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特開2022-186095液状媒体改質用粒状セラミックスを用いた液状媒体の改質方法
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  • 特開-液状媒体改質用粒状セラミックスを用いた液状媒体の改質方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186095
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】液状媒体改質用粒状セラミックスを用いた液状媒体の改質方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 33/24 20060101AFI20221208BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20221208BHJP
   B01J 8/20 20060101ALI20221208BHJP
   C02F 1/68 20060101ALI20221208BHJP
   C04B 33/04 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
C04B33/24 Z
B01F3/04 Z
B01J8/20
C02F1/68 520V
C02F1/68 510B
C02F1/68 510C
C02F1/68 510Z
C02F1/68 530A
C04B33/04 B
C04B33/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094142
(22)【出願日】2021-06-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】593036822
【氏名又は名称】日本治水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一石
(72)【発明者】
【氏名】石川 勝美
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 秀子
【テーマコード(参考)】
4G035
4G070
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G070AA03
4G070AB06
4G070BA02
4G070BB31
4G070CB05
4G070CB18
(57)【要約】
【課題】高いエネルギーを必要とする機械操作を利用することなく、低いエネルギー操作である液状媒体中で粒状セラミックスを液流によって流動、相互摩擦及び衝突させることによって、液状媒体中に超微細気泡を生成する。
【解決手段】シリカ100重量部に対して、アルミナ10~95重量部を含み、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する酸化物の焼結体からなる見かけ密度が1.6~4.0g/cm、粒径が0.1~10mmであり、BET法による比表面積がセラミックスの表面部分において0.01~1.0m/gである粒状セラミックス1を使用し、液状媒体中で粒状セラミックス1を液流によって流動、相互摩擦、衝突させることによって、液状媒体中に超微細気泡を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ100重量部に対して、アルミナ10~95重量部を含み,アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する酸化物の焼結体からなる見かけ密度が1.6~4.0g/cm、粒径が0.1~10mmであり、BET法による比表面積がセラミックスの表面部分において0.01~1.0m/gであることを特徴とする液状媒体改質用粒状セラミックス。
【請求項2】
流路管に収容された請求項1に記載の液状媒体改質用粒状セラミックスを被液状媒体の流れによって液状媒体中で流動させて、互いに摩擦及び/又は衝突させることによって液状媒体を処理することを特徴とする液状媒体の改質方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液状媒体の改質方法で微細気泡が液状媒体中に生成することを特徴とする微細気泡を含む液状媒体の製造方法および生成した微細気泡を含有した液状媒体。
【請求項4】
液状媒体が水溶液類であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の液状媒体の改質方法。
【請求項5】
請求項4に記載の水溶液類の改質方法であって、メジアン径が1μm未満の超微細気泡が水溶液類中に生成することを特徴とする超微細気泡を含む水溶液類の改質方法および生成した超微細気泡を含有した水溶液類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,液状媒体改質用粒状セラミックス及び液状媒体中に微細気泡を生成する方法及び生成した微細気泡を含有した液状媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
液状媒体中で閉じた界面に囲まれた気体は気泡と呼ばれている。気泡はその大きさによっていくつかに分類されている。一般的には直径がμmオーダーの気泡がマイクロバブルと考えられるが、生理活性分野、流体物理分野など取り扱う分野によって対象とする大きさが異なるようである。ファインバブル学会連合によると、国際標準化機構(ISO)が統一した,大きさによる気泡の分類名が紹介されている。すなわち、気泡を球相当と考えて、その直径が100μm未満の気泡は微細気泡(ファインバブル)、それより大きい気泡は非微細気泡に分類されて微細気泡はさらにその直径が1~100μmの気泡をマイクロバブル、直径が1μm未満の気泡を超微細気泡(ウルトラファインバブルあるいはナノバブル)と呼ぶことで統一されたことを報告している。
【0003】
液状媒体中に存在するこれら気泡の挙動はその大きさによって大きく異なることが知られている。以下、液状媒体を水として説明する。空気を内包した気泡の場合、非微細気泡は水中で球形を保つことができずに変形を伴い、静止した水中でもジグザグ運動やらせん運動を伴いながら上昇して自由水面まで浮上した後は破裂して大気と混合する。
【0004】
マイクロバブルは水中を浮上する速さが非微細気泡に比べて十分遅いため、水中の溶存ガス濃度が高くない水中では水と長時間接触する。このため水深が十分ある場合は水中への空気の溶解が進んでやがては水中で消滅する。
【0005】
超微細気泡は浮力による上昇する速さが超微細気泡のブラウン運動の速さに比べて小さくなり、浮上せずに何らかの刺激を与えなければ数ヶ月を超える期間の間、準安定に存在し続けることがこれまでに明らかにされている。
【0006】
現在、微細気泡は水処理、農業、工業、医療、環境改善、食品及び水産業などの多くの分野、さらには日常生活でも利用されている。例えば,微細気泡を含有した水を浄化・除染、医療、食品加工、工業プロセス等に利用した具体例が、成書「微細気泡の最新技術Vol.2 進展するマイクロ・ナノバブルの基礎研究と拡がる産業利用:株式会社オフィス東和編:エヌ・ティー・エス (2014)」に記載されている。
【0007】
水中に微細気泡を製造する技術は、例えば以下のような方法がこれまでに知られている。
【0008】
例えば、特許文献1には、旋回液流式超微細気泡発生方法が記載されている。これは、マイクロバブル発生装置の円筒内に水とともに同伴された気体が円筒内側面に設けられた複数の環状溝による強いせん断流によって微細化され、マイクロバブルとともに超微細気泡を生成させる方法である。
【0009】
また、特許文献2には、スタティックミキサー式超微細気泡発生方法が記載されている。これは、ハニカム状の凹凸を持つ円板型スタティックミキサーを配管内に複数用いる方法である。各円板のハニカム状の凹凸によって構成された複雑な屈曲流路に気泡を含む水が通過すると、大きなせん断流が生じて水中の気泡は次々と粉砕されると同時に、この気液2相流は分岐と合流のため気泡の粉砕が迅速に進行し、水中に超微細気泡が生成する。
【0010】
特許文献3には,加圧溶解方式超微細気泡発生方法が記載されている。これは,ポンプで昇圧しながら配管内に圧送された水の圧力を制御することによって配管外部からガスを吸引させたあと、水中に気体を最大限溶解させる加圧工程を導入する。気体の溶解によって飽和した水は減圧工程を経て、溶存気体が微細気泡となって水中に現れる。この水を再度ポンプで吸引して循環・停止させることによって水中に超微細気泡が生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4129290号公報
【特許文献2】特許第6046465号公報
【特許文献3】特許第6104201号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】微細気泡の最新技術Vol.2 進展するマイクロ・ナノバブルの基礎研究と拡がる産業利用:株式会社オフィス東和編:エヌ・ティー・エス(2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した超微細気泡発生方法は、気液混合液状媒体にせん断力あるいは加圧・減圧による圧力制御操作によって液状媒体中に含まれる気泡を微細化して、超微細気泡を発生させる技術である。
【0014】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、液状媒体に対して上記のような高いエネルギーを必要とする機械操作を利用することなく、低いエネルギー操作である液状媒体中で粒状セラミックスを液流によって流動、相互摩擦及び衝突させることによって、液状媒体中に超微細気泡を生成する全く新しい方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明は、これまでの超微細気泡生成方法とは異なり、液状媒体中で粒状セラミックスを液流によって流動、相互摩擦及び衝突させることによって液状媒体中に超微細気泡を生成する方法および超微細気泡を含有する液状媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の液状媒体改質用粒状セラミックスは、シリカ100重量部に対して、アルミナ10~95重量部を含み、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する酸化物の焼結体からなる見かけ密度が1.6~4.0g/cm、粒径が0.1~10mmであり、BET法による比表面積がセラミックスの表面部分において0.01~1.0m/gであることを第1の特徴とする。また、液状媒体の改質方法が、流路管に収容された前記液状媒体改質用粒状セラミックスを被液状媒体の流れによって液状媒体中で流動させて、互いに摩擦及び/又は衝突させることによって液状媒体を処理することを第2の特徴とする。さらに、微細気泡を含む液状媒体の製造方法および生成した微細気泡を含有した液状媒体が、前記液状媒体の改質方法で微細気泡が液状媒体中に生成することを第3の特徴とする。さらにまた、液状媒体が水溶液類であることを第4の特徴とする。加えて、水溶液類のメジアン径が1μm未満の超微細気泡が水溶液類中に生成することを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来の高いエネルギーを必要とする機械操作を利用することなく、液状媒体中で粒状セラミックスを液流によって流動、相互摩擦、衝突させることによって、液状媒体中に超微細気泡を生成する新しい方法とおよび超微細気泡を含有する液状媒体を提供することができる。
【0018】
本発明において使用する液状媒体改質用セラミックスは主にシリカとアルミナ成分で構成され、加えてアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する酸化物(系鉱石(鉱物))で構成される。この種の酸化物(系鉱石)は、例えば、天然鉱石においては、曹長石(NaAlSiО)、灰長石(CaAlSiО)またはカリ長石(KAlSiО)の固溶体である長石類、金雲母[KMg[(AlSi)О10](ОH)]または白雲母[KAl[(AlSi)О10](ОH)]などの雲母類、その他花崗岩などを挙げることができる。さらに金属酸化物として、鉄、銅、チタン、ジルコニウム及び銀などの酸化物を目的に応じて使用することもできる。
【0019】
本発明の粒状セラミックスは、主にシリカとアルミナで構成されるが、好ましくはシリカを主成分、アルミナを主副成分とし、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の酸化物を含む混合物を焼成、造粒して製造される。
【0020】
シリカとアルミナの割合は、シリカ100重量部に対してアルミナが10~95重量部、好ましくは20~80重量部とする。これは適用する使用環境や用途等にもよるが、アルミナが20重量部より少なくなるにつれ、焼結後の粒状セラミックスの機械強度が低下する傾向がみられ、80重量部より多くなるにつれ、所定の焼結体の機械強度や密度を得るのに必要な焼成温度が高くなる傾向がみられる。これらの傾向は、特に10重量部より少なくなるか、95重量部を超えるとさらに顕著になるため好ましくない。また、本処理の効果を上げるセラミックス表面の表面電荷を与える点を考慮すると、シリカ含量が多い組成物の方が効果的であり、アルミナ含量は上記の限定範囲内で、より少ない場合が更に好適である。
【0021】
アルカリ金属、アルカリ土類金属は粒状セラミックスの全重量に対して、0.1~10重量%、好ましくは0.5~3重量%の範囲とする。これはシリカとアルミナの成分比率やその全体成分量等にもよるが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計量が0.5重量%より少なくなるにつれ、焼結性の改善が不足する傾向にあり、3重量%を超えて増加するにつれ、水処理等に際して溶出成分が多くなり、溶出成分による弊害が現れる傾向がある。これらの傾向は0.1重量%より少なくなるか10重量%を超えるとさらに顕著になるので好ましくない。
【0022】
金属酸化物は、シリカ、アルミナ、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物の他にチタン、ジルコニウム、銀、銅、鉄などの酸化物が目的に応じて利用される。適用条件にもよるが、金属酸化物の粒径が0.1μmより小さくなると、焼結工程での焼成収縮の幅が大きくなって生産性が低下する。粒径が10μmを超えると、焼結後に必要な強度の粒状セラミックスを得るのが困難になるので好ましくない。
【0023】
粒状セラミックスは、セラミックスの表面部分におけるBET法による比表面積が0.01~1.0m/gに形成されるのが好適である。比表面積が0.01m/gより小さくなると、液状媒体との接触面積が減少して改質効率が低下する傾向がみられ、1m/gより大きくなると、粒状セラミックスが脆弱になり、セラミックス同士の衝突時に磨耗しやすく、耐久性が低下する傾向がみられる。
【0024】
見掛け密度は1.6~3.5g/cmに形成されるのが好適である。見掛け密度が1.6g/cmより小さくなると、粒状セラミックスの機械強度が低下して、セラミックス同士の衝突時に磨耗したり欠けたりする傾向やセラミックス同士が液状媒体中で衝突後に沈降・流動し難くなる傾向がみられ、3.5g/cmより大きくなると、沈降速度が速いため、セラミックスの流動状態が低下して、液状媒体の改質効果が低下する傾向がみられる。
【0025】
粒径は0.1~10mmに形成されるのが好適である。粒径が0.1mmより小さくなると、流動する粒状セラミックスの運動エネルギーが小さいため、セラミックスが衝突した際の改質効果が低下する傾向がみられ、10mmより大きくなると、粒状セラミックスを流動化させるのに必要なエネルギーが増加するだけでなく、セラミックス同士の衝突点が少なくなり、衝突による液状媒体の改質効果が低下する傾向がみられる。
【0026】
本発明の液状媒体改質用粒状セラミックスの製造方法は、前記金属酸化物を10μm以下に微粉砕し、この微粉末に水または有機溶媒等を加えて湿式混練したのち粒径0.1~10mmの球形状に転動造粒して、1000℃以上の温度で焼成して球状の粒状セラミックスとする工程を経る。このため、得られた粒状セラミックスは高強度で耐久性に優れ、液状媒体中に溶出成分が容易に溶出しない化学的安定性に優れており、見かけ密度が1.6~4.0の特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の超微細気泡を含有する改質液状媒体の生成方法を実施するための粒状セラミックス投入容器を模式的に示す概略図である。
図2】評価用セラミックス処理水の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【実施例0029】
図1に超微細気泡を含有する改質液状媒体の生成方法を実施するための粒状セラミックス投入容器の一例を示す。例えば、粒状セラミックスをステンレス鋼製の円筒状容器2内に投入し、この容器2の下部から液状媒体を導入して、液状媒体の液流により粒状セラミックス1を液中で流動、相互摩擦、衝突させて液状媒体を改質する。容器1内の上部と下部には、液状媒体を通過させるが粒状セラミックス1を通過させないメッシュ状の仕切り板5、6を設ける。3は液状媒体の導入口であり、4は生成された改質液状媒体の排出口である。このように粒状セラミックスが被液状媒体の流れによって液状媒体中で流動して、互いに摩擦及び/又は衝突させることが可能な処理方法であれば、液状媒体の改質方法はどのような方法であってもかまわない。
【0030】
以下,本発明の液中における超微細気泡の生成方法が顕著に効果を発揮する液状媒体が水の場合について、具体的に説明する。
【0031】
本発明において使用される粒状セラミックスの大きさは、粒径0.1~10mmのものが好ましく、用途に応じて、これらの粒径の粒子を混合するあるいは特定の粒径範囲の粒子に選別して使用してもよい。粒状セラミックスを処理原水の水流により水中で流動させるには、粒状セラミックスを、容器内の仕切り板5、6で仕切られたセラミック収容室内の体積に対して粒状セラミックス全体の体積がその10~70%となるように容器内に投入するのが好ましい。10%未満では改質効果が小さく、70%を超えて投入すると流動が妨げられて相互摩擦、衝突が不十分となりやすい。さらに好ましくは体積率が30~50%の範囲で投入する。
【0032】
粒状セラミックスは適度の流動を与える水流中の流速下におかれることが望ましい。弱い水流下では、粒状セラミックスに適度の流動を与えることができない。粒状セラミックスは水中を流動し、回転しながら流れるのが効果的である。例えば、3~4回転して容器の上部まで舞い上がり、また数回転して容器の下部に達するという流動を繰り返し、その間に粒状セラミックス相互の摩擦、衝突が生じることが理想的である。
【0033】
処理原水は、改質水の用途に応じて、水道水、イオン交換水、蒸留水、工業用水、雨水、地下水、河川水、生活排水、産業排水、海水及びそれら由来の水、さらに水溶液や前記処理原水を溶媒とするコロイド溶液から選択された少なくとも1種類以上の液状媒体とそれらの混合物であってもかまわない。また、水のように改質されるものであれば、エタノールやガソリン、軽油、重油等の有機溶媒でもよく、液状媒体の種類は特に限定されない。
【0034】
微細気泡中に含有させる気体の種類も前記の液状媒体同様に特に限定されるものではなく、例えば、空気以外に、酸素、オゾン、窒素、二酸化炭素、水素、塩素、アルゴン、ヘリウムなどが選択可能であり、それらの群より選ばれる2種以上の混合気体であってもよい。液状媒体中に微細気泡を内包可能なものであれば、基本的には液状媒体と気体の種類を選ばない。
【0035】
図2に示すフローチャートにより、評価用セラミックス処理水の製造工程を説明する。島津エネルギー分散型蛍光X線分析装置を使用して分析した金属成分重量濃度が、Si(32.3%)、Al(10.3%)、Fe(2.53%)、Ca(1.72%)、K(1.72%)、Na(1.07%)、その他1%未満のMg、Cu、Snなどを含有する酸化物系の天然鉱石7を粒径10μm以下に微粉砕し(ステップS1)、この微粉末をエタノール8と共にボールミル9で湿式混練した後(ステップS2)、粒径約3mmの球形状に造粒成形し(ステップS3)、1150~1200℃の温度で焼成した(ステップS4)。得られた焼結体1は褐色光沢を有しており、表面が平滑な硬質の球状粒子であり、アルキメデス法で測定した見掛け密度は2.4g/cmであった。また、BET法により測定したその表面の比表面積は0.49m/gであった。
【0036】
次に、純水製造装置(商品名:Milli-Q Academic A10:Millipore社製)から採取したイオン交換水10を22℃、空気雰囲気下で500mLのメジューム瓶(容器)2の収容体積に対して80%を占める量となるように静かに入れた後(ステップS5)、さらに容器の収容体積に対して20%を占める量となるように上記焼結体(粒状セラミックス)1を静かに入れた。その後、この容器2を上下に静かに90秒間転回させて水処理を行い透明なセラミックス処理水11を得た(ステップS6)。
【0037】
この透明なセラミックス処理水11に対して、遠心分離機(商品名:ユニバーサル遠心分離機Model5922:KUBOTA社製)12を使用して、22℃、8500rpm、5分間の条件下で遠心分離操作を行った後(ステップS7)、得られた遠心分離処理済みの水が入った容器の上澄み水13を採取した。その後、このセラミックス処理水をメンブレンフィルター14に通過させて、不純物を除去した後、別のメジューム瓶に入れて、5℃に温調された冷蔵庫内に5日間保管して評価用セラミックス処理水15とした。
【0038】
この評価用セラミックス処理水に対して、市販されている緑色レーザーポインター(波長532nm)を使用して、緑色レーザー光を照射したところ、レーザー光の輝線が見られ、レーザー光路が明確に観察された。
【0039】
さらに、この評価用セラミックス処理水に含まれる超微細気泡のメジアン径、個数濃度、ゼータ電位の測定を行った。測定に使用した装置は、マイクロトラック・ベル株式会社製の(商品名:ZetaView画像解析式粒子追跡法ゼータ電位、粒度径分布、個数カウント測定装置)であり、測定温度は22℃である。
【0040】
[比較例]
比較例として,セラミックス処理前の原水である純水製造装置(商品名:Milli-Q Academic A10:Millipore社製)から採取したイオン交換水に対して、緑色レーザー光を照射したところ、レーザー光の輝線は見られなかった。また、粒状セラミックス処理後5日が経過した評価用セラミックス処理水と、原水であるイオン交換水中に含まれる超微細気泡のメジアン径、個数濃度、ゼータ電位を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から分かるように、セラミックス処理前の原水(イオン交換水)は、超微細気泡の各種物性値を定量できなかったが、評価用セラミックス処理水中には超微細気泡が含まれていた。
【実施例0043】
次にセラミックス処理水中に含まれる超微細気泡の安定性評価を行った。使用したセラミックスおよびセラミックス処理水の作製方法は、実施例1と同様である。なお、評価用セラミックス処理水は5℃に温調した冷蔵庫内に5日間および14日間保管したものを用い、セラミックス処理水中に含まれる超微細気泡の個数濃度、ゼータ電位を測定した。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表2から分かるように、評価用セラミックス処理水中に含まれる超微細気泡は、気泡生成操作から5日、14日経過後も水中に安定して存在していた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、微細気泡を含有する液状媒体の製造方法及び生成した微細気泡を含有した液状媒体を提供するものであり、水処理、農業、工業、医療、環境改善、食品及び水産業などの多くの産業で利用される可能性を有する。
【符号の説明】
【0047】
1 粒状セラミックス(焼結体)
2 容器(流路管)
3 処理水導入口
4 活性水排出口
5 仕切り板
6 仕切り板
7 天然鉱石
8 エタノール
9 ボールミル
10イオン交換水
11セラミックス処理水
12遠心分離機
13上澄み水
14メンブレンフィルター
15評価用セラミックス処理水
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-11-01
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ100重量部に対してアルミナ10~95重量部を含み、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する酸化物の焼結体からなる見かけ密度が1.6~3.5g/cm、粒径が0.1~1.0mm及び、BET法による比表面積が0.01~1.0m/gである表面が平滑な硬質の球状のセラミックス粒子を、収納容器の体積に対して10~70%となるように投入すると共に、気液混合液状媒体を導入した後、セラミックス粒子を流動、相互摩擦及び/又は衝突させることによって超微細気泡を生成することを特徴とする液状媒体の改質方法。
【請求項2】
気液混合液状媒体が水溶液類であることを特徴とする請求項1記載の液状媒体の改質方法。
【請求項3】
超微細気泡のメジアン径が1μm未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液状媒体の改質方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の液状媒体改質用粒状セラミックスを用いた液状媒体の改質方法は、シリカ100重量部に対してアルミナ10~95重量部を含み、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する酸化物の焼結体からなる見かけ密度が1.6~3.5g/cm、粒径が0.1~1.0mm及び、BET法による比表面積が0.01~1.0m/gである表面が平滑な硬質の球状のセラミックス粒子を、収納容器の体積に対して10~70%となるように投入すると共に、気液混合液状媒体を導入した後、セラミックス粒子を流動、相互摩擦及び/又は衝突させることによって超微細気泡を生成することを第1の特徴とする。また、気液混合液状媒体が水溶液類であることを第2の特徴とする。さらに、超微細気泡のメジアン径が1μm未満であることを第3の特徴とする。