(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186089
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】液晶装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20221208BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221208BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20221208BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20221208BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G02F1/1343
G09F9/30 330
G02F1/1368
G02F1/1339 500
G02F1/1337 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094135
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕幸
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H192
2H290
5C094
【Fターム(参考)】
2H092GA59
2H092GA60
2H092GA61
2H092HA04
2H092JA24
2H092JB69
2H092NA25
2H092PA02
2H092PA03
2H092QA06
2H092RA05
2H189DA07
2H189DA31
2H189DA33
2H189EA02X
2H189EA07X
2H189HA16
2H189LA03
2H189LA05
2H189LA10
2H189MA07
2H192AA24
2H192DA15
2H192FA02
2H192FA15
2H192FA73
2H192FB03
2H192GA03
2H192GA04
2H192GA21
2H192GD12
2H192GD23
2H192JA13
2H192JB02
2H290AA33
2H290BF04
2H290CA46
2H290CA48
2H290CB22
5C094AA37
5C094BA03
5C094BA43
5C094EA07
5C094EA10
5C094EC02
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB12
(57)【要約】
【課題】表示領域内でのイオン性不純物の集中を抑制する液晶装置を提供すること。
【解決手段】液晶装置100は、表示領域D、第1の周辺領域S1、及び第2の周辺領域S2を有し、シール材40を介して貼り合わされた一対の基板と、シール材40および一対の基板の間に挟持された液晶層50と、表示領域Dに配置された複数の画素電極15と、複数の画素電極15に対応して配置された対向電極21と、表示領域Dの外側の第1の周辺領域S1に、所定の間隔を空けて配置された複数の第1電極としての第1電極60と、第1の周辺領域S1の外側の第2の周辺領域S2に、平面視で、シール材40と重なって配置された第2電極としての第2電極70と、を備え、複数の第1電極60と、第2電極70とは、対向電極21に電気的に接続されている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域、第1の周辺領域、及び第2の周辺領域を有し、シール材を介して貼り合わされた一対の基板と、
前記シール材及び前記一対の基板の間に挟持された液晶層と、
前記表示領域に配置された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極に対応して配置された共通電極と、
前記表示領域の外側の前記第1の周辺領域に、所定の間隔を空けて配置された複数の第1電極と、
前記第1の周辺領域の外側の前記第2の周辺領域に、前記シール材と重なって配置された第2電極と、を備え、
前記複数の第1電極と、前記第2電極とは、前記共通電極に電気的に接続されている、ことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第1の周辺領域には、前記第1の周辺領域の幅方向に配列された40個以上の前記第1電極が配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記第1の周辺領域の幅は、1500μm未満である、ことを特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記複数の第1電極は、前記複数の画素電極と同じピッチ、または、略同じピッチに配置され、
前記第1電極の形状は、前記画素電極と同じ、または、略同じであり、
前記所定の間隔は、前記複数の画素電極間の間隔と同じ、または、前記複数の画素電極間の間隔よりも広い、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項5】
前記所定の間隔に配置され、隣り合う前記第1電極を電気的に接続する第1連結部と、
前記第2電極と、前記第2電極に隣り合う第1電極との間の間隔に配置され、前記第2電極と、前記第2電極に隣り合う第1電極とを電気的に接続する第2連結部と、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項6】
前記第1連結部は、前記第1電極の一辺の中央に配置されている、ことを特徴とする請求項5に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記複数の第1電極と前記第1連結部は、前記複数の画素電極と同層に配置されている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記複数の第1電極、前記第2電極、前記第1連結部と前記第2連結部とは、前記複数の画素電極と同層に配置されている、ことを特徴とする請求項5または6に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記画素電極と前記複数の第1電極との間に配置された複数のダミー画素電極と、をさらに備え、
前記複数のダミー画素電極の数は、前記複数の第1電極の数よりも少ない、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項10】
平面視で、前記ダミー画素電極と前記複数の第1電極との間に配置された第3電極と、
平面視で、前記第3電極と前記共通電極とに重なる遮光層と、をさらに備え、
前記第3電極には、前記共通電極に印加される共通電位とは異なる電位が供給される、ことを特徴とする請求項9に記載の液晶装置。
【請求項11】
前記第1の周辺領域には、前記第1の周辺領域の幅方向に配列された20個以上の前記第1電極が配置されている、ことを特徴とする請求項10に記載の液晶装置。
【請求項12】
前記第2の周辺領域に、前記第2電極を含む複数の第2電極を、前記複数の第2電極の間に所定の間隔を挟んで配置した、ことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項13】
前記第1の周辺領域に配置されたスペーサーと、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の液晶装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の液晶装置を備えた、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイスとしての液晶装置、および当該液晶装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、複数の画素電極が配置された素子基板と、素子基板に対向して配置され、シール材によって貼り合わされた対向基板と、両基板とシール材に囲まれた領域内に保持された液晶を含む。かかる液晶装置は、直視型表示装置や投射型表示装置の表示デバイスとして用いられている。
【0003】
このような液晶装置において、液晶注入時に混入したイオン性不純物や、シール材から液晶中に溶出したイオン性不純物が、液晶の駆動により液晶中を移動して、表示領域内で集中すると、その部分がシミ等の表示不良となって視認されてしまい、表示品位の低下を招いてしまう。
特許文献1は、このようなイオン性不純物に起因した表示品位の低下を抑制する技術を開示する。特許文献1に記載の液晶装置は、表示領域の外側の周辺領域に周辺電極を備え、かかる周辺電極に共通電位と常に異なるイオン性不純物トラップ用電位を印加して、イオン性不純物を周辺電極に引き寄せることにより、表示領域内にイオン性不純物が集中することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、周辺電極に、共通電位と異なるイオン性不純物トラップ用電位を印加すると、シール材からイオン性不純物が引き出され、液晶中のイオン性不純物が増加する恐れがあった。さらには、電源オフ時に、周辺電極に引き寄せたイオン性不純物が、リリースされて、表示領域に広がってしまう恐れがあった。
つまり、経年により、表示領域のイオン性不純物の濃度が増加して、イオン性不純物が表示領域内で集中しやすくなる、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の液晶装置は、表示領域、第1の周辺領域、及び第2の周辺領域を有し、シール材を介して貼り合わされた一対の基板と、シール材及び一対の基板間に挟持された液晶層と、表示領域に配置された複数の画素電極と、複数の画素電極に対応して配置された共通電極と、表示領域の外側の第1の周辺領域に、所定の間隔を空けて配置された複数の第1電極と、第1の周辺領域の外側の第2の周辺領域に、平面視で、シール材と重なって配置された第2電極と、を備え、複数の第1電極と、第2電極とは、共通電極に電気的に接続されている。
【0007】
本願の電子機器は、上記記載の液晶装置を備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る液晶装置の概略的な構成を示す平面図。
【
図3】
図1の液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【
図5】
図4Aの矢印方向から周辺領域を見た平面図。
【
図6】シール材の端からの距離に応じた液晶層中のイオン性不純物の分布状態を示すグラフ。
【
図10】
図9の矢印方向から周辺領域を見た平面図。
【
図11】実施形態4に係る投射型表示装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。また、以下の各図において、必要に応じて、相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Z方向を上方、-Z方向を下方ということもあり、+Z方向から見ることを平面視あるいは平面的という。さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。
【0011】
1.実施形態1
本実施形態では、液晶装置として、画素ごとにトランジスターとしての薄膜トランジスターを備えたアクティブ駆動型の液晶装置100を例に挙げて説明する。なお、以降、薄膜トランジスターをTFT(Thin Film Transistor)と称する。この液晶装置100は、例えば、後述する電子機器としての投射型表示装置1000において、光変調装置として好適に用いることができるものである。
【0012】
1.1.液晶装置の概要
本実施形態に係る液晶装置100の構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る液晶装置100の概略的な構成を示す平面図である。
【0013】
図1は、液晶装置100を、対向基板20側から見た平面図である。
図1に示すように、液晶装置100は、素子基板10と、対向基板20とを備える。なお、対向基板20の外形線の内側に実線で記載された構成は、いずれも、対向基板20と素子基板10との間に配置された構成である。
シール材40は、対向基板20の外縁に沿って配置される。見切り部24は、シール材40の内側で、表示領域Dの外縁に沿って配置される。表示領域Dには、画素Pがマトリクス状に配置される。表示領域Dとシール材40の間には、走査線駆動回路102と、画素Pを構成する画素回路を検査する検査回路103と、配線107とが配置される。また、シール材40の外側の素子基板10の対向基板20から張り出した部分には、データ線駆動回路101と複数の外部接続端子104が配置される。表示領域Dの外側は周辺領域Sであり、周辺領域Sはシール材40の配置領域を含む。
【0014】
対向基板20の各コーナーには、素子基板10と対向基板20との間の電気的な導通を取るための、基板間導通部106が配置される。基板間導通部106は、素子基板10側に配置された基板間導通電極80と、基板間導通部材85を備える。基板間導通電極80は、共通電位線81に電気的に接続されている。共通電位線81は、外部接続端子104を介して外部から共通電位が供給される。
【0015】
1.2.液晶装置の断面構成
図2は、
図1のH-H’線に沿った液晶装置100の概略的な構成を示す断面図である。
図2に示すように、素子基板10は、基板10sと、表示領域Dに配置された画素電極15と、周辺領域Sの第1の周辺領域S1に配置された第1電極60と、周辺領域Sの第2の周辺領域S2に配置された第2電極70と、各電極を覆うように配置された配向膜18とを備える。
【0016】
対向基板20は、基板20sと、基板20sと液晶層50との間に配置された絶縁層25と共通電極としての対向電極21と配向膜22とを備える。素子基板10と対向基板20は、シール材40を介して配置され、基板間に液晶層50が、配置される。
【0017】
ここで、基板10sと基板20sは、それぞれ透光性を有する基板であり、例えば、ガラス基板、または、石英基板である。画素電極15、第1電極60、第2電極70および対向電極21は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜から成る。配向膜18および配向膜22は、酸化シリコンなどの無機配向膜である。絶縁層25は、例えば、光透過性を有する酸化シリコンなどの無機材料からなる。液晶層50は、例えば、負の誘電異方性を有する液晶からなる。
【0018】
配向膜18,22の表面には、シランカップリング剤による表面処理が施される。具体的には、配向膜18および配向膜22の表面に、シランカップリング剤を用いてオルガノポリシロキサン膜を形成する。
シランカップリング剤は、配向膜18,22の酸化ケイ素にシラノール基が結合して脱水縮合することにより、表面側に疎水基が配向したオルガノポリシロキサン膜と成る。この表面処理によって、配向膜18,22の表面は水に対する接触角が大きくなり、液晶装置100の耐光性を向上させることができる。シランカップリング剤による表面処理の方法としては、公知の方法が採用可能である。
【0019】
1.3.画素回路の概要
次に、
図3を参照して、液晶装置100の電気的な回路構成について説明する。
図3は、表示領域Dの電気的な構成を示す等価回路図である。
【0020】
表示領域Dには、走査線3と、データ線6と、容量線8とが配置されている。走査線3とデータ線6との交差に対応して、画素Pが配置される。画素Pは、画素電極15とTFT30と容量素子16とを備える。容量素子16の一方の電極は、画素電極15に電気的に接続され、他方の電極は、容量線8に電気的に接続される。TFT30のゲート電極は走査線3に電気的に接続され、ソース電極はデータ線6に電気的に接続され、ドレイン電極は、画素電極15が接続される。
【0021】
複数の走査線3には、走査線駆動回路102から走査信号SC1,SC2,…,SCmが所定の順番で供給される。同じ走査線3に電気的に接続された複数の画素Pは、同じ走査信号SCxにより、一斉にオンまたはオフに制御される。
複数のデータ線6には、データ線駆動回路101から画像信号D1,D2,…,Dnが所定の順番で供給され、走査信号SCxで選択された画素Pに、画像信号が供給される。
【0022】
1.4.周辺領域の概要
次に、
図4A,
図4Bを参照して、液晶装置100の周辺領域Sの構造を説明する。本実施形態において、周辺領域Sの構造は、シール材40から液晶層50にイオン性不純物が引き出されることを抑制するように作用し、また、周辺領域Sに滞留しているイオン性不純物が表示領域Dへ拡散することを抑制するように作用する。
図4Aは、
図1のI-I’線に沿った断面図であり、表示領域Dと隣り合う第1の周辺領域S1と、シール材40が配置された第2の周辺領域S2の構成を示す。
図4Bは、
図1のK-K’線に沿った断面図であり、特に、基板間導通部106の構成を示す。なお、
図4Aおよび
図4Bでは、図を見易くするために、走査線駆動回路102などの一部の構成の図示を省略している。
【0023】
図4Aに示すように、素子基板10は、基板10sと、基板10s上に、第1絶縁層11と第2絶縁層12を含む層間絶縁層、画素電極15を含む画素電極層、配向膜18を含む配向膜層を、この順番で備える。層間絶縁層の第1絶縁層11と第2絶縁層12の間の層間には、共通電位線81と容量線8が配置される。画素電極層には、同じ層上に画素電極15とダミー画素電極15dと第1電極60と第2電極70とが配置される。配向膜18は、画素電極15とダミー画素電極15dと第1電極60と第2電極70とを覆うように配置されている。
【0024】
共通電位線81は、第2の周辺領域S2において、第2電極70と第2絶縁層12を挟んで重なって配置され、第2絶縁層12を貫いて配置された中継電極82を介して、第2電極70と電気的に接続される。
また、共通電位線81は、基板間導通部106を介して、対向電極21と電気的に接続される。
【0025】
図4Bは、基板間導通部106の構成を示す。基板間導通部106は、液晶装置100のコーナーのシール材40の外側に配置される。基板間導通部106は、基板間導通電極80と基板間導通部材85とを含み、共通電位線81と対向電極21との間は、プラグ電極80pと基板間導通電極80と基板間導通部材85を介して電気的に接続される。
【0026】
1.5.第1電極と第2電極の概要
次に、
図5を参照して、第1電極60と第2電極70の構成について、更に説明する。
図5は、
図4Aの矢印の方向からみた平面図である。
図5に示すように、第1電極60と第2電極70とは、画素電極15と同様の矩形の形状をした電極である。第1電極60の幅W2と第2電極70の幅W3とは、画素電極15の幅W1と同じ大きさであり、隣り合う第1電極60間の間隔V2と隣り合う第2電極70間の間隔V3とは、隣り合う画素電極15間の間隔V1と同じ長さである。よって、複数の第1電極60と複数の第2電極70とは、それぞれ、複数の画素電極15と同じ画素ピッチで配置されている。
【0027】
隣り合う画素電極15の間には、画素間スペース151が配置される。各画素電極15は、格子状に伸びる画素間スペース151により、個別に区画される。同様に、画素電極15と第1電極60との間に配置されるダミー画素電極15dも、ダミー画素間スペース151dにより、個別に区画される。
【0028】
他方、隣り合う第1電極60の間には、第1スペース61が配置されるが、第1スペース61は、隣り合う第1電極60の間に配置された第1連結部62により、分断されている。ここで、第1スペース61の幅V2が所定の間隔に対応する。また、第1連結部62は、第1電極60の四辺において、それぞれに隣り合う第1電極60の間に配置され、隣り合う第1電極60との間を物理的に、且つ、電気的に接続する。
【0029】
同様に、隣り合う第2電極70の間には、第3スペース71が配置されるが、第3スペース71は、隣り合う第2電極70の間に配置された第3連結部72により、分断されている。ここで、第3スペース71の幅V3が所定の間隔に対応する。また、第3連結部72は、第2電極70の四辺において、それぞれに隣り合う第2電極70の間に配置され、隣り合う第2電極70との間を物理的に、且つ、電気的に接続する。
【0030】
また、同様に、隣り合う第1電極60と第2電極70との間には、第2スペース63が配置されるが、第2スペース63は、隣り合う第1電極60と第2電極70との間に配置された第2連結部64により、分断されている。また、第2連結部64は、隣り合う第1電極60と第2電極70との間に配置され、隣り合う第1電極60と第2電極70との間を物理的に、且つ、電気的に接続する。
【0031】
上述したように、複数の第1電極60と複数の第2電極70との間は、第1連結部62、第3連結部72、および、第2連結部64によって電気的に接続されているので、複数の第1電極60と複数の第2電極70との電位は、それぞれ、対向電極21と同じ共通電位となる。そして、シール材40は、共通電位の対向電極21と第1電極60と第2電極70とにシールドされて、共通電位と異なる電位による電界の影響を受けないため、シール材40から液晶層50中に、イオン性不純物が引き出されることを抑制できる。
【0032】
また、第1スペース61において、第1電極60の辺の中央に、第1連結部62が配置されることで、第1スペース61は、平面視で十字の形状となる。同様に、第3スペース71に、第3連結部72が配置され、第2スペース63に、第2連結部64が配置されることで、第3スペース71と第2スペース63も、平面視で十字の形状となる。
第1スペース61と第3スペース71と第2スペース63とは、いずれも電極の間の凹部であり、それらを覆って配置される配向膜18には、第1スペース61と第3スペース71と第2スペース63と重なる位置に、十字の形状の凹部が配置される。
【0033】
すなわち、第1の周辺領域S1の配向膜18の液晶層50側の面には、第1電極60の数に応じた数の十字の形状の凹部が配置される。また、第2の周辺領域S2の配向膜18のシール材40側の面には、第2電極70の数に応じた数の十字の形状の凹部が配置される。
そして、すくなくとも、この第1の周辺領域S1に配置された凹部は、イオン性不純物の移動を抑制する障壁ないし抵抗となって機能し、第1の周辺領域S1に滞留するイオン性不純物の表示領域への拡散を抑制する。
【0034】
本実施形態において、周辺領域Sの+X方向に沿った長さは、2300μmであり、第1の周辺領域S1の幅は、800μmで、第2の周辺領域S2の幅は、1500μmである。
【0035】
第1の周辺領域S1において、第1電極60の一辺の幅W2を4μmとし、第1電極60と隣り合う第1電極60との間の幅V2を1μmとした場合、つまり、画素ピッチを5μmとした場合、800μmの第1の周辺領域S1に、+X方向に沿って、160個の第1電極60が配列される。尚、幅W2を19μmとし、幅V2を1μmとした場合、つまり、画素ピッチを20μmとした場合は、第1の周辺領域S1の+X方向に、40個の第1電極60が配列される。
【0036】
したがって、第1の周辺領域S1の+X方向に沿った領域には、少なくとも40個以上の第1電極60が配置されるため、対向電極21と同じ電位の電位の安定した領域が広くなり、イオン性不純物の表示領域への拡散が、抑制される。
【0037】
第2の周辺領域S2において、第2電極70の一辺の幅W3を4μmとし、第2電極70と隣り合う第2電極との間の幅V3を1μmとし、画素ピッチを5μmとした場合、1500μmの第2の周辺領域S2に、+X方向に沿って、300個の第2電極70が配列される。尚、幅W3を19μmとし、幅V3を1μmとし、画素ピッチを20μmとした場合であっても、第2の周辺領域S2の+X方向に、75個の第2電極70が配列される。この構成によれば、複数の第2電極70の間に第3スペース71を挟んで、複数の第2電極70を配置することで、第3スペース71が凹となって、シール材40の接着面積が増えて、シール材の剥離を抑制することができる。また、第2電極70は、第3スペース71を配置せず、一体の構成としてもよい。
【0038】
上述したように、第1電極60と第2電極70とは、画素電極15と同じ画素ピッチで配列される。ゆえに、第1電極60と第2電極70とを成膜するためのマスクパターンを、画素電極15のマスクパターンに基づいて、作ることができるので、第1電極60と第2電極70とのマスクパターンの設計の負荷を軽減することができる。
【0039】
表示領域Dの画素電極15と、第1の周辺領域S1の第1電極60との間には、複数のダミー画素電極15dが配置される。ここで、ダミー画素電極15dは、画素電極15と同様に、TFT30に接続されており、黒階調信号を供給することで、電子見切りとして機能させることができる。また、画像信号Dxを供給することで、ダミー画素電極15dを、表示用の画素として機能させることができる。
【0040】
複数のダミー画素電極15dは、+X方向に沿って、数個程度、具体的には、2乃至4個程度の数が配置される。このように、ダミー画素電極15dの数を、第1電極60の数より少なくすることで、第1電極60が配置される領域を、広くとることができる。
よって、この構成によれば、イオン性不純物の移動の障壁ないし抵抗となる複数の第1電極60と第1スペース61とが配置された領域を広くとることができるので、対向電極21と同じ電位の電位の安定した領域が広くなり、イオン性不純物の表示領域への拡散を、抑制できる。
【0041】
再び
図4Aを参照すると、第1連結部62と第3連結部72と第2連結部64とは、画素電極15とダミー画素電極15dと同じ層に配置されている。
また、第1連結部62と第3連結部72と第2連結部64と第1電極60と第2電極70とを、画素電極15とダミー画素電極15dと同じ材料で形成することで、第1電極60と第1連結部62と第2電極70と第2連結部と第3連結部とを、画素電極15とダミー画素電極15dと、同じプロセスで形成することができる。したがって、第1電極60と第1連結部62と第2電極70と第3連結部72と第2連結部64とを形成するための工程数の増加を、抑制することができる。
【0042】
1.6.イオン性不純物の分布
次に、
図6を参照して、シール材40の端からの距離に応じた液晶層50中のイオン性不純物の分布状態を説明する。
図6のグラフCは、本実施形態の構成を備えていない液晶装置で、測定したイオン性不純物の分布状態を示している。
図6において、縦軸は、単位面積当たりの電荷量を示し、横軸は、シール材40の端からの距離を示す。なお、単位面積当たりの電荷量が、イオン性不純物の量に対応する。
【0043】
図6に示すように、シール材40の端から1500μm辺りまでにおいて、イオン性不純物の量は、急激に減少し、シール材40の端から1500μm辺りから5500μmにおいて、イオン性不純物の量は、緩やかに減少している。そして、シール材40の端から1500μm辺りの位置におけるイオン性不純物の量は、およそ700pc/cm
2であり、この値は、イオン性不純物の集中という観点では、低い値となっている。
ゆえに、このグラフから、第1の周辺領域S1を、少なくとも1500μm以上とすれば、表示領域Dにおけるイオン性不純物の集中を抑えることができる、ということが分かる。
【0044】
他方、第1の周辺領域S1の幅を1500μm未満とした、所謂、狭額縁の液晶装置100を実現するためには、イオン性不純物の量が高いため、何らかの対策が必要であることが分かる。第1の周辺領域S1を1500μm以上とすると、液晶装置100のパネルサイズが大きくなってしまい、液晶装置100を採用した電子機器のサイズが大きくなってしまったり、マザー基板からの個別基板の取れ個数が減り、液晶装置100の1個あたりの単価が上がってしまったりするため、第1の周辺領域S1の幅は、1500μm未満とすることが、商業上好ましい。
【0045】
上述したように本実施形態では、第1の周辺領域S1の幅を800μmとしており、第1の周辺領域S1の幅を800μmとした場合であっても、イオン性不純物の量をおよそ700pc/cm2以下とすることができることを確認している。すなわち、本実施形態の構成によれば、第1の周辺領域S1の幅を1500μm未満とした場合であっても、表示領域Dにおけるイオン性不純物の集中を抑制できる。
【0046】
以上、述べた通り、本実施形態の液晶装置100により、以下の効果を得ることができる。
液晶装置100は、表示領域D、第1の周辺領域S1、及び第2の周辺領域S2を有し、シール材40を介して貼り合わされた一対の基板である素子基板10と対向基板20と、シール材40および一対の基板の間に挟持された液晶層50と、表示領域Dに配置された複数の画素電極15と、複数の画素電極15に対応して配置された共通電極としての対向電極21と、表示領域Dの外側の第1の周辺領域S1に、所定の間隔を空けて配置された複数の第1電極としての第1電極60と、第1の周辺領域S1の外側の第2の周辺領域S2に、平面視で、シール材40と重なって配置された第2電極としての第2電極70と、を備え、複数の第1電極60と、第2電極70とは、対向電極21に電気的に接続されている。
【0047】
このように本実施形態の液晶装置100は、特に、第1の周辺領域S1に、所定の間隔を空けて配置された複数の第1電極60と、第2の周辺領域S2に、平面視で、シール材40と重なって配置された第2電極70とを備え、複数の第1電極60と第2電極70とを対向電極21に、電気的に接続している。
よって、第1電極60と第2電極70の電位は、対向電極21の電位である共通電位と同じとなる。したがって、シール材40が対向電極21とは異なる電位の周辺電極による電界の影響を受けていた従来の構成と異なり、シール材40からイオン性不純物が、液晶層50に引き出されることが抑制され、その結果、液晶層50のイオン性不純物濃度の増加が、抑制される。
【0048】
さらには、電源オフ時においても、第1電極60と第2電極70の電位は、対向電極21の電位である共通電位と同じのままで、変化しない。したがって、電源オフ時において、周辺電極の電位が変化する従来の構成と異なり、電源オフ時において、第1の周辺領域S1に滞留しているイオン性不純物が表示領域Dに移動することが抑制され、その結果、表示領域Dにおけるイオン性不純物の集中を抑制できる。
それゆえに、本実施形態の液晶装置100は、イオン性不純物を起因とするシミ等の発生を抑えて、表示品位を保つことができる。
【0049】
複数の第1電極60は、第1の周辺領域S1の幅方向に配列された40個以上の第1電極60を含む。
この構成によれば、第1の周辺領域S1の幅方向に配置された複数の第1電極60と、複数の第1電極60の間の所定の間隔が、第1の周辺領域S1において、イオン性不純物の移動の障壁ないし抵抗となって、イオン性不純物の表示領域Dへの拡散が、抑制される。
【0050】
第1の周辺領域S1の幅は、1500μm未満である。
この構成によれば、周辺領域S、言い換えると、額縁領域を狭くすることができるので狭額縁の液晶装置100を実現することができる。したがって、1枚のマザー基板で製造できる液晶装置100の個数を多くすることができ、液晶装置100の1個辺りの製造コストを低減できる。
【0051】
複数の第1電極60は、複数の画素電極15と同じピッチ、または、略同じピッチに配置され、第1電極60の形状は、画素電極15と同じ、または、略同じであり、複数の第1電極60の間の所定の間隔である第1スペース61は、複数の画素電極15間の間隔である画素間スペース151と同じ、または、複数の画素電極15間の画素間スペース151よりも広い。
この構成によれば、第1電極60のマスクパターンの設計を、画素電極15のマスクパターンに基づいて、設計することができるので、マスクパターンの設計に係る工数を削減できる。
【0052】
液晶装置100は、複数の第1電極60の間の間隔に配置され、隣り合う第1電極60の間を電気的に接続する第1連結部62と、第1電極60と、第1電極60と隣り合う第2電極70との間の間隔に配置され、第2電極70と、第2電極に隣り合う第1電極とを電気的に接続する第2連結部64と、をさらに備える。
この構成によれば、第1連結部62により複数の第1電極60同士を電気的に接続するとともに、第2連結部64により第1電極60と第2電極70とを電気的に接続することができる。よって、シール材40からイオン性不純物が引き出されること、および、第1の周辺領域S1に滞留するイオン性不純物が表示領域Dに拡散することが、抑制される。
【0053】
第1連結部62は、第1電極60の一辺の中央に配置されている。
この構成によれば、第1スペース61は、平面視で十字の形状に形成される。
【0054】
複数の第1電極60と第1連結部62は、複数の画素電極15と同層に配置されている。
この構成によれば、第1電極60を、画素電極15と同じプロセスで作ることができるので、工程増によるリードタイムの増加が抑制される。
【0055】
複数の第1電極60、第2電極70、第1連結部62と第2連結部64とは、複数の画素電極15と同層に配置されている。
この構成によれば、第1電極60、第2電極70、第1連結部62と第2連結部64とを、画素電極15と同じプロセスで作ることができるので、工程増によるリードタイムの増加が抑制される。
【0056】
液晶装置100は、画素電極15と複数の第1電極60との間に配置された複数のダミー画素電極15dと、をさらに備え、複数のダミー画素電極15dの数は、複数の第1電極60の数よりも少ない。
この構成によれば、第1電極60が配置される第1の周辺領域S1の+X方向に沿った幅が広くなるので、イオン性不純物の表示領域Dへの拡散を抑制する効果を高めることができる。
【0057】
第2の周辺領域S2には、複数の第2電極70を、複数の第2電極70の間に、所定の間隔としての第3スペース71を挟んで配置する。
この構成によれば、複数の第2電極70は、その間に第3スペース71を挟んで配置されるため、第3スペース71が凹となって、シール材40の接着面積が増えて、シール材の剥離を抑制することができる。
【0058】
2.実施形態2
本実施形態に係る液晶装置200は、第1の周辺領域S1に第3電極90を備える点、および、第3電極90に、共通電位とは異なる電位を印加する点で、実施形態1の液晶装置100と相違する。なお、以下の説明では、実施形態1と同一の構成部位には同一の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0059】
2.1.第3電極の概要
図7および
図8を参照して、液晶装置200の第3電極90の構造を説明する。
図7は、液晶装置200における
図1のI-I’線に沿った断面図であり、
図4Aと対応している。
図8は、
図7の矢印の方向からみた表示領域Dの一部を含む周辺領域Sの平面図であり、
図5と対応している。
【0060】
図7に示すように、第3電極90は、第1の周辺領域S1に配置され、対向基板20の見切り部24と、矢印方向から見て重なるように配置されている。また、第3電極90は、画素電極15と同じ画素電極層に配置されている。なお、第3電極90は、画素電極15と同じ材料で形成してもよい。
また、
図8に示すように、第3電極90は、第1電極60のおよそ2個分の幅を有し、第1スペース61等のような隙間を有さないベタパターンとして形成される。第3電極90は、表示領域Dの外縁の少なくとも三辺に沿って配置され、第3電極90の両端は、外部接続端子104に接続されている。
【0061】
そして、第3電極90には、外部接続端子104から、共通電位とは異なる電位を印加する。第3電極90に印加する電位を所望の電位に制御することで、第3電極90を、例えば、補正電極として機能させることができる。対向基板20に設けられた遮光性の金属膜からなる見切り部24による影響を受けて、液晶装置200の最適共通電位が、見切り部24の周囲で、わずかにずれることがあるが、この最適共通電位のずれを補正する電位を印加するための電極として、第3電極90を機能させることができる。また、第3電極90に印加する電位を制御することで、表示領域Dと第1の周辺領域S1との間でイオン性不純物の移動を抑制するシールド電極としても機能させることもできる。ここで、見切り部24が遮光層に対応する。
【0062】
本実施形態において、第1の周辺領域S1の幅は、400μmとしてもよい。
この場合、第1の周辺領域S1において、第1電極60の一辺の幅W2を4μmとし、第1電極60と隣り合う第1電極60との間の幅V2を1μmとした場合、つまり、画素ピッチを5μmとした場合、第3電極90が配置された領域を除く、残りの第1の周辺領域S1に、+X方向に沿って、約80個の第1電極60が配列される。尚、幅W2を19μmとし、幅V2を1μmとした場合、つまり、画素ピッチを20μmとした場合は、第1の周辺領域S1の+X方向に、約20個の第1電極60が配列される。
【0063】
したがって、第1の周辺領域S1の+X方向に沿った領域には、少なくとも20個の第1電極60が配置されるため、対向電極21と同じ電位の電位の安定した領域が広くなり、イオン性不純物の表示領域への拡散が、抑制される。
【0064】
以上述べた通り、本実施形態の液晶装置200によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
液晶装置200は、さらに、平面視で、ダミー画素電極15dと複数の第1電極としての複数の第1電極60との間に配置された第3電極90と、平面視で、第3電極90と共通電極としての対向電極21とに重なる遮光層としての見切り部24とを備え、第3電極90には、対向電極21に印加される共通電位とは異なる電位が供給される。
この構成によれば、第3電極90に共通電位と異なる電位を印加することで、第3電極90を、上述したような補正やシールドに用いる電極とすることができる。
【0065】
3.実施形態3
本実施形態に係る液晶装置300は、素子基板10と対向基板20との基板間に柱状のスペーサー95を備える点で、上記各実施形態の液晶装置100、200と、相違する。スペーサー95は、液晶層50の厚さを規定するものである。なお、以下の説明では、上記各実施形態と同一の構成部位には同一の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0066】
3.1.スペーサーの概要
図9および
図10を参照して、液晶装置300の液晶層50の構造を説明する。
図9は、液晶装置300における
図1のI-I’線に沿った断面図であり、
図7と対応している。
図10は、
図9の矢印の方向からみた表示領域Dの一部を含む周辺領域Sの平面図であり、
図8と対応している。
【0067】
図9に示すように、液晶層50には、柱状のスペーサー95が複数配置される。スペーサー95は、両端が、それぞれ、素子基板10と対向基板20とに接するように配置される。
図10に示すように、スペーサー95は、第1電極60、画素電極15、ダミー画素電極15dにおいて、それぞれ向き合う2つのコーナー部分に配置されている。また、第3電極90には、第3電極90の中央部分と重なる位置に、画素ピッチに応じた間隔で配置されている。なお、スペーサー95は、第1電極60において、4つのコーナーのそれぞれに配置してもよく、また、第1電極60と重なる位置、例えば、第1電極60の中央位置に配置してもよい。
また、スペーサー95は、無機材料または有機材料で構成される。スペーサー95に無機材料を使用する場合は、スペーサー95に有機材料を使用するよりもイオン性不純物による汚染のリスクを抑えることができる。なお、スペーサー95に有機材料を使用する場合は、イオン性不純物による汚染のリスクを抑えるための対策を講じればよい。例えば、スペーサー95に感光性有機材料を使用する場合は、感光性の高いものを使用したり、製造プロセスを工夫したり、すればよい。
【0068】
以上述べた通り、本実施形態の液晶装置300によれば、上記各実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
液晶装置300は、さらに、第1の周辺領域S1に配置されたスペーサー95を備える。この構成によれば、基板間に配置された柱状のスペーサー95が、第1の周辺領域S1に滞留しているイオン性不純物の拡散を阻害する障壁ないし抵抗として機能し、第1の周辺領域S1に滞留しているイオン性不純物の表示領域Dへの移動を抑制する。よって、表示領域Dにおけるシミの発生をより抑えることができる。
【0069】
4.実施形態4
4.1.電子機器の概要
本実施形態の電子機器について、投射型表示装置1000を例に挙げ、
図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態に係る電子機器としての投射型表示装置1000の構成を示す概略図である。
【0070】
図11に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、光源としてのランプユニット1001、色分離光学系としてのダイクロイックミラー1011,1012、液晶パネルである3個の液晶装置100B,100G,100R、3個の反射ミラー1111,1112,1113、3個のリレーレンズ1121,1122,1123、色合成光学系としてのダイクロイックプリズム1130、投射光学系としての投射レンズ1140を備えている。
【0071】
ランプユニット1001では、例えば、放電型の光源を採用している。光源の方式はこれに限定されず、発光ダイオード、レーザーなどの固体光源を採用してもよい。
【0072】
ランプユニット1001から射出された光は、2個のダイクロイックミラー1011,1012によって、各々異なる波長域の3色の色光に分離する。3色の色光とは、略赤色の光、略緑色の光、略青色の光である。以降の説明において、上記略赤色の光を赤色光Rともいい、上記略緑色の光を緑色光Gともいい、上記略青色の光を青色光Bともいう。
【0073】
ダイクロイックミラー1011は、赤色光Rを透過させると共に、赤色光Rよりも波長が短い、緑色光Gおよび青色光Bを反射させる。ダイクロイックミラー1011を透過した赤色光Rは、反射ミラー1111で反射され、液晶装置100Rに入射する。ダイクロイックミラー1011で反射された緑色光Gは、ダイクロイックミラー1012によって反射された後、液晶装置100Gに入射する。ダイクロイックミラー1011で反射された青色光Bは、ダイクロイックミラー1012を透過して、リレーレンズ系1120へ射出される。
【0074】
リレーレンズ系1120は、リレーレンズ1121,1122,1123、反射ミラー1112,1113を有している。青色光Bは、緑色光Gや赤色光Rと比べて光路が長いため、光束が大きくなりやすい。そのため、リレーレンズ1122を用いて光束の拡大を抑えている。リレーレンズ系1120に入射した青色光Bは、反射ミラー1112で反射されると共に、リレーレンズ1121によってリレーレンズ1122の近傍で収束される。そして、青色光Bは、反射ミラー1113およびリレーレンズ1123を経て、液晶装置100Bに入射する。
【0075】
投射型表示装置1000における、光変調装置である液晶装置100R,100G,100Bには、実施形態1の液晶装置としての液晶装置100が適用されている。また、液晶装置100R,100G,100Bとして、実施形態2の液晶装置200または実施形態3の液晶装置300を適用しても良い。
【0076】
液晶装置100R,100G,100Bのそれぞれは、投射型表示装置1000の上位回路と電気的に接続される。これにより、赤色光R、緑色光G、青色光Bの階調レベルを指定する画像信号Dxがそれぞれ外部回路から供給され、上位回路で処理される。これにより、液晶装置100R,100G,100Bが駆動されて、それぞれの色光が変調される。
【0077】
液晶装置100R,100G,100Bによって変調された赤色光R、緑色光G、青色光Bは、ダイクロイックプリズム1130に3方向から入射する。ダイクロイックプリズム1130は、入射した赤色光R、緑色光G、青色光Bを合成する。ダイクロイックプリズム1130において、赤色光Rおよび青色光Bは90度に反射され、緑色光Gは透過する。そのため、赤色光R、緑色光G、青色光Bは、カラー画像を表示する表示光として合成され、投射レンズ1140に向かって射出される。
【0078】
投射レンズ1140は、投射型表示装置1000の外側を向いて配置されている。表示光は、投射レンズ1140を介して拡大されて射出され、投射対象であるスクリーン1200に投射される。
【0079】
本実施形態では、電子機器として投射型表示装置1000を例示したが、液晶装置100、液晶装置200および液晶装置300が適用される電子機器はこれに限定されない。例えば、投射型のHUD(Head-Up Display)、直視型のHMD(Head Mounted Display)、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、液晶テレビなどの電子機器に適用されてもよい。
以上述べた通り、本実施形態の投射型表示装置1000によれば、上記各実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
電子機器としての投射型表示装置1000は、上記各実施形態の液晶装置100、液晶装置200または液晶装置300のいずれかを備えることが好ましい。
【0080】
これの構成によれば、イオン性不純物を起因とするシミ等の発生を抑えて、表示品位を保つことができる電子機器を提供することができる。
また、上記実施形態では、液晶装置100として、透過型の液晶装置を例示したが、液晶装置100としては、反射型の液晶装置またはLCOS型の液晶装置としてもよい。なお、LCOSは、Liquid crystal on siliconの略語である。
【0081】
また、上記実施形態では、第2電極70を、第1電極60と同じ画素サイズかつ同じ画素ピッチで配置した場合を例示したが、第2電極70の画素サイズと画素ピッチは、これに限定されない。
また、上記実施形態では、共通電極を対向電極21として対向基板20側に配置した場合を例示したが、対向電極21を配置する位置は、これに限定されない。例えば、素子基板側の画素電極15と基板10sとの間に配置する構成としてもよい。
また、第1電極60と第2電極70を、対向基板20の対向電極21の外側に配置してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、検査回路103をシール材40と表示領域Dとの間に配置した場合を例示したが、検査回路103を配置する位置は、これに限定されない。例えば、データ線駆動回路101と並べて配置する構成としてもよい。この構成によれば、検査回路103の回路の一部をデータ線駆動回路101と共用することができるので、回路面積が削減され、狭額縁に適した構成とすることができる。
また、上記実施形態では、走査線駆動回路102を2個配置した場合を例示したが、1個でもよい。この構成によれば、走査線駆動回路102の配置場所を削減できるので、狭額縁に適した構成とすることができる。
【0083】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置及び該液晶装置を具備してなる電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
3…走査線、6…データ線、8…容量線、10…素子基板、10s…基板、11…第1絶縁層、12…第2絶縁層、15…画素電極、15d…ダミー画素電極、16…容量素子、18,22…配向膜、20…対向基板、20s…基板、21…対向電極、24…見切り部、30…TFT、40…シール材、50…液晶層、60…第1電極、61…第1スペース、62…第1連結部、63…第2スペース、64…第2連結部、70…第2電極、71…第3スペース、72…第3連結部、80…基板間導通電極、80p…プラグ電極、81…共通電位線、82…中継電極、85…基板間導通部材、90…第3電極、95…スペーサー、100,200,300…液晶装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…検査回路、104…外部接続端子、106…基板間導通部、107…配線、151…画素間スペース、1000…投射型表示装置、D1,D2,Dn…画像信号、SC1,SC2,SCm…走査信号、S1…第1の周辺領域、S2…第2の周辺領域、V1,V2,V3…幅、W1,W2,W3…幅。