、所定の状態遷移時間T
Sが経過するごとに、状態ST
L1、ST
L2、ST
L3、ST
L4へと、この順番で変化し、上方構造体60Uの状態が状態ST
L4に至ってから所定の状態遷移時間T
Sが経過すると、上方構造体60Uの状態が状態ST
L0に戻る。以後は、状態ST
L0を起点に、同様の状態遷移が繰り返される。シーケンシャル発光制御CNT
S_Lが行われる期間(従って左折案内期間)においてナビゲーション画像600L(
図6参照)が表示画面30に表示される。尚、
図10(b)及び後述の幾つかの図面では、図面の煩雑化防止のため、ナビゲーション画像600Lの内容の詳細な図示は省略される。
【0056】
状態STL0では要素領域61[1]~61[4]が全て非発光状態(発光していない状態)にある。要素領域61[1]~61[4]の内、状態STL1では要素領域61[4]のみが発光状態(発光している状態)にあり、状態STL2では要素領域61[3]及び61[4]のみが発光状態にあり、状態STL3では要素領域61[2]~61[4]のみが発光状態にある。状態STL4では要素領域61[1]~61[4]が全て発光状態にある。
【0057】
図10(a)のシーケンシャル発光制御CNT
S_Rにおいて、状態ST
R0から状態ST
R1への遷移過程では要素領域61[1]が上記対象領域(非発光状態から発光状態に変化する領域)に相当する。同様に、状態ST
R1から状態ST
R2への遷移過程、状態ST
R2から状態ST
R3への遷移過程、状態ST
R3から状態ST
R4への遷移過程では、夫々、要素領域61[2]、61[3]、61[4]が上記対象領域に相当する。一方、
図10(b)のシーケンシャル発光制御CNT
S_Lにおいて、状態ST
L0から状態ST
L1への遷移過程では要素領域61[4]が上記対象領域に相当する。同様に、状態ST
L1から状態ST
L2への遷移過程、状態ST
L2から状態ST
L3への遷移過程、状態ST
L3から状態ST
L4への遷移過程では、夫々、要素領域61[3]、61[2]、61[1]が上記対象領域に相当する。つまり、対象領域は、シーケンシャル発光制御CNT
S_Rでは時間経過と共に左から右に向けて移動してゆく一方、シーケンシャル発光制御CNT
S_Lでは時間経過と共に右から左に向けて移動してゆく。
【0058】
このように、右折案内期間又は左折案内期間において、対象領域(非発光状態から発光状態に変化する領域)を移動させるシーケンシャル発光制御を行うことで、光が動いてゆくかのような印象を運転手に与えることができる。この際、光の移動の向き(対象領域の移動の向き)を右折案内期間と左折案内期間とで異ならせる。これにより、運転手は表示画面30を注視せずとも、発光構造体60の発光態様を周辺視野で確認することで、どちらに曲がるべきかを認識することが可能となる。具体的には、上述の如く、右折が必要なときには光の移動の向きを右向きに設定する一方で左折が必要なときには光の移動の向きを左向きに設定すれば良く、これによって直感的な把握が可能となる。
【0059】
また、シーケンシャル発光制御CNTS_Rにおいて、発光制御部12は、車両CRの現在地から右折予定地点P_Rまでの残り距離dRに基づき対象領域の移動速度を変化させる。残り距離dRは、右折予定ケースにおいて、車両CRが右折予定地点P_Rに到達するまでに車両CRが走行すべき残りの距離であり、車両位置情報、地図情報及び走行案内ルート等に基づき求められる。同様に、シーケンシャル発光制御CNTS_Lにおいて、発光制御部12は、車両CRの現在地から左折予定地点P_Lまでの残り距離dLに基づき対象領域の移動速度を変化させる。残り距離dLは、左折予定ケースにおいて、車両CRが左折予定地点P_Lに到達するまでに車両CRが走行すべき残りの距離であり、車両位置情報、地図情報及び走行案内ルート等に基づき求められる。
【0060】
残り距離(dR又はdL)に応じて対象領域の移動速度を変化させることにより、運転手は表示画面30を注視せずとも、対象領域の移動速度を周辺視野で確認することで、右折又は左折までの残り距離を概略的に認識することが可能となる。
【0061】
具体的には、発光制御CNT
S_Rにおいて残り距離d
Rが小さくなるにつれて対象領域の移動速度を増大させると良く、発光制御CNT
S_Lにおいて残り距離d
Lが小さくなるにつれて対象領域の移動速度を増大させると良い。これにより、右折又は左折までの残り距離の直感的な認識が容易となる。発光制御CNT
S_R及びCNT
S_Lにおいて上記状態遷移時間T
Sが短くなれば対象領域の移動速度が増大するので、発光制御部12は上記状態遷移時間T
Sの増減を通じて対象領域の移動速度を制御することができる。尚、対象領域の移動速度は、
図10(a)及び(b)の例では、上方構造体60Uにおける発光領域の面積の増大速度でもある。
【0062】
<<実施例EX1_B>>
実施例EX1_Bを説明する。実施例EX1_Aを以下のように変形しても良い。
【0063】
まず、状態ST
R0及びST
L0では、実施例EX1_Aと同様に要素領域61[1]~61[4]が全て非発光状態にある。但し、実施例EX1_Bでは、状態ST
R1~ST
R4及びST
L1~ST
L4の夫々において、要素領域61[1]~61[4]の内、単一の要素領域のみが発光状態とされる。この際、
図11(a)及び(b)に示す如く、状態ST
R1、ST
R2、ST
R3、ST
R4では、夫々、要素領域61[1]、61[2]、61[3]、61[4]のみを発光させ、状態ST
L1、ST
L2、ST
L3、ST
L4では、夫々、要素領域61[4]、61[3]、61[2]、61[1]のみを発光させる。
【0064】
これによっても、実施例EX1_Aと同様の作用及び効果が得られる。状態ST
R0から状態ST
R1、ST
R2、ST
R3、ST
R4へと遷移するにつれて、実施例EX1_Aでは上方構造体60U中の発光領域の面積が増大するのに対し(
図10(a)参照)、実施例EX1_Bでは当該面積が増大することなく発光箇所のみが移動してく(
図11(a)参照)。状態ST
L0から状態ST
L1、ST
L2、ST
L3、ST
L4への遷移についても同様である。
【0065】
シーケンシャル発光制御CNTS_Rに関し、実施例EX1_Aと同様、状態STR0から状態STR1への遷移過程、状態STR1から状態STR2への遷移過程、状態STR2から状態STR3への遷移過程、状態STR3から状態STR4への遷移過程では、夫々、要素領域61[1]、61[2]、61[3]、61[4]が上記対象領域(非発光状態から発光状態に変化する領域)に相当する。シーケンシャル発光制御CNTS_Lに関し、実施例EX1_Aと同様、状態STL0から状態STL1への遷移過程、状態STL1から状態STL2への遷移過程、状態STL2から状態STL3への遷移過程、状態STL3から状態STL4への遷移過程では、夫々、要素領域61[4]、61[3]、61[2]、61[1]が上記対象領域に相当する。
【0066】
<<実施例EX1_C>>
実施例EX1_Cを説明する。実施例EX1_A又はEX1_Bにおいて、上方構造体60Uの代わりに下方構造体60Dを用いてシーケンシャル発光制御CNTS_R及びCNTS_Lを行うようにしても良い。或いは、実施例EX1_A又はEX1_Bにおいて、上方構造体60U及び下方構造体60Dの双方に対しシーケンシャル発光制御CNTS_R及びCNTS_Lを行うようにしても良い。この場合には、上方構造体60Uに対する発光制御と同じ発光制御にて下方構造体60Dの発光態様を制御すれば良い。
【0067】
<<実施例EX2_A>>
実施例EX2_Aを説明する。実施例EX2_Aでは、発光構造体60の内、右方構造体60R及び左方構造体60Lにのみ注目し、右折案内又は左折案内時における構造体60R及び60Lの発光制御を説明する。
【0068】
図12(a)に右折案内期間における表示画面30と構造体60R及び60Lの様子を示す。右折案内期間において、表示画面30にナビゲーション画像600Rが表示される。右折案内期間において、発光制御部12は左方構造体60Lの全部を非発光状態とする一方、残り距離d
Rに応じて右方構造体60Rの一部又は全部を発光させる。残り距離d
Rの意義は実施例EX1_Aにて述べた通りである。
図12(a)では上方構造体60U及び下方構造体60Dが示されていないが、右折案内期間において上述のシーケンシャル発光制御CNT
S_Rにより上方構造体60U又は下方構造体60Dの発光が制御される。
【0069】
右折案内期間において、発光制御部12は、残り距離d
Rに応じて右方構造体60Rの発光領域の長さ(以下、発光領域長L
Rと称する)を制御し、この際、残り距離d
Rが短くなるにつれて発光領域長L
Rを短縮する。右方構造体60Rは上下方向に長手方向を有する概略四角形形状を有し、故に上下方向に沿って長さが定義される。発光領域長L
Rは右方構造体60Rにおける発光領域の上下方向の長さである。右折案内期間において、発光制御部12は、要素領域62[1]~62[N
R]の内、要素領域62[1]~62[j]のみを発光状態とする(ここにおけるjは“1≦j≦N
R”を満たす整数;
図9参照)。このとき、要素領域62[1]の上端から要素領域62[j]の下端までの距離が発光領域長L
Rに相当する。故に、発光制御部12は残り距離d
Rに応じて“j”の値を可変制御することになる。
【0070】
図12(b)に左折案内期間における表示画面30と構造体60R及び60Lの様子を示す。左折案内期間において、表示画面30にナビゲーション画像600Lが表示される。左折案内期間において、発光制御部12は右方構造体60Rの全部を非発光状態とする一方、残り距離d
Lに応じて左方構造体60Lの一部又は全部を発光させる。残り距離d
Lの意義は実施例EX1_Aにて述べた通りである。
図12(b)では上方構造体60U及び下方構造体60Dが示されていないが、左折案内期間において上述のシーケンシャル発光制御CNT
S_Lにより上方構造体60U又は下方構造体60Dの発光が制御される。
【0071】
左折案内期間において、発光制御部12は、残り距離d
Lに応じて左方構造体60Lの発光領域の長さ(以下、発光領域長L
Lと称する)を制御し、この際、残り距離d
Lが短くなるにつれて発光領域長L
Lを短縮する。左方構造体60Lは上下方向に長手方向を有する概略四角形形状を有し、故に上下方向に沿って長さが定義される。発光領域長L
Lは左方構造体60Lにおける発光領域の上下方向の長さである。左折案内期間において、発光制御部12は、要素領域63[1]~63[N
L]の内、要素領域63[1]~63[j]のみを発光状態とする(ここにおけるjは“1≦j≦N
L”を満たす整数;
図9参照)。このとき、要素領域63[1]の上端から要素領域63[j]の下端までの距離が発光領域長L
Lに相当する。故に、発光制御部12は残り距離d
Lに応じて“j”の値を可変制御することになる。
【0072】
構造体60R又は60Lは所定方向に沿った長さを有する所定構造体(所定方向に長さが定義される発光体)の例である。発光制御部12が残り距離(dR又はdL)に応じて所定構造体の発光領域の長さ(RL、LL)を制御することにより、運転手は表示画面30を注視せずとも、上記発光領域の長さを周辺視野で確認することで、右折又は左折までの残り距離を概略的に認識することが可能となる。
【0073】
尚、所定構造体が構造体60R又は60Lであるとき、所定方向は上下方向に相当するが、所定方向は上下方向と相違していても構わない。所定構造体は構造体60R又は60L以外でも良い(例えば構造体60Dでも良い)。
【0074】
<<実施例EX2_B>>
実施例EX2_Bを説明する。実施例EX2_Bでは、実施例EX2_Aに対する変形技術を説明する。
【0075】
右折案内期間において、残り距離d
Rに応じ右方構造体60Rの一部又は全部を発光させると共に左方構造体60Lの一部又は全部を発光させても良い(
図13(a)参照)。この場合、残り距離d
Rに応じ発光領域長L
R及びL
Lを制御して良く、例えば残り距離d
Rが短くなるにつれて発光領域長L
R及びL
Lを短縮すると良い(この際“L
R=L
L”であって良い)。
【0076】
左折案内期間において、残り距離d
Lに応じ右方構造体60Rの一部又は全部を発光させると共に左方構造体60Lの一部又は全部を発光させても良い(
図13(b)参照)。この場合、残り距離d
Lに応じ発光領域長L
R及びL
Lを制御して良く、例えば残り距離d
Lが短くなるにつれて発光領域長L
R及びL
Lを短縮すると良い(この際“L
R=L
L”であって良い)。
【0077】
<<実施例EX3>>
実施例EX3を説明する。ナビゲーション部11は、表示画面30に表示される走行案内ルートの色を複数の候補色の内の任意の何れかに設定することができる。設定された走行案内ルートの色を走行案内ルートの設定色と称する。走行案内ルートの設定色にて走行案内ルートが表示画面30に表示されるため、走行案内ルートの設定色は走行案内ルートの表示色でもある。ユーザは、走行案内ルートの設定色を上記複数の候補色の中から選択するためのルート色選択操作を操作部40に入力することができる。ナビゲーション部11は、入力されたルート色選択操作に従って走行案内ルートの設定色を定める。ルート色選択操作が一切入力されないとき、走行案内ルートの設定色は上記複数の候補色に含まれる規定色となる。
【0078】
他方、発光構造体60は上記複数の候補色の何れかにて発光可能である。発光構造体60は、上記複数の候補色の何れの色でも発光可能な構成を有する。そして、発光制御部12は、発光構造体60の全部又は一部を発光させる際、走行案内ルートの設定色に応じて発光構造体60の発光色を設定する。この際、発光構造体60の発光色を走行案内ルートの設定色と一致させると良い。
【0079】
より具体的には例えば、表示画面30に走行案内ルート614R及び624R(
図4参照)が特定の色にて表示される右折案内期間において、或いは、表示画面30に走行案内ルート614L及び624L(
図6参照)が特定の色にて表示される左折案内期間において、上述の各実施例に示した方法で発光構造体60の全部又は一部を発光させる際、発光制御部12は発光構造体60中の発光領域の発光色を上記特定の色に設定する。
【0080】
これにより、発光構造体60の発光が走行案内ルートと関連していることが運転手にとって把握されやすくなり、発光構造体60の発光の視認を通じた運転支援が促進される。
【0081】
<<実施例EX4>>
実施例EX4を説明する。実施例EX4及び後述の幾つかの実施例では、走行案内との連動とは別の、発光構造体60の利用技術を説明する。
【0082】
車両CRに最大でn人の乗員が搭乗することができ、車両CRにはn人の乗員が着席可能な座席が設けられる。nは2以上の任意の整数であって良いが、以下では特に断りなき限り、“n=4”であるとする。
図14は車内の様子を概略的に示した図である。車内とは車両CRの車室内を指す。車両CRの車内に4つの座席ST[1]~ST[4]が設置される。座席ST[1]は、車両CRの運転操作を行う運転手が着席すべき運転席である。座席ST[1]の左側に助手席に相当する座席ST[2]が設置される。座席ST[1]の後方に座席ST[3]が設置され、座席ST[2]の後方に座席ST[4]が設置される。座席ST[3]の左側に座席ST[4]が位置する。
【0083】
また、ここでは、
図15に示す如く車両CRに4つのドアDR[1]~DR[4]が設けられているものとし、更に、各ドアに窓が設けられているものとする。
図16に示す如く、ドアDR[i]に設けられた窓を記号“WD[i]”にて参照する(iは整数)。
図15は、ドアDR[1]~DR[4]が十分に開いた状態の車両CRの様子を示す。各ドア及び各窓は、車両CRの車室内と車両CRの外部空間との境界に位置する開閉自在な車両部品である。
【0084】
ドアDR[i]は座席ST[i]に対応付けられたドアである。即ち例えば、ドアDR[1]は座席ST[1]に対応付けられ、ドアDR[2]は座席ST[2]に対応付けられる。座席ST[i]と座席ST[i]に対応するドアDR[i]との距離は、座席ST[i]と他のドアとの距離よりも短い。従って例えば、座席ST[1]とドアDR[1]との距離は、座席ST[1]とドアDR[2]~DR[4]との距離よりも短い。ドアDR[i]に対して窓WD[i]が設けられるので、窓WD[i]は座席ST[i]に対応付けられた窓である。以下、符号を伴わずに示されるドアはドアDR[1]~DR[4]の何れかを指し、符号を伴わずに示される窓は窓WD[1]~WD[4]の何れかを指すものとする。
【0085】
図17に示す如く、車載センサ部4はドアセンサ4A及び窓センサ4Bを備えている。ドアセンサ4Aは、ドアDR[1]~DR[4]の開閉状態を個別に検出し、その検出結果を表すドア開閉情報を出力する。窓センサ4Bは、窓WD[1]~WD[4]の開閉状態を個別に検出し、その検出結果を表す窓開閉情報を出力する。ドア開閉情報及び窓開閉情報は車載センサ情報の一部としてマルチメディア装置1に送られる。
【0086】
車両CRの各ドアは開状態及び閉状態の何れかの状態をとる。ドア開閉情報は、ドアDR[1]~DR[4]の夫々について、ドアが開状態及び閉状態の何れの状態にあるのかを表す。ドアDR[i]の開状態とはドアDR[i]が開放された状態を指し、ドアDR[i]が開状態にあるときにのみ、ドアDR[i]を通じた物体(人物を含む)又は流体(空気を含む)の通過が可能となる。半ドア状態は開状態に属する。従って、ドアDR[i]が半ドア状態にあるとき、ドアDR[i]は開状態である。
【0087】
車両CRの各窓は開状態及び閉状態の何れかの状態をとる。窓開閉情報は、窓WD[1]~WD[4]の夫々について、窓が開状態及び閉状態の何れの状態にあるのかを表す。窓の開状態とは窓が開放された状態を指し、窓が開状態にあるときにのみ、当該窓を通じた物体又は流体(空気を含む)の通過が可能となる。
【0088】
発光制御部12は、走行案内に連動させた車両CRの走行支援とは別に、発光構造体60を用いて様々な通知を車両CRの乗員(特に運転手)に行うことができる。この通知を行うべく、発光制御部12は発光構造体60に複数の通知領域を設定する。発光制御部12は座席の数だけ通知領域を設定でき、ここでは計4つの通知領域が設定されるものとする。
図18に、発光構造体60に設定された4つの通知領域66[1]~66[4]を示す。通知領域66[1]~66[4]は、発光構造体60の全領域に含まれる互いに異なる4つの領域(互いに重複しない4つの領域)である。通知領域66[1]、66[2]、66[3]、66[4]は、夫々、座席ST[1]、ST[2]、ST[3]、ST[4]に関連付けられる。上述の如く、ドアDR[i]及び窓WD[i]は座席ST[i]に対応しているため、通知領域66[i]はドアDR[i]及び窓WD[i]に対応している、と言える。発光制御部12は、通知領域66[1]~66[4]を個別に発光状態又は非発光状態に制御することができる。
【0089】
ここでは、右方構造体60R内に通知領域66[1]及び66[3]が設定されると共に左方構造体60L内に通知領域66[2]及び66[4]が設定されるものとする。この場合例えば(
図9も参照)、要素領域62[1]~62[N
R]の内、要素領域62[1]~62[N
R/2]にて通知領域66[1]を形成する一方で、残りの要素領域62[N
R/2+1]~62[N
R]にて通知領域66[3]を形成することができる(但しN
Rが偶数であると仮定)。同様に例えば、要素領域63[1]~63[N
L]の内、要素領域63[1]~63[N
L/2]にて通知領域66[2]を形成する一方で、残りの要素領域63[N
L/2+1]~63[N
L]にて通知領域66[4]を形成することができる(但しN
Lが偶数であると仮定)。
【0090】
但し、上方構造体60U内に通知領域66[1]及び66[2]を設定すると共に下方構造体60D内に通知領域66[3]及び66[4]を設定するようにしても良い。或いは、構造体60U及び60Rに亘って通知領域66[1]を設定し、構造体60U及び60Lに亘って通知領域66[2]を設定し、構造体60R及び60Dに亘って通知領域66[3]を設定し、且つ、構造体60L及び60Dに亘って通知領域66[4]を設定するようにしても良い。
【0091】
何れにせよ、座席ST[1]~ST[4]の位置関係を考慮して、通知領域66[1]の左側に通知領域66[2]を設定し、通知領域66[1]の下側に通知領域66[3]を設定し、通知領域66[2]の下側であって且つ通知領域66[3]の左側に通知領域66[4]を設定すると良い。
【0092】
実施例EX4に係る発光制御部12は、ドアの閉め忘れ(閉めそこない)をユーザに通知する機能を有する。
図19に当該機能の動作の流れを示す。
図19を参照して当該機能を説明する。
【0093】
まず、ステップS41において主制御部10は車両CRの動力源(エンジン等)が始動したか否かを判定する。主制御部10はイグニッションスイッチCC3への操作の入力状態に基づき当該判定を行うことができる。車両CRの動力源は車両CRを走行させるための駆動力を発生させる。動力源は、化石燃料若しくは電気エネルギ、又は、それらの組み合わせから、駆動力を発生させる。ユーザがイグニッションスイッチCC3に対して所定の始動操作を入力することで、車両CRの動力源が非作動状態から作動状態に切り替わる。動力源が非作動状態から作動状態に切り替わることが動力源の始動に相当する。車両CRの動力源が作動状態に切り替わった後、ユーザがイグニッションスイッチCC3に対して所定の停止操作を入力することで、車両CRの動力源が作動状態から非作動状態に切り替わる。動力源が作動状態であるときのみ、車両CRのアクセルペダルの踏み込み操作に応じて車両CRを走行させるための駆動力が発生し、発生した駆動力に基づく車両CRの走行が可能となる。
【0094】
ステップS41において、車両CRの動力源が始動していると判定された場合には(換言すれば動力源が作動状態にあると判定された場合には;ステップS41のY)ステップS42に進むが、そうでない場合には(ステップS41のN)、ステップS41の処理が繰り返される。
【0095】
ステップS42において、主制御部10はドア開閉情報に基づき何れかのドアが開状態であるかを確認する。何れか1以上のドアが開状態であるときには(ステップS42のY)ステップS43に進む。全てのドアが閉状態であるときには(ステップS42のN)、ステップS43に進むことなく
図19の動作を終える。
図19の動作を終えると、上述の走行案内が可能となる。
【0096】
ステップS43において主制御部10はドア開通知処理を実行する。ドア開通知処理において、発光制御部12は開状態のドアに対応する座席に関連付けられた通知領域を発光させる。ドア開通知処理は、開状態のドアが存在することを示す情報及び開状態のドアが何れのドアであるかを示す情報を表示画面30に表示する処理又はスピーカ81から音声出力する処理を含んでいても良い。ステップS43の後、ステップS42に戻る。このため、全てのドアが閉状態になるまでドア開通知処理が継続実行される。
【0097】
図20に、ドアDR[1]~DR[4]の内、ドアDR[4]のみが開状態であるケースでのドア開通知処理の内容を示す。当該ケースに係るドア開通知処理では、ドアDR[4]に対応する座席ST[4]に関連付けられた通知領域66[4]のみが所定の通知発光態様で発光され(例えば、通知領域66[4]が黄色の発光色にて点滅し)、通知領域66[1]~66[3]は非発光状態に維持される。他のドアが開状態である場合も同様である。尚、複数のドアが開状態である場合もあり、その場合には複数のドアに対してドア開通知処理が実行される。
【0098】
発光構造体60を利用した上記のドア開通知処理により、動力源の始動時におけるドアの開状態を目立つ態様で乗員(例えば運転手)に通知することができ、この際、どの座席のドアが開状態にあるのかを直感的に乗員(例えば運転手)に知らせることが可能となる。
【0099】
<<実施例EX5>>
実施例EX5を説明する。実施例EX5に係る発光制御部12は、窓の閉め忘れをユーザに通知する機能を有する。
図21に当該機能の動作の流れを示す。
図21を参照して当該機能を説明する。尚、上述の各実施例にて示した事項は実施例EX5にも適用される。
【0100】
ステップS51に至る前に上述の走行案内及び走行案内に連動した発光構造体60の発光制御が実行される。車両CRの動力源が作動状態にあることを起点にして車両CRが停止すると(車両CRの速度がゼロになると)ステップS51に至る。ステップS51において、主制御部10は所定の降車判定条件の成否を判定する。降車判定条件の成否の判定は、車両CRの乗員(例えば全乗員)が車両CRから降りる過程にあるか否かの判定である。降車判定条件が成立するとき(ステップS51のY)、主制御部10により、車両CRの乗員(例えば全乗員)が車両CRから降りる過程にあると推定され、ステップS52に進む。降車判定条件が非成立であれば(ステップS51のN)ステップS51の処理が繰り返される。
【0101】
例えば、車内の乗員をカメラ部2で撮影することで得たカメラ画像(カメラ部2に含めておくことのできる車内カメラのカメラ画像)に基づき降車判定条件の成否を判定することができる。この場合、当該カメラ画像中の各乗員の位置及び動き等に基づき各乗員が車両CRから降りる過程にあるか否かを推定すれば良い。或いは、車両CRの動力源(エンジン等)が停止したとき、即ちイグニッションスイッチCC3への所定の停止操作の入力を通じて動力源の状態が作動状態から非作動状態に切り替わったとき、降車判定条件が成立したと判定しても良い。更に或いは、車両CRの動力源が停止した後、何れかのドアが閉状態から開状態に切り替わったときに、降車判定条件が成立したと判定しても良い。
【0102】
ステップS52において、主制御部10は窓開閉情報に基づき何れかの窓が開状態であるかを確認する。何れか1以上の窓が開状態であるときには(ステップS52のY)ステップS53に進む。全ての窓が閉状態であるときには(ステップS52のN)、ステップS53に進むことなく
図21の動作を終える。
【0103】
ステップS53において主制御部10は窓開通知処理を実行する。窓開通知処理において、発光制御部12は開状態の窓に対応する座席に関連付けられた通知領域を発光させる。窓開通知処理は表示処理を含み(
図22参照)、更に音声出力処理を含んでいても良い。窓開通知処理において、表示処理では、開状態の窓が存在することを示す情報及び開状態の窓が何れの窓であるかを示す情報が表示画面30に表示され、音声出力処理ではそれらの情報がスピーカ81から出力される。
図21に示す如く、ステップS53の後、ステップS52に戻っても良いし、窓開通知処理を一定時間だけ継続した後、ステップS52に戻ることなく
図21の動作を終えても良い。
【0104】
図22に、窓WD[1]~WD[4]の内、窓WD[1]のみが開状態であるケースでの窓開通知処理の内容を示す。当該ケースに係る窓開通知処理では、窓WD[1]に対応する座席ST[1]に関連付けられた通知領域66[1]のみが所定の通知発光態様で発光され(例えば、通知領域66[1]が黄色の発光色にて点滅し)、通知領域66[2]~66[4]は非発光状態に維持される。他の窓が開状態である場合も同様である。尚、複数の窓が開状態である場合もあり、その場合には複数の窓に対して窓開通知処理が実行される。
【0105】
発光構造体60を利用した上記の窓開通知処理により、車両降車時における窓の閉め忘れを目立つ態様で乗員(例えば運転手)に通知することができ、この際、どの座席(位置)の窓が開状態にあるのかを直感的に乗員(例えば運転手)に知らせることが可能となる。
【0106】
<<実施例EX6>>
実施例EX6を説明する。実施例EX6に係る発光制御部12は、降車時の障害物の存在をユーザに通知する機能を有する。
図23に当該機能の動作の流れを示す。
図23を参照して当該機能を説明する。尚、上述の各実施例にて示した事項は実施例EX6にも適用される。
【0107】
ステップS61に至る前に上述の走行案内及び走行案内に連動した発光構造体60の発光制御が実行される。車両CRの動力源が作動状態にあることを起点にして車両CRが停止すると(車両CRの速度がゼロになると)ステップS61に至る。ステップS61において、主制御部10は所定の降車判定条件の成否を判定する。降車判定条件が成立するとき(ステップS61のY)、主制御部10により、車両CRの乗員が車両CRから降りる過程にあると推定され、ステップS62に進む。降車判定条件が非成立であれば(ステップS61のN)ステップS61の処理が繰り返される。降車判定条件については実施例EX5で述べた通りであって良いが、本実施例では降車する乗員は全乗員であっても良いし、一人以上の乗員に関して降車判定条件の成否を判定しても良い。
【0108】
即ち、本実施例では乗員ごとに降車判定条件の成否が判定されて良い。任意の注目乗員について降車判定条件が成立するとは、当該注目乗員が車両CRから降りる過程にあると推定されることに相当する。例えば、車内の乗員をカメラ部2で撮影することで得たカメラ画像(カメラ部2に含めておくことのできる車内カメラのカメラ画像)に基づき乗員ごとに降車判定条件の成否を判定して良い。そして、任意の注目乗員の像を含むカメラ画像に基づき当該注目乗員について降車判定条件が成立するとき、ステップS62に進んで良い。また例えば、車両CRの動力源が停止した後、ドアDR[i]が閉状態から開状態に切り替わったとき、ドアDR[i]に対応する乗員について降車判定条件が成立したと判定して(即ち、当該乗員がドアDR[i]を通じて車両CRから降りる過程にあると推定して)、ステップS62に進んでも良い。ドアDR[i]に対応する乗員とは、ドアDR[i]に対応する座席ST[i]に座っている又は座っていた乗員を指す。
【0109】
ステップS62において、主制御部10は障害物検出用信号に基づく障害物検出処理を実行する。マルチメディア装置1において又は車載システムSYSにおいて、車両CRの外部に所定の障害物検出領域が設定される。
【0110】
図24を参照する。障害物検出領域は車両CRの周辺領域を含む。障害物検出領域は、特に、車両CRの右側側面から車両CRの右側に向けて広がり且つ所定の大きさを有する右側外部領域710と、車両CRの左側側面から車両CRの左側に向けて広がり且つ所定の大きさを有する左側外部領域720と、を含む。ドアDR[1]及びDR[3]の可動範囲の全体が右側外部領域710に内包され、且つ、ドアDR[2]及びDR[4]の可動範囲の全体が左側外部領域720に内包される。右側外部領域710はドア用検出領域RR[1]及びRR[3]を内包し、左側外部領域720はドア用検出領域RR[2]及びRR[4]を内包する。ドア用検出領域RR[1]~RR[4]は互いに重なり合わない。“i=1”、“i=2”、“i=3”及び“i=4”の夫々について、ドア用検出領域RR[i]はドアDR[i]の可動範囲の全体を含む。
図24では、路面に投影された領域710及び720並びにRR[1]~RR[4]の各外縁が示されているが、領域710及び720並びにRR[1]~RR[4]は三次元領域である。
【0111】
ドア用検出領域RR[i]内に三次元物体が存在するときにドアDR[i]を開放すると、ドアDR[i]自体又はドアDR[i]から降りた人物が当該三次元物体に接触する可能性がある。ドア用検出領域RR[i]内に存在する三次元物体及びドア用検出領域RR[i]に接近する三次元物体は、ドアDR[i]を開放する際の、又は、ドアDR[i]から人物が下りる際の障害物となる。
【0112】
車載システムSYSには、障害物検出領域内の三次元物体を検出可能なソナー(不図示)が設けられ、ソナーの出力信号が障害物検出用信号としてマルチメディア装置1(主制御部10)に入力される。ソナーの出力信号は、障害物検出領域内の三次元物体の有無、及び、障害物検出領域内の三次元物体の位置を表す。障害物検出処理において、主制御部10は、ソナーの出力信号に基づき、ドア用検出領域ごとにドア用検出領域内の三次元物体の存否を検出する。更に、ソナーの出力信号の時系列情報に基づき、主制御部10は、ドア用検出領域ごとにドア用検出領域への三次元物体の接近の有無を検出しても良い。車両CRが停止している状態においてドア用検出領域RR[i]の外側に位置する三次元物体が移動しており、その移動軌跡から当該三次元物体がドア用検出領域RR[i]に接近していると判断されるとき、主制御部10はドア用検出領域RR[i]に三次元物体が接近していると検出できる。
【0113】
ステップS62に続くステップS63において障害物検出処理の結果が確認される。障害物検出処理において、降車する乗員のドア用検出領域に三次元物体が存在している又は接近していると検出された場合には(ステップS63のY)ステップS64に進み、そうでない場合には(ステップS63のN)ステップS64に進むことなく
図23の動作を終える。降車する乗員のドア用検出領域とは、降車判定条件が成立した乗員に対応するドア用検出領域を指す。座席ST[i]とドアDR[i]及びドア用検出領域RR[i]とは対応関係にあるため、座席ST[i]に座っている又は座っていた乗員に対して降車判定条件が成立した場合には(即ち当該乗員がドアDR[i]を通じて車両CRから降りる過程にあると推定された場合には)、ドア用検出領域RR[i]が、降車する乗員のドア用検出領域に相当する。
【0114】
降車する乗員のドア用検出領域に三次元物体が存在している又は接近していると検出された場合、主制御部10は、降車する乗員のドア用検出領域であって且つ三次元物体の存在又は接近が検出されたドア用検出領域に対応するドアを、警戒対象ドアとして特定する。従って、降車する乗員のドア用検出領域がドア用検出領域RR[i]であって、且つ、ドア用検出領域RR[i]内に三次元物体の存在することが検出されたとき又はドア用検出領域RR[i]への三次元物体の接近が検出されたとき、ドアDR[i]が、開放に際して障害物(三次元物体)に警戒すべき警戒対象ドアとして特定される。
【0115】
ステップS64において主制御部10は障害物通知処理を実行する。障害物通知処理において、発光制御部12は警戒対象ドアに対応する座席に関連付けられた通知領域を発光させる。障害物通知処理は表示処理を含み(
図25参照)、更に音声出力処理を含んでいても良い。障害物通知処理において、表示処理では、障害物が存在することを示す情報及び開放に際して障害物に注意すべきドアが何れのドアであるかを示す情報が表示画面30に表示され、音声出力処理ではそれらの情報がスピーカ81から出力される。
図23に示す如く、ステップS64の後、ステップS63に戻っても良いし、障害物通知処理を一定時間だけ継続した後、ステップS63に戻ることなく
図23の動作を終えても良い。
【0116】
図25に、ドアDR[1]~DR[4]の内、ドアDR[3]のみが警戒対象ドアとして特定されたケースでの障害物通知処理の内容を示す。当該ケースに係る障害物通知処理では、ドアDR[3]に対応する座席ST[3]に関連付けられた通知領域66[3]のみが所定の通知発光態様で発光され(例えば、通知領域66[3]が赤色の発光色にて点滅し)、通知領域66[1]、66[2]及び66[4]は非発光状態に維持される。他のドアが警戒対象ドアとして特定された場合も同様である。尚、複数のドアが警戒対象ドアとして特定される場合もあり、その場合には複数のドアに対して障害物通知処理が実行される。
【0117】
発光構造体60を利用した上記の障害物通知処理により、車両降車時において障害物に注意すべきドアを目立つ態様で乗員(例えば運転手)に通知することができ、この際、どの座席のドアの開放に注意すべきであるのかを直感的に乗員(例えば運転手)に知らせることが可能となる。
【0118】
尚、領域710及び720を視野に含んだカメラ(以下、外部カメラと称する;不図示)がカメラ部2(
図1参照)に設けられていても良く、この場合、主制御部10は、外部カメラの撮影結果に基づいて、又は、外部カメラの撮影結果と上記ソナーの出力信号の組み合わせに基づいて、障害物検出処理を行うようにしても良い。外部カメラの撮影結果を用いて障害物検出処理を行う場合、主制御部10に入力される障害物検出用信号に、外部カメラから出力されるカメラ画像情報が含まれる。外部カメラは1以上の単位カメラにて構成されていて良い。
【0119】
<<実施例EX7>>
実施例EX7を説明する。実施例EX7に係る発光制御部12は、降車時の忘れ物の存在をユーザに通知する機能を有する。
図26に当該機能の動作の流れを示す。
図26を参照して当該機能を説明する。尚、上述の各実施例にて示した事項は実施例EX7にも適用される。
【0120】
ステップS71に至る前に上述の走行案内及び走行案内に連動した発光構造体60の発光制御が実行される。車両CRの動力源が作動状態にあることを起点にして車両CRが停止すると(車両CRの速度がゼロになると)ステップS71に至る。ステップS71において、主制御部10は所定の降車判定条件の成否を判定する。降車判定条件が成立するとき(ステップS71のY)、主制御部10により、車両CRの乗員が車両CRから降りる過程にあると推定され、ステップS72に進む。降車判定条件が非成立であれば(ステップS71のN)ステップS71の処理が繰り返される。降車判定条件については実施例EX5で述べた通りであって良いが、本実施例では降車する乗員は全乗員であっても良いし、一人以上の乗員に関して降車判定条件の成否を判定しても良い。本実施例では乗員ごとに降車判定条件の成否が判定されて良く、乗員ごとの降車判定条件の成否の判定方法として実施例EX6に示したものを利用できる。
【0121】
ステップS72において、主制御部10は忘れ物の存否を検出する忘れ物検出処理を実行する。忘れ物とは、車両CRの各乗員が車両CRから降りて車両CRの外に向かう際に本来車両CRの各乗員と共に車両CRの外部に持ち出されるべき物体の内、車両CR内に置き去りにされる物体を指す。忘れ物検出処理では座席ごとに座席上の忘れ物の存否が検出される。忘れ物検出処理の具体例は後述される。
【0122】
ステップS72に続くステップS73において忘れ物検出処理の結果が確認される。忘れ物検出処理において、降車する乗員の座席上に忘れ物が存在していると検出された場合には(ステップS73のY)ステップS74に進み、そうでない場合には(ステップS73のN)ステップS74に進むことなく
図23の動作を終える。降車する乗員の座席とは、降車判定条件が成立した乗員が座っている又は座っていた座席を指す。
【0123】
降車する乗員の座席上に忘れ物が存在していると検出された場合、主制御部10は、当該降車する乗員の座席であって且つ忘れ物が存在していると検出された座席を、忘れ物対象座席として特定する。従って、降車する乗員の座席が座席ST[i]であって、且つ、座席ST[i]上に忘れ物が存在すると検出されたならば、座席ST[i]が忘れ物対象座席として特定される。
【0124】
ステップS74において主制御部10は忘れ物通知処理を実行する。忘れ物通知処理において、発光制御部12は忘れ物対象座席に関連付けられた通知領域を発光させる。忘れ物通知処理は表示処理を含み(
図27参照)、更に音声出力処理を含んでいても良い。忘れ物通知処理において、表示処理では、忘れ物が存在する可能性を示す情報及び忘れ物が存在する可能性のある座席が何れの座席であるかを示す情報が表示画面30に表示され、音声出力処理ではそれらの情報がスピーカ81から出力される。
図26に示す如く、ステップS74の後、ステップS73に戻っても良いし、忘れ物通知処理を一定時間だけ継続した後、ステップS73に戻ることなく
図23の動作を終えても良い。
【0125】
図27に、座席ST[1]~ST[4]の内、座席ST[2]のみが忘れ物対象座席として特定されたケースでの忘れ物通知処理の内容を示す。当該ケースに係る忘れ物通知処理では、座席ST[2]に関連付けられた通知領域66[2]のみが所定の通知発光態様で発光され(例えば、通知領域66[2]が黄色の発光色にて点滅し)、通知領域66[1]、66[3]及び66[4]は非発光状態に維持される。他の座席が忘れ物対象座席として特定された場合も同様である。尚、複数の座席が忘れ物対象座席として特定される場合もあり、その場合には複数の座席に対して忘れ物通知処理が実行される。座席ST[3]及びST[4]が一体の幅広座席として構成されている場合において、当該幅広座席上に忘れ物が存在すると検出された場合には、
図28に示す如く通知領域66[3]及び66[4]が所定の通知発光態様で発光されて良い。
【0126】
発光構造体60を利用した上記の忘れ物通知処理により、車両降車時の忘れ物を目立つ態様で乗員(例えば運転手)に通知することができ、この際、どの座席に忘れ物があるのかを直感的に乗員(例えば運転手)に知らせることが可能となる。
【0127】
忘れ物検出処理の具体例を挙げる。忘れ物検出処理の実現方法として、以下の第1及び第2検出方法を記載するが、それ以外の検出方法が利用されても良い。
【0128】
第1検出方法を説明する。第1検出方法では車両CRの車室内を撮影する車内カメラ(不図示)を利用する。車内カメラはカメラ部2(
図1参照)に含められる。車内カメラの視野(撮影領域)に車両CRの全座席が収まるものとする。1以上の単位カメラにて車内カメラが構成される。車内カメラにて生成されたカメラ画像情報を特に車内カメラ画像情報と称し、車内カメラ画像情報にて表される二次元画像を車内カメラ画像と称する。車内カメラ画像情報は主制御部10に入力される。
【0129】
第1検出方法に係る主制御部10は、車内カメラ画像情報に基づいて忘れ物検出処理を行う。車両CRに人物が一切乗っていない期間を非乗車期間と称し、車両CRに人物が乗り込んで各座席に乗員として座っている期間を乗車期間と称する。乗車期間から非乗車期間へ遷移する期間を降車行動期間と称する。降車行動期間において、乗員となるべき人物は第1~第3降車行動をとる。まず、第1降車行動において車両CR内に位置する人物が閉状態にあるドアを開ける。第1降車行動にてドアを開けた人物は、第2降車行動において座席から離れる行動を伴いつつ開状態のドアを通じて車両CRの外部に出る。その後、車両CRの外部に出た人物は第3降車行動にて開状態のドアを閉める。ここでは、車内カメラが車室内に人物がいない期間を含めて常時撮影を行うことを考える。また、非乗車期間から乗車期間へ遷移する期間を乗車行動期間と称する。乗車行動期間では、乗員となるべき人物が車両CRの外部から車両CRの内部へと乗り込む行動をとる。
【0130】
図29を参照する。非乗車期間741の後、乗車行動期間742を経て乗車期間743に遷移するものとする。非乗車期間741における車内カメラ画像は、基準車内カメラ画像として記憶部20に保持される。或いは、乗車行動期間742において何れかのドアが閉状態から開状態に切り替わったタイミングにおける車内カメラ画像が、基準車内カメラ画像として記憶部20に保持されても良い。乗車期間743の後、降車行動期間744を経て非乗車期間745に至る。降車行動期間744の内、第1降車行動がとられる期間において忘れ物検出処理が開始される。忘れ物検出処理では、第1降車行動を経て第2降車行動がとられる過程における車内カメラ画像を、記憶部20に保持された基準車内カメラ画像と比較し、前者の車内カメラ画像には存在するが後者の車内カメラ画像(基準車内カメラ画像)に存在しない物体を忘れ物として検出する。
【0131】
忘れ物の検出は座席ごとに行われて良い。即ち、座席ごとに座席上の忘れ物の存否が検出されて良い。尚、第1検出方法を採用する際、車内カメラが常時撮影を行うことは必須では無い。非乗車期間741から乗車期間743に遷移する過程において(従って乗車行動期間742において)何れかのドアが閉状態から開状態に切り替わったタイミングから車内カメラによる撮影を開始し、その後、降車行動期間744にて第2降車行動が完了した時点で車内カメラによる撮影を終了しても良い。
【0132】
主制御部10は、非乗車期間及び乗車期間の組み合わせが複数回繰り返される過程の車内カメラ画像に基づき車室内に通常置かれている物体を認識するようにしても良い。そして、乗員が第2降車行動をとるときにおいて、座席ST[i]上に通常置かれている物体と異なる物体が存在すると判断したとき、座席ST[i]を忘れ物対象座席として特定するようにしても良い。
【0133】
第2検出方法を説明する。第2検出方法では各座席の重量を測定する重量センサ(不図示)を利用する。重量センサは車載センサ部4に設けられる。重量センサは、座席ST[i]上に一切の物体(人物を含む)が存在していない状態を基準に、座席ST[i]上の物体の重量を測定することで重量測定値を得る。重量センサは座席ごとに重量を測定する。座席ST[i]上に一切の物体が無いならば座席ST[i]に対する重量測定値はゼロである。第2検出方法に係る主制御部10は、非乗車期間741の後、乗車期間743に遷移し、その後、降車行動期間744中の第2降車行動がとられる期間において忘れ物検出処理を実行できる。
【0134】
主制御部10は、座席ST[i]に座っていた乗員が第2降車行動により座席ST[i]から離れたタイミングを測定タイミングに設定し、測定タイミングにおける座席ST[i]に対する重量測定値を取得する。例えば、忘れ物検出処理の開始後、座席ST[i]上の重量が急峻に減少して所定値以下にとなったタイミングを測定タイミングに設定することができる。主制御部10は、座席ST[i]について取得した重量測定値を所定の閾値と比較し、座席ST[i]に対する重量測定値が閾値よりも大きいときに座席ST[i]に忘れ物があると判断して、座席ST[i]を忘れ物対象座席として特定する。
【0135】
尚、車内カメラと重量センサの双方を用いて忘れ物検出処理を行うようにしても良い。
【0136】
<<実施例EX8>>
実施例EX8を説明する。実施例EX8では、上述した事項に対する幾つかの補足事項、応用技術及び変形技術等を説明する。
【0137】
図1のマルチメディア装置1は本発明に係る車載装置の一例である。マルチメディア装置1そのものが本発明に係る車載装置に相当すると考えることができる。或いは、マルチメディア装置1の構成要素の一部のみを有する車載装置を形成することも可能である。この際、車載装置は、少なくとも、表示画面30、発光構造体60及び主制御部10を備えていると良い。主制御部10が発光構造体60の発光を制御する方法を車載用発光制御方法と称することができる。走行案内との連動に注目した場合には、発光構造体60の発光を制御する方法を走行案内用発光制御方法(ナビゲーション用発光制御方法)と称することもできる。
【0138】
車載装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。車載装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを車載装置に搭載可能なメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、車載装置に搭載可能なマイクロコンピュータであって、例えば主制御部10のCPU)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしても良い。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶されうる。上記プログラムを記憶する記録媒体は車載装置と異なる機器に搭載又は接続されても良い。
【0139】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0140】
SYS 車載システム
1 マルチメディア装置1
2 カメラ部
3 GPS処理部
4 車載センサ部
10 主制御部
11 ナビゲーション部
12 発光制御部
20 記憶部
30 表示画面
40 操作部
50 マイクロホン
60 発光構造体
70 通信モジュール
80 オーディオ装置
81 スピーカ
CC1 ステアリングホイール
CC2 シフトレバー
CC3 イグニッションスイッチ